参考4 第1回企画調査会

様々な分野との連携方策について

1.他省庁の施策と連携している文化財保護施策

他省庁の施策と連携している文化財保護施策

(1) 世界遺産の保存(文化庁、環境省、外務省、国土交通省、林野庁、水産庁)

 文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷、破壊等の脅威から保護し、保存することが重要であるとの観点から、日本においても世界遺産条約を締結している。文化遺産については文化庁、自然遺産については環境省及び林野庁がそれぞれ中心となって、条約を所管する外務省及び他の関係省庁(国土交通省・水産庁)と連携しながら世界遺産一覧表への推薦及びその後の保存を行っている。
 資産を適切に保護するために必要な場合は、適切に緩衝地帯(バッファーゾーン)を設定する必要がある。当該緩衝地帯は、環境保全のための条例による利用規制等を行うことによって確保されている。

(2) 重要文化的景観の保存(文化庁、国土交通省、農林水産省、環境省)

 重要文化的景観については、まず、都道府県等が定める景観法に規定する景観計画区域、景観地区内にある文化的景観であることが要件となっている。
 都道府県等は、文化的景観保存計画等において当該文化的景観の保存のために必要な措置を講じて、重要文化的景観の選定の申し出を行う。

(3) 重要伝統的建造物群保存地区の保存(文化庁、国土交通省)

 重要伝統的建造物群保存地区については、市町村の定めようとする伝統的建造物群保存地区が、都市計画区域又は準都市計画区域内にある場合には、市町村は都市計画法により保存地区を決定する。(保存地区が都市計画区域又は準都市計画区域外の場合には、保存条例により決定)
 市町村は、伝統的建造物群の保存整備等を定めた保存計画を策定し、必要な措置を講じて、文部科学大臣へ重要伝統的建造物群保存地区の選定の申出を行う。

(4) 地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律(文化庁、国土交通省、経済産業省、農林水産省、総務省)

 平成4年に施行された「地域伝統芸能等を活用した行事の実施による観光及び特定地域商工業の振興に関する法律」に基づき、主務官庁の一つとして、文部科学省では都道府県の基本計画に係る協議の際、個々の事業計画の内容について、文化財保護の観点から、文化財の本質が損なわれない対応を行うこととしている。

(5) 文化遺産国際協力コンソーシアム(文化庁、外務省)

 国内の政府機関、研究機関、NGOなどが一体となって効率的・効果的な文化財国際協力を推進するため、国内関係機関がネットワーク構築、情報の収集・提供、調査研究等を実施する。

(6) 文化遺産オンライン(文化庁、総務省)

 我が国文化遺産のインターネット上での総覧の実現(文化遺産ポータルサイトの確立)を目的に推進されている事業。現在は試行版が一般公開されている。文化庁側がサイトの設置・運営、総務省側はコンテンツ技術の提供等を行っている。

(7) 文化財防火デー(文化庁、総務省)

 昭和24年1月26日の法隆寺(世界最古の木造建造物)金堂の火災を契機とし、昭和29年11月に金堂修理事業が竣工した翌年の昭和30年に、当時の文化財保護委員会(現在の文化庁)と国家消防本部(現在の消防庁)が1月26日を「文化財防火デー」と定めた。以来、毎年この日を中心に全国各地で、各都道府県教育委員会、各消防署、文化財所有者等の協力を得て、防火訓練などの文化財防火運動を展開しており、来年1月で第53回となる。文化庁が主に広報を、消防庁が防火訓練を担当し、事業を実施している。

(8) アイヌ文化の振興(文化庁、国土交通省)

 平成9年5月に「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」が成立した。本法の規定に基づく業務を行うものとして国が指定した「アイヌ文化振興・研究推進機構」(文部科学省と国土交通省所管)の行う、アイヌ文化の復元、再生、伝承、普及、国内外との交流の促進、優れたアイヌ文化活動の表彰・顕彰、アイヌに関する情報の収集・提供などからなる事業に対し文部科学省と国土交通省が補助を行い、アイヌ文化の振興等を図っている。

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