1 趣旨
全国で毎年約8000件の発掘調査が実施されておりますが、国民がその成果に実際に触れる機会は、極めて限られています。このため、平成7年度から、近年発掘調査が行われた中で特に注目された出土品を中心とした展示を構成し、全国を巡回することにより、国民が埋蔵文化財に親しみ、その保護の重要性に関する理解を深めることを目的として始めました。今回で第30回目となります。
2 主催
文化庁、千葉県立中央博物館、弘前市立博物館、大阪府立弥生文化博物館、大阪府立近つ飛鳥博物館、大野城心のふるさと館、全国新聞社事業協議会、千葉日報社、東奥日報社、西日本新聞社、週刊大阪日日新聞社、
3 協力
全国公立埋蔵文化財センター連絡協議会、全国埋蔵文化財法人連絡協議会、共同通信社、公益財団法人元興寺文化財研究所
4 後援
全国史跡整備市町村協議会、全国文化的景観地区連絡協議会
5 会場及び会期
千葉県立中央博物館 | 令和6年6月8日(土)~令和6年7月15日(月・祝) |
弘前市立博物館 | 令和6年7月27日(土)~令和6年9月16日(月・祝) |
大阪府立弥生文化博物館 ・大阪府立近つ飛鳥博物館 |
令和6年10月5日(土)~令和6年12月8日(日) |
大野城心のふるさと館 | 令和7年1月5日(日)~令和7年2月16日(日) |
6 展示内容
- (1)我がまちが誇る遺跡
- (2)新発見考古速報
-
- (3)特集
- 1 遺跡から読み解く多様な歴史文化
- 2 文化的景観20年
7 展示図録
『発掘された日本列島2024 開催30年記念』文化庁編 共同通信社発行
8 主な展示品
(1)石刃・石刃核接合資料
ピリカ遺跡 出土 <我がまちが誇る遺跡>
(北海道今金町:旧石器時代 2万年前)
頁岩製の30㌢以上の長大な石刃と石刃核が接合した資料です。石核の打撃部には丁寧な調整が施され、長大な石刃の打ち割りに必要な力を一点に集中させる高度な技術が見られます。その製作方法は現代の研究者にも再現が困難なもので「石刃剝離技術の頂点」と評されています。石を熟知していた旧石器時代の人々の高い技術力をうかがい知ることができる資料です。
【高さ44㎝、今金町教育委員会所蔵】
(2)タマサイ(首飾り)
大川遺跡 出土 <我がまちが誇る遺跡>
(北海道余市町:近世アイヌ文化期 17~18世紀)
大川遺跡は縄文時代から近世アイヌ文化期までのお墓を中心とした遺跡です。タマサイとはアイヌ文化独特の形態をもつガラス玉で構成された首飾りのことで、本例は、近世アイヌ文化期のお墓から漆器や刀子、ニンカリとよばれる耳飾り、古銭などと共に出土しました。
【長さ19.5㎝、余市町教育委員会所蔵】
(3)石製模造品(石製合子・杵形・刀子形・剣形・鏡形)
伝十二天塚古墳 出土 <我がまちが誇る遺跡>
(群馬県藤岡市:古墳時代後期 6世紀)
石製模造品とは滑石や蛇紋岩など、柔らかく加工が容易な石材でつくられる様々な器物をかたどった祭祀などに用いられた遺物です。合子形の石製品は全国でも約70 例と出土数がきわめて少ない遺物で、本例は東国で唯一の事例です。発見時には合子のなかに刀子形石製模造品が数点納められていたと伝わり、石製模造品の使用例が明らかな事例としても重要なものです。
【石製合子(写真中央奥) 幅22.7cm 藤岡市教育委員会所蔵】
(4)土偶
美々4遺跡 出土 <新発見考古速報>
(北海道千歳市:縄文時代晩期 約3000年前)
土偶は縄文文化を代表する祭祀遺物です。本例はお墓の床面からベンガラとよばれる赤色顔料に覆われ、うつ伏せの状態で見つかりました。土偶が墓の中から完形の状態で出土するのは大変珍しく貴重な事例です。
【高さ20㎝ 公益財団法人北海道埋蔵文化財センター所蔵】
(5)八稜鏡
六ノ域遺跡 出土 <新発見考古速報>
(神奈川県平塚市:平安時代 11世紀)
瑞花双鳥文八稜鏡と呼ばれる鏡。八稜鏡は中国(唐)の鏡の影響を受けて9世紀後半頃から日本で生産されるようになった鏡です。当鏡は上下に草花、左右に2羽の鳥が配置されたもので、唐風から和風へと移り変わる11世紀頃に製作されたものです。
【最大径11.2㎝、平塚市教育委員会所蔵】
(6)ベルギー産軟質磁器皿
栗橋宿関連遺跡群(栗橋宿本陣跡)出土 <新発見考古速報>
(埼玉県久喜市:江戸時代 19世紀)
ヨーロッパで流行したウィローパターンとよばれる東洋の風景画をイメージした文様が描かれています。裏側にはベルギーのボッホ・フレール社の銘があり、19世紀後半に製作されたベルギー産の器であることがわかる遺物です。幕末期にヨーロッパ産陶磁器が地方宿場町にも流通していること示す事例として重要です。
【口径23.4㎝、埼玉県教育委員会所蔵】
<お問合せ>
埋蔵文化財部門
代表:075(451)4111
(内線9765)長・大澤