未曾有の被害をもたらし,多くの尊い人命と財産が失われた東日本大震災から,2年半がたとうとしています。今なお,厳しい状況におかれている数多くの被災者の方々に,改めて心からのお見舞いを申し上げます。
文化庁では,平成23年3月の東日本大震災の発生後直ちに,「東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援事業(文化財レスキュー事業)」を開始し,平成24年度末までの2年間,関係者の御協力を得て,美術工芸品等の動産文化財を中心に,被災文化財等の一時避難・応急措置を行い,おおむね所期の目的を達成したところです。また,併せて開始した「東日本大震災被災文化財建造物復旧支援事業(文化財ドクター派遣事業)」では,今年度も被災した建造物の修復手法等に係る技術的支援等を行っています。
平成23年4月の呼びかけ以来,約3億円もの御寄附をいただき,文化財レスキュー事業及び文化財ドクター派遣事業,さらには被災した文化財等の保存修復にも大いに成果を上げることができました。御協力いただいた皆様に,心から御礼申し上げます。
一方,福島県内においては,福島第一原子力発電所の事故により,旧警戒区域をはじめこれまで立ち入ることができなかった地域において,現在も多くの文化財が必要な措置がなされないまま残されており,これを救出することが喫緊の課題となっています。そこで,このたび,独立行政法人国立文化財機構を中心として,「福島県内被災文化財等救援事業(福島文化財レスキュー事業)」を実施することとなりました。
また,昨年度までに岩手県,宮城県などで既に救出された多くの被災文化財も,所有者にお返しする前に,本格的な修復を待っている状況にあり,これら文化財等の救出と修復は,今後も続ける必要があります。
このような状況にかんがみ,特に「福島文化財レスキュー事業」を実施することを契機として,改めて皆様に被災文化財の救援と修復のための御寄附をお願いすることといたしました。ぜひとも福島県における被災文化財の救出や,東日本大震災で被災した文化財の修復に向けて,より多くの方々の御理解と御協力を切にお願い申し上げます。
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