文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第2回)

日時:令和2年1月17日(金)
10:00~11:23
場所:文部科学省東館3F1特別会議室

議事

  1. 1開会
  2. 2議事
    1. (1)放送コンテンツの同時配信等に関する権利処理の円滑化について
    2. (2)その他
  3. 3閉会

配布資料一覧

資料1
平成18年の著作権法改正について(放送の同時再送信関係)(89.9KB)
資料2
「放送コンテンツのインターネット上での同時配信等に係る権利処理の円滑化(著作隣接権に関する制度の在り方を含む)」に関する基本的な考え方(議論のたたき台)(80.9KB)
参考資料1
第19期文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第1回)における意見の概要(81.1KB)
参考資料2
同時配信等に伴う権利処理の円滑化のため対応が必要な課題取りまとめ(156.4KB)
参考資料3
「知的財産推進計画2019」等の政府計画(抜粋)(490.2KB)
参考資料4
音楽(商業用レコード・配信音源)を放送・ネット配信する際の権利処理に関する法制度概要(191.6KB)
出席者名簿(60.3KB)

議事内容

【末吉主査】ただいまから文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第2回)を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。

まず、第1回は御欠席でありましたが、今回より河島委員、中戸川委員に御出席を頂いておりますので、御紹介をさせていただきます。よろしくお願いします。

また、前回在京民放社、これはキー局5社のお立場からヒアリングを行わせていただきました株式会社テレビ東京ホールディングスの丸田様には、それに関連して今回オブザーバーとして御出席を頂きます。

議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開とするに及ばないと思われますので、既に傍聴者の方々には入場していただいているところでありますが、特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉主査】ありがとうございます。それでは本日の議事は公開ということで、傍聴者の方々にはそのまま傍聴いただくことといたします。

なお、本日のカメラ撮りにつきましては、冒頭5分程度とさせていただきますので、御了承を願います。

続きまして、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【堀内著作物流通推進室室長補佐】配付資料つきまして御説明いたします。

資料は2点御用意ございます。

資料1といたしまして、平成18年の著作権法改正について(放送の同時再送信関係)と題する資料でございます。

資料2といたしまして、「放送コンテンツのインターネット上での同時配信等に係る権利処理の円滑化(著作隣接権に関する制度の在り方を含む)」に関する基本的な考え方(議論のたたき台)と題する資料でございます。

参考資料は4点御用意ございます。

参考資料1は、前回の意見の概要をまとめたものでございます。

参考資料2は、同時配信等に伴う権利処理の円滑化のため、対応が必要な課題取りまとめと題する資料でございます。

参考資料3は、「知財計画2019」等の政府計画の抜粋でございます。

参考資料4は、音楽(商業用レコード・配信音源)を放送・ネット配信する際の権利処理に関する法制度概要と題する資料でございます。

不備等ございましたら職員までおっしゃっていただければと存じます。

以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございました。

それでは、初めに、議事の進め方につきまして確認をしておきたいと思います。

本日の議事は、1、放送コンテンツの同時配信等に関する権利処理の円滑化について、2、その他となります。

それでは、議事に入りたいと思います。

本課題については、規制改革推進に関する第5次答申や知的財産推進計画2019において、関係者の意向を十分に踏まえつつ、運用面の改善を着実に進めるとともに、制度の在り方について、年度内早期に関係省庁で具体的な検討作業を開始し、必要に応じた見直しを本年度中に行うとされていることを踏まえますと、少なくとも今年度中に一定の方向性を見いだす必要があるのではないかと思います。

放送コンテンツの同時配信等に関する権利処理の円滑化につきましては、前回、関係者のヒアリングや委員からの御意見を頂きました。

また奥邨委員より、平成18年に行われた著作権法改正と本課題との関係について御質問を頂いておりました。本日は、事務局において、奥邨委員からの御質問の点について、資料1として整理していただいております。

また、前回のヒアリングや委員からの御意見等を踏まえ、今後の本課題の対応等に関する基本的な考え方について、資料2として議論のたたき台を作成いただいておりますので、資料1及び資料2を続けて事務局より御説明いただき、その後質疑応答を行いたいと思います。

それでは、事務局より御説明お願いします。

【大野著作権課課長補佐】ありがとうございます。

それでは、資料1について、まず御説明をいたします。

平成18年に行われた著作権法改正と今回御検討いただいている課題との関係について簡単に整理したものでございます。

まず、平成18年の法改正の趣旨でございますが、当時は、地上デジタル放送への全面移行を控える中で、放送波の難視聴地域における補完路となるサービスを推進するということが課題になっておりました。

従来から、有線放送による放送波の同時再送信という取組は行われておりまして、著作権法にもそれに対応した規定はございましたが、新たな技術として、IPマルチキャスト放送というものが想定されましたので、これを促進する観点で権利関係の見直しを行ったというのが改正の趣旨でございます。

改正の内容につきましては、2ポツで記載をしております。

著作権法第38条第2項の改正などが行われております。著作権に関する規定としては、放送される著作物は、非営利無料の場合には、専ら放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信を行うことができるという規定が設けられました。また著作隣接権についても、著作隣接権の目的となっている実演レコードであって放送されるものは、専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として、入力型の自動公衆送信を行うことができる、こういった規定が設けられたところでございます。

これらの規定のポイントは2点でございます。

1点目は、丸1と書いておりますけれども、規定上、「放送される著作物は」、「放送されるものは」という形で規定をすることで、放送波をリアルタイムで受信してそれを再送信するという形態が対象になることが示されておりました。

また2点目は、丸2とありますけれども、「放送対象地域内において受信されることを目的として」というふうに規定をすることで、いわゆる難視聴対策などが対象になるということが示されておりました。特定の地域に限定して送信するということですので、閉鎖的な特殊なネットワークを使うということが想定されていたところでございます。

ただ、なお書きで記載しておりますとおり、当時はIPマルチキャスト放送を念頭には置いておりましたけれども、その後、技術が発展する可能性もあることを考慮し、対象の技術をIPマルチキャスト技術に限定はしないということになっておりました。このため、ほかの技術であっても同じような形態でのサービスが可能であれば対象になる規定振りになっているところでございます。

いずれにしても、同時再送信であるということと、放送対象地域内という限定がかかっているという特殊性のある規定だったというふうに理解をしております。

一方で、3ポツにあります、今回の放送コンテンツの同時配信との関係につきましては、趣旨・内容が異なるのではないかというふうに思っております。

具体的には、今回は放送コンテンツを、国民の視聴機会の拡大・利便性の向上という目的で行うものであり、難視聴解消などとは少し目的が違うということがあろうかと思います。

また、放送対象地域内という限定はしないという想定だと思いますし、また、何よりも、放送波を受信して行う再送信ではないという点に違いがあるかと思っております。つまり、今回は、放送のコンテンツを放送波でも流しつつ、一般のインターネット回線でも流すという形が想定されていますので、放送波を受信してそれを再送信するものではないということかと思っております。

そういう意味で、今回の課題は平成18年改正とはかなり異なるものでございますので、この規定に縛られずに、今回必要な対応を御検討いただくのがよいのではないかと思っております。

続いてになりますけれども、資料2についても併せて御説明をさせていただきます。

今回の課題につきましては、非常に多岐にわたる論点、課題がございます。各論の議論に入る前に、まず基本的な考え方について皆様方に認識共有をしておいていただくのが重要ではないかということで御用意した資料でございます。

具体的には、今回と次回、2回御議論を頂きまして、最終的には、基本的な考え方を小委員会としてまとめていただくことを想定しております。今日はそのためのたたき台としてこの資料を御用意しております。

順次御紹介をしたいと思います。

まず1ポツ、検討の射程・優先順位という部分でございます。

前回のヒアリングの中でも、放送事業者の方々から非常に多岐にわたる課題があるという御指摘を頂いておりました。いずれも重要なものかと思いますけれども、検討に当たっては、ある程度優先順位付けが必要ではないかというふうにも考えております。

まず、規制改革推進会議における議論におきましては、著作隣接権の取扱いについて早急な議論が求められていたところでございます。また、それを受けて、総務省から文化庁に対して課題の取りまとめについて通知を頂いておりますが、その中でも著作隣接権の扱いからまず検討に着手することが想定されるということが記載をされておりました。

その背景には、鍵括弧で記載をしておりますけれども、放送とインターネット配信で権利の在り方に差異があり、それによって権利処理がより困難になっているのではないか、こういう問題意識があったところだと理解をしております。こういう点を踏まえますと、まず、丸1に記載しているように、レコード、レコードに録音された実演などの利用円滑化、すなわち、著作隣接権の取扱いから検討に着手するのがよいのではないかと思っております。

一方で、丸2にあるその他の課題、これは著作権ですとか、ネット配信に限らず、放送段階からを含めた課題かと思いますけれども、こういうものについても多数課題があるという御指摘を頂いておりますので、緊急性・重要性に応じて継続的かつ総合的に検討を行うこととしてはどうかとしております。

二つ目の丸にありますが、特に丸1の部分につきましては、近々NHKで同時配信が始まるということもございますので、来年度早期から具体的な検討を進め、可能な限り早急に結論を得る必要があるのではないかと考えております。

続いて、2ポツが対象とするサービスの範囲についてでございます。本課題につきましては、まず総務省で課題を整理いただき、それをもとに文化庁で検討を行うということになっておりました。前回総務省から取りまとめの内容を御紹介いただきましたし、また、放送事業者の方からのヒアリングも行っていただきました。

その中では、いわゆる、常時同時配信に限らず、追っかけ再生、見逃し配信などを含めまして、多様なニーズがあるので、それに対応した取扱いを検討してほしいという御意見があったかと思いますので、その旨について記載をしております。

また、米印に記載をしておりますウェブキャスティングにつきましても、前回御意見がございました。この点につきましては、放送コンテンツのインターネット上での配信とは、背景となる制度を始めとして様々な違いがありますので、必ずしも一律に扱い難い部分もあろうかと思っております。

先ほど申し上げましたとおり、総務省で課題の整理を行っていただいておりますが、これは飽くまで放送番組をネットに流すという点に着目した議論だったかと思います。ウェブキャスティングについてはどういう課題があるか、どういう方向で進めていくべきなのかという検討が必ずしもされていないという状況があろうかと思います。

ただ、前回も御意見いただきましたとおり、ウェブキャスティングも広く一般にコンテンツを伝達する手段として重要な役割を担っているということがあろうかと思いますので、議論を行う際にはウェブキャスティングに係る権利処理の円滑化も視野に入れながら検討を進めることがいいのではないかと思っております。

続いて、裏面に参りまして、3ポツ、権利処理の円滑化のための手法についてでございます。

まず一つ目の丸にありますとおり、文化庁で従来から進めておりますデータベースの充実・利便性向上のほか、著作権等管理事業者による集中管理の促進など、運用面の改善を着実に進めることが必要かと思っております。

ただ、運用面では解決し切れない課題があるという指摘も前回ございました。具体的には、二つ目の丸にありますように、アウトサイダー対策を初めとした課題、運用面では改善し切れないという課題については制度的な手当てが必要ではないかということで、新たな権利制限規定の創設を含めた法整備を検討することとしてはどうかと考えております。その際には、新しい規定を作るということもあろうかと思いますが、現行の規定の在り方を見直すという論点もあろうかと思います。

具体的には、例として書いておりますように、第38条第3項、第40条第2項、第68条など、放送、有線放送などにのみ適用される現行規定もございますので、こういった規定をネット配信に拡大していけないかということも併せて検討を行う必要があるのではないかということでございます。

なお、米印にございますとおり、いわゆるレコード演奏権の扱いについても前回御意見を頂いたところでございます。レコード演奏権については、今回の放送のネット配信とは、問題の所在、関係する事業者も大きく異なるという違いはある一方で、いずれも公衆への伝達に関わる権利の取扱いという共通性もあるのかと理解をしております。こういった違いと共通性と、両方を踏まえながら今後の扱いを検討する必要があろうかと思っております。

事務局としては、本件、すなわち、放送のネット配信については早急な検討が必要な課題だと認識をしておりますところ、レコード演奏権と併せて議論して検討が遅れるというのは必ずしも望ましくないものと考えているところでございまして、そういった点も御議論を頂きたいと思っております。

いずれにしましても、レコード演奏権は今期の著作権分科会や本小委の課題としては設定されていないところですので、いずれにしても、来年度以降どのように扱っていくのかという議論だと思っております。

4ポツが、権利者の利益保護への配慮でございます。前回のヒアリングでも、既に放送のネット配信の分野についてはライセンス市場が有効に機能しているという御説明もあったところでございます。そういった中で、新しい権利制限などを議論するに当たりましては、既に形成されている、又は、形成される見込みのあるライセンス市場を阻害しないよう十分に注意する必要があろうかと思います。

また、それに加えて、権利制限をする際には、例えば、補償金を付与するなど、権利者の利益保護について適切な配慮を行う必要もあるのではないかと考えております。

補償金を賦課するとしたとした場合には、非常に様々な権利者の方々が関わることになりますので、そういった方々がそれぞれ適正な対価を受け取れるようにするという観点にも十分留意が必要だと思っておりますので、その旨記載をさせていただいております。

以上、1ポツから4ポツまで大きく4項目にわたって基本的な考え方をまとめる際のたたき台として事務局で整理をしております。足りない視点ですとか、修正すべき点があれば、御意見を頂ければと思っております。よろしくお願いします。

【末吉主査】ありがとうございました。

それでは、ただいま事務局から説明いただいた資料1及び資料2に対しまして、御意見、御質問を承りたいと思います。いかがでございましょうか。

【奥邨委員】資料1についてですけれども、前回私の方で質問させていただきまして、おまとめいただきましてありがとうございました。非常によく分かりました。

細かな点ですけれども、1点確認をさせていただきたいのですが、現行の第38条第2項を見ますと、許される自動公衆送信自体が入力型であるとは書いてはいないことになります。ただ、自動公衆送信の前に必要となる送信可能化については許されているのは入力型であって、いわゆる蓄積型などは許されていない。結果的に、第38条第2項で行えるのは入力型送信可能化を経た自動公衆送信だけなので、結果的に、入力型自動公衆送信だけが第38条第2項で許されているという、ちょっとかなり遠回りな書き方になっているのかなと理解をしておるのですが、それでよろしいでしょうか。

【大野著作権課課長補佐】はい、同様の理解でございます。

【末吉主査】ありがとうございました。

ほかにいかがでございましょうか。

どうぞ。

【梶原委員】一つ確認ですけれども、資料2の1ポツ、最初の丸の丸1ですけれども、「レコード及びレコードに録音された実演等」の「等」ですけれども、先日NHKの方では実演のリピート放送なんかでも許諾権ということで、課題があるということを申し上げましたけれども、この「等」にはその辺も含まれているというふうに考えてよろしいのでしょうか。

【大野著作権課課長補佐】著作隣接権の扱いを検討するということでございますので、著作隣接権に関して放送とネット配信で取扱いが異なる部分があれば、検討の射程として捉えるべきかと思っております。

【末吉主査】ほかにいかがでございましょう。

どうぞ。

【仁平委員】今のと全く基本的に同じなのですけれども、実は我々の楽曲、特にネット系の楽曲なんかもそうですし、メジャーさんも多くなってきたと思うのですが、配信限定の楽曲というのがかなり出てきています。これはいわゆる言葉上でのレコードとか、いわゆるレコード等の有体物に録音されたものではないものなのですが、当然ニーズとしてはこういうものもテレビや放送で流したいというニーズもあると思うのですけれども、それも含まれているという概念でよろしいですか。

【大野著作権課課長補佐】もちろん、これでいう「レコード」は著作権法上のレコードという概念を意味しておりますので、有体物を介するかどうかは問わず、配信限定のものも当然含めて議論がされるべきものと理解しております。

【仁平委員】ありがとうございます。

【末吉主査】ほかにいかがでしょう。

どうぞ。

【丸田氏((株)テレビ東京ホールディングス)】私ども在京5社を初めといたしまして、民間放送事業者の多くは、いまだ同時配信の実施について判断をしておりませんので、本日もその前提で御意見を述べさせていただきますが、資料2でおまとめいただいている優先順位のところなのですが、まず丸1のレコード及びレコードに録音された実演等の利用円滑化から検討に着手するということで書かれておりますが、私ども在京5社としましては、レコードの問題は確かに数ある権利処理の課題のうちの一つではあるのですが、重要度がそれほど高いというふうには捉えておりません。むしろ優先順位は低い方かなと思っておりまして、このレコードの問題が解決したからといって、放送番組の同時配信が前に進むというようには捉えておりません。在京5社といたしましては、レコードの送信可能化権の報酬請求権化というごく限られた部分に絞った法改正の議論を進めていただくのではなくて、私どもが前回申し上げました全般的な課題を網羅的に解決するような制度改正について是非御検討いただきたいというふうに思っております。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【中戸川委員】JASRACの中戸川でございます。

JASRACは音楽の著作権者の立場が主になっておりまして、もちろんJASRACは著作権管理事業者の一つでございますが、このように著作権法において何か著作者の権利を制限するかどうかというときに、管理事業の状況ですとか、そのような運用面が直接に直ちに影響されることについては慎重であるべきだと考えております。

以上でございます。

【末吉主査】ほかにいかがでしょう。

どうぞ。

すみません、ちょっと待っていてください。

【椎名委員】いいですか。

この問題、同時配信の円滑化ということに関しては、実は私、総務省で最初に議論が立ち上がったところから参加をしておりまして、これが私の記憶だと2017年にサブワーキンググループができまして、当時、NHKさんが同時配信を計画されているということで、そこの円滑化に関する議論があったと。

その中で盛んに指摘されましたのは、やはり諸外国との制度の違いというところですね。そしてまた、NHKさんはやる気があるのだけれども、何か民放さんが途中からしぼんでいってしまって、同時配信それ自体にニーズがあるのかないのかというような、いささかちょっとよく分からないような話になっていったのですが、それからもう2年たっているわけですね、2年以上たっていて、御紹介いただいたように、規制改革会議、総務省、文化庁という順番に話が巡ってくる中で、今回、この小委員会はあと1回しか開かれないと思いますから、恐らく検討は来期に行うのであろうというところからすると、やはり根本的な議論はした方がいいのだろうというふうに強く感じています。

我々も、総務省での検討の際は、基本的には、権利制限に関してはノーだという立場をとっておりましたけれども、その後2年間我々も結構真摯に検討を加えた結果、今回ウェブキャスティングも含む公衆への伝達全体の見直しの議論をしていただきたいという結論に至ったわけですね。そのことがありますので、この資料の中では微妙な書かれ方をしているというか、ウェブキャスティングに係る権利処理の円滑化も視野に入れつつ、検討を進めることとしてはどうかということがあるのですが、是非、この問題、同時配信の話だけではなく、このウェブキャスティングの見直し、公衆への伝達の隣接権の在り方全体の議論として来期やっていただけないかなということを思っております。

【末吉主査】どうぞ。

【岩本委員】すみません、一つお願いがございます。資料2の議論のたたき台のペーパーの中に、前提として、NHKさんとは異なって、多くの民放テレビ社は常時同時配信の実施について判断をしていない状況がございます。それで、さらに、同時配信等の実施についても、権利処理上の課題の議論とは別に各社が個別に経営判断により決定すべきものであるということの記載を明記していただければと思っておりますので、御検討よろしくお願いいたします。

【末吉主査】ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

【大渕主査代理】 資料1につきまして、私は平成18年の著作権法改正にも関与していまして、ここに書いてある立法趣旨のとおりに条文を理解していたものですから、やや驚きました。あのときの立法の趣旨のとおり書かれていて、当時の難視聴区域対策等々の下で立法された平成18年改正と今回は全く状況が異なる、放送に限らず今度はインターネットでやると御説明いただきましたので、そこはきれいに整理ができて、これはよかったと思います。

その上で、資料2につきまして、非常に多種多様な問題点があることは分かりました。このたくさんある問題は一遍に片が付くようなものではないので、きちんとめりはりをつけて、順序付けをしない限り前進しないだろうと思っておりましたが、今回はそこのところにきちんと順序を付けていただきました。

一点気になったのは、放送とネットは一緒ではないかという議論は当時からあったのですが、それはやや乱暴な議論で、もともと両者の性質は著作権者に与える影響等において非常に異なります。

放送については前から割と整理が進んでいますが、インターネットの方はやや遅れ気味なので、同様とするというよりは、インターネットの方もきちんとそ上に上げて、強いて言えば、放送に後れを取らないようにきちんと処理することが重要だと思います。当時はシームレスというか、イコールが強調されていたのですが、そこはやはり異なるものだということを理解した上で、きちんと現状に合ったような形で法規整していくことが重要ではないかと思っております。

めりはりの観点から言うと、先ほどニーズは高くないとは言われたのですが、やはりこの丸1の問題が今のところ一番焦点になっております。まずはここに焦点を当てて、それから丸2というように、順番を付けていかないと結局どれも何も実現できずに終わってしまうということになりかねませんので、めりはりをつけることは、非常に重要だと思っています。

その関係では、米印になっているウェブキャスティングも視野に入れることは重要だと思いますが、最初からウェブキャスティングをやり始めたら、恐らく完成に至らないので、急がすにきちんと順序を付けてめりはりを付けてやっていく以外に方法はないから、ここに書かれているとおりです。1ページ目が終わって2ページでのアウトサイダー問題については、第35条のときと同じであり、常にこの種の問題は運用改善プラス法制という2本柱でいかなくてはいけないことは間違いないので、このとおりに両方やっていくということになろうと思います。

アウトサイダー問題というのは重要な問題なので、ここに焦点を当てていくということ。第38条、第40条、第68条といろいろありますが、ここも放送についてだけ書いてあって、インターネットには触れられていないからそこをやるという、割と単純な問題で、先ほどのような当てはめをしてよいので、それから、レコード演奏権も、最初からこれをやると恐らくまた時間掛かって全部が共倒れとなってしまいますので、このようなものもしっかりと視野に入れつつ、できるとこから確実にやっていくということをしないと結局どれも解決しないように思います。

長くなって恐縮なのですが、私としてはこの4ポツのところが非常に重要だと思っています。例えばドイツでは、著作権法を御覧いただくと、権利制限にはたくさん補償金が付いていますが、これは憲法的な問題などを非常によく考えた上のものであります。私は第1段階権利制限と第2段階権利制限と呼んでいますが、第1段階権利制限というのは許諾権だけ抑え込んで報酬請求権の方は残る、要するに、補償金が付いていて、権利者は、許諾権は行使できないが報酬請求権は取れるというもの、それから引用のように、報酬請求権も請求できないという第2段階権利制限の二つがあります。日本は今まで割とこの第2段階まで、許諾権も報酬請求権も全部、押さえ込む、制限するような強い権利制限のものが大半を占めたのですが、やはりそれは行き過ぎなので、だんだんと、第30条、第35条と許諾権は押さえ込むが報酬請求権はきちんと与えて、クリエイターの方にリターンが行くという方向になってきています。補償金制度を作ると運用が大変なのですが、そうしない限りは権利制限も余り進まないし、権利制限するとクリエイターには1円も行かないという大変なことになってしまいます。これは100、ゼロではなくて50、ゼロと言われることもありますが、権利制限はするがきちんと補償金でクリエイターにリターンが行くということになったら幅広く権利制限ができます。それぞれ考えるに当たっても、今まで権利制限というと引用型、1円も払わないというものしか余り念頭になかったのですが、これからはこの補償金というものが非常に重要になってくると思います。まさしく「録録」問題でこの会議体でも苦労しているところですが、今般のこの放送の問題を考えるに当たってもこの視点を忘れないようにしなければならないと思っております。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでしょう。

どうぞ。

【高杉委員】資料2のお話でございますけれども、事務局の方で用意いただいた資料2の考え方について、基本的には賛成でございます。

1の検討の射程・優先順位については、今求められているのは隣接権の取扱いになっておりますので、レコード、レコード実演、それから、映像実演についてが検討の最初になるのだろうというふうに認識をしております。

それから、2番目、対象となるサービスの範囲につきましては、これも求められているのは放送コンテンツに関わるものでありますので、それに限定してやはり議論を進めていくべきだろうというふうに考えています。

それから、3番目、権利処理の円滑化のための手法のところでございますけれども、基本的な考え方はこのとおりでよろしいかと思うのですけれども、数%のアウトサイダーに関する放送局の御懸念というのは理解をするものでありますけれども、そのために集中管理ができている九十数%のものまで権利を制限するというのはやはり行き過ぎであろうというふうに私は考えております。

したがって、集中管理では対応できない部分に限定して議論を進めるべきだというふうに思っております。その意味では、過去検討されたこともございますけれども、拡大集中許諾制度などの検討をもう一度した方がいいのではないかというふうに考えています。

それから、この3の三つ目のポツなのですけれども、放送のみに適用される現行規定の在り方について検討するということについては異論ございませんけれども、個々の規定ごとに見直しの必要性を慎重にやはり議論した方がいいのではないかというふうに考えます。

それから、レコード演奏権のところについては、やはり利害関係者が異なりますので、別の場での議論をすべきだと考えております。

それから、4の権利者の利益保護への配慮というところでありますけれども、ここに書かれておりますとおり、繰り返しになりますけれども、放送番組のインターネット送信について、集中管理によるライセンス市場がもう既に形成されておりますので、その市場に悪影響を与えることのないように十分留意して進めていただきたいというふうに考えております。

以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでしょう。

どうぞ。

【小寺委員】今後の議論の進め方というか、方向性についてちょっとアイデアを申し上げたいというふうに思いますけれども、放送に関しましては、著作権の在り方というのはもうある程度完成されているというか、うまく回っているというふうに私は理解しておりまして、それをネットの方へ単純に拡大した場合にどんな齟齬が出るのかということも、やはり一度はきちんと検証してみなければならないのかなというふうに考えております。

といいますのは、同じような御意見はNHK様、あるいは、民放様からも御要望として承っているところでありますので、やはりそこは無視できないところであろうということは一つあります。

消費者側から見ていくと、著作権法で今現状放送とネットは技術で線を引いているという部分がございます。それはもちろん線を引くために技術論を持ってくるのは非常に正しいのですけれども、一般視聴者からすると、テクノロジーというのは普及すればするほどどんどん後ろ側に入っていきますので、例えば、テレビを見るという行為に対して、それはテレビジョンセット(電波)で見るのか、あるいは、スマートフォン(通信)で見るのかということが、技術的にほとんど区別がつかなくなっていく世界がもうすぐ来ることになろうかと思うのですね。そうなったときに、背景にある技術が違うからこれこれこのように著作権法が違うのですと言われて、国民の理解が得られるのかどうかというところは、私ども消費者団体としては非常に懸念するところであります。

ネットはネットで新しく権利を検討していくという方向性はもちろん重要ではありますが、やはり冒頭に申し上げたように、放送で今完成されているものネットの方へ移したらどうなるのかというシミュレーションもやはり一度検討してみたいというふうに思っております。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

【内山委員】ありがとうございます。資料2に関してですけれども、まず総論的には大筋賛成といいますか、よく出てきたなという第1印象でございました。

3ポツの一つ目の丸と二つ目の丸、これが並行でうまく検討されることで前進できるかなというのがまず大筋のところでございます。

表面に戻って、1ポツの課題の順序の問題ですけれども、言葉に出していいかどうかちょっと迷うのですけれども、1、レコード及びレコードに録音された実演うんぬんという、このアジェンダを設定したのは多分文化庁さんでもなく、総務省でもなく、規制改革だと思うのですね。そういう諮問が出てきて、それに対して答申している面も多分あるのだろうなというところは、個人的な読み取りとして読んでおりました。その後に丸2があって、その緊急性・重要性に応じて継続かつ総合的に検討を行うこととしてはどうかという形で来ておりますので、実は丸2の方に正直期待をしているというところがございます。

その丸2の中身を構成しているのが、3ポツの上の一つ目と二つ目の丸のところではないかなというふうに考えています。これも、基本的に規制改革はその運用と法改正と両面で検討してください。だから、運用がうまくどんどんどんどん改善していって、それがうまくいくのであれば法改正の必然性は下がるでしょうけれども、その運用の方もなかなか足踏みしてということになれば、やはり法改正もという、その両にらみということで言われているかと思いますので、このあたりが一番肝腎なところじゃないかなというふうに思っております。

何度も言ってごめんなさい、2ポツのところになります、表面ですけれども、そのウェブキャスティングを入れるか入れないかという問題ですけれども、これはちょっともう完全に個人の意見として申し上げますけれども、日本の国の中では今世界的にあるそのウェブキャスティングをどう扱うかということに対して、どこでも議論は行われていないというのは事実だと思います。多分文化庁ではないと思うのですけれども、総務省でも、経産省でも、それから、知財でも、放送に由来していないネット上のストリーミングなり、その配信サービス、あるいは、ウェブキャスティングというものの扱いということに関して、多分どこでも議論していないと思います。

ヨーロッパなどは2000年代の後半から10年ぐらい議論をやって、それでようやく数年前のAVMSD(オーディオビジュアル・メディア・サービス・ディレクティブ)の改正までつながっている、10年がかりで議論していたということもありました。

そういう状況を見ると、実態的には公衆向けのサービスであるウェブキャスティング、でも、今の法体系上は、当然通信ですから、私的サービスになっている、この扱いというのが正直宙ぶらりんになっているというとこがありまして、今ここでその著作権の改正をしようとしたときに、その前提条件はかなり揺らいでいる感じがいたします。そういう意味では、一旦まず、レガシーかもしれませんけれども、レガシーな放送の方の扱いを決めて、それで、次いでウェブキャスティングの議論をするという方が、整理ができるかなという印象を持っております。

以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかいかがでしょうか。

どうぞ。

【丸田氏((株)テレビ東京ホールディングス)】在京キー5社としましては、やはり、先ほども御意見ございましたけれども、放送局が行う放送番組の同時配信等については、放送サービスの1形態と位置づけて、放送で許諾した場合は同時配信も行えるような制度改正なり仕組みづくりなりを御検討いただきたいというふうに考えております。

私どもが非常に悩ましいと思っておりますのは、同時配信は放送とは異なる権利だということで、許諾を得られなかったり、放送と同等若しくは放送以上の対価を請求されたりということで、利用を諦めざるを得ないということが発生しかねませんので、そうなった場合に、視聴者の皆様からすると、同じインターフェースを使っていても、ワンセグでは問題がないのに同時配信ではふただらけの映像を見せられるというようなことが起こりかねませんので、私ども放送事業者としてはそういった理不尽さを緩和、解消できないかというふうに考えております。

【末吉主査】どうぞ。

【中戸川委員】今後放送と配信についてそれぞれ検討していくということについては、私も理解しております。

一方では、音楽著作権の管理については、演奏権と複製権ではもともと歴史的にかなり違う部分がありまして、演奏権、広くは放送権も入りますけれども、一回でなくなってしまうというところがあります。一方では、複製権については、何度もその後コピーされて広がっていくということもありますので、著作権者としては複製権についてはある程度の厳格な気持ちを持っております。

配信については、複製がどうしても関わるところでございますので、やはり配信と放送というのはそれぞれ別に考えて検討していくべきだと考えております。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでしょう。

どうぞ。

【今村委員】資料2の4の権利者の利益保護の配慮という部分で、私はこの部分がこの問題について一番重要な観点というか、忘れてはならない部分だと思っているのですけれども、どのような制度をとるにせよ、個別の権利者にきちんと利益、対価が還元できる制度であれば納得感が得られるものになると思われます。ただ、先ほど大渕委員からお話があったように、いろいろな権利制限の在り方があるわけです。ライセンスということになると、得なければ無許諾になりますから、正確に分配するというとこも含めてしっかりやっていこうというインセンティブが徴収する側にも出てくると思うのですが、報酬請求権とか補償金というのは少しそのレベルが下がる場合もあるでしょうが、補償金について言えば、もともと正確な分配ができない私的録音・録画補償金制度のようなものもある一方で、教科用図書の掲載で使う場合の補償金制度のように、当然正確な分配をしていくというような意味での補償金もあります。著作権法にもいろいろな制度が権利制限として、許諾権を制限する場合の補償金とか、あるいは、許諾権ではなく報酬請求権化した権利としてあります。ただ、このたたき台の最後にあるのですが、出口の部分で様々な権利者に適切な対価が受け取れるようにするという観点を意識するということが重要で、その辺に配慮しながらの検討が望まれているのではないかというふうに思います。

【末吉主査】どうぞ。

【梶原委員】議論の進め方ですけれども、基本的には、この1ポツの最初の丸に書いてあるように、著作権法上の権利の在り方について差異がある部分、ここについてやはり議論していただきたいということで、少なくとも隣接権に限らず、2ページ目に書いてある、いわゆる権利制限規定でも、放送とインターネットで差異がある部分についても含めてやはり議論する必要があるかなというふうに思います。

恐らく平成18年も、最初はレコード等から課題があるということで議論されていたと思うのですけれども、最終的には権利制限規定についても改正をされていますので、やはりその部分を含めて、最初から含めて議論していただくことが必要かなというふうに思います。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

【奥邨委員】資料2の4の権利者の利益保護への配慮の部分ですけれども、既に形成されたライセンス市場の問題と見込みのある市場の問題の二つが出ておりますけれども、既に形成された市場については、基本的には実務的な対応で、現状ある程度うまくいっているはずであって、足りないところは運用面の課題で解決できるところも多いと思います。そして、それでもできないところは権利制限をと考えていくのでしょう。一方で、見込みのある部分については、見込みというのは、程度問題としていろいろあるわけでして、ほぼほぼ確実なものから、権利者が期待しているにすぎないというレベルまでいろいろあるのだろうと思います。見込みの低いものというのは、逆に利用者の側から考えれば、権利制限の必要性が強いということにもなるわけです。ここ、こういう書き方で構わないとは思うのですけれども、ただ、その見込みのものについては、そのレベルを問わずざっくりと同じように議論するということだと、やはり議論が複雑になると思います。基本的には、市場が既に確立したものとほぼほぼ同視できるような、ある程度見込みの高いものを念頭にまず議論していかないと収拾がつかなくなっちゃうかなと、いろいろふくそうするかな、と思っております。

あともう1点だけ、これ今後の議論の過程でということなのですが、2ポツのところ、これ先回のヒアリングでも伺ったように、まだまだ各サービスをどういうふうに位置づけるかというのは、実は、言葉はあるのだけれども理解が整理できているかどうかというのは非常によく分からないところだというお話がありました。

例えば、ここに追っかけ再生というのがあるのですが、具体的には何を意味するのかというのはよく分からないところであります。再生と言っちゃうと、本来は録音録画したものを前提とする概念であって、そういう意味では、追っかけ配信ということが言いたいのかどうか、それとも、手元で録画したものも入れるのか、どういうイメージなのか。

また、追っかけ配信と、今度は見逃し配信との違いは何なのだろうかと。例えば、追っかけ配信というのは放送波で番組が流れている間に遅れて見ることであって、終わってしまってから見るのは見逃し配信だと、そういう区別があるのかないのかとか。

もちろんそういう区別を細かく議論することが、先ほど小寺委員からもありましたように、必要があるのかどうかということは最終的なまとめのところではあると思います。結果的には余りその必要はないということかもしれません。ただ一方で、ざっくりと議論し過ぎてしまうと、つまり整理しておかないと、本当にやりたいこと、若しくは、やりたくないことが入ってしまうということもありますので、その辺はここでの議論で必要な範囲で整理をしておくということはどこかで必要なのかなというふうに思っております。

以上です。

【末吉主査】どうぞ。

【椎名委員】大方の先生方は、やはり段差をつけてということをおっしゃいました。そのこと自体に僕も反対するわけではなく、やはり同時配信についてミッションがあると。そのことを求められているということであるからには、そこにプライオリティを持ってということは分かります。結果としてここの2ポツに書かれている書かれ方に対しては、僕は結構これでもいいかなとは思っていて、ただ、やはり同時配信の話をしていけばしていくほど、公衆への伝達全体の話にどうしても行くのだろうというふうにも思っています。この書かれ方は非常に微妙な書かれ方していますが、来期の小委員会のミッションとして、公衆への伝達全般に係る総合的な見直しということを入れておいていただいて、この同時配信等との議論の発展の中でそういったことを検討していただくというような形であればうれしいなというふうに思っております。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

【龍村委員】今の椎名委員の意見とも親近性がある話になるかと思いますが、資料2の1ポツにある丸1、レコード及びレコードに録音された実演等の利用円滑化を優先するということになりますが、これは放送コンテンツの今回の同時配信という問題からそもそも発端いたしましたので、その中の、特に丸1部分を優先するという発想は分かるのですが、根本においてその部分とウェブキャスティングというのは共通の問題を含むのであって、それらは地続きの問題かと思います。

ですので、今回優先度が非常に高いということで、放送コンテンツの同時配信絡みでこの1ポツ丸1を議論することを優先するにしても、2ポツの米印の下から2行目、ウェブキャスティングに係る権利処理の円滑化も視野に入れつつ検討を進めるということで、そういう関係があることは意識されるべきかと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【前田委員】今のお話が出ておりますウェブキャスティングに関してなのですけれども、仮に権利制限プラス補償金ということを考えるとした場合に、ウェブキャスティングと、放送の同時配信とはかなり違う問題になってくるのではないかと思います。

といいますのは、放送の同時配信につきましては、放送法の関係がございまして、主体が明確であるということになると思うのですが、ウェブキャスティングになりますと匿名の個人によるものも含まれてまいりますので、仮に権利制限プラス補償金という制度を作ったときに、補償金制度が実効性を持つのかという問題が出てくると思います。そういう意味で、放送事業者によるものとウェブキャスティングとは取りあえず分けて検討する必要があるのではないかと私は思います。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【椎名委員】今おっしゃったところは非常に、権利行使の実効性みたいなことだと思います。ウェブキャスティングのことを考えていくときに、非常に重要な論点ではないかと思うのですが、逆に、僕らの中で話し合っているのは、報酬請求権化と一口に言っても、例えば、米国の強制許諾制度等、ある種の要件を課した上でその制度が働くというような、そういう議論の中である種解決していける問題ではないかというふうに考えていて、我々も実にその関心を持っている部分なのですね。それ議論の中で様々な方法論を検討していけば解決する問題ではないかというふうに思います。

【末吉主査】どうぞ。

【大渕主査代理】少し前の方から出ている問題は、やはり私が先ほど申し上げましたように、放送とウェブキャスティングというか、ネットというのは異なるというところがやはり出てきて、放送とネットとの関係という非常に大きな問題を今後どうするのかということにつながります。今後、ウェブキャスティングが非常に大きくなることは間違いないのですが、まずできるところからやるという観点からは、その大きな方を一遍にやると、みんなこれから10回ぐらい議論してということになってしまいます。大きな問題を常に念頭に置くことは重要ですが、今回のも放送の延長線上にいわばネットをくっつけるような形で同時配信をやっていますが、そのような放送から出発しているものと放送と関係ないネットというのはやはり違うことは間違いがないので、そこのところはきちんと分けた上で、まず、先ほどレガシーとか言われていますが、放送及びその延長線上にあるものを固めていくことを喫緊の課題としてやって、それからこのウェブとやらないと、結論が出ないことになってしまいます。喫緊の課題というのは本当にすぐにでも結論を出さなくてはなりません。ただ、その際には、おっしゃるとおりで、どうしてもネットの方が非常に強いところがありますので、そちらの方がだんだん中心になっていくことはもう避け難いかと思います。そのところは十分に念頭に置く必要はありますが、念頭に十分に置いた上で、放送関係のものに絞って、すぐにでも結論を出さないと、本小委員会の責務を果たすことにならないと思っております。

それと、どなたか先ほど言われたように、用語が「追っかけ再生」になったり、「配信」になったりしますが、配信と再生だと、複製を伴うか伴わないかで著作権法上大きな差異がありますので、きちんと用語の定義もした方がよいと思います。何となく「追っかけ」などと日常語として使われている言葉をそのまま使うと何のことか分からなくなるので、そのようなことも含めてきちんとやっていく必要があると思っております。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかが。

どうぞ。

【小寺委員】まだちょっと考えがまとまっていないところではございますが、ウェブキャスティングの話になっておりますので、ちょっとここで御意見を申し述べたいと思います。

まず、放送されるテレビ番組というのは制作のプロセスの段階で放送法の縛りを受けておりますので、例えば、そのコンテンツの中身が公序良俗に反しないとか、あるいは、反対意見も公平に放送するとか、あるいは、著作者人格権を激しく損なうとか、そんなことがないように配慮されて作られているコンテンツでありますので、権利者の方にとっては安心できる表現のコンテンツということが、ある意味放送法で担保されている部分なのかなと。それがネットに乗るということで、何か大きく、何かが毀損されるということでもないということでは、放送がネットに乗るということに関しては余り差異がないと私は考えております。

一方、ウェブキャスティングというのは放送法の縛りなくコンテンツが作られますので、やはり中身というか、表現の仕方が違うといいますか、そういうところにも、ある程度着目をせざるを得ないことなのではないか。放送の扱いをネットへ広げると先ほど申し上げましたけれども、それはウェブキャスティングまではちょっと広げづらいのではないかというふうに私は考えます。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【内山委員】具体的なことで言うと、その時間の問題がやはりあって、同時発信はこの2020年、NHKさん含め始められることになっておりますし、かといって、ウェブキャスだって放っておける話でもないのは事実で、例えば、2030年と言えば皆さんもう多分納得されるように、インターネットがメディアの中心になっているよねと合意されると思いますし、もっと手前で、例えば、それが2025年とかあたりでもうそうなっているのではないのとか、あるいは、既に若い世代は現時点でもそうだよということだと思いますので、ウェブキャスだって放っておけるわけではない。だから、中期的にはやらなきゃいけないということですが、同時配信はとにかく今年の問題なので、そういう意味での優先順位みたいなものはあろうかと思います。

それから今小寺さんおっしゃったとおりで、内容面に関しては、放送局はいろいろな手かせ足かせ状態で、放送法とBPOと、いろいろな縛りをかけられながら、そのかわり、公衆に出せるコンテンツを作ってきているというのはあります。そこも差異としては、EUの中でもそういう議論はありました。つまり、コンテンツの安心をどう担保するかというもので、倫理的なところを含めてですけれども、やはり程度差があるよねという議論はありましたので、ウェブキャストの議論をやるときは多少片隅に置きながら議論しなければいけないかなというところがあります。

それから、奥邨先生も御指摘されていた部分で、追っかけ再生とか見逃し配信の定義の問題で、いまだに僕も具体的な定義を見たことはないです、正直言うと。ただ、概念的にはやはり浸透はしている部分があって、でも、恐らく法体系化する中ではどこかである程度ガイドライン的には作っていかないと議論が進まないだろうなというふうに思います。個人的にはずっと数年前から、見逃しはどこから見逃しなのというのは常に思っておりました。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【今村委員】このウェブキャスティングに関する議論の部分なのですけれども、先ほど前田委員からもお話がありましたように、それを行う主体の明確さというか、その主体にどの程度規制が及んでいるのかというのは、最終的に、権利制限等をした場合に補償金や報酬を支払う義務を負う者がきちんとその義務を果たすかどうかという部分とも関わってくると思います。その点で、ウェブキャスティングを行う主体は、放送を行っている主体と随分違う部分があります。権利処理の円滑化という部分では、主体がどうあれ、権利制限もライセンスの円滑化も同じように考えていっても差し支えのない部分が多いと思います。しかし、権利制限プラス補償金とか、あるいは、報酬請求権化とかいう議論をするときには、やはりその主体自体に何らかの規制が及んでいるかどうかで区別する必要があり、例えば実際に補償金をやっている教育の場面での権利制限とかは、誰が支払義務を負うのかということをかなり明確に決めることができる、そういう規制産業ですし、この点は放送の利用もそうだと思うのですけれども、ウェブキャスティングの場合にはそうではない部分がまだあるように思います。ちょっと詳しいことは分からない部分もあるのですけれども。なので、放送局が行うとは限らないウェブキャスティングについては、分けて検討していく部分と、共通で議論できる部分と、両方あるのではないかというふうに思います。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

すみません。どうぞ。

【河島委員】先ほどから皆様の御意見を伺っておりまして、検討の射程と対象とするサービスの範囲ということについて、広いところも念頭に置きつつ、でも、やはり時間的な問題等、今後この委員会としてやりやすいところを取りあえず先に進めて、それなりの前進というか、成果を上げつつ、次の課題というのに移っていくのが、やはり進め方としてはよいのではないかなというふうに思いました。

それで、その意味では、やはり放送の同時配信というところから本当に取りかかる必要があると思うのですけれども、冒頭に丸田様が丸1の検討の射程・優先順位の中での丸1というレコード及びレコードに録音された実演等の利用円滑化というところは、実は在京キー局としてはそれほど優先順位が高くないというようなことをおっしゃったのですが、それではどういう問題の方が優先順位が高いのかということと、それがこの委員会としてやりやすい、取りかかりやすい課題なのかどうなのかということを少し検討されたらいかがかと思いました。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

今ので何かコメントございますか。

【丸田氏((株)テレビ東京ホールディングス)】やはり在京キー5社としましては、権利者団体さんがいらっしゃる、大きな権利者団体、集中管理をされている権利者団体さんがいらっしゃる分野については、お話合いの中で解決していくことということも可能かと思っておりますので、大きな集中管理を行っている権利者団体さんがない分野、特に放送で言うと、写真とか、記事とか、借用する映像とか、美術品とか、絵画とか、そういったものの権利処理については、これら一件一件個別に許諾をとって対価の交渉をしなければいけないという課題がありますので、こちらの方が私どもとしては優先順位が高いというふうに考えております。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでございましょう。

どうぞ。

【小寺委員】先ほど来から追っかけ再生及び見逃し配信の言葉の定義は何だというお話がちょっと出ておりますので、私のつたない知識を披露させていただきたいと思うのですけれども、追っかけ再生というのはもともとテレビのレコーダーから発生した言葉でございまして、その昔VTRで撮っていたころは追っかけ再生はございません。なぜならば、録画を止めないと再生に入れないからですね。ハードディスクになってから、録画しながら再生ができるようになったので、番組をオンエアー中に頭からそれを時間差で再生ができるようになった、それを追っかけ再生という言葉で表現をしておりまして、これは現在もそのままの言葉で御認識を頂ければと思います。

一方、見逃し配信というのは、これは配信という名があるとおりもうネットのみの話でございます。見逃したというわけですから、番組自体は放送時間を終了して、蓄積型のネットサービスから、番組の権利者が持ってらっしゃる番組の権利者がそのサービスへその番組を登録して、そして、登録できて初めてユーザーはそれにアクセス可能になるという、非常に大きなタイムラグがあるものが見逃し配信でございます。

追っかけ配信という言葉を使っているネットもございますけれども、こちらは私の観点からすると、追っかけ再生と見逃し配信を混同した誤用の可能性は非常に高くて、今現状ネットで見られるものは、もう大半見逃し配信であるというふうに考えております。

【末吉主査】ありがとうございました。

ほかにいかが。

どうぞ。

【今子委員】先ほど内山先生の方から、ヨーロッパの法制度の議論のお話がありました。私も余り詳しいわけではないのですけれども、ビジネスの実態も、同時配信やウェブキャスティングなど、ヨーロッパ、特にイギリスなど、進んでいるなというふうに思っています。皆さん御承知のとおり、BBCではもう何年も前から同時配信を行っていますし、若者向けの、例えば、チャンネル4とかでしたら、テレビの放送ではなくて、もうインターネットのみの配信をするとかというような取組も行われているということは聞いております。

また、先ほどウェブキャスティングのコンテンツの質をどう高めるかという議論もされていたということで、すごく興味深いなというふうに思いまして、事務局にお願いするのか分からないのですけれども、同時配信、それから、ウェブキャスティング、それぞれ諸外国でどういう取扱いがされているのか、実態はどうなっているのかというのは詳しく知ることができたらなというふうに思っております。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

【奥邨委員】1点だけ、先ほど小寺委員からもありましたけれども、私が気にしていますのは、追っかけ再生、ユーザー側の追っかけ再生の話だったら別段議論する必要はないので、サービス提供側が追っかけ再生と同じようなことを提供するというケースなので、それをもって追っかけ配信という方が正確かもしれないというふうに申し上げたということになります。ユーザーの方の録画したものを後で家で見るというのは別段ここで議論する必要はなくて、もう第30条でオーケーなっていることですから構わないのですけれども、そうではなくて、ずらして送るというときに、放送が流れている間に送るのか、それとも、終わってから送るのか、そのことで何か著作権法上差をつけて検討する必要が本当にあるのかどうかよく分からないのですけれども、何かサービスで特に気をつけていて、若しくは、権利処理の関係でそれによって差が出るのだということであれば、手当てをする必要があるのかないのか、というようなことなのかなと思っております。

取りあえず以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【太佐委員】すみません、1点だけ要望ということになるかと思いますが、先ほどの、資料でいうと資料2の項目3のところの「運用面の改善」ですとか、項目4の「既に形成されている又は形成される見込みのあるライセンス市場」ですとか、そういった実際にもう既に現場で起こっているものがある程度並行して進むというのが、ある意味現実のビジネスを考えると理想的なのかなと思いますが、こういう権利処理の現場に直接関わっていない当事者からすると、どこまで何ができているのかというのは非常に見えにくいというか、全く分からないところです。先ほど今子委員の方から海外の動向というお話がありましたけれども、それと併せて、国内でどこまでできているのかというところも、ある程度今後この場で御紹介いただければ、法改正の議論をするときに、特にウェブキャスティングまで視野に入れて議論するとなると非常に重要な情報かなと思いますので、そのあたりは今後の要望としてちょっとお聞きいただければと思います。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがですか。

どうぞ。

【河村委員】先ほど来からの追っかけ再生、見逃し配信に関してですが、いわゆる厳密な追っかけ再生のことであれば、恐らくここから消した方がよろしいと思います。録画しながら数秒遅れとかで見るとかというのは全然違う話なので。

先ほど小寺委員がおっしゃったことにも関連しますが、消費者から見て、テレビの放送波で来たものなのか、インターネットを通じてテレビ画面から映っているのかなんてことは、それこそシームレスで、7時からの番組が7時にテレビから流れている限りにおいて、それは技術が違っても全く同じだと思っています。

多分全然消費者にとっても違うのは、いつでもそれが見られますという、見逃し配信です。見逃し配信はすごく限定的にやられているところもあるし、それこそきちんと定義した方がいいのは見逃し配信等のところだと思います。オンデマンドと見逃し配信の違いとか。NHKさんは2種類出していますね、見逃しと特選みたいな感じで。これらはテレビ番組表の時間に縛られずに見られるということで、放送と全く異なります。一方多少ずれて、1回だけ流れて、繰り返し見られないのであれば、たとえ数分遅れで流しているとかということがあっても、技術はともかく、消費者から見ると放送と変わりません。

いつでも好きな時間に見られるとなると、それはネットならではのサービスで、消費者としてとても期待しているところです。今後視聴スタイルはそうなっていくことは間違いないと思っています。時間に縛られてテレビの前に座る時代じゃなくなると。そこを視野に入れてきちんと権利者の方への対価が渡るようなルール設定をこの際していただきたいなと思っております。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがですか。

どうぞ。

【龍村委員】用語の問題として、確かに追っかけ再生、見逃し配信がいろいろ混乱しているわけですけれども、上位概念として何か便利な言葉というか、例えば、タイムシフト配信とか、何かそういうのを作った方が分かりやすいかもしれませんですね。その中に幾つかの種類があるとか。提案。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでございますか。

どうぞ。

【大渕主査代理】 タイムシフトがあるということは複製的な面があるわけですから、そのような意味では、著作権法上は大きな違いがあります。追いかけるかどうかというより、判例で言えば、まねきとロクラクが似たようなものなのに二つ判例があるのは、やはりタイムシフトがあるかないかで非常に違うからであります。今アメリカでもたしかタイムシフトには判例があるけれどもそれ以外はないとかいうように、タイムシフトというのは非常に大きな概念なので、何かわかりやすいところで区別する方がよいと思います。追っかけかどうかというのをいろいろ言っても、定義が多過ぎて、これだけでまた議論にいなってしまいます。やはりタイムシフトなどの分かりやすいメルクマールで整理した方がよいのではないかと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【奥邨委員】確かに、タイムシフトという言葉もいいのですが、気になるのは、タイムシフトというのはどうしても私たちユーザー側のタイムシフトの意味でずーっと使ってきています。一方、今回はユーザー側のタイムシフトではないのですね。差をつけるのは、サービス提供者側の方が、今放送波で流しているものを、時間をずらして後で流すということを認めるかということなので、タイムシフトと言っちゃうとこんがらかるかな。さっきも出ていた米国の判例も明らかにユーザー側のタイムシフトの話になってしまいますので、サービス提供者側の概念として余り使ってきたことはないので、その辺は括弧書きで注意をしておかないとこんがらがるかなという気はいたします。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

【仁平委員】よろしいですか。

【末吉主査】どうぞ。

【仁平委員】私は実はドワンゴのニコニコ生放送というものでよく番組を作らせていただくのですが、そういう意味では、配信側の設定でタイムシフトというのができます。ただ、これも実はタイムシフトは幾つもあって、例えば、1週間以内、1回だけは見ることができますよというタイムシフトを設定して番組を私が作ることもできれば、もう何年間でもずっと1回だけなら見ることができるよというタイムシフトもできる。もっとすごいのは、ほぼアーカイブと同じなのですけれども、何回でも何年間でも見られますよというものがあって、これもやはりタイムシフトという言葉で呼んじゃっているのですね。

そうなってくると、同じタイムシフトなのにいろいろな意味が出てきて、最後に私の言ったタイムシフトは正にアーカイブとほぼ同じ意味なので、やはり言葉はすごく大事かなと思っています。

なので、番組制作会社の人と一緒に番組を作るときには、そのあたりすごく細かく言っています。私の使うタイムシフトという言葉と番組制作者の使うタイムシフトという言葉が明らかに違う場合があります。

もっと言うと、ニコニコ動画の場合はニコニコ生放送というふうに、放送と言ってしまいます。そうすると、芸能プロダクションの方だとかは、放送なんですかというふうに捉えてしまうことがあって、実はこれ配信なんですという、後でちょっとよく分からないことも起きてしまうので、言葉の定義は非常に面倒くさいのですが、この機会ですから、どういうものを我々はタイムシフトと呼んで、どういうものをアーカイブと呼ぶのかとか、何か決められた方がいいかなというのは感じました。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

どうぞ。

【内山委員】多分私より事業者の方に言っていただいた方がよかったのですけれども、どういうネーミングにするかは別にして、要は、4区分あるということを御理解いただきたくて。その電波放送等にサイマル、若しくは、ニアサイマルという、同時配信というふうに言っているものが一つ目です。それから、同時配信中に頭に戻って再生をかけるという、ここで言う追っかけというふうに言っているもの、これが二つ目の区分としてあります。それから、電波での放送が終わってから見逃し再生できるようにということで、例えば、日本は放送終了から大体7日間、外国はよく30日というのもありますけれども、その期間中見られる見逃しというふうに言っているものがあります。その見直し期間が終わってから、有料サービスの形でやっている、VODというふうに言っているもの、この4区分は実態のビジネスとしてはあるということを御理解いただいて、そこにどういうネーミングをつけるかは法律の先生方に任せたほうが多分よろしいかなと思いますので、よろしくお願いします。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがですか。大体伺うべきところは。

どうぞ。

【前田委員】すみません、細かな言葉の問題にすぎないことなのですけれども、資料2の3ポツの三つ目の丸のところで、第40条第2項(政治上の演説等の利用)という記述があるのですけれども、公開された政治上の演説は方法のいかんを問わず利用することができ、放送のみに限定されているものでございません。第40条第2項は、政治上の演説ではなく、国等の機関等における演説等についてのものであって、政治上の演説はもともと方法のいかんを問わず自由に利用できることになっておりますので、ここの括弧の中では、政治上の演説等という表現は適切ではないように思います。

以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

【大渕主査代理】先ほどの4分類まで行けばもっと細かいのですが、アーカイブというのは、別に立てるというよりは、タイムシフトの一部分と思います。タイムシフトとノン・タイムシフトで分けると、タイムシフトの方には瞬時で終わるタイムシフトもあれば、アーカイブのようなものもあります。もう少し整理した方がよいのかなという気はいたしますが、ただ、その中の一つのメルクマールとしてタイムシフトというのは大きな概念かと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。

いろいろ御意見いただきましてありがとうございました。今日のところはこんなところでよろしいですかね。

事務局から何かありますか。これでまとまるのかっていう話も。

【大野著作権課課長補佐】いろいろな注意点といいますか、留意点を頂きましたが、大きな方向性としてはおおむね認識は共有されたかと思いますので、今日頂いた御意見を踏まえて、若干の修正などをした上で、また次回御議論を頂きたいと思います。

【末吉主査】ちょっと1点確認なのですけれども、これを次回へ向けて方向性を取りまとめていくに当たり、何かもう少しこう、意見を頂いた方が、あるいは、意見を申し上げたいという方がもしおられたらば、いつぐらいまでに何か集約すると日程的によろしいですかね。

【大野著作権課課長補佐】次回が2月4日だと思いますので、その1週間前ぐらいまでかと思います。ただ、今日の御意見を受けた修正を事務局でまずさせていただきますので、それを送付して、恐らく会議の1週間前なりまでに更に御意見があれば修正を頂くというような段取りになろうかと思っております。またおって、事務的に御連絡を差し上げたいと思っております。

【末吉主査】お願いします。

次回は基本的な考え方を取りまとめるということになっておりまして、年度の都合で申し訳ないのですが、第3回目ではございますが、基本的な考え方を取りまとめなければいけないというところでございますので、本日の皆様方からの御意見等を踏まえながら、今の事務局のガイダンスのとおり、今後ともいろいろ御意見を付け加えていただいて、修正し、まとめ上げていきたいと思いますが、また次回審議をさせていただきたいと思います。

そのほかに御質問とか御意見とかございますか。よろしい。

どうぞ。

【仁平委員】すみません、ちょっと私の場合はネット系のクリエイターを管理させていただいているというところもあって、ちょっと皆様方と見ているところがかなりちょっと違うところが実はあるので、最後にちょっとそこの部分だけ、せっかくここにも書いていただいたので、いわゆるアウトサイダー対応というところの重要性というのをちょっと一言だけ言わせていただければと思います。

前回の私の話の中で、ネットクリエイターという言葉とネットクリエイター協会の会員という言葉を、ちょっと私自身も混乱させてしまったことがあったので、ちょっと1回だけ訂正させていただきますと、我々の協会に加盟しているクリエイターさんの実演家の権利や、レコード制作者の権利に関しては、それぞれ音制連さん、芸団協CPRAさん、そして、レコード協会さん経由できちんと放送二次使用料等の対応もしていただいているのですが、世の中のほとんどのネット系の楽曲、これをネット系の楽曲と言ってしまうのですが、そういったところの楽曲はほとんどがいわゆるきちんと管理されていなかったり、例えば、メジャーからCDは出ているけれども、原盤供給の形なので、ISRCはメジャーの方で振れられて、原盤権利者本人はISRCすらよく分からなかったりとか、あと、世の中的にもいろいろな原盤が出ているので、オリジナルというのはどれなのだろうかというのを放送局の方たちがなかなかちょっと理解できなかったり、そもそもそれをどこで手に入れたらいいのだというのが分からなかったりすると。

この辺を解決するための施策として、文化庁様の方で今現在情報検索ナビというのをやっていただいて、今週も実は土曜日、我々の方で放送検索ナビの紹介する生放送をさせていただくのですが、とてもすごく有意義なプロジェクトだと思っています。

なので、放送検索ナビの中に僕の楽曲も入れてほしいんだよというような希望を持っているネット系クリエイターの方たちが今後どんどんどんどん出てくるのではないかなと思っていまして、そういったところにきちんと楽曲情報が登録される、実演家情報が登録される。もちろん正しい情報が登録されなければいけないので、管理体制は十分必要なのですが、そういったことができると、ここのアウトサイダー対応というところが意外とスムーズにいって、メジャーの楽曲対応とほぼ同じな形になるのではないかなと思っています。

具体的には、ISRCをきちんと本人が把握して振るとか、フィンガープリントをきちんと公式なものを作っていただくとか、そういったことだとは思うのですが、なので、ちょっとこのアウトサイダー対応に関しては、今現在文化庁様の方でやっていただいている情報検索ナビのさらなる充実化というところでできるのかなと思っていますので、その辺、皆さん、特に今日聞いていただいている方たちもそういうものがあるのだというのを是非御理解いただければと思います。

以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございます。

本日はこのぐらいにしたいと思います。

最後に、事務局から連絡事項、お願いいたします。

【堀内著作物流通推進室室長補佐】次回の開催につきましては、2月4日を予定させていただいております。また改めて通知をさせていただきます。本日はありがとうございました。

【末吉主査】それでは、これで著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第2回)を終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

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