文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第1回)

日時 平成28年6月6日(月)

14:00~16:00

場所 文部科学省東館15階特別会議室

議事次第

1 開会

2 議事

  1. (1)著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会主査の選任等について
  2. (2)著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会審議事項について
  3. (3)クリエーターへの適切な対価還元について
  4. (4)その他

3 閉会

配布資料一覧

資料1
文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会
委員名簿
(68KB)
資料2
小委員会の設置について(平成28年5月12日文化審議会著作権分科会決定)(55.3KB)
資料3
第16期文化審議会著作権分科会 各小委員会における検討課題について(79KB)
資料4
私的録音録画に係るクリエーターへの対価還元についての現状(405KB)
参考資料1
文化審議会関係法令等(129KB)
参考資料2
第16期文化審議会著作権分科会委員名簿(78.1KB)
参考資料3
第16期文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する
小委員会検討課題に関する「知的財産推進計画2016」について
(61.8KB)
参考資料4
クリエーターへの適切な対価還元に関する主な論点(67.7KB)
 
出席者名簿(50.1KB)

議事内容

○今期の文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会委員を事務局より紹介した。

○本小委員会の主査の選任が行われ,土肥委員が主査に決定した。

○主査代理について,土肥主査より末吉委員が主査代理に指名された。

○会議の公開については運営規則等の確認が行われた。

※以上については,「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」(平成二十二年二月十五日文化審議会著作権分科会決定)1.(1)の規定に基づき,議事の内容を非公開とする。

【土肥主査】本日は,著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第1回目となりますので,磯谷桂介文化庁長官官房審議官から,一言御挨拶を頂戴できればと存じます。よろしくお願いします。

【磯谷文化庁長官官房審議官】著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の開催に当たりまして,一言御挨拶申し上げます。
 皆様方におかれましては,大変お忙しい中を,今回の委員につきましてお引き受けいただきましたこと,また,本日御出席いただきましたことを,心から御礼申し上げたいと思います。
 申すまでもなく,著作権制度は,我が国が掲げる「文化芸術立国」,「知的財産立国」,そして「クールジャパン戦略」といった文脈で,大変重要な役割を担っているところでございます。
 政府におきましては,今年5月に,「知的財産推進計画2016」を策定したところでございまして,その中で,デジタル・ネットワーク社会に適した著作権制度の見直しなど,様々な課題が提起されております。
 その中の一つとして,この委員会でも,昨年に続いて,また今年も御議論を頂くことになります,私的録音録画補償金制度の見直しを含むクリエーターへの適切な対価還元の在り方について,御検討を進めていただくことになっているわけでございます。主査からも先ほど御紹介がありましたように,是非,今年においては昨年より進めて,何らかの形を作っていただきたいと思っているところでございます。
 本小委員会では,昨年度は,今後の検討のための主な論点をまとめていただきました。また,論点の一つである対価の還元の現状について,関係事業者の方々へのヒアリングの御協力を頂いたわけでございます。
  今年度は,昨年度取りまとめた主な論点に沿って,クリエーターへの適切な対価還元の問題について,御検討を深めていただきたいと思ってございます。
 クリエーターへの還元がなされて,創造のサイクルが活性化して,関係する権利者,事業者,それから,著作物を利用するユーザーの3者がウィン・ウィンとなるような結論が得られるように,この非常に重要かつ難しい課題について検討を,是非,皆様方のお力添えを頂きたいと考えてございます。
 皆様におかれましては,繰り返しになりますが,大変お忙しい中,恐縮でございますが,一層の御協力をお願いいたしまして,私の冒頭の御挨拶とさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

【土肥主査】どうもありがとうございました。
 次に,今期の本小委員会の審議事項について確認したいと存じますので,本小委員会における審議事項について,事務局から説明をお願いいたします。

【俵著作物流通推進室長】資料2と3を確認いただけますでしょうか。
 資料2が,小委員会の設置についてということで,5月12日に開かれた著作権分科会の中で決定いただいた内容です。この中で,各小委員会の審議事項ということで,著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会については,クリエーターへの適切な対価還元等に関することということで示していただきました。
 資料3については,検討課題の例を挙げていただいています。先ほど審議官からもありましたけれども,今年度も,昨年度に引き続き,私的録音録画補償金制度の見直しや当該制度に代わる新たな仕組みの導入という点を中心に議論をいただければと思っています。
 参考資料4を確認いただけますでしょうか。これも先ほど審議官からあったように,昨年度,論点として3点,整理していただいた内容です。一応,昨年度の検討の内容を確認しますと,最初に,私的録音録画に係るクリエーターへの対価還元の現状ということを把握した上で,補償すべき範囲,対価還元の手段について議論をすべきということで,論点を整理いただきました。
 今年度は,この三つの論点について検討いただいて,最終的な結論が得られるように,また議論をいただければと思っています。よろしくお願いします。

【土肥主査】ありがとうございました。
 本小委員会における審議事項についてということでございまして,資料3の2.のところ,審議事項として,クリエーターへの適切な対価還元等に関することということで,二つ丸がございます。今,事務局から説明があったように,上の丸についての検討ということになろうかと思いますけれども,具体的なクリエーターへの適切な対価還元の問題については,この先の話ということになりますけれども,今,事務局からの提案でよろしいかどうか,御確認をいただければと存じます。
 ここは昨年度から継続的に検討をしているところでございますので,昨年度の検討を踏まえて,更に内容を具体化していきたいというのが,少なくとも私はそのように希望しておりますし,皆様もそのように御理解いただいているものと承知をしておりますが,よろしいですかね。資料3の2.のところで,クリエーターへの適切な対価還元等に関すること,これを審議事項といたします。よろしいですね。

【椎名委員】一点。事務局に御用意いただいた机上配布資料のファイルについてですが,これが27年7月3日のところから始まっているんですが,実はその前の年度の,27年2月に開催した小委員会でも,我々,録音と録画の権利者から資料を出して御説明をしていますので,資料としてはそこのところから用意していただかないと,そこがすっぽり抜け落ちたことになってしまいます。その部分をもう一回,御確認いただきたいと思います。

【土肥主査】今おっしゃった部分は,椎名委員が気合を入れて報告された部分でございますので,是非とも資料に付け加えておいていただければと思います。よろしゅうございますか。
 それでは,具体の三つ目の議事でございますけれども,クリエーターへの適切な対価還元について,この議題について入りたいと思います。
 本件につきましては,昨年度からの審議を引き継いで,建設的に議論を進めていきたいと,このように考えております。前回及び前々回の本小委員会におきまして,私的録音録画に係るクリエーターへの対価還元についての現状を把握するため,委員及び有識者の方々に御発表いただいているところでございます。そしてまた,その際,質疑応答もさせていただいたところでございますけれども,そういった内容を,事務局においてまとめていただいております。
 まず,事務局においてまとめていただいたところの御紹介を頂きたい,このように希望しております。その後で,質疑応答,意見交換を行ってまいりたいと存じます。
 それでは,御説明をよろしくお願いいたします。

【俵著作物流通推進室長】資料4を確認いただけますでしょうか。今,主査からありましたように,前回,前々回とここで意見交換を頂いた内容を整理したものです。
 最初に,私的録音に係るクリエーターへの対価還元についての現状です。畑委員から出していただいた図を「音楽コンテンツの流通」のところに書かせていただいています。流通形態として,パッケージ販売,ダウンロード型の配信,ストリーミング型の配信,そしてパッケージレンタルという,4点があるということを紹介いただきました。
 パッケージ販売については,レコード会社が権利者と使用許諾契約を結んで,そして原盤を作る。これは一つの例として挙げられていたと思いますけれども,こういったケースが多いということで,ここにも書かせていただいております。レコード原盤を作製した後,小売店との販売契約によって,商品を仕入れて,消費者に再販売するという流通モデルになっているということが一つだったと思います。
 ダウンロード型については,使用許諾契約と業務委託契約の2種類があるという紹介がありました。それぞれについて,音楽配信事業者あるいはレコード会社が権利者と許諾契約を締結し,そして,ダウンロード販売するコンテンツを収集した上で,消費者がコンテンツをダウンロードする際に課金をするという仕組みになっていることを紹介いただきました。
 ストリーミング配信についても,内容についてはダウンロードと同じということでありましたけれども,消費者がコンテンツの複製物を所有するというわけではなくて,配信事業者のサービスを利用してコンテンツを視聴するということが基本のモデルになっているということで,私的複製は生じないということの紹介を頂きました。
 パッケージレンタルについては,CDレンタルショップが権利者と貸与許諾契約を結んだ上で,レンタル商品を仕入れて消費者に貸与するというモデルであったと思います。
 音楽コンテンツの市場規模について,1ページ目の一番下と2ページ目にわたって整理をさせていただいています。これは,前回のときにはまだ2015年度の数値が出ていませんでしたが,今回,2015年度の数値に新たに替えて整理した内容になっています。
 CDパッケージで言えば,数量は,CDの合計が1億6,700万枚余り,デジタル配信については1億2,000万回程度,金額については,CDの合計として1,800億円ぐらい,デジタル配信については400億円ぐらいというような数値が新しく出ていますので,ここに整理をさせていただいています。
 2ページ目の一番下に,デジタル著作権管理技術について整理をさせていただいています。パッケージ販売,パッケージレンタルについては,消費者は自由に複製をすることが可能である。ダウンロード型音楽配信についても,DRM技術を掛けずに配信しているということで,消費者は自由に複製することが可能となっている。
 一方,ストリーミング型音楽配信については,複製を防止する措置が講じられているということで,消費者が私的複製をすることはできないという形で紹介を頂きました。
 3ページ目に,私的録音に係る対価について整理をしています。パッケージ販売,ダウンロード型配信,パッケージレンタルについては,現状として,私的録音に係る対価は消費者への提供価格には含められてはいない。また,小売店,音楽配信事業者,レンタルショップが権利者に支払うライセンス料の中にも,私的録音に係る対価は含められていないということについて,紹介を頂きました。
 ストリーミング型音楽配信については,複製を行うことができないということで,私的録音に係る対価は問題とならないという整理も頂いたと思います。
 各流通モデルにおける契約実態について,もう少し詳しく整理したのがここからの内容になります。前回,これも畑委員から関係の図を提供いただいておりますけれども,それを4ページ目の最初の方に,そのまま添付させていただいています。
 パッケージ販売については,レコード会社は,音楽の著作権について,管理事業者と許諾契約を締結して,原盤の制作に関する複製権,譲渡権の許諾を受ける。さらに,実演家とも契約をして原盤を制作する。そのほか,プロデューサー等に対しても,レコード会社から,それぞれの契約に基づいた対価が支払われているということを紹介いただきました。
 小売店等はレコード会社と販売契約を締結して,それに基づいてパッケージ商品を仕入れて,小売店は,仕入れた商品を消費者に再販売して代金を得ているということだったと思います。音楽パッケージの価格は,これら権利者への複製権であったり,譲渡権の対価に加えて,パッケージ商品の製作に必要となった経費を考慮して決定されているということを紹介いただきましたが,私的録音の対価についてはこれに含めてはいないということを紹介いただきました。その背景としては,私的録音に係る補償については,私的録音録画補償金制度により担保されてきたという経緯に基づいて,こういった措置をしているという紹介を頂きました。
 4ページ目,ダウンロード型音楽配信については,業務委託契約の場合と原盤使用許諾契約の2種類が主流となっていると紹介を頂きました。業務委託契約の場合には,レコード会社が配信業務を配信事業者に委託するということであり,レコード会社がダウンロード代金を決定して,手数料を配信事業者に支払うということだと紹介を頂きました。このときの使用料はレコード会社が管理事業者に支払うということでした。原盤使用許諾契約については,レコード会社の許諾を受けて,配信事業者が楽曲を配信する形式だったと思います。この契約の場合には,配信事業者がダウンロードの代金や配信の態様を決定して,契約に基づいてレコード会社に使用料を支払うということであったと思います。
 配信事業者の多くは,かつては1課金1ダウンロードということで,DRMの技術を掛けてサービスを提供していたということでしたが,現在では,消費者の利便性の向上ということで,1課金について複数台のデバイスでダウンロードが行えるサービスを提供しているということも紹介いただきました。ダウンロードした楽曲にはDRM技術が施されていないので,消費者は自由に私的な複製も行えるということでした。
 権利者から配信事業者に対しての許諾の範囲は,事業者が行う複製,公衆送信のほか,消費者が楽曲をダウンロードする際に生じる複製についても許諾の範囲であるということでした。ただ,ダウンロード後に生じる消費者の私的録音については,私的複製に該当するということで契約には含まれていないという紹介を頂きました。
 次のページですけれども,参考として紹介いただいたのが,1課金1ダウンロードを実施していた時期の1曲当たりの価格と,現在のように自由に,マルチデバイス・ダウンロードを実施している1曲当たりの価格を比較すると,現在の価格の方が低いということも紹介を頂きました。
 ストリーミング型音楽配信については,ダウンロード型音楽配信と同様で,2種類の契約になっている。
 異なる点としては,ストリーミング型の音楽配信については,データ伝送経路に暗号を掛けるということで,データが複製されないようなセキュリティー技術が実装されているということを紹介いただきました。
 マル4のパッケージレンタルについては,CDレンタル店が,権利者から貸与に係る許諾を得てサービスを実施している。これも前回,資料を提供いただきましたので,ここに添付していますが,著作権については,店舗基本使用料に対して,売上げに基づいて算出した使用料を加えた額,実演家の権利については,店舗ごとに決められた固定の使用料に,すみません,ここはちょっと文章の中で抜けてしまっていますが,下の表にあるとおり,サーチャージ使用料ということで,CDの仕入れ時に1枚ごとに使用料を上乗せした部分を加えている。日本レコード協会に対しては,サーチャージ使用料を払っているという紹介がありました。
 権利者からレンタル店に対する許諾の範囲については,貸与権のみということで,消費者が私的複製する行為は許諾契約の範囲外であるということも紹介を頂きました。
 これが,録音について,前回,紹介いただいた内容を整理したものです。
 6ページ目からは,録画に係る現状について整理をしました。
 録画については,パッケージ販売,無料,有料放送,動画配信,そしてパッケージレンタルの五つがあるということを,同じように整理を頂いて紹介いただきました。
 パッケージ販売については,パッケージを作る製造・販売事業者が権利者の許諾を得てパッケージを作り,そして,小売店が消費者に販売する。無料,有料放送については,放送事業者が権利者から放送の許諾を得て,コンテンツを自分たちで作るなどして,消費者に対し無料,有料で放送する。動画配信については,配信事業者が許諾の契約を映画製作者等と締結して,多くの場合には,有料で消費者に対してコンテンツを配信するというモデルになっているということでした。パッケージレンタルについては,DVDのパッケージの製造・販売事業者が権利者の許諾を得てパッケージを製作し,レンタルショップにこれを貸与して,消費者にレンタルショップからレンタルするということの紹介を頂きました。
 特に商業用の映画については,これらの五つのタイプの流通モデルで二次利用を行うということで,投下した資本を回収して収益の最大化を図るということを特徴にしているということで,これらの流通モデルにおいて複製をコントロールするということでビジネス上の利益を確保するという要請が強いということも紹介を頂きました。
 7ページ目,DRM技術についてですが,これは,放送による流通モデルを除いて,この技術によって消費者が私的複製を行うことを禁止する措置がとられているとありました。無料放送についてはダビング10のルール,有料放送については,一般的には,複製の回数を1回に限定するコピーワンスのルールを採用しているということで,ここの図にも添付をさせていただきましたが,デジタル放送の運用規定についても紹介を頂きました。
 私的録画に係る対価については,技術的に,動画コンテンツの流通については,私的録画が生じる場面は放送に限定されているということで,それ以外の,無料,有料放送以外の三つのモデルについては,私的録画に係る対価は問題とならないということで整理を頂いています。放送については,消費者の行う私的録画に係る対価は,飽くまで放送事業者から権利者に支払われる対価というのは放送に係る対価であるということで,私的録画に係る対価は含められていないということを紹介いただきました。
 それぞれのパッケージ販売について,少し詳しく紹介したものが,最後の(4)になります。
 マル1のパッケージ販売については,基本,先ほどの内容と同じになっています。
 マル2,マル3の無料,有料放送も,基本的には先ほどの内容と同じかと思います。無料放送については,NHKは少し違うかもしれませんが,放送事業者は広告料収入などによって放送事業を行っているということで,権利者から得られる使用許諾の範囲は,消費者の行う録画行為の対価は含められていないということだったと思います。
 マル4として,動画配信について,少し詳しく紹介いただいたのは,四つのモデルがあるということで紹介を頂きました。ユーザーが視聴権を購入するもの,視聴期間が限定されたレンタル形式のもの,期間の中で定額で複数のコンテンツが見放題のもの,広告附帯形式で無料配信モデルのものの四つの分類があるということで紹介を頂きました。
 この中で,映画の収入として大きいのはEST,ユーザーが視聴権を購入する形のものだということで,これらについては視聴する方法が2種類あるということで紹介を頂きました。コンテンツをダウンロードする方法とダウンロードとストリーミングを併用する方法があるということを紹介頂きました。いずれにおいてもダウンロードについてはDRM技術が施されていて,ストリーミング形式についてはデータを複製することができないようになっているということでありました。
 最後,パッケージレンタルについて,これも先ほど紹介した内容とほぼ同じですけれども,DVDのパッケージの製造・販売事業者は,映画製作者と頒布・複製許諾契約を締結する。レンタルショップは,今度は販売事業者と貸与契約を締結して,消費者にDVDのパッケージをレンタルするということでした。製造・販売事業者とレンタルショップの間,レンタルショップと消費者の間で行われているパッケージのレンタルについては,最初の映画製作者と販売事業者の間の契約で処理がされているということでありました。最後,消費者がパッケージのレンタルを受ける代金については,レンタルショップ,製造・販売会社を通じて権利者に支払う使用料を含めた対価として設定されているということでありました。
 少し長くなってしまいましたけれども,整理した内容について紹介をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

【土肥主査】ありがとうございました。
 1年間にわたる対価還元の現状等の問題について,おまとめいただいたものがこれでございます。この内容としては,録音,音と画像に分けて,コンテンツの流通その他,それから,対価還元の仕組み,契約の実態,こういったものを紹介いただいたところでございますけれども,これらについて何かお気付きの点がございましたら,お願いいたします。
 つまり,ここでの現状の認識に基づいて,次のステップに入りたい,入らなければならないということでございますので,現状の報告として,これでよろしいかどうか,何か御意見があれば頂戴いたしますけれども。
 では,小寺委員,どうぞ。

【小寺委員】1ページなんですけれども,音楽コンテンツの市場規模ということで,最新の資料に差し替えていただきまして,どうもありがとうございます。
 ただ,その年だけのスナップショット的な資料があっても,結局それで市場をどう見ればいいのかが分からないので,数年にさかのぼって推移をグラフ化した資料を付けていただいた方が,市場の動向などが分かると思うので,是非,そのあたりの改善をいただければと思います。
 以上です。

【土肥主査】榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】これは昨年の第4回,第5回でヒアリングをした結果をおまとめいただいたと理解しておりますけれども,ヒアリングをされた方がおっしゃったことは書かれているんですけれども,質疑の中で出た内容が結構欠落しているように思いました。
 例えば,議事録を事務局の方で確認いただければ,残っていると思うんですけど,例えば資料4の3ページ目の(3),上から5行目に,私的録音に係る対価は含まれていないとか,評価にも聞こえるような一文があったり,4ページ目の最後の行にも,私的複製に該当するとして契約には含まれていないと,対価のことが書かれていたりするんですけれども,この点については,昨年度の第4回の議事録でいいますと21ページ,傍聴者の方はお持ちじゃないんですけれども,委員の方は机上配布があるので見ていただければ,私が,客観的に対価に含めることはできるのではないかという質問に対して,その後,22ページ,23ページと,ヒアリングにお越しいただいた方が,もちろんできなくはないとか,答えられないとか,システム的にはもちろんできますとか,引き続き議論をしていきたいとか,はっきり答えられた方と,よく分からない回答の方もいらっしゃったんですけれども,主観的にどうかというのと,これを法的にとか経済学的に,今後この現状をどう評価するかというのに参考になるような質疑をしていますので,そこは,私的録音に関して追記を頂いた方がいいのではないかと。その方が中立公正ではないかと思います。
 それから,私的録画に関しては,資料4の7ページ,(3)のところで,ここもニュアンスとしては同じなんですけれども,(3)の一番最終行で,消費者の行う私的録画に係る対価は含められていないと,評価を下してしまっているように読めなくはないんですけれども,これに関しては,第5回のヒアリングのときの質疑の内容が反映いただけていないと思っておりまして,議事録でいいますと,机上配布の第5回議事録の16ページ以下,16ページが私の質問で,契約条件に影響しているのではないかという質問に対して,価格には影響していないとおっしゃった方もいらっしゃいますけれども,許諾条件とか調達契約には反映されているかもしれないとか,分からないとかそういう回答が,多分,全員からお答えを頂いています。その後,17ページ,18ページあたりまで,議事録で回答がありました。
 それから,その意味では,その下,7ページの(4)のパッケージ販売も,今,コピーネバーだけではなくて,コピーができるようなメディアというんでしょうか,DVDとかブルーレイにもう一枚,お皿が2枚入って販売されていることが多いので,そこも私的録画部分が契約の条件として入っているのではないかなと思いますので,そこも,7ページの(4)のマル1になるんでしょうか,場所としては。記載いただければいいのかなと思いました。
 それから,また戻りまして,資料4の8ページ,マル4の動画配信のところですけれども,これも前期の質疑で出たものですけれども,8ページ,マル4の真ん中より下ぐらいでしょうか,ダウンロード形式の場合には,ダウンロードした録画コンテンツが複製できないようDRM技術が施されているというふうに説明がなされていて,最後の段落ですけれども,DRM技術が施されていることから,私的録画に係る対価は問題とならないと言い切っているんですけれども,これについても,第5回の議事録でいきますと19ページで,一部はファイル移動を含めて許諾をしているケースがあるという御発表があったんだがということで,これはコピーができるように,DRM技術的にもなっていて,契約条件にも私的録画のところが入っているのではないですかという意味の質問ですね。
 事実としてお聞きしたことに対して,ちょっと法的な評価を加えながら質問しているので分かりにくいと思うんですけれども,契約条件とか許諾権に関わるものだというふうな御回答をされているので,今後,現状を前提に,法的にそれをどう見るのかとか経済学的にどう見るのかというときに,そういう論点が出ていたということを現状としては御指摘している以上は,書いていただくべきではないかなと思いました。
 以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 それでは,今,お二人から御質問,御意見が出ておりますので,お二人の御意見,御質問に対して回答を頂けますか。

【俵著作物流通推進室長】最初の小寺委員からの,経緯もということについては,恐らく,もとの資料を,2015以前のものを比べれば出てくると思いますので,そこは検討したいと思います。
 今の榊原委員からの指摘ですけれども,事務局として,こういった形で整理したのは,あえて今回は,現状として,今,榊原委員からは法的な,あるいは経済的な,客観的な評価もここに一部入ってしまっているんじゃないかと。それであれば,もっときちんと書くべきじゃないかということでしたけど,事務局としては,飽くまで今回,契約上どうなっているかという意味で,現状がどうなっているかということで整理をしました。
 その客観的評価であったり,あるいは,むしろそれを含めるべきじゃないかといったような議論については,今後,補償すべき範囲,あるいは対価還元で,どちらになるか分かりませんけど,具体的な検討をする中で,確認すべき内容についても明確にした上で議論をした方がいいのかなと思います。今回は,発表いただいた内容,そして,契約としてどうなっているかという整理をこの中でさせていただいているということです。

【土肥主査】ありがとうございました。
 小寺委員の御要望,どの程度までさかのぼれるかというのは確かにあろうと思いますので,相当の範囲で,事務局としては努力をするということですので,御了解いただければと思います。
 それから,榊原委員の御要望ですけれども,確かに御質問があったというのは承知しておりますけれども,質問に対してお答えになったのがこの内容で,回答があったわけですし,御質問のあった内容,御質問されたこと,それから,それに対する回答に関しては,先ほど榊原委員がるる説明の際に紹介されましたように,議事録がここにきちんとこうやって置いてあるわけでございますので,我々がヒアリングした際の回答に基づく現状の認識としては,今回,事務局が示されたものでいいのではないかと私は承知しております。
 ほかにございますか。どうぞ。

【榊原委員】質疑の内容自体は全く反映されていませんので,これを見ると,ヒアリングした内容をここにまとめたというふうに書いていただくのであれば正しいと思うんですけれども,その後,質疑の結果を踏まえると,こういう内容にはならないかなと思うんです。
 ヒアリングの結果だとかというおまとめであれば,全く異論はないんですけれども,現状と言われると,現状はこうなんだというふうに,質疑の中では,理論的には対価を含めることも可能だとかという御指摘もあったにもかかわらず含まれていないとか,含まれていないというのは御主張だと思うんですね。
 そこがやっぱり,これだけを読む方,議事録をさかのぼって読む人というのはほとんどおられないと思うんです。ですから,そこを対外的にも分かりやすくするためにも,誤解がないような表記に変えるなり,御検討いただけないかなと思います。

【土肥主査】御要望はよく分かりましたので,その件は私の方で預からせていただいて,どういう形で現状として表現をするのかということについては,私と事務局でちょっと考えてみますけれども,基本的には,我々がヒアリングをやって,そして,回答を頂いたという,その内容に基づいて,現状というものは書いてありますので,基本的にはこの内容をもって私は了解したいと考えております。
 もし,ここの委員の中で,今の榊原委員のように,もっと書けという意見が圧倒的に多数であれば,それは考えさせていただきますけれども,この点,一度お諮りをしておく方がいいのかもしれませんが,先ほど私の方で申し上げさせていただいたのは,榊原委員の御要望に基づいて,もう少し書き込むことができるかどうか,私,主査と事務局の間で,少し勉強させていただきたいという提案でございます。
 あるいは,委員からの意見として,こう変えろということがあれば,それはまた別の話でございますが,この点について,ほかの委員の方の御意見はございますか。

【椎名委員】主査が整理されたことでよろしいんじゃないかと思います。プライシングインができるんじゃないか,ということに対して,プライシングインができるかもしれない,というような受け答えがあったということと,現状はどうなっているかという話とはいささか違っていて,事務局の取りまとめというのは,現状どうなっているかということをヒアリングに基づいてまとめられたということですので,プライシングインができるのではないか,いやいや,できないのではないかみたいな話というのは,むしろ参考資料4の2番の補償すべき範囲のところに既に立ち入った議論ではないかと思います。
 現在のところでは1番の整理をしているわけですから,これはこれでよろしいのではないかと思います。

【土肥主査】プライシングインの話は,これはやらないわけでは決してないわけでありまして,経済的な観点から,こういうものが含まれているのではないかという御意見,御質問は重々承知しているところでございます。
 しかし,それは今,椎名委員がおっしゃったように,いわゆるクリエーターへの適切な対価還元のスコープ,範囲の問題とか,やり方の中で見るべきところは見るという形で進めたいと思っております。その点は,そのように皆様も御了解いただければと思っております。
 ほかにございますか。なければ,現状の把握としてはこういう認識で進めたいと思いますけれども,先ほどあった参考資料4,クリエーターへの適切な対価還元に関する主な論点として,1,2,3とございます。
 1の私的録音録画に係るクリエーターへの対価還元についての現状という問題に関しては,先ほど御報告いただいた資料4の現状において,スタートをしたいと思います。この後,補償すべき範囲としてどういうものが考えられるのか,あるいは,その場合にどういう手段が考えられるのかというところに,今年の年度は1歩進んでいきたいと思っております。
 こういう進め方でいきたいと思いますけれども,これについて,何か御意見等がございましたらお願いいたします。
 どうぞ,浅石委員にお願いいたします。

【浅石委員】今の主査のまとめで全く異議はございません。この形で進めていただきたいと思います。

【土肥主査】ありがとうございます。
 ほかに御意見はございますか。いかがでございましょうか。
 御異論がなければ,今後は,補償すべき範囲,対価還元の手段といったところの各論に入ってまいりたいと思いますけれども,補償すべき範囲,手段といった問題について,委員の皆様におかれまして,何か特別にこういう進め方をとってほしいとか,御要望,御意見がございましたら,この際,お願いいたします。
 特にございませんか。事務局に一つお尋ねですけれども,次回以降,スコープの問題,手段の問題に入りたいと思いますけれども,この二つの問題についての進め方について,何かお考えのところがこの時点でございますか。

【俵著作物流通推進室長】事務局としては,先ほど主査に整理いただいたように,次回,1番については整理ができた。次に2番,3番ということなので,まず,2番の補償すべき範囲について,これまで先生方から頂いた意見も踏まえながら,議論を頂きたいと思っています。
 現在のところ,それ以上の進め方の具体的な内容について,何か考えているということではありませんけれども,先ほど主査に御指摘いただいたような形で,次は,2番の補償すべき範囲についてどうするかという点について,集中的な議論を頂きたいと思っています。

【土肥主査】ほかに何かあれば別ですけれども,本日確認すべきこととしては終わったと思っております。次回までに私に課せられた宿題としては,榊原委員が言われるような点について,現状にどういう形で反映するかという点は一つあると思いますけれども,それを除きますと,資料4の現状についての認識は,皆さん是非共有をしていただいて,建設的な議論を今後やっていきたいと思います。またもとに戻るということが決してないように,建設的に前向きに結論に達したいと,このように思いますので,よろしくお願いいたします。
 第1回目で,まだ1時間しかたっていないんですけれども,特になければ,今日はこのぐらいにしたいと思いますが。
 どうぞ。

【榊原委員】1点だけ。私ばかりで恐縮なんですけれども,今後の進め方について,先ほど主査の方から,私の発言は第2番目にも大きく関わるんじゃないかということで,実際そのとおりだろうと思うんですけれども,前回の最後にも,次の期でお願いをしているので,重ねてということなんですけれども,今後の評価の段階では,経済学者ないしは法と経済学のようなことに精通された方というのは,今回の委員の方にはいらっしゃらないと思うんですけれども,例えば,著作権法学会で御発表されていたような田中辰雄先生とか,法と経済学で有名な安念先生とか,その道のプロの方に,何を聞くかというのもあると思うんですけれども,聞いていくということが一つの考え方としてあろうかと思います。
 以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。御提案として伺っておきます。
 ほかにございますか。よろしいですか。
 事務局から,何か連絡事項等ありますか。

【俵著作物流通推進室長】次回以降,ここで決めていただいたやり方に沿って,議論をいただければと思います。
 一つ,これは御報告ですけれども,今年度は著作権等管理事業法の5年に1度の見直し期間の年度になっています。現在,パブリックコメントという形で,この管理事業法の見直しについての意見を募集している最中です。この意見を踏まえまして,有識者の先生方にも集まっていただいて,具体的な制度改正が必要かどうかということを議論いただく予定にしています。
 ということなので,この場でも,現在の管理事業法の見直しの検討の状況について,ここで紹介をさせていただきました。以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。
 それでは,恐らく今後の日程に関しましては,また事務局から照会があると思われます。そのときに改めて日程調整をさせていただいて,お集まりいただくということになろうと存じます。
 では,本日としては,若干早いんですけれども,これにて著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会第1回を終わらせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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