文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会 (第9回)

日時:平成26年12月25日(木)
    16:30~18:30
場所:イイノホール Room B

議事

  1. 1 開会
  2. 2 議事
    1. (1) 文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会クラウドサービス等と著作権に関する
      報告書(案)について
    2. (2) その他
  3. 3 閉会

配布資料

資料1
文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会クラウドサービス等と著作権に関する報告書(案)(1.3MB)
資料2
今子委員提出資料(88KB)

議事内容

【土肥主査】  それでは定刻でございますので,もう少し委員の方がおいでになるんだろうと思いますけれども,ただいまから第9回文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会を開催いたします。本日はお忙しい中,御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
 議事に入ります前に,本日の会議の公開についてですが,予定されております議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないように思われますので,既に傍聴者の方には入場をしていただいておるところでございますが,この点特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】  それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
 事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。

【秋山著作権課課長補佐】  失礼いたします。お手元の議事次第下半分のところを御覧ください。資料1としまして,クラウドサービス等と著作権に関する報告書(案),資料2としまして,今子委員の提出資料をそれぞれお配りしてございます。落丁等ございましたらお近くの事務局員までお知らせください。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 それでは,議事に入りますが,初めに議事の進め方について確認しておきたいと存じます。
 本日の議事は,(1)クラウドサービス等と著作権に関する報告書(案)について,(2)その他の2点でございます。
 クラウドサービス等と著作権に関しましては,本小委員会においてこれまで御議論いただいておりましたが,前回までの検討を通じまして,議論が一定程度熟しておりましたので,前回の本小委員会において,事務局において取りまとめ案の作成をお願いしておったところでございます。これを受け,事務局において,クラウドサービス等と著作権に関する報告書(案)を作成いただきましたので,本日はこれにつきまして事務局に説明をいただき,その上で,本日,内容についての議論をいただきたいと思っております。
 まず,事務局より著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会クラウドサービス等と著作権に関する報告書(案)について説明をお願いいたします。

【秋山著作権課課長補佐】  それでは説明申し上げます。お手元に資料の御用意をお願いいたします。
 まず,1枚おめくりいただきまして,目次を御覧ください。本報告につきましては,「はじめに」,それから「第1章」から「第3章」,そして「おわりに」という形の章立てとさせていただいております。「はじめに」では,本課題の検討に至ることとなった経緯について簡単に概略をまとめてございます。第1章におきましては,今回の課題の検討対象,検討の手順について整理をいたしました。第2章においては,ロッカー型クラウドサービスに関する検討,それから第3章では,ロッカー型クラウドサービス以外の各サービスに関する検討の結果を整理してございます。最後に「おわりに」で締めくくりをしてございます。
 それでは,ここから中身の御説明に入ります。
 まず,「はじめに」の1ページを御覧ください。1パラでは,デジタル化・ネットワーク化の進展に伴うクラウドコンピューティングと呼ばれるサービスが注目を集めているということ,3パラでは,アップル社の提供しているiTunes Matchなどの我が国での開始などに言及しつつ,最後の文で,コンテンツの利用環境は刻々と変化しているという状況の認識を述べてございます。
 2ページをお願いいたします。こうした中で,一部の事業者から,我が国の著作権法における私的使用目的の複製の範囲とクラウドサービスとの関係が不明確であることで,事業者がサービス展開を萎縮しており,当該関係を整理し,事業者が積極的にサービス展開できるように所要の措置を講ずるべきだという御意見が示されたところでございます。また,こうした課題に関しては,知的財産政策ビジョン,それから,知的財産推進計画2014においても,検討が求められておるところでございます。一方で,こうしたサービスの登場で,利用者のコンテンツ利用をめぐる環境が変化しているということで,知的財産政策ビジョンにおいて,クリエーターへの適切な対価還元についても提言があったところでございまして,同様のことが,知財計画2014においても提言されているという状況でございます。
 これらを踏まえまして本小委員会では,クラウドサービス等と著作権及びクリエーターへの適切な対価還元に関する検討を行ってきたということでございまして,次のページのところですけども,まずクラウドサービス等と著作権に関する課題について一定の結論が得られたということで,この課題に対する検討の結果を示すこととしたということでございます。今後は,本小委員会において,クラウドサービス等と著作権に関する課題の検討結果も踏まえながら,残された課題であるクリエーターへの適切な対価還元に関する検討を行うこととする,ということで,「はじめに」の結びとしてございます。
 次に第1章に入りたいと思います。ここでは検討の対象と手順を整理いたしました。検討の対象とするサービスについては,関係の事業者からヒアリングを行った上で決定いたしました。ここの表のところを御覧ください。まず,私的使用目的の複製を支援するサービスの類型におきましては,ロッカー型クラウドサービス,メディア変換サービス,個人向け録画視聴サービス,プリントサービスでございます。それからクラウド上の情報活用サービスとしましては,スナップショット・アーカイブ,論文作成・盗作検証支援サービス,評判分析サービス,そして法人向けTV番組検索サービス,それから仮想化というものでございます。なお,脚注14を御覧いただきたいと思います。4ページの下のところでございます。2行目のところですけども,事業者の方からは,アクセシビリティサービス及びeラーニングについても検討の要望があったところでございますけれども,これらについては,著作権分科会での議論を経まして,法制・基本問題小委員会の検討課題とされているところでございまして,保護利用小委における検討の結果,この小委員会における検討対象からは除外することとなってございます。
 次に5ページのところでございますけども,検討の手順を次のページ以降,御紹介します。6ページをお願いいたします。ここも結論だけでございますけども,効率的な審議の観点ということで,本小委員会としては,私的使用目的の複製に関係するロッカー型クラウドサービスについてまずは検討を行い,その結果も踏まえつつ,ほかの各サービスについて検討するという手順によることとしたものでございます。
 では,第2章の御説明に入ります。7ページをお願いいたします。ここでは,ロッカー型クラウドサービスに関する検討結果を整理いたしました。

 まず第1節としまして,ロッカー型クラウドサービスの4分類について紹介してございます。ここも皆様よく御承知と思いますので,詳しくは紹介いたしません。ここの下の表にありますような4分類で整理して議論が進められたということでございます。それから8ページには,タイプ2を更に細分化した類型についても紹介をしてございます。
 では,タイプ1から4までを順次検討するということでございまして,まず9ページでは,タイプ1と3についての検討でございます。タイプ1と3に関しましては,当該サービスにおいて行われる著作物の複製行為や送信行為等の利用行為主体が事業者であることは明らかであり,これらの利用行為については,基本的に著作権者の許諾が必要であるという意見で一致したとしてございます。また,そのため特段法改正など制度整備の必要性は認められなかったと整理させていただきました。
 10ページをお願いいたします。次はタイプ4に関する検討でございます。まず,現行著作権法との関係でいいますと,タイプ4については,当該サービスにおいて,利用者が権利者の許諾なく著作物を他者と共有することは,基本的に公衆送信権の侵害に該当するということで,著作権者の許諾が必要であるとの意見で一致したところでございます。
 また,制度整備の必要性との関係では,タイプ4については,契約がない場合は,利用者の行為は当然権利侵害になるということで,権利行使をするか許諾を求めることで足りるという意見がございました。また,一部のサービスについては,関係権利者の理解によって,利用者に代わって事業者が権利者と利用許諾契約を締結することでサービス展開ができるものもございます。そういうことで,基本的に契約で処理すべきではないかという御意見もございました。それから,このほかにサービス展開する事業者の責任については,プロバイダ責任制限法の枠組みで事後的な対応で足りるのではないかという御意見や,間接侵害の成立範囲の明確化を求める御意見もございました。タイプ4については以上でございます。
 次に11ページをお願いいたします。ここからは,タイプ2に関する検討の結果を整理してございます。順序としては,最初に関係者ヒアリングにおける意見の概要,それから検討の方法を整理いたしました。
 まず,最初に行った関係者ヒアリングにおける意見の概要でございますけども,特にロッカー型サービスの4タイプのうち,タイプ2については,1と2という意見の相違がございました。1つ目は,私的使用目的の複製と整理されるという見解,それから,権利者と事業者との契約によって対応すべきであるとする見解でございます。ここの御意見の内容の説明は省略させていただきたいと思います。なお,脚注17に,関連する意見を紹介してございますけども,映画ビジネスに関しては,複製禁止を原則としておって,タイプ2のようなサービスはあり得ない一方で,事業者側で,各種媒体による映画作品を配信する取組が進められており,これにより利用者のニーズに対応できるのではないかといった御意見もあったということを紹介してございます。
 では次のページをお願いいたします。(2)の検討方法というところでございますけども,上記に述べた議論の状況を踏まえまして,本小委員会としては,まずはタイプ2と現行著作権法,特に私的使用目的の複製との関係の整理を行い,次に権利制限規定の見直しや,円滑なライセンシング体制の構築などの環境整備の必要性について検討を行いました。タイプ2と現行著作権法との関係については,以下のマル1,マル2,マル3の3つの観点について検討を行いました。「利用行為主体」,「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」への該当性,それから,ロッカー型クラウドサービス上のサーバーの「公衆用設置自動複製機器」への該当性の3つでございます。具体的には,2ポツ以降の検討のところで御紹介したいと思います。
 13ページの真ん中の方から御説明しますので御覧ください。まず,現行著作権法との関係の論点のうち,利用行為主体の論点についてであります。タイプ2の利用行為主体に関しては,1と2という見解でございますけれども,利用者は事業者であるという見解と,利用者であるという見解がございました。すなわち,権利者からは,事業者が営利活動として利用者に複製の場を提供しているものであるから,このようなサービスは,私的使用目的の複製の範囲を超えるものであって,主体を事業者であると評価すべきであるという見解が示されました。他方,有識者からは,以下の意見など,タイプ2の枠内で行われる利用行為については,基本的には利用行為主体は利用者であるという意見でございました。具体的には,事業者の利用行為主体性を判断するに当たって,コンテンツを事業者が提供しているなどの要件が必要であるわけですが,コンテンツ事業者提供という要件が満たされないということで,タイプ2のロッカー型サービスの利用行為主体は利用者であるという御意見が一つございました。14ページをお願いいたします。それからほかの御意見としまして,サーバーは普及して当たり前の技術になっており,普通の道具として見るべきであり,タイプ2のロッカー型サービスの利用行為主体は利用者であるという御意見,それから,ロクラク2事件判決の射程ということでは,これは当該ケースについての判断であるということで,今回の検討には影響がないという御意見もございました。
 次に(2)ということでございまして,これは,個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内での該当性の検討でございます。ここでは,ロッカー型サービスによる著作物の利用については,第30条の立法の趣旨は,閉鎖的な範囲内の零細な利用を許容するものであって,外部の者を介入させる複製を認めないこととされている以上は,仮に利用行為主体が利用者であったとしても,この規定の該当性が否定されるのではないかという意見がございました。これに対して有識者からは,30条1項本文の趣旨は,利用者自身以外の者が主体的に関与することを否定するものであり,外部の者が関与したからといって,直ちにこの該当性が否定されるものではないという御意見でございました。なお,タイプ2のロッカー型サービスに付加された共有機能を使って,家庭内その他これに準ずる限られた範囲内を超えて共有する場合は,私的使用目的の複製とは言えず,著作権侵害になるものと考えられるところでございます。なお,これは共有機能があることのみをもって直ちに侵害となることではないという趣旨を明確化したものでございます。
 次に(3)公衆用設置自動複製機器該当性についての検討結果でございます。該当性につきましても,該当するとの見解,それから,しないという見解がそれぞれございました。まず,権利者からは,該当するという立場から,第三者の関与と当該第三者が利益を享受しているという観点が1号の創設時には重視されているのであって,ロッカー型クラウドサービスにおけるサーバーも同様の観点から,公衆用設置自動複製機器に当たらないという整理でいいかは疑問があるという御意見でございました。
 こうした意見に対して15ページですけども,有識者からは以下の意見など,該当しないとの立場から意見が示されました。まず,公衆用設置自動複製機器に関する規定の立法当時,これは高速ダビング機器等による一種の法律回避への対処を想定したものであって,クラウド上のサーバーは想定されていなかったのではないかという御意見,それから,サーバーというのは,家庭内のハードディスクの延長線上であって,家庭内での複製と等価と捉えることができるので,高速ダビング機器の場合とは事情が異なるのではないかといった意見などがございました。
 次に制度整備の必要性の検討結果でございます。以上のように,タイプ2の枠内で行われる利用行為については,基本的には,利用行為主体は利用者であり,当該利用者が行う著作物の複製行為は,私的使用目的の複製であると整理することができ,権利者の許諾を得ることは特段不要であるとの意見が示されたところでございます。ただし,個々のサービスの判断については,当該サービスに含まれる全ての機能及び提供態様等を全体として見た上で,個別事案ごとに総合的に判断されるものと解されます。
 タイプ2を対象とする制度の整備の必要性につきましては,まず事業者側の御意見としましては,イギリスのような限定的な法改正を行うことについては,こういったものは私的使用目的の複製の範囲内であると解されて,そういう立法の必要はないという御意見がございましたし,そうした限定的な立法による反対解釈を危惧されるという御意見も示されたところでございます。また,権利者からは,私的使用目的の複製の範囲内と整理されるタイプ2については,許諾の対象とはしないという御意見も示されているところでございます。さらに,有識者からは,複製の主体の判断に当たっては,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮して,複製主体を判断するのが相当だという最高裁の立場を前提とすると,抽象的な切り分けは難しく,特に今後どのような技術が進んでいくのかも分からない状況の中で,現時点で明文の規定を置くのは弊害があるという御意見でございました。そのほかにも,ここで問題とされているような私的使用目的の複製の主体というのは,事実認定の問題であり,立法にはなじまないという御意見もございました。以上の議論等を踏まえた結果,現時点においてはタイプ2について,権利制限規定の創設などを行う必要性は認められなかったと整理させていただいてございます。
 次のページは参考情報ですので飛ばさせていただきます。18ページ第5節を御覧ください。ロッカー型クラウドサービスに対応した集中管理による契約スキームというところでございます。
 まず問題の所在ということで,2パラ目でございますけども,前節で検討したとおり,タイプ2については,基本的に利用行為主体は利用者であり,私的使用目的の複製の範囲内と整理できるという意見が示されたところでございまして,しかし,実際に展開されるサービスの内容及び今後の技術の発展に伴うサービス内容の進展によっては,ほかのタイプとの境界が不明確なものも存在し得ると考えられるところでございます。このような場合,訴訟による個別解決を図るという方法のほか,事業者が広く利用者の適法性を確保するという観点から,契約を締結することも有効な方策ではないかという御意見もございましたし,訴訟か契約いずれによる解決を図るかというのは,事業者が個別に判断すればよいという意見もございました。
 以上の議論を踏まえますと,ロッカー型クラウドサービスを展開するに当たって,契約も極めて重要な要素の一つとなるのではないかということで,当該契約を円滑に行うことが強く求められるというものでございます。この点に関しましては,契約を行うために権利者の探索や多数の権利者と個々に契約することなどの手続コストが問題となるということで,事業者,権利者とが協力して,契約のビジネスモデルを構築することが必要ではないかといった御意見がございました。これらを受けて,本節における契約スキームの検討がなされたものであると整理をいたしてございます。
 次のページをお願いいたします。集中管理による契約スキームの構築に向けた権利者からの提案ということで,3パラ目で,音楽関係権利者から提案がなされたことを紹介しつつ,図3でそのイメージを御紹介してございます。内容としましては,4パラ目ですけども,多数の音楽コンテンツを利用する際に生ずるばくだいな契約処理コストの負担を軽減するべく,契約処理のワンストップ窓口として,「音楽集中管理センター」を設置するという構想でございます。同センターは,事業者とサービス内容等や,権利処理の相談・協議を行うと。それから利用許諾契約の申請窓口としても機能するものとされております。また,こうした手続に関しては,可能な限り簡素化するよう努めるということも併せて述べられてございました。
 20ページをお願いいたします。集中管理スキームにつきましては,多くの有識者,利用者,一部の事業者から,今後展開されるサービスの多様性に鑑みて,今後リスクなく展開できるように契約のハードルを下げるということで非常に有意義であるという御意見もございましたし,それから本スキームは,必ずしもロッカー型サービスだけに限定されるものではなく,他のサービスにも応用可能であるということで,利用者の視点から見ても有り難いという御意見もございました。
 こうした評価があった一方で,課題の提示もあったわけでございまして,以下,課題についての御意見を3ポツで紹介してございます。まず,集中管理スキームを有効に機能させるためには,権利者,事業者,利用者の三者が協議をし,その位置付けや役割について十分に議論することが必要であろうという御意見がございました。また,ADRのような紛争処理機能も必要ではないかといった御意見,それから,集中管理スキームの対象を音楽だけではなくて,他分野にも拡大することを模索するべきという御意見,権利者だけではなく,利用者側も組織化することが必要ではないかという御意見もございました。
 加えて,次のパラグラフですけども,集中管理スキームを運用する上で乗り越えるべき課題として,この契約スキームによる契約を望まない権利者や,集中管理団体に属さない権利者についてどのように考えるべきかという指摘がございました。この点につきましては,まずは,契約処理による解決について積極的なところの管理者と事業者との間でそういうモデルを作るということで,できるところから始めることが重要ではないかという御意見がございましたし,それから例えば音楽分野では,「音楽集中管理センター」を一任型の管理事業者にすることによって,団体に属さない権利者の受皿としたり,それから各集中管理団体が,そういった団体に属さない権利者の取り込みに努力したりするということもできないかという御意見も示されたところでございました。
 では,21ページでございますけども,これらの議論を踏まえた小括でございます。このように集中管理スキームというのは,この小委員会で提案されたものでございますけど,まだ関係当事者間での十分な議論が尽くされたと言える状況ではございません。課題の指摘もございます。しかし,ロッカー型サービスを更に発展させるためには,権利者と事業者とが契約を締結することも重要な要素であるということでございまして,この小委員会の議論の契機となったiTunes Matchの事業も,こうした契約によって行われているということもございます。こうしたことも踏まえまして,本小委員会としては,本スキームの更なる具体化,本スキームの活用に向けた必要な課題解決を中心に,「音楽集中管理センター」設立に向けて,関係当事者間で速やかな検討を行うよう求めることとし,その状況を引き続き注視するものとするといった提言としてはいかがかと考えてございます。
 それでは,次に第3章の御説明に入りたいと思います。ここでは,ロッカー型クラウドサービス以外の各サービスに関する検討の結果をまとめさせていただきました。検討の対象につきましては,冒頭で御紹介したとおりでございます。
 第2節では,各サービスの検討の御提案のあった一般社団法人電子情報技術産業協会様の意見の概要を紹介させていただいております。ここでは以下,便宜上JEITAと呼ばせていただきます。JEITAは,ここのポツにあるような御意見をまず基本的な考え方として述べられてございます。ここでは,社会的に有用であるというサービスについては,適法に行われるような法環境の整備をお願いしたいということでございまして,著作権者の損害などの実証データ等が示されない場合は,著作権者の正当な利益を害するとは言えないのではないかということで,こういったサービスは適法とされるべきであるというような御意見でございます。また,JEITAは,ますますデジタル化・ネットワーク化の進展等,こういった社会環境の変化によって,法整備に対するニーズが強まる中で,柔軟性のある規定の導入を再度検討いただきたいと述べられてございます。それから,そういった検討に関連してということだと思いますけども,マル1からマル4に掲げられているような共通要素があることを考慮して,各サービス及び同様の要素が認められる今後発生するであろう新規サービスの正当化がなされるべきであると述べられているところでございます。
 24ページをお願いいたします。こうしたJEITA様からの御要望,御意見を踏まえまして,第3節では関係者の意見の概要を整理いたしました。本小委員会では,我が国において現にJEITA様から御提案があった各サービスを行っているものとして,JEITA提出資料に記載のあった事業者,それから本小委員会に出席している権利者以外で各サービスに関係する権利者,それぞれからヒアリングを行いました。
 まず,事業者側の意見の概要でございます。マル1としまして,ホットリンク様の御意見です。ホットリンク様は,評判分析サービスということで,「クチコミ@係長」というサービスを運営されておられる事業者でございます。ホットリンク様は,ツイッター社をはじめ,関係権利者と契約を締結することなどにより,評判分析の基礎となるデータの提供を受けており,そのサービスの範囲内においては,現行の著作権法の枠内で行われているという御意見でございました。また,同社としては,こういった現行の著作権法があるからこそ利用者が安心してサービスを使えたり,権利者に対価が還元され,サービスが維持されているということで,現行著作権法でよいと思っているという御意見でございました。
 次に株式会社アンク様の御意見でございます。アンク様は,論文作成・盗作検証支援サービスを行われている会社でございまして,「コピペルナー」という事業を運営されております。同社からは,現行の著作権法の範囲内で同サービスを適法に実施していると考えているという御意見でございまして,また将来,同社のデータベースに他人の論文を保管して利用する場合は,契約によって対応する予定であるということでございました。現在,著作権者の権利を侵害していることはなく,著作権者の意見に優先して,法環境の整備を求めたいという考えはないという意見も示されてございました。
 次にマル3,株式会社エム・データ様の御意見です。エム・データ様は,法人向けTV番組検索サービスを行われている事業者として記載されてございます。同社の御意見としましては,仮に著作権法を改正した場合における現在の事業範囲に与える影響ということでは,現段階において想定できる材料は乏しいということで,こうしたインパクトを勘案しての判断が必要ということ。それから,同社は,メディア界においても中立的な立場でありたいという御意見が示されまして,特段の法改正要望といった形ではございませんでした。
 次に,各サービスに関係する権利者側の御意見でございます。まず,一般社団法人日本書籍出版協会様の御意見でございます。以下書協といいますけれども,書協様からは,まず著作権法の目的を引かれた上で,こういった利用者の利便性向上や,新産業の創出・成長といったものは,著作権者の保護に優先してされるべきではないという御意見がございました。また,具体的なサービスについては,メディア変換サービスへの言及がございました。これについては,自炊代行業者――書籍の関係のものですけども――に関する知財高裁判決では,不正行為の主体が事業者であるということでございまして,こういったものを権利制限によって認めることに妥当性はないという御意見でございました。26ページをお願いいたします。さらに書協様としては,新たな事業者がビジネスに参入する場合には,著作者の権利の尊重の上に立って行われることが必要であるという御意見を述べられた上で,次のパラグラフにおいて,出版社は,今後更に紙の出版物と電子出版物との共存を進めるということでございまして,事業者のニーズに対して,可能な限り契約ベースで対応していくという方向性についての言及がございました。
 次にマル2,一般社団法人日本新聞協会様の御意見です。日本新聞協会様としては,こういった書籍等の文字媒体の著作物が,クラウド上のコンテンツとして大量に使われているという現状を踏まえて,今,新聞各社では,許諾契約等によって適切な権利処理を伴う対応を円滑に実施しているという御紹介がございました。また,評判分析サービス,論文作成・盗作検証支援サービス等については,現行の著作権法の枠内で利用可能な部分もあり,また,新聞社のニュースサイトの記事等を利用する場合は,著作権者と契約を締結することで十分に対応できるという御意見も示されたところでございます。さらに,柔軟な権利制限規定に関する御意見もございました。柔軟な権利制限規定というのは,米国のフェアユース規定を想起させるものであると断られた上で,こうしたものは,「居直り侵害」や「思い込み侵害」が蔓延(まんえん)するおそれがあるということを述べられ,著作物の保護と利用のバランスに反したりするおそれがあるとされて,新聞協会として,柔軟な権利制限規定の導入に反対であるという御意見が示されてございます。
 続いてマル3,一般社団法人日本商品化権協会様の御意見でございます。日本商品化権協会様からは,プリントサービスについての御意見がございまして,これについては,現行の著作権法上違法であることは,先ほども紹介しました自炊代行業者に関する知財高裁判決からも論をまたないとされておりまして,プリントサービスを権利制限によって認める場合は,権利者の収入が相当程度減少するということで,反対の立場を示されてございます。次のパラグラフでも,プリントサービスについては,権利制限規定によるのではなく,商品化契約を締結して実行すべきであるという意見が重ねて述べられてございます。関係者からの意見概要は以上でございます。
 28ページをお願いいたします。ここでは第4節としまして,制度整備の必要性についてまとめさせていただきました。
 まず,制度整備の必要性の検討に当たっての視点について,1で述べてございます。この点については,JEITA様からは,柔軟性のある規定の導入が必要であるとされた上で,ここに書いてございますようなマル1からマル4といった共通要素があることを考慮して,新規サービスの正当化がなされるべきであるという御意見がございました。ただ,こうした意見に対しては,次のような反対意見がございました。まず権利者からは,本小委員会で議論すべきものは,いわゆるフェアユースのようなものの導入の是非ではなく,本小委員会の設立趣旨や議論すべき議題と大きく離れるという理由から,別の機会に議論すべきであるという御意見でございました。また,有識者からも,本小委員会の検討課題は,クラウドサービス等と著作権の関係ということでありまして,個別のサービスを離れて,あらゆるサービスに関係するフェアユース等の一般的な権利制限規定の導入の是非を抽象的に議論する場ではないという御意見が示されました。
 その上で,過去の審議会における議論や,それからJEITA様が指摘する共通要素の一つとして掲げられているものといったことを踏まえまして,下の方の3行目からありますけども,著作物の種類及び用途,並びにその利用の目的及び対応に照らして,当該著作物の表現を知覚することを通じてこれを享受するための利用とは評価されない利用か否かに従って検討を進めることとされたところでございます。なお,この小委員会では,著作物の表現を享受することに関して,事業者にとっての表現の享受なのか,利用者にとっての表現の享受であるのかということが問題となったわけでございます。この点については,有識者から,事業者と考えた場合は,事業者が利用者向けに行うサービスのほとんどが表現を享受しないものと評価されることになって不適切じゃないかという御意見がございましたし,ほかにも,平成23年1月の著作権分科会報告書での想定されていた整理でも,表現の享受者は利用者であったということで,こうした意見が多数であったということでございます。
 それでは,こうした検討の視点を踏まえまして,具体のサービスに関する検討を以下行ったものでございます。まず,2ポツ,私的使用目的の複製を支援するサービスに関する検討でございます。これに該当するサービスとしましては,メディア変換サービス,個人向け録画視聴サービス,それからプリントサービスが挙げられております。検討の結果,これらのサービスについては,いずれも表現を享受していると評価できるという御議論でございました。なお,これらのサービスが,現行の著作権法上どのように評価されるかについて,本小委員会における議論を踏まえて,一般論として整理させていただきました。
 まず,メディア変換サービスにつきましては,書籍の自炊代行サービスの適法性に関する知財高裁判決を前提とすれば,著作物の利用行為主体は事業者と解されるということで,著作権者の許諾を得ることが必要となるのではないかと考えられるところでございます。次に,個人向け録画視聴サービスについてでございますが,これも関連の最高裁判決を踏まえますと,こうしたサービスの複製,送信の主体は事業者であるということで,当該サービスの実施には許諾が必要ではないかと考えられるところでございます。30ページをお願いいたします。また,プリントサービスにつきましても,メディア変換サービスと同様に考えられるのではないかということでございまして,これも著作権者の許諾を得ることが必要と考えられます。
 次に3ポツ,クラウド上の情報活用サービスに関する検討結果でございます。済みません,ここは「私的使用目的の複製を支援する」ではなくて「クラウド上の情報活用サービス」の間違いでございます。失礼いたしました。このサービスに該当するものとしましては,スナップショット・アーカイブ,論文作成・盗作検証支援サービス,評判分析サービス,それから法人向けTV番組検索サービスが挙げられております。これらのサービスについても,基本的には表現を享受していると評価することができるという御議論でございました。ただし,論文作成・盗作検証支援サービス,評判分析サービスについては,その一部に,当該著作物の表現を知覚することを通じてこれを享受しないと評価できるとの意見が一部の有識者から示されたものでございます。実際にこれらのサービスを行っている事業者からも,自社の事業は,現行著作権法の下で,契約や権利制限規定の適用等により対応できているという意見が示されておりまして,この点については,具体的な法改正の要望は示されなかったところでございます。
 次に4,小括としまして,これらの議論を踏まえたまとめでございますけども,以上のとおり,ロッカー型クラウドサービス以外の各サービスについて,その多くは表現を享受していると評価することができるものと考えられます。また,サービス提供の仕方によっては,論文作成・盗作検証支援サービス,評判分析サービスについては,その一部に表現を享受しないと評価できるとの指摘もなされましたが,この点については,現にサービスを行っている事業者から,現行の著作権法の範囲内で十分に対応できているという御意見が示されているところでございます。
 それから,このほか有識者からの御意見でございますけれども,JEITAが権利者の許諾なく実施できるようにしてほしいと主張している各サービスのほとんどは,権利者との契約によって対応すべきものであり,フェアユース規定や柔軟性のある規定の導入につながるものではないという御意見がございましたし,これに加えて,フェアユース規定や柔軟性のある規定を導入するとするならば,各事業の具体的内容や,海外の事例の適法性,それからフェアユース規定との関係について,十分な立法事実が示されるべきであるが,そのような事実はいまだ示されていない以上,フェアユース等の一般的な権利制限規定の導入の必要性は認められないという意見も示されておりました。
 以上の議論を踏まえまして,本小委員会に提示された内容を前提とする限り,ロッカー型サービス以外の各サービスに関しては,現時点においては,特段法改正を行うに足る立法事実は認められなかったものと整理いたしました。また,これを前提とすれば,各サービスの共通要素を考慮して柔軟性のある規定を導入するということについても,現時点ではその必要性を認めることは難しいという意見が多数を占めたものと整理をさせていただきました。
 次に今後への提言ということでございます。今後,我が国において,クラウドサービスを含め各サービスが発展していくための方策について,以下のような意見が多く示されてございます。まず,現行法の範囲を超えてしまう部分については,契約で対応すべきであり,これは文化産業全体にとってもプラスであると。権利制限規定の導入は,そのような対応ができない場合に考えるべきであるという御意見,それから,ビジネス取引で解決するアプローチというのは,権利制限規定等での解決がイチかゼロという解決になる一方で,こうしたものであればいろいろな応用が可能となって,サービスを伸ばしていくという方向で様々な工夫ができるのではないかという御意見,また,同様に契約によって対応すべきだというものとともに,クリエーターにもきちんと対価が還元される形で著作物を利用していくべきであるという御意見でございました。
 これらの意見に関して,事業者としては,現行の著作権法や契約で十分に対応できるという御意見もあれば,契約では難しいという御意見もございましたが,有識者からは,権利者団体と事業者団体等がライセンスの仕組みを整備するといったことで,まずは現行法の下で契約による対応の可能性を見極めた上で,対応が不可能な部分について,具体的な立法事実に基づき,権利制限規定等の導入を考えることが適当ではないかという御意見が示されたところでございます。
 32ページをお願いします。また,利用者からは,集中管理スキームを評価するという一方で,今後コンテンツを利用しやすい環境を作っていくということに,本小委員会が次へつながるステップを作らなければならないのではないかという御意見がございました。事業者からですけども,海外資本のサービスが日本に進出したときに対抗できるようなサービスについて,具体的に議論をしていくために,権利者,事業者,利用者,それから法律家も入っていただいて,話し合う場を作ることがこの小委員会の成果となるのではないかという御意見,また,有識者からも,集中管理スキームの議論を更に進めるために,事業者が団体としてまとまる,それから利用者団体もビジネスモデルを提示することなどを求めて協議されたいという御意見もございました。
 以上の意見を踏まえますと,今後の各サービスの発展のためには,権利者と事業者との契約の促進が重要であると考えられるところでございまして,この点に関しては,メディア変換サービス,プリントサービス,個人向け録画視聴サービス,それから,法人向けTV番組検索サービスに関して,権利者側の取組ということでも,契約による前向きな対応を模索するという御意見も示されておったところでございます。
 こうした状況を踏まえた本小委員会としての提案でございますけども,ここにありますように音楽関係権利者から提案されている集中管理スキームを参考にしつつ,円滑なライセンシング体制の構築を行うことも,各サービスの発展に有用であると考えられますことから,本小委員会としては,各サービスを含めクラウドサービス等の更なる発展のための次のステップとして,こうした円滑なライセンシング体制を構築するための話合いが関係当事者間においてなされるよう提言し,その動向を注視することとしたいというまとめとさせていただきました。
 あと最後に,「おわりに」というところでは,ここまでに整理してきた内容をまたサマライズしたものでございますので,ここは省略させていただきます。
 説明は以上になります。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまの説明がございました報告書(案)についての議論を行ってまいりたいと存じます。報告書(案)について,御不明な点に関する御質問,内容についての御意見,御質問を頂ければと存じますけれども,何せ34ページにわたるところでございますので,ある程度分けていく方がいいのかなとも思っております。要するに,1ページ目のはじめに,それから4ページ目からの第1章の部分,第2章のロッカー型クラウドサービスに関する検討ということでの4分類,それからタイプ1,タイプ4――タイプ1とタイプ3は同時に同じ9ページに書いてございますけれども,タイプ4は10ページに書いてございます。ここまでは,本小委がなぜ設けられたのか,あるいは,ここでの検討の対象,そして順番,スコープ,そういったことが1章に書いてございます。それから,第2章の1節,2節,3節,こういったところについては,ロッカー型クラウドサービスからまず議論すべきであるというような,これも検討の段取りかと思います。それから,タイプ1,タイプ3,タイプ4,この点については,割合早い段階で,本小委において合意が得られたのではないかと思っておるところでございますけれども,ここまで10ページまでのところについて,何か御質問,御意見がございますでしょうか。

【秋山著作権課課長補佐】  失礼いたします。資料2としまして,ヤフーの今子委員からの御意見が提出されてございまして,これも併せて御紹介さしあげようと思っておりましたが,失念しておりまして,失礼いたしました。先にこの紹介をさせていただいてもよろしゅうございましょうか。

【土肥主査】  どうぞ。

【秋山著作権課課長補佐】  では,資料2を御覧ください。今子委員からの御意見を読み上げさせていただきます。
 報告書案について,以下の通り意見を述べさせていただきます。
 1,第2章第4節,「タイプ2に関する検討」について。
 報告書(案)では,「タイプ2の枠内で行われる利用行為については,基本的には,利用行為主体は利用者ではあり,当該利用者が行う著作物の複製行為は,私的使用目的の複製であると整理することができ,権利者の許諾を得ることは特段不要であるとの意見が示された」,「タイプ2の枠内で行われる利用行為については,基本的には利用行為主体は利用者であり,当該利用者が行う著作物の複製行為は,私的使用目的の複製であると整理することができ,権利者の許諾を得ることは特段不用意であると解されるとの意見が示された」(33ページ)と記載されております。
 しかし,本小委員会においては,議論の結果,タイプ2については,権利者の許諾は不要であるとまとめられ,これを受けて,2014年11月26日に開催された知的財産戦略本部検証・評価・企画委員会における文部科学省の説明資料にも,同分科会における検討の概要として,「タイプ2のロッカー型クラウドサービス」については,「基本的に利用行為主体は利用者であり,その場合には当該サービスで行われる著作物の複製は私的使用目的の範囲内であり,権利者の許諾は不要であるとの意見で一致した」と記載されております。
 つきましては,報告書(案)における「権利者の許諾を得ることは特段不要であると解されるとの意見が示された」という記述は議論の内容を反映したものではないため,これを「権利者の許諾が不要であるとの意見で一致した」に修正するのが適当と考えます。
 2,第2章第5節,「ロッカー型クラウドサービスに対応した集中管理による契約スキーム」について。
 報告書(案)第2章第5節は,「ロッカー型クラウドサービスに対応した集中管理による契約スキーム」という表題の下,「以上の議論を踏まえると,ロッカー型クラウドサービスを事業者が展開するに当たっては,法解釈のみならず事業者と権利者との契約も極めて重要な要素の一つとなっており,当該契約を円滑に行うことがサービスの拡大のために強く求められるところである」(18ページ)と記載されております。
 しかしながら,先述のとおり,本小委員会における議論の結果,「タイプ2のロッカー型クラウドサービス」については「権利者の許諾は不要であるとの意見で一致した」のですから,報告書(案)の第2章第5節における「集中管理による契約スキーム」の対象となる「ロッカー型クラウドサービス」は,「タイプ2以外のロッカー型クラウドサービス」と修正するのが適当と考えます。以上。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 ただいまのは10ページ以降のお話でございますので,またそのときに皆様方の御意見も併せて頂戴したいと思います。
 まず10ページまで何か御質問,御意見ございますか。
 榊原委員どうぞ。

【榊原委員】  すいません,遅れてきましたので,最初にもしかすると御説明があったのかもしれませんが,大部の報告書(案)を昨日頂いて,私は,昨夜と今朝で全て読みましたけれども,JEITAの会員企業に検討いただく時間が全くないので,きょう以降に意見を出せる機会を頂けないかと思います。十分な検討時間がないからということで。まずそれが1点。
 それから,10ページまでということですので,ページ番号で言いますと,4ページ,検討の対象というところで,4から5に掛けて,アクセシビリティとか教育関係が落ちている点については,事務局の方から,別の委員会で身体障害者の方とか教育問題を検討するので,対象から外したいというような御説明が前回あったと記憶しているんですけれども,私としましては,健常者とか,自分のコンテンツを健常者が持っていて,それをアクセシビリティのために変換するとかそういったこと,それから教育問題も,35条とか37条とか個別条項の検討を別の小委員会で検討されるのは,それはそれで非常に有益なんだと思うんですけれども,これは,柔軟性のある規定の例として挙げているものなので,必ずしも重ならないということと,次元が違うということで落とさないでほしいという趣旨で発言をいたしましたので,この点は,修正いただきたいと思います。以上です。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 ほかにございますか。そうすると,ここまでについては,今の榊原委員の御意見といいますか,御希望だけということでございますが,ほかにはないということですね。
 当初の10サービスからロッカー型クラウドサービスにまず集中的な議論をして,残りの9サービスのうち,アクセシビリティとeラーニングについては,別の法制小委で検討するということで,本小委としては了解したわけでありますけれども,榊原委員としては,当初の提出したペーパーの中にはそれがあったのだから,そこは反映してほしいという御趣旨でしょうか。ということになりますと,4ページ,5ページにあるところをきちんと当初の形にして,脚注において,これは検討の対象からは外すことで検討を進めたというような趣旨で修正するというのが一つ考えられると思うんですけれども,例えばそういう修正である場合に,委員の方々におかれましては,何か御意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。じゃ,そういう趣旨のところで事務局と相談させていただいて,そこに当初の10サービスをきちんと盛り込んで,脚注の方でそういうふうに書きましょう。
 ほかになければ11ページ以降のいわゆるタイプ2の検討でございます。これはどこまでかということなんですけれども,まず30条問題を論じております。それから17ページから外国法が出ておりまして,その後に集中管理による契約スキームというものが紹介されておりますので,11ページから21ページまでの中で何か御質問,御意見ございましたならばお願いいたします。
 浅石委員,どうぞ。マイクをお願いいたします。

【浅石委員】  大変膨大なまとめをしていただきまして,誠にありがとうございます。
 14ページの(2)の3段落目のなお書きでございます。これにつきまして,私どもの方から何か問題を提起することではございませんが,共有の部分につきまして,9月30日に松田委員,それから大渕委員から重要な発言があったと記憶してございます。松田委員からは,議事録を読みますと,タイプ2の範囲を超えて共有になったところでは,もう個人的な使用の目的を超えている,これを想定して利用者がコンテンツをアップロードすること自体は違法になるという御発言があったかと思います。また,それを受けまして大渕委員から,今,松田委員が言われたこととかなり近いかと思いますけどということで,私的使用目的と主体の一致,これが認める大前提であって,実態として共有したら使用者イコール複製という要件を満たさなくなってしまうという御発言があったかと思いますので,このお二人の委員の御発言は,是非この報告書の中に記載していただければと思って発言をいたしました。以上でございます。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 今の御指摘の部分はどこにありますか。たしかどこかで読んだんですけれども,今急に……。ページ数と……。

【秋山著作権課課長補佐】  14ページの(2)の3パラグラフ目にございます。

【土肥主査】  そこは分かるんですけれども,松田委員,大渕委員の委員会における御意見の部分は,この報告書で反映されていないわけじゃないですよね。

【秋山著作権課課長補佐】  共有した場合には違法となるというのは,ここで書かせていただいておりまして,確かに浅石委員がおっしゃったように,共有目的でアップロードするということを明記はしてございませんけども,そういう趣旨を込めてここに整理させていただいたものでございます。

【土肥主査】  この部分というのは,14ページの3段落目,パラグラフの3つ目のところだけで他にはなかったですかね。

【秋山著作権課課長補佐】  はい,ここだけです。共有に関する記述ということでしたら。

【土肥主査】  浅石委員としては,この部分はもっと丁寧に書いてほしいと,こういう……。

【浅石委員】  そうなんです。なお書きは,私的利用として認められても,超えたらアウトですよということだと思いますが,お二人の委員の御発言が,私の解釈が違っていれば別ですけれども,そもそもこういう部分については,共有目的を想定したものは私的利用目的じゃないんだという御意見と,共有したら使用者イコール複製者という条件を満たさなくなる,もともと私的使用ではないんだという御意見だった思いますので,なお書きの文章とは違う御発言があったのかというように思っております。そこは私の理解が違うということであれば,松田先生,大渕先生に違うよと言っていただければと思いますが,共有の部分については,やはりかなりの議論があったかと思いますので,そこを私的利用目的だけの部分で超えるというところだけで3行で収めるのは,もう少し付加していただいた方がよろしいのではないかというようなことでございます。

【土肥主査】  それではお名前の挙がったところの松田委員,それから大渕委員の御発言との関係で,これで十分かどうかについて御意見を頂けますか。

【松田委員】  なお書きの3行ですけども,私が言った趣旨は,まさにこの3行に尽きていると思いますが,なお書きで処理するかどうか,それから誰が発言したかということは格別なくてもよろしいんじゃないかと思っていますが,これは,個人的又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲を超えて共有する場合にもなお30条の適用があるという人は誰もいないんじゃないでしょうか。むしろ書くならそういうふうに書けばいいんじゃないでしょうかね。

【土肥主査】  そのように書いてあると思うんですけれども。

【松田委員】  そうですね。

【土肥主査】  大渕委員,いかがでしょうか。

【大渕委員】  一々発言を書き出したら,この何倍かの量になってしまいますが,エッセンスは出ていると思います。私が申し上げたのは,機能と言われるが,共有機能が付いているかということ自体ではなく,共有実態だということであります。それは,このなお書きの3行に書かれています。まさしく共有機能を使って共有するという実態ということは出ていると思います。先ほどの趣旨をまとめたものがここだということであります。これを更に明確に書き出すと切りがないのではないかと思います。そのような意味で,共有機能を使って現実に共有したら私的使用目的とはいえないというエッセンスは出ていると理解します。

【土肥主査】  そういうことでございますので,浅石委員,どうぞ御了解いただければと思います。

【浅石委員】  はい,了解いたしました。

【土肥主査】  畑委員ですか,どうぞ。

【畑委員】  非常に大部の取りまとめを文化庁様,ありがとうございます。
 この報告書(案)に対する質問,意見ではなくて,資料2の今子委員の意見書に対する意見でございますが,2ページ目の2の方でございます。報告書(案)のページで行くと18ページになりますか。18ページの中段下の「以上の議論を踏まえると」以降のところで,ロッカー型クラウドサービスというところをタイプ2以外のロッカー型クラウドサービスと修正するのが適当という御意見でございますけれども,私の意見としましては,タイプ2という限定を付ける修正は不要と考えております。理由としましては2点ございまして,同じ18ページの「1,問題の所在」2パラのところ,「一方,前節で述べたとおり」というパラの下から3行目,「しかしながら,実際に展開されるサービスの内容及び今後の技術の発展に伴うサービス内容の進展によっては,他のタイプとの境界が不明確なものも存在し得ると考えられる」といったことも今後の発展によって考えられるので,リスク回避という意味で集中管理というものが機能し得るんだというのが,そもそも集中管理を提案していた趣旨の一つでございますので,必ずしもタイプ2で適用事例が全くないかといえば,そうではないのではないかと考えておるというのが1点目。
 もう一つは,ちょっと戻りますけど15ページ,「3,制度整備の必要性」のまとめで,「以上のように」以下のところで,まさに,「基本的にはタイプ2については,利用行為主体は利用者であり,権利者の許諾を得ることは特段不要である」というところでございますけども,ただし書きがございまして,利用行為主体の判断を含め,サービスに関わる機能及び提供態様等を全体として見た上で,まさに事実認定としてどう判断されるのかという問題なんだということでございますので,タイプ2であっても,事実認定としては事業者が主体と判断される場合もないわけではないということで,タイプ2においても,集中管理というものが機能し得る場合もあるかと思っております。したがいまして,今子委員の2ページ目のタイプ2という限定を付ける形の修正は不要であると考えております。

【土肥主査】  ほかに……。
 丸橋委員,どうぞ。

【丸橋委員】  今の点に関係するのですけれども,まず11ページの下から最初のポツ,「タイプ2において,既に事業者と権利者との契約が実現された事例があること」,これ自体,報告書全体を通じて修正が必要なのではないかと思います。iTunes Matchのことを言っているのだとすれば,それはタイプ2としての事例ではなくて,あくまでも配信事業者としての事例だと思いますので,タイプ2においては,事例がまずないのではないかということですね。
 それから,今の18ページの今子委員の意見について,私は今子委員の意見に賛成です。確かに18ページの第2パラグラフで,「しかしながら」というところは書いてあります。それをきちんと受けた形で全体の契約スキームについて書いてあるかというと,何となくロッカー型クラウドサービス全体でまとめているので,そこははっきりロッカー型クラウドサービスで他のタイプとの境界が不明確なものと書くのであれば,それはそれで全て統一すべきだと思います。まずそのぐらいにしておきます。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 この点,ほかにございますでしょうか。
 じゃ,榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】  重なる点ですけれども,11ページの丸橋委員がおっしゃった実例というところは,私も以前どなたかの資料で,実例で出ていたものは全て配信型でタイプ2ではなかったと記憶しておりますので,確認いただいて,そのとおりなのであれば修正いただきたいということと,それから11ページは,上に2つポツがあって,下に1個ポツがあって,上は私的使用目的の権利制限の立場,下が契約の立場だと思うんですけども,JEITAとしては,柔軟性のある規定の話を脚注18で書かれているんですけども,むしろ上2つのポツと並べて,権利制限型の立場に追加をいただけないかと思います。契約ではなくてということで批判のように書かれていますので,それが1点と,それから,17ページで,イギリスとカナダの改正法が御紹介されているんですけれども,実際イギリスもカナダも,改正法自体がこれだけではなくて,非常に広い改正を,例えばパロディーとかそういうものも個別条項型ですけどもされているということで,少し限定的な改定しかしなかったような誤解を生むんじゃないのかなというのが1点と,それから,以前,大分前ですけども,クラウドとメディア変換について諸外国ではどういう扱いかという御質問を受けて,JEITAの方で一度御説明をしております。適法にされているということで,ドイツとか,イギリスとか,カナダとか,アメリカですか,幾つかの国を御報告させていただいて,御質問へ説明した段階で再質問も頂いておりませんので,そういった諸外国では適法ですという説明をさせていただいたのに,そこが全部抜けてしまっているので,それも併せて掲載いただけないかと思います。それから最後ですけども,18ページ,さっき丸橋委員がおっしゃったこととほとんど重なるんですけども,このページの真ん中辺,「このような場合」以下ずっと4つぐらいパラグラフがありますけども,全てタイプ2が含まれるような書きぶりになっていまして,21ページもそうなんですけども,そこは今子委員の意見と同様,そうではないということで,もう少し修正をいただけないかと思います。以上です。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 それじゃ,椎名委員,お願いいたします。

【椎名委員】  そのあたりの議論は,今子委員の御指摘のことも関連すると思うんですが,要するにまずタイプ1からタイプ4までの概念に分けて議論したというのが,サービス自体の類型ではなくて,ユーザーの行為を類型化してタイプを4つに分けた。純粋なタイプ2というものの私的複製との関連についてまず議論をして,そこから先に行ったときに,18ページの2段落目の表現と関係するんですが,ここに書いてあるのは,「実際に展開されるサービスの内容及び今後の技術の発展に伴うサービス内容の進展によっては,他のタイプとの境界が不明確なものも存在し得る」と書いてあるけれど,これはもうちょっとストレートに言うと,私的使用目的の複製の範囲を超えるものも多数存在し得ると考えられ,かつそれらが一体となって提供される実態があるということを踏まえた上で,集中管理の話に入っていったと思うんですね。だから,タイプ2が集中管理の対象か,じゃ,そこから出るんだったらタイプ4なんですか,タイプ3なんですかという議論をしても始まらない。タイプ1からタイプ4に包括される利用形態以外ものが出てきたらどうするのか。そういった場合も集中管理で対応できるという趣旨からすると,繰り返して申し上げますと,ここの部分を「実際に展開されるサービスの内容及び今後の技術の発展に伴うサービス内容の進展によっては,私的使用目的の複製の範囲を超えるものが多数存在し得ると考えられ,かつそれらが一体となって提供される実態がある」としてはいかがでしょうか。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。
 津田委員,どうぞ。

【津田委員】  これは浅石委員の逆のユーザー側からの立場からというか,14ページの(2)のところですけれども,つまりこれは,例えばいわゆる自分用に自分のデータを保存する,ドロップボックスは自分用に自分のデータを保存する,クラウドに保存するという方が大多数でそれが多いわけですけれども,同時に不特定多数に共有する機能も付いていると。今回の整理では,個人のファイルをロッカーに保存するだけであれば,私的複製30条に含まれるという整理が行われたと思うんですが,ここでは共有機能を使って不特定多数とシェアするのは違法であると。これは別にユーザーとしても全く異論はないところです。ただ,確認したいのは,共有機能があるサービス,付いているサービスを使うことそのものがどうなのかというところ,要するに共有機能があるサービスでも単に自分用,若しくは家庭用に使うことというのは,きちんとこれは30条に整理されるということをもう少し分かりやすく書いていただきたいということと,それとともに,じゃ,共有機能を使ったところで私的複製に実質的に使うようなサービスもあると思うんですね。例えば家族に対してファイルを渡すというのは,ドロップボックスというのは基本的に自分のパソコンで使うものですから,自分の保存した音楽ファイルを家族に対して,ここに動画ファイル,音楽ファイルを置いておいたので,ここからダウンロードしてねという機能でURLを家族にだけ教えて,要するにURLでの不特定多数の共有機能というのは,例えばツイッターやフェイスブック,多くの不特定多数に公開しなければ,本当に家庭内に準ずる形での共有であれば,そんな機能は実質的に私的複製と同じことになるので,まさに機能ではなく行為に着目して,これは30条に整理されるということが分かりやすく書かれると,そこを確認したいということが要望としてはあります。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 14ページの浅石委員の御指摘,それから松田委員,大渕委員の御回答,今の津田委員の御要望なんですけれども,結局今おっしゃっていることは,この3行でございませんか。共有機能を使って限られた範囲,つまり個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲を超えて共有する場合は著作権侵害になるけれども,逆にこれを超えなかったら入るわけですよね。そういうふうに恐らく皆さん御理解になっているんじゃないかと思うんですけれども。
 河村委員,どうぞ。

【河村委員】  今子委員が出された意見の1ポツについて賛成です。15ページのところの3の最初のパラグラフの最後が,「権利者の許諾を得ることは特段不要であるとの意見で一致した」と記載されているのですから,「意見で一致した」と修正するのが適当と考えますという今子委員の意見に賛成です。今の書き方ですと,私がこれまで経験したこういう報告書の書き方でも,議論の過程でこういう意見があったというのが前段に書いてあるのはいいのですが,結論的なところでも意見が示されたと書いてしまいますと,まとまっていない感じがいたしますので,今子委員の1番の意見に賛成です。あと,今子委員の2ポツの意見に関しましても私は賛成です。以上です。

【土肥主査】  15ページの部分,今子委員の1番目の御意見の部分でございますけれども,これを読みますと,基本的には,利用行為主体は利用者であり云々(うんぬん)とあって,「権利者の許諾を得ることは特段不要であるとの意見が示された」,これは基本的にはときちんと打っておりまして,この場合におけるタイプ2の中での利用行為というものについては,我々この小委の皆さんの御意見,御理解だろうと思うんですけれども,今,河村委員もおっしゃったように,小委としてはこの意見は一致したと認識しております。そういうことでございますので,ここの部分は,その趣旨に修正したいと思います。
 あともう1点の方ですけれども,18ページの部分はかなり微妙な問題がもちろんあるわけでございまして,基本的にタイプ2については,私的使用目的での複製の範囲内であるということについては承知しておりますけれども,このことを前提に,集中管理による契約スキームは,タイプ2の範囲を超えるサービスを対象としていることを明確にすべきだという理解を今子委員はなさっているんだろうと思います。そこのところについては,畑委員,それから椎名委員の御意見等々もございますので,ここは少しどのように考えるかについては,私に一任いただければと思います。
 したがいまして,15ページ,18ページ以外の部分で残っているものとしては,外国法の問題を今,榊原委員はおっしゃったと思うわけでございますけれども,これはむしろ小委の皆様方にお尋ねしたいんですけれども,あそこで御紹介があった内容を盛り込むことが適当だと思われるかどうかという点について,御意見を頂けますか。
 どうぞ,松田委員。

【松田委員】  外国の判例や法制をどのように評価するかということは,両方の意見を突き合わせて,そして結論を出していかないと分からないところであります。審議会で一定の意見が出て,そのときに海外の判例資料が提供されて,果たしてそのまま採用したら結果的には大丈夫なんだろうかという心配は常に付きまといます。正直言って,利用者とそれから権利者側では,判例の引用の仕方それ自体が違うのであります。かなりのところを主査に任せるのもなかなか大変なことですから,事務局でよく検討をして,これは書いても大丈夫だ,批判に耐えられるというものだけを書くことが適当ではないかと私は思っております。

【土肥主査】  私も基本的にはそのような認識でおりまして,この報告書に書き込むのはちょっと早いんじゃないかと思っておるところでございますけれども,他の委員はいかがでございましょうか。
 畑委員,どうぞ。

【畑委員】  松田委員のおっしゃるとおり,御紹介いただいたことは確かですけども,それをほかの委員において精査,あるいは評価を何もしていない状態だと認識しておりますので,報告書に記載するのはいかがと思います。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 ほかにございますか。決を採るわけにもいかない問題でございますので,榊原委員の外国法に関する御紹介の部分については,この報告書の中には盛り込まないとさせていただきたいと思います。
 ほかにございますか。

【長谷川委員】  1点よろしいでしょうか。

【土肥主査】  長谷川委員,どうぞ。

【長谷川委員】  蒸し返すようなんですが,意見が一致したというところなんですけれども,少なくとも公衆用設置自動複製機器に当たるかどうかという点については異論もあったところかと思うので,完全に一致したと言っていいのか,若干疑問があるということです。ただ,裁判所の立場から見ますと,結局のところはただし書きで個別の事案ごとの事実認定に基づいてということが書かれていますので,こだわるわけではありませんが,念のため確認したいということでございます。以上です。

【土肥主査】  ありがとうございます。
 つまり15ページの注22,この辺のところに少しあったりする部分があるんですけれども,注22あたりのところで,少し今,長谷川委員が御指摘の部分について反映することで対応させていただければと思います。よろしいですか。ほかにございますか。
 丸橋委員,どうぞ。

【丸橋委員】  今の長谷川委員のところですけど,15ページの3の2パラグラフ目のただし書きのところですね。注20と注24と次のページに掛けてあって,もちろん大きな総合判断の枠組み自体が最高裁の立場じゃないというつもりではありませんが,これがロッカー型クラウドサービスについて,本当に一からすべての機能及び提供形態等を全体として吟味するのですかというところがちょっと疑問で,そういうような議論もなかったと思います。本当にこの但し書きのパラグラフは要るのでしょうか,私は要らないと思います。

【土肥主査】  このパラグラフについては,事務局,この部分はどこ……。このただしの部分ですよね,丸橋委員。

【丸橋委員】  はい。その前のパラグラフで原則一致したはずなのに,ただし書きで一から覆される可能性もあるかもしれないみたいな書き方に読めるので,それは避けた方がいいのではないかと思います。

【土肥主査】  椎名委員,どうぞ。

【椎名委員】  それは,実際のサービスがその範囲にとどまっていないという事実認識に基づいてこういうふうになっていると思うので,そこから集中管理の必要性に行く非常に重要な部分だと思いますので,ここを削除したら報告書として成り立たないのではないかと思います。

【土肥主査】  なるほど。
 畑委員,どうぞ。

【畑委員】  私も同じ意見でございます。この報告書には言葉として出てきませんが,議論の過程の中では,「純粋な」とか,「コアの」といった言葉が使われ,理論的な評価に基づけばロッカーサービスは私的使用の範囲であろうと。ただ実際のサービスについては,やはり事実認定の問題だろうという点は,繰り返し私も含め発言があったかと思いますので,原則があってそのただし書きがあるという整理で全く問題がないと考えます。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 丸橋委員,どうぞ。

【丸橋委員】  椎名委員,畑委員が言及された集中管理との関係でいうと,18ページの1の問題の所在の第2パラグラフの「しかしながら」の書きぶりにつながるようにさえすればいい話だと思うので,やはり基本的な使い方を超えたものについて,そういう総合判断が入るかもしれないというふうに分かるように書いていただけたらよいと思います。

【土肥主査】  つながるところであるがゆえに残すべきであるということなんだろうと私は思うんですけれども,ほかにどなたか御意見ございますか。よろしゅうございますか。そういう丸橋委員の御意見もございますけれども,ここは現報告書を維持したいと思います。ほかにございますか。
 あと,残りのロッカー型クラウドサービス以外の各サービスに関する検討ということで,22ページからございます制度整備の必要性の前まで,つまり27ページまでいかがでございましょうか。ここは特によろしゅうございますか。
 丸橋委員,どうぞ。

【丸橋委員】  24ページのホットリンクさんのところ,ホットリンクさんの説明は,確かに現行の著作権法の枠内でというような説明,意見として書いてあるだけなので,意見といえば意見なのですが,評判分析サービスのアウトプットについては,著作権法上の制限規定引用に掛かるかどうか不明な部分もあるはずですし,そこは表現を後ろの方の書きぶりでいうと,表現を知覚することで享受させている部分もあるのではないかという点について,ホットリンクさんもそうですし,その後の論文作成・盗作検証支援サービスについてもそう申し述べました。そういう意味で,問題がないわけじゃないというふうに意見を言っていますので,その点を加味した書きぶりにしていただけないかと思います。

【土肥主査】  その点,丸橋委員が小委において御発言があったことは承知しております。恐らく小委の全体の意見としてそういうふうになったかというと,そうでもなかったんだろうと思うんですね。ですから,ここのところは,まさにホットリンクとアンクの両会社の方々から伺った意見だけにとどめていると。もしこの小委で,更にそれ以上のものを書くべきであるというのが全体の意見であれば,もちろんそういうふうにいたしますけれども,今のところそういうふうに私は承知しておりませんので,この事実でとどめたいということであろうと思います。
 榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】  ほかの点もあるんですけども,今同じ点が出ましたので,ホットリンクさんのところですけども,ヒアリングに来られたときに,自分のサービスは,現在の範囲では適法だと考えているということをおっしゃいましたけども,それは発展していく,変えていくという限りではそうではないということを,同時に最後に付け加えておっしゃったと思うんですね。終わった後に私はちょっとお話をしたので,こういうことをここで言うのがどうなのかというのがありますけども,一般条項とかフェアユースとかの規定を経済界が求めている検討の場であるということを御存じなかったとおっしゃって,そういうものについては非常に賛成だというようなことをおっしゃっていたわけです。結局,現時点のサービスは,もちろん御本人たちは適法だと言うことは当たり前なわけで,それを書くことはどれだけ意味があるのかという,やっぱり発展させていくというときに,はみ出し部分があることについては,複数名の方が発言されたと記憶をしています。多分丸橋委員だけではなかったと思うんですね。それがやっぱりニーズなんじゃないかと言っているわけですから,この委員会は,知財本部とかからも新しいサービスの環境整備という宿題で,今やっているサービスから発展していくことについて環境整備が必要だというお題なわけで,そこを,現時点ならいいですということだけ書いても余り意味がないのではないかと思いますので,御本人自身も,発展していくことについてはそうではないという御意見を少し付言された,議事録にそれも残っているんじゃないかと思いますけども,それをきっちり書いていただかないと,議事を反映したことにならないのではないかと思います。
 あと,続けて別のことも言ってもよろしいですか。それか,この点でとどめておいた方がよければ。今,御意見を言ってもよいと言われた範囲ではありますけども。

【土肥主査】  じゃ,お願いします。

【榊原委員】  よろしいですか。あと,22ページの脚注の一番下で,事業者から,具体的にどのような場面において現行法で対応できないかについては明示されていないということが書かれているんですけれども,これもちょっと書き方を工夫いただけないかと思っておりまして,やっぱりはみ出す部分が必ずあり得るということを言っているわけで,現行法で,ここの情報活用サービス等が絶対に可能であるということにはならないと思うので,現行法で対応できていないかとなると,非常に具体的なサービスだけを前提にして話をしなければならないんですけども,そういうことが本当に求められているのかということを投げ掛けていたので,ちょっと工夫いただきたいと思います。以上です。

【土肥主査】  24ページのヒアリングのところにおいて,ヒアリングの席上,限界もあるのではないかというような御発言がもしあるのであれば,議事録を精査いたしまして,そこの部分は補うようにしましょう。
 それから,脚注33の部分なんですけれども,ヒアリングの席上,確かに事業者からこういう場面において現行法で対応できないというようなことがあるんだということは言われなかったと承知しているんですね。ですから,事実として書くとすればこうならざるを得ないんじゃないかと思います。

【椎名委員】  はい。

【土肥主査】  ちょっといいですか,もうそろそろ次に行っても。恐らくこの後かなり相当な議論が出るのではないかと思うんですけれども。今のところは,議事録を確認した上で,先ほどの御意見について,反映できるところは反映させていただきたいと。この点はお任せいただければと思います。
 28ページ以降,これも最後,28ページから34ページまでのところで御意見,御質問を賜りたいと存じます。特にございませんか。
 榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】  28ページの一番下の段落ですけれども,著作物の表現を知覚することを通じてこれを享受するための利用とは評価されない利用か否かという,これを一つの基準として検討すべきではないかという意見が,どなたかお一人からされたのかちょっと記憶にないんですけども,この基準だけで検討しましょうということで検討を進めたという記憶がないので,JEITAからは4つか5つ,その少し上の一番目の段落,この点についてということでマル1,2,3-1,3-2,4を共通要素として,条文などを念頭にこういう要素を提案したわけですけれども,これ以外の基準について全く検討がなされていないということなので,なぜこの1つだけで検討したのかというのがいまだに疑問に残っていて,こういう意見があってこうなったという事実の結果としてはいいと思うんですけども,これだけを基準に検討しましょう,駄目でしたねというのは,議論の結果としては,そういう合意をなされていないのではなかったかと理解しています。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 ほかに御質問,御意見ございますか。

【松田委員】  今の点について,ちょっと答えた方がいいと思います。

【土肥主査】  お願いします。

【松田委員】  必ずしも私だけの意見であったとは思いませんが,私がこの発言をしたこと自体は間違いないと思います。認識しておりますので。私から発言をさせていただきましょう。
 過去の審議会というのは,例の日本版フェアユースの議論のときでありました。そして,できるだけ確かに使いやすいフェアユースを日本版で作ろうという議論はしたわけで,いわゆるC類型ということを検討したわけであります。そのときに,審議会の中では,覚知,享受ということを一つの判断基準として考えるということでC類型を考えていた経緯があったわけです。この基準をここで書いておいて,そんなに違和感はないだろうと思っています。それにもかかわらず,C類型はなかなか難しかったということ,それから立法の最終的な結果においては,これは多分異論があるところかもしれませんが,私などはいささか残念な思いがあるところはあるわけでありまして,この基準でもう少し利用を促進したいなと思ったのは,私一人だけではないのではなかったかと思っております。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 榊原委員の御意見は,結局,松田委員がおっしゃるところと反しないんですけども,要は1点あるのは,最後の28ページの一番下の1行,2行,ここの部分なんですけれども,これを享受するための利用とは評価されない利用か否かに従って検討を進めることとした決定が小委においてあったのかということですよね。

【榊原委員】  そうです。

【土肥主査】  小委においてあったかと言われると,決定はしなかったように確かに思います。思いますけれども,この4要素といいますか,28ページの上から2つ目の4要素,4つのファクターの中で,やはりここが一番重要な目新しい,つまりJEITAさんがお出しになった中で一番注目される部分であったこともまた確かでございました。ここについては,相当な議論をしたわけでございますので,一応ここを中心に議論をしていくということはこの小委の中で異論は出なかったので,そのことは承認されているんだろうと私は思います。だから,ここの何々か否かに従って検討を進めることとされたというところについては,少し検討させていただこうと思いますけれども,その前のところはこのまま残したいと思います。
 あとは何でしたか。ほかに何か,御質問,御意見ございますか。よろしゅうございますか。
 丸橋委員,どうぞ。

【丸橋委員】  30ページの3と小括の4のところですが,サンプルとしてヒアリングをした事業者が具体的な法改正の要望を示さなかった,あるいは著作権法の範囲内で十分に対応することができているとその事業者が思い込んでいるということから,特段法改正を行うに足る立法事実は認めらなかったと表現する(次のページの最初のパラグラフ)のは,これはやっぱり乱暴なのではないかと思います。

【土肥主査】  31ページの一番上のパラグラフは,本小委に提示された内容を前提にする限りそして,現時点においてはという2つ縛りがくっついているわけですけれども,本小委に示された内容で,現時点において,丸橋委員は特にどういう立法事実があるという提示があったと御理解されておられますか。

【丸橋委員】  先ほども申し上げたとおり,評判分析,論文作成・支援サービスは,グレーなところをリスクを取ってやっているようにしか私には見えませんので,その立法事実について,それを立法事実としてはいけないのかということですよね。それはグレーなところがあるという立法事実はあるんだと思うんですね。逆に,スナップショット・アーカイブについては,先ほども発言しましたけれども,表現を知覚することを通じてこれを享受するサービスと見ればグレーですし,内容についての事実の確認のためのサービスという意味でいうと,別な利用の目的,態様に照らして問題のある複製ではないと見える部分もあるのではないかという話があります。それらを立法事実でないというのは,ちょっと乱暴なのではないかというのが私の意見です。

【土肥主査】  今の御意見で,何か委員の中で御意見ございますか。
 榊原委員はございますか。

【榊原委員】  すいません。立法事実の捉え方について,具体的な事業者が,自分のサービスが適法だと言ったら立法事実はないんでしょうかというのが非常に疑問で,以前もJEITAで憲法学者の芦部先生の意見で,経済的なとか政治的な事実とかで合理的に法律を制定する基礎があるかとか,合理性を支える一般的な事実があるかというようなことを御紹介させていただいたと思うんですけども,先ほど丸橋さんがおっしゃったことに結論としては賛成で,サービスをやっている人が適法だと言ったとしても,これは別の委員の方もおっしゃったと思うんですけども,現行法の例えば47条の何がしかの規定に合わせるようにサービスをしている場合には,それに封じ込められているわけで,発展していく,新しいサービスを発展させていこうと思うとすぐにはみ出すわけですね。だから,そこが立法事実なのではないかという指摘をしていますし,データの利用なんかでも,許諾を受けたデータ以外にネット上の情報なんかを使っていると,形式的にはやっぱり侵害になるんだろうと思いますので,グレーとかはみ出し部分があるという指摘が複数の委員からあったと思うんです。ですから,そういうはみ出していくとか,発展していく部分が立法事実だという意見と,今あるものは適法だという主張があるから立法事実はないんだという意見と,そこは両論あるはずで,やはり両論ある以上は両論併記をしていただくべきではないかなと。片方の意見だけを掲載して立法事実がないというのは,ちょっと強引なまとめ方ではないかと思います。

【土肥主査】  まとめるに至った事務局の御苦労を思うと,大変なものがあるんですけれども,おっしゃるように,グレーなところがあるとおっしゃるわけで,それは明確な立法事実はないということなんだろうと思うんですよね。ですから,ここの部分について,本小委に提示された内容を前提とする限り,現時点においては,特段法改正を行うに足りる明確な立法事実は認められなかったというような形でまとめさせていただければと思います。
 どうぞ。

【椎名委員】  おわりにの33ページの最後の段落のところでございますけど,先ほど18ページのところで若干の修文提案をさせていただきまして,主査に御一任した部分でございますけど,ちょうどあそこの部分を受けた書きぶりになっておりますので,あそこの書きぶりいかんによっては,ここの部分もそれに合う形にしていただければと思います。タイプの議論を超えていて,多分私的利用目的の複製を超えるというところから集中管理の話に行っていると思うので,タイプというふうに境界が不明確とかというと,先ほどのような議論にも発展してしまうと思いますので,もし18ページをいじるのであれば,ここも是非お願いしたいと思います。

【土肥主査】  承知しました。
 河村委員。

【河村委員】  先ほど来からの丸橋委員の御発言内容についてなんですが,私も気になりますのは,第3章について,第1節,第2節と,対象が何かということやJEITAの御意見が書いてあって,第3節では関係者の意見概要が,先ほど来言われているように現行の著作権法でよいと思っているというような,その方たちの御意見,言われたことがまとめられているのですが,それを受けて第4節になったときに,ヒアリング対象の方たちの御意見だけを基に,おっしゃったことだけを基にして書かれているように感じられて,やはりそれに対して委員からの意見なりがあったのであれば,別に一致したというような結論でなくても,そういうコメントや意見があったということを書かないと,全てヒアリングに来た方のおっしゃったことだけで判断しているかのように読めるので,やはりどのようなコメントがヒアリングを受けて委員の側(がわ)からあったのかとかいうことについては書くべきなのではないかと思います。

【土肥主査】  その点については,先ほど私から申し上げたように,議事録を精査した上で,反映できるところは反映させていただきたいと思います。議事録は,今手元にあるんですけれども,今すぐにということにはならないものですから,私に一任いただければと思います。
 ほかになければ,大体時間があと余りないんですけれども,いかがでございましょうか。

【榊原委員】  意見あります。

【土肥主査】  榊原委員。

【榊原委員】  今,議事録を確認いただけるということでしたので,両論あるところはきっちり両論併記をいただけないと,報告書に賛成という立場はとれないと申し上げておきたいのと,あと,31ページの上から2段落目で,柔軟性のある規定の導入について必要性がないというような意見が多数を占めたと書かれているんですけれども,私の記憶の限りでは,5名ぐらいの委員が必要だという意見を申し上げていますし,それ以外にもマーケットフェイリャーみたいなものがあるとか,社会的に有用なものは権利制限規定でというような御意見もあったと思いますので,それをどういうふうなカウントのされ方をしているのかなと思うんですけども,ここも両論併記にしていただかないと,やはり一方の意見だけを書かれていると思いますので,両論ある部分については両論併記いただくということでないと,一任というのはできないと考えます。

【土肥主査】  多数を占めたということは,逆に言うと少数があったということなんですけれども,事務局の取りまとめの際のカウントでは,やはり多数はこのようになっているということであろうと思います。ここに出たものヒアリング全てを全部反映するとなると,もう議事録をまとめるしかないんですけれども,いわゆるこういう報告書をまとめる際にどこまで書くのかということになるのは,やはり小委の中の多数,全体としての意見でまとめていかざるを得ないんだろうと思います。
 本日頂いた御意見がございました。そして,この会議の中で私が発言したところもございます。そうしたものを踏まえて,この報告書に関して修正を加えることになるわけでございますけれども,この点,私と事務局で,きょうの御意見等々についてはメモをきちんと取っておりますので,その中で本報告書について修正するところは修正するということで御一任いただけるかどうか,皆様の御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

【丸橋委員】  1点,すいません。これはこの後もう一任して,一任した後,更に出来ばえについてコメントする機会はないということになりますでしょうか。

【土肥主査】  そうですよね。そこでまとめてしまいますので。

【丸橋委員】  今回でもう……。

【土肥主査】  次からはクリエーターの適切な対価還元という問題に入らざるを得ないので,この問題は,ここで一応読点を打つということでございます。

【丸橋委員】  読点を打つ。ちょっとそれは賛成しかねます。

【土肥主査】  どうぞ。

【榊原委員】  すいません。最初に申し上げたとおり,前日配付をされていて,JEITAの会員企業には全く検討の時間がないので,それできょう一任しろと言うのは,ちょっとむちゃではないかと思いますので,この小委員会自体が継続するのであれば,次回以降に意見を言わせていただきたいと思いますし,先ほどの多数を占めたというのも,今までの審議会で,5名ぐらいの委員が反対しているものについて,別の意見を併記しないということはなかったのではないかと思います。1名,2名が反対しているというのではない部分についてですね。そこはちょっと御検討をいただきたいと思います。

【土肥主査】  もちろんその検討も含めて一任いただくということでございます。
 よろしゅうございますか。つまりこの問題については,この報告書をもって一応新たな立法事実等々明確なものが出るまでは,更にこれを検討続けていくことをしないで,この小委においてするとすれば,クリエーターの適切な対価還元の問題に入るということでございます。皆さん,いかがでございましょうか。
 それでは,そのようにさせていただきます。
 本日暮れの25日という時期に,報告書の案の提示も直前になってしまったということについては,誠に申し訳ないと思っておりますけれども,皆様方各委員というのは,それぞれのその分野における造詣の深い方々ばかりでございますので,そういう方の御所見に基づいて,この小委においては議論させていただきたいと思っております。時間的にもし余裕がある場合については,もっと前に出すように事務局には私からもお願いをさせていただきたいと思います。
 最後に事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

【秋山著作権課課長補佐】  それでは,次回の小委員会につきましては,日程調整の上,追って御連絡したいと思います。

【土肥主査】  次回もあるということですね。クリエーターの適切な対価還元というような問題について,最終的な形でやはり同じように報告書ができるということになりますか。

【秋山著作権課課長補佐】  はい。次回以降,その課題について御議論いただきたいと思っています。

【土肥主査】  そういうときに,また新たないろんな事実が出たような場合については,この小委で一応きょうまとめておりますけれども,そこのところについて触れていただくことはできますか。

【秋山著作権課課長補佐】  はい。それも可能だと思います。

【土肥主査】  そうですか。それでは,丸橋委員,榊原委員,いろいろ御無理をお願いしますけども,以上のような形で進めさせていただきますので,どうぞよろしく御了解いただければと存じます。
 それでは以上をもちまして,著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会第9回を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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