文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第4回)

日時 平成28年12月21日(水)

10:00~12:00

場所 文部科学省 3F1特別会議室

議事次第

1 開会

2 議事

  1. (1)クリエーターへの適切な対価還元について
  2. (2)その他

3 閉会

配布資料一覧

資料1 「補償すべき範囲」についての検討(131KB)
参考資料1 補償すべき範囲について(203KB)
参考資料2 私的録音録画に係るクリエーターへの対価還元についての現状(406KB)
参考資料3 クリエーターへの適切な対価還元に関する主な論点(67.6KB)
机上配布資料 「私的録音録画に関する実態調査」報告書

議事内容

【土肥主査】おはようございます。ただいまから文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第4回を開催いたします。本日はお忙しい中,御出席を頂きましてまことにありがとうございます。

議事に入ります前に,本日の会議の公開についてでございますが,予定されております議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないように思われますので,既に傍聴者の方には入場していただいているところでございますけれども,この点,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方には,どうぞそのまま傍聴していただくことといたします。

事務局に人事異動がございましたので,御報告をお願いいたします。

【池野著作物流通推進室長補佐】事務局の人事異動を申し上げます。11月1日付で著作権課著作権調査官に澤田将史が着任しております。

【澤田著作権調査官】澤田でございます。よろしくお願いいたします。

【池野著作物流通推進室長補佐】続きまして,所用により少し遅れておりますが,11月7日付で文化庁長官官房付に水田功が着任しております。

以上です。

【土肥主査】続きまして,事務局から配付資料の確認をお願いします。

【池野著作物流通推進室長補佐】お手元の議事次第を御覧ください。配付資料一覧といたしまして,資料1,補償すべき範囲についての検討。それから,参考資料1から3,それから,本日,机上配付資料といたしまして私的録音録画に関する実態調査報告書を用意させていただきました。御確認いただければと思います。また,不備等ございましたら,お近くの事務局にお知らせください。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。

それでは,本日の議事の進め方について確認しておきたいと存じます。本日の議事は2点,1.クリエーターへの適切な対価還元について,2.その他となっております。早速ですけれども,1の議事に入りたいと存じます。1につきましては,前回の本小委員会ではクリエーターへの対価還元の現状を踏まえまして,補償の要否について具体的な検討を行うに当たっての論点の整理を行い,御意見を頂戴したところでございます。各論点について,前回お出しいただいた意見を事務局において整理していただいておりますので,これをまず説明をお願いしたいと存じます。

【俵著作物流通推進室長】ありがとうございます。資料1を確認いただけますでしょうか。この資料自体は前回にも議論いただいた内容ですが,これに前回出していただいた意見を書き加えた形で今回整理をしています。1点,論点について1点書き加え,そのほか主な意見について出していただいた意見を書き加えている形をとっています。1ページ目,2.の音楽コンテンツの(1)のところのマル1補償についての基本的考え方,これについては前回,論点として挙げられていなかった内容ですが書き加えています。主な意見として,一つは権利制限によって権利者にどのような不利益が生じているかということが補償の要否を左右するのではなく,権利制限が導入されている場合には基本的には補償の必要性があるのだという前提で議論を進めるべきである。

個々の私的複製が微々たるもので権利者のビジネス上の不利益に直接結び付くものではなくとも,それらの複製が累積することによって総体的に大量の複製が行われていれば,権利者に不利益が生じていると考えられ,補償が必要である。補償が必要な理由について,権利者に損害があるからなのか,権利制限により利益を得ている者がいるからなのか,そもそも権利者が得ている対価に問題があるからなのかという点を混在して議論すべきではない。補償というのは権利者に生じている不利益を補うために行うものであり,補償が必要となる不利益には,権利制限や市場の失敗ゆえに生じている不利益が対象になり得る。補償の要否を判断する上で,産業間の利益再分配をその直接の理由とするのは不適切である。

2ページ目,引き続き同じ論点の中ですが,30条1項の権利制限がなければ起こり得ないであろう事柄を全て対象にして補償の必要性を考えるというアプローチは不適切であり,私的複製による直接的な影響を考慮して補償の必要性を検討するべきである。現行の私的録音録画補償金制度は,比較法的に見て射程の広い30条1項の権利制限規定を設ける反面,それにより生ずべき権利者の不利益を補償金で賄うという形でバランスをとっている。補償の範囲を狭めることにより権利制限の範囲も狭まるという結果は,権利者にとっても利用者にとっても望ましくないのではないか。私的複製がある以上,不利益があるということもできると思うが,不利益があればその全てを補償しなければいけないというものでもない。私的複製は権利者の不利益に直結するものではなく,私的複製の趣旨や性質を考慮した上で,どの程度の私的複製までは補償の必要がなく,どの程度の私的複製から補償の必要があるといった閾値(いきち)の議論が必要である。最終的にどのような補償スキームを構築するかという点とは別に検討をするべきである。

個々の私的複製の態様に応じて補償の要否を議論することは必要であるが,最終的には総体としてクリエーターにきちんと対価が還元されているか否かを判断する必要がある。私的複製の制約を緩和し,消費者の利便性を高めることによって権利者もビジネスを行ってきたのであり,私的複製による不利益が権利者に生じているとは考えられない。また,補償の必要性を権利者の不利益の有無に基づいて判断するのであれば,私的複製が制約されることに伴う消費者の不利益も考慮されるべきである。ここまでがこの補償についての基本的考え方について出していただいた意見です。

そのほか,ほかの論点についても幾つか意見を出していただいているので紹介します。マル3,購入した音楽のバックアップのために行われる私的録音について,補償すべき範囲に含めるか否か。2番目からになりますが,音楽の場合はソフトウェア等とは異なり,バックアップとして私的複製された音楽ライブラリが家族間や友人間で共有されていくという特徴を有しており,共有された音楽にはバックアップとしての性質はもはやないのではないか。30条1項の私的複製の範囲を超えて行われる複製あるいは当該範囲を超えて複製物が譲渡される場合については違法行為と整理されることから,これらの行為を惹起(じゃっき)するからという理由で同項の補償の要否を議論するのは不適切ではないか。

すみません,先ほど伝え忘れましたが,アンダーラインを引いている部分が新しく追加した部分でありこれらの内容について紹介をしています。

マル5,クラウドに私的複製をする場合について,補償すべき範囲に含めるのか否か。これについても1点,クラウド上で行われる私的複製はタイムシフト目的,バックアップ目的であることが多い。(2)の1,マルチデバイス・ダウンロードサービスを提供しているダウンロード型音楽配信について補償すべき範囲に含めるか否か。最後のところに書いてある点ですが,マルチデバイス・ダウンロードサービスの導入後,導入前と比較して1曲当たりの提供価格は低下しており,適切に対価還元が行われていることは言い難く,補償の対象となり得る。ここまでが音楽コンテンツについてです。

続いて動画コンテンツについて,(1)の1,放送波を最初に録画する部分について,補償すべき範囲に含めるか否か。タイムシフトとは番組の視聴後に当該番組が消えるものであり,録画物が残存するのであれば権利者に不利益が生じないとは言い切れない。

4ページ,最後になりますが,これはマル2の権利者がDRMを自由に選択できる場合に,選択されたDRMの範囲内で行われる私的録画について,補償すべき範囲に含めるか否かという論点についてですが,権利者がDRM技術を選択できない現状においては,補償金等の形で権利者への対価還元が必要となる。それができないのであれば権利者が自由にDRMを選択できる環境を構築するべきである。この後から新しく出されている点ですが,この場合においても権利者がコピーネバーを選択しないときには補償の必要性がある。3番目,劇場映画については劇場放映後の2次利用についてコピーネバーを原則としてビジネスを展開しているが,テレビ番組での放送についてのみ,ダビング10のルールゆえに権利者が私的複製をコントロールできない状況にある。様々な制度制約や実社会の要請によってDRMが定められているのが実態であり,権利者の自由意思でDRMを選択できるわけではないのではないか。このような実態や個人の私的複製の態様を総合考慮して補償が必要な範囲を決めるべきである。

これらがこの補償すべき範囲についての検討について新たに出された意見を整理したものです。

前回,私的録音録画の実態調査についても少し議論が及びましたので,以前に私的録画補償金管理協会が委託事業として調査をし,この委員会でも報告していただいた内容について簡単に紹介をしたいと思います。資料は実態調査の報告書自体は机上に置かせていただいているのですけれども,前回説明いただいた,これは野村総研の方に説明いただいているのですが,そのときに配っていただいて説明した資料がこのピンクのファイル,机上配付資料のピンクのファイルの平成26年第1回のところに用意しています。これを少し見ながら簡単に説明をしたいと思います。資料自体は,この第1回の3ページ目から始まるもので,私的録音録画に関する実態調査,まず,私的録音編,日付は2014年7月23日となっているものを御確認いただけますでしょうか。

これの1ページ目から抜粋しながら紹介したいと思います。この調査自体は,私的録画補償金管理協会がアンケート調査,ユーザーを対象にアンケート調査などを実施して行ったものです。実際には表に書いてありますが,著作権情報センター附属著作権研究所に委託をし,更に具体的な調査については株式会社野村総合研究所が実施をしたものです。これは平成25年12月の調査なので3年ぐらい前に行ったなる調査です。1次調査,2次調査をやっていて,一つ,1次調査はデジタル録音機器の保有状況を広く把握,そしてデジタル録音の実施の有無を把握,これが1次調査の内容です。Web調査のサンプルで言うと3万件です。2次調査としては,デジタル録音を実施しているユーザー,これを対象にデジタル録音の具体的状況を把握する。サンプル数として3,003となっています。

2ページ目からが,その調査の内容を要約したものになりますが,2ページ目,これは1次調査ですが,デジタル録音機器の保有についてメディアドライブ付きのパソコンが78%,据置き型の家庭用のゲーム機器が39.6%,ポータブルオーディオプレイヤー,携帯ゲーム機,iOS機器以外のポータルオーディオプレイヤーというふうに続いているようです。

3ページ目,これはデジタル録音を過去1年間に実施した経験ということで調査した内容です。録音を実施した人は全体の約4割で,具体的にどういったものから録音しているかというと,音楽CDの複製,音楽CDからのデジタル録音が3割弱で最も多い。そのほか無料で視聴できる動画投稿配信サイトからのダウンロード,有料の音楽配信サービスからのダウンロード,スマートフォン用のアプリを使用してのダウンロードというのが続いています。

4ページ目,過去1年間のデジタル録音で最もよく使用された機器についての調査です。これはメディアドライブ付きのパソコンが約半数,続いてポータブルオーディオプレイヤー,iPodシリーズが当時多かったようですが,そしてスマートフォンというふうに続いています。

5ページ目,ここからが2次調査なのでデジタル録音のユーザーを対象にした調査になります。録音の実施内容ということで,録音元となった曲数についての調査になります。新規音源で21.2曲,既存音源で6曲,計27.3曲。録音された,最初は録音元となった曲数ですけれども,録音された曲数,録音先の曲数としてはトータルで34.2曲となっているようです。

続いて6ページ目になりますが,この内訳ということで何から何に録音しているかというのも調査をされています。録音元として自分が借りたレンタル店のCD,自分が当該期間に新しく購入した市販のCD,これが多くなっている。録音先としてはパソコン内蔵のHDD,ポータブルオーディオプレイヤー,スマートフォンが多くなっているという調査になっています。

7ページ目,録音の曲数について,3年前との比較感ということで尋ねた結果が書いてあります。増えたと思う回答者が27.6%,減ったと思う回答者が34.6%となっています。

少し飛ばしまして10ページ目,10ページ目の2段落目になりますが,期間などを限定せずにふだんの行動として自分が聞くために音楽データを何個コピーするかという問いですが,複製の個数としては平均1.7個という調査結果が出ています。

11ページ目,過去1年間に他者にあげたか,共有したかを,自分が聞くために録音した音楽データを過去1年間に他者にあげたか,共有したかというのを聞いたものです。知人と共有したと答えた人が23%,共有したと答えた人の中で共有の相手については,家族が75%,友人が約半分,それ以外の知人・友人が約20%弱となっています。共有した人数については,1回当たりに1.5人から2人という結果が出ています。

続いて録画の方に移りたいと思います。録画の報告書,この概要の資料については,同じくピンクのファイル第2回ところに挟み込んでいます。2回目の資料の2ページ目からが同じようにこの調査結果の概要をまとめてもらったものを紹介しているので,それと同じものをここに掲げています。この概要の1ページ目,これは同じように1次調査,2次調査がされていますが,1次調査はデジタル録画機器の保有状況の把握とデジタル録画の実施有無の把握,2次調査は録画の実施しているユーザーを対象に具体的な状況の把握,趣旨としては録音と同じ形を取っております。サンプル数はここに書いてあるとおり2万7,000件と約3,000件という形になっています。

2ページ目,テレビ番組の録画を実施しているユーザーの比率,これは地上デジタル放送について全体の71.7%という結果が出ているところです。

3ページ目,録画を実施している人の平均的な録画時間,実際には視聴していない番組を含めると平日平均1時間44分,休日平均2時間19分というような結果が出ています。

4ページ目,録画行為の目的,これは都合のよい時間にずらすことが中心になっている。視聴場所の移動を目的とした録画は,これに比べて少ないというような結果が出ております。

5ページ目,録画行為について,誰のために行っているか。自分自身,あるいは家族のために行われているケースがほぼ全て。友人・知人やイベント使用のために録画するケースは少ないという結果が出ています。録画しているジャンルについては,ドラマ,映画,バラエティーが主要なジャンルとされています。

7ページ目,これはリアルタイムの視聴と録画番組の視聴についての時間を調査したものです。リアルタイムでの視聴が平日平均1時間57分,休日の平均が2時間22分,録画番組の視聴が平均1時間14分,休日の平均が1時間37分。視聴時間に占める録画番組の割合というのは約40%という結果が出ているということです。

少し飛ばしまして11ページ目,録画を実施しているメディアの状況ということで,過去1年間にHDDのレコーダーや録画機能付きテレビのHDDへの録画について,それをしたことがある割合,約80から90%。他方でブルーレイディスクやDVDディスクについては,過去1年間に新規録画をしていない割合が70%となっているようです。

最後に19ページ目にクラウドサービスの普及による録画行為の影響についても調査がされています。DropBoxやGoogleドライブなどのクラウドサービスの普及による録画行為への影響ということで,テレビ番組の保存・共有に使用しているユーザーは少なく,使用している場合でも保存量は10GB未満が大半であり,現在のところ録画行為への影響は限定的であると考えられるといったような調査結果になっています。

すみません,長くなりました。以上です。よろしくお願いします。

【土肥主査】ありがとうございました。

それでは,ただいまの御説明に基づいて審議を進めたいと思います。先ほどの説明では,まずこの資料の1,ここで前回頂いた御意見を反映しておりますけれども,どなたがこの下線のある部分について御発言になったのかということは,ここでは表示されておりませんけれども,およそ委員におかれましては御判断可能と思います。そこで,前回御発言いただいた意見をこういう形でまとめさせていただきましたけれども,こういう形でまとめさせていただいてよかったかどうか。御意見を十分ここで反映できているかどうかということについて,まず確認をしておきたいと存じます。いかがでしょうか,大体,こういう御発言を頂いておりますけれども,どうぞ。

【楠本委員】レコード協会,楠本でございます。2ページ目のバックアップに関わるところの記述についての発言ですが,これは二つ目の星が私の発言でございます。確かにこのときには言葉足らずでして共有という言葉を使わせていただきましたが,少し補足をさせてください。私がここで伝えたかった発言は,音楽というのは皆さん御存じのとおり,最初は親やお兄ちゃんやお姉ちゃんからこの曲いいよ,これ,いい曲だね。それを聞いて好きになっていく,アーティストを好きになっていく。そういうことを,あるいは友達に何の曲,聞いているの,これだよ。

今ですとイヤホンを共有したり――共有というか,差して,これだよと聞かせたりとか,そういうことのシチュエーションを伝えたくて共有という言葉を使わせていただきましたが,今日,たまたま俵室長の方から御紹介いただいたレポートでもありましたとおり,友達に音楽をあげるとか,弟や妹,家族間で音楽をあげる,いわゆるコピーしてあげるというところが二十数%あるとか,あと本体のこの調査報告書の方にも,いろいろな友達から借りたCDからコピーをしたとか,家族から借りたCDから,家族がレンタルショップから借りてきたCDから自分がまたコピーをしたとか,そういったような報告のデータが出ていると思います。

この辺のところを伝えたくて,ちょっと短い言葉で共有という言葉を選んでしまったが故に,何か違法行為ですとか犯罪行為までを含むような表現になってしまったことをおわび申し上げますとともに,飽くまでも私的,30条の範囲内で行われているコピーというのは非常に家族間や友人間,事音楽に関しては非常に特徴的であるということを伝えたかったということでございますので,言葉足らずであったことをおわび申し上げますとともに少し補足させていただきました。

【土肥主査】ありがとうございました。

そういうことでございますので,その補足していただいたところはまた反映させていただきたいと思います。

ほかに御発言いただいたところで,今のような補足を必要とされる方,おいでになりますか。よろしゅうございますか。それでは,この下線の部分については,前回の御発言を適切に反映したというふうにさせていただきます。先ほどの説明でもございましたけれども,録音と録画,音楽コンテンツと映像コンテンツ,双方について扱ってきたわけでございますし,今の説明でも両方にまたがって御説明いただいたところでございますけれども,一応,順序として音楽コンテンツ,つまり,録音の方,この分野について議論を最初にしたいと思っております。したがって,本日は資料1で言いますと3ページ目の動画コンテンツとある前の部分,3.動画コンテンツ以下は,本日は扱いませんので,その点,御了解を頂きたいと思います。

考え方といたしまして,これまで現状というものについて皆さんで共有をしていただいているところでございます。現状に基づいてどういう部分について検討が必要なのかというところに差しかかっておりまして,いわゆる補償の範囲,補償が必要となる範囲の確定の問題について,現在,議論を頂いているところでございます。この場合,ある意味,手段,補償の手段,スキームと連動させてお考えになるというのは十分よく分かるところでございますけれども,まずは個々具体の局面において補償すべき範囲から落ちるということは論理的にあり得ると思いますけれども,まずは最大の範囲といいますか,一番広い検討を対象とする範囲として音楽コンテンツであれば,あれは資料の何でしたか,参考資料1で,このパッケージ,それから,ダウンロード型,パッケージのレンタル,こういうものが考えられるのではないか。

これに対してストリーミング型のものについては,実態からいたしますと,これは全て技術的に対応がなされておりますので,この部分については,ストリーミング型のものについてはここでの検討の対象とする必要はないと考えているところでございます。そういうことで,大きな議論の対象としては,音楽コンテンツのパッケージのものとダウンロードのものとレンタルのもの,この三つの分野についての検討を進めていくということで,まずはよろしいのかどうか。これについて,いや,それは違うという方がおいでになりましたら,まず挙げていただきたいと思うのですが,椎名委員。

【椎名委員】先ほどの実態調査のところを見ていて,先ほどの平成26年第1回のところで録音の実態調査の3ページを見ていただくと分かるのですが,今,先生の方で整理をしていただいたパッケージ,ダウンロード,ストリーミング,パッケージレンタルとあって,その音源がどこから来たかということをまず分類した上で,そこから起きる私的複製,私的録音はどうなのかという議論をしていると思うのですが,実際にはこの3ページのグラフを見ていただいても分かるとおり,そこから行われた録音が更にオンラインストレージサービスとか,あるいは自分のローカルのパソコンの中でデータとして,そこから更に録音が行われていくという部分が,今まで右側の青い網のかかった雲の中で表現されているのだというふうに話されてきたと思うので,要するにそれぞれのソース別にこうやってパッケージ,ダウンロード,ストリーミング,パッケージレンタルと分けて,そこから起きる1回目の録音だけを対象にしているわけではないですよねということをまず確認したいと思います。

それに加えて,この表を見ますとラジオ放送というのがあるんですね。これは僕もうっかりしていたのですけれども,数字は少ないながらもラジオ放送や,あるいはテレビ放送の音の録音といったものも実はソースとしてはあり得るのではないか。この議論の中から,ひょっとしたら漏れているのではないかなと思いましたので,その2点,申し上げたいと思います。

【土肥主査】ありがとうございます。ラジオ放送でもデジタルの放送があるんですね。

【椎名委員】デジタルで()ることはできますね。

【土肥主査】ああ,そういうことですか。はい。今,椎名委員がおっしゃったのは,確認を求められたのは参考資料の1の2ページ目にある,青い雲とおっしゃったのは,このポンチ絵の部分なのですけれども,1回目,2回目,3回目と行われる可能性があることは,この表,ポンチ絵できちんと反映していると思いますので,それが全て範囲の対象になるかというのはさっきの話になのですけれども,いずれにしても,CD,それから,ダウンロード型,レンタル,CDというかパッケージ,CDパッケージですね。CDパッケージ,ダウンロード,レンタル,この三つの分野に色が付いているわけですけれども,基本的にはこの三つの分野について検討を進め,ストリーミング型については検討をしないという,そこでございます。これについてはよろしいですね。

それで,本日の話でありますけれども,前回のところでやっぱり時間を一番取ったのは,補償についての基本的な考え方の部分でございます。資料1の2.音楽コンテンツ,(1)全ての流通形態に共通する論点例としてあるマル1の補償についての基本的考え方,ここの部分でございますけれども,改めてお尋ねしたいところは,どなたか御発言いただいてもいいのですけれども,補償についての基本的な考え方は,こういうふうに考えるべきではないかということを御発言いただいても構いませんが。どうぞ。

【榊原委員】前回欠席をしておりまして代理出席だったので,その後の,私,JEITAの委員ですので,JEITAの中で出た意見についても少し補足をさせていただいたらと思います。録音の話に進む前に補足させていただいたらと思いますけれども,この補償についての基本的な考え方について,この中では1ページ目の三つ目のポツに近いと思いますけれども,不利益があるかどうかについてです。

現状,不利益があるとすると,その不利益について補償すべきかどうかを次に議論するということなのだろうと理解をしているのですけれども,これまでヒアリングなどたくさん行ってきて,コピーがたくさんされているので不利益があるとか,権利制限に基づいて私的複製があるのでイコール不利益があるという御主張をされている方が権利者団体の方には多くいらっしゃることは理解をしております。けれども,では,その不利益って具体的にどんな不利益ですか,ということについては御主張もないですし,そこの説明責任を果たされていないのではないと思います。私の理解が足りないのかもしれませんけれども,そこの部分の説明がないと,そこが立法事実としては理解,納得感がないということです。

経済界としては,その点については経済的な不利益がないのではないかということを,細かい話はありますけれども,ばくっとそういうことを主張していたと思います。そこの不利益について,どういう不利益があるのか。経済的な不利益だということなのか,そうではないのか。その点についての納得感がない。そこは対価が還元されていないから必要だという(がわ)がやっぱり主張,説明責任なり立証責任なり,裁判でも一緒ですけれども,あるのではないかと思います。それが1点目です。不利益に関する指摘です。

それから2点目は,対価が還元されていないという主張について,対価が還元されていないというのは,どこかの上流の契約,たくさん種類はあると思うのですけれども,例えばテレビの番組を放送波に提供するときに何らかの契約をされていると思うのですけれども,提供契約のようなもの,レコードを作るときでも曲をレコード会社に提供するとか,私も上流の契約については詳しくないのですけれども,そのときに対価が払われていないから,その足りない部分を補償金なのか何なのか,何かの制度で担保してほしいという御主張だと思うのですけれども,普通,一般企業で契約をしていて,対価が足りないときというのは,例えばこれは100万円で契約しましょうとかって,足りないならもっとくれ,いや,払えないという話になるはずで,でも,もらう方からすると常に足りないと思うわけですよね。

それが法制度で担保するということを前提に契約をされているというのは非常に不思議に思えるわけです。普通の企業行動としてですね。例えばこの補償金の議論というのは,2005年とかiPodが流行(はや)り出したときから議論になっているわけですけれども,その当時から対象機器の追加はされていないわけですから,そういうものから取れていないというような御主張なのでしょうけれども,契約をするときには,そういうところから取れないことを――10年たっているわけですね。例えば2005年から考えただけでも。取れないことを前提にずっと契約をされていて,言ったら赤字になることを見込んで契約をずっと続けているんですかと思うわけです。

だから,本来は対価が取れているのではないのか,という主張がプライスインという言い方でずっと言っていますけれども,そこの記載がここにはなされていないので追記していただきたいと思うのです。では,例えば100万円だったら足りないから105万なら十分だと仮に言うのであれば,今は100万でできているから5万足りないということなのですけれども,払う(がわ)は払いたくないということだと思うんです。普通,どんな契約でも金額を抑えたい。そうすると,結局,105万でないと契約しないと言われたら,しないという人もいるのだと思います。100万で契約するという人と105万で契約するという人がいれば,じゃあ,100万の方のこっちのコンテンツを使いますとなるのがビジネスでは普通かと思います。そうすると,適正価格は100万,市場では100万なのではないか。105万取れるという考え自体が市場原理からすると採用されないのだろうと思います。それを対価が還元されていないというふうな評価をしていいのかということですね。これが2点目です。対価の還元が足りないということに対する主張についてですね。

それから,三つ目はコピーされると不利益があるという話について,実際にずっと補償金なりがもらえていない現状で,それでもコンテンツを流通に乗せ,そういうルートについて乗せておられるということは,先ほどの赤字になることを分かってやり続けるということは,企業としてはあり得ないと思います。あり得ないというのは,例えば株主から責められたら説明をどうされるのかなと思います。以前,消費者の方がドラえもんの例,消費者の方か,華頂さんだったか忘れましたけれども,ドラえもんの映画が劇場公開されるときに,古いものをテレビで流す。それは宣伝のために,それを流すことによって劇場に行く人が増えるから,劇場の収益が上がる。

テレビによる収益と劇場による収益と分けて考えると,こちらが不利益があって,こちらだけ利益があると言うのでしょうけれども,全体でビジネスモデルって,企業というのは考えるはずなので,そうするとコピーされることによって,こちらに来るお客さんが増えるから全体として利益だということです。コピーをされることで利益が上回るから私的複製がされるようなことを,その方がいいとして流通に乗せているのではないかと思うので,コピーされることによって不利益がありますという捉え方がやっぱりちょっと納得がいかないんです。この辺も,いや,そうではない,こういう不利益の考え方をするのだということであれば,私の理解が足りないだけかもしれませんので御説明いただきたいなと思いますけれども,意見としては,そういう意見が産業界,電気業界の中で出ていますので掲載いただければと思います。

それから,御紹介いただいた実態報告の概要版についてですけれども,これは2013年に作っているものであるということで,今,2016年,3年もたっているわけですね。この世界,コンテンツの世界で3年たつと世の中,ガラッと変わるということで,これを前提にしてもいいのかということを若干疑問に思いますし,オリジナルの方が今日,委員にはここに配られていまして,傍聴席の方はお持ちじゃないと思うのですけれども,そこの端書きに書かれているのですけれども,このアンケートをやるときに,JEITAは委員になってほしいというお誘いを受けました。

そのことが若干書かれているのですけれども,途中から参加をしてくれなかったというような,諸般の事情とだけでその事情が書かれていないのですが,事情としては,やはり消費者委員,ユーザーの利用実態を調べるわけですから,消費者の委員を入れないといけないということと,それから,質問項目については産業界とか消費者の方も一緒に考えさせてもらわないと正しい数字が出てこないのではないかということを申し上げたのですけれども聞き入れられなかったので辞任をしたという経緯です。ということなので,これを前提に現状ということを今後議論するということについては疑問があるということを申し上げたいと思います。済みません,長くなりました。

【土肥主査】御意見といいますか,前回お休みされたので,そのとき代理の方に出席いただいておりますので,本来であればそこで発言していただくというのが趣旨でございます。後出しをどんどんやっていくというのは,本委員会の趣旨には合わないと考えております。第1点の不利益があるか否かという点については,これはそういう議論があるということはこのポツの中に,1ページのところに反映がある。対価還元の問題についてどうなのかという点については確かにそういうところは十分出ていないのかなと思いますので,そこは少しテイクノートしたいなと。それから,コピーによる不利益の立証ということでありますけれども,要はこの全て立証責任の問題になってくる。どちらが立証するのか。

つまり,不利益があるということを立証するのか,不利益はないということをどちらが立証するのかですね。つまり,複製権というものが著作権法上あって,30条の私的複製の制限規定があり,昭和45年にできたわけですけれども,ラジカセしかない時代にそういう規定ができて,その当時想定しているような複製というのは,正に限定的な瑣末(さまつ)なものであったろうと想像できるわけでありますけれども,その後様々な不正機器が登場して,そして3年前の調査ではありますけれども,大量な私的複製が行われているという現状があるわけですね。それによって著作権者の持っている複製権の実効性が十分果たされているのかということについては,やはり合理的な疑問というのは当然あるわけでありまして,そういう意味からすると,その点をこの本小委員会において議論をしていきたいと思っているわけでございます。

この考え方として,立証責任についての考え方なのですけれども,不利益がないというのは確かに悪魔の証明みたいなところもあるのですけれども,しかし,合理的に考えると複製権というものは権利者にあって,それが30条で制限され,そして大量の複製という実態がある場合に,やはり合理的には不利益はあると考える,推認するというのが考え方としては合理的なのではないかと私は思うのですけれども,このどっちが,不利益はある,不利益はないという,そういう入り口のところで議論をしているというのも余り生産的ではないので,この点についてはどなたか御意見いただけませんか。では,松田委員,お願いします。

【松田委員】結論的には,私の意見も主査と同じ意見でございます。この制度において権利者側の不利益は何かということは,私的録音録画によって行われる複製それ自体です。その複製それ自体が社会的に大量に行われているということは,立法段階の平成3年第10小委員会報告と,これを再調査・審議をした平成19年報告にも示されているところです。立法段階においても海外の資料を並行的に検討して,そしてデジタル化したときの私的録音における実質的な不利益,複製が生じて,それが市場に影響するということは既に議論されているわけです。

それから考えて,今の複製機器の市場状況等を考えたならば,果たしてそれが減じているということはあり得ないと思います。大量複製が私的録音によって生じていること自体が不利益だと言うべきです。榊原委員は「裁判でも一緒」とする立証責任をつくせといわれますが個々の著作物について,どこどこの誰々のどの製品が何本複製できたかというようなことを,裁判と一緒のように挙証しろということ自体は審議会において全くナンセンスだろうと思います。

さらに,「上流の契約」というところのライセンス契約の場面において,既にその権利者の対価が支払われていて,それが長い間,合理的な契約内容の決定によって私的録音録画についても対価が支払われている状況に至っているのだという議論も全くナンセンスだと思います。放送局が,私的録音録画が家庭内で行われることも含めて,その対価を放送対価として払いましょうという放送局はありません。レコード会社もまたしかりです。現実に一定の利用範囲内においてライセンスが行われるときに,30条によって私的録音録画がなされるところのボリュームまで評価をしてライセンスをしている権利者もなければ,利用者もないと思います。これも全くナンセンスの議論だろうと思います。以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。では,小寺委員,どうぞ。

【小寺委員】今までの御発言だと大量の私的複製がいまだに現存するという前提に立っておられるように思いますけれども,私どもの考え方としては,大量の私的複製というのは今,衰退へ向かっていると考えています。なぜならば,音楽サービスであれば多くのサブスクリプションサービスがスタートして,私的複製をしなくてもよくなった。先ほど椎名委員からラジオの録音の話が出ましたけれども,ラジオにおかれましても,録音するということは恐らくタイムシフトで聞くためだろうと思われますけれども,ラジオのタイムシフトも今ではradikoというインターネットのラジオサービスがありまして,そちらを使うとタイムシフト視聴ができるようになりました。まだ始まったばかりで結果は出ないかもしれませんが,そういう可能性が出てきたということは私的複製をする必要がなくなっていく可能性,技術的な可能性が出てきたということだと思います。

更に加えて御指摘をさせていただきますれば,先ほどの俵室長が時間をかけてせっかく御説明をしていただきましたけれども,あいにく私的録音のこの実態調査というのは2014年の発表ですから調査自体は13年ということですかね。ところが,音楽業界というのは2015年に海外,国内も含め,サブスクリプションサービスが6事業者も参入しております。6事業者も参入して市場に影響を与えないということは考えられないわけで,この表,資料にございますように,これが量の問題であるとするならば,ストリーミングサービスというのが全体的には比重を増しているはずなので,この2014年発表の資料を参考にするのは非常に危険なのではないかなと思っています。

【土肥主査】では,楠本委員,どうぞ。

【楠本委員】音楽,特に音楽業界のお話を頂いたので,さすがに中の話でお恥ずかしい部分ではありますが,まず,2015年以降,確かにサービスイン,いっぱいされたストリーミングサービスがありますが,何度も我々発表しておりますけれども,日本はいまだにまだ8割以上が,いわゆるフィジカルのマーケットでございます。また,ずっと継続的に調査をしておりますが,音楽ユーザー,いわゆる音楽をお楽しみいただくユーザーの多くは所有,いわゆる所有欲というものが日本人特有というものもあるかもしれませんが,音楽ユーザーの多くは所有欲というのを持っています。

また,では,お金がない若者たちはどうしているかといいますのが先ほどの私の発言につながってまいりますが,お兄ちゃん,お姉ちゃんからコピーしてもらうとか,友達から,あ,いいな,俺にもこれ頂戴としてもらうとか,そういったもの,いわゆるオリジナルではないところへの複製かどんどん進んでいって,そういったもので所有というものは,いまだに音楽ユーザーには浸透しているというふうに考えています。

また,今,音楽ユーザーは,多くはポータブル,スマホで音楽を楽しむ方がいらっしゃいますが,いわゆるギガ制限といいますか,制限があってなかなかストリーミングでずっと音楽や,あるいは映画コンテンツ等楽しむということにはまだ向いていない日本の独特の環境というのもありますので,そういったことから考えますと,ここ数年,世界がデジタルとフィジカルが逆転したということが確かに発表にはなっておりますが,日本,ここは日本ですので,日本のルールを決めるという意味では少し合わない御指摘かなと考えます。

以上です。

【土肥主査】どうぞ。

【椎名委員】僕個人のことを言って何か申し訳ないのですが,僕は平成15年の私的録音補償金制度見直しの検討という文化庁が開いた会議から実はこの場に座っていまして,奥邨先生もいらっしゃったかと思うのですけれども,その当時はDRMが取って代わると言われたんですね。DRMの世界に行くのだから,もう補償金は要らないのだというようなことが言われた。しかし,今,皆さん音楽にDRMかかっているでしょうか。依然,CDのコピー,配信からのコピー,レンタルからのコピーというようなことが行われている実態がずっと続き,今度はストリーミングの世界になるんだからコピーなんかされなくなるんですよと言われる間にどんどん権利者は利益を逸失していくというのがこの問題の構造になっていると思います。基本的な構造だと思います。

総体の話を見るべきだと思うんですね。個別のこういうケースでコピーされた場合はどうなのだというようなことを言っても始まらないというのは全くそのとおりでありまして,お手元にあるピンクのファイルの,先ほど平成26年第1回,第2回が御紹介されましたけれども,第3回を見ていただきたいんですね。そこに私どもがこの実態調査の結論から読み解いた部分の発表をいたしましたときの資料がございます。その総体は減っているのだ,増えているのだという水掛け論をしてもしようがないので,この実態調査を丹念に拾いまして,膨大な保存総体と録音回数ということで整理をさせていただいていますが,スライドの6番を見ていただきますと,2002年,MDの時代ですね。MDの時代から比べてユーザーの手元に保存されている量,曲数でいって3倍以上になっているということが分かっています。

めくっていただいてスライドの7番,8番でございますけれども,2次調査対象ユーザー3,003名の全体保存曲数ということで言うと,これが5,014万曲,1人当たりにすると1,670曲,それを今度スライドの8番で,15歳から69歳の国民全体の音楽データ保存総数を試算することが可能であるというデータの専門家のアドバイスを受けまして試算をした結果がここにございます。583億曲,これは同じ曲がダブッておりますから583ユニークデータということになりますが,583億曲がユーザーの手元に蔵置されている状態があるということです。

次のスライドの9番に行きますと,今度はユーザーがCDから毎年何曲ぐらいコピーして,その583億曲に加わっていっているのであろうかというデータでございます。これは1年間の音楽CDからの録音回数237曲掛ける,先ほども使いました15歳から69歳の国民全体ということで見ますと58億曲という数字があります。583億曲に対して毎年58億曲がCDから加わっていくというような数字を実態調査のデータから試算をして出したということになります。先ほど来,こんなデータはもう古いのだというようなことがありますが,僕の実感として,録音総体数が減っているとは絶対思えません。逆に言うと2013年ですらこうでありましたから,もっと状況は膨らんでいる。この総体の数字を見て榊原さん流に申し上げるとするならば,この数字に関して権利者の不利益は存在しないことを是非立証していただきたいと思います。

【土肥主査】では,華頂委員,どうぞ。

【華頂委員】映連の華頂でございます。映画について,今議論になっていますので私の方から意見を申し上げたいと思います。参考資料1の4ページ,最後のページの三つ目の星,それから,参考資料1の3ページになるんでしょう。動画コンテンツの流通というポンチ絵,ここに書かれておりますように映画ビジネスはワンソース,マルチユース,このスキームを基本として今までずっと,これからもビジネスをしていくのですけれども,そのビジネスをやっていく上で,やはり著作権者が主体的に複製をコントロールするということが基本になっています。

ところが,テレビ放送からの録画だけは我々がコントロールできないというような状況になっているので,かつては私的録画補償金ということで,ある程度バランスが取れていたのですけれども,今,それが途絶しているという状況で,今年に入ってから私が再三申し上げているように,デジタル放送のいいところはDRMが自由にできるということでダビング10が今運用されているのですけれども,コピーフリー,コピーワンス,ダビング10,もう一つの箱に四つ信号が入りますから,是非コピーネバーを入れていただいて,今,録画補償金が途絶しているこの状況であれば,権利者が自由にその四つの信号を選べるようにしていただきたいなと。

だから,コピーネバーを選ぶこともあるであろうと。この資料にも書いてありますけれども,コピーネバーを選択すれば,それは私的録画補償金というのは当然要求できないわけで,私がここのところずっとコピーネバー,ネバーということで申し上げていますけれども,逆に考えると,四つ信号があって自由に選択できればコピーフリーを選択する権利者もいるかもしれない。そうなったらコピーフリーを選択した場合にはノー文句で何らかの補償があるのかということもこれから議論としては考えていかなければいけないのではないかなと思います。以上です。

【土肥主査】ありがとうございます。録画は本日扱っておりませんので,よろしく御理解をお願いします。大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】最初に主査が整理されたところからややずれますが,私も基本線は同じであります。昔は30条2項もなくて,現在で言いますと30条1項だけで,1号,2号,3号も全部なかった状態で,非常に私的複製にやさしい法制というか,私的複製にほとんど制限はかかっていない状態でありました。私的使用目的というのは,これは私的使用のための複製ですから当然として,あとは何が要件かというと,「その使用するものが複製することができる」というので,使用者が自分で複製すれば別に部数も量も何も制限のない,私的複製の目的で,自分自身でできる範囲だったら自由にやれるという非常に私的複製にやさしい法制でありました。

この範囲は一般的には自分自身でなくても家族ぐらいまでは入るということで,自由に家族の中では私的目的では複製できるということで来ているわけであります。最初は複製機器等が規模も小さかったのでそうでしたが,その後,1号,2号,3号と例外が拡大してきて範囲は狭まって,他方で2項で補っているということです。これが現行法のバランスなのであり,この1項で言いますと1号,2号,3号の例外については,私的複製は自由にできません。他方,2項での補いもあるということで全体のバランスが取れて45年法当初と同じように,その使用する者が複製することができる,家庭内だったら自由にできる,このようなものが全部ある中でトータルに制度はできています。そして,複製権というものを与えている以上は,それは複製をコントロールできるのであって,複製されれば不利益がないかと言われると,経済的な意味は別として法的には不利益が否定できないのであります。

家庭内で複製されているというのは,2項で補っているところがありますので,これが働かなくなると結局はどうなるのか分かりませんけれども,更に4号を付けるのか,もっと別の要件を付けるのか等で,私的複製が今ほどは自由にできなくなるという可能性もあります。恐らく皆様全員,現行法のとおり自由に家庭内では複製ができるという線を守る方がよいとお考えでしょうから,そのためには,先ほど言ったような不利益をどうにかしていく必要があり,現行法は,そこは補償金という形で賄って,自由な複製を許すと同時にきちんとクリエーターにリターンが行くようにしております。要するに排他権としては権利制限で押さえるけれども,補償金という別の形できちんと最終的には著作者,著作権者にリターンが行けばいいわけですから,そのような中間的なものを進めてきているわけであります。

これが現行法の30条の1項,2項を合わせたトータルのシステムなものですから,2項の方が働かなくなると,予定調和的な現行法のバランスが崩れてくるおそれがあります。先ほどコピーネバーという話が出てきましたけれども,30条1項で排他権は押さえた形になって2項で補っているのが,2項がなくなると排他権がまた出てきて,コピーネバーやDRM等で複製を押さえということで,それは結果的には自由に私的複製ができないということになります。これは権利者,利用者,両方にとっては非常に不幸な状態なのであろうと思われます。私は別にどちらの肩を持つものではありませんが,私的複製が自由にできるというのは我が国の著作権法の非常によいところなので,ここは生かすようにしないと大変なことになるのではないかと思っております。なお,さっきストリーミングばかりになって,もう複製はないということであれば,先ほど言ったような不利益もないわけですが,複製が現に行われている限りにおいては,やはりそこのところは考えていかなければいけないのではないかと思っております。

【土肥主査】ありがとうございました。

小寺委員が言われたサブスクリプションの問題ですけれども,先ほど申しましたように,ストリーミング型は議論の対象にしないと,このように申し上げておりますので,そこはご承知おきいただきたいと思います。では,サブスクリプションという流通形態が登場することによって私的複製が一切行われていないのかというと,そういうことは一切ないわけでありますので,サブスクリプションが出てきたが故に,ここでの議論の必要性はないという,そういう趣旨ではないものと私は考えております。基本的な考え方として,権利者に不利益が生じているのか,あるいは本日のところで,冒頭出た対価還元,その対価還元というものがこういう私的録音補償金のような形で対価還元をするというのはビジネスモデルとして考えられないのではないかというような御意見もあったわけであります。

それからもう一つ,今日は出ていませんけれども,かつてこの私的複製に関わる様々な録音機器の登場によって利益を受けている者がいる。その利益を受けている者がこういう私的複製の一方の当事者になるべきではないかというような議論も,御主張もあったわけであります。その基本的な考え方として,ここをどうするのかというところがあるわけであります。権利者に不利益が生じているのだから,それを補償金という手段を通じて補償する必要があり,その場合どういう範囲についての確定が必要になってくるのかということで考えているわけでありますけれども,この点について,基本的な考え方について何かございますか。

【河村委員】すみません,いいですか。

【土肥主査】はい。河村委員,どうぞ。

【河村委員】今の御質問への答えではなくて,少し前に戻って意見を言わせていただきたいのですけれども,まずは,レコード協会の方が,消費者の方には所有欲があるとおっしゃったのですが,もちろんあると思います。お金を払ってCDを買って,そのCDは自分のものですから,それを所有することがうれしい。そのアーティストが好きだから買う。何も冒涜(ぼうとく)しておりませんし,そういうことについて何かまるで買っている消費者が悪い,持っていたいと思うことについて,その感情,音楽を所有したいということに関して,それが今でもありますよねというのはおかしいと思います。

あと枚数についてですけれども,ちょっとおかしいなと思いますのは,まず,単純に枚数と言いましても,椎名さんがおっしゃったデータ保有枚数といっても,ダウンロードして買ったものがパソコンに入っていたら,それは自分が買った自分のコンテンツだと思いますし,あとCDを買ったものが入っているとおっしゃいますけれども,今や聞くためにほかのデバイスに移したいと思えば,例えばCDラックの中にダーッと並んでいるCDの曲数を考えれば,それが今の時代に合った聞き方をするためにはデータとしてたくさんの量になる可能性はあると思います。

あともう一つの一面は,何かすごく積算して何億曲とおっしゃいますが,まずはハードディスクなんて消えていってしまうものでありまして,しかも,容量もすごくたくさんになってきますと,機器を割と買い替えるタイミングも結構速いですし,要らないものは捨ててタイトにして次の機種に入れるということもありますから,このように何か極端に全部が積み上がっていくという考え方と,それこそが不利益なのだというのはやっぱり機器の保存の容量が上がって,いろいろなことがデータの送信が速くなった時代に数だけ数えて,たった1人の人間がその人の時間の中で聞く範囲において,幾ら,何千曲あったとしても,それはもともとCDラックに,CDの中にも何千曲あったわけです。でも,聞くことができるのはその人ですから。

極端に言うと,どこに不利益があるのかということで,私,本当に率直に申し上げて,不利益があるとするならば,パッケージとして買ったCDとかレンタルしたCDを非常に親しい範囲を超えたところにコピーさせてあげたりしたら,そこには不利益があるだろうと思います。それがどう補償が必要なぐらいあるかどうかは別として,それ以外の時代が変わってきたのに曲の数を殊更に数えて,そこに莫大(ばくだい)な何か不利益が生じているという言い方というのは,消費者としては納得できないですね。お金を払って買ったコンテンツの話であるという前提があるはずですから。

【土肥主査】今,河村委員がおっしゃったのは,その次の話でして,プレイスシフトとか保存のための複製というものについて,次のステップとして補償が必要な範囲の中に含めるかどうかという議論ではそれが出てくると私も思っております。媒体変換とか,そういうような場合について,それは30条の中に入れるのかどうかというのは,皆さんで御議論いただきたいし,河村委員のような御意見もあろうし,そうでない方も当然あるわけであります。要は,基本的な考え方として今,河村委員もいみじくもおっしゃったわけですけれども,権利者に不利益が生ずる範囲,場合も,領域もある。それはどういう場合かというと,プレイスシフトを超えた部分であるという,そういうところだと思いますけれども,そもそもほかの考え方ですよね。

つまり,ここで言うところの複製機器のメーカー等が30条の下で利益を受けているのだから,その利益を受けている者がこの私的複製について補償すべき範囲も決まってくるし,補償の手順についても決まってくるのだろうと思うのですけれども,そういう考え方で今後いくのかどうか。あるいはそういう考え方がどういう場面に出てくる,今後の議論のどういう場面に影響してくるのか。手順の中では確かに議論としては出てくるのだろうと思うのですけれども,やはりここでそもそもの考え方として,基本的な考え方としては権利者に大量な私的複製によって不利益が生じているという,そういう基本的な考え方でスタートすべきだと思うのですけれども,これでいいのかどうか,御意見を頂きたいと思います。

どうぞ。

【榊原委員】何度も申し上げているのですけれども,複製イコール不利益だという,大量にコピーをされているから不利益があるということについては異論があると思います。これは考え方で,コピーがされても,そこは実質的に経済的な不利益があるのかどうか見るという考え方と,形式的に複製権があるから必ず複製されると不利益があるのだというお立場と両方あると聞いていますので,今更立場,意見が違うというだけのことだろうと思いますけれども,そこは意見が分かれるところではないかと思います。別に裁判で個別の事件みたいに立証責任があるのだというふうに申し上げているつもりはなくて,分かりやすく例として挙げただけで,具体的にどんな不利益があるんですかと言っているのです。

先ほど河村さんは友達にという話がありましたけれども,そういうのは分かりやすいと思うのですが,実態調査,古いと言いながらも見てみると90%の人が自分が聞くためにコピーをしているとか,後でテレビを見るためにコピーをしているというふうに数字的には出ているわけです。それって視聴とイコールなのに,複製しているから不利益があるのだというような主張が,一つの例を取っても理解しにくい。総量が多いから総体として見るのだというのは,何となくそこを説明ができないからそういうふうに言っているようにしか聞こえ

ないです。これは消費者的な観点でもそう思いますし,自分が買ったものを自分が聞くのに一々,一々重たいCDとかDVDとか持って行けないからCDについてはほかの小さい機器にコピーをして聞くということだと思います。

先ほど一昔前はDRMが解決していくのだというような意見があったというお話がありましたけれども,電気業界はDRMで何もかもガチガチにコピーができなくなるから補償金制度は不要だと言ったことは一度もなくて,DRMのような技術が出てくると選択肢が増えるということです。それから,DRMと契約で解決できるのではないかという主張をしていたわけです。実際,CDについてもそうですし,ネットの配信でもDRMでコピーの制御などをされていたときもあったと思います。それは選択をしてやめられたということは,そちらの方が利益があると思ったからでしょう。そういうビジネス判断なのではないかと思いましたので,選択肢の中から選んでいるのではないかという主張もそういうところなわけです。

以上です。

【土肥主査】その選択肢を選んだから補償する必要がないということになるんですか。つまり,補償する,例えばメーカーさんのビジネスモデルでいろいろ私なども日常的に困っていることはあるのですけれども,プリンター本体は結構安いんだけれども,その後のトナーとか何かはとんでもない値段がする。そういうのを私は,消費者に対して果たしてどうなんだろうかと私は思いますよ。思いますけれども,そのメーカーさんはそういうビジネスモデルによって,いわゆる利益を最大化していきたいとお考えになっているのだろうと思います。

DRM,当然あるわけですけれども,DRMでガチガチにしてやる,そういうビジネスモデルもあれば,そうでなくてユーザーの利便性の上で若干の補償金を取って,それによるビジネスモデルというのも一方においてあるのではないかと思います。それをメーカーさんは自由におやりになるんだけれども,権利者は,それはやっちゃいかんということにもまたならないのだろうと思うんですね。

つまり,本来であれは,そのプリンターはプリンターの機器の値段を取ってもらって,トナーはトナーの値段を取ってもらったらいいのだけれども,えらくその辺が違うところも,私などは結構実感としてはあるのですけれども,まあ,泣きも入ってきますが,そういう経験もございます。つまり,ビジネスモデルというのはいろいろあっておかしくないのではないかなと私は思うんです。

大渕委員,どうぞ。

【大渕委員】今の点とも少し関連するのですけれども,端で聞いていまして気になったのが,一つは複製権という権利を与えたことは間違いがなくて,やはり法的不利益というのはそこから始まるしかないのであります。ビジネスモデルや経済などを言い出したら別の話になってくるのですけれども,その観点で思いましたのは,きのうもやっていましたけれども,また出てくるC類型で,あれは形式的には複製しているけれども,実質的には享受に向けられていないようなものです。コンピュータを使っていれば至るところで複製が無数に行われているわけで,そのような形式的なものはおよそ権利者に不利益を与えるようなものではないから侵害成立から外すという話のがC類型です。これはバックアップなど,正に将来の享受のために取っているものですから,そのような意味では形式的な複製ではなくて実質的な複製なのであります。経済的とか心理的とかいう点を入れれば別かもしれませんけれども,法的にはやはり不利益と言わざるを得ないのではないかと思います。

それから,もう1点気になりましたのが,本当は無体物である音楽の一番の利用というのは何かというと,最終的には聞くこと,鑑賞行為なのですけれども,視聴鑑賞あるいは使用という行為は著作権の対象とはなっておりません。著作権法はどう見ても21条以下,複製権等しか規定していません。音楽を使うときには聞くということが中心になるかと思うのですが,著作権法的にはそれが一切権利の外なので,何を押さえるのかというと,その直前である複製行為というところを押さえるということになっています。やはり著作権法は,視聴は押さえずに,その前段階の送信ですとか,複製ですとか,そのようなところで押さえるということであります。権利者に権利を与えていれば,非享受の形式的な複製は別ですけれども,享受のために,元のソースは1個で合法であっても,二つ,三つと複製ファイルを作ること自体は,1個1個享受のための複製ですから,やはり法的に見れば不利益と言わざるを得ないところであります。

ここでは法律の議論をしているので,ビジネスモデル云々(うんぬん)というのは,また別の話であります。法律上,与えられた複製権について,ただ,これは30条で私的複製を許したからなのですけれども,排他権が押さえ込まれている,その結果,我々も自由に法に触れずに私的複製ができるとなると,利用者である我々ユーザーにとっては非常に利益だけれども,権利者・クリエーターにはそこの関係で全くリターンが行かないのがいいのかというところはよく考える必要がある。だから,三者のバランスをよく考えて,そこは補償義務者の話などいろいろなところに関わってくるかと思いますが,全員にとって良いバランス(均衡)を考えていくということだと思います。

【土肥主査】ありがとうございます。

今,享受というのが出たわけですけれども,30条でコンテンツの享受のために複製する。あるいはこの資料1で言うところの2とか3のように,2ページ目の2とか3のように,保存のためとか,デバイス変換のために複製をするという消費のための複製なのか,それ以外の保存,あるいはプレイスシフト,そういうものについて30条の補償すべき範囲の中に含めていくべきなのか。そういうものも享受される場面が出てくるのだろうと思いますので,保存のためのみに保存される,複製されるものも中にはあるのだろうと思いますけれども,そういうことからすると,補償の手順の話にもつながっていくのだろうと思うのですが,そこは別にして,そもそもそういう目的の考慮をこの30条でどうすべきなのかということは,奥邨委員,今,手を挙げられたのですけれども,挙げられたところで,前におっしゃりたいことも含めて一つ御意見いただければと思います。

【奥邨委員】途中でゴールが動くとなかなか厳しくて,途中で力尽きてしまうかもしれませんが・・・。今日のお話を伺っていて思ったのですけれども,先ほど椎名委員がおっしゃったように,社会的な総体としてたくさんの複製があるということは,これはやはり事実なのだろうと。累積的に見れば多数だろうと思います。一方で,先ほど小寺委員からお話があったように,徐々にそういうものが減っていく世の中の流れになっている。今時点でどれぐらい減ったかは分かりませんけれども,そういう流れであることも事実なのだろうとは思います。

ところで,本来,知的財産権,特にこの著作権の複製権などの権利の侵害を議論する場合には,個々の行為について,個々の侵害者について見て,そこで侵害があったか,なかったかという議論をするわけであります。

そういう形で,個々のレベルに還元してみますと,今日のこのお配りいただいた資料からしますと,全体でコピーをしたことがある人は40%だと。マスの調査で40%であるわけです。しかも,そのコピーをした人が,1個についてコピーするのは1.7個であると。とすると,この数字,私,数学的なことは分かりませんので,掛けていいのかどうか分かりませんけれども,仮に,1.7に0.4掛けると0.68にしかならないわけです。つまり,個々の人々について考えると,彼・彼女らにしてみれば,そんなにコピーしていないんだけどという実感を持っているというのも,これまた事実なのだろうと思うんですね。

私たちは今,制度の議論をしています。制度の議論をして,先ほど申し上げたように著作権の世界の中では本来あり得ない個々の人ではないマスについて考えるということをしています。

かといって,最後は民主主義ですから,一般国民の皆さんが納得を頂けないと新しい制度は成り立たない。そうすると,この総体として山ほどあるコピーと,一方で個々の人の感覚としては0.68枚,僕は私はほとんど覚えないんだけれどもという数字の間を埋める,そういう人たちを納得させてからでないといけない。制度上,誰が払うにしても,お金はどこかから降ってくるわけではありませんので,最終的には日本の国の中でどこかからどこかに移動するわけで,それを制度として認めてもらうというためには,この数字の間,本来,著作権制度では直面しないはずのギャップの説明をしないといけないのだろうと思います。

そういうことを考えると,現状において私たちが考えるべきは,そのギャップをどう説明するか,制度を進めるのであればギャップをどう説明するかということなのであって,コピーがあるかどうかとか,していないかどうかということを言っても,これは事実としてコピーはありますし,一方で個々人のコピーが多いわけでもないということも事実なわけです。頂いたデータを全部前提とすればですね。すると,今のような感じで入り口で議論しても,全く一歩も進まないし,何も変わらないわけです。そうではなくて,ギャップの説明ができるのか。ギャップの説明がうまくできれば前に進めるのだろうと思っております。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。

基本的な考え方について,0.68%云々(うんぬん)というところが出てきたわけでありますけれども,この0.68%というのは……。

【奥邨委員】0.68枚。

【土肥主査】ごめんなさい。0.68枚というところでございますけれども,それはベースは全人口ということですよね。そういうことですよね。

【奥邨委員】そうです。

【土肥主査】そういうわけでございますので,若干椎名さんとも数量の違いはあるわけでございますが,決してないわけではないし,ある特定の層においては相当コピーがされているのだろうと私は思います。基本的な考え方というのはやっぱり私的複製により権利者において不利益が生じているという,そういうことを前提にそういう場面においてスコープを考えるということになるのだろうと思いますけれども,こういう基本的考え方でよろしいですか。どうぞ。

【小寺委員】今,主査がおっしゃっているのは,複製のありなしで補償の有無を決めるということではなく,複製の目的によって補償すべきもの,あるいはしないものみたいなものがグラデーションとして存在するという意味でおっしゃっているのでしょうか。

【土肥主査】できれば基本的な考え方についての御意見等を頂きたかったのですけれども,しかし,今,御質問に出ておりますので手短に今のところを。

【小寺委員】いや,違います。主査のお話の中で。

【土肥主査】僕にですか。

【小寺委員】そうそう。その前に主査が消費のための複製なのか,プレイスシフトなのかといった……。

【土肥主査】ああ,そっちの。

【小寺委員】コピーの目的をいろいろ言われまして,要するに複製がありなしではなくて,複製はある。じゃあ,その目的によって補償すべきか,せざるべきかというグラデーションがあるものだという考え方で進むという,趣旨でよろしいんですか。

【土肥主査】失礼しました。そういう御質問を頂いたわけですね。何分,能力に欠けるところがあって少し別のことを考えておりましたけれども,いずれにしても,複製があるのだけれども,その複製にはいろいろな目的があるということは,委員がいろいろ御発言いただいているところです。先ほどそういうお話もさせていただいたのは,大渕委員から享受という私的複製においても,その享受のために,つまり,消費するために,鑑賞するためと言ってもいいのだろうと思うのですけれども,そういうために行われるものと単純に,まあ,言葉は悪いのですけれども,保存されっぱなしで,要するにバックアップのためにのみやるという,そういうような場合,こういうような場合も両方とも複製は複製なのだから,30条のスコープの中に入れて議論すべきなのか,あるいはそれは別途考えるべきなのかという,そういうことで申し上げたわけです。すみません。

【小寺委員】いえいえ。

【土肥主査】どうぞ,大渕委員。

【大渕委員】先ほど申し上げたのは,きのう出ていたように複製はコンピュータの中でも,各所で行われている複製も複製だが,それは権利者の権利を害するようなものではなくて形式的複製なのです。しかし,保存のための複製というのは別に保存自体に価値があるのではなくて,バックアップだって別にバックアップ自体に意味があるわけではなく,ほかのファイルが壊れたら,最後はそれを聞くという意味では,最終的には享受のための複製と言えると思います。コンピュータの作動のための複製といったものではなくて,最終的には10年後なのか壊れたときなのかは別として,飽くまで聞くための複製なので,そこのところはやはり形式的な複製ではないと言えると思います。

そこまで遠いのはどうするのかというのは別とすれば,やはりここで議論しているのは全て享受のための,最終的には複製だけして満足して,満足感があるという人は別とすれば,普通は何かのときに聞きたいから複製しているのだという意味では,やはり享受のための複製ではないかと思うし,個別が重要だけれども,マスで捉えない限りは,制度が全く動かなくなって誰にとっても非常に不幸なことになります。とにかく,私が申し上げたかったのは,バックアップも最後は聞くためのものだという意味では非享受ではないのだろうということであります。

【土肥主査】ありがとうございました。松田委員,どうぞ。

【松田委員】問題の提言は,結局,この資料1で言うと2と3について,補償の範囲として考えるべきですかということでしょうか。

【土肥主査】はい。そういうことです。2ページのマル2とマル3ですね。

【松田委員】2ページのマル2というのは,典型的な私的録音録画による利用です。だけど,河村委員は,これだって同じ人が,買った人が聞くんでしょう,1人でしょう。それは一つと数えてあげればいいのではありませんかという基本的な考えを持っているのだと思います。それについては先ほど大渕委員が言われたように,著作権法上は残念ながらそういう視点では制度化できないのです。どうしてかというと,聞いたか聞かなかったかで課金するわけには,今の技術・社会状況からは不可能です。でありますから,基本的に複製というところを捉えて権利を行使できる場面かどうかということを制度化しているのです。マル2それ自体をむしろ,ここから除外しろ,補償の範囲から除外しろという議論は,著作権法上の立て付けからは大きく異なるといわなければなりません。マル3については,バックアップ,正に大渕委員が言われたとおりだろうと思います。これも課金の対象とすべきだろうと思います。

ついでに,マル4のDRMが掛かっていないものについてはどうかといいますが,これはむしろ逆でありまして,DRMが掛かっていて,そして私的録音録画の部分についても何らかの権利処理ができているものは除外すべきなのです。そういう意味では,コピーネバーも除外すべきであります。それから,私的な場面において行われる違法な複製は,これはもちろん除外すべきです。それから,みなし侵害で後日,違法になる場合,これも私的録音録画の範囲外には入りません。私はそういうふうにすみ分けすべきだろうと思います。そうすると,補償の範囲というのは,グラデーションで段階があるのではなくて,はっきりしていると考えるものであります。

河村委員の発言のマル2の問題でありますけれども,最初にこの制度を作るときに十分検討・審議がされています。45年法のときには,そもそも音楽CDを家庭内でコピーして,それで複数使用しようなんていう文化がなくて,その後デジタル化が進行したのです。そのデジタル化の前は,言ってみればレコードで言うならば,アナログのレコード音源をカセットテープに()って,そして,お兄ちゃんと弟が分けるというようなことは,これはあったと思います。現に私の家庭でもそうしていました。だけど,これは音源の音質から比べると,質が悪くなるものですから,普通,それは大きく普及しなかったわけです。だからこそ,45年法の範囲内で,まあ,私的複製の30条の制度を設けていても大きく市場に影響しないじゃないか。だから,権利者の方もそこについては,問題提起がずっとあったことは承知していますけれども,実質的な侵害というものが生じないというふうに考えてきたということであります。

しかし,世界的にはそうはいかなくて,この制度を第10小委員会が審議し始めた少しあとの頃にはデジタル・オーディオ・テープレコーダ(DAT)が登場して,音源と同じ質のものが私的に作られることによって大きく市場が変化し始めたのです。このデジタル化を捉えて各国が制度化したわけです。遅れて日本もそうしたわけです。マル2の場面で言うならば,昔であれば同じ音源を聞こうとした場合,カセットテープを二つ買って,そして別々のデバイスで使うということをせざるを得なかったわけだけれども,DATの登場の後は私的なコピーで完全にできることになったのです。私も現実にCDを買って,その音源を車の中でカードを差し込んで使っています。これ,昔で考えるならば,カセットテープを二つ買わなければならなかったのです。同じ音源を聞こうとしたら。だけども,音源と同質のコピーができるわけです。そして,正に一々カセットを持ち出すような,そういう作業も要らなくて,一度シムカードの中に覚え込ませれば車の中で聞けるわけです。

そういう利便性は,正に技術の進歩によって完成したわけですね。ますますそのような利便性は高まることになるわけです。これから先は車の中でもきっと空から降ってくるでしょう。そういうふうになったときに,果たして市場に全く影響しないでしょうか。昔はカセットテープを二つ買わなければならなかったんですよ。なぜかというと音質が違うからです。画像だと,きっともっと違うはずです。そのことで,その技術の進歩を見据えてこの制度ができているわけですから,マル2は当然に補償の範囲であると主張しなければなりません。同じ所有者だから2回聞いてもいいでしょう,デバイスが違ってもいいでしょうというのは,実は45年法で我慢していた段階で権利が実質的に侵害されるのは些少(さしょう)であるから,このまま行こうといった段階と,それから,この法制ができる段階とでは大きな質的転換があったのです。これが当時の立法事実です。

【土肥主査】ありがとうございました。今,マル2,マル3,それから,マル4までおっしゃったのですけれども,マル5についても同様に考える。

【松田委員】はい。私はそう考えております。

【土肥主査】クラウドの場合も同じように考えるということでございましょう。

どうぞ。

【椎名委員】先ほど先生から複製手段を提供することについては,今日は発言がないけれども,どう考えるのかという投げ掛けがあったと思うのですが,現状で補償すべき範囲についての検討をしているということで,私的複製が起きること,すなわち30条1項が存在することで利益を上げるのは,何もユーザーだけではないということは繰り返し述べさせていただきまして,1件の複製から生じるユーザーが手にする利益というのは極めて零細ですけれども,そういった複製機器やメディア等々を販売してあげるメーカーの利益は非常に大きい。

だからといって,そこの利益,上げた利益を補償すべき範囲に入れろということを申し上げてきたわけではなくて,これからその制度の設計を考える上で,欧米等ではメーカーが支払い義務者であるというような明確なアサインをしている。一方で,日本においては支払義務者はユーザーであり,メーカーはその協力義務を負うにすぎない。では,その協力義務って一体どのぐらいの効力があるのだろうかというような,その議論,制度の詳細を議論していく中で出てくる話として考えればいいと思っておりまして,この段階で補償すべき範囲についての検討の中で出てくる話ではないのかなというのがお答えだと思います。

【土肥主査】範囲の問題について広く御意見を頂戴しておりますけれども,本日は,基本的には様々な御意見を聴取したい,集めていきたい。そして次回,まとめていきたいと思っておりますけれども,残る時間の中で3ページの(2)のダウンロード型音楽配信により購入した消費者が行う私的録音についての論点として挙がっている部分があります。要するに参考資料1で言うと上から二つ目のダウンロード型と呼ばれるものでございまして,ここの部分について補償すべき範囲というところで議論をすべきなのかどうか,この点について御意見を頂けますか。

松田委員,どうぞ。

【松田委員】私が意見を述べていないのは,3ページのマル5クラウド型のところはまだ意見を言っておりません。それから,今,主査が(2)のマル1についてはどうかということでありましたので,このことについて私の意見を述べさせていただきます。

ダウンロード型でありましても原則,全く同じ,CDを買ったのと同じように考えるべきだろうと思っております。ただ,ダウンロード型の場合には,ダウンロードする当該機器にどうしたって1回は複製するわけでありまして,これを30条の範囲内で捉えるべきではないと私は思っています。これはCDをお店から買ったと同じ状況と考えられます。これから先は全くCDと同じ音源のルールに当てはめるべきだろうと思っています。それが(2)マル1と(1)に対する私の考えです。

ついでにマル5でありますが,かなり難しいのでありますけれども,クラウドによる私的複製ですね。これは今のダウンロード型の利用を想定していただきますと,大抵の場合はダウンロードする機器,それがスマホかもしれませんね。それから,PCかもしれません。そこで一つコピーができます。ここまではCDを買ったのと同じだけれども,そこから先,これを大抵の場合は,ここから先は私的なフィールドにクラウドで保存するということは,通常の使用形態になるだろうと私も思っております。しかし,これは先の別の審議会で,クラウドで蓄積するところもサーバが特定されているならば,それは複製機器の一つとして30条で私的使用目的の複製に該当するという議論をしたわけです。そしてこれを審議会が肯定したのです。

ですから,自由にこの形のビジネスをやっていいんです。そのようにこの審議会,別の委員会ですけれども,すみ分けをしたわけです。これはJEITAからの要望があって,そういうものが自由にできないのはおかしいという意見があって,ビジネスモデルを想定して,いわゆる4分割の図を出されて,その部分については審議会全員一致の意見で,30条の範囲内で適法になるということにしたのです。ということになりますと,30条で,クラウドで一定領域に複製されているのは私的録音録画補償金制度の適用になることになります。それは自由に機器を作り,自由に個人が使えるようになったということは,新しい権利制限規定は要らないということは,そういうことになったんです。そのことを覚悟して恐らくJEITAは問題提起したのだろうと思います。

しかし,ここから先です。私,それでクラウドを運営する会社に,複製機器に関する補償金徴収の協力義務を課するかについてはいましばらく考えなければいけないのではないかと思っています。それはどうしてかというと,このビジネスは海外との関係で,ある程度歩調を同じくすべきであると考えるからです。同じようにヨーロッパが課金するのかどうか。私の少しの知識では,していないと私は思っております。それなのに日本だけそれを先行することになった場合には,産業政策との折り合いを付けて,コンテンツビジネスが促進できるようにするということの視点も無視できないのです。これについては,私はいましばらく様子を見るべきではないかなというのがマル5の意見です。

【土肥主査】ありがとうございました。

最初の(2)の方についての御意見,これは参考資料の1の方でも最初のダウンロードについて網を掛けておりませんので,それ以降の問題として適正に我々事務局を含めて了解させていただきたい,そういう理解をしているということでございます。クラウドの問題に関しては,今御意見がございましたように非常に微妙な問題がこれあるので,その先の話として我々は考慮しなければならないと思います。

ほかに。どうぞ。

【椎名委員】松田先生の御指摘になった海外はどうだとか,あるいはコンテンツを取り巻くビジネスの趨勢(すうせい)というか,その成長というんですか,そこまで言っていいか分からないですけれども,そういったものを見ていく必要があるというのは,僕もそのとおりだと思うのですが,そのためには技術の進歩とかビジネスモデルの変化とかに即応できる制度でなければならないのかなという気がします。現状を見ると,やはり対象を政令指定するというところでなかなか先に進まないという部分があるので,先生がおっしゃったような部分も盛り込むとすれば,制度の中にそういった柔軟性というか,スピーディーに対応できる要素が備わっていなければいけないのではないかと思って聞いておりました。

【松田委員】異論はありません。異論はありませんが,その議論に入っていいわけじゃないでしょう。主査,今はやめておきましょう。

【土肥主査】丸橋委員,どうぞ。

【丸橋委員】クラウドの話が出ましたので,松田先生に反対だということをお伝えしようと思いますけれども,タイムシフト,ここはマル5のこの星の二つ目,プレイスシフトとか書いてありませんけれども,タイムシフト,プレイスシフト,バックアップ目的,それは別にフィジカルなパッケージ販売のときと全く同じで,著作権法上の複製は複製だということについては,その理屈としては理解できますけれども,利用者に対するサービス提供側の視点でもありますし,利用者側の視点としても,そこに何らか新たな権利者への還元が必要ということについては反対です。

以上です。

【土肥主査】河村委員,どうぞ。

【河村委員】クラウドの話題に入ったところで,その前の松田委員の御発言についてなのですけれども,何か私が言った1人の人が聞く範囲ではいいのではないかというのは,著作権法の考え方では駄目なのですというようなお話でしたけれども,私は学者ではないですけれども,もし本当にそうなのだとすれば議論なんかする必要はないはずなわけで,権利制限があるところには補償金制度を作りなさいというルールがあるわけでないとするならば,補償金制度が考えられ得る範囲だというのは,私も100%理解しますけれども,じゃあ,どうするべきなのか。

この時代,マルチデバイスで聞くのが当たり前の時代に入ってどうするべきなのかという議論の場であるはずで,私も補償金制度がカバーされ得る範囲だというのは100%賛成。ただ,しなくていいんじゃないですかというのが意見なので,このまま議事録に私が発言しないで残ると,何か著作権法の考え方はこれで決まりですとおっしゃったようなことになってしまうので,考え方はそうだけれども,今後どういうルールを作るべきかということで私は意見を申し上げております。

【土肥主査】ありがとうございました。

ほかにございますか。どうぞ。

【小寺委員】今,資料の1の3ページ目の(2)マル1のところあたりに徐々に議論が移っていくところだと思いますけれども,そこの一番下の星のところ,マルチデバイス・ダウンロードサービスの導入後,導入前と比較してということでございますけれども,これはサービス事業者さんと楽曲を提供される方の契約というか,ビジネスの問題だと思うんですね。なので,それを補償でカバーするというのはちょっと違うのではないかなというのが私の意見です。

それから,先ほど松田先生が御発言された中で,そもそもなぜ補償が必要かというところで,デジタルコピーはオリジナルと全く同じものができるからであるという前提に立たれていらっしゃいます。補償金というものができたときの認識はそれで間違いないのですけれども,今現在行われている大半の音楽のコピーは,非可逆圧縮といいまして元と同じものではありません。10分の1とか20分の1とかに劣化させて,便利に利用するためですけれども,コピーをしております。同じものではないという前提に立った場合に,この松田先生がおっしゃった意見というのは変わりないということでしょうか。

【松田委員】全く変わりありません。カセットテープからコピーを()って,もう一つのカセットテープを作るときの劣化というのは,技術的な差異によるものではないのです。劣化を伴う複製が市場に影響しないだろう,ゼロではありませんが,かなり小さいだろう。だから,まだ45年法の範囲内で良いと考えていたのです。ところが,今のデジタルコピーが言われるとおり技術的な差異によって記録形式が変わるという部分があったとしても,それはその技術的な範囲内において正確にコピーされるわけでして,劣化するわけではないのです。

すなわち,これは通常の視聴者にとってみれば,オリジナルコピーと同等のものとして視聴することの品質があるということになります。もちろん,すぐれた視聴者にとってこれは違うよねというのはあると思いますけれども,これは市場に対して影響を与えるかどうかという点では,カセットと今の御指摘の技術の問題とは違うのではないでしょうか。ですから,私の意見をそれで変更するつもりはありません。

【土肥主査】ほかにございますか。時間も割合残り少なく,あそこで見ると,あと4分ほどになっておりますけれども,本日頂いた御意見等を踏まえて,次回において補償すべき範囲を決めていきたいと思っておりますけれども,本日の全体の議論及びその他ということも踏まえて,御意見があればこの残りの時間でお願いいたします。どうぞ。

【楠本委員】先ほど小寺委員のサブスクリプションの話から,私がすぐに所有という言葉を使ってお話ししたことに対して,河村委員から消費者やユーザーをばかにしているというような御発言がありましたが……。

【河村委員】言っていないですよ。

【楠本委員】決してそのような趣旨ではございませんので,公の場で議事録に残ることで私の発言をそういうふうに揶揄(やゆ)されるのは余り本意ではないということで,是非そこは修正いただきたいと思います。

【土肥主査】どうぞ。

【河村委員】私,ばかにしていると言った覚えは全くなくて,所有したいという気持ちについて,むしろけしからんというニュアンスがあったのではないかという,余り覚えていないですけれども,ばかにしているという言葉は使っていないですし,そのことをもって,そこを削らなければいけないということがコンセンサスになるのはちょっと納得できないのでということを申し上げておきます。

【楠本委員】けしからんというニュアンスも言っていないはずなのですけれども,それを全部議事録に載せることが不本意だと言っていることです。

【土肥主査】私もそのやりとりについては聞いておりましたけれども,そんなに強いインパクトはなかったように私は思っておりますので,もし議事録の上で何かそういうものが残るようであれば,御了解いただいて,そこがもしあればですよ。あれば御訂正いただければと思いますので,よろしくお願いいたします。

どうぞ。

【椎名委員】先生から後出しはいけないと言われているので……。

【土肥主査】もちろん。

【椎名委員】はい。後出しはしませんが,さっき発言した放送からの録音にこだわるわけではないのですが,先生はデジタル放送はあるのとおっしゃったのですが,ここではアナログ,デジタルに関わらずデジタル録音したものが今は対象になっている。

【土肥主査】そういう御指摘については承知しました。

【椎名委員】だから,もし間に合えば対象に,その補償すべきものの対象の中に含める可能性はあるのではないかなと思って少し申し上げた。

【土肥主査】補償すべき範囲の確定というのが,まず我々にとって必要なところでありますので,今,椎名委員が最後におっしゃった部分については,全ての委員の御了解を伺う。今日は難しいので,もうそれはできませんけれども,伺うことはお約束したいと思います。思いますけれども,補償すべき範囲の中で議論するということを今の時点で約束はできないということでございます。

ちょうど時計が12時を指しております。従いまして,時間の関係等もございますから意見交換はこのくらいで終わらないといけないのではないかなと思っております。大分この補償すべき範囲という論点をもって,相当議論させていただいております。従いまして,十分その方向性について示すことができる,そういう検討の時間をとっていると私は思っておりますので,次回においては方向性を出したいと思います。是非皆さんの御協力を頂きたいと思っております。事務局におかれましては,本日の意見を取りまとめていただいて,次回,補償すべき範囲については方向性が出せるようにしたいということでございますので,よろしく御協力いただきたいと存じます。

事務局から連絡事項がございましたら,お願いいたします。

【池野著作物流通推進室長補佐】本日は,ありがとうございました。次回の本小委員会につきましては,改めて日程の調整をさせていただきまして,確定次第,御連絡いたします。よろしくお願いいたします。

以上です。

【土肥主査】それでは,これで著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第4回)を終わります。本日は,年末のお忙しい中,ありがとうございました。

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