文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第3回)

日時:令和2年2月4日(火)
10:00~11:05
場所:文部科学省東館3F1特別会議室

議事

  1. 1開会
  2. 2議事
    1. (1)放送コンテンツの同時配信等に関する権利処理の円滑化について
    2. (2)令和元年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について
    3. (3)その他
  3. 3閉会

配布資料一覧

資料1
「放送コンテンツのインターネット上での同時配信等に係る権利処理の円滑化(著作隣接権に関する制度の在り方を含む)」に関する基本的な考え方(審議経過報告)(案)(113.8KB)
資料2
令和元年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について(案)(150.7KB)
参考資料1
第19期文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第2回)における意見の概要(115.9KB)
参考資料2
同時配信等に伴う権利処理の円滑化のため対応が必要な課題取りまとめ(156.4KB)
参考資料3
「知的財産推進計画2019」等の政府計画(抜粋)(490.2KB)
参考資料4
音楽(商業用レコード・配信音源)を放送・ネット配信する際の権利処理に関する法制度概要(191.6KB)
参考資料5
オーファンワークス対策事業の概要(488.3KB)
出席者名簿(57.8KB)

議事内容

【末吉主査】それではただいまから文化審議会著作権分科会著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(第3回)を開催いたします。本日は御多忙の中,御出席を頂きましてまことにありがとうございます。

議事に入る前に本日の会議の公開につきましては,予定されている議事内容を参照いたしますと,特段,非公開とするには及ばないと思われますので,既に傍聴者の方々には入場していただいているところですが,この点特に御異議はございませんか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉主査】ありがとうございます。それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方々にはそのまま傍聴いただくことといたします。

なおカメラ撮りにつきましては,冒頭5分程度までとさせていただきますので,御了承ください。

続きまして事務局から配付資料の確認をお願いします。

【堀内著作物流通推進室室長補佐】配付資料の御説明をいたします。資料を2点御用意させていただいておりまして,資料の1といたしまして,「放送コンテンツのインターネット上での同時配信等に係る権利処理の円滑化(著作隣接権に関する制度の在り方を含む)」に関する基本的な考え方(審議経過報告)(案)と題する資料でございます。

資料2といたしまして,令和元年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について(案)でございます。

参考資料は5点御用意させていただいております。参考資料の1は,前回の本小委員会における各委員の意見の概要でございます。

その他,計5点御用意させていただいております。

不備等ございましたら職員までおっしゃっていただければと存じます。以上でございます。

【末吉主査】それでは,議事の進め方について確認をしておきたいと思います。

本日の議事は,1,放送コンテンツの同時配信等に関する権利処理の円滑化について,2,令和元年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等について,3,その他となります。

それではまず一点目の議事に入ります。

放送コンテンツの同時配信等に関する権利処理の円滑化については,前回の本小委員会において,事務局より基本的な考え方のたたき台をお示しいただき,意見交換を行いました。

その後,小委員会での御意見及び小委員会後に各委員から頂いた御意見等を踏まえまして,事務局において基本的な考え方の案を作成していただきましたので,事務局より案について御説明いただき,その後意見交換を行いたいと思います。

なお,第1回小委員会で,運用面の改善として,事務局よりコンテンツの権利情報集約化に関する取組について御説明いただきましたが,来年度より,個人クリエーター等の権利者情報をデータベースに集約する仕組みを構築するなど,さらなる運用面の改善を図るとのことですので,事務局に概要を御説明いただきたいと思います。

それではまず,来年度の取組につきまして,事務局より説明をお願いします。

【日比著作物流通推進室長】失礼いたします。参考資料の5に基づいて,今御紹介がありました,来年度予算において新規事業として予定をしておりますオーファンワークス対策事業,予定額4,900万円でございますが,これについて御説明を申し上げます。

恐縮ですが先に,この資料の1枚目の裏側,2ページ目を御覧ください。オーファンワークスを取り巻く背景・現状でございます。

左側の上にありますように,1億総クリエーター時代となりまして,例えば国民の約半数の6,200万人がYouTubeを利用するなど,動画投稿サイト・SNS等の普及により,誰もが著作物の創作主体となり,日々大量の著作物が流通するようになりました。

そのような中,真ん中でございますが,昨年度にTPP11や日EUのEPAが発効し,著作物の保護期間が50年から70年に延長されたことにより,オーファンワークスが増加し,課題が深刻化するとの声が関係団体等から多数上がっております。

また右側ですけれども,相当な努力をしても権利者と連絡がとれない場合に,補償金を供託して著作物を利用できる文化庁長官の裁定制度がございますが,この10年間で利用件数が大きく増加をしています。

更に右下にありますように,国においても,現在,分野横断型の統合ポータルであるジャパンサーチの構築を2020年,今年に目指している中で,さらに,裁定制度の利用ニーズが増加することが予想されております。

戻っていただきまして1ページ目を御覧ください。このような状況に対応するため,オーファンワークスの創作から利用までの各段階に対応した3本柱により,来年度から3年間で総合的な対策を講じていきたいと考えております。

一つ目として,真ん中の黄色い楕円の中にございますけれども,著作物を利用したくても権利者が見つからないという課題に対応するため,これまで構築してきた権利者情報のデータベースを更に充実をさせ,利用しやすくする方策を講じます。

二つ目として左下ですけれども,権利者を探し出せても,権利者が著作権に詳しくなく権利処理がうまくいかないという課題に対応するため,著作権の相続人等が簡単にできる契約書の作成支援や,著作権者が死後の権利の管理方法を考えたり,相続者が参考にしたりできるような終活・相続のためのガイドラインの作成を行います。

次に右下ですけれども,三つ目として,権利者に連絡が付かない場合の最終手段である裁定制度につきまして,利用者があらかじめおおよその補償金額を把握でき,オーファンワークスの利用が促進されるよう,過去の利用実績等を元にした補償金額のシミュレーションシステムを導入いたします。

各事業の詳細は3ページ目以降でございますけれども,簡単に概略を御紹介いたします。

まず3枚目のオーファン化防止対策事業です。こちらは今年度までの事業で,コンテンツの利活用を促進するために3年間行ってまいりました事業によりまして,音楽分野における権利情報を集約したデータベースの整備や,一括検索サイトの開設等を行ってまいりました。

この事業ではメジャー及びインディーズのCD情報や配信音源の情報を一定程度は集約できたものの,著作権等管理事業者に権利の委託をしていない個人クリエーター等の楽曲の集約には課題があったところでございます。

このため,データベースの対象楽曲の範囲を拡大し,著作物がオーファン化しない環境を目指し,例えばブロックチェーンやフィンガープリントといった技術の活用も視野に入れつつ,個人クリエーターが自主的に権利情報をデータベースに登録するインセンティブや,利用者が検索しやすくするための仕組みについて,初年度は2,900万円で,実態やニーズの調査研究を行おうとするものでございます。

次に4ページ目のオーファンワークスに関わる許諾環境の整備についてでございます。

著作権を有する人が,知識・経験不足で分からないということで,著作物の利用を許諾しない,あるいはされないという場面が減ることを目指しまして,著作物の捜索や利用を職業としない人々でも,著作物の利用許諾に関する契約書を簡単に作成できるよう,契約書のひな形を利用形態・利用条件等に応じて,半自動で作成できるシステムを構築いたします。

初年度1,000万円で,提供すべき著作権契約のひな形に関する調査研究を行います。

次に5ページ目を御覧ください。裁定制度の利用円滑化事業でございます。

裁定申請者がより制度を利用しやすくなるように,補償金額の範囲を事前に把握できるようなシミュレーションシステムを構築いたします。

初年度1,000万円で,過去の利用実績や管理団体の使用料等を分析し,入力すべき利用態様,数量,期間等の利用方法や算定式の設定等を行おうとするものでございます。

このように,オーファン化を防止する対策,それからオーファン化の途中段階である許諾環境の整備・改善,そしてオーファンワークスの利用の最終手段である裁定制度の利用円滑化を計画的に行うことによりまして,新しい時代に対応した著作物の円滑な流通促進の基盤を作ってまいりたいと考えております。

そしてこの事業は,本小委員会の議題でもございます放送コンテンツの同時配信に係る権利処理の円滑化にも資するものと考えてございます。説明は以上です。

【末吉主査】ありがとうございました。ただいまの点に関する御質問等につきましては,この後の意見交換の中で一緒にお願いをいたします。

続きまして基本的な考え方の案について,事務局より説明をお願いします。

【大野著作権課課長補佐】それではお手元の資料1を御参照いただきたいと思います。
「放送コンテンツのインターネット上での同時配信等に係る権利処理の円滑化に関する基本的な考え方」と題する資料を御用意しております。

先ほど主査からもございましたとおり,前回はたたき台としてお示しをしておりましたが,その際の御議論や会議の後に個別に頂いた御意見を踏まえて,審議経過報告の案という形で準備した資料となっております。

前回の会議でお配りした資料からの修正点を赤字にしておりますので,この部分を中心に御紹介させていただければと思います。

まず冒頭の4行では,この資料の位置付けについて記載をしております。すなわち本課題に関しましては,下記の4項目の考え方に沿って,関係者の意向を十分に踏まえつつ,より具体的な検討を早急に進める必要があるという問題意識を記載しております。

これに関しましては,注釈を二つ追加しております。

1点目は,民放各社においては,現時点ではサービスの実施について判断をしていないという旨を追記しているところでございます。

また注釈2としては,前回の議論の中で,諸外国の制度や現状の国内でのライセンスの実態などについて把握をする必要があるという御指摘も頂きましたので,具体的な検討を進める際にはそういった点についても確認しておく必要がある旨を追記させていただいております。

次に1ポツ,検討の射程・優先順位という部分でございます。

一つ目の丸では,様々な課題がある中である程度優先順位付けをして議論をしていくということを記載しておりました。

具体的には,丸1の著作隣接権の取扱いから検討に着手しつつ,その他の課題につきましても,継続的・総合的に検討を行う旨を記載しておりました。それぞれについて若干の追記を行っております。

まず丸1のところでは,レコードのところに注釈4を追記しております。前回の質疑の中で,この中にはCDなどのパッケージ音源だけではなくて,配信音源も含むという点についてやりとりがございましたので,その旨を明確化しております。

また,前回の資料ではレコードとレコード実演に特化して記載をしておりましたが,映像実演についても併せて議論が必要という御指摘がございましたので,映像実演についても明記をしております。

また括弧書きで下記3ポツに記載した現行規定の拡充を含むという記載をしております。これは,後ほど出てまいりますけれども,現行の権利制限規定などにおきましても,放送に対応しつつネット配信に対応していない規定がございますところ,この点については丸1の中で議論を行っていくものかと思いますので,ここに追記をしております。

それから丸2,著作権の取扱いを含めたその他の課題につきましても,重要な課題だという御指摘を前回頂いたところでございまして,放送事業者からの要望が強いという旨を本文に追記をしております。

また注釈の5の部分では,同様の問題意識でございますけれども,むしろ集中管理の進んでいない音楽・レコード以外の分野である丸2の課題の方が優先順位が高いという御意見が民放からございましたので,その旨も追記させていただいております。

本文の二つ目の丸では,特に丸1の課題については,間もなくNHKによる同時配信が開始されることも踏まえつつ,より早期に検討する必要があるという旨を記載しているところでございます。

次に2ページにまいりまして,2ポツ,対象とするサービスの範囲という部分でございます。

こちらは前回から,同時配信に限らず,様々なサービスを射程に置いた検討をする必要がある旨を記載しておりましたところ,若干の表現の修正などを行っております。

前回,常時同時配信という言葉を使っておりましたが,常時かどうかは必ずしも本質的でないという御指摘も頂きましたので,放送の同時配信ということをまず書いております。

それに限らず,という部分の後におきましては,前回,追っかけ再生,見逃し配信という書き方をしておりましたが,この言葉の使い方については様々,整理が必要という御意見もございましたので,より一般的な言葉で記載をすることにしております。

具体的には,一定期間の中でリニア放送と意図して時間をずらし配信するものや,その一定期間終了後に再活用する配信などということで,ニュートラルな記載にしております。

その上で注釈の6,7のところでは,それぞれ想定される具体的なサービスの名称などを記載し,更に注釈の8番では,具体的な検討を進める際にはこういった多種多様なサービスの内容,位置付けをよく整理しておく必要があるということを確認的に記載しているところでございます。

また本文で,事業者の多様なニーズに対応したという部分に括弧書きで,将来的な事業の見通しを含むという旨も記載したところでございます。

また,これと同様の問題意識でございますけれども,一つ目の米印,3行の部分を新たに追加しております。

具体的には,民放テレビ事業者の多くは放送の同時配信等を本格実施しておらず,民放テレビ事業者が行う同時配信等サービスの具体像は明確になっていないため,多様かつ柔軟な同時配信等サービスの可能性が担保できるように留意して検討する必要があると,こういった記載を追加すべしという御意見を頂きましたので,その旨記載をしております。

それから二つ目の米印がウェブキャスティングの取扱いについてでございます。前回の議論の中では,放送コンテンツのネット配信とは異なる部分が多いという御意見がございましたので,若干の追記をしております。

一つ目は,実施主体が違うという御意見がございましたので,実施主体を明記しております。その上で注釈の9番で,より具体的な問題意識を記載しております。

ウェブキャスティングについては,実施主体として匿名の個人なども含まれるため,仮に補償金付き権利制限を設けた場合に,補償金の徴収等適切に行うことが困難な可能性があるという御指摘がございましたので,その旨記載をしております。

一方でこの点につきましては,ほかの委員から,アメリカのように許諾権は維持しつつ,一定の要件の下で強制許諾を行うなど,手法によってはこの問題も解決可能だという御意見もございましたので,その旨も併せて追記をしております。

それから米印の3行目あたり,サービス・コンテンツの多様性,内容面の規制がないという部分について,前回の議論の中では,ウェブキャスティングについては,放送コンテンツと異なって内容的な規制がかかっていないという点についての御指摘が複数委員からございましたので,その旨を追記しております。

こういった観点から,ウェブキャスティングと放送のネット配信を一律に取り扱うことは難しいというのが前回の議論の大勢だったかと思っておりますけれども,一方で,前回頂いた御意見の中で,制度面ではなかなか一律の取扱いは難しいとしても,運用改善については共通で議論できるのではないかと,こういった御意見もございましたので,注釈の10番として追記しております。

それから,ただし以降につきましては,ウェブキャスティングの重要性について言及した部分でございますが,ここに,国際条約に定める公衆への伝達に該当する点では共通しているという問題意識や,注釈の11番において,諸外国の著作権法では放送とウェブキャスティングを同じ取扱いとしている例が多いなどという御指摘についても,追記をさせていただいております。

また,同様の問題意識かと思いますが,注釈の12番でウェブキャスティングと同時配信では伝送経路が同じだということから,イコールフッティングに留意する必要があると,こういう御指摘も頂いておりますので追記をしております。

それから注釈の13から15番も新たに追記をした部分となります。

まず13は,集中管理の実態についてでございますけれども,ウェブキャスティングにおけるレコードの利用は集中管理が進んでおらず,円滑な権利処理が課題になっているという御指摘がございました。

一方でこれに関しましては,レコード製作者の団体では2018年3月に集中管理の方針を既に決定しており,実演家団体との協議を1年半にわたって進めているという御説明もございましたので,併せて記載をしております。

それから14番,来年度の検討に当たりましては,ウェブキャスティングの取扱いを議論する際には,ウェブキャスティング事業者からのヒアリングも実施すべきという御意見を追記しております。

それから注釈の15番は,少し広い視点での御指摘でございますけれども,日本では,ヨーロッパのようなウェブキャスティングのメディア全体の中での位置付けについての議論がされていないため,そもそも著作権について十分な議論をするための条件が整っていないこと,一方で,現実のネットシフトは急速に進んでいるため,さほど猶予はないことについて御指摘を前回頂いておりますので,追記をさせていただいております。

次に3ページにまいりまして,3ポツ,権利処理の円滑化のための手法についてでございます。

一つ目の丸で運用改善,二つ目の丸で法整備について記載をしておりましたが,こちらはいずれも表現を若干適正化したということで内容について変更はございません。

それから三つ目の丸では,現行規定の中でも,放送などのみに適用される規定があるので,その見直しをするという記載をしておりまして,こちらも若干表現の適正化をしつつ補足をしております。

具体的には4行目あたりからでございますけれども,個々の規定の趣旨や見直しが権利者に与える影響の程度等に留意しつつという記載を追加しております。つまり現行規定についても,直ちに見直すというよりは,しっかりその趣旨,権利者への影響を確認しながら,議論を進めていくという趣旨を明らかにしているものでございます。

それから下の米印は,「レコード演奏権」の取扱いについて記載している部分でございます。

こちらは注釈の16を追記しておりまして,バランスのとれた議論を行うためにも,公衆への伝達に関わる制度の見直しという視点から,「レコード演奏権」についても,導入に向けた検討を早期に開始する必要がある,こういった御意見を前回頂きましたので,追記をさせていただいております。

最後に4ポツ,権利者の利益保護への配慮という部分でございます。

こちらも表現の適正化が多いですけれども,2行目に,形成される見込みの高いライセンス市場を阻害しないよう,という形で記載を修正しております。

前回は,形成される見込みのある,としておりましたけれども,見込みが高い部分については尊重が必要ですけれども,見込みがあるという程度では必ずしも尊重するかどうかというのは議論があるという御指摘もございましたので,既に形成されているかその見込みの高いところについては確実に阻害しないよう注意しようと,そういう趣旨を明らかにしているところでございます。

また注釈の17におきましては,これと同じ問題意識ですけれども,集中管理ができていない部分に限定した議論をすべきであり,そういう観点からは,拡大集中許諾制度などを検討することは意義があるといった御意見もございましたので,追記をしております。

最後の丸につきましては,権利者に適正な対価をという視点での記載でございますが,少し丁寧に記載をすることにしております。

すなわち,この点については,サービスの実態に応じた適切な対価とすること,具体的には補償金の決定方法などを含めて,そもそも権利者への総体としての対価が適正かどうかという問題と,それから個々の様々な権利者が適正な対価を受けられるようにすること,具体的には補償金の適切な分配の在り方などを含めて考えるべき問題とがあります。総体としての補償金の適正化と,それぞれの権利者が適正な対価を受けられるようにする,この両面に留意する必要があろうかと思いますので,その旨をより明確に記載することとしております。

事務局からは以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございました。それではここまでの事務局説明に関しまして,御意見・御質問を頂きたいと思います。いかがでございますか。

【河村委員】質問があるのですが。

【末吉主査】どうぞ。

【河村委員】今更ですが,ウェブキャスティングという言葉について,その定義,何が含まれて何が含まれないのかということが,いま一つ私にははっきりしてない気がするのです。これはネットを使った放送であって,番組表のようなものがあるものだけを指しているのですか,それともYouTubeのようなものも入るという整理なのか。

というのは,私は番組表のようなものがあるものと思っていたのですが,注のところに匿名の個人と書いてあって,分からなくなったものですから,ここでいうウェブスキャスティングの定義,範囲を教えていただきたいと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。この点はいかがでしょうか。

【大野著作権課課長補佐】まず事務局としては,その点から整理が必要なのかなと思っておりまして,ウェブキャスティングと一口に言いましても様々な形態のものがありまして,御意見をおっしゃる方によって認識も違うのではないかと思っております。

そういう難しさもあることに加え,ほかの様々な点についても整理が必要なため,放送のネット配信とは少し分けた形での議論が必要ではないかというのが前回の御議論だったかと把握しております。

【末吉主査】どうぞ。

【椎名委員】最初にウェブキャスティングという言葉を使ったのは我々の説明の中でということだと思います。あのときに申し上げたのですが,ウェブキャスティングという言葉については,放送と同様に一定の番組が編成されていて,それがタイムテーブルに応じて,インターネットからユーザーの元に降ってくるサービスについて,ウェブキャスティングということで,仮に名前をつけて御説明をしたという経緯があると思います。

その後,そのウェブキャスティングという言葉について様々な御意見が出てきて,いろいろな,どこまで含まれるのかということについてはきっちりとした議論はまだされていないと思いますが,僕らから説明したウェブキャスティングというのは,飽くまでもインターネット上から編成されたものが降ってくる,リニア型配信なんていう言い方をしますが,それを対象とするものとして御説明したということがございます。

【末吉主査】ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

【岩本委員】前回要望させていただきました,2番の「対象とするサービスの範囲」に※印の注釈を付けていただきまして,ありがとうございます。ここに関しましては感謝申し上げます。

ただ,1番の「検討の射程・優先順位」において,①のレコード等と②の著作権等の取扱いを含む「その他の課題」は,並行して検討いただくように修正の御意見をまた出させていただいておりますので,②の部分についても,来期以降の検討では遅れないように是非,並行して検討を進めていただければと思っておりますので,よろしくお願いいたします。以上です。

【末吉主査】ほかに,いかがでしょう。どうぞ。

【内山委員】事務局への質問になるかと思います。たくさんいろいろな意見をまとめると多分このようになってしまったのだろうと思うのですけれども,冒頭にあったオーファンワークスの実証事業のお話でして,今もネットでどういう方々が関わっているのかなと見ていたのですけれども,主要な権利者団体の方々が関わっていらっしゃいます。

このオーファンワークスの事業で網羅できていない権利者分野は,ほかにあり得るでしょうかという質問でございます。

【末吉主査】いかがでしょうか。

【日比著作物流通推進室長】まず,今年度まで実施してきた事業というのは,音楽分野のデータベース作りということで,それに関しては大方の団体に参加をしていただいていると思っております。

個人のクリエーターの方の楽曲というのが,まだ入っていないと捉えております。

【末吉主査】どうですか。

【内山委員】民放さんが多分要求されていることは,とにかく音楽でもそれ以外もたくさんあるということが実は大きな課題意識としてあったと思うのです。

そうしたときに,もちろん音楽は音楽で進めていただきたい面はあるのですけれども,それ以外のところが,例えばこのオーファンワークスで,きょうの御提案でいうと3ポツの最初の丸,まずは権利情報を集約したデータベースの拡充定うんぬんという,ここでこのオーファンワークス実証事業が解決できる見通しなのかどうかという趣旨でございます。

【末吉主査】いかがでしょうか。

【日比著作物流通推進室長】音楽分野にまず取り組んだのは,音楽分野に関しては権利者団体のカバー率が比較的高くて,集中管理をされている実態があるということで進めておりまして,まずは音楽分野のデータベース作りの状況を見て,他分野で同じようなものができるかどうかというのを検討していくということかと捉えております。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

【椎名委員】基本的な考え方が出てきたのですけれども,今回の検討においてここの中にも入っておりますとおり,実演家を含め,様々な権利者が適正な対価を獲得できるように留意する必要があるという基本認識,これが共有できたことは非常に意義のあることではないかと考えています。

しかしながら,残念ながらウェブキャスティングにおいては,実演家が適正な対価を受領できているとは言いにくい現状があるということは,第1回の発表において御説明したとおりでございます。

加えて,ユーザーの視聴スタイルが多様化する中で,ウェブキャスティングへのニーズがますます高まっているわけですけれど,放送の同時配信以外のウェブキャスティングにおけるレコードの利用は集中管理されておらず,円滑な権利処理に最も課題があると思っております。

このような観点からすると,ウェブキャスティングについても喫緊の課題でありますから,来期からしっかりとスピード感を持って検討を進めていただきたいと思っております。

また,同時配信等に係る権利処理円滑化が知財計画等に盛り込まれておりまして,検討を進めてきたわけですけれど,これまでウェブキャスティングを行う事業者からのヒアリングというのは一度も実施されておらないと認識をしております。

来期の検討においては,しっかりと放送局以外の事業者からもヒアリングを行って,議論を進めていただきたいと思っております。

この点,規制改革会議においても,ネット事業者を含めた議論が行われているようでございますので,しっかりと連携していく必要があると思っております。

あと一点だけ,レコード協会さんの方から,集中管理については機関決定をし,我々実演家とも話合いをしているというお話がございまして,実際,注記のところに加筆もされたわけですけれども,我々としては,適正な対価という部分で,シェアの割合でございますとか,また対象とするサービスの若干の狭さ,そういった面から,現在のところは集中管理の御提案に賛成いたしかねるという状況であるということだけは申し上げておきたいと思います。以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。あと,どうぞ。

【奥邨委員】基本的に私はこのおまとめいただいた内容で問題ないかと思います。

細かいところだけ少し,2点ほど申し上げさせていただきますと,脚注の6の中に,この前も議論になったところで,追っかけ再生という言葉が入っていますけれども,私,再生という言葉は著作権法上の概念上は今回,誤解を招くのではないかという心配は持っております。

参考資料1の3ページ,三つ目の丸ですけれども,多分これはこの前,内山先生から頂いた御発言ではないかと思うのですけども,御専門の先生から追っかけ配信という言葉が入っておりますので,追っかけ配信としておいた方が分かりやすいのかなと個人的には思います。

最終的には,事務局と座長にお任せいたしますけれども,そういう意見を持っております。

あと2点目もタイミング的にやむを得ないのかなと思いますけれども,脚注の1のところですけれども,御案内のように数日前に,見込み報道ですけれども,民放さんもその方向にというような報道もいろいろ出ていて,ただ,ちょうど今タイミングがタイミングで,見込み報道で書けないというのはあるのかもしれません。少し難しいところかなという気はいたしました。以上です。

【末吉主査】はい。

【高杉委員】先ほど椎名さんからウェブキャスティングの話があったので,少し我々の意見を申しますけれども,レコード製作者と実演家の分配の在り方について,実演家団体から強い主張があるわけでございますけれども,日本においては実演家の権利というのは基本的には専属契約によってプロダクションに移転されておりますから,プロダクションが実演家の権利をレコード製作者に譲渡しているという関係になります。

したがってレコード製作者と実演家の関係というのは,レコード会社とプロダクションの契約関係でありますので,だからこそ事業者間の契約の問題として議論すべきだというのが私どもの考えでございます。以上です。

【末吉主査】どうぞ。

【椎名委員】極端なことをおっしゃったと思うのですが,プロダクションに所属している方もいればそうでない方もいる。だから,全てがプロダクションとの契約関係に包括されるわけではないということを申し上げておきます。

それと,プロダクションとレコード製作者の関係の話であるというお話はそのとおりである部分もあるのですが,前回も申し上げたとおり,力の強いプロダクションもあれば弱いプロダクションもあると。そこで適正な対価が公平に配分されるためには,ある程度制度的な背景が必要なのではないかということを申し上げたので,その点繰り返し申し上げておきます。

【末吉主査】はい。ほかにいかがでございましょうか。

どうぞ。

【龍村委員】細かいことで恐縮ですけれども,3ページ3ポツの三つ目の丸,第38条第3項,第40条第2項のみが摘示されていますが,第39条第2項も第40条第2項とほぼ同内容なので,それだけ抜けているのも違和感があると思ったので,その点です。

【末吉主査】ありがとうございます。

【大野著作権課課長補佐】ここでは,飽くまで例として,特にNHKさんから御指摘があったような規定を並べておりますので,これに限る趣旨ではございません。

議論の際には全ての規定をしっかり見て,放送のみに対応しているものでネット配信に広げていくべきものがあるかどうかを一つ一つ議論していくことが想定されているものと理解しております。

【末吉主査】ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

どうぞ。

【奥邨委員】最初に御報告いただいたオーファンワークスの件のところもいいですか。

【末吉主査】お願いします。

【奥邨委員】非常によい取組ではないかと思いますし,特に許諾環境の整備事業,契約書作成支援システムの構築については,私は積極的に進めるべきだろうと思います。

特に今,ネットで様々なクリエーションしている若い方がおられて,日本のコンテンツを強くするという上では非常に優秀な方たちがおられると思うのですけども,その方たちをサポートしていくという中で,彼らに弁護士さんにアクセスしなさい,相談しなさいというのはなかなかハードルが高いところがございます。

最初はこういう,自動的に彼らになじみの深いスマホから簡単にできるというような環境を作ってあげて,更にその先で交渉力も強くなってくれば,お金も出てくれば,専門家に委託してという道を作っていくというのは,非常にすばらしい流れだと思いますので,私は是非これを強力に進めていただきたいと思います。以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。どうぞ。

【椎名委員】あと一点,これはレコード協会さんと議論になる話ではなくて,一緒にやっていくべき話なのかもしれないのですが,我々同時配信等の円滑化ということでいうと,公衆への伝達全体を見ないと解決しない問題だという問題提起をさせていただきましたが,そういった意味でも,そこの議論に行くとレコード演奏権のお話に行かざるを得ないというところがあります。

もちろん,今回の考え方の中では切り離してというところになっていることは理解をしておりますが,この問題は2018年7月に日本とEUが合意した経済連携協定においても規定されておりまして,また今年はオリンピックイヤーということで,日本でこんなに音楽が使われているのに演奏権が保護されていないのかと,ますます国際的な関心が高まるという面もあるのではないかと思います。

これ以上この問題を先延ばしにすることはできない問題でありますから,この点についても,スピード感を持って検討が進んでいくことを期待しております。以上です。

【末吉主査】どうぞ。

【大渕主査代理】先ほどあったような運用面の改善のような話は,ライセンスができればそれに越したことはないので,そこのところでやって,それでできないものは法で拾っていくという形なので,そのような意味では常に運用面と法制面と両にらみで行くしかないと思います。

その上で,先ほどのことをお聞きすればするほど,どの課題も重要であることは分かるし,全部視野に入れない限り解決できないことは間違いないのですが,たくさんある問題の全部を対象にしたら前に進まなくなってしまうので,めり張りをつける必要があります。視野には全部入れつつ,議論する際には念頭に置いて,そのようなものとの対比もきちんとやるのですが,最初から全部を対象にすると先に進まなくなってしまうので,最初の1の優先順位というところで,喫緊の課題をまず片付ける。
全部を視野に入れるということは重要ですが,まずはこの丸1において前進を見ない限り全体も進まないので,きちんとめり張りをつける必要があると思っております。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

【内山委員】これは要望です。オーファンワークス事業に関してですけれども,これ多分,仁平さんや長野さんに聞いた方がいいのかもしれませんけれども,多分こういうことやると必ず群れたがらない個人クリエーターというのがきっといると思うのです。

ましてや裏側に国がいるとなると,それだけで反発してしまって,そんなのに加盟するかよみたいな人もいるかもしれないので,そういう方々が要はアウトサイダーになるということになるとは思うのですけれども,ただどうやって,せっかくなので,メリットはありますよという形で加盟していただくかというのは一つの課題だと思いますので,そのあたりのインセンティブ制度の設計ということを是非,御検討いただければという要望でございます。

【末吉主査】ありがとうございます。

【仁平委員】よろしいですか。

【末吉主査】どうぞ。

【仁平委員】オーファン化防止というところで意見をさせていただきますと,今頂いたとおり,確かにその国うんぬんというところを入り口にした場合には反発をされる方がいると思うのですが,実はこの個人クリエーターさんのコンテンツというのは,入り口が割と分かりやすいという特色もあります。

例えば,ニコニコ動画にアップしています,それから入り口ですというようなところで見た場合,ニコニコ動画にコンテンツをアップするのは本人なわけです。なので,そこに本人がコンテンツ情報を記載する,今でもほとんど記載されているのですが,そういったものが実はもう既にルールとして出来上がっています。

例えば,これは僕のオリジナル楽曲です,JASRACにも登録しています,というのを記載してアップロードしている人たちというのは結構出てきていますし,例えばAさんが作ったサウンドトラックを僕が歌を入れ直してあげたものですというものも,既にテキストで書かれて実はアップロードされています。

なので,そこを見れば,実はオーファン化はしていないということが御理解できると思っていて,最初にウェブキャスティング事業者に対するヒアリングもできていないのではないかというお話が別のあれでありましたけど,例えばですけれども,ニコニコ動画を運営しているドワンゴとそのあたりをきちんと話をして,コンテンツをアップロードする人が必要情報を書きやすいようなフォーマットをドワンゴは提供できないですか,というような行政指導されるだけで,多分すごく分かりやすくなると思います。

この楽曲はAさんが作った曲,この画は誰さんが作った画,というのを必ず書くというのはもうルールとして何となくできているので,そこが見やすくなっていれば済むのかなと。

あとはそのデータをきちんとしたデータベースに,ドワンゴのデータベースをきちんと吸い上げられるような仕組みになれば,それを見ればこの楽曲のこの画は誰さんが持っているもので,この楽曲そのものの著作権はJASRACさんにあって,原盤権は誰々さんが持っているというのが割と,実は見やすい。

僕らが楽曲を商品化するときにどうやって調べているかというと,正にその調べ方です。ニコニコ動画に書かれていることをよく見るという,そこなのです。

あとはツイッターでその人に連絡してみるというところなので,意外と実はもうオーファン化は防止される入り口はできているというところを,是非御理解いただければと思います。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

【今村委員】最初の河村委員の御質問にございましたウェブキャスティングとは何が対象になっているかという点とも関係しますが,今の仁平委員の御発言で出てきましたニコニコ動画,あるいはYouTubeなどのようなプラットフォーマーのように,放送事業者以外の行うウェブキャスティングにはそれを行う事業者が関わっているということがあります。2ページ目の二つ目の米印に,実施主体として匿名の個人というのがあるわけですけれども,ウェブキャスティング事業者のような場を提供する主体にも今後注目するべきですし,それらの主体は仮に補償金制度を取り入れた場合に大きな役割を果たすと思います。

放送事業者以外の行うウェブキャスティングについてどのように考えていくかという部分については,ウェブキャスティングの場を提供するものがいることを踏まえながら,オーファンワークスの問題も含めてですが,考慮するべきではないかと思いました。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

【長野委員】インディーズを代表してというか,アウトサイダーの問題って必ず付いてくるのですけれども,実は我々,営利を目的とした音楽事業者というかレーベルは,そういった個人だろうがアウトサイダーだろうが,素質がある,芽があるものに対して非常に敏感です。

ですから,そういったインディーズのそういう中小の会社が,そういうところに目を付けて,必ずこれ,権利どうなっているのですかとかいう形でアプローチしてきます。

特に,うちらの加盟のインディーズのレーベルに関しては,非常に敏感にやっています。

ですからアウトサイダーの問題は必ずこれからも付いてきますけれども,我々インディーズは,どうしたら放送事業者あるいはウェブキャスティングに使ってもらえるのだろうという視点で,もしそこに障壁があったり,障害があったり,何かそういう足かせになるものがあるのだったら,こういう機会にどんどんスピード感を持ってなくしていきたいと,そういう考えが僕ら協会の中にはすごくあります。以上です。

【末吉主査】ありがとうございます。どうぞ。

【大渕主査代理】先ほど申し上げたことに関わりますが,ここで議論されているような問題意識を持って対処すれば解決できる課題が多くて,例えば前に申し上げたのだと,契約も,最初から放送と二次的な利用と併せて契約していれば問題なかったわけです。そのようなマインドがなくてそれをやっていない過去の部分は仕方ないとしても,今後は定型ひな形化されるのかもしれませんが,放送とそのあとのものも併せて契約するということになっているのであれば,契約というのはそのようなものをすごくスマートに処理してくれる良い術であります。

そういうこともあるし,マインドを持ってうまくやっていけば,使う人,使われる人の両方がウィン・ウィンになるような,いろいろな工夫があると,先ほど個人クリエーターの方が言われましたが,このようなマインドを持ってやれば,今は技術が発達しているから,かなり運用面でも改善できると思います。

オーファンが最後に残るかとは思いますが,マインドを持ってやれば,既にオーファンになってしまったものに対処するのは難しくても,オーファンにしないようにする工夫というのは,実はかなりあるのではないかという気がいたします。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがですか。よろしいですか。

ありがとうございます。

今資料1につきましていろいろ御議論いただきまして,きょうの資料1に基本的には沿った形で,基本的な考え方をまとめていきたいと思うのですが,幾つか用語等につきまして,あるいは表現につきまして御意見を頂きましたので,この点につきましては私の方で事務局と相談をしながら,修正する必要があるのか,あるいはどういう微調整するのかという形で,体裁を整えさせていただきたいと思います。

この修正につきまして,私,座長に御一任いただくという形でお願いしたいと思うんですが,いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉主査】ありがとうございます。それではそのような形で取り扱わせていただきたいと思います。

それでは続きまして,令和元年度著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会の審議の経過等に入りたいと思います。

本日は今期最後の著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会でございます。本小委員会全体としての審議の状況につきまして,審議経過報告としまして,今期最後の著作権分科会で私から報告をさせていただきたいと思います。

それでは報告の案につきまして,事務局より説明をお願いします。

【日比著作物流通推進室長】それでは資料2に基づきまして御説明いたします。小委員会の審議の経過等について(案)でございます。

初めの5行ですけれども,本小委員会においては,急速なデジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備のため,知財計画2019等に示された検討課題を踏まえつつ,放送コンテンツの同時配信等に関する権利処理の円滑化等について検討を行った,各課題に係る審議の経過等は次のとおりであるとさせていただいております。

ローマ数字の1番,各課題の審議等の状況でございますが,一つ目,1ポツのクリエーターへの適切な対価還元についてでございます。

こちらは,第1回の小委員会において御確認を頂きました内容を,ここに記載をしております。

本課題については知財計画2019において,今年度は「関係省庁で検討を進め,結論を得て,必要な措置を講じる」とされたことを受けて,内閣府,文化庁,経済産業省及び総務省において,現状の認識等につきまして,具体的な事実関係等の整理を含め,対価還元の在り方について議論が行われており,意見の隔たりの大きい当事者間での検討を再開する前に,関係府省庁間による議論の整理を確認することが適切であることから,当該整理が整い次第報告を受け,意見交換を行うこととなったとしております。

現時点におきましてこの関係省庁による検討は継続中でございまして,また第1回において御紹介いたしました,文化庁による機器等の実態調査につきましても,現時点において集計分析中でございますので,ここではお示しをできませんでしたけれども,これらにつきましては整い次第,個別に各委員に御連絡をさせていただきたいと思っております。

続きまして二つ目の審議の課題,本日も御議論いただきました放送コンテンツの同時配信等に関する権利処理の円滑化についてでございます。

(1)検討の経緯ですけれども,本課題については,規制改革推進に関する第5次答申を受けた知財計画2019において,「関係者の意向を踏まえつつ,運用面の改善を着実に進めるとともに,制度の在り方について年度内早期に関係省庁で具体的な検討作業を開始し,必要に応じた見直しを本年度中に行う」とされていたところ,令和元年11月に,総務省における課題の整理が取りまとめられたことを受け,小委員会で検討を行ったとしております。

(2)検討の状況ですけれども,まず第1回小委員会において総務省から取りまとめ結果の報告を受け,また文化庁から「コンテンツの権利情報集約化等に向けた実証事業」の進捗状況の報告を受けるとともに,関係団体,こちらは放送事業者や権利者団体の6団体でございますが,からのヒアリングを行ったとしております。

その後,その報告及びヒアリング内容を踏まえ,第2回及び,本日でございますが,第3回の小委員会において,本課題について具体的な検討を進めるに当たっての基本的な考え方について議論を行ったとしております。

その結果,この基本的考え方(審議経過報告)として,丸1から丸4までの4項目について考え方が整理されるとともに,これに沿って関係者の意向を十分に踏まえつつ,より具体的な検討を早急に進める必要があるとされたとしておりまして,具体的な内容は別紙参照として,本日御議論いただきました資料1の確定版を御用意したいと思っております。

最後の1行ですが,来年度はこれを踏まえ,更に議論を深めることが求められるとしております。

ローマ数字2番が開催状況として3回分の日程と議題,それから3ページ目にローマ数字の3として委員等名簿をお付けしております。

御説明は以上でございます。

【末吉主査】ありがとうございます。それでは今の事務局説明につきまして,御意見・御質問を頂きたいと思います。いかがでございましょうか。

どうぞ。

【太佐委員】先ほどの資料2「Ⅰ 各課題の審議等の状況」の1点目「クリエーターへの適切な対価還元について」のところで,実態調査についても検討がまとまり,整理され次第,内容を報告いただけるという話について口頭では御説明があったのですけれども,その記載はありませんので補っていただくことは可能でしょうかという問い掛けです。

1回目の議事録を見れば書かれてあるのですが,最終的な審議の経過としてまとめられるということでございますので,その点も言及いただければと思っております。以上です。

【末吉主査】ありがとうございました。すみません,日程が,確か私の理解では,2月の10日が分科会です。それで,今ここで御議論いただき,それに基づいて修正をさせていただいて,私からの報告をするという場が2月の10日というタイミングになっておりまして,太佐委員の御意見はよく分かるのですが,事実上なかなか難しいのかなと思っております。

【太佐委員】議事としてそういうことがあったということがオミットされないようにしていただきたいということです。

【末吉主査】分かりました。

【太佐委員】以上です。

【末吉主査】事務局から何かありますか。私の理解でよろしいですかね。

【日比著作物流通推進室長】はい。結構でございます。

【末吉主査】間違いなく報告すると思いますので,よろしくお願いします。

ほかにいかがでございましょうか。どうぞ。

【河島委員】資料1の非常に細かい点で気になっていたところがあります。脚注7のVoD展開やアーカイブ活用等というところがありまして,この二つどう違うのか,分けて考える必要があるのかというところがよく分かりません。もしかしたらこの会議の1回目などで御議論があったのかもしれませんが,これはわざわざ分ける必要があるというお話でしょうか。お伺いできたらと思います。

【末吉主査】この点はいかがですか。

【大野著作権課課長補佐】この点については,内山先生に修正していただいたところかでございまして,資料1の注釈の7にあるVoD展開,アーカイブ活用の違い,具体的にどういうものが想定されるかという御質問でございました。

事務局としては,今ある様々なサービスを例示しながら,より具体的には,本格的な議論する際に,それぞれサービスの内容の位置付け,用語など整理しながら議論を進めていくのがいいかと思っております。

【内山委員】それほど,正直言って深く考えたわけではなくて,世の中実態的に使えている用語で,例えばVoDは割に背景的に商用利用等があると思いますし,アーカイブはそれこそ図書館などを含めた図書館などを含めた非営利利用等もあると思いますし,もちろん両方とも例えばVoDということでかぶせられるかどうか,曖昧だなと思いましたので,脚注的に例示する意味で,VoDとアーカイブという形に並べたということでございます。

【末吉主査】どうぞ。

【小寺委員】私も放送事業に長く関わっておりました関係で補足をさせていただきますけれども,VoDというのは既に出来上がったコンテンツをこのまま再利用というか再配信する。アーカイブというのは基本的に,出来上がったコンテンツの中の一部を別の番組の中へ引用して使っていくといった形の,資料性があるような使い方を一般的には指すのかなと。

私の理解ではそういう理解でここは読んでおりました。

【末吉主査】ありがとうございます。どうぞ。

【大渕主査代理】VoDとアーカイブがどう違うかについて,私はアーカイブには資料保存のようなイメージをもっていて,両者は違うものと理解していました。しかし,ここは,この二つを厳密に分けるというよりは,このようなものを含めた全体というような趣旨なので,「乃至(ないし)」に近いのかもしれません。そのように理解すればできるだけ幅広く入るようになって,人によっては重なるかもしれませんが,両方漏らさずに入っているというところがポイントかという気がいたします。

論文などで最後に決まるものが定義というところもありますので,それぞれの言葉を定義し始めると,それは大変な大作業になってしまいます。

【末吉主査】ありがとうございました。よろしいでしょうか。

今,資料2についていろいろ御意見を承りたいと思ったところですが,ほかにいかがでございましょうか。よろしいですか。

ありがとうございました。本日の御議論を踏まえたこの資料2についての修正につきましては,私,座長に御一任を頂くという形でお願いしたいと思うのですが,いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉主査】ありがとうございます。それではそのように取り扱わせていただきたいと思います。

そのほか御質問,特段ございますか。よろしいですか。どうぞ。

【太佐委員】お時間が余りないようなので1点だけ。これは事務局への質問ということではありますけれども,資料1,2とは関係なく,冒頭,オーファン対策の部分でも言及されておりましたブロックチェーンについての課題,例えば参考資料3あたりに出てきますけれども,データベースの整備等と併せて「ブロックチェーン等の技術を活用した著作物に関する権利処理・利益分配の仕組みの構築の検討を行う」という課題がございます。ここの小委の座組ではないのだろうと理解はしているのですが,この課題は既にどこかで検討されているのでしょうか,あるいは今後検討の予定があるということでしょうか。御存じの範囲で教えていただければと思います。

【末吉主査】どうぞ。

【日比著作物流通推進室長】今,御指摘の点は,知財計画2019,参考資料3の2ページ目の施策の方向性にある一つ目のポツの後段部分のお話かと思いますが,ブロックチェーン等の技術を活用した権利処理等の仕組みの構築の検討,こちらにつきましては,現在主として経済産業省で事業を行っているという状況でございまして,当然著作権の処理と関わってまいりますので,文化庁もよく連携をしていきたいと考えております。

【末吉主査】ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。よろしいですか。

それでは本日はこの程度にいたしたいと思います。

最後に,今里文化庁次長から一言御挨拶を頂きたいと思います。

【今里文化庁次長】今期はこの小委員会は最後となりますので,当小委員会を終えるに当たりまして一言お礼を申し上げます。

今期の本小委員会におきましては,放送コンテンツの同時配信等に関する権利処理の円滑化等について御議論を頂いたところでございます。

本会につきましては総務省及び文化庁からの報告や関係団体からのヒアリングを踏まえまして,具体的な検討を進めるに当たっての基本的な考え方を御整理いただきました。

来期はこの御整理いただきました基本的な考え方を踏まえまして,更に議論を深めていただきたくお願いを申し上げます。

文化庁といたしましては来年度,先ほどから御説明を申し上げておりますように,個人クリエーター等の権利者情報をデータベースに集約していく仕組みを構築するオーファン化防止対策事業,これを実施するなど,本課題につきましては制度面のみならず,運用面でのさらなる改善に努めてまいります。

最後になりますが,委員の皆様方におかれましては,それぞれの御専門の立場から多大な御尽力を賜りましたことにつきまして,改めて感謝を申し上げて,私からの御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【末吉主査】ありがとうございます。本年度は3回でございまして,この小委員会,二つテーマがあったうちの一つは足踏み状態でございました。

もう一つのサイマルの方につきましては,またいろいろ御議論もあると理解をしております。これはきちんと来年度に引き継いでまいりたいと思います。

個人的には先ほど参考資料5で示されたオーファンワークス対策事業,あるいは先ほど内山委員が言われたとおり,音楽だけでいいのかという問題意識を含めて,大変関心のあるところでございます。

立法と運用の上手なバランスという言葉,皆様方の御指摘のとおりだと思いますので,今後ともよろしく御協力を頂きたいと思うところでございます。ありがとうございました。

それでは事務局から連絡事項等お願いいたします。

【堀内著作物流通推進室室長補佐】先ほども言及がございましたけれども,本年度最終の著作権分科会は2月10日を予定させていただいております。本小委員会の審議の経過等につきましては,そちらで主査より御説明いただく予定となっております。本日はありがとうございました。

【末吉主査】ありがとうございました。それでは以上をもちまして,今期の著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会を終わります。

本日はまことにありがとうございました。

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