文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第2回)

日時 平成28年8月24日(水)

9:30~11:30

場所 旧文部省庁舎6階 第2講堂

議事次第

1 開会

2 議事

  1. (1)クリエーターへの適切な対価還元について
  2. (2)その他

3 閉会

配布資料一覧

資料1
補償すべき範囲について(案)(204KB)
参考資料1
私的録音録画に係るクリエーターへの対価還元についての現状(407KB)
参考資料2
クリエーターへの適切な対価還元に関する主な論点(69.1KB)
参考資料3
文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会委員名簿(69.2KB)
 
出席者名簿(47.6KB)

議事内容

【土肥主査】それでは,定刻でございますので,ただいまから文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第2回を開催いたします。本日は御多忙の中,御出席を頂きましてまことにありがとうございます。

まず,前回の6月6日の小委員会以降に委員の交代等がございましたので,事務局から報告をお願いいたします。

【池野著作物流通推進室長補佐】まず,第1回は御欠席でしたが,今回より華頂委員に御出席いただいておりますので御紹介させていただきます。華頂尚隆委員でございます。

【華頂委員】どうぞよろしくお願いいたします。

【池野著作物流通推進室長補佐】また,委員に交代がありましたので,御紹介させていただきます。笹尾元委員の後任として御就任いただきました岩本太郎委員でございます。

【岩本委員】民放連の岩本でございます。よろしくお願いいたします。

【池野著作物流通推進室長補佐】浅石元委員の後任として御就任いただきました世古和博委員でございます。

【世古委員】JASRACの世古でございます。よろしくお願いいたします。

【池野著作物流通推進室長補佐】以上でございます。

【土肥主査】ありがとうございました。

それでは,議事に入る前に,本日の会議の公開についてでございますけれども,予定されております議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないように思われますので,既に傍聴者の方には入場をしていただいているところでございますけれども,この点,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。

続きまして,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【池野著作物流通推進室長補佐】議事次第の方を御覧いただければと思います。配付資料一覧といたしまして,資料1,補償すべき範囲について(案)ということで,両面の2枚綴(つづ)りのステープラどめのものを御用意させていただいております。それから,こちらの配付資料一覧の参考資料1から3に記載してあるものについて,御準備させていただきました。もし不備等ございましたら,お近くの事務局までお知らせください。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。

それでは,初めに議事の進め方について確認しておきたいと存じます。本日の議事は1,クリエーターへの適切な対価還元について,2,その他,この2点となっております。早速ですけれども,議事に入りたいと存じます。クリエーターへの適切な対価還元につきましては,前回,私的録音録画に係るクリエーターへの対価還元についての現状,これを整理させていただきました。今回からはクリエーターへの対価還元についてのこの現状を踏まえ,補償すべき範囲についての議論を行っていきたいと存じます。

初めに,事務局より資料を説明いただいた上で,その後,意見交換を行いたいと思っております。それでは,事務局から説明をお願いいたします。

【俵著作物流通推進室長】ありがとうございます。それでは,補償すべき範囲についての議論を頂きたいと思いますが,その前に参考資料1を確認いただけますでしょうか。前回,私的録音録画に係るクリエーターへの対価還元についての現状ということで整理を頂きました。榊原委員から一部修正の意見を頂いていましたので,それを反映している部分について,まず紹介をさせていただきたいと思います。

4ページを確認いただきます。2,ダウンロード型音楽配信というのが1段落目にあります。最後に注記で1というのを入れています。注記で1と入れている内容は,このページの最後に入れていますが,一部の管理事業者において,ダウンロードに係る著作権使用料について,DRM技術を施す場合の使用料率を低く設定している場合があるという御説明がありました。この説明の部分についてもきちんと記述をすべきではないかという御意見がありました。これについては配信事業者がDRM技術を施すに当たってコストを負担しているということに鑑みて一定の控除を設けているという趣旨によるものだという説明もありましたので,この点を加えて書かせていただいています。

続いて7ページ目を確認いただけますでしょうか。ここは(2)としてDRM技術について記載をしているところです。1行目,2行目の中に動画コンテンツについては放送による流通モデルを除いてはDRM技術によって消費者が私的複製を行うことを禁止する措置(そち)がとられていると書いていましたが,一部動画配信についてはダウンロードした動画を特定のメディアにムーブできるという機能を持つものがあるということの紹介もありましたので,措置(そち)が取られている場合が「ほとんど」であると変えています。

その下にDRM技術のそれぞれ無料放送,有料放送の場合の運用規定について文章と表で整理をしていますが,このルールについては法令で決められているものではなくて,飽くまで運用規定だということをきちんと文の中に書くべきではないかという御意見を頂いていましたので,「DRM技術は関係者により取り決められた運用規定に従い導入されており」という部分を書き加えています。

次に8ページ目を御確認いただきます。こちらが注記で2,3と,これもページで言うと一番下の部分に書き加えていますが,最初に有料放送の部分について,有料放送についても無料放送の場合と同様に放送事業者は権利者と放送許諾契約等を締結し,この後に注記の2というふうに記載をしています。これは有料放送番組について映画作品を提供するか否かの判断に当たっては,DRMの技術によるコピー制限の程度,コピーネバーなのか,コピーワンスなのか,フリーなのかということかと思いますが,これについての程度が,提供するかどうかの判断要素の一つになっている場合があるという説明がありましたので,これもここに加えさせていただいています。

最後に動画配信の部分,これも先ほど前ページのDRM技術のところとほぼ同じ内容になりますが,動画配信の最後のところ,こちらもDRM技術が,配信される動画コンテンツにはDRM技術が施されており,複製を行うことは禁止されていると書いていたのですが,その前に「多くの場合」というふうに,先ほどと同じ理由で入れています。多くの場合,複製を行うことは禁止されているため,私的録画に係る対価は問題とならない。最後のこの3の注記のところには,そのダウンロードした動画を特定のメディアにムーブできる機能を持つものがあるということを加えていることと,この場合,先ほどと同じ内容かもしれませんが,作品を提供するか否かを判断するに当たっては,コピー制御の程度が判断要素の一つとなるという説明があった内容を加えたということです。

修正点は以上になりますが,この現状についての資料について修正した部分を紹介させていただきました。

続いて資料1を確認いただけますでしょうか。先ほど主査から御指摘いただいたように,今回から補償すべき範囲についての議論,論点で言うと2ということで,こちらの議論に入っていただきたいと思っています。その議論に当たって,現状について整理した内容を更に要約した内容がこの資料の1になります。最初,音楽コンテンツの流通モデルごとに契約実態と対価還元の現状を整理した内容が最初の1ページ目から始まる1番目の内容になります。これも今まで議論いただいた内容を整理したものになりますが,パッケージ販売,ダウンロード,ストリーミング,パッケージのレンタルということで整理をし,パッケージ販売とパッケージレンタルについては,ほぼ内容が同じになりますが,消費者の手元に届くまでの利用行為,これについては契約によって権利者に対価還元が行われる。消費者が入手したパッケージ,これは販売についてもレンタルについてもですが,DRM技術が施されていないことから,複製することが自由にできる。これらについては契約上どうかというと,私的録音に係る対価については設けていないということかと思います。

2のダウンロード型音楽配信,これも消費者の手元に届くまでの利用行為は同じであり,消費者の入手した音楽データ,これもDRM技術が施されていないので消費者は自由に音楽コンテンツを複製することができる。同じように私的録音に関わる対価については契約には含まれていないということかと思います。ただ,なお書きで整理をしていますが,消費者の利便性向上のために多くの配信事業者は複数のデバイスに楽曲を配信するマルチデバイス・ダウンロードサービスというのを提供していて,このサービスを利用することでほかのデバイスで,購入した楽曲が視聴できる状況にあるということがありましたので,これについても記述をしています。ストリーミング型配信については,公衆送信の利用行為については対価還元が行われていますが,ストリーミングの際にはセキュリティの技術が施されているので,消費者が私的複製を行うことはできない。そういう意味で音楽コンテンツの利用に係る対価というのは契約において処理されているということができるのかと思います。

2ページ目を御覧いただけますでしょうか。以上を踏まえると,今回,補償すべき範囲の議論の対象としてはパッケージの販売,ダウンロード型の音楽配信,そしてパッケージのレンタル,これについて議論いただく必要があると考えられるということで整理をしています。この資料,図で言いますと右側の消費者の隣に個人的又は家庭内等の閉鎖的範囲ということで図として整理をしていますが,これのカラーの資料で言うと水色の部分,網掛けの部分が今回対象になるのかなということで整理をしました。ダウンロード型音楽配信の最初の配信に伴うコピーのところについては,補償すべき範囲の議論の対象にならないという整理ができると思います。それ以降,コピーがされるということであれば,それは議論の対象にはなるのかなということで整理をさせていただいています。動画コンテンツ,これについても同じように整理をしています。これはパッケージ販売,無料放送,有料放送,動画配信,パッケージレンタルの五つに整理をしていますが,こちらは消費者の手元に届くまでの利用行為あるいは放送するまでの利用行為,公衆送信の利用行為については契約によって権利者への対価還元が行われている。これは全て同じかと思います。

パッケージ販売,動画配信,パッケージレンタル,これらについてはそれぞれDRM技術によって複製を禁止する措置(そち)が講じられているということで,消費者が私的複製をすることはできないということで整理をしています。一方で無料放送,有料放送については,無料放送については原則としてはダビング10を原則としたDRM技術が採用されている。有料放送については原則としてコピーワンスを原則としてはDRM技術が採用されているということで記述をしています。そういう意味では,この範囲であれば視聴者が自由に複製を行うことが可能となっていて,私的録画に係る対価について契約上どうかというと,これは含まれていないということで整理をしています。こちらの以上を踏まえると,今回の補償の要否に関する議論については,有料放送と無料放送,こちらが議論する必要がある対象かなと考えています。コンテンツの流通の図で言うと,右側の有料放送と無料放送のカラーの資料で言うブルーの部分,網掛けの部分が議論の対象ということで整理をしています。

4ページ目になりますが,最後,補償すべき範囲についてということで,同じことを繰り返して整理をしているものです。今まで議論いただいた,補償すべき範囲の論点としては四角囲みのところですが,クリエーターへの対価還元についての現状で把握された現状に基づいてクリエーターへの対価還元が適切に行われておらず,対価還元のための制度的担保又は取組が求められる範囲があるか否か,あるのであればそれはどのような範囲であるのかについて検討が必要であるという論点について,具体的に言うと音楽コンテンツについては三つ,パッケージを購入した消費者が行う私的録音について,ダウンロード型音楽配信により購入した消費者が行う私的録音について,パッケージをレンタルした消費者が行う私的録音について,それぞれ補償が必要だということについて議論を頂きたい。動画コンテンツについては,無料放送,有料放送番組の私的録画について補償が必要かについて議論を頂きたいと考えております。

資料の説明は以上になります。よろしくお願いいたします。

【土肥主査】ありがとうございました。

ただいまお聞きのように,前回,この本小委員会において了解していただきました現状を踏まえて本日の資料1の,結局は4ページということになりますけれども,音楽コンテンツに関しては2ページ目の網でかかった部分,それから,映像に関しましては3ページの同様に網でかかった部分,この部分について現状を踏まえれば議論として対象になるのではないか,こういうことを事務局から示していただきました。本日は,この点について意見交換,こういう方向でいいのかどうかという点に限定してお話を頂ければ,御意見を頂ければと,このように思います。それでは,どうぞ。

椎名委員,どうぞ。

【椎名委員】これはまず質問なのですが,クラウド化サービスに関する著作物の取扱いに関する議論の中で私的複製と定義されたタイプ2のロッカー型のサービスに関するコンテンツのやりとりなどというのは,この音楽コンテンツの絵で言いますと,この右側の青い中にはクラウドの雲が描いていないのですけれども,この中に含まれていると考えてよろしいのでしょうか。

【土肥主査】御質問とおっしゃいましたよね。

【椎名委員】はい。

【土肥主査】では,俵さん,お願いします。

【俵著作物流通推進室長】この図で言う網がかった部分にパソコンなどいろいろな媒体が書いてあります。ここが私的複製があると言われている領域,今回,議論の対象とすべきと考えられている部分として整理をしています。ここにクラウドにコピーをする場合が含まれるのかどうかということかと思いますが,絵では描いていないのですけれども,ここに,パソコンにコピーするのと同じようにクラウドでもコピーされるという実態があれば,それは議論の対象にはなるだろうということで,事務局の中の整理としては考えているということです。

【土肥主査】椎名委員,よろしいですか。

【椎名委員】はい。後学のためにこの絵の意味するところを少し教えていただけますか。この一番上の豚の鼻みたいなのが,これは。ノートパソコンがあって,スタート,ストップのボタンですかね。

【俵著作物流通推進室長】すみません,これはスタートとストップのボタンです。

【椎名委員】ああ,なるほど。

【俵著作物流通推進室長】そのほかパソコンなどを書いています。

【椎名委員】ノートパソコンと,そういうプレイヤーみたいなものとハードディスクとCDR的なものと。

【俵著作物流通推進室長】そうですね。

【椎名委員】あと,家庭内にいる人とノートパソコンということですかね。

【俵著作物流通推進室長】はい。iPodも入っている。

【椎名委員】はい。ありがとうございます。

【土肥主査】ほかに御質問を踏まえて,含めて結構でございますけれども,御意見を頂ければと思いますが。小寺委員,どうぞ。

【小寺委員】動画コンテンツの流通のところに関してなのですけれども,補償の範囲の検討すべき部分というのは,放送に限られるということになっています。この図で言うと,消費者という長い枠があって,その先に動画のファイル的なアイコンがありますけれども,これ,実際にはここは放送局ということですよね。放送波が点線で流れてくるという意味でよろしいですか。

【俵著作物流通推進室長】すみません,図で言うその点線の部分が放送波なのか,映像なのかということでしょうか。

【土肥主査】その点々の部分ですよね。普通,放送ですからチューナーまで来まして,そこからこういうふうに出てくるのだろうと思いますけれども,この図でいくとダビング10,コピーワンスというその部分から直接テレビのチューナー,パソコン,パソコンにもチューナーが入っていることは……。

【小寺委員】あり得ます。

【土肥主査】あり得ますよね。それから,このiPadみたいなこれ,スマートフォンみたいなものがありますが。

【小寺委員】ワンセグじゃないでしょうか。

【土肥主査】ワンセグということですが,いかがですか。

【俵著作物流通推進室長】点線の部分,最初に映像になる前の部分というか,それをここでは表しているんですけれども,それを放送波と言うのか,チューナーと言うのかということでしょうか。

【小寺委員】整理しますと,放送事業者と書いてあって無料放送,有料放送の2枠があって,そこから放送という実線がありますけれども,この放送という線が電波ということですか。

【俵著作物流通推進室長】そうですね。

【小寺委員】それで,ここは消費者が直接視聴しているというケースがここまでで,そこから先は,このフィルムっぽいアイコンが示す,この瞬間というのは何なのでしょうか。

【土肥主査】小寺さんも恐らくよく分かっておっしゃっているのではないかと思うのですが,要するにこれ,消費者の,今この図では,ここにありますよね。消費者のあたりの放送波がこう出ているというのは図としておかしいのではないかという,そういう。

【小寺委員】ああ,そうですね。

【土肥主査】そういうことなので,要するに気持ちとしては,よく事務局のこの図で気持ちでは分かるのですけれども,そこのところは,もしよろしければ口頭でこういう趣旨だというふうにおっしゃっていただければよろしいかと思います。

【俵著作物流通推進室長】ここで整理をしたかったのは,放送を最初にコピーをする,録画をする部分をこの網がけの部分に入れて描いているということです。なので,今回,議論の対象とする範囲はどこかということの話をすると,放送が流れてきて最初に録画をする部分について議論の対象になりますよということで,この図では整理をしたいということです。

【土肥主査】要するに消費者というその枠がありますけれども,ここには黄色いのがこうあって,こう出るんですけれども,大きく全体を考えているということですよね。

【俵著作物流通推進室長】はい。

【河村委員】すみません。

【土肥主査】河村委員,どうぞ。

【河村委員】少し違うかなと思うのですけれども,今おっしゃったのは,その今の事務局の御説明がそうであるならば,このプレイボタンみたいなので描いてあるところは,リアルタイムに見ている状態という,それがないとおかしいですよね。音楽でストリーミングみたいなもので,そういう意味だということであれば,この図は分かるのですけれども。

【俵著作物流通推進室長】リアルタイムで見ている。

【河村委員】そこは要するに必ずしも録画しなくて見られるので,放送を。それがここに表されているという御説明であれば分かるのですが,先ほどの御説明でいいのでしょうかと思うのですけれども,それは消費者のところで表されているんですか。でも,それはほかの図と違いますよね。

【俵著作物流通推進室長】見ることができるかどうかということで言えば,十分見ることができるのですが,それを最初に録画をしますという部分がどこなのかということで言うと,この網がけのところがそこですということを示そうとしたものです。

【河村委員】ですから,放送波ではないということ。

【俵著作物流通推進室長】そうか。はい。そうです。

【土肥主査】点線と実線がかなり議論になっておりますけれども,放送,動画コンテンツというものを私的領域において複製が行われる,行うことができるダビング10,コピーワンスという領域があるわけでございますけれども,この範囲において検討をしてみたらどうかという事業部の提案であり,我々はこの提案を受けて,それで妥当かどうかということを本日議論いただきたいと,このように思っております。

ほかにございましょうか。榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】質問させていただきたいのですけれども,参考資料1の修正点について意見を反映いただいてありがとうございます。その中で8ページ目の脚注3番,ムーブできる機能がある。いわゆるコピーができるわけではないと書かれているのですけれども,この御説明を頂けないかなと思います。ムーブというのは,この業界の人がよく使われる言葉だったりすると思うのですけれども,元々あるコピー,オリジナルなのか複製物か分かりませんけれども,著作物がこちらに移る。移ると元のものが消えるというか,なくなって,また戻すことはできるけれども,複製物としては常に1。普通はコピーをすると1が2になると思うのですけれども,こっちの元のものが消えない。ムーブの場合は消えるということだと理解をしているのですけれども,そういう定義を前提に書かれているとすると,ここで紹介されているようなサービスというのはそういうムーブだとすると,著作権法上の複製にはやっぱり当たるのではないかなと思ったのですけれども,コピーではないという意味がちょっとよく分からないという点です。

それからもう1点,御質問させていただきたいのが,資料1の今ちょうど議論になっていた動画コンテンツの流通の図,4ページの下にある動画コンテンツの流通の図なのですけれども,流通として大きく5種類,上から分けられていて,真ん中の三つ,無料放送,有料放送,動画配信の三つなのですけれども,上の二つ,無料放送と有料放送はダビング10だとか,コピーワンスだとかいう紹介がされていて,私の理解ではコピーネバーとか,コピーワンスとかも選択肢としてはあるけれども,実際にはほぼ全放送事業者が一つのものを選んで採用した結果,多分,採用という言葉がどこかで使われていたと思うのですけれども,その複数の選択肢から採用されてこうなっているということだろうと思うのですが,三つ目の動画配信も,こちらはサービスごとに例えば1個コピーができるとか,全然できないとか,ストリーミングとダウンロードと両方用意しているとか,10台までコピーしてもいいよとか,ムーブだったり,コピーだったりとか,もうサービスごとに多種多様なものがあると思うのですけれども,上の無料,有料放送と下の動画配信の差というのは,結局,そのDRMがあるという意味では一緒で,選択肢が多いか少ないかとか,みんなが同じものを選んでいるかどうかとか,その程度の差なので,抽象的に言うと同じなのだけれども,違いを言えばそういうことなので,そういう意味では不正確ではないかなと思いまして,私も専門ではないので,例えば小寺委員とか岩本委員とかのが詳しいと思うのですけれども,そういう理解では正しいですかという御質問です。

【土肥主査】御質問ですので,まず,質問の1のところから,2についてはほかの委員の方で御専門の方もおいでになりますから,その方に確認することも可能だと思いますので,1についていかがですか。

【俵著作物流通推進室長】参考資料ですね。

【土肥主査】はい。8ページ。

【俵著作物流通推進室長】参考資料の8ページにある注3のところかと思います。ここでは事務局としても榊原委員が言われたように,ムーブというのはコピーを複数できないので,ムーブをすると元のものが消えてしまうという理解でムーブという言葉を使っています。説明も恐らくそういうことだったかと思います。いわゆるコピーができるわけではないと書いたのは言葉が不十分だったかも知れません。複数のコピーができるわけではないという意味で,コピーとムーブの違いを整理するために書いたのですけれども,ここで言うと,いわゆる複数コピーができるわけではないというのが正確かと思います。

【土肥主査】はい。

【俵著作物流通推進室長】2番目の内容については,事実関係について,もしお分かりになる方がいれば説明いただければ。

【華頂委員】はい。

【土肥主査】華頂委員,お願いいたします。

【華頂委員】先ほどの榊原委員の御発言で2番目の御質問なのですけれども,これは参考資料1の7ページ,真ん中にコピーフリーからコピーネバーまでの分かりやすい図が描いてあるのですけれども,コンテンツ,映像,番組供給している側(がわ)から言うと,ここにもはっきり書いてありますけれども,コピーネバーを選択する選択肢はないですね。ですから,この資料1に戻って,この動画コンテンツの流通の図に戻ると,この網かけ,青い部分が,今,補償の範囲と言われていますけれども,今非常にアンフェアな状況なので,このままの状況が続くのであればコピーネバーを選択できるような状況にしてもらえばいいかなと思いますね。

更に言えば,コピーワンスもあるのですけれども,そういう電波に仕込む技術ではなくて,ほかの技術でコピーワンスよりももう一つ制御した技術もできる,要するにハードディスクに1回タイムシフトでコピーしたものが表に出ないというふうにする技術もあるんですよね。ですから,そういうふうなものを全て選択できるようにしていただければ,もしかしたら補償の範囲自体が消えるかもしれませんね。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。

ちょっと難しかったのですけれども,1の方は要するに事務局の気持ちとしては複製とは書いていないので,恐らく榊原委員は複製の有形的再生のところでゴリゴリおっしゃっているのだろうと思うのですけれども,確かにムーブというところですよね。それはいわゆる一般的な細かい法律上の定義と別に,そのムーブというものと複製というものと少し分けて「いわゆるコピー」というところで事務局としては説明しているのだろうと思います。

それから,二つ目のところなのですけれども,華頂委員の御説明で7ページのこの有料放送のこの図をもって御説明いただいたと思うのですけれども,榊原委員は,おっしゃっておられたのは,いわゆる動画配信との関係でおっしゃっていたと思うんですね。ですから,そこは大丈夫なんですか。

【華頂委員】すみませんでした。少し言葉が足りなかった。だから,動画配信とは明確に違うと思いますね。すみません。要するに放送について,我々,選択できないような状況になっているので,一番厳しいと言われているコピーネバーがですね。ですけれども,配信の場合は,我々がそのDRMをいろいろ指定できて,それで契約を結んでいますので,ですから,放送と配信は全くコンテンツホルダーからすれば制御できるか,できないかという大きな違いがあると思いますけれども。

【土肥主査】どうぞ。

【榊原委員】できれば小寺さんにも御説明を頂けないかなと思うのですけれども,小寺委員にも。というのは,選択ができないということのようなのですけれども,運用規定に沿うとどうなるというのは分かるのですけれども,幾つか選択肢があって,例えば有料放送などはネバーとかワンスとかがあるのではないかなと,そう聞いた記憶がありますし,運用規定は運用規定でそうなのでしょうけれども,その選択肢がある中で,みんなでこうしましょうと決めたのが運用規定だということなのではないかなというのが質問の趣旨です。

【土肥主査】あくまでも現状の話ですよね。

【榊原委員】はい。そうです。

【土肥主査】現状の話で選択肢はないとおっしゃったと思うのですけれども,小寺委員,その現状の話でも選択肢があるんですか。

【小寺委員】この参考資料1の7ページの真ん中にある表なのですけれども,有料放送に関しては一番上の表,ペイパービューと書いてある。そこのコピー禁止,コピーネバーという矢印がありますけれども,そこに運用可と書いてありますので,ペイパービューの放送に関しては録画をさせないという運用は可能ですし,実際にしている事業者さんもあります。

【土肥主査】ペイパービューの場合はね。

【小寺委員】はい。

【土肥主査】はい。よろしいですね。前回の委員会において現状というものはこういうものであるということで御了解いただいたと私は承知しておりますので,この上に立ってひとつ本日の補償すべき範囲といいますか,補償すべき,まずは流通ルート,この点,まず大きく案が示されておりますので,その流通ルートはこれとこれとこれでいいのか,その上でその流通ルートの中のどこを補償すべき範囲として切り出すのか,こういったことについて是非委員のお知恵をちょうだいいただければと期待しております。どうぞ。

【小寺委員】消費者の立場として率直にお話をさせていただきたいなと思うのですけれども,先ほど見た動画コンテンツの流通のページにまた戻っていただきたいのですが,最初に放送波を,レコーダーなどを使って録画するという瞬間がございます。この録画するという瞬間のところは,もう補償の範囲としなくてもいいのではないかなと思っています。

といいますのも,以前レコーダーというのは,皆さんテープレコーダーの時代を御存じかと思うのですけれども,放送波を録画したメディアそのものを取り出して永久保存するということが昔はできました。デジタル時代になっても,デジタルVTRというものがあって,テープでとって取り出したり,あるいはDVD-Rに直接録画をしたりして,それを取り出して保存するというようなことができましたけれども,今現在のレコーダーというのは,ほとんどハードディスクで録(と)るものが,主流でありまして,メディアそのものを保存することができず,永久的に保存するのであれば,またそこからコピーを行って保存するという2ステップに変わってきております。

なお一方,既にテレビを録画するという行為自体はベータマックスとVHSが開発されてからもう40年,消費者の中に浸透しておりまして,私たちの市民生活の中では,既にテレビを見るという行為自体も直接視聴と,それから,タイム視聴とほぼ同化しているような状況でございます。そういった中では,放送波を最初に録画する瞬間というのは特に補償の範囲でなくてもいいのではないかなと私たちは考えています。

【土肥主査】お考え,了解いたしましたけれども,逆に言うと,今,放送波に関して地上波についておっしゃったのだと思うのですけれども,この流通ルートは考察すべき検討対象とはなるということでもあるのだろうと思います。

ほかにいかがでございましょうか。放送ももちろん重要,映像の方も重要でありますけれども,音楽コンテンツの方も同様に重要でございますので,松本委員,どうぞ。

【松本委員】動画というか,私どもアニメーションの業界ですので,その現状といいますか,実情も含めて少しお話しさせていただきたいのですけれども,アニメの業界,プロダクション,いわゆる制作会社の収入が,私どもの調査ですと約1,900億円ございます。その中に放送権料ですとか制作費とか,あるいはマーチャンダイジングのいわゆるロイヤルティの収入,2次利用の収入が含まれています。年間において,アニメーションはテレビシリーズで150本,劇場作品で70本ほど,年間で約二百数十本,アニメが制作されています。単年度で収益は構成されるものではないので,今の1,800~1,900億は何年かにわたっての商品化も含められるのですけれども,年間で言うとそういう数字になります。それを利用して例えばおもちゃの業界ですとか,ビデオの業界,あるいは音楽ですとか,いわゆるマーチャンダイジングとしてロイヤルティを支払って稼いでいるといいますか,そういうビジネスにしている業界の収入が約1兆5,000億ございます。

アニメーションを利用して売上げを立てている業界の収入が,売上げが約1兆5,000億あります。我々アニメーション業界の収入に対して約10倍の数字としてあります。そのうちのパッケージですとか,先ほども議論がいろいろ出ていますこの表の後ろにも出ていますけれども,パッケージですとか,放送ですとか配信というものは全て契約でそれぞれ料率となる条件を決めて,コピーできる,できないということも含めて,全て契約で成立しています。これは皆さん,御意見を出されたとおりだと思います。ところが,この表に含まれていない録画機器,ハードディスクも含めてプレイヤー,あるいはそれに準ずるものについての売上げ貢献,アニメーションを含む動画を利用して売上げ貢献が我々は全く把握できておりません。電気業界のメディア機器の売上げ,何十兆円あるのか知りませんけれども,動画を利用して,活用して商品,商売をやっている商品カテゴリーという売上げは全く把握できておりません。

それがもし数兆円あるとしたら,我々アニメーションをベースにして録画なり,再生なり,あるいはコピーするということの機能利便性でビジネスが成り立っていることをメーカーさんが感じているのであれば,そのメーカーの収益から少しでも,かつて私的録画補償金制度ってございましたけれども,あの制度が多分有効に活用されていれば,その辺の,この絵に含まれていない業界シェアといいますか,売上げ規模といいますか,貢献といいますか,それがここに表された数字を分析されることを私は望みたいなと思います。メディア機器の業界団体といいますか,業界機器の売上げ貢献がコンテンツによってどれだけあるのかというのが分析できれば非常に有り難いと思います。よろしくお願いします。

【土肥主査】華頂委員,どうぞ。

【華頂委員】先ほど小寺委員が放送からの録画で補償に当たらない部分があるとおっしゃったのですけれども,だったら先ほどから繰り返しになりますけれども,そういうふうに補償の範囲に当たらない部分があるとおっしゃるのであれば,コピーフリーからコピーネバーまで我々が選択をできるようになってから,無料放送も含めて放送全域,全ての制御,あるいはこの技術システム全て選択できるようしてからおっしゃっていただきたいなと思います。すみません,先ほどからこういうふうなことを,私,立て続けにコピーネバー,ネバーと言っていますけれども,補償金の運用が途絶しているのでこういうふうに言えるわけで,もしも補償金の運用がどこかであれば,コピーネバーなんていうことは私の口からは言えないわけで,ですから,今の状況がこういう状況なので,コピーネバーを選択できるような状況にしたらどうかなと申し上げているわけです。

【土肥主査】はい。榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】どうすべきという意見とは違って,先ほど動画コンテンツの流通について表した表の正確性について,ちょっとしつこいようで申し訳ないのですけれども,最初の質問で上の二つは選択肢が少なくて,下は多いという違いなのではないですかというのが私の質問だったわけです。結局,華頂さんとか小寺さんの説明を聞くと選択できない。でも,ここも選択できるとかという話があったので,選択肢が非常に少ないと形容すればそうなのかもしれませんけれども,その選択肢の多い少ないの話であるにもかかわらず,この記載を見ると,動画配信のところは一番右端にDRM対応,だから私的複製は生じないというふうに書いてあって,上もDRM対応なわけですね。

でも,私的複製は生じるという意味でダビング10とかコピーワンスを紹介されているのかなと思うのですけれども,下もDRM対応ですけれども,例えば1個だったり2個だったり,まあ,ネバーみたいなものだったりがあるはずなので,そこがやっぱり少し書き分け方が違うのではないでしょうかという前提の事実を確認してもやっぱりそうではないかと思いました。御説明として分かりにくいでしょうか。

【土肥主査】榊原委員のおっしゃるところというのは,動画配信に関してはこういう図で,いわゆるDRMによって私的複製はできない,こういう図になっているわけですけれども,できる場合もあるので補償金の対象とすべきであるというふうにおっしゃっているんですか。

【榊原委員】違います。

【土肥主査】恐らくそうだろうとは思いますけれども……。

【榊原委員】べきとか,べきではないという意見ではないです。そこは。

【土肥主査】そうすると,現実にその分野の専門委員の方が,この部分についてはDRMで対応していて,私的複製は生じないとおっしゃっておいでになるのですけれども,いや,できるというのはどういうことなんですかね。

【榊原委員】コピーができるという意味では一緒なのではないですかというのが私の指摘で,そのコピーが私的複製なのか,契約で例えば対価が支払われている,支払われていないという話とは別問題だと思うんです,その法的評価として。コピーができるという意味では,事実としては一緒なのではないですかという趣旨です。

【華頂委員】配信の部分なのですが,私も技術的にはあまり詳しくないのですが,要するに先ほども申し上げましたけれども,配信,コンテンツを供給するときには,仮に消費者の方が視聴してから,更にどこかに行くとコピーができるというふうなことのサービスであれば,それは契約でもうきちっと織り込み済みでやっていることで私たちがそれを選択して,その分の対価を頂いているというようなことだと思うんですけどね。更にということであれば,また動画配信に詳しい方にお聞きした方がいいと思うのですけれども,要するにコンテンツホルダーが選択して織り込み済みでやっているか,それとも制御できないところでコピーされているかということの違いだと思いますけれども。

【土肥主査】どうぞ。

【小寺委員】華頂委員の話ですと,権利者さんがコントローラブルであるところは補償の範囲でなくてもよいという解釈でよろしいかと思うのですけれども,そうすると放送の有料放送というところを見ますと,今,有料放送という一つのラインしかございませんけれども,参考資料の7ページの表によれば有料放送はペイパービューと月極(ぎ)め有料放送の二つになっていて,ペイパービューの方は全ての条件で運用可となっておりますので,ここはコントローラブルだということかと思います。ということは,有料放送のうちのペイパービューというところは補償の範囲でなくてもよいということでよろしいでしょうか。

【土肥主査】どうぞ。

【華頂委員】この表が正しくてペイパービューでコピー禁止が運用可になっていて,選択できるということであればそうだと思いますけれども。

【土肥主査】椎名委員,どうぞ。

【椎名委員】すみません,華頂さん,映画に限ってということですよね。

【華頂委員】映画に限ってというのは。

【椎名委員】例えば地上放送の番組とか映画以外のコンテンツも全て補償対象とならないということですか。

【華頂委員】いや,コピーネバーが運用可能になっていればどうなんですかね。難しいところだと思うんですけれども,補償の範囲に当たらない分野なのかなと思いますけれども,どうなのでしょうか。

【椎名委員】運用可能で,それを選択すればということなんですかね。

【土肥主査】今の話なのですけれども,要するに将来的に,技術的にそういう選択が可能だという場合と,ここでの話というのは現状を踏まえてコピーワンスであるとか,ダビング10とか,そういう状態の下でクリエーターに対する適切な対価還元はどうかという,そういう議論をさせていただいております。したがって,つまり,コピーワンスもコピーネバーもできるのにコピーワンスなのでという議論でたとえあったとしても,榊原委員の言われるような厳密な意味での複製ということであれば立派にそこは複製があるわけですし,私的領域において一度であろうと複製が行われている。それである限り30条の問題は当然生ずることになるわけです。あとは,その後,それを補償金に含めるかどうかという,そういう判断は,これは出てくるのだろうと思いますけれども,その検討の対象にはなるのではないかなと思いますが。

【華頂委員】すみません,華頂です。私も実際そのコピーネバーで運用しているというのは,実際あまり聞かないもので,そこに持ってきてこういう議論になったのであれなのですけれども,ですから,コピーネバーを選択するそのコンテンツは少ないわけで,そういう比率を出して,それで補償の範囲にするみたいな,そういうことになるのではないですかね。圧倒的にコピーワンス,それから,ダビング10,これで運用しているケースが多いわけで,コピーネバーってあまり聞いたことがないんですけどね,実際に運用しているということ。

【土肥主査】松本委員,どうぞ。

【松本委員】動画の配信の中ではコピーネバーというよりも,ダウンロードレンタルという呼び方をして,3日間ですとか1週間ですとか,そこでDRMというか,時間制限を加えて消えてしまうという形をとっています。それがこのコピーネバーと言っていいのかどうかあれですけれども,当然,その間は視聴はできますけれどもコピーはできません。それと,そのダウンロードレンタル以外は全てストリーミングという形で契約をしておりますので,有料放送という部分でいくと,例えばCATVとか何かで全ての放送がされていますよね。その中でレンタルというんですか,有料放送,有料視聴といいますか,という形でタイトルごと,コンテンツごとで,その作品は有料ですということでレンタルしているものもございますが,それをここで指すのかどうかちょっと判断に迷いますけれども,少なくともダウンロードレンタルという形の仕組みがございますので,それがコピーネバーに近いかなとは思いますね。

【土肥主査】どうぞ。

【華頂委員】先ほどから議論が発展していますけれども,私が最初にコピーネバーの件を持ち出したのは,現状が,繰り返しになりますけれども,録画補償金が途絶している状況なので,こういうふうな状況であれば全てが選択できるようにしていただかないとフェアじゃないなということで申し上げているだけなので。

【土肥主査】全て選択できるかどうかについて我々がここで選択できるような方向で議論ができるかというと,それはちょっと著作権法の外の話になってしまいますので,我々としては,それはあくまでもその点については現状ということで議論をさせていただきたいと思います。

河村委員,どうぞ。

【河村委員】この補償すべき範囲という議論が先ほどからいろいろな方の中で言われているのですけれども,DRMの技術がここまで進んできて,主査も何度も現状というふうにおっしゃってはいますが,ここでは補償金制度というのを法的にというんですか,考えるときに,その元になっている消費者のDRMに係る利便の程度というのは,いつも私がダビング10の話をするときに,それは法律でも何でもなくて運用だからとおっしゃいますが,そういうものに左右されているということから考えると,この青い範囲だって先ほどから議論があるように,今,青い範囲ではないところだって青い範囲になる,すぐ青くなっていくものがあるかもしれないし,逆に言えば放送のところだって,以前私たちが指摘したように4K,8Kになったときにはコピーネバーにしようかという議論が突然何かブラックボックスの中にその議論が入って見えなくなってしまったのですが,そういうふうに運用でしようとすることが可能な世界なのに範囲を今現状こうだからという議論は何か無理があるのではないかなというのが私の意見です。

それで,先ほどから華頂委員がネバーを選択できるなら,ネバーだったら言えないですよねということをおっしゃっていて,私はその全く逆のことを以前からペーパーも出して申し上げているわけで,その運用でどうにかなるというのではなくて,私はこれ,動画のことを申し上げていますが,放送の公共的と言われている,いわゆるここで言う無料放送のところ,そこは運用でどうにでもなるのではなくて,かけられないというルールが世の中にあればそれが現状というか,そういうルールが別途あったときには消費者は補償金のような,つまり,今,これは一緒くたに議論されていますけれども,そこのところは業者たちが集まってと言うとおかしいですけれども,話し合えばそれを幾らでもこの表を書き換えられるみたいな,その運用可とか不可を書き換えられるということではなくて,公共的な放送にはそういうことは書けないようにするという何かルールがあった暁には補償金のような,そこに限定したルールというのが考えられますし,受け入れる準備がありますということを何度も申し上げていて。

今,今日の議論を聞いていても非常に曖昧(あいまい)と言うとおかしいですけれども,視点がそれぞれ違うので,私がこういうことを申し上げると,そういう細かいことを言われてもとよく言われるのですけれども,そういうふうにしていかないと何かまとまりがつかない。私自身,この私的録音録画補償金について何かもう10年ぐらい同じことを繰り返しこの席で,ほとんど論点が変わらないんですけれども,DRMの技術とか,そういうのだけがやっぱり,その最初に出てきた頃よりはずっと進んでいるということを考えると,この範囲というのを青と白でくっきり分けて考えていくというのは無理があるのではないかなと思います。というのが意見です。

【土肥主査】ありがとうございました。

では,椎名委員,どうぞ。

【椎名委員】いろいろな意見が出て混乱しているように思うのですが,まずはこの今日出てきたものが参考資料1というものをベースにしていて,参考資料1というのは何を見たかというと,私的複製というものに関連してクリエーターに対価がどのように還元されているか,もう既に還元されてオーケーになっているのか,いや,ここは還元されていないのかというようなことを分析して参考資料1ができたと思うんですね。それを踏まえて今日の資料の1が出てきたと思うのですが,そこでやはり見るのは,まずコピーできるのか,できないのか。

そして,そのコピーがもう既に契約等でクリアリングがされているのか,いないのかというようなところで,事務局としては青の網をかけるという形で対象となる部分を抽出した上で,そこで補償が必要かどうかという議論を今日したいという趣旨だと思います。で,細かいことはあると思うのですが,その議論の方向性自体には間違いはないと思っていて,いろいろと出ている,ちょっと齟齬(そご)があるのではないかとかいうようなところは今後調整した上で,補償すべき範囲を特定していくという方向性に間違いはないのではないかと思います。

それと,松本委員がおっしゃっていた,いわゆる産業間の利益調整という観点,これはこのあとこの制度の設計自体を考えていくときにも非常に有用な部分であると思います。複製ができることによって生まれる利益というのは,単にユーザーのみならず,その手段を提供する人たちにも莫大(ばくだい)な利益をもたらすわけで,デジタルプロダクツ,それから,それに代替する様々なWeb上のサービス提供者の産業規模みたいなことも見ていく必要があるという御意見だと思います。それに関しては,僕も全面的に賛成をいたします。

録画に関して話が集中して,音楽も大事ですという先生のお言葉を受けまして,資料1の最終ページに音楽コンテンツと動画コンテンツ,それぞれこの分析を踏まえた上で整理がされていると思います。まず,音楽コンテンツに関してはパッケージを購入した消費者が行う私的録音,それから,ダウンロード型音楽配信により購入した消費者が行う私的録音,パッケージをレンタルした消費者が行う私的録音というこの三つが分析の結果としてあるのですが,2ページに戻っていただきますと,音楽で言いますと,まずパッケージに関してはDRM非対応で,このブルーの部分が対象になるでしょうと。それから,配信に関しても,配信サービスとして,配信事業者からユーザーの手元に行くところまでは契約で担保されているけれども,その後については対象になるでしょうと。

対価の還元という見地から言うと,参考資料の4ページですか,マルチデバイスに関して言及されていて,真ん中辺ですけれども,1課金1ダウンロードを実施していた時期の1曲当たりの価格とDRM技術を解除して,マルチデバイス・ダウンロードを実施している現在の1曲当たりの価格を比較すると,現在の価格の方が低いというような,いわゆる業界的な事情も出てきている。それで本当に対価の還元がされているのかどうかという議論は今後あるとは思いますが,一応,契約で担保されている部分で最初にユーザーの手元に行くところまでは契約に担保されている。パッケージと同じように,その後展開する部分については補償の対象になると考えられる。レンタルからの複製についてもパッケージと同様の展開でございますので,ここも補償の対象になるのではないかと思っております。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。

今,椎名委員が言われたところの音楽コンテンツに関しては,本日の資料の2ページにある網かけ部分の範囲において補償すべき範囲として基本的に考えるということ,そういう御意見ですね。

【椎名委員】はい。

【土肥主査】この点について異論といいますか,御異議等々の御意見ございましたらお願いいたします。

【世古委員】JASRACです。異論ではございませんで,全く全面的に賛成いたします。冒頭,椎名委員からこの青い部分についての私的複製の部分については,いわゆる媒体等への複製以外にもクラウドという形での複製が行われるということも意味されているということでございますので,内容的にはこれで網羅されていると感じております。

【土肥主査】ありがとうございました。

ほかに御異議はないでしょうか。河村委員,どうぞ。

【河村委員】議論の範囲に加えるべきか否かと聞かれているのか,補償すべき範囲にするか,しないかと聞かれているのかが何か分からないんですね,議論の中で。ここはもう議論の対象ではなくていいというだけのことであれば,私,ある意味,理屈が通っていれば議論の俎上(そじょう)になることにちゃんと線引きをしてするべきだと思いますが,何か補償すべき範囲はこれでいいですねというのに異論はないかと言われて終わってしまうと大変何か違うと思うので,今日の議論は議論すべき範囲の確認ということなのか,それとも補償すべき範囲なのかを教えていただけますか。

【土肥主査】理想的には議論すべき範囲であり,かつそこが補償すべき範囲であるというふうになる方が,本小委員会の議論の進捗としては望ましいと私は思っているのですけれども,しかし,この問題は以前からいろいろ議論のあるところでございますので,慎重にといいますか,皆さんの意見を積み重ねて最終的に合意が得られるような形にしたいと思っております。

そういうことで,議論の対象となる範囲ということを前提にしつつ,例えば先ほど小寺委員のようにここはどうかというような補償すべき範囲を意識して御発言もございましたので,両方とも私としては歓迎でございます。つまり,検討すべき流通ルートの範囲はこの網かけでよろしいという意見,更に加えて補償すべき範囲としてはこういうものが考えられる,こういうものは考えられないのではないかというような御意見も歓迎でございます。その場合,後者の場合は検討すべき流通ルートとしてはこれを前提にして発言しているということをおっしゃっていただければ,更に有り難いと思っております。

どうぞ。

【末吉副主査】今日の資料1の2ページ,3ページのこの網かけの部分を,今考えている補償すべき範囲と考えるのが,私は妥当ではないかと思います。今日の参考資料2にございますが,今日の議論は飽くまで補償すべき範囲について議論がされていて,あと残されているのが対価還元の手段の論点であり,この点は次回以降議論されるのだと思いますので,その対価還元の手段の点を除きまして補償すべき範囲については,この2ページと3ページの網かけ部分でいいのではないかと私は思います。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。

この現状,それから,範囲,手段というのは昨年11月に本小委員会の中で,こういう形で問題点を整理するということを了解していただいたわけでございますので,それを踏まえて現在の議論は進んでいるところでございます。今,末吉委員がおっしゃったような意見,私は大歓迎でございますけれども,ほかに御意見ございましょうか。

小寺委員。

【小寺委員】音楽の方の流通コンテンツに関して少し意見を述べさせていただきます。この2ページの図では,パソコンであったり,スマートフォンであったり,プレイヤー,ハードディスク,CDRなどなど機器とメディアベースで今考えておりますけれども,ユーザーとしては,例えばダウンロードの部分を見てみますと,ダウンロードでファイルとして購入したと。ただ,それが失われないようにバックアップをとっておきたい。例えばパソコンを買い替えるときには失われてしまうのでバックアップをとっておきたいだとか,あるいはハードディスクの故障に備えてバックアップをとっておきたいというようなときにコピーをしておく。使い道としては,そういうふうにハードディスクなどは考えられるわけで,このバックアップしたハードディスクを直接視聴機として運用していないケースもあるわけです。そう考えると,バックアップに関して,バックアップという用途に関しては補償の範囲でなくてもいいのではないかなと思います。

【土肥主査】バックアップですね。何もバックアップという,そういう規定というか,複製かどうかというところで議論をしているところでございますので,ユーザーの方,消費者の方のお考えはよくよく承知をしておりますけれども,貴重な御意見かと思っております。

ほかにいかがでございましょうか。小寺委員は基本的に音楽に関しては,この網かけの部分がこの流通ルートも含め,検討の対象として基本的にはいく。さらに,そのとき検討する際におっしゃるような外すべき部分はあるという御意見でよろしいですね。

【小寺委員】はい。

【土肥主査】はい。ほかに。今子委員,手を挙げられましたか。どうぞ。

【今子委員】今回,図に示されている視聴の行動は,今現在どのように行われているかということに尽きており,将来の利用者の視聴行動についてはあまり記されていないのではないかと思っています。例えば放送番組については見逃し配信が増えてきたりとか,サイマル配信も非常にこれから発展するだろうと考えられまして,以前,事業者さんにヒアリングをしたときに,CDなどのパッケージではなくストリーム型の配信が非常に伸びているとかいうお話も伺うことができました。制度の検討に当たっては少なくとも,これから何年か先にどういうふうになっていくかということもしっかり見据えて検討をしていく必要があると思っております。

【土肥主査】おっしゃるとおりでありますけれども,なかなかそれを議論していくと,ゴールはまた更に先の方に転がって,少なくともまず現状を踏まえる中で見通せる将来の範囲は考えておくということで対応させていただければと思います。具体の制度設計のときに,恐らくその意見というのは非常に重要なところになってきて,また別の御意見も当然出てくるわけであります。そうすると,将来を想像するとどうしようかなという部分があるわけでありますが,しかし,過去を踏まえて将来的なことも考えながら制度を構築していくという,その御意見は貴重な御意見としていただきたいと存じます。

ほかにございますか。華頂委員,どうぞ。

【華頂委員】録音の方で質問なのですけれども,録音の補償金と録画の補償金,決定的に違うのは録音の補償金は細々とですけれども制度が運用されていると認識していますが,今現状,その補償金が生まれているのはこの部分,まさにこの部分ということで,それを今再確認しているということなのでしょうか。

【土肥主査】それは事務局でお願いします。

【俵著作物流通推進室長】現在の補償金額について,録画については2012年の出荷分以降ゼロです。録音については,昨年度出荷分で5,700万ぐらいの補償金の収入があります。補償金の対象は機器と媒体ということで,媒体はほぼCDRが占めているという状況ではないかと思います。媒体と機器の関係は明確に今分からないのですけれども,ほぼ七,八割が媒体,残りがというような形になっているというのが今の補償金の現状かと思います。

【土肥主査】ありがとうございました。

よろしゅうございますか。松本委員,どうぞ。

【松本委員】確認したいのですけれども,資料1の4ページ,最後のページ,動画コンテンツのところで,先ほど議論の中で有料,無料の私的録画についての補償が必要かという2項目がありますけれども,先ほど私が申し上げたこのページの2ページのこの絵の,上からパソコン,ハード,モザイクがかかったようになっていますけれども,是非この縦軸で網かけを入れてほしいですね。

【土肥主査】縦軸で,というのはどういうことでしょうか。

【松本委員】はい。録画,動画,音楽も同じでしょうけれども,録画する機器,あるいは再生する機器での補償金もそこに,検討に含めるような議論の対象にしていただければ有り難いですね。

【松田委員】今,松本委員の御主張は,本来,個人的に又は家庭内で利用する目的の複製にない場合であったとしても,それぞれの機器においては,受信する機器においては,これは補償の対象の範囲内にすべきだという,こういう御意見でしょうか。

【松本委員】補償という言い方がいいのか,それとも商品化,マーチャンダイジング,ロイヤルティという形で,契約で対応しているのですけれども,いわゆるコンテンツを利用して,それで利益を得る商品,あるいは機器といいますか,特にここで言えばこの録画,再生機器,あるいはそれに準じるものについては,そのコンテンツで利益を得ているわけですから,それと何らかの対価といいますか,補償金というよりもロイヤルティ的な考え方はあってもいいのではないかという気はします。パーセント,考え方はいろいろ議論の余地があると思いますけれども。

【松田委員】今の意見に対して,いささか疑問を持っております。今のこの資料1,参考資料1で議論している範囲内のものは,明確には私的録音録画補償金制度をどういうふうに構築するか,それによって対価還元をしようというところまでは言ってはいないのでありますけれども,一応,法律的な規定制度としてはあるところの30条第2項の範囲内の私的利用,これに対する補償というものを考えようということで議論をしているのだろうと私は思えるのであります。

そうすると,資料1の2ページ,3ページに書かれているところの黄色の枠組みの中で,なおかつ私的複製が生じない部分をデリートし,なおかつ黄色の範囲外のところは,もう一切入れない,こういう認識で理解をしておりまして,先ほど末吉委員が言われたように,2ページ,3ページの資料の中の網かけ部分における私的複製の範囲を対価の還元の考慮対象要素として考えようというところで,私は理解しております。そういう意味で,末吉委員とその点についての結論は全く同じであります。といいますと,松本委員が言われた全ての機器は何らかのコンテンツの恩恵を受けているのではないかという部分は,もしかしたらあるかもしれませんが,そこまでの議論をここでしているのではないという理解でおりますので,一応,それについては反対の意見を示しておきたいと思います。

【土肥主査】奥邨委員,どうぞ。

【奥邨委員】私も同じことをやはり申し上げておきたいと思います。この資料,補償すべき範囲となっているので,青い網かけの中を細かく見たくなるわけですけれども,まず重要なのは,そもそも議論しなくていい範囲というのを確定することになるわけで,青以外はやらなくていいということでもあって,そのやらなくていいということは結局,私的複製の余地がない,技術的に余地がない又は余地はあったとしても,もう既にコンテンツの提供者としては対価を盛り込んでいる,複製の対価を盛り込んでいると考えているような範囲があるとすれば,そこについては一切検討する必要がないということで,その2点で整理をされている資料だと思いますので,そこに例えば再生する機能があるとか,何らかの利用する機能があるということで,より広げていくということになると,そもそもこの前提とは違う議論をするということになりますので,少なくともこの資料に盛り込むということは現時点では難しいし,やるのであれば別途,別の更に検討をしてからでないと,これまでの参考資料1で議論していた内容とは少しかけ離れてきて,この資料1でまとめていくというのは難しいのではないかと私は思います。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。

本小委員会の設置の趣旨,それから,これまでの議論の経緯,そういったことを踏まえて松本委員には是非御了解いただければと思っております。よろしくお願いします。

ほかにいかがでございましょうか。榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】この2ページ,3ページの図で,先ほどは動画コンテンツの放送だけが動画配信と書き分け方が同じ部分があるのにおかしいのではないかという指摘をさせていただいているのですけれども,それとの関係で音楽の方の網かけが三つありますけれども,真ん中の音楽配信と動画配信を見比べると,音楽の方だけ網かけがあって動画の方にはないという違いがあります。ここも動画の方はDRM対応だから契約で対価がもう払われているからいいのだと。音楽の方はそうではないというのは,結局,この書き分け方の違いは客観的に選択ができるかどうかとか,プライスインができるかどうかではなくて,権利者の上流部分にいる人が対価を含めているとか,含めていないとかという認識に基づいて書き分けているんですかと。

そうすると,放送のところも先ほど選択肢は少ないけれどもあるねと。例えば有料放送に運用規定などを見ると運用可となっているものと運用不可となっているものがあるわけですけれども,では,運用可のどれかを選ぶとか,運用不可を選ぶとかという選択で選んでいるという意味でも,そこもやっぱり同じじゃないのかなという意味で,やっぱり書き方が少し論点とするのはいいのですけれども,違うのではないかなと思ったので事務局の方にそこは御検討いただければなと思います。

【俵著作物流通推進室長】その書き分けなのですけれども,先ほどあったようにこの網かけの部分というのは,奥邨先生が上手に整理をしていただいたのですけれども,私的複製ができるかどうかということと,契約によってコントロールしているかどうかという部分を考慮して,網かけでない部分は私的複製できない,コントロールができているというところで整理をしたものです。放送については,それが運用規定なのか法令によるのかという違いはあるのかもしれませんが,少なくとも運用規定の中でコピーネバーやコピーワンスなど,自由にコピーのコントロールができるようになっているかということで言うと,先ほど指摘のあったペイパービューについては,コピーネバーを含めて,コピーのコントロールはできるという部分に入るのかもしれません。そこはこの資料の中には入れていませんが,それ以外の部分については,運用規定という中ではありますが,コピーネバーを選ぶことができないという状況なので,そういうことで放送についてはこの網かけの部分として整理をしてみたということです。

【華頂委員】すみません,一つ。

【土肥主査】はい。どうぞ。

【華頂委員】またその有料放送のペイパービューのところに戻っているのですけれども,これ,少し違う視点から見てみると,ですから,視聴者の立場から見ると,仮にコンテンツホルダーが番組を供給するときにペイパービュー,コピーネバーを選択したといった場合に,視聴者から見ればそれを織り込み済みでその番組の視聴料を払っているわけですよね。視聴者の立場から見れば,コピーできないんだけれども,有料で会員になる,あるいは視聴料を払うということになって,お互いに織り込み済みで視聴しているのではないかなと思うのですけれども,議論とはあまり関係ないかもしれない。

【土肥主査】ありがとうございます。

榊原委員が言われたのは,むしろ音楽の方に,音楽配信に関して入っているのはおかしいのではないかという方向性の御意見かと思ったのですけれども,そうではないんですか。つまり,映像の方が,動画配信に関しては入っていない。ところが,音楽の方に関しては配信の方の部分について網かけの領域が残っているというのがおかしいのではないかという御質問ではないかと思うのですけれども。

【榊原委員】まあ,そうとも言うかなと思います。この区別,三つの比較をしているわけですけれども,放送と動画の配信と音楽の配信とのこの書き分け方で,上流の権利者の人が含まれています,含まれていません,その対価がですね。それで書き分けているというのであれば分かるのですけれども,DRMがかかっていて選択肢があって,コピーができるという意味では一緒のはずなのに,結局,含まれていないものは別に検討しなくていい,含まれているものは検討しなくていいと言っているからブルーの網かけが付いていないというのは,結局,論点としてはそういうことなのではないか。客観的にどうかではなくて,そういう分け方をされているのかなと思ったのですけれども。

論点としては客観的に書いて,だけど,対価が払われているから補償は不要なのだとか,そういう分けて書いていないので,そこは非常に分かりにくいなと思うんです。先ほどの河村委員も論点と主張とって,違うと思うんですね。そういう御意見をおっしゃっていたのですけれども,私も混乱するのが客観的にどうなのかという話と補償すべきだとか,既に対価が還元されているとか,その次の議論における手段の話にも及ぶかもしれないんですけれども,例えばそっちで議論するときにもまたこの話になるのではないかなと思ったので,そこは書き分けていただいた方がいいのかなと。視聴の書き分けの区別の根拠は,権利者の上流の人が選択ができないのだとか,そういう対価が払われていないのだとかと言われたことによって今は書き分けられているので,それが音楽と比較するとやっぱりより鮮明になるなと思ったのでそう申し上げたという趣旨です。

【土肥主査】これ,資料は,網かけの部分というのは私的複製ができるのかどうか,その基準で書き分けてございます。つまり,動画配信に関してはDRMによって私的複製は一切行われていない,こういうのが現状であるということを踏まえた上での資料であり,音楽に関しては音楽配信について一部DRM非対応の部分があり,これによって私的複製が行われる可能性が現実にあるということでできておりますし,我々としては30条2項の私的複製においてデジタル複製が行われる場合について,クリエーターに対する適切な対価還元を行う必要があるのかどうか。そのときの議論のスコープをどう切り取るかということでやらせてもらっておりますので,委員におかれましては,その点,御理解いただければと思います。

そもそも音楽コンテンツと動画コンテンツにつきまして,いわゆる補償すべき範囲,その前提としての検討すべき流通ルート,少なくとも流通ルートに関しては,この網かけの部分でいいというのが本日積極的な御意見,多くございましたし,御異論というふうに聞かせていただいたものもあるわけですけれども,そもそもルートそのものについて,流通ルートそのものについて検討するのがおかしいのではないかということは,基本的にはないのではないかと思っております。したがいまして,まず流通ルートとしてこの網かけの部分の音楽で三つ,それから,映像で二つ,この検討すべき流通ルートは,この部分であり,それ以外の部分は検討の対象とはしないということでよろしいのかどうか。

松田委員,どうぞ。

【松田委員】今,座長が仕切られたところで結論的に私はいいと思っております。ただ,この委員会ではございませんけれども,私的録音録画とクラウドの関係を議論したときに,クラウド内で特定の領域において私的な複製をする場合においても,それはほかのツールと同じように考えるべきだという結論は出ていたはずであります。そうすると,この図の中にその部分を入れて,その複製についても私的録音録画補償金制度の対象にしなければならないということは出てくると思っております。

【土肥主査】ありがとうございます。

その先の話として手段といいますか,具体の制度設計のときにはまた今おっしゃるようなクラウドの問題というのは非常に悩ましい問題になるのだろうと私は承知しております。

【椎名委員】よろしいですか。

【土肥主査】はい。椎名委員,どうぞ。

【椎名委員】だから,この青い網がかかっている中にちょっと雲を1個書いていただければいいんだと思います。その上で議論をしていけばよろしいのではないかと。

【松田委員】それは座長に任せましょうよ。

【土肥主査】ありがとうございます。では,今子委員,どうぞ。

【今子委員】すみません,先ほど榊原委員がおっしゃったことと関連しているかと思うのですけれども,そのダウンロード型配信の2のところ,資料1の1ページ目のなお書き以降のところなのですけれども,利用者の多くはマルチデバイス・ダウンロードサービスを利用していると思われまして,そうだとすると,ここは私的複製の範囲外というのが非常に多いのではないかと思うのですけれども,いかがでしょうか。

【土肥主査】私的複製の範囲の中にないものは,当然,検討の対象にならないだけなのだろうと思いますけれども。

【今子委員】そうですね。だから,ダウンロード型音楽配信の場合,他のデバイスに複製したとしても,基本的にはサービスの提供範囲内で複製をしているということがほとんどなのではないかと思うのですけれども。

【土肥主査】はい。それは二つ目の問題ということになるのだろうと思います。つまり,検討すべき流通ルートの問題については含まれるけれども,具体の切り取り方の範囲の問題としては,今子委員のような御意見があるということだろうと思います。

ほかにいかがでしょうか。河村委員,どうぞ。

【河村委員】いまだに補償すべき範囲の話をしているのかどうかがよく分からなくて,補償すべき範囲とか,そもそも補償,還元すべき私的録音録画という意味において還元すべきかどうかという議論は次回なのかどうかがよく分からないのですが,今,青のところの話が出ていますけれども,議論の俎上(そじょう)として概(おおむ)ね私は,これは賛成,議論の対象としては賛成なのですが,もしその先の方に行くとするならば,今の例えばダウンロード型の配信で,絵の青い部分が議論の対象というのは間違いないとは思いますけれども,そもそもヒアリングのときにも,つまり,コピーをすること自体が,ダウンロードしたものをコピーすることが非常に難しいから,普通の消費者には。だから,マルチデバイスになったという御説明があったと思いますし,そのダウンロードしたデバイスによっては,そう簡単にコピーできるものではないから,こういうサービスになったのだと。

今の委員の御意見とも共通するところもあると思うのですけれども,ですから,全くこの青い部分に行かない人もたくさんいるわけで,ここに青い部分がありますね,ダウンロード型は青い部分がありますねといってダウンロード型サービスはという切り口になっていくのは,とてもおかしいと思いますから,結局のところ,すべきなのか,すべきじゃないのかとか,どうやってやれるのかとか,要するにダウンロードした人が青い部分に行くか行かないかなんて分からないわけですから,そういうことに対してルールってかけられるんですかということも含めて,何年もかけて同じことばかり言っているようで申し訳ないのですが,こういう制度そのものに無理があるのではないかというのが私の変わらぬ意見でございます。

以上です。

【土肥主査】そういうことになる場合も将来出てくるのだろうと思います。それは今後の議論の中で検討されていくのだろうと思いますけれども,しかし,河村委員が前段で言われたのは,この網かけ部分の合計五つのルートについては検討の対象となるという御意見でございました。もちろん,実際に切り取り方,それから,その手段,制度構築の手段のときに当然問題になるというのはおっしゃるとおりだろうと思います。それは考えると非常に大変なのですけれども,しかし,我々は前に進んでいきたいと思っているところでございます。

よろしいですか。よろしゅうございますか,本日のところはこういう議論でよろしければ,今後はこの五つのルートの検討とさせていただきたいと思います。それ以外の部分については検討の対象としない。それから,本日既に具体の補償の対象となるべき範囲について御意見をちょうだいしております。こういったものも事務局においては是非整理をしていただいて,次の手段のところで結局同じ問題が重なってまいりますので,そこであわせて,つまり,手段というのと範囲というのは別の話のように見えるけれども,実は非常にコインの表と裏ぐらい密接な関係がございますので,そこで議論をさせていただきたいと思います。次回までかなり期日的には短いですけれども,よろしいんですか。よろしゅうございますか。では,事務局におかれましては,是非よろしくお願いいたします。

本日の議題としては,その他というのがあるわけでございますが,その他について何か御意見いただける方がおられましたら御発言いただきたいと思いますが,よろしいですか。それでは,本日の議論ということにおいては以上ということにさせていただいて,次回からは更に論点ごとの集中的な議論を進めていきたいと思っておりますので,委員の皆様におかれましては,適時御協力いただければ幸いに存じます。あと,連絡事項がございましたら,よろしくお願いいたします。

【池野著作物流通推進室長補佐】本日は,ありがとうございました。次回の開催につきましては,9月16日,金曜日の10時から12時で開催いたします。開催場所については確定次第,改めて御連絡いたしますのでよろしくお願いいたします。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。

それでは,これで著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第2回を終わらせていただきます。本日は,どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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