文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第5回)

日時
平成29年12月20日 (水)
15:00~17:00
場所
文部科学省旧文部省庁舎6階第2講堂

議事次第

1開会

2議事

  1. (1)クリエーターへの適切な対価還元について
  2. (2)その他

3閉会

配布資料一覧

資料1
対価還元の手段に関する検討(486KB)
資料2
平成29年度私的録音に関する実態調査 中間報告(1.4MB)
出席者名簿(56KB)

議事内容

【土肥主査】それでは,定刻でございますので,もうお一方おいでになると思いますけれども,文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の第5回を開催いたしたいと存じます。本日はお忙しい中,御出席を頂きまして誠にありがとうございます。

議事に入ります前に,本日の会議の公開についてでございますが,予定されております議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないと思われますので,既に傍聴者の方には入場していただいているところでございますけれども,この点,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】では,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方には,どうぞそのまま傍聴いただくことといたします。

事務局から配付資料の確認をお願いします。

【堀内著作物流通推進室長補佐】本日,配付資料といたしまして,2点御用意させていただいております。まず,資料1につきましては,「対価還元の手段に関する検討」と題する資料。資料2といたしましては,「平成29年度私的録音に関する実態調査中間報告」と題する資料でございます。不備等ございましたら,近くの職員までおっしゃっていただければと存じます。

以上でございます。

【土肥主査】ありがとうございました。

では初めに,議事の進め方についてでございますけれども,本日の議事は,(1)クリエーターへの適切な対価還元について,(2)その他,このようになっておるところでございます。

時間もございますので,早速議事に入りたいと存じます。

クリエーターへの適切な対価還元につきましては,引き続き,対価還元の手段について検討を行っていきたいと思っております。前回は,対価還元の手段についての基本的な考え方,補償金制度における対象機器・記録媒体の範囲・決定方法及び補償金の支払義務者に係る論点等々について意見交換を行いました。

今回も前回に引き続き,更に議論を深めていきたいと思っておりますけれども,今回は,私的録音に関する実態調査についての御報告も頂けることになっております。本日は,調査を実施していただいておりますみずほ情報総研株式会社の担当者の方においでいただいておりますので,後ほど調査結果の概要について御報告をお願いしたいと思っております。

それでは,最初は事務局から,配付資料の1についての説明をお願いします。

【白鳥著作物流通推進室長】資料1をごらんいただきたいと思います。この資料につきましては,前回の会議における御発言を踏まえて,若干追記をしておりますので,その追記の箇所につきまして説明いたします。

3ページをごらんください。対価還元の手段に関する基本的考え方ということですけれども,主な意見の四角枠の中の上から四つ目のパラグラフです。契約による許諾対象としていない領域の私的複製が,権利者への対価還元を検討すべき範囲である。こうしたことについて,前回,一定程度の共有理解を得られたと思います。その部分を追記いたしております。

引き続きまして,5ページ以降ですが,各手段についての記述に関する部分でございます。ページとしては6ページをごらんいただきたいと思います。契約・技術による対価還元手段との関係というところにつきまして,前回の御意見を反映させていただいております。

一つ目のパラグラフのところですけれども,先ほど出ておりました,契約によっては対象としていない複製というのが私的複製の範囲であり,その範囲が,今の補償金制度が対象としている複製であるということ。そして,契約と技術によりカバーし得る範囲の大小は,今後のビジネスモデルの範囲に関わり,範囲の明確な確定は現時点では困難であると。その範囲の明確化等に向けて,あるいは契約・技術による対価還元の実現に向けて,関係者による協議が進められることが期待されるというのが一つ目です。

二つ目のところですけれども,契約と技術により対価還元が実効的に実現できるのであれば,その可能性の追求が望まれるが,同時に,契約と技術による対価還元手段では対応が困難な範囲については,有効な代替手段がないのであれば,補償金制度を実効性あるものに改善する必要がある。いずれか一方ということではなく,両手段を模索すべきということです。

三つ目のところにつきましては,この後出てまいります実態調査の結果ということにも直結する話になりますけれども,私的複製の領域における複製実態を踏まえて検討を進めるべきだといった御指摘でございました。

そのほかのところにつきましては,更に個別の各論のところになります。11ページをごらんください。対象機器・記録媒体についてという項目の中の11ページ,特に対象機器等の決定方法という部分がございます。そのパラグラフの2行目ですが,特にこの政令指定方式に関わりましては,規定ぶりについては抽象度を高めた規定内容にするといった御意見も頂きました。そこの御意見を,今のごらんいただいている箇所に追記しております。

続きまして,支払義務者に関して,14ページになります。14ページの主な意見,三つありますけれども,三つ目の丸を追記しております。協力義務について,協力すべき行為を法令上明確化するということも考えられるといった御指摘でございました。

あとは,19ページをごらんいただきたいと思います。契約と技術による対価還元でございます。強みについてというところの二つ目のパラグラフです。多様な配信サービスというのが今,主流を占めているといった御紹介が前回ございましたので,そちらの記述を追記しております。また,課題解決に向けてという19ページから20ページに掛けてのところは,先ほど補償金制度のところで御紹介した記述を再掲させていただきました。

主な追加等の箇所は以上でございます。

【土肥主査】ありがとうございました。資料1の説明について,前回の御意見を反映した形でまとめていただいたものを紹介していただきました。

そこで次に,冒頭少し申し上げましたけれども,私的録音録画実態調査というものについて入っていきたいと思います。本日は,みずほ情報総研株式会社の中様,それから黒川様,お二方にお忙しい中,来ていただきまして,この中間報告についての御説明を伺いたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【みずほ情報総研(中)】それでは,どうぞよろしくお願いいたします。みずほ情報総研と申します。資料2に基づきまして説明を進めさせていただきます。

3ページ目をおめくりください。本調査でございますけれども,アンケートの形式で実施しております。アンケートはこちらの1次調査と書いているものと,1次調査を踏まえた2次調査の2段階構成で実施させていただきました。3ページにあります1次調査というものは,回収数4万人の方にお答えいただいた内容となっております。私的録音をしている人だけではなく,していない人たちも含めた私的録音についての実態調査の結果が出ております。後ほど紹介いたします2次調査につきましては,1次調査のうち4,000名の方にお答えいただき,私的録音の実態についてお話を聞かせていただいた内容となります。

では引き続きまして,4ページでございますけれども,1次調査の概要でございます。アンケートにお答えいただくに当たりまして,録音,ダウンロード,コピー,アップロードの内容について,日々なじみのない方もいらっしゃる可能性がありますので,御説明をして,こういったものを事前に読んでいただいてからアンケートに進んでいただくようにしております。また,アンケートの途中ででも分からなくなった場合は,例えば録音が分からなくなった場合には,録音について参照できるような形で進めさせていただいています。

なお,今回の調査の中では,ダウンロードを伴わない動画のストリーミング再生というものについては,対象にはしておりません。

では,5ページ目に参ります。5ページ目からは結果の御報告になります。右上に,これはどのようなことの結果かというのが分かるように,ハッチングを掛けてあります。5ページ目の録音機器の保有状況から見ますと,右側に2014年,前回のアンケートの結果を表示しておりまして,左側が今年度2017年,弊社で担当させていただいた結果を記述させていただいております。

2017年,5ページをごらんいただきますと,グラフの「所有していない」というところに注目していただきます。こちらは全体の中から,こちらの「所有していない」人の回答を引いた値が,所有している方になります。この中で,所有している人が多いものは何だろうと見ていただくと,赤枠で囲っている部分になりまして,ポータブルオーディオプレイヤーが例えば4割になったりとか,あとパソコンや,下の方に行ってスマートフォンというのは7割の方が所有しているという結果になりました。

6ページをおめくりください。6ページはオンラインストレージサービスの利用状況についての回答結果となります。また2017年のグラフとか表を見ていただきますと,これを多い順に見ていきますと,我々で注目したのは認知状況でございまして,聞いたことがない・知らないみたいなものは,2014年と比べて変わっているのかなというのを見ております。上位になりましたDropboxですとか,Googleドライブ,iCloudに関しては,聞いたことがない・知らないという回答自体が減っております。つまり,認知度というのが前回よりも向上しているのではないかと読み取れると思います。

そのまま下の7ページに行っていただきます。聴き放題の音楽配信サービスについての利用状況を聞いた結果になります。こちらは2017年を見ていただきますと,聴き放題を利用していない人というのが一番多くなりまして,85.4%でございました。2014年と比較すると,やや増加している傾向にはありますけれども,全体としては,使っていない人の方が多いという結果になりました。

8ページでございます。ここからはテーマが変わりまして,私的録音の実施経験について伺った結果になります。8ページの左側のグラフでございますけれども,一番多くなった回答について注目いたしますと,録音を行ったことがない人というのが一番多くなりました。60%で,こちらは2014年の結果と比べましても変わっていないような状況でございました。

続きまして9ページ,音源別に私的録音の実施経験を,今度は年代別に見てみようとしたのが9ページでございまして,先ほど一番多かった,いずれも行ったことがない方を年齢別に見てみますと,年齢が高くなるほど回答率が上がっておりますので,15歳から19歳の方自体がこの逆で,録音をしていると読み取れます。

10ページに参ります。10ページ,丸1番,機器の録音利用状況についてでございますけれども,こちらは録音等に使用した機器を回答していただいた結果になります。左側のグラフを見ていただきますと,赤枠で囲っている部分,パソコンですとかスマートフォンについて,使用したという回答が高くなっております。

11ページ。こちらについては,今度は同じ質問を年代別に分析した結果になります。そうしますと,先ほどの一番多くなったパソコンについて見ていただきますと,50歳から69歳の方が一番高くなっております。スマートフォンを見ていただくと,15歳から19歳の方が61.5%と一番高くなっていて,パソコンだと全体的には高齢層の方の方が回答が多くなり,スマートフォンの場合は若年層の方が多くなるという傾向が見えました。

続きまして,12ページは11ページとほぼ内容が同じなので,飛ばせていただき,13ページに参ります。13ページに行きますと,録音機器の利用頻度についての回答結果になります。グラフの中で,録音機器をどれくらいの頻度で使っているかということなんですけれども,最も多かったのが,2~3か月に1回ぐらいの方が多くなりました。こちらは右側のグラフ,2014年の方も同じ傾向になっております。

14ページに参ります。こちらは録音機器の利用頻度を年齢別に見たものになりますけれども,結果といたしましては,若年層ほど利用頻度が高くなったと書いております。これの見方なんですけれども,グラフの左側の帯に行くほど多頻度になりますので,例えばほとんど毎日という紫色のところを見ていただくと,そこは若い人たちの方が高くなっているのが顕著に見えるかなと思います。

以上が1次調査の結果となります。以降は2次調査の結果になります。

16ページをおめくりいただきます。繰り返しではございますけれども,16ページに2次調査の概要を書いてございます。2次調査は,1次調査でお答えいただいた方の中から,私的録音を実施している人を対象に,4,000名の方に御協力いただいた結果になります。

17ページにつきましても,先ほどと同様,このような前提で皆様に説明をした上で2次調査を答えていただいているということで書いております。

18ページからが内容になります。2次調査の結果でございますけれども,右上,録音を行った音源別に見てまいります。2017年の結果を見ていただきますと,多かったものに関しては,市販のCDが最も多くて,次にはレンタル店のCDからというのが多くなっています。順番だけから言いますと,2014年と1位・2位というのが逆転しております。

続きまして,19ページです。音源別の平均曲数,平均1か月当たりどれぐらいの録音をされているかという結果でございますけれども,19ページの左側のグラフを見ていただきますと,2014年と比べると全般的に,各音源別に平均曲数というのが少なくなる結果になりました。なので,減少傾向にあると見させていただいております。ただ,録音がされていないということではございませんで,引き続き録音は一定数されている結果が出ております。

20ページに参ります。新規に入手した音楽音源の録音等の曲数になります。こちらになりますと,2017年の表全般的に,見ていただくと,上から9.4とか14.6みたいな曲数が書いてありますけれども,各機器平均して大体10曲前後録音されているということが,新規に入手した音源に関して,皆様10曲前後録音しているということがアンケートでは出ております。

21ページに参ります。21ページは,前のページが新規であったんですけれども,21ページに関しては,既に自分で入手していた音楽音源に対しての録音の曲数になります。同じく2017年を見ていただきますと,対象別に見ますと,少し傾向がこちらの場合は出ておりまして,どこが多かったかというふうに見ますと,例えばタブレット端末の内蔵メモリー40.5%,続きましてポータブルオーディオプレイヤー31.9%,パソコンの外付けハードディスク26.9%のように,対象によって傾向が,こちらの場合は出ているかなと思います。2014年と比較すると,全般的に曲数が増加する傾向は,こちらの場合は出ております。

22ページに参ります。22ページは,録音を行った機器でございます。どの機器で録音しましたかと聞いておりますけれども,こちらは2017年の表を見ていただくと,細かく,実際は新規に入手した音楽音源はどれで録音しましたかとか,丸2番で,既に自分で入手していた音楽音源ではどれでやりましたかとアンケートで聞いておりますけれども,結果といたしまして,1から4番全てにおいて,多かったのはパソコンの内蔵ハードディスク,あと,スマートフォンの内蔵メモリーというのが多くなっております。

23ページに参ります。音楽データを保存する機器・媒体についての結果でございます。2017年の多くなった順に見ていただくと,パソコンに内蔵のハードディスク・SSD,次にスマートフォンの内蔵メモリー,3番目にポータブルオーディオの内蔵メモリーという順番で多くなっている傾向があります。ほかの媒体と比べても,この三つが一番突出しているような結果が出ております。

24ページに参ります。24ページは,保存している音楽データのデータ量について,どれくらいの量の曲数を保存していますかというのを録音媒体別に聞いた結果になります。こちらは2017年の多かった順に見ていただくと,赤枠を掛けていますけれども,自宅内のネットワーク上にあるファイルサーバーに録音している方というのが,平均曲数でいうと2,312曲,パソコンに外付けされているハードディスク・SSDが次に来まして,1,875曲という結果になりました。2014年にも同様の質問をされておりますので,そちらと比較すると,各表の中身については2017年の方が少なくなっておりまして,減少傾向があると見ております。

続きまして,25ページ。25ページからはテーマが変わりまして,利用している方たち,録音等をされている方たちの目的について聞いた結果が25ページになります。25ページの2017年の結果を見ていただきますと,グラフで目的といたしまして一番多かったのは,自分が聴くためが96.0%で,9割の方が自分で聴くために利用されていると。残りの下のグラフにあるものが,共有目的で利用されているという方でございますけれども,こういった方は大体2割の方という結果が出ております。

26ページ,複製した個数でございます。1個の音楽データを何個ぐらいコピーしていますかという質問になります。26ページの左側のグラフを見ていただきますと,一番多かったのは青いハッチングの0個。こちらは42.1%の方が選んでおります。これは2014年の場合は28.9%でございましたので,0個,つまりコピーしないという方が増えている結果となりました。全体としてはコピーの数自体は減少している。このことから,コピーの数は減少しているのではないかと言えると思います。

27ページでございます。27ページは,様々な機器や環境で聴くために保存している割合でございます。自分で購入した音楽の総曲数のうち,同じ楽曲を様々な機器や環境で聴くために,CD-Rやパソコン,スマートフォン,クラウドロッカーサービス等にコピーして保存する曲数はどれくらいでしょうかというような,難しい質問ではあったんですけれども,そういったものを今回,こちらは今年度のみ聞いている質問になりますけれども,やった結果になります。そういたしますと,平均で63.2%の方が録音等で行っているよという回答を頂いております。

28ページに参ります。28ページは,複製データの共有をしているかどうかということについてのアンケート結果になります。こちらは家族や友人,知人にあげたり,共有したという回答をした方は,2割の回答でございました。2014年と比較いたしますと,若干ですけれども減少はしているが,2割の方は引き続き共有しているということが分かります。残りの方は共有していないというふうになります。

29ページは,複製データの共有状況,データをあげたり共有した場合の人数を回答していただいております。アンケートのときはグラフに描いて,グラフで家族とか,ごく親しい友人,ごく親しい友人以外の友人・知人と記載しておりますけれども,この対象別に何曲ずつ平均で渡しているのか,共有しているのかということを回答できるようにしております。その結果,2017年を見ていただきますと,0個と回答している方が,2014年と比べてそれぞれ減少しているという状況になっていますので,逆にこちらの結果からは,誰かに上げたり共有したりしている人数というのは,若干増えているのかなと思います。共有している人の中であげている人数というのは増えていくという結果でございます。

30ページです。複製データの共有方法,どのような方法で皆さんにあげたり渡したりしているかというのを聞いたのが30ページになります。2017年の結果を見ますと,最も多かったのが光学メディア,中にはCD,DVD,ブルーレイドライブ等が入ります。フラッシュメモリーが続いてまいります。この中にはUSBメモリーですとか,SDメモリーカード,コンパクトフラッシュ,メモリースティックなどを例に挙げております。そちらを使われている方が全体の中では多いという結果になりました。

31ページに参ります。購入した記録媒体の種類でございます。1年間の間にどのような記録媒体を購入されましたかという質問に対する結果でございます。こちらは2014年と比較をいたしますと,傾向には大きな違いというのは出ておりません。では,2017年の中で一番多かったもの,2番目に多かったものというのを注目すると,赤枠で囲ってある上のCD-R/RWの音楽用のものが高くなったり,あとはUSBメモリーというのが高くなっております。逆に,1年の間に記録媒体を購入していないという方が一番下におりますけれども,こちらは2014年と同じ数字になりました。

32ページに参ります。購入した記録媒体の量について,過去1年間で何枚記録媒体を買いましたかという質問を書いていただいた結果になります。2017年の結果を見ますと,一番多かった音楽用のCD-R等に関しては,真ん中の5~9,10~19というところに回答者が集まっております。なので,おおよそ10枚前後の購入をされている方というのが一般的ではないかという結果が読み取れると思います。

33ページに参ります。33ページからは,またテーマが変わりまして,回答者の方が音楽の関連の支出はどれくらいやられていますかという結果を紹介しております。33ページに関しては,正に今の支出,年間で音楽関連に使った金額というのはどれくらい使っていますかということを書いておりますけれども,これは過去1年間分を書いてくださいというふうにやっております。最も多かったのが,グラフを見ていただきますと,赤いところの27.2%というところが一番多くなっておりました。

続きまして,34ページ。CDは購入されているかどうかという結果が34ページになります。こちらは,市販のCDは何枚ぐらい買っていますかという結果でございます。これも2014年と比較しておりますけれども,アンケートでは新品のCD,中古のCDを分けて聞いております。そちらを分析しますと,新品・中古CDとも購入者は若干増えているという傾向が出ておりました。結果的には,枚数も若干増えるような結果が今回出ております。

35ページ。こちらはCD購入数の変化の予測と書いておりますけれども,今後2~3年において,想像してくださいという質問なんですけれども,CDをこれから購入するのは増えるかどうかということを聞いた結果になります。結果的には,グラフを見ていただきますと,「変わらない」という方が半数以上,65%で,「減ると思う」という方が26.7%。一番下に,少なくなったのが「増えると思う」という方で,7.8%という結果になりました。

36ページに参ります。36ページは,今度はレンタルCDを利用しているかどうかということで,利用している場合,年間当たりどれくらいの枚数を使っていますかということを,2017年度も2014年度と引き続き聞いている結果になります。結果といたしましては,レンタルの枚数というのは2014と2017を比較すると,若干ではございますけれども減少している傾向が読み取れました。

37ページです。音楽の視聴時間でございます。こちらは利用者の方に,休日と平日に分けて,1日当たりどれくらいの時間,録音等をした音楽を聴いていますかという質問になります。テレビやラジオの生放送,ネットのストリーミング配信の場合というのは除いて考えてくださいというふうにやっていただいて,書いた結果になります。休日と平日とも,結果的にはグラフの赤いところと緑色のところが多くなっておりまして,1時間未満の方というのが一番多くなります。5割程度の方が,こちらの赤と緑のところに入ってきている結果になりました。

38ページでございます。私的録音の増減の予測です。こちらも,現在より今後2~3年を想像していただいたときに,録音等の曲数が増えるかどうかということを聞いた結果になります。こちらは2014年もそうだったんですけれども,2017年の回答結果,グラフを見ていただくと,変わらないという回答が最も多く,58.2%の方が回答しております。

39ページ,音楽の視聴場所について聞いた結果でございます。音楽をよく聴く場所はどこですかという結果でございます。こちらはグラフを見ていただきますと,一番多いのが,よく聴いているというところに注目しておりますけれども,青いハッチングを掛けているところが一番よく聴いている場所が分かります。これは自宅の割合が今年度の2017年度の場合は50.1%ということで,最も高く出ております。よく聴く場所は自宅で,2014年と比べても10ポイント程度増えておりますので,自宅で聴く人が増えているのかなと分かります。逆に,自分で運転している車とかに関しては,若干ですけれども減っている結果が出ています。

40ページです。40ページからはまたテーマが変わりまして,著作権に関しての質問もアンケートで聞きました。これは,グラフが2017年のみのものは,2017年しか聞いていない質問となります。こちらは著作権に関する意識を聞いたものでありまして,補償金の支払について伺ったところ,回答者の方に「はい」「いいえ」の形で答えてくださいと言いました。結果的には,65.3%の方が「はい」ということで,補償金の支払については肯定的回答が多くなる結果になりました。

41ページ目が,著作権に関する意識のうち,補償金の支払方法について,幾つかの例示をした上で,好ましいと思う方法について選んでくださいという結果,好ましくないものがあれば,それを答えてくださいといった結果になります。アンケートの結果はグラフで描いておりますけれども,補償金の支払方式としては多くなった順番に,上から下の方になります。ハッチングの青い部分と赤い部分というのが肯定的な回答でございます。一番高くなったのは,現在の私的録音制度についてが,回答としては高くなりました。現在ほどには高くないんですけれども,続きますのが,音楽の価格に上乗せしてお金を払う仕組みというものに対しての回答が比較的多くなるという傾向がありました。

ざっとでございますけれども,以上が今回の私的録音制度に関する実態調査の中間報告結果をさせていただきました。ありがとうございました。

【土肥主査】どうもありがとうございました。

それでは,お聞きのとおりでございますけれども,ただいまの御説明,資料1の説明を含むんですけれども,資料1の説明,それから資料2のみずほ総研からの御報告についても,御質問,御意見がございましたらお願いします。

高杉委員,どうぞ。

【高杉委員】資料2の説明を頂きまして,ありがとうございました。それで,さらっといかれたんですけれども,4ページの調査概要ですね。1次調査,2次調査の概要もきっと同じだと思うんですけれども,この調査概要のところで共通の認識,用語の定義とかを含めて,共通に皆さん認識した方が,正確な議論ができると思いますので,この調査概要のところをもう少し詳しく,なぞる形ではありますけれども,御説明いただくと有り難いんですが。

【みずほ情報総研(中)】それでは,4ページを再度御説明というか,読ませていただきたいと思います。今回,アンケートにお答えいただく前に,こちらの4ページをまずは表示させていただきました。具体的には,録音,ダウンロード,コピー,アップロードというところについて表示をして,それを読んでくださいというふうにしております。

録音については,こう書いてございます。音楽CDの複製や音楽CDからの録音,リッピング(音楽CDのデータをコンピューター上で読み込んでHDDやSSD等の別の外部記憶装置にコピーすること)。続きまして,ラジオ放送(AM,FM,インターネット)やテレビ放送の録音を,「録音」とさせていただきました。

ダウンロードにつきましては五つあります。聴き放題の音楽配信サービス(括弧内は省きます)からの音楽データのダウンロード。有料の音楽配信サービス(括弧内省略)からの音楽データのダウンロード。こちらには注が書いてございまして,括弧の中には,「聴き放題の音楽配信サービスからのダウンロードは除きます」としています。

三つ目の丸,自分や家族,友人が利用しているオンラインストレージサービス(括弧内は省きます)からの音楽データのダウンロード。4個目の丸,ネット上で無料で視聴できる動画投稿・配信サイトやその他のサイトからの音楽データのダウンロード。五つ目,スマートフォン用のアプリ(聴き放題の音楽配信サービスの一環として提供されているものは除きます)を使ってアクセスできる無料の音楽データのダウンロード。これらをダウンロードとして示しております。

三つ目,コピーについてですけれども,コピーは,有料の音楽配信サービスからダウンロードした音楽データや,音楽CDから録音,リッピングした音楽データのコピーとしました。

アップロード。二つ丸がございます。有料の音楽配信サービスからダウンロードした音楽データや,音楽CDから録音,リッピングした音楽データの,自分や家族,友人が利用しているオンラインストレージサービス(括弧内省略)へのアップロード。

二つ目の丸,有料の音楽配信サービスからダウンロードした音楽データや,音楽CDから録音,リッピングした音楽データの,音楽ロッカーサービス(自分の所有する音楽ファイルをサーバーにアップロードして,随時ダウンロード又はストリーミング配信できるようにするサービスの総称。これは例示をしております)へのアップロード,転送,同期。ただし,iTunes Matchを利用して,音楽CDから録音,リッピングした音楽データを,iTunes Store版のデータに置き換えた場合は含みませんとしました。

こちらを読んでいただいた後,続きまして,別のページで「注意」ということで,本調査の「録音,ダウンロード,コピー,アップロード」に該当しないものはこういったものですという説明を,別のページで行いました。

注は三つございます。聴き放題の音楽配信サービス(括弧内省略)における,機器へのダウンロードを伴わない音楽データのストリーミング再生や,ネット上で無料で視聴できる動画投稿・配信サイトやその他のサイト(括弧内省略)における,ダウンロードを伴わない動画のストリーミング再生は該当しません。特にこちらの動画のストリーミング再生については,間違えやすいのではということで,アンダーバーを引いております。

二つ目の注。カセットテープへの録音は該当しません(本調査の「録音」はデジタル方式の録音を指し,カセットテープへの録音はアナログ方式の録音であるためです)。

最後の注。自分の家族や友人以外へ音楽データを上げたり共有したりする場合は該当しません。このような説明を行わせていただきました。

【土肥主査】ほかにいかがでしょうか。

奥邨委員。

【奥邨委員】すいません,資料の見方を教えていただきたいんですが,20ページですね。20ページを見ますと,2017年に,DVD関係で音楽を録音している,記録しているのが15曲となっているというふうに,これは読むのかと思うんですが,ここだけ見ますと,こういうディスり方をすると,後で炎上しそうですけれども,自分の理解している実態としては,今更DVDで音楽を録音しているのかと。どれぐらい世の中にいるんだと思うんですね。22ページを拝見すると,私的録音されている4,000人の方の中で,DVDを音楽の録音に使っている人というのは1%から4%ぐらいということですから,低く見て40人の人に聞いたらDVDに15曲入れていますと答えたということであって,総量との関係では余り関係なくて,ということでよろしいんでしょうか。

【みずほ情報総研(中)】はい,そのとおりでございます。

【奥邨委員】そうすると,結局,物の容量がありますので,例えばDVDはCD-Rよりも容量が大きいとか,そういうことを本来は含めて見ないといけないということで,ここのところはその点ぐらいで見ておけばいいということですね。

【みずほ情報総研(中)】すいません,最後のところ……。

【奥邨委員】DVDの方が結局,例えばCD-Rの6倍の大きさがありますので。

【みずほ情報総研(中)】そうですね。

【奥邨委員】とりあえずはたくさん入るから,たくさん入っていますよねというだけの話ということになりますよね。記録している人に関してというだけの話でね。

【みずほ情報総研(中)】記録数の可能数に関しては,DVDの方が大きいです。

【奥邨委員】はい,分かりました。

【土肥主査】ほかに。河村委員。

【河村委員】ありがとうございます。みずほ総研さんに質問させていただきます。8ページ,9ページ,18ページ,19ページなどは,有料の音楽配信サービスからの音楽データのダウンロードということや,聴き放題のサービスのところに,補償金対象外という言葉が書いてありまして,ここで補償金対象外ですよというところが分かる切り分けができるのですが,先ほど御説明いただきました概要のところのダウンロードの定義付けを見ますと,有料の音楽配信サービスも定義に入っているということは,切り分けができる質問を除く,ほかの全ての質問に関して「録音,コピー,ダウンロード,アップロード」という言葉が繰り返し出てきますが,そのダウンロードには,有料の音楽配信サービスからのダウンロードが入っているという調査ということでよろしいでしょうか。

【みずほ情報総研(中)】こちらは,はい,含まれております。

【河村委員】つまり,対象外のものも含まれているということですね。

【みずほ情報総研(中)】含まれております。

【河村委員】ありがとうございます。

【土肥主査】ほかに御質問,御意見はいかがでしょうか。

小寺委員,どうぞ。

【小寺委員】また4ページへ戻っていただきたいんですけれども,ダウンロードのところの四つ目の丸のところなんですが,ネット上で無料で視聴できる動画投稿・配信サイトやその他のサイトからの音楽データのダウンロードという文章がございます。具体的には,設問の中でも,例えば8ページとかにも,同様の行為をパソコンでやったのか,スマートフォンでやったのかといった調査がされておりますが,この行為は,具体的にはどんなサービスが想定されるんでしょうか。私の知識からは,どんなサービスがこれに当たるのかが分からないので,その辺りを御説明いただければ。

【みずほ情報総研(黒川)】無料のサービスなんですけれども,具体的なサービス名は失念してしまっているんですが,例えばインディーズの音楽の配信サイトであったりとか,あとはフリー音源を扱うようなサイトがございますので,そういった無料でダウンロードできるサイトからのダウンロードというところを想定して作った設問でございます。

【土肥主査】よろしいですか。どうぞ,続いて。

【小寺委員】これは委員の皆様に御確認を頂きたい部分があります。4ページのダウンロードの項目をもう一度見ていただきたいんですけれども,このダウンロードで列挙された項目では,我々が今議論している補償金の対象になっている行為と,対象にならないであろう行為とがあると思うんですよね。その辺りをきちんとコンセンサスを取った方がよかろうと思いますので,上から順に確認をさせていただいてもよろしいでしょうか。

聴き放題音楽配信サービス,例えばSpotify等からの音楽データのダウンロード。これに関しては,Wi-Fiがつながらないときに聴けるように,例えば飛行機の中とかでも引き続き聴けるように,ある程度暗号化されたキャッシュとしてダウンロードするという機能がございます。これに該当するものだと思うんですけれども,こちらは補償金の対象外ということでよろしいでしょうか。

【土肥主査】その御質問は。

【小寺委員】もしかしたら議長がお聞きになった方がよろしいかもしれません。

【土肥主査】実態調査のデータの問題としてお尋ねいただいているところであれば,今でいいと思うんですけれども,補償金の対象になっているのか,あるいはすべきかという話になりますと,これは我々の中で意見交換させていただければいいと思うんですが,今はできれば,せっかく実態調査の方がおいでになっておりますので,その御質問,御意見を先にして,後半の時間を残しておりますから,そこでやりましょうか。

【小寺委員】分かりました。

【土肥主査】ほかに御質問,御意見,実態調査との関係でございませんか。

榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】御質問とコメントなんですけれども,この資料2は中間報告と最初に書かれておりますので,この後,最終報告書を作成されるのだろうと推測するんですけれども,最終報告がどういうふうにここから変わるのかということについて,質問とコメントなんですけれども,1次調査では4万人ということで,2次調査についてはその中から,私的録音をすることがあると答えた人だけに絞られたということなので,2次調査の4,000人は,全員が私的録音したことがある人と。残りの6割の,したことがないと答えた人たちは省かれているんだと理解をしています。

2次調査の中で,挙げると切りがないんですけれども,いろいろなところでパーセンテージが出てきますが,そのパーセンテージというのは私的録音をしたことがある4割の人の中の4,000人の中からの,例えば10%とか20%ということなので,ぱっと見たときに20%というと,20%の人がこういうことをしているのかと思うわけですけれども,全体の20%のような印象を受けるわけですが,4割のうちの20%というと,がくっと下がるわけですね。

ですから,最終報告を頂くときには,1次調査と2次調査でそこが違うので,きちっと分かるようにしていただけないかなというお願いと,これは調査項目がたくさんあるので,それぞれの関係を,例えばこういうことが言えるとか,そういう評価みたいなことを今後される御予定があるのか,最終的にはこの質問結果だけになるのかについて,教えていただければと思います。

【土肥主査】今の御要請は,発注元というんですかね,どういう依頼をされているのかという,つまり,これは中間報告なんですけれども,最終報告としてどういう形で上がってくるのかということについて,当然御指示なんかはあるんだろうと思いますし,そことの兼ね合いもありますから,みずほ総研だけでこうこうということもなかなか言いにくいんじゃないかと思いますが。もしそれが可能であれば,お願いしていただければと思いますけれども。

【堀内著作物流通推進室長補佐】今のお話につきましては,まだ詳細については,また今後みずほ様と調整の上ということになっているので,可能な範囲でお答えをさせていただければというところで,本日お答えさせていただきたいと思います。

【土肥主査】可能な範囲というのが多分問題になるんだろうと思うんですけれども,せっかくこの委員会の委員が,そういう形でという御要望でございますので,できるだけ実現していただければと思いますが,よろしいですか。

もしこの段階で,榊原委員がおっしゃっているところというのは,大体そういう注意をしながらデータを見るということが,もちろん自覚はしておるんですけれども,この段階で,今後最終報告に向けて何かこの時点でおっしゃり得ることがありましたら,御発言いただいていいと思いますが,みずほ総研の方で何かありますか。今,相談の中でというのがありましたけれども。

【みずほ情報総研(中)】私どもは,先ほど文化庁様がおっしゃったとおり,最終報告については,正にこれから説明,打合せすることになっております。

今,委員の方から御指摘いただきました,少なくとも分かりにくいというか,本来の趣旨が伝わらない部分に関しても,対応というのは取らなければ,最低限のレベルを達していないと思っておりますので,そちらについてはちゃんとさせていただくというのは,この場でお約束できます。

【土肥主査】ありがとうございます。よろしくお願いします。

それでは,高杉委員。

【高杉委員】すいません,ちょっと確認なんですけれども,5ページの,私的録音をできる機器をお持ちですか,のところなんですが,所有していないという欄がありますが,一番下の99.9というのは,ほとんど皆さん,国民全てが私的録音できる機器を持っているという趣旨でしょうか。すいません,よく分からなかった。

というのが一つと,9ページの,若年層において私的録音が行われていることが分かったと。年代が若いほど,若年層において私的録音が行われているという傾向なんですが,これについては2014年のデータがありましたら御紹介いただければと思います。

以上です。

【みずほ情報総研(中)】二つ御質問いただきました。一つ目の2017年,5ページの上記以外の機器についてのところでございますけれども,例示したもの以外のもので,何か録音機器を持っていますかという質問になりますので,例えばポータブルオーディオとか,例示したものがたくさんありますけれども,それに該当しないものというのは,ほぼ皆様思い付かなかったと。4万人のうちの0.1%の人が1台と回答している。何らかの形を所有している人は,例示した物を持っているとほぼ見ていいのかなと思います。

続きまして,質問いただいたところ。

【土肥主査】9ページです。

【みずほ情報総研(中)】9ページでございますか。失礼いたしました。9ページに関しては,2017年しか書いていないものは,今回弊社でさせていただいたものになりますので,2017年に該当するものは,こちらはございません。

以上です。

【土肥主査】どうぞ,お願いします。

【道垣内分科会長】今の御説明の趣旨がよく分かりませんでした。ほとんどの人が持っているということにはならないのではないかと思うのですが。複数持っている人がたくさんいれば,おっしゃるようにはならないんじゃないかと思いますけれども。

【みずほ情報総研(中)】すいません,説明がうまくできておらず,申し訳ないんですけれども,例示したもの以外のものに関して持っている人はいなかったということです。

【道垣内分科会長】いない?

【みずほ情報総研(中)】ほぼいないと,この回答結果から言っていいです。

あと,それは1台ですか,2台ですか,3台ですかと今回書けるようになっていたのですが,回答している人は,例示したもの以外でお持ちの方というのは,1台というところで回答した人がいたということになります。

【道垣内分科会長】いずれも全く持っていませんという人の割合は,どこから数字が出てくるんですか。

【みずほ情報総研(中)】全く持っていない人を推計しようとすると,方法としては,今回のアンケートの中で,所有していないと書いた人を取り出すというか,そういった人は,全て録音できる機器というのを持っていない人となります。

【土肥主査】全く持っていないという人たちの割合といいますか,それはこのデータから読めないと。

【みずほ情報総研(中)】今回のこの状態の結果からは,全く持っていない人というのは分かりません。やる場合はということで,今,カウントの方法というのを例示させていただきました。

【土肥主査】ほかに。大渕委員,どうぞ。その後,小寺委員に。

【大渕委員】いろいろこのような形でデータ化されるのは,非常に大変だったかと思うので,まずはありがとうございました。これはお聞きする必要もないぐらいなのかもしれないのですが,せっかくだからということなので,お聞きします。スライド40ページのところに,この辺りは国民的認識等の意味で,非常に著作権への意識として書かれておりますけれども,40ページのこのグラフというのは,重要な意味を持っているのではないかと思います。

補償金については65.3%が支払が必要であると回答ということで,「いいえ」をはるかに上回っているわけなのですが,これを見ると,ほかのデータは何年か前のがあって推移が分かるので,ここだけないと寂しいのですが,これはデータを取っていないからでしょうか。これが分かると,ほぼ横ばいなのか,上がりなのか,下がりかというのが非常に重要な点だと思います。これはないものねだりで,2014でしたか,それが取っていないから,書きようがないから2017しか書いていないとは思うのですが,それはないから仕方がないということになるわけでしょうか。

【みずほ情報総研(中)】今回,2017年のアンケートと2014年の比較を,物があるものに関しては比較しておりますので,委員がおっしゃるとおり,2014年にはこの質問はございません。

【大渕委員】要するに,データがないから書けないということですね。

【みずほ情報総研(中)】2014年に関してはということです。

【土肥主査】今の点,ちょっと補足がございますので,白鳥室長,お願いします。

【白鳥著作物流通推進室長】2014年との対比では,今おっしゃっていただいたとおりでございますけれども,平成18年のときに私的録音補償金管理協会により,デジタル録音機器の利用実態に関する調査を実施していただいておりまして,そのときに,ほぼ同じ問いで質問しております。その際は,ウエブ調査,郵送調査という2種類の,2通りの方式で調査しておりまして,結果だけ申し上げると,ウエブ調査におきまして,同じように「はい」と答えた方は46.1%,郵送調査におきましては,「はい」と答えた方は40.7%という状況でございました。

補足でございます。

【土肥主査】ありがとうございました。

それでは,次の小寺委員に御発言いただいた後,奥邨委員にお願いいたします。

では,小寺委員,どうぞ。

【小寺委員】8ページの調査及び9ページ,それ以降ずっと続くんですが,設問で,「録音,コピー,ダウンロード,アップロードしましたか」と4併記になっております。録音・コピーに関しては,補償金の対象内ということでよろしいかと思うんですが,アップロード・ダウンロードに関しては,補償金対象であるかどうかはこれから議論があるところであるわけです。これらの4項目に関しては,個別に取り出して集計することが可能なようにデータは取ってあるんでしょうか。

【みずほ情報総研(中)】こちらは質問票を見ていただいて分かるとおり,まとめてこういった形で書いておりますので,今回取り出すことというのはできません。

【土肥主査】それでは,奥邨委員,どうぞ。

【奥邨委員】すいません,41ページの見方だけなんですが,というか,どういう答え方をしたかのところなんですけれども,この質問に対する答えは複数回答可なんですか。それとも,どれか1個を選ぶということなんですか。ちょっとよく分からなかったんですが。

【みずほ情報総研(中)】最初に御説明するべきでした。今回の「図表」と書いているところが,実際にアンケートのときに回答者の方たちに聞いた内容でございます。後ろの方にSとかMとかと書いているんですけれども,Sが「一つだけ選んでください」というものを短縮しているもので,Mと書いてあるものが,複数の選択肢を選んでもいいものになります。

【奥邨委員】そうしますと,41は一つしか選べないということですよね。複数回答ではなくて。

【みずほ情報総研(中)】この方法それぞれについて,一つずつ選ぶということでございます。

【奥邨委員】そういうことなんですか。分かりました。じゃ,三つともあって,そのうち一つずつということですね。

【みずほ情報総研(中)】はい,そうです。

【土肥主査】じゃ,河村委員,お願いします。

【河村委員】これは質問ではなくて,このアンケート調査の説明があったときに申し上げたことを,ここで繰り返させていただきたいんですけれども,40ページの設問,先ほど大渕委員が,65.3%が「はい」ということで注目されていましたけれども,このページの「図表」というところが,アンケートに答えた人が読んだ設問の文章だということですけれども,「録音機器や媒体の購入時に一定率の補償金を支払うことによって,私的使用目的に限り録音することができます」と聞かれた一般の人が,「支払うことによってできています。必要ですか」と聞いたら,恐らくこのパーセンテージでも少ないぐらいというか,私的複製を何らかの形で行うほとんどの人が,こんな聞き方をしたら,「はい」と回答すると思います。

これは何度もこの会議で私は申し上げています。交換条件の話をしているのではないですよねと。今行われていることについて,実態に対して,機器に補償金を掛けるという制度をこれからどうするかとか,そういうことを話し合っているのですよねと何度も確認しました。私は今の箇所と,この次のページには問題があると考えています。特に次のページ,選択肢の一つに「支払はわずか又は不要とする代わりに,厳しく制限される仕組み」なんて書いてありますよね。この2問から何を聞きたいのか。こんな誘導質問はやめた方がいいと申し上げました。それは通りませんでしたけれども。

これは補償金は私的複製を可能にする交換条件のようなものにしか一般の人にはイメージできないので,今の補償金制度を理解して,これは必要だと言っているというよりも,自分たちはこれからも私的録音録画というものが,音楽を楽しむ中で,そういう行為も含めて消費者にはできるべきだという,それを厳しく制限されることなんて嫌だという意味だと思いますので,そういう意見をきちんと事前説明のときに申し上げたということを,ここでもう一度発言させていただきます。

【土肥主査】御意見として伺っておきます。

華頂委員。

【華頂委員】データの質問なんですけれども,27ページがいま一つ分からなかったんですが,よくよく考えると,この2次調査の4,000のフルサンプルの方が,自分が持っている曲をどれだけコピーするかと。保存も含めてですね。そうすると,これは例えば,100曲持っていたら63.2曲はコピーしますという理解でいいんですか。

【みずほ情報総研(黒川)】こちらの質問なんですけれども,録音の目的について伺った質問でございまして,一部の目的がプレイスシフト,すなわち場所を変えて音楽を聴くために録音する割合はどれぐらいなんですかという部分に着目した設問でございます。なので,この63.2%という数字なんですけれども,個人の方が録音したものの中で,場所を変えて聴くというところを目的とした録音は,どれぐらいの割合があったのかという部分を尋ねておる質問でございます。その結果が63.2%というように理解いただければと思います。

【華頂委員】要するに,63.2%の人がそういうことをやっているという理解なのか,曲数の割合なのか。

【みずほ情報総研(黒川)】それでいうと,曲数の割合になりまして,今回2次調査では,4,000人の私的録音をしている方を対象としていまして,録音を行った曲数のうち,平均すると63.2%の割合で,プレイスシフトというか,場所を変えて聴くというところを目的とした録音をしているというところでございます。

【華頂委員】ありがとうございます。

【土肥主査】非常にここの質問項目のところは,いろいろ反響がございますけれども。

じゃ,榊原委員,どうぞ。まだ質問をお受けいたしますけれども,後半もございますので,是非よろしくお願いします。

どうぞ,榊原委員。

【榊原委員】これは中間報告で,最終報告になるということなので,先ほど,質問項目を考えるときにも,多分ほかの方もかなと思いますけれども,委員は意見を事前に事務局に提出させていただいていまして,反映されたところもあれば,反映されていないままのところもあります。

先ほど他の委員の方もおっしゃったとおり,私も何個意見を言ったかは全部覚えていないんですけれども,たしか40,41は,質問項目としてはどうかという御意見を申し上げた記憶がありまして,特に40は,普通の人が読めばコンプライアンス的にイエスと言うんじゃないかなという意味で,誤解を生みやすいと思いますし,41を今見ても,意見を出したのは随分前なんですけれども,この三つの選択肢が,選択肢といってもシングル回答じゃないということですけれども,三つのものがあって,例えば1個目は,価格に含めてお金を払う仕組みと。これは補償金制度のことを「価格に含めて」と言っていて,二つ目の契約・技術の方の選択肢については,「価格に上乗せして」と書かれているんですね。

この二つを対比すると,補償金制度か契約・技術かというふうに,どちらがいいですかと聞かれたときに,契約・技術,音楽の価格に「上乗せする」という方が,消費者としては新たに負担が増えるという印象を受けた人が多いのではないかなと思います。その意味で,正確な理解に基づいた答えなのかということは疑問がありますし,三つ目のところも,不要とする代わりに厳しく制限される仕組みと。これも契約と技術のことを言っていると思うんですけれども,これは余り賛成の意見が多くないんですが,例えばアメリカとかイギリスは,不要とする代わりに厳しく制限されているのかといったら,そうではないので,もともとのこの文章自体も,肢としては不適当でしょうし,消費者の方,答えた方が,誤解をしているのではないかなと感じます。これについては非常に残念だなと思います。

ですので,最終報告をこのまま作られるとしても,それについては今後,この結果に対する意見としても,新たに意見は今後も申し上げたいなと思っています。

【土肥主査】それも御意見として頂戴するしかないところなんですけれども,今の榊原委員の御発言によると,事前に質問項目等について要望を出して,それを事務局においてまとめられて,みずほとお話しいただいたと思うんですけれども,実現していただいた項目もあり,そうでないものもあると。それは予算とかいろいろなこともございましょうから,実現できるものと実現できないものもあろうと思いますけれども,今のを伺っておられて,何か御発言ございましたら,室長からお願いできますか。

【白鳥著作物流通推進室長】先ほど申し上げたとおりですけれども,特に40ページ,41ページに関する問いについては,3年前の調査では項目としてはなかったものですが,約10年前の調査におきまして,この意識に関しての調査を行っておりました。それとの対比について,ある程度同じような条件の下で調査をするといったことも必要ではないかという意識から,少なくとも40ページの問いについてはほぼ同じ問い立てで調査を行い,先ほどの結果が出ているということです。

あと,41ページについては,先ほど「支払はわずか又は不要とする代わりに」といった選択肢などを御指摘いただきましたけれども,その選択肢については,実は10年前も同じフレーズを使われています。ただ,上の二つの手段の書き方のところは,若干,今回の検討の状況を踏まえて修正させていただいたところはありますけれども,基本的には10年前の対比ということを意識しながら,いかに同じ土俵の下で比較できるかということを意識しながら,設定をさせていただいたというのが状況でございます。

以上です。

【土肥主査】今御説明のあったようなところが背景として,合理的な根拠としてございますので。

じゃ,丸橋委員,どうぞ。

【丸橋委員】平成18年調査のときの条件の確認です。これは私的録音をした人のみを対象として,先ほど言ったウエブ調査で46.1%とか,そういう結果が出たのでしょうか。

【白鳥著作物流通推進室長】46.1と最初に申し上げたのは,改めまして申し上げますと,ウエブ調査での回答で「はい」と答えた方ですけれども,それは,今ここの40ページに書いてあるのと同じ前提であります。基本的に,この40ページの並びで取っております。

【丸橋委員】2次調査の数字ですか。

【白鳥著作物流通推進室長】それは41ページの関係の問いについては,「はい」と答えた方についてのみ回答いただいております。

【丸橋委員】私的録音している人の中での「はい」なんですか。

【白鳥著作物流通推進室長】ああ,そのような御趣旨でしたか。

【丸橋委員】平成18年のときは,本当に同じ条件ですか。

【白鳥著作物流通推進室長】これは全員に聞いている問いとなっています。

【丸橋委員】そうですよね。

【白鳥著作物流通推進室長】実際の対象範囲については,改めて確認させていただきたいと思います。

【丸橋委員】そこは全然印象が違うので,変だなと思いました。

あと,すいません,もう一つ。私が前,アンケートを取る前に,この場で要望した点ですが,CD購入者についてクロス集計して,コピーしているのか,視聴のみなのかとか,そういう実態がこれで取れるようなものなんでしょうか。

【みずほ情報総研(黒川)】今のCD購入者というのは,音源として音楽CDを購入した人という意味なのか,それともコピー先のCD-Rを購入した人なのかという。

【丸橋委員】すいません,音源です。音源を買ったけれども捨てちゃうような人は,きっといっぱいいるでしょうと。前回のJEITAの資料でも少し見えていたと思うのですが,それが見えるようなクロス集計はできるのでしょうか。

【みずほ情報総研(黒川)】19ページの表の一番上に,自分が過去1年間に新規に購入した市販のCDという選択肢を設けていまして,ここに回答した方が,CDを購入した方と定義できるのではないかなと思っています。この人たちだけを抽出して,ほかの設問とクロスで集計するということは,技術的には問題なくできると考えております。

【丸橋委員】是非お願いしたいと思います。

【土肥主査】すいません,ただいまの実態調査のいろいろな項目に関する御質問等々も,まだこれから出していただいていいんですけれども,一応ここで全体的なところを,皆さんの御質問等々を伺っておりまして,一応最後の質問というか,そういう形にしておきたいと思います。つまり,次のテーマの中で,この実態調査のデータについての御意見を挟んでいただいて,それは構わないんですけれども,一応最後ということで,華頂委員はもう先ほど頂いたので,末吉委員に。

【末吉主査代理】ありがとうございました。細かい御議論はいろいろ,まだまだあると思いますし,実態調査はまだ中間報告ということでございますので,きょうはもう一つ,資料1についてのディスカッションも非常に重要だと思うので,私からの提案なんですけれども,一応きょうのところは,資料2についての御議論はここまでにした方がいいのではないかと主査に提案申し上げたかった。それから,これを踏まえてもう一度資料1について議論するということが,本日の大事な課題だというのが私の意見です。

資料2についての細かい議論はあろうかと思いますけれども,私が思いますに,この資料2が出てくる前の段階の小委員会の方向性は,補償金を導入する方向の意見が非常に強かった。それをもう一回見直す必要があるかどうかという観点から,資料2を使ってはどうかと。まだ中間ではございますけれども,そういう趣旨で使ってはどうかというのが私の意見でございます。

以上でございます。

【土肥主査】ありがとうございました。今,4時15分ぐらいなんですけれども,時間の関係がありまして,次のステップに進めたいと思うんですけれども,実態調査に関連する御質問がある場合は,これからの議論の中で適宜お出しいただければと思います。

今,末吉委員からも御発言がございましたけれども,こういう実態調査の結果も参考にしながら,私どもが従来検討しております対価還元の在り方について,意見交換を深めていきたいと思っております。資料1を踏まえながら,これまでの議論を振り返りつつ集約していく観点から,御発言をお願いできれば幸いでございます。

どうぞ,椎名委員。

【椎名委員】実態調査の設問に関しては,我々もいろいろ申し上げて通った部分,通らない部分,いろいろありましたので,そこら辺は,この期に及んでいろいろ出てきてもしようがないのかな,ここで議論していてもしようがないのかなということを思います。

本報告というと,大抵の場合はロウデータといいますか,割と細かい元になった生のデータを網羅するということで,通常このぐらいの厚さになって,本報告書ということになろうかと思うんですが,もともと直近の状況との比較を調べる必要があるということで始まった調査だと思うんですが,こうやって2014年との比較を見る限り,末吉委員のおっしゃったように,補償金制度を再構築する必要があるということを覆すだけの数字は出てきていないんじゃないか。確かにストリーミング型配信等の普及によって,数値としては下がっているけれども,ある程度の絶対値としての私的録音のボリュームはあるということが証明されたんじゃないかと思って,見ておりました。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。

ほかに御意見は。丸橋委員,どうぞ。

【丸橋委員】この調査を見て,覆すというのはどこまで,どういう御趣旨の言葉か分かりませんけれども,少なくとも2014年から2017年に掛けて,コピーが減る傾向にあるというのは明らかであって,ここの段階で更に補償金に手を入れるというのは,あり得ないのではないかと思います。せいぜい現状維持ではないかということだと思います。

【土肥主査】ほかに御意見は。華頂委員,どうぞ。

【華頂委員】すいません,サンプル数のところに戻っちゃうんですけれども,整理しますと,最初の1次調査では無作為の4万人というのを抽出して,それでお聞きになっていると。2次調査の段階で,そのうち私的録音をしているという人4,000人に絞って,それをサンプルに調査をしたと。

40ページと41ページの質問なんですけれども,その4,000人の私的録音をしている人に,補償金を払う必要があるのかと聞いたら,65.3%の人が「はい」と言ったと。41ページになると,その「はい」と言った2,614サンプルの人に,この三つの支払方法だったらどれですかと聞いたということであれば,別に41の設問は,何も間違ってはいないと思うんですけれども。

【土肥主査】ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。椎名委員,どうぞ。

【椎名委員】丸橋委員,現状を維持するというふうにおっしゃいました。現状では,制度は機能していないんですよ。制度が機能していないから,何とかしなきゃならないということで,我々は集まっている。では,機能しないままに制度を置いておけということですか。

【丸橋委員】機能していないという評価自体は,合意していないと思うのですよね。元から,細かくきちんとクリエーターに100%還元しようということではないはずです。

【椎名委員】補償金制度は機能していないですよ。

【丸橋委員】自然減してきているだけだと思います。

【土肥主査】榊原委員,どうぞ。

【榊原委員】以前この小委員会で何度か,コピーは増えているんじゃないかと,ITの技術が非常に便利になって増えているんじゃないかという御意見も出ていたわけですけれども,この調査結果を見ると,減少という言葉が,特に2次調査ではあちこちに見られています。前回JEITAからも発表させていただいて,減少していますよということは,この点で証明はされたんじゃないかなと思います。その減少の程度がどこまで行けば,制度を廃止してもいいのかとか,再構築が必要か不要かということではあると思うんですけれども,非常に半減しているところなどもありますと。

それに加えて,減少はしていても,ゼロではないじゃないかという御意見の方もいらっしゃると思うんですけれども,そのことに対しても,例えば25ページを見ると,96%が自分で聴くため,スペースシフトとか,通勤とか通学とか,ジョギングとか,車の中とか,そういうことですし,あと,家族が聴くためが19.9%ということで,友人とかにというのがパーセンテージは5.7とか1.7とかなので,このぐらいの量で,しかもこの人たちというのは,6割が全くコピーをしていないと。4割コピーをしているという人の中の96%が,自分で聴くためだけですよということなのです。

もともと総体としても減っている中で,こういう結果が出ているので,丸橋委員がおっしゃったとおりの意見ですけれども,再構築するというのは,今後,減少しているというのは,ずっと傾向として続いているわけですね。それがV字回復するとは,この結果を見る限り,あり得ないところで,制度をまた作り変えて再構築していくというのは,ちょっと常識に反するんじゃないかなと思いましたので,制度導入で合意していましたよねという「ありき」の意見も,やめていただきたいなと思います。

【土肥主査】ほかに御意見ございますか。高杉委員,どうぞ。

【高杉委員】サンプル数の話をされていますけれども,4万から録音している4,000人を切り出して調査していますが,結局それは統計上有意な数字のはずなので,何%とかそういうことを議論することは,そもそもナンセンスな話だと思います。

それから,私的録音の総量は減少傾向にあるのが出てきていますけれども,相当の量があるというのは間違いないことであると思いますし,最大の録音源がCDであることも間違いない。それから,録音実態はますます補償金の対象外の機器・メディアに移行している。したがって,クリエーターへの対価の還元がない私的録音が増加しているという実態が,これで如実に明らかになったと思います。

したがって,今の制度,私的録音補償金制度を,不十分なところがあれば手直しをして適用するということが,通常の考え方じゃないかと思います。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございます。実態調査で私的複製の総量が減る傾向にあるというのは,確かに確認はできるところであります。一方で,いわゆるプレイスシフト以外の私的複製も,まだ一定数量ある。

我々が考えるのは,権利者に不当な損害が生じているのかどうかというところが非常に重要なところなんだろうと思っておるところであります。単純に私的録音録画補償金制度を存続させるということは,我々は一貫して言ってきておりません。3ページ目のところにもありますように,補償金制度が適切な領域と,契約と技術による対価還元が実現できる領域と,双方あるということを,繰り返し申し上げてきておるわけでありまして,契約と技術による対価還元が100%実現できるのであれば,私的録音録画は要りません。

しかし,現状を踏まえれば,先ほど華頂委員も言われておりましたし,様々なデータも一定程度,それを示しているわけですけれども,経過的な段階において,補償金制度が全く要らないというところは,どこにも出てきておりませんし,権利者に対する,クリエーターに対する適切な対価還元が必要なんだというところで議論をスタートしているわけですから,それは要らないというのは,全くこれまでの議論を無視するものであると私は思います。

基本的なところというのは,この3ページ目にも大体出てきておるところでありまして,こういったところが大体総意として,皆さんに踏まえておいていただけるんだろうと期待をしておりますし,そう認識をしておるところでございますが,ここの基本的な認識の部分,つまり,減少しているとはいえども私的複製は一定程度存在し,その一定程度存在する私的複製によって,権利者の利益が不当に損なわれている部分もあると。これは契約や技術によって,今後解消されていくという方向性も事実存在するし,そういう努力を重ねていく必要がある。

一方で,契約と技術によって,まだ解決できないような領域も当然存在するというふうに,実態調査からはうかがえますので,そこは経過的にでも,私的録音録画補償金制度というものを見直していくと。つまり,現行の制度はもう機能しておりませんから,あれを機能していると言う方がおいでになるのであれば,今御発言いただければと思いますけれども,あれは機能しておりませんので。

機能しているとおっしゃる方はおいでになりますか。機能しておりませんから,それを我々はここで見直しをしているということでございます。

ほかにいろいろな御意見もあろうと思いますので,是非重ねて御意見いただければと思いますけれども,組合せに関して,何か御発言ございますか。契約と技術による解決について,一定の方向性というものが得られれば一番望ましいんですけれども,契約と技術による解決がどんどん進んでいくということは,我々はみんな歓迎するところでございますので,この方向に向かって,例えば関係者が今から努力を重ねるとかという決意表明でもよろしいんですけれども。

【末吉主査代理】主査の御質問に答えることになるかどうかは定かではありませんが,先回もちょっと発言させていただいたんですけれども,今年から,音楽の権利者のデータベースを作るという実証実験を,文化庁の協力を得てやっております。まだ非公開なので,詳しい御報告はまたいずれ,どこかの機会で差し上げたいと思っているんですけれども,来年の2月には初めての,1か月間なんですけれども,そういうデータベースをテスト公開するというところまで,現状,こぎ着けております。

今のデータベースを作るという過程の評価というのは,まだ正確にはできていないので,これは飽くまで私見なんでございますけれども,1年掛けても,もちろんMusic Forestという基本的なデータベースの基になるところは,既に公表されているところなので,それをベースにしながらも,まだまだデータベースの完成というところまで数年かかる。要するに1年ではできなかったというところでございます。CDを中心とした,要するにCDが流通している世界の音楽関係の著作権と隣接権を含めた権利者のデータベースを整備するところに,まだ1年掛けても100%ではなく,CDを離れた,CD以外の流通方法による音楽について,あるいはインディーズなどを含めたデータベースの完成にも,何年か掛かるだろうと思います。

何でこんなことを申し上げているかというと,私はかねてより,今土肥主査が言われたとおり,組合せが大事だというのが自説でございまして,ただ,10年ぐらい,この録音録画補償金の問題が動いていないというのを大変憂えている反面,何もしないで録音録画補償金の見直しだけを考えるのは,少しアンバランスなのかなとも思っているところで,たまたま文化庁の委託研究に取り上げていただくことができたので,これはデータベースを作り,恐らくその次は,可能であれば許諾のプラットフォームを作って,個別契約でなかなか拾い上げられないところの音楽権利者の許諾をシステム化することによって,かなりのパーセンテージの音楽権利者に対する対価が支払われる制度が,私は完成すると思うんです。

その契約と技術と言われているところの契約のところはまだまだ私は時間が掛かるのではないかと思っておりまして,対価の支払の金額は,増えるとか減るとかいう問題はもちろんあるんでございますけれども,少なくとも10年近くこの問題を議論している中で,補償金の問題が手付かずで今後も推移するということに対して,大変心配をしております。

まだまだ契約の手法で進めるということには,申し訳ないですけれども時間が掛かると,いろいろ担当している身からすると思いますものですから,その意味でも,できるだけ早い段階で関係者間協議を行うなり,あるいは30条の規定ぶりですね。録音録画補償金の規定ぶりは今のままでいいのか,指定のやり方は今のままでいいのかとか,もう少し具体的な,突っ込んだ議論に入っていただくべき時期,かなり前からそういう時期だったと思うんですけれども,少なくともかなり早い段階で,そこに行く必要があるのではないかと思っている次第でございます。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。末吉委員に非常に前向きな御発言を頂きました。ありがとうございます。

【大渕委員】私も前回まで申し上げたツートップというか,両方でいくということを申し上げてきました。今,末吉委員にも御支持いただきましたが,要するに全部,教育も全てそうですけれども,著作権は全て契約と法律と組み合わせるしかないのに,法律だけ,契約だけというのはそもそも無理があると思います。今,プラットフォームと言われて,私はフォーラムと言いましたけれども,関係者間協議の場を設けて,契約は契約でやっていただくけれども,先ほど言われたとおり,契約でできる部分は契約でやるとしても,契約でできない部分はどうしても残らざるを得ないので,そのためのデフォルトというか,受皿のような形で,補償金制度は残さざるを得ないため,この点で,二者択一の議論になり過ぎているのは良くないと思います。

その関係で,ドイツの議論などを見ると,要するに悩んで,禁止権を押さえ込むが,その代わりに,そこで失われた部分は補償金で賄うということで,非常によくできた制度になっています。先ほども出ていましたが,この禁止権を押さえ込んである部分が,まさしく何度も言っているとおり,30条1項なのですが,あれはなくなってほしくないと国民の一人としては思っていますので,そこは1項,2項,ワンセットになってできている部分なのが,ややもすれば2項だけの話になってしまいがちなので,そこはトータルとして見なくてはならないというのが1点。

それから,私はこの委員会が始まった最初から非常に気になっていたことなのですが,クリエーターへの還元は現実に実効的に実現されなくてはいけないということであります。前回も出ていましたが,結局,契約でやるとどうしても,強いクリエーターは契約上リターンが行くけれども,必ずしも強くない人には,契約上弱ければ行かないという弱点もあります。契約というのは,強い人同士の間ではうまく機能しますが,消費者契約のように弱者でも契約の対象になるわけですから,そこのところはよく考える必要があると思います。契約に丸投げしたらバラ色というわけではありません。いろいろな意味で,きちんとした受皿があって,必ずしも強くないクリエーターも含めて,きちんとクリエーターにリターンが行くということが現実に実効性を持って実現されることが保証できるようにしないと,文化審議会は何をやっているのだという話になってしまうだけではないかと思っております。

その意味でも,早く各論に入るべきだと思います。

【土肥主査】おっしゃるとおりで,補償金,契約の利用・流通ということになっているので,本来著作権契約とかそういうところも,別のステージかもしれませんけれども,おっしゃるような懸念されることをクリアするようなスキームを検討いただければ,一番いいんですけれども,ここはそういうことがありますよというか,要望させていただきたいと思うんですが。

あと,実態的に,現在の補償金制度というものが非常に硬直的で,例えば特定の専門の機器だけを限定するとか,柔軟性がほとんどないので,全く機能はしないわけでありますけれども,制度というものをうまく技術の進歩とか,25年と言いましたけれども,25年のデジタル技術,ネットワーク技術の進展に応ずるような形に対応させるためには,制度の硬直化というのは最悪最大の欠点でございますので,こういうところについて,何か御発言が頂ければいいかなと思うんですけれども,いかがでしょうか。

河村委員,どうぞ。

【河村委員】すいません,主査が投げ掛けられた質問だけに対しての意見ではないのですけれども,きょう,意見をきちんと申し上げていないので,消費者側の意見として申し上げます。まずは19ページなんかで見ましても,CDからの平均曲数が15から8.7,レンタルが14.5から8.8,補償金対象外の配信サービスが4.3から7.6,これが3年間での傾向として,そういう傾向に今あるということですよね。

それともう一つ申し上げたいのは,総数のところなんですけれども,曲をどれだけ持っていますかという質問なんですが,以前いろいろな委員から,莫大(ばくだい)な量の複製が日本国内にはあって,権利者にすごく損害を与えているということでしたけれども,録音,コピー,ダウンロード,アップロードしている方たちが持っているものですら,総曲数が減っているんですね。つまり,新たに録音したものもあるけれども,もともと持っていたものがなくなっていると。

私は音楽ファンですし,権利のある方がお金をもらわなければいいと思っているわけではないんです。でも,最初から申し上げているのは,私的録音によって損害を与えている,それもデジタル録音によって大変な損害を与えているから補償金制度ということでありましたらば,30条に補償金が入ったときに,デジタル録音は物すごい量の録音ができて,音質も劣化しないし,すごい数になるからと言っていた実態が,ここにきて,スマートフォンが普及し,ほとんどの人が自分で聴くために,こういう形で音楽を聴こうと音楽ファンが思っていると。自分のために,しかも家の中で。

そうなってくると,私的録音の補償金をいかにワークさせるかということで何かするということではなくて,もともとに返って,権利を持っている方がどうやったら,きちんと権利に基づく,私たち音楽ファンが音楽を楽しんだ分が受け取れるかということなんだと思うんですね。

先ほど契約上の弱者という話がありましたけれども,音楽の聴き方はどんどん変わってきています。私は子供が高校生ですが,YouTubeから聴くなど,いろいろなところから聴いています。そういうところからも,著作権者だけではなくて,隣接権を持っているクリエーターなど権利のある人たちが,きちんと音楽の聴き方に応じたものをもらっていくようにすることこそが対価の還元であって,このように,どう考えても私的複製減少の傾向が如実に表れている中で,どうやってこれから補償金制度を強化していくかという話で,もともと存在する問題が片付くとは思わないんですね。

ですから,私は補償金制度について,柔軟な機器の指定の仕方とかいうような各論に入る前に,そもそも対価の還元というのを進めるべきであるというところに立ち戻って,この会議はやるべきではないかと思っております。

【土肥主査】ありがとうございました。是非今後の,河村委員がおっしゃるクリエーターに対する適切な対価還元のスキームの構築について,今後最大限御協力を頂ければ,御助言いただければと思います。

ほかにございますか。小寺委員,どうぞ。

【小寺委員】私どもの主張としましては,これから音楽の主潮というのは,ストリーミングのような音源から直接聴くという行為がどんどん増えていって,補償金の対象となるような複製行為は減ると申し上げてきたわけですけれども,今回の調査では,おおむねその結果が出たかなと思っております。

例えば7ページですけれども,2017年の方の音楽配信サービス云々(うんぬん)の合計というところで,14.6という数字が出ております。アメリカの経済学者ロジャースの提唱した定理で,キャズム理論というのがございますけれども,それによれば,ハイテクサービスというのは16%を超えた時点で普及帯に入るということが言われていて,これはおおむねうまく機能しているようでございます。それから考えると,この増えぐあいから見ますと,キャズム超えはもう目に見えていると判断してもよろしいのかなと思います。

一方,翻って見ますと,例えばコピーをそもそもしなくなっているという現状というのは,今回の資料からもよく読み取れるところでございまして,例えば20ページでありますと,一番上の方にありますパソコン内のハードディスク・SSD,あるいは外付けのハードディスク・SSD,これらの数も減少をしております。

加えて,象徴的なものでありますと,26ページの資料ですかね,何個ぐらいコピーしていますかということで,0個というところが如実に増えているということで,やはりユーザーの行為としては,コピーするということ自体が減っているということは,もう間違いないのかなと思います。

コピーをしないということは,当然,補償金の対象となる行為をしていないということなので,例えば現状,補償金制度を動かすように再構築をしたとしても,行為が少なくなっている以上,制度を動かすための費用の方が,補償金として集めた金額を,どこかで上回るところが来ると思うんですよね。そのときが,補償金制度というものを畳むところになるのかなと思います。今後の議論としても,どうやってこの制度はうまく畳んでいくのか。そういうことも視野に入れながら,考えていかざるを得ないのではないかと思っています。

【土肥主査】じゃ,椎名委員,どうぞ。

【椎名委員】ストリーミングについて,コンテンツ自体を所有することから,ストリーミングに移行していくんだというお話はずっと聞かされていて,ただ,これを拝見すると,有料でやっている人は結構伸びていないなということがまずある中で,一方で事態は刻一刻と変わっていくわけです。実は,この実態調査の後の話ですけれども,iPhoneというものがあります。私も持っています,使っていますけれども,今回iOS11というアップデートが行われまして,その中で,新たに画面収録という機能が追加されております。

これはどういうことかというと,ストリーミングで流れてくるYouTube映像ですとか,また映像だけでなく音も録(と)りますから,YouTubeに載っている音楽コンテンツなど,iPhoneで再生しているものをリアルタイムで収録保存するという機能が追加されております。これは30条1項があるからこそ,そういう機能ができるわけですけれども,Android等でも同じような機能を実現するアプリがあるやに聞いております。

そうした場合に,本当にストリーミングだけで終わるのかという問題が出てきます。ストリーミングされているものを画面収録という形にしますと,MPEG-4ファイルが生成されます。それはメール添付して人に送ることもできますし,何ら制限が掛かっていないようです。事態が刻一刻変化すると申し上げたのは,一定の方向での流れというものはある。しかしながら,それが決定的に制度を必要ないものというところまでは行っていないということを先ほど申し上げました。なおかつ,ストリーミングに完全移行するとは限らないものも現に出てきておりますよということを,ちょっと申し上げたいと思います。

【土肥主査】ありがとうございます。

奥邨委員,どうぞ。

【奥邨委員】授業の関係等々で,最近2回ほど出席しておりませんでしたので,前後の議論が分かっていないので,もしかすると空気を読めない発言をしてしまうかもしれませんが,まあ,空気が読めないのはふだんからですので……。

全体的に,きょう拝見したところの感想を申し上げます。刷り込みというか,ひよこは最初に見たものを親と思うというのがありますけれども,私が著作権を最初に勉強したとき,亡くなられた北川善太郎先生から勉強したもので,そのとき北川善太郎先生,今から約四半世紀前ですけれども,コピーマートということをおっしゃっておられました。技術と契約で著作物の取引をコントロールしていくということをおっしゃっておられた。

25年前に聞いたときには,何をおっしゃっておられるんだろうと強く印象に残りましたけれども,先ほど主査がおっしゃったように,きょうの報告を見ていると,徐々にその傾向が出てきているということは分かると思うのです。私としては,最初の刷り込みがありますので,最終的にその方向に行くということは,非常に望ましいことだと思います。この点も私は主査と同じ意見であります。

ところで,少なくともこの3年の状況を見ますと,確かに変化は起こっていて,傾向は見えるんですけれども,飽くまでそこまでなのかなと。まだドラスチックに何かが,天地がひっくり返るほど変わったということではなかろうと。

したがって,どの時間のスパンで見るかですけれども,25年前に北川先生がおっしゃったときから,やっと今ここまで来たということだとすると,やはりまだ5年や10年は掛かるかと。その間をどうするかというのは,5年なり10年なりの間,ただ見ておくということで本当にいいのかという議論は,せざるを得ないのかなと。したがって,今,組合せというお話が出ていましたけれども,私は何も現行の制度を強化するということではなくて,その5年なり10年なりの間に必要な手当てをするということはあってもよいのではないかなということは思いました。

今回の資料の中で,一つ思いましたのは,32のスライドなんですけれども,ここにそれぞれのnが出ております。それを見ますと,2014年の段階では音楽用CD-R対データ記録用CD-R,すなわち専用対汎用が,媒体レベルでいうと2.5対1なんですね。800対300なんです。ところが現状は,音楽専用と言える,録音専用と言えるのはCD-Rの音楽用だけ,これが1,000なんですね。それ以外の大きなものでいえば,データ記録用CD-RとUSBとSDカードを足すと,1対1か,どっちかというと,そっちの方が大きいぐらいになっている。つまり,ほかに比べれば変化の大きなところというのは,利用される媒体が汎用のものに変わってきているということは,傾向として見られると。では,それに対してどうやって対応していくかということを,だからそれに掛けるかどうかとか,それはまた別の議論なんですけれども,きょうのデータから見たときに,そこは明らかに言えると思うのです。

さっき言ったように,将来的には契約と技術ということも事実として動いていっているので,それまでの間に,今起こっている変化,3年間で起こったこの変化を踏まえつつ,どういうふうに手当てをしていくかということが,私は議論として十分あり得るのではないかなというのを,今回の資料を見させていただいて,感想として持った次第です。

以上です。

【土肥主査】ありがとうございました。3年の時間の経過の中で,きょう頂いた実態調査は,確かに一定のトレンドといいますか,方向性という,この分野の技術とか,あるいは私的複製の問題の傾向みたいなものは,おかげで,御苦労いただいて調査していただいたところから,大いに参考になるものが得られたのではないかと思います。

しかし,これは飽くまでもここまでの話で,これから先,どういうふうになっていくのかというのは,確かに分からないわけでありますが,奥邨委員もさっきおっしゃっていただいたように,いずれにしても,契約と技術によって今現在,全てが解決しているわけではないので,この端境期をどうにかクリアしないといけないわけですよね。この端境期において,どうするのか。

端境期におけるスキームというのは当然,経過的な一時的なものになるんだろうと思うんですけれども,例えば3年あるいは5年ぐらいのレビュー条項を設けたり,いろいろして,一定の期間ごとに見直したりしていって,それで実態に合うような,クリエーターに対する適切な対価還元問題という問題をクリアしていきたいなと期待をするわけであります。

先ほどもちょっと申し上げましたように,我々はきょうが平成29年の,年度ではありませんけれども,最後の委員会になってまいりますし,年度内,1回か2回か分かりませんけれども,1回ぐらいなんだろうと思います。そういたしますと,我々がきょうまで議論を重ねてきて,得られたところについては,一応集約化していく必要があるだろうと認識をしております。

先ほど読みました資料1の3ページ辺りに出ておりますけれども,ああいう基本的な考え方といったものを我々全員で共有しながら,そして私的録音の実態調査を踏まえまして,クリエーターへの適切な対価還元問題,契約と技術,補償金の制度,そういう必要性の組合せを確認していきたいと思います。

対価還元問題の手段については,皆さん御指摘のように,バランスですよね。つまり,契約と技術によって対応できる場面と,それが機能していない,できない補償金の場面と,そういう組合せを重視して,ベストモードを考えていく必要があるのではないかと思います。特に,ビジネスモデルというのはどんどん構築していく必要があろうと思いますので,これについては関係者の方の御協力,協議というものに強く期待をしていきたいと思っております。

それから,補償金制度というものが,今現在規定されている,ああいう硬直的な制度を今後も継続する必要はない,してはならないと思っておりますので,柔軟な,実態に沿った新しい補償金制度というものを,柔軟なスキームを考えていくことが極めて重要であると思っております。一番問題になっているのは,対象機器とかそういう問題でございますし,補償金の額をめぐって取引量の問題も出たりしてまいりますので,そういう関係者のコストなんかも考えた上での新しいスキームを考えていただきたいと思っております。

本年最後ではございますけれども,恐らく来年早々にはもう一度議論ができようかと思いますので,そこでは今年度の審議の経過等について集約できればと思っております。したがいまして,是非とも事務局におかれましては,その集約に向けた案というものをお示しいただいて,それを次回検討させていただければと,私からお願いしたいと思います。皆様方におかれましては,その集約に向けて,どうか引き続き御協力,御尽力をお願いしたいと思っております。

本日はもう時間が大体来ておりますので,このくらいにしたいと思います。最後に事務局から,御連絡されたい事項がございましたらお願いいたします。

【白鳥著作物流通推進室長】事務連絡をさせていただく前に,1点補足申し上げます。先ほど実態調査の関係で,丸橋委員から,特に資料2の40ページに対応する平成18年の調査においては誰が対象かという御質問の中で,全員が対象ですと申し上げたと思いますが,今確認いたしましたところ,ここで「全員」と申しますのは,WEB調査に関しましては,デジタル録音機器を利用して録音しているユーザーの全てが対象となっておりましたので,前提としては基本的に同じ状況だと理解しております。

【堀内著作物流通推進室長補佐】本日はありがとうございました。

次回の開催につきましては,改めて日程調整をさせていただきまして,決まり次第,また御連絡を差し上げたいと思います。ありがとうございました。

【土肥主査】それでは,これで著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会を終わらせていただきます。本日はありがとうございました。

暮れも押し迫ってまいりましたので,皆様も是非御自愛いただいて,次年度,元気なお姿でお目に掛かりたいと思います。皆さん,どうぞいいお年をお迎えください。ありがとうございました。

── 了 ──

Adobe Reader(アドビリーダー)ダウンロード:別ウィンドウで開きます

PDF形式を御覧いただくためには,Adobe Readerが必要となります。
お持ちでない方は,こちらからダウンロードしてください。

ページの先頭に移動