文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第7回)

日時:平成31年2月1日(金)
14:00~15:29
場所:文部科学省東館3F1特別会議室

議事

  1. 1開会
  2. 2議事
    1. (1)著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について
    2. (2)その他
  3. 3閉会

配布資料一覧

資料1
著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について(クリエーターへの適切な対価還元関係)(案)(11.1MB)
参考資料1
著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について(クリエーターへの適切な対価還元関係)(案)(見え消し版)(3MB)
出席者名簿(56.4KB)

議事内容

【末吉主査】ただいまから,文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第7回)を開催いたします。

本日は御多忙の中,御出席を頂きまして誠にありがとうございます。

議事に入る前に,本日の会議の公開につきましては,予定されている議事内容を参照しますと,特段非公開とするには及ばないと思われますので,既に傍聴者の方々には入場していただいているところでありますが,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉主査】ありがとうございます。それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方々にはそのまま傍聴いただくことといたします。

なお,本日のカメラ撮りにつきましては,冒頭5分程度とさせていただきますので御了承願います。

次に,配付資料の確認をお願いいたします。

【堀内著作物流通推進室室長補佐】配付資料につきまして御説明いたします。本日は2点御用意させていただいておりまして,資料1でございますが,こちらは,審議経過の報告の案でございます。「著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について(クリエーターへの適切な対価還元関係)(案)」と題する資料でございます。もう1点,参考資料1といたしまして,同じものの見え消しの修正版となっております。適宜御参照いただければと存じます。不備等がございましたら,近くの事務局職員までおっしゃっていただければと存じます。

以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございます。よろしゅうございますか,皆様。

それでは,はじめに議事の進め方につきまして確認をしておきたいと思います。本日の議事は,(1)著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について,(2)その他となります。

それでは,議事に入りたいと思います。本小委員会の審議の経過等につきましては,委員の皆様に対し,既に前回の会議において審議経過報告の案を御確認いただき,御意見を頂いたところでありまして,また,それ以降におきましても意見照会をさせていただき,それらを踏まえて修正したものを本日資料1としてお配りしております。

本日は,この審議経過報告につきまして御了承いただきたいと思います。本日御了承いただきましたなら,今期最後の著作権分科会におきまして,私から報告をいたしたいと思います。

それでは,まず事務局より御説明をお願いします。

【白鳥著作物流通推進室長】資料1を御覧ください。また,併せまして参考資料1も適宜御参照いただければと思います。資料1に沿いまして,前回御議論いただきました資料からの主な変更点を中心に,御紹介をしたいと思います。

まず,資料1の1ページでございますけれども,網掛けの箇所が前回の資料からの主な変更点でございます。脚注1ですが,参考資料という形で,私的録音録画補償金制度の概要を添付しております。資料1の69ページ以降には,参考資料といたしまして,私的録音録画補償金制度の概要,諸外国の状況,また,昨年度以来の私的録音と録画に関する実態調査につきまして,添付をしております。

私的録音録画補償金制度の概要につきましては,例えば,72ページを御覧いただきますと,これまでどのような機器,そして記録媒体が補償金の対象とされてきたかといった,現在の政令における条文等の関係なども含めて一覧表にするなど,制度全般について御紹介しているものでございます。前回の会議におきまして,過去の指定状況についての記述の追記を求める御意見も頂いたことから,このような形で,参考資料ということで記載させていただいたところです。その他,諸外国の状況,そして実態調査等につきましては,昨年度以来こちらの会議において御紹介をし,御確認を頂いた資料をそのままお付けしております。

それでは,本文にお戻りいただきまして,内容について御説明します。まず3ページを御覧いただきたいと思います。「クリエーターへの対価還元についての現状」という項目の下におきまして,脚注3の関係でございます。前回の会議におきまして,配信をされた音楽の関係で,一旦ダウンロードした後に更に複製が自由にできるかといったことに関わりまして,端末によってはダウンロードした楽曲の複製ができないものもあるといったことについて本文に記載がございました。ただ,前回の会議における御議論におきまして,特にこれはDRM技術との関わりというよりも,端末の仕様の問題であるといったような御指摘もある中で,この辺りの書きぶりについて精査が必要だということも御指摘を頂いたこと,そして,また特にこのDRM技術という項目との関わりもありまして,前回の御議論を踏まえて脚注に記述を戻す修正をしております。同様の観点で4ページ,それから12ページにも関連の記述及び整理をしております。

続きまして,11ページを御覧いただきたいと思います。11ページの脚注12の関係です。かつて確認いただいたデータを記載しておりましたけれども,今年度,このような形で改めて審議経過の報告ということで整理するに当たりまして,最新の状況をこちらに記載すべきだという御意見を頂きました。そこで,日本レコード協会様の資料になりますので,委員に御確認を頂き,数字をアップデートしております。併せまして,ストリーミングの状況についても追記をすべきという御意見などを踏まえまして,脚注12に加筆をしております。

それから,16ページを御覧ください。こちらは,動画に関して「補償すべき範囲」についての記載でございます。特にDRMの有無による「補償すべき範囲」の切り分けについてのところですけれども,もともと記載を頂いていたそれぞれの意見に関わりまして,その理由付けの部分を補足したいということで御意見を頂いたので,本文のところですけれども,追記をしております。なお,その際に知財高裁の判示の引用も頂いたところでございますが,こちらについては,判決において,実際にどのような形でここで引用されている言い回しが使われていたのか,客観的な事実関係について,脚注17において併せて追記をしているところでございます。

それから,19ページを御覧ください。こちらは,「対価還元の手段」ということに関わりまして,特に補償金と契約と技術による対価還元手段との関わりの中で,30条1項の権利制限規定がどのように影響を受けるのか,受けないのかといったことについて,これまで出された議論も追記をすべきという御意見を頂きました。こちらにつきましても,両方のお立場からの御意見を頂いたところでございます。一つは,契約により全て対応ができる。つまり契約により録音・録画行為というのが全て捕捉できるのであれば,もはや30条1項は要らなくなるのではないかといった考え方をお示しいただいた一方で,30条1項というのは大変重要だとする御意見の両方を,こちらに追記しております。

更に続きまして,私的録音・録画の実態調査結果に関わる記述についてですけれども,ページといたしましては,まず30ページを御覧いただきたいと思いますが,これは脚注の30におきまして,画面収録について,特に本年度の最初の方に御議論いただいたことですけれども,もともと文章の後半の方に記述されていましたが,文章構成や内容の整合性を図るため,こちらに統合,整理したというものでございます。

また,録画の実態調査結果のところですが,33ページです。こちらにつきましても具体的な数字について,より具体的に書き下す必要があるという御意見を頂きまして,意識的に保存をした,意識的に消去したといった部分について,実際のパーセンテージを書き加えたものでございます。

それから,36ページですけれども,こちらもスマホ等について,テレビ番組を録画しているかといった,録画に利用している状況についてですけれども,こちらは,参考資料における数字の書きぶりと合わせた修正をしてあります。微修正でございます。

また,37ページです。脚注35ですけれども,「ダビング10」が,実際に視聴者の録画回数の制約に当たるのかといった点についての御指摘を頂いておりました。補償の要否ということの関わりにつきましては,複製回数の制約にはなっていないとする旨の御意見がみられた一方で,孫コピーの禁止が,消費者が強いられている不便だといったことを強調される御意見もありました。

併せて脚注36ですけれども,その下になります。こちらも実際にディスクを録画用に購入した具体的な枚数を追記すべきとの御意見を頂きましたので,追記をしております。

それから,45ページの脚注46です。こちらも30条1項の在り方の関係で御指摘を頂いたところであります。

引き続いて,そこからが特に本年度中心的に御議論いただいたところになりますけれども,「対価還元の手段」ということで御審議を頂きました。その中で,まず47ページから48ページにかけてのところですけれども,こちらは網掛けをしておりませんが,47ページの2ポツの「汎用機器を補償金制度の対象とする場合の課題について」というところについて三つ論点が提起をされ,それについて御議論いただきました。前回の会議におきまして,まず,今これは49ページの(3)となっておりますけれども,補償金返還の実効性確保の論点が最初に出ておりましたけれども,順番の変更をすべきとの御意見を頂きました。これは,文章の流れ上そのように変更した方が適切ではないかということで,その御指摘を踏まえて順番の入替えをしております。

その上で,内容についての大きな変更はありませんけれども,47ページから48ページにかけてのところです。これは,録音録画機能の多様な提供主体の責任についての在り方ということの中で,協力義務の協力の内容を法定化するということについての御意見を頂いていた箇所ございますけれども,あわせて,その見直しといいますか,法定化には慎重な議論も必要だという御意見も併せて追加で頂きましたので,それを48ページの一番上に追記をしております。

また,その下の(2)の関連の論点になりますけれども,クラウドサービスについて補償金の対象とすべきかといったような議論にも関わりまして,脚注48,一番下になります。これもかつて御紹介をさせていただいているところでございましたけれども,クラウドサービスを広範に補償金の対象とするといった状況は,諸外国においても見られないところではありますが,ただ,フランスにおきましては,ネットワーク・パーソナル・ビデオ・レコーダーというものに関わりまして対象としている事実関係もあるということで,こちらも追記をすべきだという御意見を頂いたので,併せて追記をしております。

また,49ページの脚注49ですけれども,これは,対象となるべき機器,媒体につきまして,政令で指定しているという現在の方式について,知財高裁でかつて言及されたことがあるということで,こちらについても追記を求める御意見を頂きましたので,脚注49で追記をしております。

それから,その後,私的録音と録画,それぞれについての対価還元策の御検討を頂いたところでございます。その中で,53ページから54ページにかけてのところになります。録音についてどのような考え方をすべきかといったような一環の中で,現在の私的録音の実態を踏まえたときに,私的録音の蓋然性の高い機器として具体的に何が該当するのかの確認が必要だということがありまして,特に54ページの上の方ですけれども,内容について実質的な変更はございませんが,文章として若干修正をしております。実質的にこれが何なのか,具体的に何が該当するのかについては,現在の実態を踏まえて確認していく必要があると考えられるというところであります。

それから,また54ページの一番下です。特に記録媒体を内蔵している機器に関してどのように考えるかといったところがまさにここで御意見を頂いたところにもなりますけれども,こちらについて,私的録音の蓋然性の高い機器というのは,実態調査結果を踏まえれば,この脚注56に書かれているようなものが当てはまると。これは政令で指定する方向性を明記すべきという御意見を頂きました。これに対しまして,現状においてその追記というのはどうだろうかといったような反対の御意見も頂いたということで,そちらについての御意見もこちらに反映をしております。

また,55ページからが「「私的録画」に関する対価還元手段について」の記述になります。55ページの本文の下の方ですけれども,これはDRMとの関係で,技術と契約によるコントロールが可能なものについて補償は不要だといったような御意見について,理由付けを補足したいとして御意見を頂きましたので,55ページの下のところ,網掛けのところを追記しております。これは,冒頭の方で御紹介した御意見と連動しております。知財高裁の判決を引用いただきましたので,併せて脚注58も追記しております。

それから,57ページです。これは,タイムシフトの関係でいろいろ御議論を頂いたところになりますけれども,全体としては,私的録画の実態というのは,立法事実に変化があったとしても微細な変化にすぎないのではないかといったようなことで整理を頂いていたところですけれども,こちらについての客観的な事実関係について具体的な数値を追記する必要があるということで御意見を頂きました。具体的には,保存目的が何割か,それから,メディアへの録画についての状況などについて,追記をしているところでございます。

それから,併せて57ページから58ページにかけましても,「ダビング10」といったDRMについては,権利者は私的複製を前提にコンテンツの放送を許諾しているのだという意見を追記すべきとの御意見を頂いたので併せて追記をするとともに,前回の会議におきまして,「ダビング10」の導入経緯を踏まえれば補償は当然に必要だという観点での御意見を頂いたところもございます。その流れで,特に前回の会議におきまして,有料放送につきまして,無料放送における「ダビング10」の導入経緯を引き合いに出し,「コピーワンス」であっても当然に補償が必要であるとする御意見を頂いたことから,58ページの脚注61の網掛けの部分になりますけれども,追記をさせていただいております。

また,58ページの下の本文のところは,先ほどの録音におけるものと同じような形での整理ということで若干の文言修正をしております。

また,57ページの脚注60ですけれども,こちらは過去の国会質疑における状況,具体的には,この補償金制度を導入した当時に,タイムシフト,プレイスシフトの観点につきましてどのように国会で質疑があったのか,また,これらに係る補償金の必要性についてどのように答弁されていたかということで,もともと関連箇所を一部引用しておりましたけれども,その前段のところから正確に引用すべきだという御意見も頂きましたので,そちらを追記しております。国会答弁では,当時より,タイムシフト,プレイスシフトが録音・録画目的の上位に掲げられていたということを紹介しながら,その他の状況などを踏まえつつ,全体として権利者の利益を侵害している状況が見受けられるのではないか,といったような答弁がされていたということでございます。

あとは,最後の方になってきましたけれども,60ページ以下になります。特に今年度の小委員会における御議論の中で具体的に浮き彫りにされているところとしては,まず一つは,現在の補償金制度が対象としている機器というものが具体的に何かということを明らかにしていくといったことについて,御指摘を頂いているところであります。また,そのような見直しを行っていく場合の補償金制度の在り方につきましては,かねてより指摘をされている課題にも対応することにも留意をしながら,検討を重ねていただいてまいりました。その内容が,61ページ以降で整理をされています。内容につきましては,今年度の議論を踏まえ,若干アップデートもされております。

前回の資料からの変更点としましては,(1)のところ,補償金制度の対象範囲,これは先ほどの録音・録画における修正と同じ並びでの修文となっております。(2),これは内容というより御意見の理由付けのところを補足したいということで,知財高裁判決についてのフレーズもこのような形で入れたいという御意見がありましたので,追記をしております。

また,62ページですけれども,支払義務者等の関係で,先ほどの協力義務の内容を法定化するということについての御意見,これについても見直しに慎重な意見もあったということも併せて書きたいということで,62ページに追記しております。

あわせて,同じページの脚注65です。これは補償金の分配の観点で,全量データ等に基づいて適切に分配を行っているということについての御指摘を頂いたので,それも追記をさせていただいたということでございます。

以上,前回からの修正点を中心に御説明申し上げました。よろしくお願いいたします。

【末吉主査】ありがとうございました。

審議経過報告案につきましては,ただいまの事務局からの説明のとおり,委員の皆様からの御意見を踏まえまして,前回提示の文章に必要な修正を施したものとなっておりますが,文言について更に修正の御意見がありましたらばお願いをいたします。

進め方につきましてですが,前回と同様,四つに分けて御意見をお願いしたいと思います。まず,「はじめに」と,ローマ数字の1,「クリエーターへの対価還元についての現状」につきまして御意見を伺いまして,次にローマ数字の2,「補償すべき範囲」,更にその後にローマ数字の3,「対価還元の手段」について,そしてローマ数字の4以降は最後まで,このように4分割にして御意見を伺おうと思います。

それでは,まず「はじめに」の部分及びローマ数字1,「クリエーターへの対価還元についての現状」。これは資料1のページで申しますと,1ページから9ページにつきまして修正意見がございましたらばお願いいたします。

なお,この箇所につきましては,昨年度までに整理済みのものがほとんどでございまして,前回の会議で出された御意見はおおむね反映されているというふうに思いますので,なお修正意見があればよろしくお願いいたします。

1ページから9ページまで,どうぞ。

【太佐委員】先ほど御説明があったところに関係いたしますけれども,3ページで脚注3に落ちている記載です。ダウンロードした楽曲について「自由に複製することが可能である。」と本文にあり,以前のバージョンですと,その本文の続きに「ただし」として,端末によってはそういうダウンロードをした楽曲の複製ができないものもあるといった記載がありました。これは,DRMとは直接関係がないからということで脚注に落とされたのかなと想像しておりますけれども,事実は事実でございますし,本文にあったものが脚注に落ちるというのは非常に気持ちが悪いものですから,表現は誤解のないようにするとしても,本文に戻すという形にしていただけないかというのが1点でございます。

この脚注3というのは,後ほど脚注5でも参照されていたりですとか,後ろに行けば行くほど事実関係が薄まるような印象を受けます。これはセキュリティの仕組みとして勝手に機器から外にコピーを出せないとか,そういう技術をさすものだったかとは思うのですが,可能であれば誤解を与えない範囲で,本文中の方で手当てできるようにしていただきたいというのが意見でございます。以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかに,どうぞ。

【椎名委員】この部分は僕が指摘したところですが,今,太佐委員もおっしゃったとおり,ここはDRMとの関係を言っているのであって,DRMの影響において複製ができないかどうかという話ではない。端末の仕様によって,例えばデッドエンドになっていれば当然ながら複製はできないわけですから,DRM保護技術との関連のところの本文に入っているのはおかしいのではないかと思います。現在の取り扱い方が一番理想ではないかと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。どうぞ。

【河村委員】今の点ですけれども,もしもDRMについて記述している箇所であるからおかしいというのであれば,配信型の音楽を聴くようなデバイスには複製ができないものがあるということを別の箇所で言及するべきです。そういうことがどこかに書かれているわけではないと思います。そういう場合は,DRM技術が掛かっていなくても,消費者から見たら,補償金のことでいろいろと言われる中で,複製できないという点で同じ意味です。できないのがDRMのせいであるか,端末のせいであるかは,消費者にとっては余り関係ないですし,クリエーターの方の損害という点から見ても事実としては同じことだと思います。配信型は自由にできるけれども,端末によってはそもそもDRMががちがちに掛かっているのと同じ結果が消費者にあるわけですから,私はここで書くことはおかしくないと思いますし,ここがおかしいと言うのならほかのところにそういう端末があると書いてほしいです。今の脚注の書き方ですと,最初は「場合もある」だったのが,「あるとの指摘があった」となり,誰かそういう意見を言った人がいましたというようなな書きぶりになっていますので,まず書き方を,これは事実なので確認できていると思いますので,断定的に書いてほしいということと,ここがおかしいなら,その意味合いをどこか別の項目のところに書いていただけたらと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。どうぞ。

【椎名委員】端末によってできない機器もあるということは,外部の記憶メディア等に複製する機能を持っていない機器なわけですよ。複製する機能を持っていない機器があるのと,複製機能がある機器があるのは当たり前の話であって,そういう種類の機器があるとわざわざ書くのですかということです。だから,他のメディアにまで録音されたファイルを複製する機能がある機器とない機器があるのは当たり前。録音機能のある機器とない機器があるのは当たり前なので,そのことをDRMとの関係でわざわざ書き表す必要はないのではないか。ここでは,録音機能のある機器を対象に議論をしているのではないですかということです。

【末吉主査】ほかにございますか。

大体この論点はもう分かりました。何か付け加えるところはありますか。大体我々が理解した上で,どっちが良いか迷っているところですけれども。どうぞ。

【河村委員】今おっしゃったことですが,今までの議論の中で,録音機能があると言われているのは,配信から機器に音楽データを入れた以降の複製のことだと思いますが,アンケートでは,配信で音楽を買ってデータを入れた機器のことをダウンロードした機器に含まれてしまっているわけです。文書の後ろの方の機器について書かれているところでは,ポータブル・オーディオ・プレーヤーですとか,そういう音楽が聞ける機器について,その中からできないものは除くとは書かれているわけではないので,何か後半の機器のところでは一般論として書かれていて,ここでかなり有名な人気のある機器がこれができないということになっている事実は皆様お分かりだと思うのですけれども,何かそのようなことを書かないで,できる機器だけのことであるというのは,おかしいと感じます。

【末吉主査】はい。まだありますか。

【椎名委員】ここをよく読んでいただきたいのですけれども,ここでは,「購入した楽曲を自由に複製することが可能である」,要するに購入した楽曲が複製することがDRMの影響下においてできるかできないかということを言っているわけであって,機器によってできないものがあるのは当たり前の話です。できるものもあればできないものがあるというときに,当然補償金制度の対象として考えるのは複製ができる機器ということになりましょうけれども,そのことをわざわざ書く必要はないということ。ここでは,購入した楽曲を自由に複製することができるかどうかということを言っているので,それはDRMの影響ではないということを申し上げています。

【末吉主査】大体対立点は分かったので,ここはまた書きぶりを悩んで考えさせていただきたいと思います。

ほかにございますか。1ページから9ページまで。よろしいですか。

ありがとうございました。では,先に参ります。ローマ数字の2,「補償すべき範囲」。これはページで申しますと10ページから17ページにつきまして修正の御意見を頂きたいと思いますが,この箇所につきましても,録画に関する「論点及び意見」の一部,特に16ページあたり,などを除きましては,昨年度までに整理済みのものがほとんどでございまして,前回の会議で出された御意見はおおむね反映をさせていただいていると思われますけれども,なお修正が必要であるという記述についての御意見をお願いしたいと思います。どうぞ。

【小寺委員】11ページのところでございます。上から3行目のところの後段です。「我が国ではいまだ約8割がCD等のフィジカルの市場となっているという特徴がある」という一文がございまして,脚注の方では具体的な数字が出されております。これは,私のリクエストによりまして最新の数字に差し替えていただいておりまして,事務局の方には御苦労があったと思います。ありがとうございました。

ただ,そこの本文の方ですけれども,ここに,我が国では,要は8割というのが何ベースなのかということを記載していただきたいなと思うのですね。これは,脚注を見れば金額で算出しているので金額ベースということは読み取れるのですけれども,別の評価軸もあるわけで,例えば数量ベースであるとか,ユーザー数ベースであるとか,といった測定も可能な中で,この論点では,金額ベースでの8割であるということを表しているところを少し補強してはいかがかなと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがでございますか。10ページから17ページのところでございます。よろしゅうございますか。

それでは,先に進みたいと思います。それでは,ローマ数字の3,「対価還元の手段」,これはページで申しますと,少し長うございますが,18ページから45ページの部分につきまして修正意見をお願いします。河村委員,どうぞ。

【河村委員】今にわかにこういう言葉にというふうになかなか言えないのですけれども,19ページの,19ページに行って良いのですよね。

【末吉主査】どうぞ。

【河村委員】19ページの30条1項のところで,主に私が申し上げたところを取り上げていただいているので,その点は有り難いのですけれども,この対立軸が全てその,上の方の論点は濃い網掛けになって,許諾,契約によって全て実現するなら30条1項で権利制限を認める必要もないという立場,それは何回もお聞きしているのですが,それに対する私の反論についての取り上げ方が気になります。最後のところはもちろん私が申し上げたのですけれども,全てについて個別課金が実現することを望んでいるわけではないということは,30条1項論に対する消費者の意見ではなくて,これもそうとも言ったかもしれませんが,私の意見は,補償の必要がなくなるのは,全て技術と契約でカバーされることが実現するときであるというのはおかしいと何度も申し上げていると思います。要するに,そもそも程度の問題で,消費者の複製の程度が大きいから立法事実があって,後で申し上げますけれども,平成3年ですか,国会のところで立法事実がもう述べられていますけれども,要するに程度問題として,当時,大変な複製の文化があるし,それがデジタルでやられるようになったら大変だということだったと思いますから,少しでも複製があるなら補償金なのだというところからスタートしていないというのも何度も申し上げています。この全てが捕捉されればどうなる,いや,全てを望んでいるわけではないではなくて,ここにもう一つ,全て捕捉されるまで補償金制度が必要だという考え方はおかしいという意味のことを入れていただかないと,何か全部捕捉されない方が良いと言っているだけのように読めます。私の意見はそういうところに重点はなかったので,是非,もし考えろと言うならもう少しきちんと文章を考えますけれども,その趣旨を入れていただかないと誤解を招くと思いました。

【末吉主査】ありがとうございます。どうぞ。

【太佐委員】30ページの脚注30ですけれども,これは本年度JEITAからプレゼンテーションをさせていただいた,スマホの画面収録機能についての説明に関する記述でございます。これは,もともと,本文の60ページのあたりに入っていた記述をここに移して脚注として記載されているのですけれども,一つには,本文から脚注に落ちているということと,さらに,記載の位置が2017年すなわち昨年度の調査結果の文脈の中に入っていることから,修正をお願いしたいところです。私どもも本年度にそれなりに時間を掛けて作業したものですので,本年度の検討結果に係る本文の中で何らかの記述を残していただけないかなと思っております。

記述そのものについては,両方の意見がそれなりに書いてあるということで,それ自体については特にコメントをするものではございませんが,記載する位置としては,例えば,46ページ,47ページ,48ページのあたりのどこかに入れるとか。要は,汎用機と言われるスマホであっても録画の機能があるではないかという文脈の中で出てきた話に端を発するものですので,その文脈にある本文中のどこかの箇所に入れていただけないかなと。もともと入っていた箇所が少し違和感があるということであれば,同じ本文の中のより適切な場所に移していただきたいという要望でございます。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがでございますか。18ページから45ページまででございます。よろしいですか。

それでは先に進みましょう。ローマ数字の4,「対価還元の手段(見直しの方向性)」以降,終わりまで,70ページまでにつきまして,修正意見をお願いいたします。どうぞ。

【丸橋委員】注の48ですけれども,このただし書で「NPVRは課金対象とされている」とわざわざ入れているのですけれども,これは,そもそも汎用のクラウドサービスというわけではなくて,明らかにテレビ,ロクラクみたいなものですよね。日本では,ロクラクは補償金の範囲に入ってくる話ではなくて侵害類型に入っているのを,では,これはそっちに入れるという主張も含まれているのですかというような疑念を持つところでありますので,この「ただし」というのは変だと思うのですよね。そういう扱いにしている国がある,それは全然クラウドサービス一般,汎用のクラウドサービスだととても言えない部類のものであるので,「ただし」ではないと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがですか。どうぞ。

【椎名委員】今見付けてしまったのですけれども,60ページの(1)補償金制度の対象範囲というところで,「現在の補償金制度は,利用者による個々の私的録音・録画行為を正確に捕捉することは困難云々(うんぬん)」,そこから始まって,下から3行目,2行目のところで,その「販売形態や広告宣伝が行われているものについては,「主として録音/録画の用に供するもの」に該当すると考えられるが,そのような機器等であって,私的録音・録画の実態が認められるものとしては具体的に何が該当するかと言えるか」について,「現在の複製実態を踏まえ,確認する必要があると考えられる」というのが趣旨だと思うのですけれども,その前の,「現在の指定対象機器等が録音・録画の実態を適切に反映しているか等について」,今更確認するのですかという気がするので,そこが正確に反映されてないからこの会議をやっていると認識をしているので,「現在の指定対象機器等が録音・録画の実態を適切に反映しているか等について」というのは削除していただいた方が良いのではないかと思います。

【末吉主査】ありがとうございました。どうぞ。

【白鳥著作物流通推進室長】もともとこの点につきましては,例えば,現在指定されている機器のうち,もはや実態がないものもあるのではないかといったような御趣旨の御意見もあったと思います。そうしたことも含めてのこの記述であると捉えておりました。不適切であれば削除する等の御判断もあるとは思いますが,そのような御議論を踏まえた形での文章と理解をしております。

【末吉主査】ということだそうでございますが,表現がいま一つというところもあるかもしれません。検討いたしたいと思います。

ほかに。では,河村委員,どうぞ。

【河村委員】58ページの下の脚注61ですけれども,ここで,61の前段で,「「コピーワンス」を原則として厳しい制限の下で運用されており」と,これは有料放送の箇所ですね。「補償の対象として検討されるべき理由もない,との意見が出された」の後,網掛けで,「一方で」というところから後が,何でこれに対する「一方で」という意見になるのかが,少し意味が良く分からないのですが,地上デジタル放送は「コピーワンス」で始まって,いろいろクレームが多かったから情報通信審議会で検討して「コピーワンス」が見直されたという経緯を踏まえれば,「コピーワンス」,「ダビング10」,「コピーフリー」は補償の対象であると,こういう意見は別にこういう意見がある方がいましたし,おかしくないのですけれども,何が「一方」なのかが,有料放送についてのことが書かれていると思うのですね。有料放送について,情報通信審議会で有料放送のコピー制御について審議した覚えが私はないですし,有料放送はかなり権利者の方の御都合でというか,いろいろなことを加味して「コピーネバー」も選べますし,要するに選択の余地が広いと思って,有料放送についてここに言及していて,そこの脚注であることを考えると,この「一方で」の後がどういう意味の反論なのかが少し良く分からないので,これは不適切なのではないかなと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。どうぞ。

【華頂委員】これは前回私が意見として,上の網掛けがない部分があったので,それに対して過去の出来事を申し上げたのですけれども,その有料放送云々(うんぬん)かんぬんは別にして,「コピーワンス」と「ダビング10」,それから「コピーフリー」と「コピーネバー」,この四つの信号が今現在利用しようと思えばできるわけで,そのうちの「コピーワンス」のことが前段で書かれているので,「コピーワンス」を見直したときの情報通信審議会,要するに「コピーワンス」も視聴者のそのムーブ,保存,これを担保する意味で「コピーワンス」にしていたはずですよね。ところが,そのムーブの過程でいろいろ不具合が起こって,視聴者からクレームが頻繁に起こったということをもってしてこれを変えなければいけないと。どうやったらスムーズに保存ができるのか,そして「ダビング10」になったといういきさつ。たしか村井先生の「ダビング10」の解説は,3人の家族が三つのデバイスで三つのコピーをする,3掛ける3で9プラスバックアップ一つ,イコール10というふうなことで,十分に視聴者の保存のことを考えているわけですよね,念頭に置いて。ですから,その「コピーワンス」も視聴者の保存のコピーを考えて,不具合があるから「ダビング10」になった。当然「コピーフリー」,これは自由に保存ができるわけですから,この三つについては補償の対象であるという意見を言ったつもりですけれども。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかに,良いですか。

【河村委員】ごめんなさい。

【末吉主査】もう1回行きますか,どうぞ。

【河村委員】「コピーワンス」にも必要だという御意見を述べられている部分は,私と意見は違うにしても分かるのですけれども,「コピーワンス」でクレームが出て「コピーワンス」はなくなったのですよね,地上デジタル放送。ただ,有料放送の方は,つまり権利者の方たちが選ぶことが,より,もうかなりきちんと契約の中で選んでいらっしゃるわけで,有料放送については,対価も払われているわけです。クレームがあったから「ダビング10」に地上波がなったという経緯というのは,有料放送のDRMと補償金の関係につながらないように思われるのですね。これ以上言うとまたあれですけれども,タイムシフトもできないような有料放送をしたら,もうお客さんは激減すると思うのでビジネスとしても成り立たないのではないかなと思うことを考えますと,別に「コピーネバー」を選べるのではないのですかとも,選ぶことができないわけではないですよね,有料放送の話ですから。というふうに申し上げたいと思います。

【末吉主査】どうぞ,華頂委員。

【華頂委員】いや,河村委員,河村委員も情報通信審議会に出てたではないですか。昼間から余り眠たいことを言っては駄目ですよ。要するに,「コピーワンス」も複製を念頭に置きながら措置したわけでしょう。その複製をするに当たって作業工程で不具合が起こるから「ダビング10」に拡大したのではないですか。だから,「コピーワンス」も視聴者の保存を念頭に置いた技術ですよ。だから当たり前のように補償の対象になるに決まっているではないですか。

【河村委員】有料放送のことを申し上げています。全く合わない。

【華頂委員】有料放送とか無料とか関係ないのですよ。「コピーワンス」というシステムです。

【末吉主査】何かだんだん分かってきました。どういう表現が一番正しく伝えるかという観点から少し考えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

太佐委員,どうぞ。

【太佐委員】先ほど椎名委員から指摘された箇所の少し上の方の記述で,60ページの2段落目,「(1)補償金制度の対象範囲」という段落中の記述についてでございます。冒頭に「上記のとおり」とあって,3行目あたりから「対象機器・記録媒体としては,「主として録音/録画の用に供するもの」が政令により指定されている。相当の蓋然性をもって私的録音・録画に供されるであろう販売形態や広告宣伝が行われているものについては,「主として録音/録画の用に供するもの」に該当すると考えられるが,そのような機器等であって…」とこう続いているのですけれども,ここは,所定の販売形態や広告宣伝が行われているものが,すなわち「主として録音/録画の用に供するもの」であり,即,政令指定されるかのように読めてしまう点に少し懸念があります。これについては,似たようなと言いますか,より正確に表現している箇所がこれより前のところに2か所ほどございますので,できればそことの表現の平仄(ひょうそく)をとっていただきたいと思っています。具体的には,例えば,53ページから54ページあたり,これは「録音」についての議論の箇所ですけれども,53ページの本文下から2行目から「すなわち,現在の補償金制度は…」とありまして,「主として録音の用に供するもの」の後に施行令の条文があり,「補償金の対象として政令で指定し,私的録音の蓋然性の高い機器を補償金の対象として制度設計し,運用されている。このことを踏まえれば」とあって,「換言すれば,相当の蓋然性をもって私的録音に供されるであろう販売形態や広告宣伝が行われるものであって私的録音の実態が認められるもの…」というふうに,その条文の方からより正確に何が対象になるかをトレースされているのは多分この箇所だと思いますので,ここと表現と合わせていただきたいと思います。

同じ表現が,「録画」の議論の部分にもあり,58ページのところにあります。下から10行目ぐらいでしょうか。「すなわち」として先ほどと同じ表現がございます。施行令の条文を持ってきているところです。ここと平仄(ひょうそく)を合わせていただきたいなと思っています。

といいますのは,「私的録音」とか「私的録画」という表現が曖昧に使われております。法律上は,補償金の対象となる私的使用目的の録音と録画というのが「私的録音」であり「私的録画」であると思うのですけれども,補償金の対象になるとは限らない単なる私的複製,プライベートコピーのようなニュアンスで私的録音とか私的録画という言葉が使われていたりして,そのあたりが部分部分でないまぜになっているような印象を受けております。ここは,対象機器の指定に関わる部分ですので,できるだけ表現を合わせて,施行令を引用する以上は,そこも正確にトレースしていただきたいなと考えております。

58ページには「著作権法施行令第1条第2項柱書」というのが書かれてあって,本文だけ見ると,「主として録画の用に供するもの」であれば補償金の対象として読めるような書き方はされています。しかし,実際はそうではないということは,参考資料についている70ページ,71ページですか,「私的録音録画補償金制度の概要」のところに書かれてございます。すなわち,具体的な対象は,所定の「技術方式」と「主たる用途の要件」の特定により指定するという,二つの要件をクリアした上で指定されるという対象の定義がございますので,そのあたりも踏まえた表現をして全体を合わせていただければなと。これは,次年度の議論が続くことも考えて,全体として正確を期しておきたいと思いますので,言及させていただきました。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにはいかがですか。どうぞ。

【今子委員】ありがとうございます。49ページの補償金返還のところ,返還制度のところですけれども,前回も申し上げたのですが,AICJから提出させていただいた意見書の方に,補償金返還の実効性の確保について問題があるということだけではなくて,そうした補償金返還制度は,録音・録画をしていない無関係の一般消費者にも過大な負担を生じさせるものなので,社会的に適切な制度とは考えられない。なので,汎用機を対象としていくことは問題があるということを述べたので,そこを反映していただけると有り難いと思います。

それから,もう1点ですけれども,45ページの脚注46ですが,3行目で,「そのような議論を持ち出すのであれば,30条1項(私的録音・録画に係る権利制限規定)の見直しも併せて議論する必要が生じざるを得ない」という記述がございまして,何かすごく感情的な書きぶりですので,もう少し何か合理的な,理論的な書き方をしていただければと思いました。

【末吉主査】ありがとうございます。どうぞ。

【龍村委員】47ページから50ページあたりにかけてですけれども,49ページの(3)のタイトル自体が,購入者への返還の実効性ということで,購入者ということにフォーカスされているわけですね。現在の制度上もそうなっているわけで,現に49ページの本文の一番下の行,あるいは下から2行目の行におきましては「汎用機器の購入者」,あるいは一番下の行は「私的録音・録画を行わない購入者」という書き方になっているわけですね。50ページを見ますと,そこら辺がややぶれが生じ始めまして,例えば,50ページで行きますと9行目にもございますが,「私的録音・録画を行う者を支払義務者」,購入者とはやや違う表記になってくるわけです。それから,更にその4行目下,5行目下にも,3行目下ですか,それから4行目のところにも「支払義務者を私的録音・録画を行う者としている」とか,その下の行も「私的録音・録画を行わない利用者との関係で」とあるわけですけれども,実際には購入者が負担しているわけですので,ここの統一性を図る必要があるのではないかと。あくまでも支払義務者は購入者だという立て付けになっているということですね。それだからこそ「私的録音・録画を適法に行える地位を得る」という議論と,購入者がそういう地位を購入しているということが論理的にも対応するわけであります。

その意味で言うと,購入者と利用者という微妙なずれがありますので,あえて修正するとすると,利用者との関係について言及したいのであれば,50ページの(3)の下から2行目のところは,「利用者の関係においても」ぐらいの書き方になるのかなと。その他の部分については,購入者が支払義務者であることをはっきりさせる必要があるのかなと。

同じことは,50ページの(4)の2行目も「私的録音・録画を行う者を支払義務者とし」と。あるいは,その第2段落のパラグラフの2行目も「録音・録画を行う者が支払義務を負う」ということで,ここら辺,理論的な問題もやや含まれるので,統一した方がよろしいのかなと思います。

更に言えば,現行の制度のとても特殊なところは,購入者が負担しているのであって,利用者と購入者は,多くの場合オーバーラップするのでしょうけれども,微妙なずれがあるということをはっきり認識できるようにした方が良いと思います。

それと,先ほど48ページで,クラウドサービスのことで丸橋委員から御指摘がありましたけれども,このフランスのクラウドサービスの課金対象となっている事実は,比較法的に見ても非常に参照に値する重要な記載だと思います。フランス等々の有力国において,クラウドサービスについて私的録音・録画の課金サービスがされているという事実は,これははっきり明記して残すべきだと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。どうぞ。

【奥邨委員】今御指摘があったその購入者と録画者のところですけれども,これは,30条だけを引いているのでこうなってしまうのかなと。104条の4の特例の場合はちょっと違うわけです。原則はその録音・録画者なわけで,それは変わらないわけですけれども,ただ特例を採用したならば,そのときには購入者という形に変わるということなので,その辺が影響してきているのかなと思います。このままでは,確かに読んでいると少し平仄(ひょうそく)が合わないところがあるので修正が必要だと私も思いますが,修正される場合には,30条に由来している話ではなくて,特例というこの特殊な制度があるためだということをどこかで触れて,整合性をとられれば良いのかなと思いました。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがですか。丸橋委員,どうぞ。

【丸橋委員】48ページの注48のところ,龍村委員の御意見がありましたけれども,別にあっても良いのですけれども,ここの注がついているのは,あくまでも汎用,クラウドサービス等を広く対象としている実態についてで,全然広くないわけですね,フランスとかでも。だからそこが広く対象としていない例として挙げるのがはっきり分かるような接続詞を使うか,後ろの参考資料にも出ているので,それは落とせば良いのではないかなと,誤解を招かないように落とすのが良いのではないかなと思います。

【末吉主査】ほかにいかがでございますか。どうぞ。

【太佐委員】先ほど1点言いそびれたことがございまして,もともと前バージョンの本文にあった記載が削除されている点についての確認ということでの指摘でございます。今の資料1で言うと53ページ,ここは「私的録音」に関する対価還元についてのお話をしているところの,第2段落です。これを見ても削除されている文章は参照できませんので,見え消しの状態になっている参考資料1の方で見ていただいた方が良いのかもしれませんが,この55ページの同じような位置に,上から2段落目,「他方,本小委員会では,補償金返還請求の問題を回避する方策として,対価還元の手段について」とあり,ここから「すなわち」のところまで削除されているコメントがございます。「私的録音・録画を行う者に最も近いポイントでの対価回収を行うことが,透明性の観点からも現実的であり,これにより補償金返還請求の問題は回避可能であるとする意見も出された。すなわち」という部分です。これは,同じ具体例が後ろに出てくるため冗長だからということで削除されたのかもしれないのですが,もともと,JEITAのプレゼンテーションの中で,どういう対価還元策がありえますかという文脈において一つのコンセプトとしてお話しした,その流通の過程全般を見て支払義務者により近いところで対価を回収するのがより現実的ではないかという選択肢についての発言に関わっておりますので,支障がなければ,これは戻して残していただきたいなと思っております。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがでございますか。どうぞ。

【丸橋委員】まず前回,前々回と早退していたので,もう議論し尽くされているのかもしれませんけれども,この56ページから57ページにかけてと,この注60のところですけれども,全体のロジックとして,タイムシフト目的の私的録画の実態が含まれているからといって補償が当然に不要であるとはされていない。多分理屈としては正しいのだと思いますね。だけど,では,補償が必要な場合にそのタイムシフト目的の私的録画の実態がほとんどである場合でも必要なのかというと,それは必要ではないというのは注60の平成4年改正の参議院の質疑から読み取れるわけで,どうもこの書き方のトーンが正確ではないのではないかと,こういう印象を抱くわけです。少しでも,本当は,一番すっきりするのは,タイムシフト,プレイスシフトについては,補償金の必要性については考えないのが一番はっきりしていて良いと思うのですよね。こういう書き方をすると,タイムシフト目的があれば,それでも侵害はあるから補償金の導入も必要,維持の必要があるのだというふうに読まれかねないと思うのですけれども,この辺,いかがでしょうか。

【末吉主査】ここは,御指摘があって記述を増やしたのですよね,注60は。だから何かまたそれに疑義が逆にあるということであれば削除するのか,書き加えるのか,そういう必要があるということですかね。

【丸橋委員】せっかく注60を付け足していただいたけれども,本文にはなかなかきちんと影響があるように読めない。何かもう少し工夫できないのかということだけです。

【末吉主査】本文とのつなぎですね,注60と打っている57ページの2行目までのところということですかね。

ありがとうございます。ほかにいかがですか。どうぞ。

【河村委員】来期の議論につなげるということになるのかもしれませんけれども,私は,この,先ほど別のところの意見でも言いましたけれども,今意見が出ました57ページの注60にある,平成3年の国会質疑における政府参考人答弁というのは,なぜ補償金制度が入ったかということの立法事実を,そのときの音楽ファン,消費者の行動についてとてもよく表していると思うのですね。要するにここの引用は,タイムシフトやプレイスシフトが含まれるかという本論における議論から,当然に不要であるとはされてないという論拠としてここに入ってきているわけですけれども,ここを見ても,基本的にプレイスシフト,タイムシフトは,損害を与えないことは分かっているのだけれども,それ以外のものがこんなにありますよねということで,そこに書かれているのは,私は本当に当時そのとおりだったと思っていますけれども,「レコード,CD,市販の録音済みテープを買うよりも安く済むから」録音すると。あと「三番目には,好きな音楽を抜き出して編集したテープを自分でつくって聞くんだと」,このような利用方法が,そういう文化があの当時あったのです。私は何度もここで言っていますけれども,だから程度問題として,これをデジタルでやられたら大変だということで補償金制度が入ったわけですが,こういう文化はほぼなくなりました。こういうことを言うと,全くなくなったわけではないとまた言われるかもしれませんが,私も全くなくなったとは言いません。ただ,程度問題としては,本当にこういう文化はなくなっています。ですから,それがきちんと裏付けられるような調査方法をとってそのことを確認する必要があります。厳密に言うと録音がまだあるではないか,録画はまだここにあるではないかという議論をやり続けているわけですけれども,程度問題として損害を与えるようなものがどの程度になったのか,立法事実とされた,ここで述べられているような時代にはどのくらいの程度の,どんな複製文化だったのかということを考えないと,いつまでもまだありますね,まだありますね,ゼロになるまで制度を機能させなければいけませんねが続くわけですけれども,それを来期からは本当にもう少し考え直して,まず補償金制度の導入された立法事実のところをきちんと見極めて,その後どのような状況の変化があったか,補償の必要性が薄い複製がどの程度からどの程度の割合になっているのかとか,そういうことを見ていく必要があります。録音のところでも,1回目のダウンロードは入らないと言われているのに混ざってしまっているような調査方法を改める試みとか,そういうことをやっていくことを来期に向けて提案したいと思います。とにかくここはとても良い,参考になる引用だと思います。私がいろいろ言うよりもここにこうやって書いていただけると,そのとき立法事実となった背景がよくわかります。その後状況は大きく変化したということは間違いないと思いますので,そこをきちんと見つめて時代に合ったクリエーターへの対価の還元,補償金以外の形でクリエーターへの対価を還元するべきだと私はずっと申しております。消費者のコンテンツ鑑賞のスタイルが変化した新しい時代のクリエーターがどうしたら対価の還元を受けられるかというのを来期以降是非やっていただきたいと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがでございますか。全体を通じてでも何か意見を言っておきたいということがございますれば。どうぞ。

【椎名委員】全体ということなので申し上げたいのですが,この私的録音・録画の問題は,以前もお話ししたかと思うのですが,平成15年ぐらいから始まりまして,押しつ押されつ,毎年毎年両論併記の報告書を重ねて,その間に権利者の失う利益というのはどんどん拡大していく一方で,議論が進まなければ権利者はどんどんどんどん不利益を被っていくばかりの議論になっています。今年も両論併記の,しかも報告ではなくまとめに終わったということに関しては,非常に大きな落胆を覚えております。

先ほども少し出てきた話ですが,河村委員のおっしゃるように,もう複製なんかありませんと,複製なんかなくなるのですと,これからは。だったらそっちを目指したらどうですか,この小委員会として。

【河村委員】そういういことは言っていません。

【椎名委員】イギリス型のその私的複製の権利制限のない世界にして,全てがライセンスと,ライセンスによって管理される世界を目指そうではないですか。それで権利者は文句は言いませんよ。だけど,複製はある程度認めろ,補償金は払わないということでずっとこの議論をしているのです。それは,一体誰が幸せになるのですかということを申し上げたいと思います。

この委員会の上位にある著作権分科会では,消費者の委員の方からも,いつまで議論をしているのだと,もういいかげん解決をしろというようなことも年頭にあったと思います。それを受けて我々は議論をしているにもかかわらず,また両論併記のまとめを出してお茶を濁すと。来年以降,様々にもう少し論点を切り分けて,もう少し具体的な成果が出るような議論を是非していただきたいというふうに思いますので,それは事務局にも強くお願いしたいと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがでございますか。世古委員,どうぞ。

【世古委員】今の椎名委員の御発言にもかぶってしまうのですけれども,思い起こせば当委員会の第1回の冒頭で,親会分科会でも長年の課題である私的録音録画補償金制度に関わる議論をしっかりと前に進めてほしいという経緯があったことを御紹介されて,このことを意識して審議を進めていく必要がありますよということを主査の方から述べられていたというふうに承知しております。しかしながらこの4年間の審議の成果として,経過報告ということにとどまったということは誠に残念だなというふうに思います。

なぜならば,2017年度の実態調査でも明らかなように,現在,政令指定されていない機器によりまして実際に私的録画が行われておりますし,それに対する適正な対価が還元されていない。今現在もその作者に還元されてないという状況で,この問題が解決しない限りこれからもこれが続いていくという切羽詰まった問題でもあるということからです。この検討というのは,これまでにない新しい制度を作りましょうというようなことではありませんで,既に存在している制度が機能不全に陥っているということなので,それを回復するために手だてを考えましょうということですので,これまでの議論を無駄にせず,次期委員会では,しっかり少しでも前進するというような議論を期待したいと思っております。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかに。どうぞ。

【高杉委員】椎名委員と世古委員と近いところはあるのですけれども,基本的に4年間のまとめが,審議経過の報告という形ではありますけれども,成果物としてできたということは一歩前進というふうに評価いたします。

今年度につきましては,あらかじめ主査の方からいろいろと論点を絞って照会があり,それに対し委員から個別に書面で意見を出したりして,かなり充実した議論ができたのではないかと思います。したがいまして,議論をすべき点については今年度で全て終わったという認識でありますし,この審議経過の報告を見ますと,録音・録画の蓋然性が高い機器でまだ政令指定されてないものを確認するということが一つと,来年度以降,汎用的な機器の取扱いをどうするか,この二つにもう絞られておりますので,来年度はそれについて結論を出す年という認識で対応をしたいというふうに考えております。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。どうぞ。

【大渕主査代理】この問題も,もう約10年ないし15年ずっとやっていて,先ほども出ていましたとおり,いまだに経過報告かというところはあるのですが,細かな点は別として,ポジティヴに考えれば,今回の報告書参考資料1の62ページの第2パラグラフと第3パラグラフ等に,当面の手当てに係る基本的な考え方が示されたと評価しています。第2パラグラフでいっている協力義務者等の位置付けというのは,私は,研究者としてはもっと大胆なものが良いのではないかと思っています。欧州型の方が先ほどあったような利用者と購入者というような細かい話にも入らなくてすむので,ストレートに支払義務者にした方が良いとは思いますが,恐らくそのような話をしていたら時間が幾らあっても足りないので,ここのところも当面の手当てということになっているかと思います。協力義務者というような現行法の骨格はそのままにして,その中でできる範囲でやるべしという法制面が第2パラグラフの話で,それとはまた少し違った別の方向から何かアプローチできないかというのが第3パラグラフの話で,第3パラグラフの方はまだ輪郭ができておりませんが,そのような二本立ての現実的な路線で今後行くということだと理解しております。私としては,そんな話ではないと言いたいところではあるのですが,このような二本立ての現実路線で行くべしという基本的方向性は定まったという意味では,これからその肉付けをしていくことが必要となります。また抽象的な話をやっても仕方がないので,現行法の枠組みの中で,先ほどあったような入るべきものが入っていなかったり,そうでないものがどうかというような洗い出し等の具体的な作業が必要になります。今までもそのような作業が期待されていたのに,実務的ないし具体的な作業が余りなされずに,抽象論,哲学論争等が多かったのですが,現実的な土俵作りがこのようにできていますので,来期以降はしっかりと,洗い出し等の具体的な作業を進めるべきときが来ているのではないかと思っております。

【末吉主査】ありがとうございます。どうぞ。

【松田委員】実は,私はこの小委員会に,来期はおりませんので,少し言い残したいと思います。

本日皆様方から出た修正の意見は,それぞれ修正の意見として残し,なおかつ,これは主査が取りまとめれば良いというふうに思います。しかし,ここまで来る間に,今回の経過についてと,昨年の土肥先生がまとめた経過についてどれほどの差があるのでしょうか。私は正直言ってがっかりしています。だけど,主査や事務局は今年1年かなり御尽力いただいて,ある程度方向性があって,途中までは今期で報告書がまとまると観測があり,皆様も同じように受けとめていたのでしょう。そのような状況は小委員会でも一時あったように思いました。ところが,あるときから,そうはいかないのだというようなムードが内外に生じてきました。私の経験からはあります。外はどこから来たかについては申し上げられませんが,どうしてそうなってしまうのかということを考えていただきたいと思います。10年以上もこういう委員会を開いて何ら成果が上がらない。

そこで提案でありますが,皆様方,同じことを御発言なのでしょうが,この報告書の中で,来期は何と何をまとめれば,報告にすれば良いのかということは絞り込んでもらいたいと思います。それは,対象機器等の範囲と支払義務の問題だろうと思います。それぐらい主査に書き込んでいただいて,それももちろん主査一任で,主査預かりでしょう。それをやっていただけないかなと思います。私の最後の意見です。

【末吉主査】ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。どうぞ。

【太佐委員】松田先生には,本当に長きにわたり,この議論に参加いただきまして,お礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。それに水を差すというつもりは毛頭ございませんけれども,少し発言というか,この場の議論のバランスをとる意味で少しコメントをさせていただければと思います。

私も本年度新任の委員としてこの議論に入りまして,一からに近い形で勉強をさせていただき,この補償金制度というものの在り方というのはどうすべきものなのかということを改めて考えた1年になりました。この審議経過のタイトルにもございますけれども,クリエーターへの適切な対価還元を目指す仕組みとして,補償金制度というのは適切なのかという視点から私なりに見たつもりでございます。補償金というのは,私的使用目的での録音・録画,ここは正確に使いたいと思いますけれども,これらの行為のうち補償すべきものがあり,その手当てをするための仕組みとして存在します。そして,補償金を権利者に届けるための仕組みとしては,これは間接的なものですので,どうしても中間の介在が多くなり,実際にクリエーターの手元に届くのは,コストの割には多くはないという印象を持っております。この小委のゴールは,補償金を増やすことそれ自体にあるわけではなく,最終的には,クリエーターにどうやれば適切な対価還元ができるのかというところにあるのだと思っておりますので,積み上げてきた歴史には敬意を表したいとは思いますけれども,そういった視点で見たときに,果たしてこの補償金制度というものが適切なのかというところは,参加する以上,改めて何度も問い直しながら議論させていただきたいと思ってございます。

特に具体的な指摘をするわけではございませんが,感想として最後に述べさせていただきます。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがですか。よろしゅうございますか。

それでは,本日の御議論を踏まえまして審議経過報告案を修正したいと思いますが,記述につきましては,主査である私に御一任いただくという形でよろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉主査】ありがとうございます。

それでは,そのように取り扱うことといたしまして,実は,2月13日が分科会でございまして,本日は道垣内分科会長がお見えですが,短い時間なので,本日頂いた御意見もできるだけのことを反映させていただきたいと思いますが,何せそこは限界があるかもしれません。その上で著作権分科会に報告を差し上げたいと思っております。

皆様,どうもありがとうございました。今期は,昨年度と同様,審議経過報告という形ではございますが,平成27年度より開始したクリエーターへの適切な対価還元に関する検討につきまして,一定の議論の整理を行うことができたのではないかと思います。その他,御質問等はよろしゅうございますね。本日はこのくらいにしたいと思います。

なお,本日は,今期最後の著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会でございますので,文化庁から一言御挨拶をお願いいたします。

【水田著作権課長】本年度の著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会を終えるに当たりまして,一言お礼を申し上げます。

本小委員会では,クリエーターへの適切な対価還元について,平成27年度より,「クリエーターへの対価還元についての現状」,「補償すべき範囲」及び「対価還元の手段」につきまして順次御検討を頂いてまいりました。本年度は,昨年度から今年度に実施しました私的録音・録画の実態調査の結果も踏まえながら,これまでの4年間の議論について,審議経過の報告として論点や考え方の整理を行っていただきました。

その結果,本小委員会では,当面の手当ての方策としまして,一つ目に,現在の補償金制度が予定している対象機器の確認が具体的に必要であるという点と,二つ目として,利用者による私的複製の動向をより適切に捕捉し得る新たな枠組みが実現できるか,この2点について引き続き検討を深めるべき論点として明示をしていただいたと考えております。

文化庁としましては,今回明示いただいた点につきまして,来年度も引き続き検討を深めていただくこととしたいと考えておりますので,関係の皆様方におきましては,議論の集約化に向けまして,是非とも御協力のほど,よろしくお願い申し上げます。

最後になりますけれども,委員の皆様方におかれましては,本年度におきましても大変活発な御議論を賜りましたことにつきまして,改めて感謝を申し上げまして,私からの挨拶とさせていただきます。誠にありがとうございました。

【末吉主査】ありがとうございました。

最後なので,私からも一言。新米の主査でいろいろ御心配,御配慮いただいたことと思います。こういう形ではございますが,年度の議論をここで閉めさせていただくことになります。

文化庁の御支援を頂いている音楽の権利情報のデータベース化という実証事業がたまたまございまして,「音楽権利情報検索ナビ」というのですけれども,是非検索を頂いて御利用いただければと思います。

皆様の御指摘のとおり,クリエーターに対する対価還元というのは大変重要な問題であり,皆様で御議論いただいている私的録音録画補償金制度と車の両輪をなすものとして私はデータベースの整備というのがあろうかと思います。許諾のところへ行くまでまだまだ道のりがあるように感じておりますけれども,少なくともインディーズを含んだクリエーターの皆様が,自分は権利者であるというふうにデータベースに名を連ねていただくということが,一つ私は大きな成果になっていくのではないかと個人的には思っている次第でございます。

本年はどうもいろいろ慎重な,あるいは明快な御発言を頂きまして,ありがとうございました。

それでは,事務局から連絡事項等をお願いいたします。

【堀内著作物流通推進室室長補佐】主査からも途中御発言いただきましたけれども,審議経過報告につきましては,2月13日に開催を予定しております著作権分科会で主査より御報告いただくことを予定しております。

以上でございます。ありがとうございました。

【末吉主査】それでは,これで著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第7回)を終わらせていただきます。本日は,どうもありがとうございました。

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