第3回埋蔵文化財保護の在り方に関する実務者会議議事要旨

埋蔵文化財保護と開発事業との調整等の実例について意見交換

  • 〇 当県では、毎年のように中世城館の調査は実施しているが、震災対応等もあり、リスト化はあまり進んでおらず、中世城館を集約した報告書も刊行していない。一方、速やかに遺跡の場所を把握するには遺跡地図があるため、事業者の方には、まずは遺跡地図を確認いただくのが良いと思う。中世城館も調査以前に個々の範囲や構造等はおおよそ把握できる。ただし重要性まで分かるものは数少ない。
  • 〇 中世城館のリスト化について、必ずしも発掘調査を行って個別の城館の範囲などが明確に把握されていないこともあるが、どこまでが指定すべき範囲かということも開発事業者や土地所有者に情報が共有されていないという問題点があると思う。文化財側としては改善すべき点が多々ある。
  • 〇 中世城館そのものの調査の重要性は全県レベルで指摘されているが、基礎自治体の考え方によっては、重要性を受け止め積極的に保護・活用しようという動きに必ずしもならない。全国的に自治体間の格差が懸念される中で、今回の議論でも課題となる。
  • 〇 この検討の契機となった高輪築堤跡は、様々な研究成果や資料で的確に評価されている。更に、すでに指定されている新橋停車場跡の追加指定という形で史跡指定されたため、ある程度あらかじめ史跡の価値や存在・範囲等を把握できたという事例にあたると思うが、実際に開発事業が動いてから保存問題が発生したということで問題になった。
  • 〇 近代遺跡は訴求力が高く、市民の関心も高いが、近代の埋蔵文化財包蔵地の基準が「地域において重要」なものとされており非常に曖昧である。自治体の立場からすると、何をもって重要とするのかを説明できないところに弱みがある。
  • 〇 既に開発計画がなされているところに存在する遺跡も、今後リストに搭載され開発計画を見直すことになった場合は、補償のルールや仕組みの検討をお願いしたい。
  • 〇 完璧に事前把握することが難しいことがよく分かった。事前把握を追求していくことはお願いしたいが、文化財が出てきた場合にどう対応していくかということもセットで考える必要があるかと思う。
  • 〇 第三専門調査会での最終的なとりまとめにあたり、本会議での意見を十分反映すること、とりまとめの過程において本会議の委員に対して再確認することをお願いしたい。開発行政側としては、現行より規制強化になるようなことは受け入れられない。リストの精度を上げていくことを文化財行政においてしっかりやっていただくことが第一である。
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