文化審議会第13期文化政策部会(第2回)議事録

平成27年7月10日

【三木企画調整官】 大体の先生方はお着きでございますので,開会前に,事務局から,配布資料の確認をさせていただきたいと思います。配布資料としましては,資料が五つ,資料1から資料2,資料1は横長の表の資料でございます。資料2,資料3,資料4,資料5とそれぞれ資料の上に番号を振ってございますので,御確認をお願い申し上げます。
 机上資料といたしまして,文化芸術の振興に関する基本的な方針(第4次基本方針)の冊子が出来上がりましたので,机上に置かせていただきました。前回の4月16日の会議の後,宮田会長と熊倉部会長から下村文部科学大臣に答申を施行いただきまして,その後,政府部内の調整を経て,去る5月22日に閣議決定をさせていただきました。誠にありがとうございました。それを製本化したものがこちらでございます。もし委員の皆様方の日頃のお仕事等でこれを御周知いただけるようであれば,部数を郵送させていただきますので,また事務局に御連絡をいただければと思います。
 それから,机上に座席表を配布させていただいております。本日御出席の皆様方の御紹介は,申し訳ございませんが,座席表の配布で代えさせていただきたいと思います。
 それから,今期から新たな委員として6名の方に入っていただきました。本日初めての御出席ということで,南條史生様におかれましては,御紹介をさせていただきます。

【南條委員】どうぞよろしくお願いします,今日はちょっと風邪引いていて声が出ないんです。よろしく。

【三木企画調整官】ありがとうございます。
 私の方からは以上です。部会長,よろしくお願いいたします。

【熊倉部会長】それでは,ただいまより,今期2回目となります文化政策部会を開催したいと思います。本日も大変皆様お忙しいところをお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。今日も盛りだくさんですけれども,忌たんのない御意見をたくさん頂ければと思います。
 それでは,議事に入る前に,文化行政に関係する最近の動きについて,事務局から御説明いただければと思います。よろしくお願いします。

【平林政策課長】政策課でございます。
 基本方針が5月22日に閣議決定をさせていただきまして,本当にありがとうございました。同様に,政府関係の様々な方針類がこの一,二か月の間に決定されております。ちょうど概算要求をにらんでということになりますけれども,それについて御説明したいと思います。お手元資料2を御覧いただきたいと思います。
 最近の政府の重要方針におけます文化関係の記述を抜粋したものでございます。まず1ページ目にございますのは,経済財政運営と改革の基本方針2015,いわゆる骨太の方針と呼ばれているものでございまして,先月の30日に閣議決定されたものでございます。
 文化関係の記述を主に下線で引いてございますけれども,特に申し上げますと,ちょうど半ばぐらいに,この第2章の2の〔3〕のところに,(文化芸術・スポーツの振興)というような小見出しがございまして,そこに文化芸術の振興として,文化芸術立国を目指して,基本方針を踏まえうんぬんというような記述がなされているところでございます。また,その下の方には,2020年の東京オリンピック・パラリンピックの競技大会に向けた取組として,文化プログラム推進といったようなことが記述を頂いているところでございます。
 それから,1枚めくっていただきまして,2ページ目でございます。同じ日に閣議決定されたものとして,「日本再興戦略」の改訂2015,こちらはいわゆる成長戦略に当たるものでございます。全体大変な大部なものでございまして,様々な記述等ございますが,特にその中に観光というものも一つテーマになってございまして,同じ2ページ目の下の方のマル5というところに,観光関係の記述が幾つかなされてございます。こちらは,後ほど後ろの方にございます観光についてのアクション・プログラムの内容から受けたものでございますけれども,かなり文化関係,文化財関係の記述がございます。文化財の発信という部分で,英語での情報発信の支援であるとか,あるいは美術館とか,文化財等々についてのデジタルアーカイブ化であるとか,あるいは世界文化遺産関係の記述,更に,3ページ目の上の方には,日本遺産事業を行っていますけれども,そちらについての記述,2020年度までに100件程度行うといったような記載もなされているところでございます。
 日本遺産については,下の方に「改革2020」プロジェクトという,ちょうどこの成長戦略でも2020年をにらみまして,改革を加速する官民のプロジェクトというものが掲げられておりまして,その中の一つに観光立国関係のものがございます。こちらに日本遺産であるとか,あるいは次の4ページ目には,2016年秋,下の方に「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」開催といったようなことが記載されてございます。
 それから,5ページ目,同じ日に,これは地方創生のまち・ひと・しごと創生基本方針2015というものも閣議決定されております。こちらにも日本遺産や文化プログラムといった文化資源の活用といったようなことの記載がなされているところでございます。
 それから,6ページ目には,関連のものとして,今,先ほど申し上げました観光に関するアクション・プログラム2015というものがございます。先ほどより更に詳細に文化関係の記述が多々なされておりまして,ちょっと細かい説明は省略いたしますが,御覧いただければと思ってございます。
 それから,9ページ目には,同じように,政府関係では,知的財産推進計画2015というものがございます。そちらも知的財産本部の決定でございますけれども,かなり文化関係の記述,コンテンツであるとか,人材育成,養成であるとか,デジタル関係とかという記載がなされているところでございます。こちらの方も御覧いただければと思ってございます。
 それから,続いて,資料3のパワポーポイントの資料を御覧いただければと思います。この部会におきましても,何度か正しく2020年のオリンピックに向けて,文化プログラムを全国的に展開していこうというようなことについて御議論を頂いているところでございます。現在,文化庁におきましては,表記ございますように,それをどういうふうに文化庁としても実施していくかというようなものを検討しているところでございます。
 1枚目は,皆さん御案内のとおりでございますけれども,全国津々浦々文化プログラムを2016年秋から実施,推進していきたいということを考えてございまして,数だけではございませんけれども,ロンドンを目安にそれを上回るようなものを目指していこうと考えてございます。スケジュールは,これも何度も申し上げているところでございますが,2016年リオ大会終了後に文化プログラムというものを推進していこうということで,先ほども触れました「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」,こちらは10月に予定してございますが,それを一つのキックオフにして,文化プログラムを推進して,文化芸術立国の実現を目指していこうという考えでございます。
 1枚めくっていただきまして,2ページ目,現在,そのための基本構想を文化庁として検討しているところでございます。その中の論点というものを幾つか,この考えるべき観点を掲げてございます。一例申し上げますと,全国津々浦々で実施していこうといったときに,文化庁としての役割,どういうふうに考えていくのかといったこと。それから,二つ目としては,新規のものもございますけれども,基本的に今まで行われていたものを活用していこうと考えてございますが,その場合,どういったような工夫が必要かといったこと。それから,これは文化だけに限りませんけれども,2020年以降もレガシーとして残していくと。そのためにはどんな工夫なり,取組,枠組みが必要かといったようなこと。それから,4番目としては,国内外にそれを有効に効果的に発信していくといったようなことをどう考えるかということ。それから,国民の幅広い参加なりを得ていくということが必要かと思いますので,そのための工夫といったものについても考える必要があるだろうと。そして,国全体で取り組むといった意味では,様々なアクターであるとか,ステークホルダーがございます。そういった方々とどう連携を取っていったら良いかといったようなことを一応考えて,私どもとしても,文化プログラムを今後進めていく上での考え方なりを是非まとめていこうと思っているところでございます。
 皆様方からいろいろと御意見を賜ればと思いますし,それを更に来年度の概算要求なりに反映させていきたいと思っているところでございます。
 私からは以上でございます。

【髙橋記念物課長】記念物課長髙橋でございますが,続けて,資料4を御覧いただけますでしょうか。日本遺産について御説明をさせていただければと思っております。
 今,政策課長からも各種閣議決定の説明の中で,日本遺産についての紹介がありましたけれども,資料3ページ,具体的に日本遺産とはどういうものかというものでございます。これまでの文化財行政というのが,文化財保護法に基づいて,言わば個々の物,城郭であったり,甲冑(かっちゅう)であったり,そうしたものを点として指定をし,保護及び保存を図るということが専ら中心でございました。ですから,資料にございますとおり,保存重視という形でやってきたわけでございますけれども,今年度から新たにこの日本遺産という取組を通じて,その活用の方にも重きを置こうと。保存を軽視するということでは決してなくて,保存は保存できっちりやるわけですけれども,さらには,その活用も保存に負けず劣らず一生懸命やっていこうということでございます。その際に,文化財を点で訴えるということではなかなか一般の方には分かりにくいということもありますし,また,学術的,専門的なことだけを訴えてもなかなか心に響かないということもございますので,今回,この日本遺産というものは,言わば一つのストーリーというものでもって,そのストーリーに関わる関連の文化財をパッケージで分かりやすく発信していくというものでございます。
 そうすると,そのストーリーというのは何ぞやということなんですけれども,資料の3ページの右下の青い雲のような形で描かれているところでございますけれども,地域に根差し世代を超えて受け継がれている内容,これは歴史的事実であるとか,あるいは学術的正確性というものは問わなくて,伝承とか,伝説の類いでも構わないと考えていまして,そういう,言わば地域で受け継がれている内容を基にお話を作っていただくと。その際に,その地域の歴史的魅力,発信ということをきちんとテーマ設定して訴えていくということ。それから,これが今回事業を実施してみて,認定に当たっていろいろ多かったものなんですけれども,単なる地域の歴史であるとか,文化財の説明だけにとどまらず何かしら地域の魅力を,付加価値を付けて発信するような,人を引き付けるような内容のものというものをストーリーという形で認定をすると。したがって,個々の文化財の価値を認定するのではなくて,飽くまでストーリーを認定するものなんだというものでございます。その文化財,ストーリーでパッケージ化される文化財というのは,国指定のものに限らず,県指定,市町村指定でも構いませんし,あるいは未指定のものでも構わないと思っております。
 その認定の基準というのが,その資料,後ろの方になるんですが,12ページを御覧いただけますでしょうか。端的に言うと,面白いものということになります。ストーリーの内容が面白いものであって,地域の活性化を図る内容の,その具体のプランを盛り込んでいることというようなことが,端的に言うと,基準になっているというものでございます。そうして認定をしたものについて,観光庁はじめ,関係省庁と連携しつつ,国から一定の財政的な支援も行うというものでございます。
 ややちょっと抽象的で分かりにくいので,資料を先に進んでいただいて,5ページに今回認定したものを載せてございます。今回18件認定させていただきましたけれども,例えば2番の群馬の「かかあ天下」,こういう形で,言わばキャッチーなタイトルで人を引き付けるというようなものであったり,あるいは6番の「信長公のおもてなし」,岐阜ですね。信長というと,なかなか冷徹,冷酷なイメージがありますけれども,実は人をもてなすのが好きだった。これで宣教師とかを,例えば鵜飼い船とかに乗せてもてなしをしていたというような意外な一面に焦点を当ててストーリー化したものであったり,あるいは次の6ページの方を御覧いただきますと,12番で「日本一危ない国宝鑑賞」というような形で,これは崖に建物が建っていて,修験道の場所なんですけれども,それを危ないからといって,わざわざ新たに柵(さく)を造るということではなくて,危ないことを売りにしてストーリーを構成していたり,あるいは7ページ,13番,津和野はもう歴史的な観光地ではあるんですけれども,いわゆるベタな形で売り出しているのではなくて,これは今昔とありますとおり,実は津和野の城下を描いた図が100枚残っていて,その100枚描いたスポットというのが現代において特定できると。つまり,昔の人が見た風景と,今,その同じ場所に立って見る風景とが一瞬にして対比できる。一瞬にしてタイムスリップできるということをストーリーにしていたり,そんな形でいろいろ人を引き付けるような形のものを作ったところを今回認定しております。
 おかげをもちまして,非常に全国的に関心が高く,8ページを御覧いただきますと,27年度認定の際には,全国40の都府県238の市町村から83の御提案を頂いて,その中から18件を選ばせていただきました。これを,今回惜しくも漏れたものの中にも,ストーリーのタイトルしか載せておりませんが,なかなか面白そうなものもあって,これは今後,中身をブラッシュアップすれば認定できるのではないかと思われるものもたくさんございます。また,この事業については,一応公募形式を取りますけれども,実際出されたものの中から単純に選ぶということではなくて,提案されたそのネタについて,これは磨けば光りそうなものというものについて,文化庁と一緒にストーリーを作り上げていく,地方と国との共同作業でやっていくというところがまた一つのみそになっております。
 11ページでございますけれども,そうした日本遺産という,言わば名称,称号を手に入れたらそれでよしということではなくて,それを使って,じゃあ,具体的にどう地方の活性化を図っていくか。これは滋賀県の例でございますけれども,地域が,行政だけじゃなくて,民間事業者も入れて幅広に地域全体でこの歴史的な資産を使って活性化を図っていくという,こういう計画をきちっと作っていただいているということが前提になってくるというものでございます。
 それで,先ほどよりお話が出ていますけれども,最後のページでございますが,この日本遺産については,先般の閣議決定で,東京五輪の2020年度までに100件程度行うということで,これが政府の方針ということで決まりましたので,来年,28年度以降,今年度は約8億の事業費を計上してございますけれども,来年度以降更にこの拡充を図っていくということを考えているところでございます。
 以上でございます。

【熊倉部会長】ありがとうございました。では,本日の本題の資料1に入る前に,ただいま御説明いただきました資料2,3,4の最近の動向に関して,委員の皆様方から御質問,コメントなどを頂ければ頂戴したいと思いますが,いかがでございましょうか。馬渕委員,お願いします。

【馬渕委員】日本遺産に関してですが,大変面白い取組だと思いますが,世界遺産の場合などは,建物や景観などがきちっと保持されないで,破壊されていく場合には取消しがあるということを聞いておりますが,この日本遺産の場合も,いろいろな形で認定したときから大幅に姿を変えていったりするような場合にはどういうふうな対応をされるのでしょうか,お伺いしたいんですが。

【髙橋記念物課長】世界遺産の場合は,条約上の措置として,そもそも,いわゆるOUVと言っていますけれども,顕著な普遍的価値があるものについて認められていて,そのOUVがなくなったと判断されると取消しということが,条約上うたわれております。一方,この日本遺産というものは,制度として何か,例えば法令的な枠組みを作って実施をしているというものではなくて,飽くまで予算事業として実施をしておるものでございます。したがって,今回認定されたものについては,今後,継続的に財政支援をさせていただく予定でおりますけれども,仮に今回の日本遺産の申請に当たってこういう取組をしていくと,あるいはこういう文化財,ちゃんと担保していくということで申請いただいていますけれども,それが守られないということになった場合は,その次の年度以降の予算が必ずしも保証されるわけではないという形になってくるというものでございます。したがって,日本遺産の認定を取り消すうんぬんということではなくて,認定というのは飽くまで予算の採択とほぼイコールのイメージでございますので,遡って取り消すということではないということでございます。

【熊倉部会長】ありがとうございます。認定はいいけど,その後の評価の仕組みをどうしていくのかということですよね。先ほどの滋賀の例など,非常に重層的な取組が計画されているようで,これがちゃんと実施されているのか,誰が見に行くんだろうなというふうに思います。評価の委員なんかもさせていただくことがありますが,なかなか書面では,そういう地域にストーリーって,つまり,動きができるかどうかみたいなことが重要だと思うんですけど,それを評価していく仕組みが……。はい。どうぞ。

【髙橋記念物課長】すいません。今の部会長の御指摘も踏まえて,ちょっと補足ですけども,資料4の12ページを御覧いただけますでしょうか。この認定に当たっては,日本遺産審査委員会というものを設けまして,こちらで先ほどの83の案件について審議いただいて,18件認定したわけですが,ここは認定だけをやるのではなくて,今後のフォローアップも継続的に行うということにしてございます。したがって,例えば地域活性化に向けた取組状況とかも,こちらの方できちんとフォローアップをすると。場合によっては,この委員会の方からの指導も入るというような仕組みを考えてございます。

【熊倉部会長】ありがとうございます。
 ほかにいかがでございましょうか。紺野委員,お願いします。

【紺野委員】一つお伺いします。今の日本遺産の件なんですけれども,日本遺産に認定されるには,どういった基準が必要なんでしょうか。例えばこの委員会の委員の方の全員の賛成であるとか,最終的には文化庁長官が判断なさるということでしょうか。

【髙橋記念物課長】最終的には文化庁長官が認定をすると,要綱上そうなってございますが,長官が認定の判断をする前に,先ほど申し上げた日本遺産審査委員会で御議論をしていただくと。その審査委員会の中では,コンセンサス重視で判断をしていただいておるというところでございます。

【紺野委員】ありがとうございます。

【熊倉部会長】加藤委員,どうぞ。

【加藤委員】制度としては,非常にすばらしい制度だと思いますし,選考と後のフォローアップもやるんだということはよく分かりましたが,しかし,現実の問題として,これ,6人の委員の先生方は,これが本職じゃないわけで,その先生方がフォローアップまでやるということになると,少なくとも現地に実際調査に行かれる可能性はほとんどないと思うんですね。そういう意味でいうと,誰かが現地調査をする必要が出てくるだろう。それは文科省でやるんだということだろうと思いますが,現実にそれ,できますかということです。つまり,逆に言うと,こういうことを含めて,様々な文化に関わる基本的な政策の実態も調査し,なおかつ評価もし,委員会にいろいろな資料を上げる,そういうことをひっくるめてアーツカウンシルが要るよねということをずっと指摘してきたところで,この点一つとっても,いかにアーツカウンシルが重要か,なおかつスピード上げて本気で取り組むべきではないかなということだけ申し上げておきたいと思います。

【熊倉部会長】ありがとうございます。はい,武内委員どうぞ。

【武内委員】ありがとうございます。今,ちょうど観光との連動の話もあったのですが,MICEでも,今,先ほどの観光のアクション・プログラムにも入っているのですが,MICEの開催中,若しくは後でいろんな地域に行ったり,ツアーを組んだり,それから,パーティーをしたりというふうなことがある中で,ユニークベニューとしてこういう日本遺産という,ちょっと肩書といいますか,そういうものが付いたところを指定していただきますと,参加者の方々にも非常にアピールしやすくなります。それから,多分育てていくのは地域の行政や先ほどのアーツカウンシルが中心になって,PRも含めてなさると思うのですけれども,そういった意味では,是非活用したく,何かこれを一つのいいコアにして,そういったことに,地域の方々と一緒に,PRしていきたいと思いました。また地域の方から地元の「日本遺産」についてユニークベニューとして提案してくださったり,PRしてくださると,そういうところがあるのか分かりますので,主催者と連携して取り組めます。このあたりが有機的につながるようになるといいかなと思いました。

【熊倉部会長】ありがとうございます。
 ほかによろしいですか。はい,吉本委員。

【吉本委員】このJapan Heritageというのは指定していって,これを世界に広く知っていただくということだと思うんですけれども,例えばこのための専用のサイトだとか,英語,中国語,韓国語等を含めた外国語の解説のページだとか,そういうことは今後検討される予定なんでしょうか。

【髙橋記念物課長】はい。インバウンド対応というのも,今回の事業の大きな主眼の一つになってございまして,事業費の中で,そうした,今,先生が御指摘になったようなことについても対応していただくということにしております。で,また,これまでであると,国はお金だけ配って,あとはもう自治体任せというのが多かったんですけれども,これについてはそうではなくて,例えば訳し方とかについても,観光庁さんとかとも連携をしながら,本当に外国の方に日本の文化財の良さ,歴史などを分かってもらえるような,そういう訳し方を目指していまして,こちらの方で,例えばこういういい文化財の造詣の深いいい訳をしてくれる方がいますよとかというような紹介であるとか,割と手厚くそこはフォローをしていく予定でございます。

【神代伝統文化課長】すいません。伝統文化課長神代でございます。
 今の点,ちょっと補足ですが,今回の日本遺産に限らず,文化財を幅広く外国語で紹介をするという場合に,どういう用語を使えばいいのかとか,あるいはどういうような表現をすると効果的なのかみたいなところがなかなか現地の皆さん,難しい場面がございますので,正に今,観光庁の方とも連携して,その辺が,例えば決まった用語についてはこういう訳をするといいとか,そういう成功事例も集めながら,幅広く活用していただけるような,そういうことも並行して今,検討を進めているところでございますので,補足させていただきます。

【熊倉部会長】はい,南條委員,どうぞお願いします。

【南條委員】すいません。ちょっと声が出ないんですけど,これはJapanレガシー,Heritageのことだけですか,今,議論するのは。

【熊倉部会長】いえ,資料2,3,4,の三つ。

【南條委員】ちょっと私が感じているのは,この文章を読んでいったときに,今までの文化庁よりもずっと観光資源としての文化という側面とか,海外との連携とか,そういうものがいろいろ入っていて,大分いいなと思っているんですが,やっぱり全体として,古いものを生かしていくと,これを私は否定しないんですけども,どうしてもそこに引っ張られているような感じがするんですね。もう少し古いものをいかに使って新しいものを生み出すかというような視点があってもいいんじゃないかと思うんです。
 若干は書かれているようなんですが,うまく言えるかどうか分かんないんですが,工芸にしても,着物を作っている工芸の人はたくさん京都にいるでしょう。しかし,着物は売れないと。そうすると,それをただ補助金で生かしていくのかと。こういう問題があるわけですから,じゃあ,同じ工芸技術を使って別なマーケットを作れないのかというようなことをやる人が少な過ぎるような気がするんですね,日本に。私が知っている人で割と若い人でマルワカというのがいますけども,彼は九谷焼を使って全く違うものを作って,印伝(いんでん)を使ってiPhoneのケースを作ったりとかということを実験していますけども,むしろもうちょっとそれぞれのアイテムを上から見てね,そして,それで何ができるのかということを考えるプロデューサー的なクリエーターが必要なんじゃないかと思うんですよ。
 ところが,それをやる人が少ない。では,これをどうやって作れるのかというと,やっぱりある種の大きな意味での教育だと思うんです。ですから,私が思うには,いろんな事例を研究したり,海外の事例を学んだり,また,少しは実験的にやってみるような,新しいコースとかね,文化のコースですよ。単にアートマネジメントとかっていうんではなくて,アートプロデューサー的な新しいことを考える人たちを育成するコースみたいなものも作っていったらどうかと思うんです。で,そのときに,大学の中で文科系のコースの中にそういうものを位置付けていくということが非常に大事じゃないかと思いますし,例えばインターン的にポストグラジュエートのコースで本当に実験していくメニューのときには,そのチームの中に必ずビジネスマンを入れるとかね。ある意味では文化というものをサステーナビリティーをいかに担保するかという視点を入れたような議論も,できる人間をたくさん作る必要があるんじゃないかと思うんです。
 ですから,前の方にあったんですが,レガシーという言葉を使われていますけれども,オリンピック2020年のレガシーと言ったときに,幾つかのインフラというか,教育システムであったり,インフラであったり,プラットフォームのようなものを作ると,この機会に。それは今のような教育のコースかもしれないし,あるいはそれに特化した学校ができるのかもしれない。それから,もう一つは,今,お話があったアーツカウンシル,これは,私は内容を細かく知りませんけれども,常に貫いてあるポリシーで新しいこともやっていけるような文化をハンドリングする専門の組織というものがあるのが極めて重要だと思います。
 それから,アメリカのように,National Endowment for the Arts,国がやっている財団がありますけれども,ものすごく専門的な判断で補助金をこれに出していると。こういうものの巨大なものを作るのも一つの方針じゃないかと思うんですね。新しいやり方。
 それから,前から私は言っているんですが,文化を海外に知らしめようとしたときには,一番大きな壁は言語なんですよ。説明がいかにできるかということが非常に大きい。ところが,ほとんどの日本の地方は英語の表記なんていうものはないわけですよね。ですから,翻訳をするためのファンドを作るとかね。で,どこからでもアプライできると。意義が認められたらお金が出ると。こういうようなシステムを作るとか,何かそういう新しいシステムを2020年までにちゃんと作って,それが残っていくということを考えるといいんじゃないかと思います。

【熊倉部会長】ありがとうございます。正にそういうことを昨年1年間議論していたんですが,この資料2は,今,南條委員が初めて見て,国際性というようなところでは大分今日的になったというお褒めのお言葉も頂戴しましたが,去年のメンバーの皆様からすると,再三プロデューサーが大事って言ってきたけど,結局文化芸術の担い手の育成で止まっちゃう文部科学省さんというところがね,がっかりという感じがちょっといたしました。
 すいません。お待たせいたしました。三好委員。

【三好委員】ありがとうございます。
 私も,資料2の1ページ目のところで,骨太の方針の中に基本方針のことをはっきり言っていただいたというのは,非常に有り難いと思うんですが,その続きの3行ぐらいの短いところに何を書くかということなんですが,気になるのは,基本方針の中でも,重点戦略の4として,国内外の文化的多様性や相互理解の促進ということをわざわざ重点戦略に入れてあり,かつ重点的に取り組む施策の中では,これも昨年も盛んに議論された日本文化への世界の人々の理解とか,逆に,日本で国際フェスティバルをもっとやった方がいいんじゃないかという,そういう具体的な提案までかなり出ていたにも関わらず,ここの文章というのが国内的なことしか書かれてなくって,国際的な観点というのがちょっと──ちょっとというか,かなり弱いなというのが気になったところです。いろいろな経緯はあったかもしれませんが,もし補足いただけることがあればお伺いしたいなと思いました。

【熊倉部会長】はい,柴田先生,続いて長谷川先生,では,柴田先生からお願いします。

【柴田委員】失礼いたします。
 地域のことについてお話しさせていただきます。この資料3についてでございます。私は地域で活動する機会がとても多いので,常日頃感じていることを申し上げますが,文化プログラムについて,心と物理的な距離感がまだまだ遠いということが実態です。何か遠い東京で起こっている出来事とし今,捉えている感覚が強くありまして,地域からどのように盛り上げていくかということがすごく大きな課題と感じております。
 重要な点は,文化プログラムが目的化しないように,一過性のイベントに終わらないように,文化オリンピックをきっかけにして,文化と芸術の社会的必要性とか,有効性について,国民に周知させて浸透させていく絶好の機会と捉えることが地域にとって最も大事ではないかと考えております。日常生活にとって文化がいかに大切かを国民に問えていければ,それが全国津々浦々の根拠につながっていくのではないかと思います。現場でのまとめ役については,次代を担う中堅,若手の人材に活躍の場を提供して,実際に仕事として取り組んでいただくことがとても重要だと思います。それは重点戦略の2にも掲げられていることだと思います。また,核となる地域を中心に広域的な枠組みを作るということがとても重要だと思っていまして,既存の取組を更に発展するプログラムを考案するということがすごく重要ではないかと思います。
 それと,もう一つ,国民からの盛り上げでいいますと,文化ボランティアの活躍もとても重要だと思っています。平成14年から19年度まで,文化ボランティアの育成を文化政策として行っていました。その後,コーディネーター人材が必要であるという問題提起がなされて,平成20年から21年文化ボランティアコーディネーター人材の養成にかかる支援も出てきて,その後,新しい公共という施策に含まれました。国民一人一人がどのように文化プログラム,文化オリンピックというものを捉えていくかということがとても重要だと思いますので,そのためには文化ボランティアとか,そのコーディネーターの養成支援に改めて取り組む必要があるのではないかと感じているわけです。
 社会教育調査によれば,2011年の結果ですけれど,全国で約55万人のボランティアが活動しています。2008年の調査よりも5万人減っております。現在,どのくらいのボランティアが活動しているのか,ちょっと実態はつかめておりません。文化会館,体育施設,博物館,類似施設のボランティアは減少ぎみにあるということがこの社会教育調査で報告されておりますので,この人材のてこ入れについても文化庁さんも御検討いただければと思っております。

【熊倉部会長】長谷川委員,お待たせしました。

【長谷川委員】各委員の御発言を引き継ぐような形で,私の方で一言この拝見した記述についてのコメントを申し上げたいんですけれども,やはり今,ここで言われている文化とは何かということで,食とか,観光資源とか,歴史とか,既にあるものということを前提にそれをいかに知らしめるかというブランド化ということに割と集中しているような印象があります。文化というのは,一番着目される部分というのは,既にある部分ではなくて,例えばイタリアを見ますと,非常に古いもの,ルネッサンスがありながら,プラダでは最先端のプラダファンデーションを使って古いものを一番新しいミュゼオグラフィーで見せていたりとか,一番新しい技術を,センスを同時に見せている部分で,その信頼感,つまり,文化に立脚し,それを確信し生み出し続けているという,現在進行形の文化というものに対する評価というものは今非常に重要ではないかと考えます。
 ですので,そういう意味で,日本の近代と都市化,そして,近現代芸術,これは広い意味での当然舞台芸術,音楽,美術を含みますけれども,非常に社会,政治,経済,情報と深く関わって進展してきたものだと思います。では,そういうものはこの文化庁の範囲ではなく,経産省の範囲なのかというぐらい,ちょっとそういう日本の近代化において出てきた新しいものであるとか,南條委員のおっしゃったように,伝統を引き継ぎながら,それを更新し続ける努力,で,現在と結び付ける努力ということに対するコメントとか,言及が非常に余りにも少ないという気がいたします。
 だから,文化を発信する,その発信している国と認めさせるというのは何かというと,有り物のまとめ,ブランディング化ということももちろん大事なんですけれども,その発信のためのプロセスをどう整備していくのか。そして,当時に今,翻訳の話が出ましたが,これは翻訳だけではなくて,どのような内容のコンテンツにしていくのかという見方,文章の作り方が非常に重要なのではないかと思います。ですので,そこに現代的な解釈を入れながらどうやって紹介するかということは非常に重要になってくると思います。
 ですので,そういった意味で,いかに今のある意味での理論構築であるとか,社会の状況,情報の在り方ということを分析しながら,文化コンテンツ,そして,アーバンカルチャーということの,あるいはモダニズムということの,日本のモダニズムのプロモーションということも非常に重要なポイントになってくるのかなと思います。日本の場合,一気にそれがテクノロジーとか,新製品とか,アニメということにつながってしまっていて,やはり戦後,あるいは1920年以降,モダニズムがきちんと形成してきたものという,ある意味での日本が世界の中で大人の文化国家として振る舞っていくときのそのフューチャーということももっと必要ではないかと,この全体の情報を──情報というか,成果報告を見て感じた点です。
 では,具体的にそのためにどうすればいいかということは,既に各委員の先生たちが御提案いただいたことではあるんですけれども,一番基本のところは,その方向に一つ考えをもう少しシフトしていただきたいなという提案でございます。

【熊倉部会長】ありがとうございます。すいません,ここまでのところ,予定の時間を大幅に過ぎておりまして,私ども,昨年から継続の委員の皆様方は去年から,これをまとめるためにさんざんこき使われて,毎月1回ぐらい,去年の7月も2,3回集められていたような気がするんですが,これがただの作文に終わらないように,どんな策をこれから講じていくのかということが,この文化政策部会に課せられた最も重要な役割だと思っていますので,では何をするのかというところで,ちょっと今日の本題の方に入らせていただいて……。

【仲道委員】すみません。ごめんなさい。(手を挙げて)

【熊倉部会長】すいません。気弱な部会長なもので。

【仲道委員】ごめんなさい。この工程のお話にこれから入られると思いますので,それを踏まえて,このオリンピックに向けた文化プログラムについて一言だけよろしいですか。

【熊倉部会長】それもこれからのを踏まえて,御意見を頂いた方がよろしいかなと思いますので……。

【仲道委員】はい,分かりました。

【熊倉部会長】もちろん日本遺産や,文化プログラムは大懸案事項ですので,政府全体のところにも,やはりオリンピック効果はあるようで,オリンピック,文化プログラム,レガシーという三段跳びのところは大分書いていただいていますが,その間をどう埋めていくのかという議論に入っていきたいと思いますので,それでは,すいません。この資料1の方の次の御説明をお願いいたします。

【三木企画調整官】はい。御説明いたします。
 資料1について,第4次基本方針に基づく重点施策の工程表を事務局の方で作ってみました。横書きの資料でございます。
 基本構造をまず申し上げますと,基本方針に書かれています五つの重点戦略それぞれに記載されております,この黒い四角の重点的に取り組むべき施策ごとにおおむね6年間にどういうことをやっていくかということを,目的・趣旨,目標,具体的な取組ということで整理をしてございます。
 それでは,まず,重点戦略1,1ページのところから御説明を申し上げます。重点戦略1は,文化芸術活動に関する効果的な支援という部分でございます。一つ目の重点的施策でございますけれども,我が国の顔として世界に誇れる文化芸術の創造を支援するというものでございます。これは我が国の芸術水準の飛躍的向上を図り,その成果を広く国民が享受できる環境を醸成するために,今年度はトップレベルの舞台芸術創造事業を行っておりまして,我が国の優れた舞台芸術作品の創造活動を支援してございます。
 その下,二つ目の施策でございますけれども,日本と海外との多様な芸術交流により,新たな舞台等の創造を推進するということ,それから,作品の国内外への発信を促すという部分でございます。これは文化プログラムを見据えまして,海外への発信力あるプログラムを実施するために,海外への発信力あるプログラムの実施に向けた調査の企画でありますとか,我が国の芸術団体が行う国際共同制作公演等を支援するという取組を今年度行ってございます。来年度以降は必要な見直しを行いながら,第4次基本方針期間を通じて取り組むという予定にしてございます。
 次のページを御覧ください。2ページ目,地方公共団体等による地域の様々な主体と連携しました文化芸術政策の立案を促し,計画的な文化芸術活動を支援するという重点施策でございます。これにつきましては,二つ具体的な取組をしてございまして,一つ目が,地域の活性化・国際発信の推進ということでございます。文化芸術による地域活性化,地域文化の国際発信,文化芸術によるインバウンドの増加を推進するために,今年度は文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業を行っております。その中で幾つか観点がございますけれども,文化芸術により地域を活性化する取組,訪日外国人が鑑賞・体験できる取組,新国立劇場と地域のプロとの連携公演,文化の力による心の復興の取組に支援を,実施を今年度してございます。28年度以降につきましては,2020年に向けて,日本全国津々浦々で文化芸術活動の活性化を図るということ,プラス地域公共団体等による文化事業の企画・実施体制を構築・強化する取組への支援ということにも加えて取り組んでいきたいと思ってございます。
 もう一つの具体的施策としましては,NPO等による文化財建造物の管理活用の推進ということで,NPO等が所有者等と協力して,文化財建造物に係る新たな管理活用体制を創出するということを目指しまして,文化庁としては,NPO等への委託事業を今年度5年目ということで取り組んでございます。来年度以降は,NPO等が助成金等に頼らず自立的に文化財建造物の管理活用を推進できる仕組み作りということができるようなことに取り組んでいきたいと考えてございます。

【加藤委員】すいません,説明の途中で申し訳ないですけど,この調子で説明を聞いていると,最後終わるまで優に45分ぐらいかかる。
 それから,工程表というが,さっきから説明を聞いていると,誠に不可解。一番左側に重点的に取り組むべき施策はどうやら,第4次基本方針に基づいているらしい。そこまでは分かった。それがなぜ第3次の基本方針に基づいているはずである平成27年度の施策が黒丸でまずここに出てくるわけ。で,黒丸でやったら,これはずっと平成28年度以降も,このトップレベルの,例えば「舞台芸術創造活動の支援」を継続するがごとく見えるんだけど,そもそも第4次は第3次と違う方針を出しているはずなんで,平成27年度の施策がここに,こういうふうに書かれるのはおかしいんじゃないですか。書いちゃ駄目とは言わないけど,第3次まではこうでしたという形でお書きになるのはいいが。そもそも工程表は第4次の話をしようとしているんでしょう。全く理解できないよ,この取りまとめ。工程表の体をなしとらん。だから,説明を聞きたくない,もう今みたいな説明だったら。申し訳ないが,委員の一人として,聞きたくない人は一人かもしれないから,残りの人は聞きたいかもしらんから,聞いてもらえばいいが。本当にこのやり方は不愉快とすら言いたい。

【熊倉部会長】いかがでしょうか。

【三木企画調整官】不愉快な思いさせてしまいまして,本当に申し訳ございません。
 説明は,先ほどもたくさん意見が出ようとしておりましたし,あと,大変直前になりましたけれども,資料をお送りしましたので,もし差し支えなければ,私の説明はもう割愛させていただいて,御議論いただくのがいいかと思うんですけれども,ただ,第4次基本方針ができて,それに基づいて,その計画期間である27年度の施策ができてから,27年度の施策を立案するという手順というか,スケジュールで流れれば,正に加藤委員,今おっしゃっていただいたように,基本方針に基づいた27年度の施策という議論がつながって議論できるわけですけれども……。

【加藤委員】いやいや,そんなことはよく分かっているよ。そんなことが言いたいわけではなくて,当然にも平成27年度施策は,第3次の基本方針に基づいて立案されているでしょうと。それを,その一個一個の施策を黒丸で一番上に掲げたら,平成28年度以降も,いかにも第3次の基本方針そのままの「トップレベルの舞台芸術創造活動の支援」,「我が国の優れた舞台芸術の海外発信の支援」を継続するように見えるじゃないですかと言っているわけ。そもそも第4次は第3次と違う方針を出しているんだから。まだ決まってないことがあるのはよく分かりますよ。まだ予算も決まってないし,何も議論を十分具体的にできてないから,平成28年度以降は書けないというのは分かるけど,この書き方と今の説明だと,第3次の計画に基づく,基本方針に基づく政策,施策は,こういう段階で,平成28年度以降はこれから具体的にしますという話しか一つも出てこないじゃないですか。そんなのおかしいと言っているんです。
 そもそも工程表というのは今後のことを書くことでしょうが。そのために,参考までに平成27年度の施策はこういうものでしたとお書きになるのはいいよと言っている。しかし,それが継続するように見えるような工程表を書かれちゃ困るということを言っているわけ。そもそも何のために第4次を作ったんだと言いたいわ。

【熊倉部会長】よろしいでしょうか。すいません。
 既に,ここまでのところでたくさん御意見も頂いていて,私も,すみません,これ,今日初めて拝見して,何というんでしょうね。これまでやってきた施策を突然平成27年度でやめて,28年度から全く違うことをするというわけにはもちろんいきませんので,政策課はともかく,現場の中でいろいろなその事業の継続性を鑑みてのシフトということはもちろんそういうことなんだろうなと思うんですが,ちょっとのっけにトップレベルの舞台芸術とか,我が国の優れた舞台芸術の海外発信とか,そんなこと,全く去年言ってないのに,まあ,でも,そうですね。順番からすると。
 でも,これを全部聞いていると,今日の時間は終わっちゃいますので,ざーっと皆さん見ていただいて,この中で,これ書いてあるけど,どこが変わっているのというようなところとか,気になるところを,正に具体案の施策で先ほどの続きもあるんですが,それを委員の方から突っ込んでいただく形にしないと,多分終わっちゃうかなというので,すいませんが,そんな感じで,せっかく御用意いただいたんですけれども,よろしいでしょうか。委員の皆様方,それでいかがでしょうか。特に気になるところというところ,それぞれの御専門のお立場から,ちょっと違うと思いますし,去年までの経緯を御存じない委員の方もいらっしゃいますので,是非ぱらぱらっと見ながら,ここ,どうなっているのと。

【長谷川委員】すいません。部会長,昨年まで出ておりませんので,ちょっと見方の確認なんですけれども,結局この今,平成27年度と28年度の間の線がありますが,この28年度の部分に記載されている部分と,その前のところの比較をするということでしょうか。つまり,どういうふうに変更があるのか。

【熊倉部会長】いえ。27年度既にこういうことをやっていますよということを踏まえて,28年度から何か線があって変わっているような部分もあれば,何か変わってないように見える部分もあり,で,先々に何を目指していくのかみたいなので,細かいところで気になる点でもいいですし,もうちょっとマクロに見て,あんまし書かれてないんじゃないというところでも結構です。

【長谷川委員】じゃあ,この28年度以降というのは,第4次基本方針にまとめてあるということですね。ということですよね。

【熊倉部会長】ということですか,この表の見方として。

【長谷川委員】すいません。ちょっとベーシックなことが分からないもので,申し訳ありません。

【三木企画調整官】第4次基本方針のこの重点施策を,27年度はどういう事業でやっていくのか,それをどういうような目的・趣旨,目標でもってやっていくのかというのが27年度のところに書いてございます。

【長谷川委員】分かりました。

【三木企画調整官】で,28年度以降は,これから予算化していく話ですので,随分分からない部分があるんですけれども,ですので,引き続きやっていくというところが多くて,非常に申し訳ないんですけれども,その今後やっていく,目指していくべき方向性は,28年度以降の欄に書いてあるというふうに御理解いただければと思います。

【長谷川委員】はい,分かりました。どうも申し訳ありません。

【南條委員】そうすると,28年度というのは第5次になるんですか,それとも第4次なんですか。

【長谷川委員】うん,それが質問なんです。

【熊倉部会長】第4次基本方針は2020年まで。

【片山部会長代理】27年度から。

【熊倉部会長】でも,今年度から,来年度か。

【片山部会長代理】今年度から。

【佐々木委員】それでね,確認なんだけどね,第3次基本計画は前年度で終わっているんですよね,基本方針はね。それで,今年度4月からは,第4次基本方針が走っているわけなんですけど,策定が遅れたわけですよね。閣議決定が5月にずれ込んでいるんで,それでちょっと混乱があると思うんですよ。
 で,先ほどの加藤委員の関係でいくと,27年度の項目に第4次基本方針のものがきちんと上がってくれば,混乱がなかったと思うんですね。でも,トップレベルのというのは,これ,前から,26年度もやっているんで,それがそのままずれ込んでいるように見えちゃう。そこのところをちょっと議論が混乱しているんじゃないかなと思う。これは全て6年間の計画でしょう,27から32までのね。

【熊倉部会長】はい,佐伯部長。

【佐伯文化部長】たまたまトップレベルの担当でございますので,少し御説明させていただきますと,トップレベルにつきまして,ここ,整理をしたのは,基本的に第4次基本方針に書いてあることをベースにして,果たしてそれに対応しているものとして何があるかという形できておりますので,第3次のものをそのままもってきたという認識で多分まとめているのではないということと,たまたまなんですが,トップレベルの部分については,比較的かなり似た記述が第3次にありましたので,その部分でこういう形になっております。
 で,今回,むしろ,例えば先ほど加藤先生からもお話がありました,地方版アーツカウンシル,どうするんだということについて,ここは正に来年度以降の話,この第4次基本方針を受けて,どういうふうにやって我々として対応するかというのを,正にこれから苦労する。それは27年度から第4次が始まっていたとしても,27年度の予算は,昨年の秋,26年度の夏に要求していますので,どうしてもそこはギャップがあるということで,ここの具体的には28年度のところが,先生おっしゃるように,工程表としてもっと書き込むべきところであるかと思うんです。
 ただ,そこは限界がありまして,我々も,今,例えば地方版のアーツカウンシル的なところでは,何とか地方公共団体における文化事業の企画実施体制を構築強化するためのことはやっていきたいという,我々なり,決意表明的なところまではここに書いてございますので,そこをより具体化していくときに,どういったことに留意すればいいのかということなども御議論いただければと思っている次第でございます。

【加藤委員】私の誤解は理解できました。つまり,もう第4次が平成27年から始まっているんだから,ここへ27年度入っているのは当然でしょうというのは分かりました。ただし,第3次の基本方針を作ったときに,非常に大きな私どもには,後悔とまで言えるかどうか分かりませんが,ああ,もう少しこうしておけばよかったなという点があります。それは何かというと,基本的な考え方とか,大きな施策の根本はすごく斬新な表現になっているにも関わらず,それらが一つ一つ重点項目に落とし込まれたときに,それ以前の施策を相当に引き継いだものになった。だから,今回は基本方針が施策にきちんと反映されるものにしなければならない。今回第4次の基本的な考え方が平成27年度にまだ十分反映されてないことはよく理解した。それは昨年度予算を作られたんだから,それはやむを得ない話。しかし,本当にこの新しい基本方針との間で整合性が取れるかどうかは相当検討してもらいたい。まず,27年度,もう既に始まっているんだから,こういうことでやっているというのはいいけれども,それが果たして新しい基本方針に合致したものかどうかは検討してもらいたい。まして,28年度以降については今から幾らでも検討できるんですから,だから,27年度についても,これがこれに当たるよねというのは分かるけれども,こういうふうに黒丸で麗々しく書かれるとね,これがずうっと継続されるというのを,なかんずく,私は,トップレベルの舞台芸術うんぬんという表現がいかがなものかということも,具体的に指摘をしている。なので,これが残っているのが変じゃないですかと言いたかった。いや,これだけじゃないけれども。だから,そこの整合性はちゃんと取ってもらわないと,場合によっては,27年度の施策をもう今更変えることはできない。だから,これはこれで結構。しかし,28年度以降に反映できるように,文言を含めて相当丁寧に確認作業をしていただかないと,第3次の基本方針のときと同じになってしまわないかということを懸念するわけです。

【熊倉部会長】よろしいでしょうか。はい。湯浅委員。

【湯浅委員】今,内容に入る前に,この全体のこのアプローチの仕方についてかなり議論がされていると思うので,併せてコメントしたいんですけれども,この施策として書かれているものの整合性というところももちろん見なければいけないと思うんですが,工程表の中で,目的・趣旨があって,目標があって,取組があるんですけれども,どうしてもこれ,目標というより,やっぱりやることに終始していると思うんですね。もしかしたら,全部は今,見てないですけど,幾つかは目標的なこともあるかもしれないですが,具体的なこの下にある取組との差異というのはほとんど見られないものがあると思います。
 これに併せて,資料3にある文化プログラムのこのものに,どうしてもこれ,今後5年間のロードマップというか,工程表ということを考えると,ここが,そこから先も見据えたプランの中の中間にこの2020があるんだと思うんですが,これを拝見した中でも,趣旨,この1ページで,恐らくこれから文化プログラムというものを広くいろいろな文化セクターの方々と一緒に協働していくためには,やっぱり1ページで言えるようになっていかないといけないと思うんですが,まだここでは,津々浦々で文化プログラムをやるということと,20万件ということは,やっぱりやることになっていて,この後ろのページの3番でレガシーが残るようにするというふうに書かれているんですね。戻りますけれども,資料2の1ページでも,3番目に,スポーツと文化芸術によるレガシー創出となって,このレガシーという言葉は一体何なのかということをここから議論をしていって,それかこの工程表に反映されるべきではないかと思うんです。
 レガシーという言葉を一旦置いて,つまりは,何を目的とするのか。一体文化プログラムは誰のために何のためにやって,その結果,どんなインパクトが残るのかということではないかと。それのための施策になるのかなという位置付けと思っているんですが,併せて最近,文部科学省の政策評価の有識者会議に参加させていただいているんですけれども,そこの中でほかの文科省の中のいろんな部局の政策評価の指針などを拝見する機会があるんですが,事,今のフレームワークですと,課題,アウトカム・アウトプットというロジックモデルを今,文科省さんとして構築をしようとしているんだと思うんですけれども,どうしても文化庁さんのほかのスポーツですとか,科学技術とか,教育の中を並べてみますと,文化ってなかなか難しいソフトなアウトカムなので,とは思うんですが,課題が明確に設定されていないことにより,目指すアウトカムがやることで終わってしまうので,広く,もうちょっと広い視点で見たときにどうしても文化の議論が弱くなっているんじゃないかなという印象をとても受けていて,危機的な印象を持っているんですね。
 なので,今,この工程表を作るという作業は非常に大事な作業だと思うんですが,そのときのこの項目が課題,アウトカム,あれに沿わせてもいいと思いますし,事,目標設定というのはこういう,簡単に書く,これは今,やることなので,もうちょっとここの議論を深めていって,併せてこの文化プログラム,レガシーは何なのか,つまりということを,今,先ほどの議論の中でも,いろいろな皆様のお考えが出てきたと思うので,きちんと3点でも,4点でも書けるようになるといいかなと思います。

【熊倉部会長】大枠の話でいいと思うんですが,すいません。仲道さん,では,ここで,お待たせしました。

【仲道委員】ありがとうございます。この工程表を細かく拝見しますと,去年の議論の中で一番大事だった「結び付きを作る」とか,「仕組みを作る」というような視点が抜けていると思うのです。全て分割されていて,従来型の考え方による工程表となってしまっていると思います。
 先ほど申し上げたかったお話をさせていただきますが,この第4次基本方針は,オリンピックを見据えての方針であることは明白で,オリンピックの文化プログラムについて,オリンピック委員会はオリンピック委員会で文化プログラムのための委員会を作るでしょうし,東京都は東京都で作ると思うのですが,それらはやはり全てオリンピックに向けたものであるわけです。文化庁は文化庁として違う枠組みで,その後にもアーツカウンシルとして機能するような大きな枠組みの専門的な組織を作るべきなのではないかと思います。
 やはり,この工程表もそういった専門的な観点から,去年までの第4次基本方針への議論を踏まえた上で,新しい形の新しい枠組みとなっていなければ,昨年度,議論されてきた内容は,実現しないのではないかと思います。

【熊倉部会長】吉本委員,はい。

【吉本委員】私は,ちょっと具体的な項目について意見を述べたいと思います。この重点戦略に掲げられている施策は全部で30以上あるので,一個一個やっているとすごく大変だと思うんですが,中でもアーツカウンシルというのは,先ほどから議論が出ているように,重要なポイントの一つではないかと思います。
 そして,そのことが資料1の4ページに出ておりまして,それを読むと,今,湯浅さんがおっしゃったことと,同じようなことを感じました。まず,目的・趣旨のところにPDCAサイクルを確立することにより,支援策を効果的なものとすることを目指す。あるいは目標のところも,最後,PDCAサイクルのモデルを構築するのが目標になっているんですよね。これは明らかに違うと私,思うんです。
 日本版のアーツカウンシルを本格導入することによって,例えば,世界をリードする新たな芸術の潮流を日本から創っていくとか,芸術への支援を通して日本を刷新するとか,このことを通して何を達成するのかということをここに書かないと,PDCAサイクルを構築するのが目標になってしまうと,やっぱり違うと思うんです。ですので,ほかのこの重点施策のところの目的や趣旨の書かれ方もそうだと思うんですけれども,それぞれの施策によって,一体何を達成するのかという,その目標を明確にするという作業がまずすごく重要な気がします。
 その上で,このアーツカウンシルのことに関していいますと,途中まで本格導入するだったのが,最終的には,本格導入について必要な措置を講ずるになってしまったんですけど,27年度は既に今,走っているので,例えば来年度以降は,今,アーツカウンシルがやっている芸術文化振興基金の助成金と,再三話の出ているトップレベルという二つ枠組みに加えて,今は文化庁で直接やっている,例えば劇場・音楽堂がいいのか,あるいは地域イニシアチブのようなものから適切なものを選び出して,4年間掛けて移管する。文化庁が直接やっている補助金は,多分200億ぐらいあると思うんですね。そのうちの,例えば半分の100億をこの4年間で移管していきますと。そのことをアーツカウンシルで実施するために,今は非常勤となっているプログラムオフィサー,プログラムディレクターを常勤化して,例えばこれから20人とか,30人ぐらいの専門家のチームを作っていくとか,何かそういうのが私は工程表じゃないかと思うんですね。
 その工程表の中には,ただ文化庁にあるものを移すだけではなくて,移したものとか,あるいは今のものより重要な助成制度は何かということを考えていくとか。何かそういうふうな書かれ方がされるといいなというふうに,このアーツカウンシルのところについては思いました。
 以上です。

【熊倉部会長】太下委員,お願いします。

【太下委員】さっき御説明いただいた資料3の文化プログラムの実施に向けた文化庁の検討についての2枚目で,文化プログラムの取組を考えるに当たっての論点ということが書いてあります。実は,ここに書いてある論点についてはすごく重要で,きちんとした問い掛けであると思っています。もっとも,ここにある六つの論点のうち,実は,2ポツだけ例外ですけれども,それ以外は全て普遍的な課題です。文化政策全般についても言えることだと思います。この問い掛けをもとに,きちんとこれからの工程表を考えていけばいいということではないかなと思うのですね。
 特に,オリンピックの文化プログラムが最重点課題になると先ほど部会長がおっしゃいましたけど,それを念頭に考えると,今,世の中では文化プログラムは何やるのかとか,誰がやるのかみたいなことが話題になってきてはいますけれども,そういうことではなくて,今,議論すべきなのは,WHATではなく,HOW,すなわち,どういうふうにやっていくのかという仕組みや体制に関することだと考えます。正にこの2ページ目に書かれた問い掛けをきちんと政策の中に落としていくということ,それが工程表になっていくのだと思うのですね。
 そう考えたときに,もうちょっとリアリティをもって考えた方がいいと思うのです。それはどういうことかというと,御案内のとおり,ロンドンオリンピックに関連して,文化プログラムは17万7,000件以上行われましたと。で,これに対して日本はそれ以上の20万件やると下村文科大臣はおっしゃっています。この20万件というボリューム感を,リアリティをもって考えてみたいと思うのです。
 ちょっと前もある方に申し上げましたけれども,仮にこれ,文化庁さんなり,組織委員会さんなりが全国から公募で申請を受け付けるとするとどうなるでしょうか。なかなか大変なことになります。申請の受け付けや承認のプロセスなどが必要になりますので,全国から公募して承認,受け付けます,というふうにした場合,20万件の申請書が来ることになります。仮に全く内容を見ないで形式チェックだけ,1件1分でやっていったとしたら,20万分掛かります。ちなみに,連合さんは今,年間の労働時間1,800時間を推奨しています。20万分を時間に直すと3333時間です。要するに,例えば1人専任者を置いたとしたら,単なる形式チェックで丸2年近く掛かることになるのです,これはどういうことを意味するのでしょうか。カフカの不条理小説ではないのです。現実の問題ですよ。専任者を置いたとしても,一極集中ではこの文化プログラムを処理することは現実的にはできないということです。現実的な解釈としては,先ほど佐伯部長がおっしゃったとおり,いかに地域に委ねていくかという解決しかないのです。その受皿となるのが,地域版アーツカウンシルです。これを実際にどうやってつくるのかということが,工程表の一丁目一番地に載ってくる施策だと思うのです。このことをきちんと詰めていかないと,多分2020年は迎えられないと思います。
 さらに言えば,もちろんレガシーということが大事ですから,単に有り合わせの組織を作ってイベントを20万件やればいいということでは全くないわけですね。レガシーについて具体的に言えば,アーツカウンシルそのものがもうレガシーでもありますし,また,アーティストやクリエーターをはじめ,アートマネジャーやプロデューサーと言われる,アートを支える人たちも含めて,それらをきちんと職業として持続可能なものにしていく,そういう状況をいかに創れるのかということが絶対にレガシーとして必要だと思います。ですので,そこまで考えていくと,それを前提に文化庁さんが持っている事業を全部再編していくぐらいのきちんとしたことをやらないといけないと思うのです。それを正にこれからかなり集中して議論していかないと,2020年は来ないと思います。

【熊倉部会長】ありがとうございます。ほかに。
 昨年から,歯がゆい思いを数々してきた文化政策部会でございますが,正にその意識の差が端的に表れている資料1になっちゃったかなというふうな御意見が多いようなんですが,今日まだ御発言になっていらっしゃらない委員の先生方など……三好委員,引き続いてどうぞ。

【三好委員】すいません,極めて個別の話で恐縮なんですけど,今の資料1の16ページについて,先ほどの資料2についての発言と関連して気になったので,教えていただければと思うんです。左側は重点戦略に書かれている言葉で,そのままでいいと思うんですが,我が国の優れた舞台芸術の海外発信の推進ということで,27年度の予算なんですが,そこには三つあるんですね。海外フェスティバルへの参加が一つ,それから,優れた現代美術の海外発信が二つ目,それから,三つ目に,我が国の中核的な国際フェスティバルを支援する事業というのがあるんですが,その右側に行くと,これが二つになっているんですけど,これは何か減らす理由があるんでしょうか。具体的に言うと,3番目の我が国での国際フェスティバルの支援という言葉が,右側には消えているんですけれども,それはそういう方針なんでしょうかというのが気になったので,教えていただければと思います。

【熊倉部会長】いかがでしょうか。

【三木企画調整官】すいません。28年度以降のことで,十分精査して書いてないという部分ではないかと思いますので,落としてあることについて特段の意味がないというか,ちょっとそこの部分は整合性が取れてない部分ではないかなと思いますので,また,リバイスする中で整合性を取っていきたいと思います。

【三好委員】先ほど部会長からの御指摘があったことで,これも去年の議論の中で,国内で行うそういう国際的なフェスティバルをもっと増やしていくべきだという議論を何人かの委員から発言があって,この重点戦略の中に盛り込まれている,そういう認識であると思っていたので,そこを単純に精査されてないというだけの理由で書かれてないというのは,認識の問題を非常に感じるので,是非,さっきの資料2にもありましたように,国際的な視点ということを重視してきちんと精査をしていただきたいなと思っております。

【赤坂委員】5ページに衣食住に係る文化をはじめ「くらしの文化」の実態を調査・把握した上で,発掘・再興,連携・交流,発信の局面に応じた振興方策を講ずる。一番左側です。
 それを受けて,伝統的生活文化についての調査研究とあって,あ,これ,正に自分の民俗学と真っ直ぐにつながるんで,何やるのかなと思って眺めたんですけども,初年度1,000万円の予算で,大学やコンサルト会社に委託して調べる伝統的な生活文化といっても,ものすごく広いんですよね。僕らが一生掛かっても一つの村の衣食住の調査すらできないような,そういうゆったりとした調査をしていますので,これ,何をやろうとしているのか。
 で,僕は,これまでの様々なこういうものに関わってきた経験からいうと,こんなアリバイみたいな仕事,辞めた方がいいよなって,正直思ってしまいます。で,1,2,3年で報告書が出てきたって,そんな報告書,誰も見やしないし,本当にこの項目を戦略的にやるんであれば,例えば2020年のオリンピックに向けて,外国人観光客を増やしたいと思っている。で,その人たちに対して,日本の,例えばね,食文化というのを徹底して広報活動のようにしていく。あるいは壊れかけている食文化も,ハレのね,正月行事,正月の行事の食文化をもう一度復興させようとかね,何かそういうところにつながるような調査研究であればいいんですけども,多分これ,1,000万円掛けて,どこかコンサルタント会社がどこかから見つけてきたものをパッチワークのように並べて,はい,報告書です。というのは,それだったらやめた方がいいな。これだったら,5年間掛けて日本の食文化の現在というものを徹底的に調査して,それが観光戦略にきちんとつながるようなこと,いくらでも,僕,できると思います。特定のどこか旅館と提携して,その地域の年間の行事食みたいなものを徹底して再現してもらって,それを振る舞うとか,いくらでもできると思うんですけれども,何かこのおざなり感というのが,申し訳ないんですが,今まだできるはずがないということを承知で言っていますけども,ああ,そうか,そんな程度のことなのかっていう,何か脱力感に,眺めて見舞われていました。すいません。

【平林政策課長】よろしいですか。

【熊倉部会長】はい。

【平林政策課長】改めて,この資料自身なんですけれども,もちろん先ほど来のいろいろな議論がございますけれども,昨年のこの部会におきましても,夏の時点では,例えば概算要求なり,緊急に盛り込むべき事項は何かというようなことも,一応先取りする形でお聞きして,それで,審議経過の概要なりをまとめたものでございまして,それを受けて,ある程度は受けて要求なりをしてきたものではございます。
 御指摘のように,4次方針ができたということなので,今後,それをいかに反映していくかというのが次の課題になってくるかと思っています。で,現時点では,27年度予算なりで計上している,例えばこういうような施策がありますよということを,それぞれのところで整理しているものでございます。したがって,今後,どういうふうにやっていくかというのは,正しくいろんなところで先生方,いろんな御意見を賜って,それをまた,もともと6年間を掛けて指針というものを立てているところでございますので,6年掛けてそこについての目標を達成するためにどういうふうに磨いていくのか,あるいは新たに施策を講じていくのか等々,御議論を賜ればと思ってございます。
 今のこの生活文化の部分も,確かに金額的には少ないんですけれども,例えばそういう食文化とか,今までどちらかというと,行政としてはあんまり調査研究,データも全くない状況でございましたので,そういった部分にまず調査研究なりをして,基礎的な部分の情報なりを収集していこうというようなことなりを考えているところでございますし,アーツカウンシルは前々からいろいろ御議論があるところでございますので,それを正しく28年度以降にどういうふうに施策として落とし込んでいくのかというのは大きな課題なのかなと思ってございます。ちょっとそういう観点で資料1を御覧いただければと思います。

【熊倉部会長】ちょっと待ってくださいね。まだいいですか。はい。では,南條委員,お願いします。声が出ないところすいません。

【南條委員】すいません。いろんな方がおっしゃっていて,今更かなと思うんですが,少し大きな話にもう一回戻りたいんですがね。この表を見ていると,思いつくことが全部並んでいるわけですよ。これは,学生のレポートみたいなもので,全く戦略が見えないですね。全部ヒアリングすればこういうものが全部上がってくると。で,そこからどうするのかということが重要なわけですよね。
 既に湯浅さんも言っていましたし,吉本さんも言っていましたけども,目標が必要だと。目標を作るということ,あと,戦略を持つということが裏腹の関係だと思うんですね。戦略を持つということはね,限られたソース,リソースというものをどういうふうに重点的に投入するかということも意味しているわけですよ。全てに満遍なくということではなくて,今,何を我々,一番重要だと思ってやろうとするのかと,それが見えてきてないんですよね。
 私個人から言えば,これはどうも古いものを引きずっていると思います。で,カルチャーリーダーを作るという話も出ましたけれども,要するに,我々はね,幾らお金を出しても京都は二度と創れないんですよ。京都というあの古いまちは創れない。我々が今できるのは,明日の京都を創ることしかないんですよ。そこにしか,やる意味はない。これは極端ですけどね。だから,そのときに明日,残るものを一体何にするのかと。これは,予測はできないと思いますよ。だけども,やっぱりある程度流動的だし,そこに懸けるということがビジョンになるわけですよ。そういうものがここにないから,全てをリストアップして全てやります。
 結果的には,これを読んだ人が,ああ,我々は明日に向かっているんだと,ほかの国と一緒に新しい文化も創れるかもしれないと。本当は,ほかの国に対してリーダーシップを執れるかもしれないということですけども,少なくとも今,日本ができることはそういうことだと思うんです。経済の面では,大量生産ではもう競争はできないわけですから。新しいものを作る。経済だって新しい経済を作んなきゃもう駄目なわけでしょう。そのようなときに新しいことを考える人たちをどれだけこの国の教育が作ってきたかということなんですよ。全然やってきてない。申し訳ないけども,文化庁の方々もそういう思考の教育を,訓練を受けてないから,その意味が分かってないんじゃないかと思うんです。
 もう少し,例えば英国のやっていることなんか,研究したらといいと思います,湯浅さんか来ているんだから。クリエーティブという言葉はもう最重要事項になっています。今でもってどれだけ新しいものを創り出せるのかと,我々はと。こういうはっきりした課題を持っているんですよ,イギリスは。日本はそれを持っていますか,文化の面で。古いものを守るのはいいですよ。だけど,それだけでは,次のものが創れてないじゃないですか。辛うじて作っています。だけども,テクノロジーは確かに先にいっている。しかし,文化総体でもっとそういう認識を持つべきだと僕は思う。そして,若い人たちをそういう方向に向けるべきだと思いますよ。そういうようなはっきりした方針がここに見えない。だから,そういう方針をきちんと議論したらどうなんですかね。それとも去年やったんですか。それが書いてある?

【熊倉部会長】さんざんやっているんです。だから,もう今日は我々,落胆著しい。どうですかね,皆さん,委員の皆さん方,びっくりなさっている,がっかりなさっているということはもう十分伝わったかと思います。ここのところにせっかくテーブルを囲んでいるのですが,今日は少しお話をさせていただいたかと思うんですが,大きなフォッサマグナがありまして,正直,これは,私の独断で決めるつもりはないですが,今日はこれ以上お話ししても無駄かな。しかも,次が9月で,だから,もうこれはやる気ないの? という気がちょっとしているんですけれども,今,皆さん方からお話を頂いていて,まず,せっかく2020が来たのに,その先に対してのレガシーということに関して,もう1年半以上このことはお話をしてきたつもりです。昨年度いろいろな,先ほどデザインのお話もありましたが,経産省に来ていただいたりとか,デザインやファッションなんかについても,文化庁さんにこういうことを頼みたいというようなお話も聞いてまいりましたが,ただ,残念ながら,今日の少なくとも,とりあえずまとめてみただけって言われて集められてもなという気はするんですが,この資料1に関しては,今,皆さん方の御意見をまとめていきますと,何か新しいことにチャレンジをする気はやっぱりないのかな。それは無理なんですか。予算的な問題なのか,皆さんが文化の専門家ではあられないという,皆さん個々人の問題ではないというところなのか,まとめ上げた作文で,読み取りたいと思って浮かび上がってくるところが,こんなにも違うんだというところで,今日はショックを受けました。
 もちろん文化行政に関しては,じゃあ,新しいことをやるために,もう法隆寺はどうなってもいいかというと,そういう問題ではないので,スクラップ・アンド・ビルドがなかなかしにくい分野だということは重々していますので,経済産業省のように,これはもういいから,次,これ,やろうよというふうに大きな予算のシフトがしにくいので,どうしても総花的にならざるを得ないと。また,これまで支援を受けてきた分野からも,大丈夫なのという声もきっと多々届いているんだろうということは思います。
 昨年から何度も言っているように,この文化芸術振興基本法ができてから,新しい芸術文化と社会の関係について,有識者の皆様方がこの政策部会で代々,数々の議論してきて,それを全部取り込んでいくためには予算が3倍必要だということはよく分かっていますが,その中で,何かちょっと2020に向けて,少し何かどうしたら,これまでの支援を続けながら,それをこの新しいレガシーのドラスチックな方向転換に向けて,小さい一つ一つの施策を考えられるんだろうかという創意工夫が,残念ながらこの資料1には全然見えないということが,今日の委員の皆様方の御指摘をまとめるとそういうことなのかなというふうに,思ったんですが。すいません,部会長代理,今日はまだ何にもおっしゃていなくて。もうちょっと冷静に次の策について,御提案いただけるとうれしいんですが。

【片山部会長代理】ずっと皆様の意見を聞かせていただきまして,私も同じような気持ちになっていたのですけれども,文句ばかり言っていても,先に進みませんので,今後のことで申し上げたいと思います。基本方針をまとめるために結構議論をしてきて,大分頑張ったとは思います。それがほかの省庁にある程度伝わったところもあって,今日の資料2のようなものができてきたわけです。しかし,その中で一番伝わらなかった部分が,方針の5ページに文化芸術立国の姿というのがありまして,これに関する部分です。実は,先ほど吉本委員が御指摘された目標を考えるときには,これがまずベースになるべきだと思います。こういう社会を日本として創りたいということがまずあって,その上で,そのための各論の目標が戦略の中にあるということです。したがって,まずここがベースなのです。(文化芸術立国の姿のうち),上の三つは,ある程度は伝わったのかなと思うのですけど,四つ目のところ,つまり,文化芸術の新たな雇用や産業が現在も大幅に創出されているというところが,伝わっていないという感じを受けます。観光などにおける雇用とか,産業が発展する上で文化が役に立つということはあるのですけど,文化自体がきちんと雇用を抱えるという点が伝わっていません。つまり,営利だけではなく,非営利の産業の中で,様々なプロデュースをする人をはじめ,こういう人材が仕事として2020年以降もきちんと活躍できる場を創るというところをかなり強調して言ったはずなのに,他省庁には伝わってないというのが一番問題だろうと思います。
 ですので,これを目指すというところを大きな目標として掲げた上で,先ほど太下委員が御指摘されたHOWですね,つまり,どのようにそれをやるのかというところが,まず工程表の最初にくるべきだと思うのです。これには国レベルの話と地方レベルの話と両方があって,国レベルの話でいえば,吉本委員も指摘された,資料1の4ページのところの日本版アーツカウンシルの試行的導入というところに関して,できるだけ多くのプログラムをこういうスキームの中で専門的な議論を入れながら,きちんとやっていくということになると思います。文化庁のできるだけ多くのプログラムをこの中に盛り込んでいくことを,優先度の高いものからまずやっていくということをやることになります。ただ,今日の資料の中で一番まずいなと思ったのが,2ページのところです。
 これは重点戦略1のところの3番目に書かれている,たった3行だけの記述なのですけれども,地方公共団体等による,地域の文化芸術団体,企業,NPO等の民間団体,大学等と連携した文化芸術政策の立案を促し,地域の文化芸術資源等を活用した計画的な文化芸術活動を支援するという部分です。これは,地方版アーツカウンシルの設立を支援すると,基本方針の中に本当は書きたかったのですけど,書かせてもらえなかったので,こういう分かりにくい表現になっていますけど,ここだと思うのです。
 太下委員が先ほど御指摘された20万件の文化プログラムを全国でやっていくためには,ここを確立しないとできないわけです。そうすると,この項目に入っている,この右側のところに入っているプログラムは,これでは全く太刀打ちできないと思うのです。現在の自治体向けの補助金とこのNPO等による文化財建造物の管理活用の推進がここに入っていますけど,これではないと思います。ここには正に戦略的なものとして,28年度に,あるいは27年度補正でもよいので,新たに立ち上げることが必要なのではないかと思います。
 これによって体制を作れば,その体制の中で登用された人が個別のいろいろなプログラムを推進するということが構想できますので,まず,この大枠のところです。国レベルでやる政策をどういうふうに推進するのか,そして,地方レベルで進める政策をどう推進するのか,という点を議論の出だしとして考えるということが重要なのではないかと思います。

【熊倉部会長】ありがとうございます。長谷川委員。

【長谷川委員】この冊子を拝見して,先ほど御説明をしていただいたように,5ページ目に文化芸術立国の姿ということで書いてある。これがもう一つの目的であり,ビジョンであるということで,これはどのように決定されたのか。それは今までの議論の中で提案されたものですね。この中には,先ほど複数の委員から提案されている,南條委員や湯浅委員から提案されているクリエーティビティという創造力をまず,創造性を創るということが,これ,多分一行もメンションされてない。既にある文化をどうやってというものが一番大きいと思います。いかに創造性の高い新しい文化を発信していく,クリエーティビティの部分を強化するという部分が一つもないというのが一つやっぱり大きくて,それであれば,戦略というのを,そちらの方に向けてフォーカスする議論というのは,ちょっとかなりつらいものがあるのかなと,今,理解しました。
 つまり,南條委員がおっしゃったように,限られた資源を何にフォーカスするのかということが,その選択がこの五つの,四つの項目にビジョン,目標,リアライズするためにあるのであれば,なかなかそれはちょっと厳しい議論かなと,私は今日認識をしたところなんですけれども,この中に更なるクリエーティビティを加えていくという拡大解釈というか,そういうことがあり得るのかということ,これは委員としても関わっていくときに,やはり気をつけて発言していかなきゃいけない部分かなと今,思いました。
 それと,あと,16ページのところで,この頂いた資料1の16ページで,先ほどちょっと三好委員からも御指摘のあった部分で,ちょっと私は別のところで気になったんですけれども,これはやはり3コマ目の具体的な取組というところで,我が国の優れた芸術文化の海外発信の推進というところなんですけれども,16ページの。そこにフェスティバルの参加等を支援する国際芸術交流支援事業や我が国の優れた現代美術の海外発信を推進する優れた現代美術の海外発信促進事業と書いてあるんですけれども,実際にこれは国際交流基金,外務省のされていることとオーバーラップしてくる部分でもあって,いろいろ私も支援を頂くときに非常に困惑する部分なんですけれども,インバウンドとアウトバウンド,発信事業と発信したがゆえに向こうから関心を持ってもらって,いろんな意味でオファーがきたり,来日があったりするということは,非常に難く,分かち難く結び付いていると思います。そこら辺の整理というところで,この海外フェスティバルの参加等,に参加するものだけを支援されるという意味に読み込むのか,ちょっとそこら辺も悩ましいところなんですけれども,そこら辺の,さっきの各部署の整理で,経産省,外務省との整理ということも,もうちょっと有機的にお考えいただきたいと思っております。先日,ちょっとプロポーザルをさせていただいたんですが,あっさり断られたということもあり,海外のクリエーティビティを一番輩出する日本の若手を見せるというプログラムではあったんですけれども,ちょっと私としては,いろんな意味で,そのクリエーティビティ,若者に希望を与えていく。さっき南條さんがおっしゃったような未来の京都を創るというビジョンというのは,ちょっとこの場の議論とは余り関係がないのだろうかと,ちょっと今,寂しくなっております。はい。

【熊倉部会長】佐々木先生と,では,柴田さんとで,そろそろ時間ですので,ほかにどうしても言っておきたいことがあるという方は,よろしいでしょうか。では,佐々木先生,柴田さん,紺野さんの順番で,なるべく手短にお願いします。

【佐々木委員】それでは,これまでの話を聞きながら,去年のいろんな出来事を踏まえて考えてみますと,第4次方針に向けて,概算要求の段階では17.6%増という,破格の増額要求したところまではよかったんですね。ところが,やっぱり財務省の壁は大変厚くって,結局0.1%増かな,これに押し込められているということなんですよね。もちろんこれはスポーツ庁というのを新設するという問題もあったし,それから,今,オリンピックと言えば,どうしても新国立競技場ですね。これ,一気に900億円上がるという,まあ,64年の東京オリンピックの再現を見ているような,つまり,2020のオリンピックというのは,もう成熟社会に入った日本が,これまでのような成長のモデルから脱却して,それこそクリエーティブジャパンに転換しなきゃいけないと,皆さん言われているとおりですね。にも関わらず,そこでもう足引っ張られていると,とても日本全体で文化プログラムを進めるという体制のところまで動けないんだと思うんですね。
 そこで,これ,どこかで打開しなくちゃいけない。我々ができることは何だろうかと。例えば今後の予定という一枚物があるじゃないですか。ここに文化プログラムシンポジウムって,今年度に二,三回やりましょうってありますよね。これはもう大至急やっぱり総力を挙げて,世論を変えていくような,そんな場を作った方がいいんじゃないかと思うんですね。それで,このうちの1回は,私は,できれば,関西広域連合という広域自治体があって,そこで文化プログラムの関西中心にした西日本の議論を始めているので,そこで引き受けてやってもいいなと思っているんですけれども,それはアーツカウンシル関西,先ほど出ているように,アーツカウンシルの地域版を作るという場合に,都道府県ベースで置くよりは,むしろ広域的に作った方がいいと思うんですね。例えばアーツカウンシル東北とかね。そういったような受皿にイメージを持ちながら,展開していくということで,我々の不満もそっちの方へ向けて何かムーブメントを創りたいというふうに改めて思いますね。
 それで,その下にあること,ついでに,私,関わっている話をさせていただきますと,クリエーティブシティとクリエーティブビレッジとか,クリエーティブタウンを日本全国に広げようという,文字どおり現代芸術というものが軸になって展開しているわけですけど,お手元に第5回創造農村ワークショッブin十日町というチラシが入っていまして,これは文化庁事業でもありますので,今年は大地の芸術祭がまた,第6回になるかな,行われます,こういう場で日本遺産という形で展開しているだけじゃなくて,クリエーティブタウンやビレッジで展開していくようなね,ものをつないでいくということももっと予算を付けていただいて,裾野から変えていくということだと思うんです。これは赤坂先生とも協力して,次は東北へ広げるとかね,やっていきたいと思っておりますので,是非創造性を高めるということでの事業について,文化庁の中での認識をもっと進めて,そして,予算獲得に向ける何か決定打のようなものが本当は欲しいなと思います。
 以上です。

【柴田委員】先の部会で青柳長官が述べられたことの中に,文化という概念を広く捉えなければいけないと。文化の持つ多様性に注目して,今後の文化政策を捉え直すことが必要だという御発言があって,それが私の胸の中にずしんと響いたわけであります。この工程表につきましては,第12期の皆様が本当に御苦労されて,苦心されて作ったもの。で,この工程表の中身と温度差があって,皆様ちょっと物足りないという御不満をお持ちということもすごくよく分かりました。ただ,閣議決定が終わって1か月ちょっとの間で,この資料をおまとめになった文化庁の方々の御苦労も私は察したいと思っております。
 そういう中で,今回の資料を読んだときに感じましたのは,一部の愛好者だけはない,全国民に対して具体的な事例を交えながら分かりやすい言葉で語り掛けるように,文化芸術の持つ社会的な役割とか,効果を説明していく責任が我々委員にあるのではないかと再認識したんです。佐々木先生と同様の考えですが,地域におけるシンポジウムは,私,念願におりまして,開催してほしいと切に思っていました。地方の方々と同じ目線で意見交換をする貴重な場として,とても有効な機会だと私は感じました。
 また,第4次基本方針ですけれども,まず,関係者に理解いただくことが必要だと思います。共有化するということが必要だと思います。第3次基本方針のときには,この基本方針を普及する努力が足りなかったように私は感じております。これは日々地域の公立文化会館の職員とか,芸術団体の方々とのお話の中で感じていたことです。ですから,全員で共通認識を持って更に一歩前に進める,一歩一歩確実に取り組むということが必要だと思います。とても地味なことなんですけれども,これが重要だと思います。
 それと,この資料1の工程表を拝見しまして,日本版アーツカウンシルのことについて少し触れたいと思います。私,演劇プログラムオフィサーとして当事者なものですから,ちょっと地雷を踏んでしまうかもしれませんけれども,危険を恐れず発言をさせていただきたいと思います。この発言は一応上司に断りを申し出て,今日は発言をさせていただいておりますので。
 試行期が本年度で終わるわけです。本格導入の動きが重点戦略1に位置付けられたということ,これは実施してきた今までの5年間の成果と課題の検証をまず行うことが必要だと思っています。同僚のPD,POからは,振興会における位置付けが不明確であって,本格導入に向けてどうなっていくのかという不安の声がいっぱい上がっています。また,上司は,組織的にも,政策的にも,安定的かつ継続的な基盤整備に向かうための環境を整えたいというお考えを積極的にお持ちです。現場の方では,試行期間の中では実績を積み重ねまして,今後何をしていくべきかという課題も徐々に見え始めております。これは芸術団体との意見交換を通じて見えてきたことですが,芸術団体側からも,我々に対する期待がものすごく大きくなっていることをひしひしと感じております。不安定な中で,試行の取組をしているんですけれども,これはもう限界にきておりまして,次世代に引き継いでいくためにも強固な体制整備を文化庁で是非御検討いただきたいです。我々も一緒になって取り組んでいきたいと考えております。
 以上でございます。

【熊倉部会長】紺野委員。

【紺野委員】すみません。時間がぎりぎりの中,最後に場違いな発言をすることをお許しください。
 新国立競技場の問題なんですけれども,あの2,000億を超える予算というものが,文化政策も含めて国民全体に東京オリンピックに向けての士気を非常に下げているような気がいたします。あの大きな建物が1世紀2世紀後に国民の宝になるような,世界遺産になるような文化的価値の高いものであるならば,その巨額の予算を掛ける意味があるように思いますが,次世代の若者の希望を奪うような,そんなお荷物になるような予感がしてなりません。今から間に合わないとか,諸事情あるのは重々承知しておりますが,東京オリンピックに向けて各分野の士気がぐっと高まるような国民に分かりやすい説明を,もしあの建物が必要とあるということであれば,その意義を文化庁さんからも分かりやすい言葉でアピールしていただけたらなと思っております。

 以上です。

【熊倉部会長】すみません。青柳長官,有松次長,本日,大炎上でございまして,なかなか難しい問題も,頑張って昨年度概算要求したのに,たった2億円しかアップしないという中で,皆さんちょっと諦めモードになっちゃったのかなとか,長谷川委員から創造性の指摘ありまして,これももう何年越しでイギリスのこと,ここで勉強してきて,昨年度最初に,私は,もう21世紀は芸術文化というふうな何か作品ベースではなくて,創造性というのは全ての国民に関係のあることだというふうに考え方を変えましょうというふうに申し上げましたし,既に進めていらっしゃる創造都市というような施策も,そうした理念に基づいているものだというふうに認識していたんですけれども,残念ながら,現行のこれまで積み上げてきたものと,この2020を契機に文化政策に新たな仕組みや考え方を導入しようということ等に,残念ながら今回大きなそごがあるというふうになってしまいました。是非強いリーダーシップをお願いしたいんですが,最後に一言お願いできますか。

【青柳長官】いろいろ御意見ありがとうございます。私どもの認識としては,今,どこが一番文化を必要としているかというと,やっぱり地域社会だと思うんです。特に,地域創生会議で中核中心都市とか何とかって言っているけれども,ああいう切捨てではなくて,今,限界状況にあったり,あるいは日陰にあったりするところでも,文化的なものがあれば,そこに住み続ける誇りと自信というものが出てくるのではないかと。だから,そういう意味で,文化庁としては,そこの部分を一生懸命やっていこうということを,こういう具体的な一つ一つの政策よりも,もうちょっと小さなプログラムとしていろんなところに散りばめられているんだと思います。
 それをどういうふうに,太下さんが言うように,HOWでやるのかということで,それは地域地域の特殊性とか,あるいは事情とかがあるから,地方分権と同じように,アーツカウンシルというような形で地域のニーズを拾い上げたシステムに移行していかなければいけないということは,文化庁としても十分に認識しております。しかし,実際にいろいろ今,日本芸術文化振興会の中にPD,PO等をやっていろいろ事情を聞いていると,例えばどこどこにアーツカウンシルの試行版をあれしたのを設置してみようとすると,ある市からは絶対に県には渡さないでくれというようなこと,それで,県の方からは,ある市には出さないでくれというような,かなり具体的な意見があると。そうすると,どうしても,先ほどおっしゃったように,日本全体を五つぐらいのブロックに分けて,そういうことでやっていかざるを得ないけれども,その体制というもの,あるいはそういうブロック分けをどうすればいいのかということがまだコンセンサスが十分にはないということ。

 それから,もう一つは,これだけアーツカウンシルというものがいろいろ評判になりながら,今現在,アーツカウンシルを地方自治体として持っているのは東京都と,それから,沖縄ぐらいで,まだもう少し出てきてもいいと思うんですね。ですから,我々の方からの動きと,それから,地域からのグラスルーツのような形での動きと,それがちょうど合体するような形にならないと,本当にニーズをシーズにできないんじゃないかということを考えております。
 それから,もう一つは,レガシーというものが,将来の社会にとって本当の良質のレガシーになるようなレガシーを残さなければいけない。だけども,我々,今,2020年以降のどういう社会を頭の中に描いて,そして,そこの中でどういう文化が役割を持って,だから,ここで2016年から始めるこういう事業が2020年以降にレガシーになるのかというところまで,我々,十分に検討しているのかどうかということを,ここは今のところは個人的なところですけれども,まだ十分にレガシーという言葉だけが生きていて,それが不良債権になるのかもしれないし,優良債権になるのかもしれないし,そのレガシーというものを受けて,受け社会というものがどうなのかということが疑問になっている。
 それから,先ほど皆さんがおっしゃったとおり,この第4次というものの,大変貴重な提案を頂いておりますので,それをもう少しこなれた形でまとめてあげなければいけないんですが,何せ,大変,これは言い訳になりますが,時間がないためにこういう資料1というような形でしましたが,もう少し我々にもこれをそしゃくして,そして,優先順位というものではないんですが,しかし,やり得ることと,それから,難しいこと,それから,長期的に取り組まなくちゃいけないもの,それから,短期的に何しろ早く手掛けなければいけないというようなこと,それから,吉本さんが言ったように,手段が目的化しているようなところが幾つかあるので,きちっとした目標というものを設置した形でここに入れ込むということ,それをなるべく早くやって,そして,先ほど部会長がおっしゃったように,9月というと,なかなか先送りになるような感じもするので,そういう作業が終わり次第,またお諮り申し上げて,いろいろ御意見をお聞きして,そして,この第4次の中身というものがより具体的に反映されるようなものにしていければと考えております。

【熊倉部会長】ありがとうございました。
 でも,最後に,一つ明るい話題で,今日は新任の三木さんのデビューで,三木さんはやる気十分な感じが私はひしひしと受けているので,希望がまだゼロではないということで,三木さん,最後に今後の御案内をお願いします。

【三木企画調整官】 今日は,概算要求に向けて,皆様方から幅広い御意見を頂くつもりで資料を用意したんですけれども,総花になった分,浅薄になってしまいまして,皆様に十分な御意見を頂かなくて,本当に準備をする者として重ねておわび申し上げます。
 それから,その上で次回の予定なんですけれども,吉本委員や湯浅委員からもお話しいただいていたあの目標のところは,ちょっと今回十分用意できてなかったんですけれども,次回のところで,第3回は,第4次基本方針に基づく施策の評価というふうに思っておりまして,それは,目標とか,あと,その指標あたりを整理して,今回の資料に合わせようと思っているんですけれども,今回のこの資料自体の問題もございますので,そこら辺はまたきっちり整理しまして,資料を用意しますけれども,第3回はそういう意味で,今回の第4次基本方針を進めていくに当たっての評価というものをどういうふうにやったらいいのかというのを一つの議題としたいと思っております。

【熊倉部会長】いやいや,それ,駄目でしょう。評価までいかないでしょう。

【三木企画調整官】すいません。言葉遣いがちょっと,間違っていたんだと思うんですけれども,それぞれを進めていくに当たっての,今,目標が非常に定性的でありますので,少し具体的に定量的に見えるところはどういうことができるのかとか,あとは,過去,現在もそうですけれども,政策評価とか,過去の政策部会で様々評価について御議論いただいている部分があるので,それをきっちり整理して何が足りないかというあたりを,一個一個の対応ができるかどうかは分かりませんけれども,きっちり整理した上で,また足らざるようなところを部会長含め委員の先生から御示唆を頂きたいなと思っております。それが第3回でございます。
 それから,次に,資料5で書かせていただいてございますけれども,文化庁で予定しておりますシンポジウムが幾つかございまして,そこにおきまして,第4次基本方針の周知でありますとか,地域における文化芸術振興の諸課題に関する議論でありますとか,地域の先導的な取組についての意見交換といったところに部会の先生方にも御出席いただきたいなと思ってございますので,また,日程調整等御案内させていただきたいと思います。それに先立って,委員の先生方と意見交換をする場も懇談会という形で設けさせていただきたいと思っておりまして,それもまた御案内させていただきたいと思います。

【南條委員】すいません。聞いていると,また駄目そうな気がしてきたんで,二,三人こっち側の委員からタスクフォースが入ったらどうなんですかね,作るときの現場に。基本的にね,現場,知らない人たちが情報を処理しているだけなんですよ,これ。だから,全然そういう本当に現場で何が必要かというようなことが匂ってこない。だから,こっち側である程度そういうことが分かっている人が入ってね,それから,吉本さんみたいに目標の話を考えている人とか,入って,3人から5人ぐらいが一緒にやったらどうなんですか。で,別にそれで決定するわけではないでしょう,それを基に議論するわけだから。と思いました。

【三木企画調整官】部会長とも御相談,させていただきます。

【熊倉部会長】全くそのとおりだと思うんですが,少なくともその第3回の前に懇談会ですか,もうちょっとクローズドで,本音ベースで言えるところの場が必要かなと思っています。できれば,今,南條委員から御提案があったようなことを,それを第1回の後に,私も再三御提案させていただいているところなんですが,改めて御検討いただければ幸いかなという気もしております。少なくとも第3回に,その評価に話にいけるかどうかは,その前の懇談会で文化庁側がこの第4次基本方針の心の部分をそしゃくしていただけるかどうか。そして,我々とともにこれをやっていきましょうという目標に向けてのこういう,細かい工程表でなくてもいいんですけれども,そういったものが共有できない限りは,また,評価のノウハウの問題みたいなことだけ走っても,それこそ負のレガシーを残しかねないという気もいたしますので,その辺に関しても御相談をさせてください。
 お忙しい皆様のお時間を,ちょっと10分長引いてしまいましたが,これをもちまして,議論の方は閉会とさせていただきたいと思います。また,この個別案について,また個別の御専門のお立場からいろいろあられましたら,是非三木さんの方にメールで頂ければと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。

── 了 ──

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