資料2 第2回企画調査会

文化審議会文化財分科会企画調査会(第1回)における主な意見(案)

1.文化財の総合的な把握を行うための施策

(1)全体的な視点
 
○ これまでの審議会で出された方向性を踏まえ具体策につなげていくことが必要
○ 総合的な把握の必要性がこれまで提言されてきたが実現していないことについて,何がネックとなったのか,どのような方策があり得るかについて検証を行うことが必要
○ 各分野の文化財の連携・知識の共有の不十分さは,組織体制とともに文化財保護の体系そのものについても問題
○ 様々な文化財を幅広く見るための専門家が必要
(特に地方自治体では埋蔵文化財以外の専門家が少なく,それ以外の専門家を増やすことが望ましい)
○ 専門調査会の横の連携が必要
○ 予算・税制面での措置などのメリットを付与することが必要
○ 地方自治体や所有者からの申出により行うことも考えるべき
○ 高松塚と同様の問題が起こりうるものについて調査・フォローが必要
○ 世界文化遺産を増やしていくことも総合的な把握の一つの手段ではないか

(2)既存の制度の枠組みの改善
 
○ 重複指定の場合の考え方
 
・ 重複指定における,各文化財における保存の理念や手法の考え方の違いの整理が必要

(3)新たな仕組みの構築
 
(1)複数の文化財を総体として保護しようとする施策
 
○ 伝統的建造物群保存地区と民俗文化財を合わせた指定(地域の産業も残っており,地域振興にもつながる)
○ 無形民俗文化財と有形民俗文化財を一括した指定
ex.祭りとその用具等を一括して指定
○ シリーズとしての文化財を一括した指定
ex.全国にある祇園祭を一括して指定

(2)文化財の周辺環境を含めた保護

2.国民の文化財保護への理解と参加を促進するための施策

○ 時間をかけて,国民が文化財保護を重要と感じる思想を育てていくことの必要性
○ 文化財の裾野に対する支援(ボトムアップ型の文化財保護の仕組み)
 
・ 国指定,地方指定という序列のみではなく,地域において,重要な文化財としてリストアップされたものについて評価することが必要
・ 地域,文化財所有者からの声を取り入れる保護手法の多様化が必要
・ 地方は国と違った観点からの指定ができるという意味での,国と地方との役割分担が必要
・ 国と地方の審議会委員との交流が必要
○ 文化財保護に携わる人材の拡大
 
・ 身近な文化財を保護するための人材の育成が必要
・ 文化財を核とした地域づくり・まちづくりの重要性が増している中,保存のための措置に加えて,活用のためのマネジメントについても人材育成も含めて検討していくことが重要
・ 住民の中より専門的な能力を持った人を養成し,受入先団体へ派遣する仕組みが有効(EX.兵庫県の「ヘリテージマネージャー」の取組)
・ 退職後の団塊の世代(アクティブシニア)にインセンティブを与え,ボランティア等で文化財保護に参加してもらうことが必要
○ 伝統的な技術に対する支援
 
・ 失われていく技術をビジネスに取り入れて生かしていく取組
○ 文化財保護における普及啓発活動や広報の改善
 
・ ホームページや文化遺産オンラインの国民への周知
・ 広報のための予算の増額が必要
(企業では電車のモニターでの広告や,イベントへの有名人の起用などで大きな効果が得られている)
○ 官官連携の必要性
 
・ 自治体と国が連携し国民の文化財保護への理解を促進することが必要
・ 国が自治体同士の連携を促進することが必要

3.様々な分野との連携方策

○ 他省庁の施策との連携が必要

4.その他

(1)既存制度の改善
 
○ 無形文化財の課題
 
・ 重要無形文化財保持者が栄誉,名誉職のように受け止められつつある中,伝統の継承の担い手であるという本来の役割をもう一度見直すべき
・ 無形文化財,無形の民俗文化財における登録制度の創設の検討
○ 指定物件の再調査の必要性
 
・ 指定数を増やすのみではなく,指定分野の再編成を行うことも必要
・ 民俗文化財については,現場では既に失われているものもあり,再調査・再指定も必要

(2)その他
 
○ 現場と行政(県,市)との意識のギャップの改善
 
・ 保存と活用の在り方における意識の差の問題
・ 自治体における文化財補助金が一部経済振興として捉えられつつあることの問題
○ 文化財(美術工芸品)の取扱いにおける責任意識の低下の問題
○ 文化財保存修理の質の低下の問題
 
・ 文化財保存修理への一般入札制度の導入による質の低下
・ 修理において必要な材料や技術等についての指針の作成の必要性
○ 「文化資本」の概念の構築
 
・ 現在の文化財保護法は保護のための手段が中心となっているが,文化資本としての理念を法文化した文化財基本法の制定が必要
・ 文化財やそれを支える組織が公共投資に値すべき重要な文化資本であることを文化庁が積極的に打ち出していくべき

5.全体的な視点

○ 文化財保護において,国が直轄で保護するもの,自治体が保護するもの,国が情報センターの役割を担うものの整理が必要
○ 現行制度は長い歴史のもとに培われてきたものであり,性急に結論を求めて変革を行うのは問題。現行制度のプラス面は評価しつつ,慎重に議論を積み重ねることが必要
○ 海外の文化遺産の保護制度との比較を行いながら,現制度を検証することが必要
○ 文化財保護行政の組織の再編ともリンクする問題であり,組織の再編についても企画調査会でフォローすることが必要
○ 伝統的な技術など,長い歴史をかけて「紡がれてきた」文化が失われつつあることの問題
○ 「文化資本」の概念の創設や文化財保護についての思想の育成のような中長期的な課題も念頭に置きつつ,短期的な課題について考えていくべき
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