文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第1回)

日時:令和元年12月18日(水)
10:00~12:00
場所:文部科学省旧庁舎6階第2講堂

議事

  1. (1)著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会主査の選任等について【非公開】
  2. (2)著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会審議事項について
  3. (3)クリエーターへの適切な対価還元について
  4. (4)放送コンテンツの同時配信等に関する権利処理の円滑化について
  5. (5)その他

配布資料一覧

資料1
第19期著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会委員名簿(128.2KB)
資料2
小委員会の設置について(令和元年7月5日文化審議会著作権分科会決定)(61.3KB)
資料3
第19期文化審議会著作権分科会における検討課題について(令和元年7月5日文化審議会著作権分科会決定)(68.2KB)
資料4
クリエーターへの適切な対価還元に関する検討状況について(520.9KB)
資料5-1
総務省提出資料(同時配信等に伴う権利処理の円滑化のため対応が必要な課題取りまとめ(概要))(167.6KB)
資料5-2
総務省提出資料(同時配信等に伴う権利処理の円滑化のため対応が必要な課題取りまとめ(本体))(176.2KB)
資料6
コンテンツの権利情報集約化等に向けた実証事業(163KB)
資料7
音楽権利情報の一括検索サイトの第3期公開について(228.9KB)
資料8
丸田氏(株式会社テレビ東京ホールディングス法務統括局番組契約部長)発表資料(536.7KB)
資料9
梶原委員(日本放送協会知財センター長)発表資料(453.1KB)
資料10
椎名委員(公益社団法人日本芸能実演家団体協議会常務理事・実演家著作隣接権センター運営委員)発表資料(420.1KB)
資料11
高杉委員(一般社団法人日本レコード協会常務理事)発表資料(236.8KB)
資料12
長野委員(特定非営利活動法人インディペンデント・レコード協会理事長)発表資料(157KB)
資料13
仁平委員(一般社団法人日本ネットクリエイター協会専務理事)発表資料(210KB)
参考資料1
文化審議会関係法令等(150.7KB)
参考資料2
第19期文化審議会著作権分科会委員名簿(112.6KB)
参考資料3
文化審議会著作権分科会(第19期第1回)における意見の概要(抜粋)(107KB)
参考資料4
「知的財産推進計画2019」等の政府計画(抜粋)(490.3KB)
出席者名簿(60.6KB)

議事内容

  • ○今期の文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会委員を事務局より紹介した。
  • ○本小委員会の主査の選任が行われ,末吉委員が主査に決定した。
  • ○主査代理について,末吉主査より大渕委員が主査代理に指名された。
  • ○会議の公開については運営規則等の確認が行われた。

※以上については,「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」(令和元年七月五日文化審議会著作権分科会決定)1.(1)の規定に基づき,議事の内容を非公開とする。

【末吉主査】傍聴者の方々には,お待たせをいたしました。傍聴者の方々が入場されましたので,改めて御紹介をさせていただきます。先ほど主査の選出が行われまして,主査に私,末吉が,また,私から主査代理に大渕委員を指名いたしましたので,御報告をいたします。

本日は,著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の今期第1回となりますので,文化庁から一言御挨拶を頂きたいと思います。

なお,カメラ撮りにつきましては,文化庁の御挨拶までとさせていただきますので,御了承願います。

それでは,審議官,お願いいたします。

【森文化庁審議官】失礼いたします。文化庁審議官の森でございます。

文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の開催に当たりまして,一言御挨拶を申し上げたいと存じます。

まず,皆様方におかれましては,大変御多用の中,この小委員会委員をお引き受けいただきまして誠にありがとうございます。御礼申し上げます。

この小委員会におきましては,平成27年度より昨年度まで,クリエーターへの適切な対価還元について,順次御検討を進めてきていただいたわけでございますけれども,これまで4年間の審議の経過を御報告いただいたところでございます。

この問題は,関係者の間での意見調整に時間を要している難しい課題でございますけれども,できるだけ速やかに方向性を取りまとめることができるよう,引き続き,皆様方のお力添えをよろしくお願い申し上げます。

また,本年度は,この小委員会の新たな審議事項といたしまして,放送のインターネット同時配信に関する権利処理の円滑化について御議論いただくということが著作権分科会において決定をされているところでございます。

本件につきましては,情報通信技術の発展と,著作物の創作・流通や利用環境の急速な変化を踏まえて,放送コンテンツの適切な権利保護,そして円滑な流通の推進という要請に的確に応えていくことが期待されているものと承知をしております。

委員の皆様方におかれましては,それぞれの御専門の立場から精力的な御議論を賜りますようお願い申し上げまして,私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【末吉主査】ありがとうございました。

それでは,次に,議事の(2)に入りたいと思います。今期の小委員会の審議事項につきまして,去る7月5日に開催されました著作権分科会における意見の状況も含めまして,事務局より説明をお願いいたします。

【日比著作物流通推進室長】それでは,説明を申し上げます。資料2を御覧ください。今年の7月に開催されました著作権分科会で決定された小委員会の設置についてでございます。1番の設置の趣旨の(2)に本小委員会が位置付けられておりまして,2番,審議事項の(2)番,この著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議事項といたしましては,クリエーターへの適切な対価還元及び権利処理の円滑化等に関することとされております。

資料3を御覧ください。同じ著作権分科会において議論されました本期分科会における主な検討課題についてでございます。この内,審議事項丸2につきましてが,本小委員会に該当する部分でございまして,一つ目の丸,私的録音録画補償金制度の見直しや当該制度に代わる新たな仕組みの導入について,二つ目の丸が,放送のインターネット上での同時配信等に係る権利処理の円滑化についてでございます。

参考資料の3を御覧いただきたいと思います。先ほど申し上げました本年7月の著作権分科会におきまして,本小委員会に関係する議題に関する意見が出されておりますので,その概要を簡単に御紹介いたします。参考資料3の1ページ目,まずクリエーターへの適切な対価還元についてでございますが,一つ目の丸,5月にCISACの決議が行われたが,日本では私的録音録画補償金制度が適用される機器・媒体が古いまま改定されておらず,機能していないとの御意見。二つ目の丸で丸1,現行制度で対象となることが予定されている録音録画専用機器の漏れを確認することと,丸2,パソコンやスマホでの利用実態に対応することを分けて議論するのが今期のステージ。補償金制度をクリエイション・エコシステムとして再構築できるのかについて議論したいという御意見。一つ飛びまして四つ目の丸ですが,4K放送,8K放送時代になると,録画することでかなり高質な画像が残ることになり,映像ソフト業界・パッケージ業界にとっては死活問題との御意見。次の丸ですけれども,この補償金制度を早く決着させるべきという御指摘はもっともということで,2行飛びますが,著作権の専門の方々で具体的なアイデアを出していただくとよいのではないかという御意見がございました。

これに対応して,先ほど御紹介いたしました,委員の皆様の机上に配付いたしました分科会委員でいらっしゃる田村委員の御意見を本日配付しております。

2ページ目に参りまして,一つ目の丸ですが,1ミリも進まずに十数年過ぎている状態にある中でという中で,2行ほど飛びますけれども,全員が得をするように利益調整をするというのが補償金制度の本質であり,これ自体こそが妙案であるという御意見がございました。次の丸ですけれども,3行目あたりからですが,著作権が使用のたびではなく複製のたびに権利を及ぼすという制度が合理的であった理由は,使用ごとに権利を及ぼす制度が非現実的である半面,複製であれば,複製がそれほど普及していなかったために,そこに権利を及ぼすことが実効的であったという御説明と,最後の3行あたりですけれども,今の時点では録音録画機器・媒体を作るという行為を多くの人が自由に行える状況にはなっていないことも踏まえ,そういったポイントに着目して制度を作っていく発想の方がよいのではないかという御意見もございました。

次の大きな二つ目のテーマであります放送のインターネット上での同時配信等に係る権利処理の円滑化に関する御意見でございます。2ページ目の一番下の丸ですけれども,NHKが本格的なテレビ番組の同時配信を今年度中にも開始予定であり,権利処理の円滑化は喫緊の課題であるということと,3ページに移りまして,権利保護と利用円滑化のバランスを図ることが重要。また我が国の著作隣接権制度は,同時配信等に強い許諾権を与える一方で,レコードの演奏・伝達については無権利とするなどアンバランスな状態という御意見。次の丸ですけれども,レコード演奏権・伝達権については,日EU経済連携協定の中でも協議事項とされているとの御意見。次の丸ですが,NHKが開始する常時同時配信に関する課題を優先的に議論すべきであるという御意見。最後の丸ですけれども,同時配信の権利処理の円滑化は,知財計画にも規制改革推進会議の答申にも,今年度中に結論を得るとあるため議論が急ぐと。座組みやメンバー構成等については配慮いただきたいという御意見がございました。

これに関連いたしまして,次の参考資料4を御覧いただきたいと思います。政府における関係する計画での記載事項について簡単に御紹介いたします。まず参考資料4の1ページ目ですけれども,知的財産推進計画2019におきましては,4番の(2)丸2というところで,クリエイション・エコシステムの構築とございまして,現状と課題の説明の中の2段落目の3行目あたりから,質の高いコンテンツが持続的に生み出され続けるためには,コンテンツの利用に応じ,クリエーターが適切な評価や収益を得られ,それを基に新たな創作活動を行うことで全体としてコンテンツ市場拡大へとつながるようクリエイション・エコシステムの構築が必要であるという記載がある中で,次の2ページ目の施策の方向性というとこで具体策を記載しておりますが,一つ目のポツにつきましては,コンテンツの利活用促進ということで,音楽分野における権利情報を集約したデータベースの整備について記載がございますし,二つ目のポツにおきまして,本小委員会の議事でもございます同時配信等に係る著作隣接権の取扱いなど制度改正を含めた権利処理の円滑化について,関係者の意向を十分に踏まえつつ,運用面の改善を着実に進めるとともに,制度の在り方について年度内に早期に関係省庁で具体的な検討作業を開始し,必要に応じた見直しを本年度中に行うとございます。

また次のポツで,クリエーターへの適切な対価還元ということで,私的録音録画補償金制度の見直しや当該制度の係る新たな仕組みの導入について検討を進め,結論を経て必要な措置を講ずるという記載がございます。

この同じ資料,飛んでいただいて7ページ目,最後のページを御覧ください。平成30年,昨年の6月に閣議決定をされました規制改革実施計画の抜粋でございまして,この中でコンテンツの流通の推進という項目の中に,真ん中の規制改革の内容の欄ですけれども,下の方にbとございます。同時配信に係る著作権等処理の円滑化に関する記述が,同様のものがここにございます。

また,それを受けまして,その前のページ6ページで,本年の6月に出されました規制改革推進会議の第5次答申におきましても,一番下の4行でございますが,同じように同時配信等に関する隣接権の取扱いについて記載がございまして,2行目後半のところからですけれども,制度の在り方についての必要に応じた見直しを本年度中に行うため,年度内早期に関係省庁で開始される具体的な検討作業の状況について注視していくというふうに記載がされております。

説明は以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございました。

ただいまの説明につきまして,御質問等ございましたらどうぞ。いかがでしょうか。この点はよろしいですか。

ありがとうございます。

それでは,議事の(3)クリエーターへの適切な対価還元についてに入りたいと思います。本件の現状につきまして,事務局より御報告をお願いします。

【日比著作物流通推進室長】それでは,資料4に基づきまして御説明申し上げます。

クリエーターへの適切な対価還元に関する検討状況について御説明申し上げます。まず1番,文化審議会における審議の経過等についてですが,一つ目の丸です。この本小委員会におきましては,平成27年度から昨年度に掛けて,ここに記載の大きく三つの論点,現状と補償すべき範囲の検討,それから対価還元の手段について順次検討を行い,その審議の経過を今年2月の文化審議会著作権分科会に報告をしていただいたところでございます。その報告の全体につきましては,先ほど御紹介いたしました,机上に緑色の紙ファイルを御用意しておりますので,適宜御参照ください。

二つ目の丸ですけれども,これを踏まえ,今年度は,本小委員会における検討等に資するよう,昨年度の報告において,現在の実態を踏まえて再確認していく必要があるとされていることについて,文化庁におきまして,私的録音録画に使用される機器等に関する実態調査を行ったところでございます。

1枚めくっていただいて,別紙を御覧ください。こちらは,今申し上げました審議経過報告の中の59ページをそのまま抜粋したものでございまして,5番の対価還元の手段の1ポツ,当面の手当てに係る基本的な考え方の中で,二つ目の段落ですけれども,補償の必要がある私的録音録画について,当面の手当てとして,補償金制度について現行の運用を前提にした手当てを行う場合というときに,3段目の段落ですが,「この場合には」ということで,私的録音録画の蓋然性の高い機器等として具体的に何が該当するかについて,現在の実態を踏まえ再確認していく必要があるという記載がございます。

1ページに戻っていただきまして,このことを踏まえまして,今後の検討等に資するよう文化庁においては調査を行ったところでございます。

また,2ポツを御覧ください。知的財産推進計画2019と関係府省庁による検討でございます。御説明申し上げましたように,文化審議会におきましては,長年にわたり検討を続けていただいておりますが,関係当事者間の意見の隔たりが大きく,結論が見いだせていない状況にございます。このような中,先ほど御説明申し上げたように,知財計画2019におきまして,その工程表において,今年度は,関係省庁で検討を進め,結論を経て,必要な措置を講じるとされてございます。

これを受けまして,最後の丸ですけれども,関係府省庁,これは,その上に抜粋をしております文部科学省,内閣府,総務省,経済産業省でございますが,この4省で現状の認識,補償が必要な私的録音録画の範囲の考え方,コピーコントロール技術との関係等に関して,具体的な事実関係等の整理を含め,対価還元の在り方について議論を行っているところでございます。

2ページ目を御覧ください。3ポツ,今後の進め方(案)でございます。このように,本件については意見の隔たりの大きい当事者間での検討を再開する前に,今御説明申し上げました関係府省庁間による議論の整理を確認することが適切であることから,当該整理が整い次第,本小委員会に御報告の上,意見交換を行っていただくということとしてはどうかと考えております。

また二つ目の丸ですけれども,先ほど御説明いたしました文化庁による機器等に関する実態調査については,現在,集計・分析をしている最中でございまして,これは整い次第,本小委員会に御報告の上,意見交換を行っていただくこととしたいと思っております。

最後に参考として,文化庁の実態調査の概要につきまして簡単に触れております。

説明は以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございました。

それでは,ただいまの御説明につきまして,御意見,御質問等はいかがでございましょうか。

どうぞ。

【太佐委員】太佐でございます。

1点だけ,コメントと質問といいますか,確認をさせていただきたいと思います。資料4の項目1.の二つ目の丸のところで,「私的録音録画に使用される機器等に関する実態調査を行った」ということが書かれてございます。御承知のとおり,この小委員会では2017年度に録音,2018年度に録画の実態調査を既に実施しているにも関わらず,今回更に実施しましたということのようですが,この小委員会では,事前にこういう質問項目ですよという照会がなされて,その内容を我々が認識した上で調査が実施されてきたと思うんですが,今回クローズドな協議の場で事前照会なしに調査が実施されているということに関しては,個人的には若干残念だなとは思っております。調査は既に実施済みだということですので,要望としては,できるだけフェアで客観的な議論に資するものとして活用いただきたいなということです。これが非常に重要だろうと我々が考えているのは,項目2.の二つ目の丸のところ,関係府省庁協議で,「現状の認識」とかですね,「具体的な事実関係等の整理」というものの基礎として使われるデータに多分なるんだろうと思うからです。かなり重要な内容を含んでいると思いますので,協議の中で慎重に扱っていただきたいなと思っております。

関連する質問として,2ページ目の項目3.で,二つ丸があって,一つ目が,「関係府省庁間による議論の整理」がなされた段階で,この小委員会に報告の上,意見交換というお話と,二つ目が,先ほどの「機器等に関する実態調査」の内容について報告の上,意見交換というお話の2点が書かれているんですが,これらの報告は別々になされるということでしょうか。それとも実態調査がなされたものを関係府省庁協議で検討した結果,その報告の中の一部としてといいますか,それも踏まえた形で最終的には報告されるということでしょうか。ちょっとその点だけ確認させていただきたいなと思います。

【末吉主査】じゃあ,事務局からお願いします。

【日比著作物流通推進室長】御質問にお答えしたいと思います。1点目の御指摘の文化庁で行っている実態調査でございますが,御意見を頂きましたように,この調査というのは,今後のこの審議会における検討に資するという部分もございますし,それから御説明した関係府省庁による検討にも生かされていくべきものと考えておりまして,今回は文化庁の判断で取り急ぎ行ったものでございます。御説明申し上げましたように,その調査の結果につきましては,調査項目の詳細も含めまして,集計・分析ができた段階で,きちんとこの小委員会で御報告をしたいと思っております。

また2点目の報告のタイミングについてでございますけれども,これは今後の関係府省庁間の議論がいつ整理をされるかということと,それから調査の結果の集計・分析はいつまとまるかというタイミングとの兼ね合いでございまして,ちょっと現時点では一緒にお示しできるか,別々になるかというのは明確に決まっていないところでございますが,いずれにつきましても,できるだけ早く,この小委員会に御報告したいと思っております。

以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございます。

恐らく太佐委員の御指摘からすると,両方そろわないと,ここでの議論ができないと言われちゃうと遅くなっちゃうかもしれませんねと。仮に調査が先に,調査結果が出た段階で,ここで御説明いただいたりすれば,その議論は一応できるということを含めて言われたのかなと思うので,できるだけ早く,この場に調査結果などを,調査結果が多分先ですよね。

【日比著作物流通推進室長】調査自体は今年の夏に行っておりますので,できる限り早くと考えておりまして,どちらが先になるか,同時になるかというのは,ちょっと現時点では見通せない状況でございます。

【末吉主査】ありがとうございます。

いずれにしても結果が出次第,この2項目の結果が出次第,そろわなくてもこの場に出していただくという方向で御検討いただきたいと思います。

ほかにいかがでございましょうか。この点はよろしゅうございますか。

それでは,事務局から御説明いただいたとおり今後進めていただきたいと思いますので,よろしくお願いをしたいと思います。

それでは,(4)の議題の方に移りたいと思います。放送コンテンツの同時配信等に関する権利処理の円滑化についてであります。本件につきましては,規制改革推進に関する第5次答申を受けた知的財産推進計画2019におきまして,関係者の意向を踏まえつつ,運用面の改善を着実に進めるとともに,制度の在り方について年度内早期に関係省庁で具体的な検討作業を開始し,必要に応じた見直しを本年度中に行うと,このようにされているところでございます。

検討に当たっては,放送業を所管する総務省において,業界の意見集約や課題の整理等を行った上で,文化庁で検討を行うこととされているところ,先般,総務省においての検討結果が取りまとめられておりますので,まず,その内容につきまして,総務省情報流通行政局情報流通作品振興課,三島課長様より御説明お願いします。

【三島情報通信作品振興課長】総務省情報通信作品振興課長の三島と申します。どうも本日は,よろしくお願いいたします。

お手元の資料5-1に沿って御説明させていただきたいと思いますので,1ページ目をおめくりください。総務省における検討についてということでございますけれども,先ほど来御説明を頂いておりますとおり,規制改革実施計画などにおきまして,ネット同時配信等に係る権利処理の円滑化について総務省が課題を整理し,文化庁が検討状況を踏まえつつ著作権制度について必要に応じた見直しを行うこととされております。

このため,総務省では平成30年12月から,有識者で構成される情報流通行政局長の勉強会,非公開の勉強会でございますが,ネット同時配信に係る権利処理に関する勉強会というものを開催しておりまして,放送事業者へのヒアリングを通じて当該課題を取りまとめたところでございます。実際には平成30年12月から開催いたしまして,夏までの間は制度の状況でございますとか,あるいは権利者の皆様から実情等をお伺いした上で,夏に放送事業者各社へのヒアリングをさせていただいております。

当該課題について文化審議会,こちらの方での検討をしていただくために,資料5-2としてお付けしておりますが,令和元年11月15日に,「同時配信等に伴う権利処理の円滑化のため対応が必要な課題 取りまとめ」を文化庁に提出させていただいております。

下の段,ネット同時配信に係る権利処理に関する勉強会の概要として,どのような勉強会であるのかということを御紹介させていただいておりますが,主な研究項目につきましては,日本及び諸外国におけるネット同時配信等に係る制度ですとか,権利処理の手続の実態などを勉強しますとともに,今回のようなネット同時配信に係る迅速かつ円滑な権利処理の実現に向けて必要な対応策の検討などが主なテーマとなっております。

構成員については,掲載させていただいておりますが,座長は,本日も御参加いただいております内山先生にお願いをしております。

検討状況について,下段に3回分だけ記載させていただいておりますが,全体としては7回ほど開催させていただいておりまして,8月にNHK様,それから10月に民放在京キー局5社様にヒアリングをした上で,11月11日に取りまとめを行ったというのが経緯でございます。

1枚おめくりいただきまして,2ページを御覧ください。取りまとめの概要の方を御紹介させていただきます。今回ヒアリングをして放送業界の直面する課題ということで取りまとめをするということだったんですけれども,実際に同時配信について試行的に取り組んでおられて,現実の権利処理についての課題について,いろいろ問題意識を具体的にお持ちの各社にヒアリングをするということで,NHK及び民放在京キー局5社へのヒアリングをするという形をとらせていただきました。

取りまとめの概要につきましては,下のとおりになっておりますけれども,取りまとめの前提といたしまして,少し薄い明朝(みんちょう)体で囲みの一番下に書いてございます。まず①といたしまして,民放各社の同時配信等の実施については,権利処理上の課題等の議論とは別に,各社が個別に経営判断により決定すべきものでございまして,実施云々(うんぬん)の話と制度的な話とは別であるということがまず前提でございます。

それから②でございますが,今回の勉強会では,実際の権利処理に当たっての手数料の負担などについては議論しておりませんので,飽くまでも同時配信等を行うに当たっての放送事業者にとっての手続面での負担という点に限定をして議論の取りまとめをしております。権利者に支払うべき使用料等の額や支払の在り方などは,別の場できちんとした検討が必要であるということを前提として取りまとめをさせていただいておりますので,その点,御了承ください。

二つ目の丸を御覧いただきますと,放送事業者としましては,同時配信等を円滑に実施するためには,もともと視聴者の皆様の利便,選択肢の機会を広げ,利便に資するために行うというサービスの目的を考えますと,なるべく配信に当たって品質を下げる,放送よりもレベルを下げるといったような形の差し替えとかふたかぶせみたいなものはなるべく少ない形で,よいものを提供したいとのお考えでした。また,サービスを実際に試行されているものの,どのようなサービスになるのかという実施の取組が始まっていない中での検討ということもございますので,余り制度的なところで先に制約をいろいろ設けるというよりは,同時配信等の範囲の検討に当たっても,いろいろな幅,また実情に関して柔軟な検討をお願いしたいという気持ちをお持ちでございました。そのような中で,いろいろ試行してきたときに,一部の課題だけを解決するのではなく,下に挙げさせていただいたような全ての課題への対応と改善が,時間の制約もある同時配信等というものを実施していく中では必要であると考えておられるということで取りまとめをさせていただいております。

なお,これらの課題には,放送事業者の要望によりまして,著作権法上の課題にとどまらず,運用上の課題についても同時配信等を行うに当たってはどのぐらい課題があるのかということを御理解いただくために,全体として発生するものを含ませていただく形で整理させていただいておりますので,その点も御了承ください。

具体的には下の1,2,3で整理させていただいておりますが,詳細につきましては,本日この後,民放在京キー局を代表してテレビ東京様,またNHK様からのヒアリングがあると伺っておりますので,詳しくはそちらの方で御確認いただければと思いますが,整理に当たっての考え方といたしましては,まず1点目として放送と別個に配信の許諾を得る必要があり手続的な負担が生じるものという形で整理させていただいております。(1)につきましては,団体により,ある程度,手続の負担の軽減がされることがあるということは分かっていますが,アウトサイダーとの権利処理みたいなものは課題になる分野でございますとか,(2)につきましては,基本的には個別交渉となる分野であって,時間の効率化が困難であるものということで大きく二つに分けさせていただいて整理をしております。

2点目でございますけれども,放送では不要な許諾が配信に必要となり手続的に困難が発生するものとして,再放送番組について挙げさせていただいております。

3点目でございますが,著作権法の権利制限規定が放送のみに適用されるために問題が生じるものといたしまして,営利を目的としない公の伝達のほか,国会中継などを例とする政治上の演説等の利用について挙げさせていただいております。

私の御説明としては以上となりますが,資料5-1のほかに資料の5-2が実際に文化庁に提出したものとなっておりまして,1枚目が,取りまとめに当たっての総務省の考え方でございます。おめくりいただきまして別紙は,各社の実際の意見として整理させていただいたものです。後ほど御覧いただければと思います。

以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございました。

ただいまの御説明につきましての御質問等につきましては,恐縮ながら,この後の意見交換の際に,いろいろこれからヒアリングを更に重ねますので,その後の意見交換の際にお願いをしたいと思います。

総務省の勉強会では,放送コンテンツの同時配信等の権利処理手続において発生している多様な課題につきまして整理が行われておりまして,いずれも重要なものではありますが,先ほどの総務省からの御説明にもありましたとおり,規制改革推進会議での議論や知的財産推進計画等を踏まえますと,まずは音楽分野,とりわけ実演・レコードに関する権利処理の円滑化について優先的に御議論いただく必要があるのかと思われます。

本日は,まずは運用面の改善につきまして,事務局よりコンテンツの権利情報の集約化に関する取組につきまして御発表いただいた後,関係団体・事業者からのヒアリングを行いまして,その後,質疑応答,意見交換を行いたいと思います。

それでは,事務局より御説明をお願いいたします。

【日比著作物流通推進室長】それでは,資料6と7に基づきまして御説明申し上げます。

まず資料6を御覧ください。コンテンツの権利情報集約化等に向けた実証事業でございます。文化庁におきましては,平成29年度から,音楽著作物に係る権利情報を集約したデータベースの構築に向けた実証事業に取り組んでおります。

資料7の2ページ目を御覧いただけますでしょうか。本事業では,権利情報集約化等協議会を設置し,末吉委員に座長を務めていただくとともに,構成員として,ここに御出席の日本音楽著作権協会,日本レコード協会,日本芸能実演家団体協議会,インディペンデント・レコード協会や日本ネットクリエーター協会にも御参加,御協力を頂いているところでございます。

資料6に戻っていただきまして,右下にありますとおり,初年度29年度におきましては,主にCDの楽曲を中心に集約を行い,音楽情報検索ナビを試験公開として,約1か月間,公開をいたしました。

翌年度におきましては,CDの権利情報の追加に加えまして,新たに配信音源を追加し,前年度の521万曲から651万曲に収録数を増加させました。

3年目となる本年度におきましては,従来のメジャーやインディーズの楽曲だけでなく,これまで実態が把握できていないネットクリエーター等の個人クリエーターの権利情報も一部集約し,現時点でCDは628万曲,配信音源は257万曲の合計885万曲を集約しております。また本年度は検索ナビの公開期間を2か月に延長し,公開期間中に権利情報の追加更新も実施する予定でございます。

さらに,これまで3年間の事業の成果を基に,データベースの自走化の担い手となる運営主体について検討を行い,結論を得る予定としております。

本事業は,今年度が最終年度となりますが,今後も著作権利用の促進に必要な施策を行っていきたいと考えております。

御説明は以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございました。

1点,資料6にありますとおり,この実証実験,今,公開中でございますので,できれば1回アクセスをしていただけますと有り難いです。

ただいまの御説明につきましても,御質問等がある場合につきましては,この後の意見交換の際にお願いをしたいと思います。

続きまして,同時配信に係る著作隣接権の在り方につきまして,梶原委員,椎名委員,高杉委員,長野委員,仁平委員の各委員より,それぞれ団体としての御意見について御発表をお願いしたいと思います。

また在京民放局,キー局5社のお立場から御発表いただくために,株式会社テレビ東京ホールディングスの丸田様にもお越しいただいております。

進行の都合上,御質問等がある場合には,発表後の意見交換の際にまとめてお願いをしたいと思います。

それでは,まず,株式会社テレビ東京ホールディングス法務統括局番組契約部長の丸田様,お願いをいたします。

【丸田氏((株)テレビ東京ホールディングス)】テレビ東京ホールディングスの丸田でございます。本日は,在京民放5社を代表して,私の方から放送番組の同時配信の権利処理に関する課題について御説明を申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

資料は,この8のものを使わせていただきます。

最初にお断りをしておきますが,私ども在京民放テレビ5社を含む多くのテレビ社は,NHKさんとは異なっていて,同時配信は研究中・実験中の段階であって,実施の有無については,いまだ判断をしておりません。実施に際しては,サービスを行うエリアの問題や事業性の確保など,整理をしなければいけない課題が権利処理のほかにも複数ございます。従いまして本日の説明は,同時配信の実施を前提としたものではなく,いざ同時配信を始めるとなった際に,障害となり得る権利処理の課題について,権利の担当者の立場として現時点での考えを述べさせていただくというスタンスでありますので,その点,御承知おきください。

その上で同時配信における権利処理について申し上げますと,私ども在京民放5社としましては,現状,大変多くの課題があると考えております。それらの課題が生じる根源的な理由は,放送と配信は異なる権利として扱われているということに起因していると捉えております。放送時に同時配信も併せて許諾も取ればいいのではないかとお思いになる方もいらっしゃるかもしれませんが,権利処理はそう単純ではありません。私ども放送局は,楽曲,レコード,小説,脚本,写真,絵画,映像素材,実演等,非常に多岐にわたる素材,権利物を大量に利用して日々の番組を制作・放送しています。

3ページの方に,同時配信において権利処理が必要となる代表的な分野を挙げさせていただいておりますが,分野によって権利者団体の皆様から包括的に許諾が頂けるケース,頂けないケースがあり,また権利処理のやり方がそれぞれ異なります。

まず(1)の文芸について申し上げますと,ドラマ等の原作では日本文藝家協会さんという管理団体が存在しますが,原作者の方から委任を受けている割合が低く,現在の人気作家の多くは出版社若しくは自己管理となるため,個別に許諾交渉が必要となります。一方,脚本については,日本脚本家連盟さんと日本シナリオ作家協会さんという団体が存在していて,比較的脚本家の方々が組合員になられている割合が高いです。しかしこの両団体は,一次の放送を超えた利用については全て団体に信託されているということを基本の考え方としています。従いまして,同時配信を実施する場合には,放送は脚本家本人と交渉,同時配信は権利者団体と交渉と,別々の権利処理を行う必要が生じます。

次に,作詞・作曲等の(2)音楽著作権についてですが,こちらは団体で管理している割合が非常に高く,放送においてはゲーム音楽とかラジオ体操など,ごく一部の楽曲を除いて各団体との包括処理でカバーができております。ところが楽曲は,演奏,放送,映画,ビデオグラム,配信というように細かく支分権ごとに管理が分かれています。放送権を管理しているのがJASRACさんの場合でも配信はNexToneさんが管理している,あるいは個人が管理しているというケースが多々ございます。そのため放送では事前に楽曲の権利情報を確認することはまれですが,配信では1曲ごとに権利情報を確認する必要が生じます。大体2時間のバラエティー番組では200曲近い楽曲を使用することがありますが,これら200曲全てを事前にチェックして,団体が管理していない場合は個別に許諾を取り,許諾が得られない場合は差し替えやミュートの処理を行うという作業が発生します。またこれは同時配信のやり方にも関わってくると思いますが,洋楽曲では,放送には不要ないわゆるシンクロ権の処理が必要なケースがあり,これも1曲ごとに権利情報を調べ,サブ出版社を特定し,JASRACさん所定のリストと照合するという大変手間の掛かる作業が発生します。

それから(3)番のレコードにおいてですが,こちらも放送とは異なり,配信では権利者から許諾を得る必要があるため,レコード協会さんとネット配信について包括契約を交わしていた場合でも,委任外のレコードでは別途の権利処理が生じます。またレコード協会さんの委任者リストはPDFのデータで頂けますが,レコード単位ではなく会社単位となっているために確認・照合の作業に大変な労力と時間を要します。私ども放送局は,年間20万曲を超える楽曲を使用していますが,現状の体制とフローにおいて,同時配信に当たって,放送前に1曲ずつ権利情報を確認し,許諾交渉を行い,NGの場合は差し替えやミュート処理を施すという一連の作業を果たして実現できるのか。現時点ではイメージが全く湧かないというのが率直なところです。

更にレコードについて言えば,異時のオンデマンド配信の場合は,レコード実演も含めてレコード協会さんを窓口として許諾を頂いておりますが,同時配信では芸団協CPRAさんにも許諾を得る必要があると伺っておりまして,ちょっと権利の所在が私どもとしては分かりかねる状況がございます。また芸団協CPRAさんの委任状況とか委任範囲については公開されているデータがなく,調べる方法がよく分からないという懸念点もございます。

次に,(4)番の映像実演に参りますが,映像実演についてはaRmaさんを通じて放送番組の二次利用の権利処理を行うことが可能ですが,団体非加盟の方々も大変多く,その場合は個別交渉となります。一部の事務所さんは,タレントさんの肖像の扱いに大変慎重なために,なかなかネット配信の許諾を頂けない場合もございます。そうすると該当する出演者さんの登場シーンはふたの対応をとらざるを得ません。しかし実演家さんの場合は,そうなると番組として成立しないために,番組全体の配信を諦めるというケースが起こり得ます。

また,これは音楽番組に多いのですが,レコード会社さんと実演家さんとの間で専属契約というのを取り交わされていて,配信に当たっては当該レコード会社さんからアーティストの歌唱・演奏シーンに対して専属解放の申請と申請に伴う対価を求められるということが頻繁に起こっています。契約当事者にないテレビ局の方に対価を請求する根拠というのは不明確ですが,支払に応じないともめることが大変多いため,各社の見逃し配信とか有料配信においても現状,音楽番組はほとんどラインナップに上がっていません。

更に深刻なのが,外部から調達する(5)借用素材の扱いです。放送では,映画やプロモーションビデオの映像,新聞・雑誌の記事,写真,絵画,イラスト等様々な素材を使用して番組を制作しておりますが,これらはいずれも集中管理を行う大きな団体さんが存在しないため,1件1件個別に許諾を得て対価の交渉を行わなければいけません。許諾が得られない場合や条件が折り合わない場合には,素材単位,コーナー単位でふた対応が発生します。特に報道情報系の生放送番組では,第三者からの借用映像というのを非常に多く使うんですが,短い時間で許諾や対価の交渉を行うというのは困難です。仮に生放送番組の中でふた対応を行う場合は,放送事故にもつながるリスクをはらんでいます。

次に,(6)放送権購入番組の課題に移ります。スポーツやイベントでは契約によって主催者等が中継権・放映権を設定していて,配信に当たっては放送とは別途の許諾を取らなければいけません。放送と配信では権利者が異なっていることもあり,また配信権の権利を既に第三者に許諾している場合には,同時配信の権利を取得することは不可能です。スポーツ中継では,番組全体が配信できないということが高い確率で起こり得ますし,ニュース番組のスポーツコーナーでは,ふただらけになる可能性があります。外部の配給会社等から購入する映画や外国ドラマも同様の課題を抱えています。

こうして見ていきますと,現行の法制度及び運用の下では,同時配信には余りにも多くの課題があり,映像も音声もふたや差し替えの処理をせざるを得ないというのが現状でございます。特に生放送では,差し替えの対応が困難なため,NG素材については生放送中にふたをすることにならざるを得ません。

私ども放送局としましては,放送から著しくクオリティーの劣るふただらけのコンテンツを配信することをよしとは思っておりませんし,何より視聴者のお立場に立った場合に,放送に大きく劣後する同時配信のコンテンツに,果たして御満足いただけるのか疑問であります。

このほかにもCMの問題,権利処理に係る労力の問題,また何をもって同時配信と捉えるのかといった同時配信の定義の問題など多くの課題が山積しております。

私ども在京民放テレビ5社を含む多くのテレビ社は,同時配信の実施についていまだ経営判断をいたしておりませんが,法改正等の議論につきましては,将来的な事業性も御考慮いただき,放送事業者に過度な制約が掛かることのないように,極力柔軟かつ慎重に御検討いただきたいと切にお願い申し上げます。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございました。

それでは,梶原委員,お願いします。

【梶原委員】NHKの梶原でございます。本日は,プレゼンの機会を頂きありがとうございます。

資料9の放送番組の同時配信に当たっての著作権法上の課題について資料に沿ってお話をしたいと思います。

NHKとしましては,10年来,この同時配信の権利処理の円滑化については文化庁さん等に御要望してまいりましたので,ようやくここまで来たという感想を持っております。

では,2ページを開いていただけますでしょうか。NHKの要望についてですけれども,著作権法における放送の定義を見直し,放送と同時のインターネット配信については放送とみなすよう,著作権法の改正をこれまで要望してまいりました。日本の著作権法では,放送では許諾が要らないのに,それを同時にインターネットに配信すると許諾が必要になるといったケースがありますが,どうして伝送路の違いで取扱いを変えなければいけないのか,その理由がよく分からないところでございます。著作権法でも放送の定義は,同一内容の送信が同時に受信されることを目的とする送信となっています。無線か有線かの違いはあっても,一般的な感覚からすると,同時配信というのは放送の定義に合致するものではないかと考えております。

では,3ページですけれども,同時配信の著作権法の課題ということで,放送に関係する条文を挙げています。これらの条文には同時配信は規定されていませんので,同時配信に当たっては許諾が必要となります。このように放送と同時配信とは異なる扱いとなっているため,権利処理を行う上での支障となっています。ただ,本日は,時間の関係もあり,特に実務上,権利処理が難しい,あるいは困難といったような条文について,次のページから御説明いたします。

では,4ページを開いていただけますでしょうか。まず商業用レコード,市販CDの使用についてです。商業用レコードを放送で使用する場合,レコード製作者と実演家に使用料を支払えばよいのですけれども,同時配信の場合は許諾が必要となってきます。現在,NHKでは権利者団体との間で包括許諾契約を交わしています。しかし管理外のレコードを使用する場合は,個別に許諾を得ることが必要となってきます。アウトサイダーの問題だと言われています。具体的に見ていくと,アウトサイダーかどうかの確認が必要なわけですけれども,先ほど民放さんの方からありましたが,NHKの場合は地上波テレビ放送だけでも年間20万件ほどのレコードを使用しています。ですので,その確認作業は大変ですし,その前提としてデータベースの充実が図られていなければなりません。

次に,アウトサイダーだと判明しても,海外だと許諾を得るのは実質的に不可能です。レコード協会さんも集中管理を進めていらっしゃると思いますけれども,やはりこの課題は残るのではないかと思います。更に申し上げると,権利者団体との間で包括許諾契約を交わしていますので,別途アウトサイダーから許諾を得て使用料を支払ってまで使用するということは余り考えられません。つまりアウトサイダーのレコードを聞く機会が失われてしまうということになるのではないかと思います。権利情報の集約化を進めることは本当に大事だと思いますけれども,これがアウトサイダーの問題の解決になるといった御意見もありますが,これまでの放送と同様にアウトサイダーのレコードも放送番組の同時配信でも使用できることが文化の発展に寄与して,アウトサイダーの問題の解決になるんじゃないかと考えています。そのためには何らかの制度的な対応が,ここの部分については必要だと思っています。

次に,5ページです。実演家が出演した番組のリピート放送についてです。条文では,放送のための固定物等の放送ということですけれども,実演を固定した放送番組を再度放送するに当たって,著作権法では実演家に相当な報酬を支払えばよいとなっています。許諾は不要です。例えばドラマ番組などをリピート放送,再放送をする場合,実演家には報酬を支払えばよいのですけれども,同時配信の場合は新たに許諾を得なければなりませんので,権利処理の負担が増えていきます。中でも一番の問題は,不明権利者の問題です。NHKオンデマンドの権利処理においても,一部の番組で裁定制度を利用していますけれども,不明権利者の探索等に要する時間を考えると,同時配信での裁定制度の利用というのは難しいと言わざるを得ません。

次に,6ページです。権利制限に関わる課題の内,実務上,権利処理が相当困難なものについて御説明をしたいと思います。まず営利を目的としない公の伝達,38条の3項ですけれども,テレビ放送を多数の人や特定少数の人が視聴する場合に,非営利であれば権利者の許諾は不要となっています。また営利の場合であっても,通常の家庭用受信機,テレビであれば権利制限されますので,著作権者の許諾は要りません。例えば喫茶店等でお客にテレビを視聴させる行為について,放送だと許諾は不要ですけれども,同時配信される番組をお客に見せる場合には許諾が必要となってきます。課題として,番組を無線で視聴しているのか,インターネットで視聴しているのか,これ,実質的に確認するのは難しい。誰がインターネットで視聴しているのか把握が困難なため,ここの部分についても,ほぼ権利処理が不可能に近いかなと思います。

次に,政治上の演説等の利用,40条第2項ですけれども,例えばNHKでは予算委員会の国会中継を行っていますが,放送であれば政治家だとか政府の参考人などの発言について許諾は不要ですけれども,インターネットにより同時配信する場合は許諾が必要となってきます。事前に政治家等から許諾を得るというのは,ほぼ難しいのではないかと思います。

最後のページですけれども,著作権の管理事業に関わる課題,これも法改正をすればある程度解決できる部分ではあるかもしれませんが,同じ楽曲でも,これは先ほど丸田さんからの方からもありましたけれども,同じ楽曲でも放送とネットでは管理する団体が異なっているケースがあるということで,実際にJASRACさんのデータベースを引用してきていますが,ミスチルの「ヒカリノアトリエ」という楽曲です。放送はJ,つまりJASRACさんの管理です。配信はバツになっていますので,JASRACさんの管理ではないということでございます。放送と通信の融合と言われる中で,やはり放送とネットについては同じ団体が管理しないと,かなり権利処理に当たっての支障になってくると思われます。

更に放送とネットでは著作権等管理事業者の使用料率や使用料の算出方法が異なっています。そのため同時配信の使用料が放送よりも高くなります。視聴者にとって違いがないのに,どうして同時配信の場合は放送よりも使用料率が高くなるのか,ちょっと理解ができないところでございます。

一応,同時配信についてお話ししてきましたけれども,見逃し配信についても放送後すぐに配信するということですので,権利処理の課題は同時配信の場合と同様です。NHKは来年度から同時配信を行いたいと考えています。インターネットで放送番組を配信しようとすると,先ほど民放さんからも御報告があったように,法制度だけではなく日々の権利処理業務においても様々な課題があります。御審議いただくに当たっては,ワーキンググループを設けるなどしてスピード感を持って集中的に審議を進めていくということも必要かと思っております。

以上,NHKからの御報告です。ありがとうございました。

【末吉主査】ありがとうございました。

それでは,椎名委員,お願いします。

【椎名委員】本日,このような機会を頂戴しましてありがとうございます。

本日は芸団協CPRA運営委員という立場で発表をいたしますが,この背景として,本件に関しましては約2年越しですかね,芸団協CPRAの運営に関与しております日本音楽事業者協会,日本音楽制作者連盟,それから演奏家権利処理合同機構MPN,映像実演者権利処理合同機構PRE,この4団体の総意に基づいて発表するものであるということをまずお断りしておきたいと思います。

初めに,本小委員会で検討する上で前提となる考え方ということで述べさせていただきますが,資料10の1ページ目をおめくりください。知財計画2019では,同時配信等に係る著作隣接権の取扱い等,制度改正を含めた権利処理の円滑化について具体的な検討を行うということが盛り込まれたんですが,この「等」ということなんですが,皆様も御承知のとおり,5G時代を迎えて通信と放送の融合が進展する中で,放送コンテンツのネット同時配信だけではなく,広く放送型の配信サービス,これを仮にウエブキャスティングという呼び方をしようと思いますが,こういう新しいサービスが一層普及することが想定されております。従いまして,新たな時代に適切に対応した検討を行うためには,放送コンテンツのネット同時配信だけではなく,ウエブキャスティング全般に係る権利処理円滑化についても検討することが非常に重要ではないかと考えております。

次のページでございますが,本題でございます。3ページですね。音楽の実演についての集中管理の現状ということでお話をしたいと思います。まず放送・有線放送や有線放送による同時再送信については報酬請求権が与えられておりまして,著作権法上,文化庁長官が指定する団体がある場合には,当該団体によってのみ権利行使ができるということになっておりますので,ここはアウトサイダー問題が生じない仕組みになっています。ワンストップでの権利処理が実現しているということになります。

それからサイマルキャスティングやその他のウエブキャスティングについては,許諾権が適用されますので,サイマルキャスティングについては管理事業法の下で任意の委任に基づく集中管理が行われておりますが,飽くまでも任意の委任ということでアウトサイダー問題が生じております。

その下のその他のウエブキャスティングについては,集中管理自体がありませんので,個々の権利者から許諾を得て利用する必要がございます。つまり最も円滑に利用できない分野ということになるんではないかと思います。

いずれの利用も放送に極めて近い利用でありますが,伝送路によって適用される権利や制度が異なりまして,権利処理の課題が生じております。また実演家,すなわちアーティストにとって大事な要素として,集中管理されていない分野においては,必ずしも衡平な対価を受け取れていないという問題もございます。集中管理されている分野では,実演家とレコード製作者の配分比率が原則50対50でございますが,それ以外は,アーティスト側とレコード会社間の契約によるのが一般的でございます。契約による配分比率は,基本的に数%であると聞いております。

めくっていただきまして,4ページ目でございます。このような日本の制度を国際条約から見るとどうかということでございます。WPPT上では,2番の有線放送から5番のその他のウエブキャスティングまで公衆への伝達という一つの概念で整理しておりまして,レコードの公衆への伝達については原則,報酬請求権による保護を与えていると。一方で,日本はこの公衆への伝達の内,有線放送は報酬請求権,レコードの演奏伝達は権利はなし,サイマルキャスティングやその他ウエブキャスティングについては,許諾権であるというふうに非常にアンバランスな状況になっております。通信と放送の融合が進んだ今日において,この問題が顕在化してきたんではないかと思います。

この再生演奏,演奏伝達権に関して言いますと,この権利がないために,昨今ヨーロッパでは,僕なんかが関与していた80年代,90年代のJポップが盛んにクラブで掛かるというような状況があるそうでございます。山下達郎君とか竹内まりやさんとか,そういった方々が結構掛かるんですが,権利がないので,そういった方々に対価が返っていかないという状況があるようでございます。

おめくりいただきまして,5ページでございます。5ページでは海外主要国の状況をまとめております。時間の関係もありまして,詳細の御説明は割愛しますが,御覧のとおり,いずれの国も集中管理によるワンストップでの権利処理を可能とし,なおかつ,この50対50という数字が並んでおりますが,実演家が衡平な対価を獲得できる制度を有しているということでございます。また中には,飽くまでも権利を許諾権としながら,強制許諾によってワンストップでの権利処理を可能とするアメリカのような国もございまして,本小委員会での検討においても,こういった諸外国の例は大いに参考になるんではないかと思います。

6ページでございます。最後になりますが,レコード産業がなかなか,低迷と言っては申し訳ないんですが,なかなか苦戦をしている中で,ウエブキャスティングはユーザーに新しい音楽との出会いを提供し,音楽接触率の向上,引いては音楽市場の拡大に資するサービスになり得るものと期待をしております。しかし,先ほどお示ししたとり,現行制度の下では,アウトサイダー問題が生じているほか,広範な集中管理が実現していない実態がございます。従いまして,ウエブキャスティングにおけるレコード利用についても,放送と同様に集中管理によるワンストップでの権利処理を可能とし,実演家が衡平な対価を獲得できる制度を構築することが重要ではないかと思っております。強制許諾とか報酬請求権プラス指定団体とか,具体的な制度設計は諸外国の例も参考に検討を深める必要がありますが,公衆への伝達全般でのバランスがとれた議論を行うためにも,演奏伝達権も含めたレコードの公衆への伝達全体の制度見直しを検討すべきと考えております。

また諸外国の動向に関しましては,恐らく文化庁さんも海外調査等を計画しているようなお話も伺っておりますが,是非,同時配信に限らず,私が先ほど定義いたしましたウエブキャスティング全体がどのような制度になっているかということについて,緻密な調査をしていただければと思っております。

以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございました。

それでは,高杉委員,お願いいたします。

【高杉委員】日本レコード協会の高杉でございます。きょうは,発言の機会を頂きましてありがとうございます。

それでは,資料11号に従いまして御説明させていただきたいと思います。1ページを御覧ください。こちらに私どもの意見をまとめておりますけれども,放送番組のインターネット送信について,私ども日本レコード協会は2006年からレコード送信可能化権の集中管理を開始しております。NHKさん,それから民放さんの放送番組の配信は安定的に実施されているものと理解をしております。従いまして,特に現行法の改正は不要であり,引き続き集中管理を促進して,包括許諾契約の活用を進めていくべきであるというのが私どもの考えでございます。

2ページ目を御覧ください。この表は放送とネット配信におけるレコード製作者の権利に関する法律の定めと実際の運用を整理したものでございます。放送番組に係るレコード原盤権の処理でございますけれども,放送及び放送用複製に加えて,ネット配信におきましては同時配信,それから見逃し配信,ビデオオンデマンドまで,日本レコード協会が一括で管理をしております。放送に商業用レコードが使用されたときは97条に基づいて,放送事業者に対する二次使用料請求権がレコード製作者に付与されておりますけれども,この権利は文化庁長官の指定によりまして,私ども日本レコード協会のみが行使できる法律となっております。

日本レコード協会は,放送二次使用料に関する契約に合わせまして,平成3年,1991年から放送番組の国内・国外への放送事業者への提供や,番組コンクール等への出品,それから番組のPR・宣伝活動への利用など,放送番組の二次的な利用等について,包括的な複製の許諾を既に出しております。

また放送番組のネット配信につきましても,2006年10月から日本レコード協会が送信可能化権の権利を受託しまして,著作権等管理事業者として文化庁長官の登録を受けて,放送番組のネット配信に係る集中管理事業を行っております。

実際の運用でございますけれども,NHKさんとの間では,放送それから放送用の複製,そしてネット配信の内,専ら受信料収入を財源とする無償のネット配信までを含めて,二次使用料契約と併せて包括的な契約を結んでおります。

また有料のNHKオンデマンドにつきましても,別途,包括的にライセンスを既に出しております。

また民放さんとでございますけれども,放送及び放送複製につきましては,二次使用料と併せた包括契約,それから同時配信,それから見逃し及びビデオオンデマンドの異時配信についても包括的な許諾を出しております。

こちらに書いておりますとおり,私どもに委任する,あるいは権利を委託するレコード製作者の数は745社でございまして,この全てが放送,放送用複製,同時配信,見逃し配信及びビデオオンデマンド,全ての権利を委託しているということでございます。

次のページを御覧ください。委託者の内訳でございますけれども,真ん中の下の方にございますが,私ども日本レコード協会の会員レコード会社が61社,それから本日いらっしゃっておりますけれども,インディペンデント・レコード協会さん,あるいは日本ネットクリエーター協会さんはじめ他団体加盟のレコード製作者が4団体で647社,それから団体に加盟しないレコード製作者,これが37社,合わせて745社から権利の委託を受けております。

4ページ目を御覧ください。放送番組のネット配信に係るレコード送信可能化使用料の徴収実績の推移でございます。こちらにございますとおり年々順調に利用が広がっておりまして,昨年度の徴収額は5億5,000万,ライセンスを出している放送事業者の数は200社を既に超えております。内訳は,同時配信が3億7,700万,オンデマンドが1億7,800万ということでございます。

それから次が集中管理における課題ということで,いろいろ御指摘されている点について,私どもの考え方を申し述べたいと思います。

まず第1でございますけれども,集中管理の課題として指摘されているアウトサイダーの問題でございます。先ほど梶原委員から資料の説明がございましたけれども,NHKさんの資料の4ページの下の点線の囲みに,レコードの調査の内容が出ておりますが,この中でアウトサイダーと考えられるのは1.1%と2.6%を足した3.7%と私ども理解しておりまして,アウトサイダーの比率としてはこの程度であると考えております。まず私どもは,放送局さんの方から情報を得まして委任者の拡大,取り込みを積極的に引き続きやっていきたいと考えております。

また,あわせて,仮にアウトサイダーのレコード製作者よりクレームがあった場合の対応についても,既にもう契約で手当てをしているということでございます。送信可能化権の前に複製権という許諾権をやはり既に集中管理をしておりまして,これにつきましては平成3年から放送局さんの方と契約を結んでおるわけでございます。仮にアウトサイダーの方からクレームがあった場合には,両者間で協力して処理をするという契約を放送局さんとの間で結んでおりまして,その手当てを既に行っておりますが,実際にクレームが,あったのは1回だけだと思いますけれども,そういう状況でございまして,現実的には問題が生じていないということを申し上げたいと思います。

また平成29年4月でございますけれども,日本の放送番組は海外で展開をしておりますが,テレビ放送番組の海外向けのストリーム配信,これにつきましてもレコード協会が窓口になって既にライセンスを出しております。この場合の原盤権のクレーム対応につきましても同様の契約によって既に手当てをしているということでございます。

2番目,外国レコードの対応でございますけれども,国内でライセンス盤が出ているものにつきましては,国内の委任者を通じて権利処理することが可能でございます。

また国内ライセンス盤がない外国レコードにつきましては,これは海外のレコード権利管理団体との相互管理協定の締結によって対応したいということで進めているところでございます。

それから6ページでございますけれども,3番目の権利情報を正確に把握できる環境の整備につきましては,先ほど文化庁さんの方から説明がございましたので,詳細は割愛いたしますが,この中でも当該レコードが実際レコード協会管理かどうか分からないという御指摘を受けておりますので,これにつきましてはウエブでレコードの委任状況を可視化できるように,今,取組を進めているということでございます。

それからレコード実演じゃないんですが,レコード会社の専属アーティストの解放の問題が先ほど民放さんから出ておりますので,1点申し述べたいと思うんですけれども,これにつきまして2010年に知財事務局主導で会合が行われておりまして,この中で放送局さんも入ってガイドラインを作っております。当時,同時配信はなかったので,見逃し配信についてでありますけれども,そこの取りまとめをここに書いておりますが,日本レコード協会は,放送局からあらかじめ情報提供があることを前提として,専属契約に関する手続を一括して受ける窓口となるように努め,放送番組のネット配信の円滑な体制作りに協力するということとなっておりまして,既にそれに従いまして,NHKさん,それから民放さんの一部の局との間では契約を締結しております。

それから最終ページでございます。現行法制の妥当性ということで2点申し上げたいと思います。一つは,送信可能化権という許諾権を持っていることによって,レコード製作者のビジネスと競合する同時配信等に対する差止め請求が可能であるということでございます。

具体的な事件として,リスラジ事件というものですけれども,これは,27の放送局とレコード協会の係争事件でありますが,レコード協会が個別にサイマルのライセンスを各局に出していたんですが,その内,各局の音楽番組だけまとめられて,24時間連続の,いわゆる音楽専門のネット配信をやられたという事件でございます。このようなサービスを止めるに当たっては,やはり許諾権がないと対応できないということをまず申し上げたいと思います。

それから2番目,適正な使用料の確保ということでございます。放送二次使用料の額というのは当事者間での協議・合意が原則でありますから,やはり一定の制約がございまして,どうしても利用者側に有利なたてつけになっていると私は考えております。送信可能化使用料につきましては管理事業法に従いまして,権利者が適切な使用料を確保できる,そういう制度になっていると私どもは考えております。

私の方からは以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございました。

それでは,長野委員,お願いします。

【長野委員】長野文夫です。こういった場所というか機会を頂きまして感謝いたします。

そもそも我々協会,インディペンデント・レコード協会というのを,余り存在を知らない方が多いんじゃないかなと思いますので,ちょっとその協会の紹介をいたします。今から17年ぐらい前に発足をいたしました。もともとはテレビ局,放送局が使用した二次使用料の対価が1円も入らないということで,当時レコード協会の今,高杉委員と我々団体が交渉をしまして団体契約に及んだということで,今現在もレコード協会の下というか,中で権利処理あるいは委任をしております。

我々,今,売上げ的には,この資料12にも書いたんですけれども,40億弱です。その40億の売上げの構成では170社ぐらいなんです。170社の中で,じゃあ40億が平均的に売り上げているかというと,実は悲しいかな,大体十七,八%の会社で40億を売り上げている。簡単に言うと,あとの150社ぐらいが小さな会社あるいは個人だということです。

よくこういう場所で申し上げるんですけれども,法律的なことは僕,きょうは申し上げません。むしろ利用者と提供者という両方がいるんであれば,提供者という立場で申し上げたいのですが,皆さん,意見としては道具を使ってください。なぜかというと,そこに至らないのがインディーズなんです。今までは。だからインディーズの人たちは,それを越えて今,ほとんどの放送という観念ではないんですが,YouTubeというコンテンツを利用します。なぜかというと,皆さんがもうコンテンツ,YouTubeで発見したものを,例えばある会社はそれを機会に契約に及ぶ,ある人たちは,事務所は,そのYouTubeを見て,そのアーティストを発見し,自分の会社に取り入れる。そういったことで今,利用,提供の僕らからすると,放送が電波ではオーケーで配信だと云々(うんぬん)です,駄目と,その許諾権という部分があるんですけれども,それすらも知らない方もいると思うし,今言った提供者の我々にとっては,適正な対価があれば,もうどうぞ使ってくださいという立場は間違いないです。だからそれすらもできないから,いろいろなコンテンツを自分で作ったり,あるいはそういうところに上げている。むしろそっちの方が今,もう放送の要素が強くなっているんじゃないかなという危惧をしています。特にYouTubeという部分では,放送に等しい,あるいはそれ以上の存在価値がもう出ているんじゃないかなと思っています。そういう意味では我々協会においては,何か壁があるんだったら,できるだけその壁,利用者と提供者の壁を低くしてあげたい,そういうふうに思っております。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございました。

それでは,最後に,仁平委員,お願いします。

【仁平委員】ネットクリエーター協会の仁平と申します。こういう場を頂きましてありがとうございます。

正に我々が持っている楽曲,管理する,管理といいますか対象とさせていただいている楽曲というのはアウトサイダーの中でもかなりアウトサイダーで,いわゆるボカロBさんとか,東方音楽とかというふうに言われている楽曲で,恐らくほとんどの方たちは御存じないかなと思われていると思います。

どういう楽曲かといいますと,中には,それ,アマチュアの音楽でしょというふうに言われるんですけれども,もちろんアマチュアの方もいらっしゃいますが,私が対象としているのは,皆さん,プロです。プロというのは,その音楽の収益で御自身の家族,お子様を養っている方たちです。なので,そういう意味ではアマチュアの楽曲だから自由に使っていいでしょという切り口ではなく,本当にプロのアーティストの楽曲と同等に見ていただければと思います。

私の資料をちょっと開いてみていただいて,1ページ目に,じゃあどんな楽曲があるのかというのを簡単に説明させていただきますと,大きく三つあります。ボカロ楽曲,歌ってみた楽曲,東方系楽曲です。ボカロ系楽曲の主な楽曲は,著作権管理団体にて著作権は管理されています。ただ,原盤に関しては,自分自身で管理をされているので,いわゆる日本レコード協会さんのデータベース,JMDのデータベースというものにはほとんど入っておりません。歌ってみた楽曲というのは,そのボカロ楽曲のサウンドトラックを利用して,歌い手さんと言われているインディペンデントな歌手の方が歌って,御自身でCDを作っているんですけれども,これに関しても著作権は著作権管理団体に預けられていますが,同様に原盤に関してはレコード協会さんのデータベースに入っておりません。なので1番,2番に関しては,著作権は管理されているけれども,原盤権がちょっと今どうなっているかが分からないという状況で,事実上,放送局の方たちは,相当使いづらい楽曲だと思います。

結構有名な楽曲があります。皆さん御存じなところだと,黒うさ君の作った「千本桜」という楽曲があると思います。こちらの楽曲,ラジオ局やテレビ局の方も,絶対流したいと一度は思った方がいらっしゃると思うんですが,オリジナルの「千本桜」の原盤ってどれなんだろうというのを果たして放送局のプロデューサーやディレクターの方,お分かりでしょうかというところが疑問としてあります。正にこのあたりを解決するために,文化庁様主催の,先ほど報告もありましたが,検索ナビというところで,各原盤情報も管理されるようになりましたが,それでも今現在,「千本桜」を流したい,オリジナルを使いたいというふうにディレクターの方が思ったときに,どれがオリジナルなんだろうという問題があると思います。しかもこれらの原盤は,レコード協会さんのデータベースに入っていないので,つまり報酬請求権があるとは言われていても,実際に原盤使用料を,二次使用料を頂くということがかなり難しいです。もちろんそれを何とかするために我々日本ネットクリエーター協会が,黒うさ君の代理でそういったものを徴収するという流れができて,作っているんですが,黒うさ君クラスだったら何とか我々も対応しておりますが,そうじゃない方たち,有名な楽曲いっぱいあるんですが,ほとんどの場合,報酬請求化権はあるにせよ,報酬を請求できていないです。ちなみにボカロ楽曲の著作権の数だけで言って,著作権管理団体に預けてある楽曲だけですら,私の知っている限り一万数千曲あります。こんなに多いとは,多分皆さん,御存じなかったと思いますが,更にその一万数千曲に対して,かなりの数の複数の原盤が存在しております。もうそうなってくると,どこにどんな原盤があるのかも分からないという状況です。

更に3番の東方楽曲に関してはもっと複雑です。著作権が著作権管理団体に管理されていません。もちろん原盤も管理されていません。ただ,3番に関しては,ちょっと我々も頑張って,著作権は管理されないにしても,原盤に関してはISRCを振ろうよという活動を2年ぐらい前からやりまして,今,一万五,六千曲ですけれども,3番の東方楽曲でISRCがようやく振られるようになりました。こういう状況です。

その中でちょっとバーッとめくっていただいて,何ページ目になるのか,すみません,同人系ボカロ系楽曲の放送使用の同時配信についてとちょっと書かせていただいたところがあるんですが,基本的にきちんとお金を払っていただけるのであれば,放送で使ってほしいというのが我々大前提としてあります。著作権に関しては,ボカロの楽曲は,もう管理団体に預けてありますので問題がないけれども,でも原盤権に関して報酬請求化権があると言われていても,報酬請求するすべがないので事実上取れていない。なので,このあたりの仕組みをちょっとどうにかしてほしいなというのを我々強く思っております。東方系楽曲に関して言うと著作権すら預けられていないので,ちょっとゼロから何とかしてほしいなと思っています。そのあたりが全部解決すれば,放送で使用することをオーケーしたのに,それを同時配信することに関してアレルギーを持っている方というのはいらっしゃらないと思います。というのはネット系のクリエーターなので,放送とネットの区別ってほとんどつけていないという方たちが多いからです。

じゃあちょっとその最後のページといいますか,この赤字で私,書かせていただいたところに,多分きょうの一番重要なところだと思って私,書きました。原盤使用における現行の許諾権を報酬請求権に変えるという動きがありますねというお話の中で,結論からいうと,今現状,私は反対かなと思っています。といますのも,ここで赤字で理由を書きましたが,ネット系クリエーターは,現在,報酬請求を行えるすべ自体がありません。なので,このまんまのタイミングで報酬請求権にされたとしても,事実上,ボカロBさんや東方の方たちは,そのお金をもらうことができないというのが,事実そうなんじゃないかなと思います。また,もし仮に請求できたとしても,その辺の交渉に携わることが我々できないので,もしかしたら著しく料率が下げられてしまう恐れがあるんじゃないかなと危惧しています。

なのでということで,最後,私のきょうの結論なんですが,現行の許諾権のまま包括契約的な使用というものがもし開始されて,その包括契約の中に我々が持っているような原盤もちゃんと入る仕組みというのを作っていただけるのがベストじゃないかなと思います。例えば黒うさ君の「千本桜」をテレビ局の方が使いたいと思ったときに,黒うさ君の「千本桜」の原盤はこれなんだ,これに関しては,こういうルールでお金が流れてくるからもうオーケーだ,使えるんだねというものが早くできてくれれば,どんどん使っていただけると思いますし,今,実は黒うさ君の話しかしていませんけれども,最近すごく人気の,例えば米津玄師君なんかは,以前,ハチ君という名前でボカロBの一員でした。ハチ時代の原盤とか,ほとんどがハチ君個人で持っていたりします。ハチ君は,もしかしたら米津君は,過去の楽曲は余り使ってほしくないと思われるかもしれないのでちょっと別なのかもしれないんですが,若いディレクターさん,プロデューサーさんの方は,使ってみたいと思われる原盤が実はたくさんあると思います。それをもうちょっと分かりやすくオープンにして,なおかつそれが包括契約の中に入って自由に使っていただいた上で,ちゃんとお金が流れてくるという仕組みができていただければうれしいなと思っています。

すみません,ちょっと最後,駆け足になってしまいましたが,以上,意見でした。ありがとうございます。

【末吉主査】ありがとうございました。

それでは,これまでのところの御説明あるいは御発表につきまして,御意見,御質問等ございましたらお願いをいたします。

どうぞ。

【奥邨委員】事務局に教えていただきたいのですが,確認のためなのですけれども,同時再送信に関して,現状,例えば38条2項ですとか,102条5項に,いわゆるIPマルチキャストに関する改正が行われましたけれども,それと,今日話題になっている件とは関係がないということでよろしいでしょうか。また,関係がないとするならば,どこの点で関係がないという切り分けになるのかというあたりを説明していただけると有り難いです。逆に,重なる部分があるんであれば,どの部分でどういうふうに重なるのかということを含めてよろしくお願いします。

【大野著作権課課長補佐】まだ文化庁として検討できておりませんので,整理した上で次回お示しをしたいと思います。基本的にIPマルチキャストというのは,放送の難視聴を解消するために,難視聴地域に届けるための特別の手段として再送信されるものですので,今回のような同時配信とは,考え方や対象などが違うと思っておりますけれども,詳細を整理して,また御説明申し上げたいと思います。

【奥邨委員】すみません,それで整理される際にですが,同時再送信というときに,放送事業者さん発で行われるということが差になるのか,どなたか別の方がやるということが差になるのか,つまり,主体によるのか,技術によるのか,それから免許によるのか,範囲によるのか,いろいろな違いが出てくるかと思うんですけれども,ちょっとその辺で切り分けて教えていただけると有り難いかなと思っております。

以上です。

【末吉主査】これ,後日まとめて報告いただければと思います。お願いしたいと思います。

ほかにいかがでございましょう。

どうぞ。

【宮下委員】日本動画協会の宮下です。

いろいろきょう,非常に初めて分かることもあって本当に勉強になりましたけれども,一つアニメーションの状況だけお話しすると,今,テレビ東京さんが出された資料8で,ちょっと使わせていただくと,3ページですね。今,日本のアニメーションの制作スタイルというのは,約8割が制作委員会方式。よく劇場版の映画なんかで使われるあの方式ですね。これによってテレビ用アニメーションも作られているというのが実態でございます。この資料の3ページのところの(6)に放送権購入番組というのがありますけれども,テレビ用アニメーションはこれに近いんじゃないかなと思っています。やっぱり特色的に言うと,非常に二次利用で,稼ぐという言い方は悪いんですけれども,収益を見越していますので,最初の段階でかなりの権利処理を制作会社の方でしてしまいます。原作,脚本,音楽原盤ですね,このあたり全て権利者との間で権利処理をして,それで放送するという形になっているのが現実です。よく我々としてもマルチユースという言い方をしていますけれども,放送という媒体は一つの媒体であって,特に海外に売る場合とかについては,かなり厳しい権利処理のことを言われますので,これに対応しなきゃならないということでそういうことをやっているということです。

ただ,この同時配信を考えた場合に,一次利用と二次利用を分けて,その権利処理を交渉するというケースが多いです。原作,脚本,このあたりはそういうスタイルになっております。先ほどテレビ東京の方が御説明されたとおりなんですけれども,そうなってくると,一次利用,放送ですね,に配信が加わってくると,それだけ権利処理費というものが上がってくると。つまり初期投資が増えてくるということになってしまって,最初に集めるお金もそれぞれ変わってくるでしょうし,放送局さんとの向き合い方というのも,それぞれ考えていかなきゃならないということになってくると思いますので,我々としては,この最初の一次利用の権利処理費が上がってしまうというところが非常に懸念しております。これは放送局の方の御説明では,放送局の方が処理しているのと我々が処理している,その違いだけということになりますけれども,我々としてはマルチユースでやっているので,処理としては割と,作業としては楽かもしれませんけれども,金額的には上がってくるんではないかということを懸念しております。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでございましょうか。

どうぞ。

【今子委員】感想になるんですけれども,3点ございます。

まずは同時配信を行う際の課題について御説明を頂きありがとうございました。大変勉強になりました。通信と放送の融合が言われて久しいんですけれども,権利処理の実態がここまで違うのかということで認識を深めたという次第です。同時配信を行うかどうかは民放さんの御説明から経営判断だというお話がありましたけれども,いつでも行えるように著作権制度上の課題を一刻も早く解決する必要があると思いました。

また昨今,放送事業者だけでなく,ネット事業者も独自に番組を制作し,配信を行っており,若い世代を中心としてかなりの視聴者を獲得していると思います。視聴者からすれば,もはや放送なのか通信なのかというのを一々意識をせずにコンテンツを視聴するという状況が生じていますので,特にリアルタイム配信,すなわち先ほど椎名委員がおっしゃいましたウェブキャスティングについては,放送同時配信と同様に,権利処理円滑化に向けて同時に手当てをしていくことが非常に重要であると考えます。

2点目です。レコード協会の高杉様の御発表資料についてなんですけれども,6ページ目以降にあるとおり,音楽の流通に向けて専属アーティストの解放手続など様々な課題について対応してくださっていると伺いまして,事業者の立場として有り難く思います。

また2ページ目なんですけれども,ネット配信についても,包括許諾の仕組みを作ってくださっているという表にはなるんですが,ただ,ここで言うネット配信は,ページ冒頭にも書いてありますとおり放送番組に係るものだけですので,放送事業者以外の事業者が配信するものについても利用の円滑化が進むと非常に有り難いなと思います。

3点目です。アウトサイダーの問題なんですけれども,NHKの梶原様の資料の4ページ目で,アウトサイダーの音楽を聴く機会の喪失が生じて文化の発展を阻害するというお話がありました。先ほど長野様,仁平様のお話を伺いましても,アウトサイダーの楽曲が使いやすくなるような制度作りというのが非常に重要だと考えました。以上,感想を述べさせていただきました。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

【高杉委員】今,今子委員から御指摘いただきました,いわゆるウエブキャスティングの問題ですけれども,先ほどちょっと椎名委員の資料にもありましたが,3ページですね。いわゆる放送番組以外のウエブキャスティングについて集中管理の実態がないということは事実でございます。しかしながら1点申し上げたいのは,レコード製作者の団体としては昨年の3月に集中管理をすることを既に決定をしておりまして,実は使用料規定はもうできております。実演家団体の方と協議を1年半今行っているという状況で,実演家団体の方の協力を得て円満に進めるための今作業をしているということで御理解を頂ければと思います。

【末吉主査】どうぞ。

【小寺委員】インターネットユーザー協会の小寺でございます。

テレビ東京,丸田様にお伺いしたいんですけれども,NHK様の資料だと2ページ目に,NHK様の要望として,放送と同時のインターネット配信について放送とみなすという規定を盛り込んでほしいという御要望が書かれていますが,民放在京5社の御意見としての御要望はどのようなものなのでしょうか。

それから加えて民放連という全体で,例えば著作権を今後どうして欲しいといった御要望というのはまとめることは可能か,あるいは既にまとまっているのか,お伺いしたいと思います。

【丸田氏((株)テレビ東京ホールディングス)】まず在京5社としての御意見としてお話をさせていただきますが,私どももNHKさんと同様に,問題の根幹は,放送と同時配信で権利処理が異なっていることだと捉えておりますので,放送番組の同時配信については,放送と同等とみなせるような仕組みなり制度改正なりを検討いただけるというのが一番よろしい解決法ではないかと考えております。

民放連については,隣の岩本委員にお話をお願いしたいと思います。

【岩本委員】最初に総務省様とテレビ東京の丸田様からも説明があったとおり,民放事業者が放送の同時配信を実施するか否かは各民放事業者の判断に委ねられているところでございます。ラジオ局は他の事業者を通じて同時配信を本格的に実施している実態や,在京のテレビ局に関しては,試験的な形で同時配信を一部の番組で実施しています。あと有料放送も同時配信をしている事業者がいるという状況はありますが,民放全体としては,まだ本格的に同時配信を実施しているという現実はございません。このような状況の中で,民放連として今,同時配信に関する意見は集約していないと認識していただきたいと思います。

ただ,今後どういうサービスをしていくかというと,無料放送も有料放送もある中,サービスの具体像がまだ明確になっていない現時点の状況で,今後,制度の検討に進まれることになる場合は,多様かつ柔軟な同時配信のサービスの可能性が担保できるような形での御検討を慎重にしていただきたいと思っております。

以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。河村委員。

【河村委員】御発表ありがとうございました。いろいろ知らなかったこともあり勉強させていただきました。

幾つかの異なるお立場からの御意見で,同じところもあれば異なっているところもありましたが,きょうの時点でざっくりとした私の,消費者としての感想を申し上げますと,椎名委員の資料10の御発表がとても説得力があったと感じました。私は,是非この方向性でやったらいいのではないかと思います。同時配信に限らず「等」ということで,これからもう本当にユーザーの視聴のスタイルというのはどんどん変わっていくわけですし,今現在も変わっているところでございますから,それに対して新しいルールを考えていくべきだと思っております。その際に,5ページのところに海外のことが書かれていて,実演家が衡平な対価を獲得できる制度を各国は有していると,日本もそうあるべきだというのはその通りで,これからの視聴のスタイルの変化も見据えて,今ルールを整備していくべきだと私は強く考えておりますので,是非その方向でいったらよいのではないかと。今後,細かいところではいろいろと詰めるべきところあるかもしれません。

あともう一つ,視聴者として気になるところは,今子委員もおっしゃっていましたけれども,アウトサイダーの問題です。NHKさんが言及されていて,椎名委員の御発表との関係性が,私まだクリアに見えていないところはあるのですが,一つ強く申し上げておきたいことは,権利処理がしやすいという理由で,何か耳に覚えがあるような曲ばかりが放送や同時配信で流れるというのは大変文化にとって損失だと思いますので,世界中の,また日本の,メジャーではないけれども良い音楽を聴く機会が失われないよう,そういうことを解決できるルール設定が必要だと思っております。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

高杉委員。

【高杉委員】1点だけ,今,河村委員からも出ましたけれども,実演家とレコード製作者の分配率とかそういう問題については,これ,法律の問題,許諾権か報酬請求権かの問題ではなく,これは別のステージの問題だと思っています。なぜかというと,許諾権であっても等分に話合いで分けているものもございますし,それ以外の制度全て見ないで,全て50,50というように私どもの方は必ずしも思っていませんし,今までも話合いによって進めてまいりましたし,そこについては,法律の問題ではなく協議によって進めていくのが一番いいんじゃないかと思っております。

以上です。

【末吉主査】どうぞ。

【今村委員】すみません。梶原委員,NHKさんの御報告に関しまして, 1点御質問があるのですが,資料9の2ページ目のところで,放送とインターネットの同時配信を同じようなものと考えるというようなことで,そういうアイデアもあるとは思うんですが,その場合,クリエーターに対する,権利者に対する対価ですね,これをどのように考えているのかと。要するにウインドーの数は非常に増えるわけですね。テレビに限らずスマホもそうですし,パソコンも世の中にたくさんあるわけで,伝送路は別といってもウインドーの数はたくさん増えますし,放送局以外のウエブキャスティングをする会社とのイコールフッティングなどを考えていきますと,相当な金額の対価を払わないと,やはり変に優遇することになるのではないかなという部分があるので,対価的な部分をどうお考えなのかというのをお伺いしたいと思います。

【梶原委員】基本的には放送と同じように考えてほしいということで,そこの部分についての対価を支払う,支払わないの判断ではなくて,サービスが増えれば対価は増える部分は当然あるでしょうし,著作権で言えば,今でも放送については許諾権ですので,それを報酬請求権にしてほしいと言っているわけではないので,それは同じ許諾なので,そこは協議の中で,サービスが増えれば権利者は対価の要求をしてきます。それに対して我々がどうするのかということで,別にそれは無許諾でお金をお支払いしないということではなくて,権利を同じにしてくださいという話を申し上げています。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【椎名委員】高杉委員から,契約の問題ではないかというようなお話がありましたけれども,ミリオンヒットを飛ばすようなアーティストでも数%であったりというような状況も結構あるようで,やはり契約する前提での力関係の問題があると思います。なおかつ,ミリオンを飛ばす人たちばかりではないです,弱いアーティストもいるわけで,やはり放送から通信に様々なサービスが遷移していったときに,僕の言っているウエブキャスティングというのはほとんど放送と変わらないサービスなわけですけれども,そこはやっぱり衡平な対価を得られるような法的な背景が必要なんではないかなと思っております。

【末吉主査】ありがとうございます。

そろそろ,すみません,お時間なのですが,ここで一言申し上げておきたいという方がおられたらよろしく。

どうぞ,じゃあ。

【内山委員】内山でございます。ごめんなさい,多少ポジショントークします。

まず総務省側の委員会を扱った立場で3点ぐらい簡単に申し上げます。放送局さん,いろいろな手間が掛かるという話は多分伝わったと思うんですけれども,その手間をニアイコールコストというふうに置き換えないでほしいというのが1点目です。コストと時間を分けて考えていただきたいというのが1点目でございます。見逃しとかVODのときは,まだそこは多分ごまかせた部分もあったと思うんですけれども,さすがに同時になってきて,コストだけで解決しない問題は多分あるでしょうというのが1点目でございます。

2点目は,集中管理とか包括契約とか,この辺の,どういうか,できる領域とできない領域って多分あるでしょうと。そこも選別して考えてほしいといったところが2点目でございます。

取りあえずこの2点だけ,きょうお伝えをしておきたいと思います。

【末吉主査】すみません,急がせまして。どうもありがとうございました。

そろそろすみません,お時間なので,きょうのところの御議論はここで終わらせていただきまして,それでは,事務局には,本日のヒアリング,あるいは委員からの御意見等,あるいはここで出さなかったという意見がありましたならば,是非,事務局宛て,メールなどでお送りいただきますと助かります。これらを踏まえて,宿題も1個あったと思います。次の検討に向けた準備をお願いしたいと思います。

本日は,このぐらいにしたいと思います。

最後に,事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。

【堀内著作物流通推進室室長補佐】次回の本小委員会の開催につきましては,来年1月17日金曜日を予定させていただいております。改めて開催通知を送らせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【末吉主査】ありがとうございます。

それでは,これで著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第1回)を終わらせていただきます。本日は,どうもありがとうございました。

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