日時:平成27年2月4日(水)
17:00~18:30
場所:文部科学省東館3階 講堂
議事次第
- 1 開会
- 2 議事
- (1)著作物等のアーカイブ化の促進について
- (2)その他
- 3 閉会
配布資料一覧
- 資料1
- 全国美術館会議提出資料(102KB)
- 資料2
- 著作物等のアーカイブ化の促進等に関する主な論点(案)(158KB)
- 参考資料1
- 権利者不明著作物に係る我が国制度とEU指令との比較(108KB)
- 参考資料2
- アーカイブに関する著作権法上の主な規定(88KB)
【土肥主査】 それでは,定刻でございます。ただいまから文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会の第4回を開催いたします。本日は,お忙しい中,御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
議事に入ります前に,本日の会議の公開についてですけれども,予定されている議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないように思われますので,既に傍聴者の方には入場をしていただいておるところでございますけれども,特に御異議はございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【土肥主査】 それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
最初に,これまで御欠席でございましたけれども,潮見委員が御出席いただいております。御紹介させていただきます。
【潮見委員】 京都大学の潮見でございます。本務との関係で3回ほど欠席をせざるを得ませんでした。よろしくお願いいたします。
【土肥主査】 次に,事務局に人事異動がございましたので,報告をお願いいたします。
【秋山著作権課課長補佐】 報告申し上げます。本年1月21日付で著作権課著作権調査官に小林左和が着任しております。
【小林著作権調査官】 調査官の小林でございます。よろしくお願いいたします。
【土肥主査】 よろしくお願いします。
それでは,続いて,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【秋山著作権課課長補佐】 それでは,お手元の議事次第の真ん中あたりを御覧ください。配付資料一覧としまして,資料1,「全国美術館会議提出資料」,それから,資料2としまして,「著作物等のアーカイブ化の促進等に関する主な論点」,それから,参考資料1,2としまして,それぞれ記載のとおりの資料を御用意しております。落丁等ございましたら,お近くの事務局員までお知らせください。
【土肥主査】 それでは,議事に入りますけれども,まず議事の進め方について確認しておきたいと存じます。本日の議事は,1,著作物等のアーカイブ化の促進について,2,その他の2点でございます。1の議題に入りたいと思っております。前回の小委員会では,著作物等のアーカイブ化の促進について事務局から主な論点の提示があり,その後,第1回,第2回の御報告内容等も踏まえて委員の皆様に御議論をいただいたところでございます。本日は,まず全国美術館会議より御提出をいただいております資料と前回いただいた御意見等を踏まえて,事務局において論点をより詳細に記述していただいた資料を御用意しておりますので,それぞれ事務局から説明をいただきたいと存じます。その後意見交換に移りたいと思っております。それでは,お願いいたします。
【田淵著作物流通推進室長】 それでは,まず資料1の全国美術館会議からいただいております要望事項について読み上げさせていただきたいと思います。
美術作品等画像の流通と利用促進に関する要望
1.著作権法31条の主体の拡充
美術館・博物館は著作物を含む貯蔵作品・資料の保存に当たり,著作権法31条の範囲内で複製(写真撮影)を行っています。現行法では複製を行う主体が法令に設置根拠のある施設等に限定されていますが,博物館法に規定する登録博物館及び博物館相当施設のほかにも,所蔵作品・資料の保存を目的とした複製を行う施設(博物館類似施設)が数多く存在します。
つきましては,第31条に定める主体の拡充を次のとおり要望します。
1.登録博物館及び博物館相当施設
2.前項に準ずる施設(博物館類似施設,教育機関付属施設等)
2.インターネットによる所蔵作品情報の公開に係る画像の使用
所蔵作品情報の公開は今日の美術館に求められる使命のひとつであり,日本の美術館においても,画像付きの所蔵作品データベースをウェブサイトで公開する取り組みが進められています。しかし,著作権処理に係る経費が高額になるため,著作権の残る作品については画像掲載を見送り,文字情報のみ公開することが通例となっています。
この場合,一般利用者は,ある美術館が〇〇という作家の△△という作品を所蔵していることを知っても,その具体的形状を知ることができません。美術作品にとって,画像(イメージ)は不可欠な基本情報ですが,美術館は著作権を尊重するがゆえに基本情報を広く公開できないというジレンマに直面しています。結果的に,著作権で保護されている作品は,著作権に係らない作品に比べて情報が流通しにくい状況が生じています。これは美術館や一般利用者のみならず,著作権者にも不利益をもたらすのではないかと考えます。
つきましては,美術館が自館ウェブサイトの所蔵作品データベースにおいて,作品情報の一部としてサムネイル画像を使用する場合には,画像の大きさ・解像度等に一定の条件を設けた上で,情報公開の公益性を優先し,著作権を制限することを要望します。
3.美術作品の展示に伴う複製媒体の拡大
美術作品の展示に伴って複製図版を小冊子に掲載する場合は,現行法上でも著作権が制限されていますが(第47条),今日では,展示の解説・紹介を目的とした制作物は必ずしも紙媒体(小冊子)に限らず,デジタル媒体の使用も一般的になりつつあります。そのため,著作物を掲載できる媒体の範囲を拡大することを要望します。
以上,資料1を読み上げさせていただきました。
続きまして,資料2の説明に入らせていただきたいと思います。資料2は,事務局で整理いたしました「著作物等のアーカイブ化の促進等に関する主な論点(案)」としております。
まず,ローマ数字のⅠで,保存に関する論点を整理しております。
1.アーカイブ機能を担う機関において所蔵資料を保存のため複製することについて。
(1)美術館や博物館等において所蔵資料の損傷等を予防するため複製をすることとさせていただいております。
著作権法第31条第1項第2号は「図書館資料の保存のため必要がある場合」の複製行為に係る権利制限規定となっておりますが,例えば所蔵する貴重な稀覯(きこう)本の損傷・紛失を予防するために完全なコピーを取っておくという場合についても適用されると解されています。美術の著作物の原作品のように代替性のない貴重な図書館資料については,損傷等が始まる前の当該作品が最も良好な状態で後世に当該作品の記録を継承するために複製をすることも,同号によって認められると考えられるのではないかとしております。また,必ずしも美術の著作物に限らず,絶版等の理由により一般に入手することが困難な貴重な図書館資料についても,同様に解されるのではないかとしております。
また,記録技術・媒体の旧式化により事実上閲覧が不可能となる場合,新しい媒体への移替えのために複製を行うことも同号により可能であると考えられます。
さらに法第31条第1項第2号においては,複製物を「原本に代えて公衆の利用に供する」ことは求められておらず,複製物を作成した後も原作品を公衆の利用に供することは可能であると解されるのではないかとしております。
次に,②の複製主体の範囲でございます。こちらは,先ほど全国美術館会議から要望があった事項に対応したものとなっております。また,関連条文が参考資料2に掲載されておりますので,そちらも併せて御参照ください。
法第31条第1項第2号の複製主体は「図書館等」に限定されています。これが著作権法施行令第1条の3に規定されております。政令第1条の3第1項第4号の規定により,法令の規定によって設置された美術館や博物館等は「図書館等」に含まれるため,独立行政法人国立美術館や条例によって設置された県立美術館等が複製主体として含まれています。また,同項第6号の規定により,文化庁長官の指定を経れば,一般社団法人等が設置する美術館や博物館等も複製主体に含まれ得ることとなっておりますが,現在指定を受けている美術館や博物館等はございません。
現在政令第1条の3により「図書館等」に含まれていない美術館や博物館等についても,複製主体の拡充を検討すべきではないかと挙げさせていただいております。
次に,(2)公共図書館等において所蔵資料の損傷等を予防するため複製をすることとしております。
公共図書館等においても,絶版等の理由により一般に入手することが困難な貴重な図書館資料については,損傷等を予防するため,法第31条第1項第2号による保存のための複製が認められると解されるのではないかと考えられます。
次に,ローマ数字のⅡに著作物の活用に関する論点をまとめました。
1.アーカイブのために保存した著作物等の活用についてとしておりまして,(1),(2),この2つは国立国会図書館から要望があった事項でございます。
(1)公共図書館等の図書館資料で,国立国会図書館が所蔵していないものについて,国立国会図書館が公共図書館等から複製物の提供を受け,国立国会図書館の送信サービスを通じて,他の公共図書館等において当該著作物を公衆に提示することとしております。
これにつきましては,絶版等資料に該当する図書館資料であれば,法第31条第1項第3号により,公共図書館等が国立国会図書館の求めに応じ複製物を提供することが可能ではないかと考えられます。
また,国立国会図書館に提供された絶版等資料については,法第31条第2項及び第3項により,他の図書館等に自動公衆送信を行うことができるのではないかと考えられます。
具体的な運用については,図書館送信サービスの運用のために国立国会図書館に設置されている協議会において関係者間で協議を行うことが適当ではないかと考えられます。
次に,(2)ですが,国立国会図書館から外国の図書館等へ,デジタル化した絶版等資料の送信サービスを提供すること。こちらは,海外の日本研究図書館等から要望があるとして紹介された事項になります。
外国の施設は,「図書館等」には含まれないことから,法第31条第3項の図書館送信サービスの送信対象とするためには,国立国会図書館の役割や業務の位置づけ等を踏まえ,検討が必要ではないかと考えられます。
次に,(3),また3ページの一番上にあります(4),この2つは,先ほど読み上げさせていただきました全国美術館会議からの要望事項に対応するものです。
美術の著作物又は写真の著作物を所蔵する施設が,観覧者のためにこれらの著作物の解説又は紹介を目的として小冊子に掲載することに加え,デジタルデータを館内の端末を用いて観覧者の閲覧に供することと(3)ではさせていただいております。
(4)につきましては,アーカイブのために保存されている美術の著作物等の紹介等を目的として,当該著作物のサムネイルをインターネット上で公衆に提供することとさせていただいております。
次に,2.権利者不明著作物等の活用についてに移りたいと思います。
EUにおいて導入されている孤児著作物指令を参考としつつ,我が国において権利者不明著作物等を活用するためにどのような措置を講ずることが可能かということで,(1)につきましては,我が国の権利者不明等の場合における裁定制度とEU孤児著作物指令との相違点は何か,またどのような示唆を得ることができるかとしております。
①権利者不明著作物等を利用する上で求められる権利者捜索の内容につきましては,我が国の裁定制度におきましては「相当な努力」として,EU指令におきましては「入念な調査」とされております。こちらにつきましては,参考資料1に我が国の裁定制度とEU孤児著作物指令の比較表を掲載しておりますので,併せて御参照ください。
この「相当な努力」と「入念な調査」には大きな差異は見られないのではないかというのがマル1でございます。
次に,マル2ですが,こちらは権利者への補償の支払時期についてでございます。我が国の裁定制度は事前に補償金を供託することを求めていますが,EU指令においては,加盟国に裁量があり,権利者が現れた場合に補償金を支払うことが可能となっています。我が国においても,公的機関については,事前供託ではなく,権利者が現れた場合の支払を認める制度を検討すべきではないかと考えられます。
また,我が国の裁定制度は,商業利用も可能となっており,民間事業者との条件が公平なものであるかについて留意することも必要と考えられます。
次にマル3ですが,第三者による権利者不明著作物等の利用とさせていただいております。我が国の裁定制度は,一度裁定を受けた著作物であっても,裁定を受けた利用方法以外の方法で例えば第三者が別途利用する場合には,改めて権利者捜索を行った上で裁定を受ける必要がありますが,EU指令では,欧州共同体商標意匠庁のデータベースに孤児著作物として登録されていれば,利用機関の情報や利用方法を登録することで利用が可能となっております。我が国についても,一度権利者不明著作物として裁定を受けた著作物で権利者不明状態が継続しているものについては,過去の調査結果の援用あるいは調査要件の緩和を認めてはどうかと考えられます。
その際,これまで裁定を受けた全著作物について,検索可能な形でインターネット上に公開する必要があるのではないかと考えられます。
④その他の利用手続といたしまして,我が国の裁定制度は文化庁長官の裁定行為が必要となりますが,EU指令の場合は登録手続で済みます。
4ページ目の一番上ですが,我が国裁定制度においても,文化庁長官が裁定を行うに当たっては,添付された疎明資料等から判断をする。また,大量の著作物等に係る裁定申請を1件にまとめて行うことを可能としている。さらに,申請中利用も認められているなど,EUと比較して,実質的な利用者の負担に大きな差があると言えるのかという論点を提示させていただいております。
最後に,3.著作物等の流通推進のための権利処理の円滑についてですが,アーカイブ化の促進や権利者不明著作物に限定しない,著作物等の利用におけるより広射程な論点として,著作物等の流通を推進するためにどのような権利処理円滑化の措置を講ずることが可能かとさせていただいております。
(1)といたしましては,拡大集中許諾制度について。権利者不明著作物も含め大量の著作物等の権利処理を行う上で,利用者にとっては窓口の一元化や権利者捜索費用,取引費用の低減といった観点から利便性の高い制度であると考えられますが,前提として権利の集中管理の進展が必要となるため,その進展状況等を踏まえつつ検討することが適当ではないかとしております。
また,(2)著作物等の権利情報の集約化について。管理事業者や権利者団体にて管理されている著作物等については,権利情報がある程度分野ごとにまとまっていますが,それぞれの集約度にはばらつきがあり,また,複数分野にまたがる著作物については,それぞれの分野で情報が管理されています。
複数分野にまたがる著作物や一般ユーザーが創作した著作物等の利用の円滑化等も踏まえると,著作物の権利情報を集約したデータベースや権利処理のプラットフォームとなるポータルサイト等の構築が必要ではないかとしております。
以上,資料2の説明とさせていただきます。
【土肥主査】 ありがとうございました。それでは,ただいま事務局から御紹介と,それから提示があった論点について,御意見,御質問ございましたら,お願いいたします。御質問は全体ということで結構かと思いますが,御意見ということになると,一気に全体というのもあれでしょうから,ローマ数字のⅠのいわゆる31条問題をまず一くくりにして,その後ローマ数字のⅡ,それから最後,拡大集中制度とか,集約化されたポータルサイトの設置とか,そういう大きな問題を最後のところあたりにすればいいかなと思いますけれども,まず,御質問を先にお願いできればと思います。全体を通じて結構でございます。御質問。上野委員,どうぞ。
【上野委員】 今回の内容は,前回発言させていただきましたように,いずれも大変結構なことと考えております。特に裁定制度の見直しというのは,決して小さなことではなくて,将来の発展可能性は非常に大きいと思っております。
その上で,2点質問させていただきたいと思います。
1点目は,2ページ目の上から5行目の(2)で,「公共図書館等において所蔵資料の損傷等を予防するための複製」について書かれていることについてです。所蔵資料の保存については広く許容されるべきだという観点からいたしますと,これも大変結構なことでして,解釈論として既に可能だというのであれば,それもよいかと思います。
ただ,ここでお書きになっている趣旨について1点確認をしたいのですけれども,「絶版等の理由により一般に入手することが困難な貴重な図書館資料」と書かれた後,括弧のところでは,「例えば」ということではありますけれども,「郷土史,証言集,地域雑誌等で国会図書館に納本されていない資料」と書かれています。これは例示ということなのだろうとは思いますけれども,「国会図書館に納本されていない資料」というのは,単に絶版等の理由により「一般に入手することが困難」な資料より狭いもののように聞こえるのですが,ここではそのような狭いものを想定していらっしゃるのかどうかということをお聞きしたいと思います。これが1点目です。
2点目は,3ページ目の上の(4)で,「アーカイブのために保存されている美術の著作物等の紹介等を目的として,当該著作物のサムネイルをインターネット上で公衆に提供すること」と書かれていることについてであります。これも大変結構なことかと私は思いますけれども,現状ですと,31条にいう「図書館等」に当たる施設でさえも,同条は,その所蔵資料を部分的にネットに載せることを許容していません。もちろん,47条の2により,図書館等が貸与の対象となっている書籍の表紙をサムネイルの形式でネットに掲載することが許容される可能性はあると思いますし,また,所蔵資料を紹介する目的でその一部をネットに掲載することが32条1項にいう適法引用として許容される場合もあろうかとは思うわけですけれども,その程度に過ぎません。
そうしますと,ここに書かれている措置というのは,31条の改正というより,47条を拡大することが念頭に置かれているのかもしれませんので,そうした具体的な規定のイメージがありましたらお聞かせいただければと思います。すなわち,現状の47条を改正して,美術の著作物や写真の著作物の原作品が公に展示される場合に,この展示をする者が,同条にいう小冊子を作成することだけでなく,インターネット上にサムネイルを掲載することも許されるようにする,ということを考えていらっしゃるのでしょうか。そうだとすると,同条の規定は原作品を公に展示する者一般に適用されますので,アーカイブと言えるような者以外の者にも適用されることになるのではないかと思いましたので,お聞きする次第であります。
2点,以上です。
【田淵著作物流通推進室長】 1点目の質問事項につきましては,2ページ目の上の(2)のところで,絶版等の理由により一般に入手することが困難な図書館資料よりも狭い範囲のものを想定しているのかという御質問だったと思うんですけれども,この括弧内で国立国会図書館に納本されていない資料というのは飽くまで例示でございまして,論点の提示といたしましては,一般的に絶版等の理由により一般に入手することが困難な貴重な図書館資料,当該図書館にしかないような資料というようなものを想定して論点を提示させていただいているところでございます。
それから,2点目のサムネイルについての御質問だったと思うんですけれども,こちらにつきましては,本日,全国美術館会議から御要望事項としていただきましたような内容にある,美術館が自館ウェブサイトに所蔵作品を紹介する際にサムネイルを提示するというようなものを現時点では念頭に置いて論点整理として掲げさせていただいているところでございます。
【土肥主査】 上野委員,よろしゅうございますか。
ほかに質問ございますか。前田委員。
【前田(哲)委員】 ローマ数字のⅠの1の(1)のところでございますが,図書館資料に関してなんですけれども,ここに書いていただいているのは,美術の著作物の原作品のように代替性のないものも図書館資料に当たるということだと思います。図書館資料というのは,図書,記録その他の資料ということになっているのですけれども,美術の著作物の原作品,例えば彫刻作品の原作品のようなものも,この図書館資料に当たるといえるのでしょうか。もし仮に,図書館資料に当たるとすると,他の図書館からの要請によって,31条1項3号に基づき,代替性のない美術の著作物の原作品を,例えば彫刻を彫刻として複製して他の図書館に提供することができることになるのでしょうか。
【田淵著作物流通推進室長】 この31条自体が図書館を主に念頭に置いて置かれた規定だとは考えられるのですけれども,政令で規定されております図書館等という施設には,いわゆる図書館以外の施設も含まれ得るということですとか,法律上も,図書,記録その他の資料という書きぶりになっているというところに鑑みますと,美術館が所蔵しているような作品についても除外されるものではないのではないかと考えられるのではないかと。
31条全体見ますと,専ら図書館における書籍を念頭に置いた規定が多いというのは事実ではないかと思いますけれども,少なくとも2号の解釈というところで,絵画等,美術の著作物も含み得るのではないかという形で論点を提示させていただいております。
【土肥主査】 よろしいですか。
【前田(哲)委員】 ちょっと今の関連で。
【土肥主査】 お願いします。
【前田(哲)委員】 今のお話は,2号と3号で図書館資料の範囲が異なる可能性があるということでしょうか。
【田淵著作物流通推進室長】 著作物の種類によっては,例えば1号,公表された著作物の一部分の複製物を1人につき1部提供すると。こちらも無論美術の著作物についても不可能ではないとは思うのですが,全体としては美術の著作物等は除外はされていないと思うのですけれども,より出版物ですとか書籍になじむ規定が多いのではないかと考えられます。
【土肥主査】 よろしいですか。
【前田(哲)委員】 はい。
【土肥主査】 資料1で全国美術館会議とか団体の方が要望されておるローマ数字のⅠでいうところで,主体の拡大・拡充というのが書いてあるんですけれども,ここで言われている複製ということを御希望なさっているのは,前田委員が今言われたような彫刻を彫刻として複製することをお考えなのか,電磁的な記録媒体の中に記録するという程度のことをこの団体の方は御希望になっているのか,どちらでしょうか。
【田淵著作物流通推進室長】 この団体からの希望,全国美術館会議からの希望につきましては,写真撮影とありますけれども,恐らくデジタル画像を複製物として作るというようなことを専ら想定されているのではないかと思います。
【土肥主査】 前田委員のお尋ねになったのは,彫刻を彫刻で作るというような複製をおっしゃったわけですよね。
【前田(哲)委員】 それも図書館資料だとすれば,31条1項3号の対象に入ってしまうのではないかと。
【土肥主査】 そうなんですけれども,もともとの要望というのはそういうところではないんだろうと推察しますけれども。
【前田(哲)委員】 分かりました。
【土肥主査】 同じものを作るというような,そういう要望になっているのかどうかということなんですよね。絵であれば絵画をもう一つ作るとか,彫刻であればもう一つ彫刻を作るとか,そういうことではないんですよね。
【田淵著作物流通推進室長】 写真撮影という表現ぶりになっておりますので,恐らくデジタル画像というのが一般的には想定され得る形態なのではないかと思います。
【土肥主査】 前田委員がおっしゃっているところの質問は,主体を拡大していくと,そのまま31条の中に入っていきますので,ということだと私は拝察したわけですけれども。今からの意見交換の中で議論していけばいいかと思いますけれども,今のところはそういう御質問があったということでございます。
ほかにございますか。村上委員,どうぞ。
【村上委員】 私は純粋に手続の話だけです。ここの事務局の案を読むと,考えられるのではないかとか,解されるのではないかという,そういう表現の話なので,今の施行令とか何とかの解釈論でもそれで間に合うところはあるんじゃないかという,こういう感じで書かれている。それならば,例えばほかの法分野の場合,政令なんかについて例えば公権解釈というか,ここまでは解釈できると示す場合は,よく告示とか何とかを使って,公権解釈で,これはこの辺まで読めるということの解釈を行政庁として示すことがあるわけです。それはいろいろなほかの法律の分野なので,著作権法は余りそういうことはされない分野ということでよろしいでしょうか。そういう手段というか,手続的に単純に文化庁でこの辺まではこういう解釈ができるという公権解釈を示すということは可能なものかどうか。純粋にやり方の話になりますが。
【土肥主査】 その点いかがですか。
【田淵著作物流通推進室長】 過去におきましても,審議会の報告書等で一定の解釈を示したことがございます。例えば資料2の1ページ目の脚注の1に載せましたように,新しい媒体への移しかえのためのデジタル化することについても,同規定の解釈として不可能ではないと考えられるというような,一定の解釈をこうした報告等で示したという例はございます。
【作花文化庁長官官房審議官】 村上先生の御指摘は非常にごもっともな話で,公法というのがあります。例えば学校教育法とか,地方教育行政の組織及び運営に関する法律とか,そういったものであれば,公法の運用をより受け手側に明らかにするために,文科省告示という形での細則を,細目を授権を受けて規定するという例はよくあります。ただ,著作権法というのはある意味では民法の特別法であり,ある意味では刑法の特別法としての性格ございますから,行政庁が解釈・運用を告示で示すということは想定されていないと。
さっき室長の方から若干御説明があった脚注の話ですけれども,この審議会自身も,あるいは文化庁自身も,特に有権解釈権を持っているわけではないんですね。ですから,緩やかな1つの解釈の相場観というものを,ざっくり言えば,そういうものを示していくということだろうと思うんです。
ですから,1ページの脚注に,こういうふうに解せるのではないかと言っていても,当然のことながら裁判所はそれに拘束されるものでは到底ありませんということは,当然の前提だと思うんです。
今回,このペーパーで,解せるのではないかとか,いろいろ書いてありますのは,こういう方向性で議論してはどうか,検討してはどうかということでございます。ですから,ここにお集まりの有識者の方が,いや,さすがにそれはこの条文の文言からしても,ちょっと飛躍があるし,妥当な解釈とは言い難いのではないかとか,あるいは,多くの場合はそれが常識的な解釈ではないかとか,そこらあたりの見解をいろいろお聞きした上で,じゃあ,とりあえず法改正をしなくても,現実世界においてルールが形成されるならばそれでよしだし,やっぱりこれだと美術館,博物館にとって非常にリスクを負う可能性が高いというのであれば,制度改正ということも我々としては検討していかなきゃいけない。そこら辺の見極めをしたいものですから,ではないかという問題提起の形で書かせていただいているということでございます。
【土肥主査】 よろしゅうございますか。
じゃあ,茶園委員,どうぞ。
【茶園委員】 疑問を感じたことについて質問させていただきたいのですけれども,1ページ目のローマ数字Ⅰ,1ポツの(1)のマル1,著作権法第31条の解釈の一番下のところです。美術館や博物館等が所蔵資料の損傷等を予防するために複製することについて,何のために複製するのかがよく分かりませんで,その一番下には,法第31条第1項第2号においては,同条第2項とは異なり,複製物を原本に代えて公衆の利用に供することは求められておらず,複製物を作成した後も原本を公衆の利用に供することは可能であると解されるのではないかと記載されています。2項は,公衆の利用に供することで損傷が起こるので,原本に代えて公衆の利用に供するために複製することができるという規定です。この2項では,主体は国立国会図書館に限定されていることから,31条1項2号に,公衆の利用に供することによって生ずる損傷を防ぐために,公衆の利用に供するために複製することを含めるとすることは難しいのではないかと思います。
【土肥主査】 分かりました。御意見として今のところは頂戴して。山本委員は質問でしょうか。
【山本委員】 質問です。
【土肥主査】 じゃあ,質問を先にお願いいたします。
【山本委員】 まず,代替性のない貴重な図書館資料というのは,特に美術館とか図書館に限らず,文化財の保存という観点からいって,保存のための複製は認められていいのではないのかなと思います。ここでのテーマからいって,少し確認させていただきたいのは,資料2の2ページ目の上に,主体の拡充で,博物館相当施設についても拡充を検討すべきではないかという問題提起があります。資料1を見ますと,主体の拡充で求められているのは,博物館相当施設のほかに,前項に準ずる施設として博物館類似施設などと書いてあります。そもそも博物館相当施設と博物館類似施設がどう違うのか,私にはよく分かりませんが,また,今の資料2の方で,検討の対象として博物館相当施設に限定されているというのは,どういう意図なのか。また,博物館相当施設の意義,あるいは博物館類似施設の意義をどういうふうに切り分けして,これを資料2の方では博物館相当施設に限定されているのか,その点についてお伺いしたいと思います。
【田淵著作物流通推進室長】 資料2の2ページ目の一番上で,主体の拡充の案といたしまして,例えば博物館法の登録博物館や博物館相当施設と,飽くまで例示として掲げさせていただいているということでございます。博物館法におきましては,登録博物館であるか,博物館相当施設であるかによって,設置主体が異なっています。また,設置要件として,学芸員に相当する職員を必ず置かなければいけないなど,様々な要件が定められております。
一方で,博物館類似施設については,同様の要件はありません。ここでは例示として登録博物館や博物館相当施設を挙げさせていただいたということでございまして,現時点でこれらの2つの種類の施設に限るべきだということを必ずしも示したものではございません。
【土肥主査】 よろしいですか。今のところ,私も実はかなり気になっていたんですけれども,資料1では,相当施設だけではなくて,類似施設についても要望が出ているわけですよね。相当施設というのは登録施設とほとんど変わらなくて,登録があるか,ないか,相当施設というのは,文科大臣とか地方教育委員会が指定する必要があると思うんですけれども,類似施設というのは何もないですよね。要するに,何もないと言うのもおかしいんですけれども,施設の広さが一定程度あることぐらいしか多分ないんじゃないかと思うんですけれども,相当施設と類似施設との間にはかなり距離がありそうな気もするんですが。で,そのことが全国美術館会議の方から要望として出ているんですが,事務局においては,要望をそのまま受けとめてここに反映されておられるという,そういう理解でよろしいのですか。
【田淵著作物流通推進室長】 そうですね。全国美術館会議からは,非常に広い範囲の,類似施設,教育機関附属施設等も含めて拡充できないかという要望事項になっております。資料2では,若干それよりも狭めた形の例示をさせていただいております。
【土肥主査】 分かりました。後,意見交換の中でそういう話についても入っていければと思います。ほかに御質問なければ,意見交換に入りますが,御質問ございますか。よろしいですか。
それでは,順番に従って,31条から御意見いただければと思います。特に31条の解釈について,茶園委員から今出たところでございますけれども,茶園委員,もう1回お願いできますか。
【茶園委員】 私はこれに反対というわけではないのですが,31条1項2号の解釈として,国立国会図書館に主体を限定している2項が定めていることから,2項にいわば代替するような形で広く解することは,余り自然ではないように思います。もし認めるとするならば,解釈論よりも制度改正をする方がよいのではないかと思いましたので,31条1項2号と2項との関係をどういうようにお考えなのかについてお伺いしたいと思います。
【田淵著作物流通推進室長】 31条の2項ができた経緯といたしまして,国立国会図書館で大規模なデジタル化事業が行われるに当たって,納本後,例えば直ちにデジタル化するということは,31条1項の2号の解釈として可能なのかどうかということが必ずしも明確ではなかったため,この2項を置いて,納本後資料をデジタル化することができるようにしたという経緯がございます。2項の方は,原本を公衆の利用に供することによる滅失等を避けるために,当該原本に代えて公衆の利用に供するためにという文言が入っておりますので,デジタル化した後は,基本的にはデジタル化した資料を閲覧に供しています。2号の方にはそのような文言が入っておりません。例えば美術館が所蔵する美術の作品のデジタル画像,複製物を作成した後に,原本である美術の著作物の展示を行うことができなくなると,デジタル画像の展示を行うことになるというようなことはおよそ考えられません。2号の解釈として,美術館等が絵画等のデジタル画像を作成した場合においては,引き続き,原本,原作品を公衆の利用に供することは可能であると解されるのではないかという形で論点を挙げさせていただきました。
【土肥主査】 前田委員,どうぞ。
【前田(哲)委員】 今の点なんですが,まず,資料で「原作品を公衆の利用に供する」とありますが,これは原作品じゃなくて原本ということなのかな,と思います。原作品というのは,原本とはちょっと別の概念であると思いますので。原本の方を引き続き公衆の利用に供することができる状態にあるのに,1項2号の保存のために必要な状態になっていると言えるのでしょうか。そのままでは原本を公衆の利用に供することが非常に難しいような状況になっているので,保存のために必要だということはよく分かるんですが,原本を引き続き公衆の利用に供することができる健全な状態にあっても,2号の保存のために必要な状態になったというふうに言える余地があるという御理解なんでしょうか。
【土肥主査】 もちろん質問結構なんですけれども,そういうお二人の委員の方の御意見があって,他の委員の方々の御意見を受けて,最終的には最後の段階では事務局がそれをまたまとめることになると思いますので,今,茶園委員と前田委員から解釈で対応するのはどうなのかという,そういう基本的な趣旨の御意見だと思うんですけれども,できるのではないか,可能ではないかというふうにお考えの委員がお出でになりましたら,両論,事務局のために示していただければと思いますけれども,いかがでしょうか。
【大渕主査代理】 積極的に申し上げたいというわけでもないのですが,端で聞いていますと,御議論がやや食い違っているのではないかという感じがいたしました。茶園先生のいわれた問題はもう解決済みだろうという気がするのですが,保存のために必要ということはかなり多義的なものであります。ぼろぼろだからという状態だけでなくて,一般的に放っておけば次第に劣化するわけですから,ベストな状態で今のうちに保存しておく必要があるということもあると思います。国民のためにはできるだけ良い状態で,どうせデジタルで撮るのであれば,すぐにでも保存する必要があるということもあり得るので,そのような意味で多義的に事務局の方は考えておられるように思います。それによって,例えば原本を示す回数を減らすと,原本を示す回数が減ったら劣化も防げるということもあり得ると思います。国民の財産ですから,できるだけ良い形で幅広く柔軟に対応したいという気持ちが表れていて,そこが少し分かりにくい説明になっているだけのように見受けられます。私は,そのような気持ちが重要だろうと思っておりますので,今回出た御指摘も踏まえた上で,もう少しロジックを分かりやすく組み直していただければよいのではないかと思います。そのような性質の問題ではないかと思われます。
【土肥主査】 ありがとうございました。ほかに御意見。上野委員,どうぞ。
【上野委員】 確かに,31条1項2号は従来かなり狭く解釈されてきたようでして,前田先生も御指摘のように,ここで念頭に置かれているのは現実に資料に傷みが生じてきた場合における保存であって,将来の損傷や劣化を「予防」するための事前の複製は必ずしもこの規定の想定内ではないと考えられてきたところがあったようです。そうだからこそ,平成21年改正によって31条2項の規定が設けられたという経緯もあったことと思います。
ただ,「稀覯(きこう)本」というものについては,2号が適用される例としてかねてから挙がっていまして,そういうものであれば,損傷や紛失を予防するために複製するということが「資料の保存のため必要がある場合」に当たると説明されてきましたので,そういう観点からすれば,たとえ現行法の文言を前提にしても,従来の解釈よりは,もう少し広く読めるのではないのかということで,今回の資料で論点の提示があったのだろうと思います。
ただ,そうすると,私が先ほど質問させていただきましたように,損傷等の予防のために複製できる資料というのは,絶版等の理由で入手困難な資料を全て含むことになるのか,それとも,国会図書館に納本されていないような資料に限るとか,更に限定して理解することになるのかという問題が出てくるのではないかと思います。
いずれにしましても,同号にいう「資料の保存のため必要」というのは,その図書館等の中に存在するその資料を保存する必要があるかどうか,ということだけを考えるのではなくて,もう少し広い視点で考えて,その図書館等にしか存在しないような貴重な資料であれば,それはいわば日本国全体にとって保存する必要があると考えられ,そうであれば,このような場合も「資料の保存のため必要」に当たるというふうに理解できるのであれば,2号の適用可能性もあるのかなと私は思います。
ただ,この2号を余り緩やかに解釈いたしますと,じゃあ,わざわざ31条2項を設ける必要はなかったじゃないかという話になるのかもしれないのですけれども,幾ら31条1項2号を緩やかに解釈するといいましても,先ほども述べましたように,これが適用される対象は,少なくとも,絶版等の理由で入手困難な資料には限られることになろうかと思われますので,図書館資料の全部ではありません。これに対して,31条2項にはそうした限定がありませんので,国会図書館は,買ったばかりの,どこにでもある本でもすぐ電子化できるわけですので,この31条2項が要らなくなるほどに31条1項2号を緩やかに解釈することにはならないと思われます。以上です。
【土肥主査】 今村委員,どうぞ。
【今村委員】 今デジタル化もできるという話があったんですけれども,31条1項2号に関しては,保存のために必要がある場合,複製ができるということなので,通常であれば,例えば図書館に保存されている資料で,保存ために必要だということになれば,壊れる寸前のところで複製物を作ってしまうということができるわけです。ただ,デジタル化ということになってくると,また別の話になってきて,本としては手に入らなくても,デジタル的なものを手に入れたりすることができる可能性もあると思われるんです。
それで,デジタル化というのは複製といっても1つの別の問題だと思うんですが,先ほど資料2の2ページ目に,公共図書館等において,所蔵資料の損傷等を予防するために複製すること,というのがでてきました。仮に公共図書館等が31条1項2号の保存のための複製ができるということにしまして,郷土史とか証言集とか,そういうものを複製できるとした場合に,従来の31条1項2号の加戸先生の文献などを読みますと,この規定の適用は厳格であり,収蔵スペースの都合でマイクロフィルム化する場合なら,原資料を廃棄するとか,極めて厳しい判断基準というものが課せられるというふうにおっしゃっています。しかし,郷土史などをマイクロフィルム化した場合に,原本捨てるというわけにもいかないでしょうし,逆に郷土史を紙でまたもう一部作るというわけにも当然いかないでしょう。当然,郷土史とか,そういうものに関しては,デジタル化というものをする,認めるということを前提にこのような提案になっているのだと思われます。そのため,31条1項2号に関しても,一般的に,保存のために必要であれば,デジタル化ができるという解釈をした方が望ましいということかどうか,この点は議論が必要な部分なのではないかと思うんです。
デジタル化資料ということになると,将来的に,今は絶版であっても,デジタル化のアーカイブ資料なんかを市販する業者が出てきたりする可能性もあって,そちらで買えばいいのに,自ら自前でデータベース化する,あるいはデータベース化ではなくてもデジタル化するというようなことをするということは,デジタル資料を販売している業者を妨害するという可能性にもなり得るわけです。この点,何かの要件を課さないとデジタル化ということも認めにくい場合もあるのかなと思いました。
【土肥主査】 いずれにしても,委員おっしゃっているところの主たる御意見としては,やるのであれば,もちろん趣旨としては結構なんだということだと思うんですけれども,法解釈で可能な部分と,きちんと法的に法改正として対応する方がいい部分を整理して慎重に議論してほしいという御意見がかなり多かったのではないかなと思います。
あと,主体の拡大についてはいかがですか。山本委員,どうぞ。
【山本委員】 この主体の拡大を,31条1項の主体の拡大という問題として捉えるのであれば,余り適当ではないのではないかなと思います。何故かといいますと,1号も3号も関わってくるわけですから,かなり意味が違ってくると思います。というよりは,さっきも申し上げたのですが,こういう代替性のないような貴重な資料を保存のためにコピーを取っておくことは,図書館に限らず一般に文化財の保護のために必要な行為として許されるべきものではないのかなと思います。したがって,31条という図書館の問題に限定せず,別の問題として捉えるべきじゃないかなと私は思います。
【土肥主査】 さはさりながらなんでけれども,著作権法施行令の1条の3の1項各号を見ると,いろんなものが入っていますよね。図書館法との関係で認められる図書館とか,学校教育法とか,学校教育以外の法律に特別の規定があるものとか,いろいろありまして,4号あたりを見ると,図書,記録その他著作物の原作品又は複製物を収集しというふうにあって,この中に美術とか博物館の多くのものが入っていくんだろうと思います。
そうすると,趣旨としては,ここに相当なものというようなものか,入ってこないとすれば,例えば6号で文化庁長官が指定すればそれでおしまいになるわけですけれども,そこのところなんでしょうね。必要性はあるという,そういう趣旨であろうと思いますので,このあたりをどのように考えるのか。そんなに多くはないんだそうです,相当施設というのは。400ぐらい,300とか400ぐらい。類似施設ということになると4,000ぐらいになるというふうに聞いていますけれども,かなり広がってくるということですよね。
ほかに主体に関して御意見をいただけますか。特によろしいですか。これ,かなり大事なところだろうと思うので,ある程度御意見いただいてしまった方が,いろいろ後々いいのかなと思いますけれども。だから,もともと博物館,美術館は入っているということですよね。
【大渕主査代理】 これはかなり黙示の賛成だから余り意見が出ていないのではないかという気がするのですが。
【土肥主査】 ああ,そうですか。
【大渕主査代理】 いや,失礼いたしました。前回も申し上げたし,先ほど御懸念も出ていたのですが,やはり保存と活用は別であることを明確にすべきと思います。まずは,著作権にとどまらない文化財の保存ということで,できるだけベストな形できちんと保存して後世に残すということは恐らく余り異論はないと思います。ただ,今まで,アーカイブというと,本来はアーカイブというのは保存というのがアクセントのわりには,アーカイブしたものをそのままばらまいてしまうというような意見があったために,やや私も気になるところはあったのですが,本来はアーカイブというのは,まずピン留めしてきちんと保存するというところが眼目なのであって,その結果をどう活用していくかというのは,まさしく次の段階のローマ数字のⅡのところであるわけです。まずは保存しない限りは,活用のしようもない。その観点からは,主体は,さほど限定的にする必要もない。もちろん余り広げるわけにいきませんけれども,ピン留めをしてくれる機関はある程度幅広に取って,ただ,そこから後がむやみやたらにばらまかれないようにきちんと押さえれば,図書館だけに限定されないということとなってきます。図書館等が重要であることは間違いないですが,できるだけアーカイブは幅広くやってもらった方が,後世に文化財が残るということとなりますので,その意味では,きちんと縛りをかけた上では,ある程度広げるというのはアーカイブの趣旨に合致するように思います。
解釈論の可能性については,先ほど緩やかな1つの解釈の相場観を示すと言われたのは,一つのあり得るアプローチだと思います。この中でも,よりクリアにするために立法で明示すべしというのはもちろんありますけど,私は両方あってよいと思っています。論文等で書いていますけど,著作権法については,解釈論でできる範囲というのは,普通に今まで考えられている以上に,実は,かなりあると思っております。しかしながら,なかなか今までは余りできないと思って,全部,立法でやろうとして,行き詰まっているところもありますけれども,今回詰めてみると,意外と,本来の趣旨に鑑みると柔軟に解釈できる余地があるという点がたくさんあることが事務局により示されているのですが,このようなものを出していくのは1つの方向性としてよいと思います。なお,また,そこまではっきりしているのだったら,明確化のために立法するというのはまた別途の話だと思います。解釈論ではなく,必ず立法によらなければならないというように考えると,かえって身動きが取れなくなってしまうと懸念されます。
その観点から言いますと,先ほどから出ております31条1項2号の図書館資料の保存のために必要がある場合というのは非常にシンプルな規定なのですけれども,これは,非常に趣のある意義深い規定と思われます。まさしくアーカイブのためにも活用できる余地のある条文と思われます。今までは,著作権法というのは,細かく規定するのが立法のあるべき姿であるというような雰囲気の時期もありましたけど,そうしたら,結局身動きが取れなくなって,あらぬ方向に行ったりしたわけですから,このように基本を定めて,ある程度解釈論で拾っていくというのは,現実的な方向性と思われます。まさしく今いわれた,緩やかな1つの解釈の相場観という方向性もこれに沿うものと思われます。そのような方向性を活用せずに,全部を立法で細々決めるというと,時代の動きについていけないこととなってしまいます。その意味では,今行っているプロセスはアーカイブのために非常に重要なことではないかと思っています。
【土肥主査】 広げる場合は,これは政令で追加するという,そういう対応になりますね。法改正ではなくて。そうなったときに,1号,2号,3号をそのまま認めていいのかどうかということについてはいろいろ御意見があったので,そのあたり,少し慎重に考えていただいてもいいのかなというふうには思いますけれども。2号というのは,今大渕委員がいみじくもおっしゃったように,非常に重要な規定であり,保存のために複製を認めるというのは大事なことなんじゃないかと思います。
例えば図書館資料って非常に広い概念ですよね。例えば映像とかCDとか,そういうような資料も当然含まれていくことになって,かつ,3号が仮に適用されていくと,1部渡すということになりますよね。そういうようなことになっていると,かなり問題になるんじゃないかなというふうに想像するんですけれども。
奥邨委員,どうぞ。
【奥邨委員】 私も,大筋というか,全体においては是非積極的にと思っているんですが,問題の切り口というか,実態がよく分からないので質問です。例えば先ほど前田委員からお話が出ていたように,美術の著作物の中に,図書館資料のとらえ方次第で彫刻なんかまで入るんだというようなことになると,複製というのは写真撮影だけなのかとなるわけです。先ほどあった,もう1個作るという話だけじゃなしに,今であれば3Dでスキャンするとか,技術的にはいろいろ広がっていくので,図書の次元で全く同様にやって大丈夫かというのは疑問があります。アーカイブの仕方というのは,特に美術のデジタルアーカイブというのはいろんなやり方があるので,そこは少し実態で見ておかないといけないように思います。純粋な写真だけということではないのかもしれない。実際どう行われているか分からないのですけれども,本のアーカイブとそれ以外の美術品のアーカイブとは違いがないかな。今は大丈夫でも,5年,10年たっても大丈夫なのかなと。ちょっとその辺は見極める必要があるのかなという気がいたします。感想のようなものですみません。
【土肥主査】 ありがとうございました。あと,時間も当然のことながらあるわけですけれども,ローマ数字のⅠの(2)の公共図書館等において所蔵資料の損傷等を予防するために複製をするという,こういうことを2号による保存のための複製として認めていいのではないか,こういう設問になるわけですけれども,この点いかがでしょうか。特にございませんか。前田委員,どうですか。
【前田(哲)委員】 逆に,できないという理由が余りないような気がするんですが。できない可能性があるというのはどういう場合でしょうか。
【土肥主査】 じゃあ,お願いします。
【田淵著作物流通推進室長】 過去の審議会で示された解釈等も踏まえますと,どちらかといいますと確認のような意味合いで挙げさせていただいた論点でございます。
【土肥主査】 これは2項との関係をちょっと懸念されたということじゃないですか。絶版等資料,絶版等の理由により一般入手することが困難な貴重資料というふうに,こういうふうにうたっていただいているのは,31条の2項との関係で主体が限定されているので,ちょっと懸念されてこういうふうになったのかなと思ったんですけれども,そうではないですか。
いずれにしても,前田委員おっしゃったように,当然認められるのではないかというふうに,いただいたんですけれども,ちょっと心配だというふうにお考えの委員。松田委員,どうぞ。
【松田委員】 31条の1項の2号を保存のためとあるのを損傷を予防するためというふうに置きかえてしまいますと,ほとんど国立国会図書館の損傷,汚損を避けるためのデジタル化というのと条件は同じになってしまいます。図書館に本が入ってきたと同時に,汚損が始まりますからすぐデジタル化して,国立国会図書館でない図書館であったとしても,アーカイブ化が可能だということになってしまいます。そうすると,2項の前項各号に掲げる場合のほかとしてわざわざ国立国会図書館においてはというふうに書いたところの意味が全くなくなってしまいます。国立国会図書館以外の公共図書館で,1項が適用になる場合の保存のためというのは,もっと厳しいのじゃないでしょうか。図書館資料として使えなくなるということを前提にしているのではないでしょうか。ですから,汚損が生じるからデジタル化できる,複製ができるというふうに置きかえてしまうことについては,現行法は違うのではないでしょうか。
【土肥主査】 ありがとうございます。前田委員,どうぞ。
【前田(哲)委員】 今の松田委員の御発言により,私も問題点がよく理解できました。確かに,予防となると,保存とは違うという理解も当然あり得ると思います。
【土肥主査】 ほかにございますか。河村委員,どうぞ。
【河村委員】 難しい法解釈の議論なので、どのように意見を述べるか迷ったのですが。専ら利用者、この場合でいえば、図書館を利用するとか、美術館に行くとか、そういう立場から意見を申し上げます。資料や本日出されている御意見を見ますと、美術品について、どのようにすべきかということが問題になっているようです。そうなってくると、やはり事務局資料にあるように、一番美しい当初の色彩を持っている、そういうときに撮影しておかないといけないですね。解釈の議論をうかがっていて感じたのですが、美術作品に関しては、写真を撮っても美術の世界で言うところの複製にはならないですよね。油絵の複製といえば、美術的には全然別の意味だと思うので。著作権法の中でいう複製は、美術の文脈では複製物になり得ないので、そのあたりを踏まえる必要があるように感じました。
美術作品、例えば絵であれば、写真を撮っても美術品としての複製にはなりませんが、後の時代に色を修復するとか、絵具などが化学的に劣化してしまったとかいうときに、元の状態に復元するためにも、撮っておくべきものであって、そういうことが可能になるように、必要であればルールの方を変えるべきだと思います。それが本と美術作品とでルールの適用が同じじゃ困るのであれば、そういうふうにルールを作るべきでありますし、先ほどあった映画とかデジタル的な映像作品というのも、またそれはそれで考えなければいけません。消費者の立場で言えば、3Dのスキャンも含めて、後の世に文化財が元々の美しい状態を保つことができるということこそが最優先されるべきであると考えています。
【土肥主査】 ありがとうございました。2ページの(2)に例えばとして挙がっているものは,本当の意味で貴重資料というものが挙がっているんだろうと思うんですけれども,2項でいう国立国会図書館の権利制限は,非常に事実上広いので,その辺が少し我々にピンとこないところがあるんですが。必要性からいうと,こういう貴重な資料を保存しておくというのは非常に大事なことではないかなと思うんですけどね,これからすると。そしてまた美術資料なんかについても,今河村委員がおっしゃったように,地震その他何かの事情で後世でまた復元が求められるようなときにも,当然そういうものが置いてあれば非常に役に立つんだろうと思います。こういういろんな委員の意見を踏まえてまたおまとめいただければいいと思いますので。
この点ですね。じゃあ,お願いします。上野委員から次に潮見委員にお願いしたいと思います。
【上野委員】 すいません,それでは簡単に。資料の電子化を促進するための具体的な措置としましては,31条1項2号の解釈でいけるのかもしれませんが,それが難しいならば,やはり31条2項の主体を拡大するという方法もよいかと思いますし,あるいは31条とは別に,同条2項の規定を準用する規定を作るという手もあるのだろうと思います。
もっとも,もし31条1項2号を広く読むという解釈論でいくとなると,様々な博物館等を含めるために,31条の主体である「図書館等」を拡大することになろうかと思いますので,そうすると,これによって新たに含まれることになる博物館等の主体が,単に資料の保存のための電子化を行うことができることになるだけでなく,31条1項1号から3号の全ての行為を行うことが可能になるのではないかと思いますので,それは行き過ぎじゃないかという声が出てくる可能性はあろうかと思います。
ただ,これには2つのことが言えるかと思います。1つは,31条1項によって博物館等が1号から3号の行為をできるようになったとしても,それは,もし博物館等がこれを行っても著作権侵害にならないというだけであって,必然的に博物館等が行うことになるわけではないということ。
もう1つは,現状の31条でも,そこにいう「図書館資料」には,書籍や雑誌に限らず,CDだって,美術作品だって,含まれるわけですよね。また,31条1項にいう「複製」にはデジタルコピーも含まれるはずです。ですから,現状でも,31条1項1号や3項に基づいて,利用者の調査研究のために,例えば,CDに収録された曲の半分をデジタルファイルで提供するということも著作権法上は可能なのではないかと思うのですけれども,実際には必ずしも行われていないようです。こうしたことは,著作権法には定められていないけれども,関係者協議というところで調整されているようでありまして,それ自体の是非も問題となりうるところなのですけれども,そういう意味では,もし31条1項の主体を拡大するということになるのであれば,これによって新たに同項の主体になるアーカイブが,そうした協議との関係でどういう位置づけになるかということにも留意しなければならないのではないかと思います。
以上です。
【潮見委員】 いろいろ伺っていまして,結局,著作権法の31条の1項の2号の目的,つまり,図書館資料の保存のために必要がある場合ということの意義そのものについて,様々な考え方があり,また,要件の意味は何なのかについて非常に曖昧なところがあるように,話を伺っていて思いました。その意味では,先ほど河村委員がおっしゃったこととほぼ同じことですが,ルールを明確にしておく必要があるという感じがいたしました。
本当に言いたいのはここから先のことでして,そういうときに,著作権法の31条の1項の2号という枠の中でルールをどうしよう,こうしようというふうにやることが果たして適切なのでしょうか。先ほどの山本委員の話に通じると個人的には思っていますけれども,ここで問題になっているのは,図書館等という主体に着目した複製の許容の話じゃなくて,保存のために必要な複製,これを認めるためにあるべきルールは何なのか,どのような対象を想定して,どのような方法の複製を想定し,どのような目的でその保存のための複製を認めるのかという観点からルールを新たに設けた方が個人的には好ましいのではないかという印象を受けました。
そういう意味では,2本立てになり,重複することはあるのかもしれませんけれども,この31条の条見出しにある図書館等における複製等というのとは別のルール,あるいは横に切り出されたルールとして,保存のために必要な複製というものについての要件,効果,主体というものを明確にしたルールというものを作り,立法的に解決するという方法を支持したいと思います。大渕先生がおっしゃった方向とは若干違うのですが,目指している方向は意外に同じことじゃないかと思いましたので,あえて発言をさせていただきました。以上です。
【土肥主査】 ありがとうございました。いずれにしても,事務局の提案は,今すぐできること,それから,短期的にできること,あるいは,もっとじっくり時間をかけて中期的にできること,恐らくいろいろあるんだろうということだと思います。目指すところは,皆さんおっしゃるところは一緒なんですけれども,今目の前にある状況をどうするのかという場合に,できるんだったらこれでやったらどうかという現実的な対応と,やっぱりきちんと検討した上でやった方がいいんじゃないかという,そういうお立場だと思うんですけれども,でも,目指すところは同じなんじゃないかなと思いました。
いずれにしても,今まであった31条に関する様々な委員の御意見を事務局においては一度受け止めていただいて,整理していただいて,またというふうにさせていただければと思います。
次に,アーカイブのために保存した著作物等の活用,つまり,2ページのローマ数字のⅡですね。そこの問題について御意見をいただければと思います。主としてアーカイブのために保存した著作物の活用の場面について何か御意見いただければと。前田委員どうぞ。
【前田(哲)委員】 ローマ数字のⅡの1の(1)のところの,国立国会図書館に提供された絶版等資料については,31条2項及び3項により,他の図書館等に自動公衆送信を行うことができるのではないかという点なんですけれども,31条3項で自動公衆送信を行うことができるのは,「前項の規定により記録媒体に記録された複製物を用いて」行う場合なので,2項に基づいて作成された記録媒体を用いて自動公衆送信を行うことは3項に当たり得ますけれども,他の公共図書館等から提供された絶版等資料を用いて自動公衆送信を行うことが,第3項にいう「前項の規定により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて」で読めるかという問題があるのではないかと思いました。
【土肥主査】 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。いろいろ問題があるんですけれども。しかし,こういうことが実現できれば,恐らくユーザーの方は非常にお喜びになるんだろうと思うんですけれども。松田委員なんかも,将来的にこういう仕組みができると,データのライブラリーに近づいたりするという,そういうことをお考えかと思いますが。
【松田委員】 ええ,私の持論です。現行法の著作権法の枠組みの中では,できるだけ国立国会図書館にナショナルアーカイブを集中できるようにしようとしているんだろうと思っております。ですから,国立国会図書館が所蔵していないものについても,国立国会図書館がアーカイブ化することについては,積極的にできるようにして,そして,その後の利用については,3項で,他の公共図書館も自動公衆送信を受けられると,こういうふうにした方がいいのではないかなとは思っております。
【土肥主査】 実現すると便利なことこの上ないんだろうと思うんですけれども。奥村委員,どうぞ。
【奥邨委員】 すいません。私もよく分からないところもあるんですけれども,先ほどの前田委員の御質問のところに関係してなのですけれども,事務局がお考えなのは,1項3号で提供を受けたものを,2項にのっとって国会図書館が複製をもう1回作って,そうしたら3項が適用できるという,2段階構えをお考えで,資料には2項をあげておられるんですか。条文の適用関係のところがよく分からないですが,そういうことが可能ならば可能なんでしょうけど,その辺の趣旨がちょっとよく分からなかったなという気がいたしました。
【土肥主査】 送れば,向こうにもあってこっちにもあるということになりますよね,自動的に。今村委員,どうぞ。
【今村委員】 国立国会図書館のコピーサービスとか,あるいはデジタル化した絶版資料を送信するサービスとか,非常に便利ではあると思うんですけれども,他方で,国立国会図書館が巨大なコピーセンターのようになっていて,著作権料は基本的には1円も払われないわけですよね。そのことが望ましいかどうかということも問題としてあると思うんです。31条2項などの拡大というのは,背景には著作権というものをどのような形で尊重して,公共の利益と調整していくかということと関わってきていて,例えば競合するサービスがあるような場合,Ⅱの1の(2)のような事例で,外国に送信するというような場合ですが,外国に情報提供するデータベースを提供している業者があるとしたら,これはまさにそういうものと競合する可能性があるわけです。そのような場合,どのようなものを絶版資料として扱うかということについて,関係者等の意見を十分に聴取する機会があって,利害調整がなされるということを条件にしてこのような拡大をしていくのが望ましいと思うんですけれども,制限規定の範囲を拡大する一方で,そういう既存の業者などの業務上の利益を害するような,損なうような形になってはならないと思います。
【土肥主査】 ありがとうございます。今おっしゃっていただいたこと,非常に大事なところで,著作権者の利益というようなことも十分考えていただく必要があるわけですし,そこで関係者間の協議というのが恐らく重要になってくるんだろうと思いますので,今の御指摘を踏まえていただければと思います。
あと,今,今村委員がおっしゃった2の外国に送るということなんですけれども,これは相互的な話として受けとめていいんですか。それとも,一方的に情報発信として出すということなんでしょうか。向こうからも来るわけですよね。違うんでしょうか。
【田淵著作物流通推進室長】 国会図書館からのは,外国の図書館に提供するということで御要望いただいております。
【土肥主査】 外国からは来ないんですか。
【田淵著作物流通推進室長】 そこは要望の中では触れられてはおりません。
【土肥主査】 一方的な発信ということになりますけど,そういうことですか。はい,分かりました。
あと,一番下の(3)のいわゆる小冊子の問題なんですけれども,これはもう時代が時代ですので,聞きましたところでは,任天堂DSが美術館の中で使われるというようなことになっているやに聞いておりますけれども。外国ではですよ。そういうような端末を使ってサービスを提供できないか。小冊子というものは,まさに紙の時代……。どうぞお願いします。
【大渕主査代理】 まさしく今言われたところ,まずは,先ほど申し上げたように,まず保存が重要ですと。そこには異論はなくて,ただ,先ほど今村委員も御指摘になったように,それを著作権者の利益を害する形で,ばらまくとさっき言ってしまいましたけれども,余り過度に活用してしまうと問題なので,そこのところをきちんと考えればいいので,まずはピン留めのところは,全員の利益ですからやってくださいということなのですが,その上で,まさしく今言われた,小冊子とか,次のサムネイルというのは,権利者の利益と競合するようなものではなくて,むしろ利便性を高めるようなものであります。小冊子の方は,今,紙でやっているものをただデジタル的に代替しただけということで,余り実態は変わっていないので,むしろ47条の現代化版のようなもので,当然あるべき拡大のようなものなので,余り問題がないのではないかというのが1点であります。それから,サムネイルは,これは24年改正の権利制限の一般規定の議論のときに,C類型というのがあって,先日も話題に出ていましたけれども,要するに著作物の表現の享受を目的としないようなものについては権利制限を認めてもよいではないかということで,その一部が立法化されているわけですけれども,このサムネイルは,別にそのサムネイル自体を見て絵画を鑑賞するというような類いのものではなくて,いわゆる道しるべというか,それを見て,その絵画に行き着きやすくするという,まさにC類型の精神を体現したようなものであると思います。道しるべであれば権利者の利益を害しないし,道しるべであれば全員の共通利益なわけですので。先ほどの最初のピン留めと同じようなものなので,むしろ文化の発展のために必要なものであると思います。
そのように実質的に考えていくと,先ほどのように利益を害さないように何らかの歯止めをかけるということだったら,こういう共通利益になるものはどんどん,それを進めていくことこそ文化の進展に資すると思います。
【土肥主査】 ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。松田委員,どうぞ。
【松田委員】 小冊子に限定することはもうそろそろ開放してもいいように思います。国立歴史民俗博物館にいろんな資料が展示されていて,その前にディスプレイがあるので展示物の解説がそこに出るわけです。この展示しているものは博物館の場合は,著作権法を余り考えないでいい古いものばかりですけれども,そうでないものにつきましても,ディスプレイ上の解説が載ります。こういう利用の仕方はごく普通の博物館技術になっていますから,もうそろそろ小冊子でなくてもいいかなと思っております。
【土肥主査】 奥邨委員,どうぞ。
【奥邨委員】 私も同じです。むしろ,ここで小冊子に限っているのは結局,47条の10があって,そこから先,みんな持って帰っていいからいうことで小冊子になっているわけですよね。逆に言えば,館内でしか利用できない機械であれば,つまり,館内限定でタブレットで見せるのであれば,もっと精巧なものでもいいですし,拡大して細かいところが見えてもいいのではないでしょうか。解釈でやれるところはやって,更に踏み込んで,もっと教育,それから障害者の方などに役に立つように,そこは踏み込んでもいいと思います。ただ,それは法改正が必要かもしれませんが,踏み込む部分はですね,そういうふうに思います。
【土肥主査】 今おっしゃっていただいたように,普通なら見られないようなところを見られると。裏側も見られるとか,いろいろあるんだそうでございまして,確かに観覧者としては非常に便利になるんだろうと思います。古いものばかりではないので。近代美術館とか,ノイエピナコテイクとか,ああいうようなところになると,著作権は生きているんだろうと思いますので。
前田委員,どうぞ。
【前田(哲)委員】 38条1項でしたら,非営利目的で,かつ料金を受けない場合に限定されているわけですけれども,小冊子についての47条で考える場合には,営利目的であって,かつ料金を受ける場合であっても,適用できることになると思うんですが,美術館等で例えばオーディオコメンタリーみたいなものを有償で貸し出して,有償サービスを提供しているということがありますけれども,そういったもので,かつ32条1項の引用を超えた利用までオーケーしてもいいのかなという疑問もちょっと感じなくはないと思いました。
【土肥主査】 ほかにいかがでしょうか。今村委員,どうぞ。
【今村委員】 Ⅱの1の(3)の件,また(4)に関しては,強行規定ということではないと思いますので,仮にそういう複製物の利用に対して対価が欲しいという権利者がいれば,他の著作権の支分権,例えば展示権などの行使を通して利益を得ることもできる,その行使の時点で何らかの契約をすることもできるという規定であれば,このような規定を設けても弊害は少ないのではないかと思いました。意見です。
【土肥主査】 ほかにいかがでしょうか。この点はもうよろしいですか。
無料,無償,非営利でいけるかというと,お金とりますよね,大体ああいうサービスでは。
【上野委員】 よろしいですか。
【土肥主査】 上野委員,どうぞ。
【上野委員】 私の理解が間違っていなければ,2ページ目の一番下の(3)と3ページ目の一番上の(4)は,飽くまで美術の著作物と写真の著作物に限定したお話なのではないかと思います。(4)の方は,確かに美術の著作物「等」となっていますが,これは「サムネイル」の話なので,ビジュアルなものだけが想定されていて,音楽は入ってこないのではないかと。こうした形で47条の延長で考えるのであれば,同条を拡大しても,今の点に関しては,それほど大きな問題はないのかなという印象を持っています。
【土肥主査】 ありがとうございました。ほかに。
【大渕主査代理】 38条は38条として1つの体系があって,非営利,無料,無報酬で,あれはあれとしてあるのですが,それとはまた別の体系のものとしてあると思います。先ほど言われたように,そもそも対象も違うし,これでみんな納得してきているものなので,そもそもの始まりからして,これは美術館が全部非営利でやっているわけでもない。このように,別の体系として立っているから,別に。こちらはそもそも最初から非営利という絞りは全くかけなくても,他の部分で絞っているからで,それぞれ絞る箇所が違うからそれぞれでバランスが取れていると思います。そして,47条をそのまま現代化すれば,先ほどの話になっていくと思われます。別に著作権者の権利・利益も害しないし,ほかの権利制限とのバランスを失するというのも,そもそも別次元の話だから関係ないと思います。
【土肥主査】 それでは,3ページの2ポツというんでしょうか,権利者不明著作物等の活用にいて,いわゆる我が国の文化庁長官の裁定制度とEUの孤児著作物指令の比較の中で,次のように認識しておいていいのではないかという確認だろうと思いますけれども,このページ,御意見をいただけますか。井奈波委員,どうぞ。
【井奈波委員】 (1)のマル2の真ん中なんですけれども,我が国においても,権利者が現れたときに補償金の支払を確実に行うことが期待できる公的機関については,事前供託ではなく,権利者が現れた場合の支払を認める制度を検討すべきではないかとある点なんですが,EUの場合なんですけれども,EUの場合,立て付けが例外となっているので,例外となっている関係上,恐らく補償金の支払を後回しにしたという状況なのではないかと思うんですけれども,我が国の場合ですと,法定許諾という立て付けなので,法定許諾ということは,やはり許諾料が発生するのが前提ではないかと思いますので,後で,恐らく権利者が現れた場合の支払を求める制度ということは,無償もあり得るということだと思いますので,ちょっと法定許諾の制度とは合わないのではないかなと感じました。
このような制度になりますと,公的機関についてなんですが,民間との間の不公平がやはり発生するのではないかと。裁定制度,民間で商業利用も可能ということですので,公的機関だけが優位な立場に立つのはちょっとおかしいのではないかと思いました。
【土肥主査】 ありがとうございます。前田委員,お願いします。
【前田(陽)委員】 裁定に関与した者の立場として,②について,権利者にとってのメリットもあるのではないかと。現在の裁定制度で,供託されますと,これは,事後的に権利者が現れた場合,遠方の権利者が供託所まで行かなければいけないことになります。これに対して,公的機関について,事後的な支払でよいとして,これは例えば銀行振込等でもよいとなりますと,権利者にとっても便利な制度になるのではないかと。権利者の便宜という点でも一定のメリットがあるのかなという,そんな感じがしています。
【土肥主査】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
EUの場合,先ほどちょっと出たんですけれども,要するに,こういう著作物を利用できるというか,そこの部分は,主体がここに書いてあるように限定されていますよね。日本の場合誰でもいいという。そういうことで,後払いだと,もういなくなったとか,つぶれたとか,いろんなことがあるんじゃないかなと思うんですけれども,そういうことは心配ないですか,後払いだと。公的機関についてだけですか。なるほど,分かりました。公的機関についてだけやると。なるほど。はい。
あと,入念な調査と相当な努力というところについては,大きな違いは見られないんじゃないかということは,これはそのとおりということでもいいんでしょうか。どなた?前田委員が御発言があればお願いします。
【前田(哲)委員】 先ほどの,公的機関については事後的な支払でいいかどうかという論点なんですけれども,公的機関であっても,アーカイブ以外の目的で裁定を利用するということもあり得るので,公的機関であれば,あらゆる利用について事後支払でいいとするのではなく,アーカイブ目的に限って,アーカイブ目的って何かはなかなか定義が難しいのですけど,アーカイブ目的の場合のみ,公的機関については,権利者が現れたときに支払えば足りるとすることも考えられるのかなと思いました。
【土肥主査】 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
あと,③の一度裁定を受けたといいますか,孤児であることが分かった状態の場合に,再度2度目の利用を求める際に,初めから入念な調査といいますか,相当な努力をする必要があるのか。あるいは何か別のヨーロッパのような形で登録制度のような形にしておいて,そこに該当すれば,調整要件を極めて緩和するとか,何かそういうアイデアなんでけれども,これについてはいかがでしょうか。無駄ですよね,もう1回やるということだと。大体これ,継続的に利用するということになると,民間の会社の場合,こうしたニーズは少なくないのでしょうか。そういうことでもないですか。
今村委員,どうぞ。
【今村委員】 一番問題なのは,フリーライダーのような人が出てきて,さきの相当な努力にただ乗りする場合かと思います。例えば漫画の復刻版を出しました。それは裁定制度を使って出しました。その後に,これは裁定制度を使って出したものだから,権利者から許諾を得なくても,相当な努力にただ乗りして,裁定制度を用いて同じものをコピーして出せるという,そういうような業者がいたとして,ちょっと何か問題を感じはします。けれども,最初に使った業者も,それはそれで,権利者が分からないあるいはその所在が分からないということで,権利者から明確な許諾を得ないで,裁定制度を用いて作品を使ったにすぎない立場ですから,フリーライダーについても,余り納得はできないですけど,他の何らかの別の法規制にかからない限り,認めてもよいような気もします。不正競争防止法とか,そういうものにかからなければよろしいかと思うので,フリーライダーの問題があるとしても,そこまでこの問題を深刻に考えなくてもよいのではないかという印象は持っています。ただ,いろいろな状況が考え得るので,難しい問題ではあるかなと思います。
【土肥主査】 ありがとうございます。ほかにございますか。井奈波委員どうぞ。
【井奈波委員】 権利不明状態が継続しているものについては,緩和を認めてはどうかということなんですけれども,権利不明状態が継続しているかどうかということ自体,調べてみないと分からない状況だと思いますので,これ,この情報をどうやって公開するのかという,公開制度をどのようにするのかという問題とセットの問題なのではないかなと思いますが,そういう制度がないのに緩和ということにはならないのではないかなと思いました。
【土肥主査】 その下にちょっと書いてありますよね。検索可能なインターネット上で公開する。そういう恐らくデータベースを作るんだろうと思いますけれども,そういうことで一応ここでは出ている。
【井奈波委員】 はい。そことの兼ね合いではないかなと。
【大渕主査代理】 不明状態が継続しているということをどう立証するのかというのは問題になりますが,普通に考えて,特に事情に変更がない限りは,問題ないと思います。余り長時間たったらまたやり直してもらってもいいかもしれませんけれども,先ほど言われたように,かなり接近してやれば,もう1回努力したとしても同じ結果になることがほぼ明らかなのにもう1回やらすのも無駄でかつ酷なので,何らかの状況が変わっていれば別ですけれども,そのようなことがなければ,やはり,最初の人は一生懸命探しても,探せなかったから裁定を下しているわけで,普通に考えれば,2番目の人がやっても同じようなことになるのに,同じことをやらせるよりは,活用はしていただいて,万が一出てきたら,きちんと後でお支払するという方が合理的な制度のように思います。なるべく孤児著作物を埋もれさせないということも重要な要請ですので,余り過度な負担を課さないようにするということも重要なので。フリーライドというと,気にし出したら気にはなるわけですけれども,そのようものが何かあれば,余り権利濫用的な場合には一般条項で対処するということもあり得るかもしれません。やはり,この事務局の案の方が合理的な形で,孤児著作物の埋もれを防ぐことができるのではないかと思います。
【土肥主査】 ありがとうございました。要するに手を挙げてくれば別なんでしょうけれども。前田委員,どうぞ。
【前田(哲)委員】 不明状態が継続しているかどうかの点なんですが,インターネットで情報公開をすることとセットで考えて,公開された情報に対して,私は不明者でありませんよと手を挙げる人がいたら,その人はもう不明状態ではないとする,いわゆるオプトアウト的な制度が伴うのであれば,それはよい仕組みではないかと思います。
【土肥主査】 ありがとうございました。じゃあ,いろいろ時間も来ておりますので,4ページ目の一番上のところは,実質的な負担に大きな違いがあるかというと,ないというふうに伺っておるんですけれども,残った時間では,3ポツのところ,拡大集中許諾制度とか,いわゆるワンストップのポータルサイトの構築とか,こういうところについて御意見いただけますか。重要なところだろうと思います。いかがでしょうか。オリンピックの2020年ぐらいまでに,そういうスパンで,ヨーロッパのようなああいうライブラリーというようなものとか,ワンストップのポータルサイトとか,そういう方向で行ってはどうかという,小委の中でアドバルーン上げてもいいんじゃないかと思うんですけど,どうでしょうか。御意見をいただけますか。末吉委員,どうぞ。
【末吉委員】 私はこの3ポツの(2)の著作物等の権利情報の集約化は是非前向きに進めるべきではないかと思います。それは,権利制限規定の立法などはかなり時間がかかるということもあり,許諾によって処理をしていくという局面がこれからもっともっと増えていくのではないかと思うので,ここにある問題提起以上に権利情報の集約化というのは作用効果があるのではないかと考えるからです。(1)も大変魅力的なんですけれども,ここに御指摘されているとおり,権利の集中管理の進展がセットになりますので,これは推移を見ながらということになるのではないかと思います。
【土肥主査】 ありがとうございました。1と2はスピード感がちょっと違うということかとは思います。
ほかに御意見いただけますか。これは末吉委員にお尋ねしたいんですけれども,集約化については,主体はどのあたりがいいんでしょうか。
【末吉委員】 まだ今後の問題ではあるんですけれども,今のところは,実演家の団体がaRmaという許諾のシステムを今動かしていて,これから,実証実験段階から本格的な稼働に入っていくところなのですが,これは1つのコアになると思いますし,それから,場合によりますと,クラウドサービスをめぐる利害関係者の話合いというときに,恐らく権利情報のワンストップ化というものが必要になると思うので,そこら辺が1つの大きなきっかけになるのではないかというのが私の説です。
【土肥主査】 民間でやっていただくと,こういうことだと思うんですけれども。放っておくとなかなかできないかもしれないので,まだかまだかと言っていただくといいかなと思いますが。
ほかにございますか。今,時間が残り,残りといいますか,本来6時半ということであれば過ぎているんですけれども,7時まであと10分ほどになっています。山本委員,そして次に松田委員というふうにお伺いしておきたいと思います。
【山本委員】 拡大集中許諾制度ですが,これはじっくり検討しないといけない様々な問題点があるとは思います。ちょっと指摘しておきたいのは,ここで前提として,権利の集中管理の進展が必要となるためと書いてありますが,これが進んでからこれをやるとかという話ではなく,この制度を作れば,利用するために,かえって集中管理の進展が図られるのではないかなと思います。卵とニワトリの関係ですね。ですから,ちょっとここは違うかなと思います。
【土肥主査】 じゃあ,松田委員,お願いします。
【松田委員】 私の記憶では,拡大集中許諾制度というのは北欧から始まった制度だったと思います。日本で紹介されたのは2010年のCRICの著作権契約法委員会の報告書からだったと思います。それが出た後,みんなそこそここの制度魅力に感じているかなと思うんです。そして,こういう審議会でも時々拡大集中許諾制度は日本では採用できるのではないかという議論が出ています。ところが日本の制度としてこれが採用できるかどうかという研究は進んでいないように思います。審議会でなくてもいいですから,研究することを考えてみたらどうかと思います。
【土肥主査】 そのあたりのところ,これから松田委員に教えていただければと思うんですけど。ほかにいかがでしょうか。時間的にはもうそろそろと私は思っておりますが,よろしゅうございますか,本日のところこのぐらいで。よろしいですか。
それでは,予定されている時間をはるかに超えて,皆さんに御協力いただいて議論を頂戴いたしました。この後,次回の本小委において,本日の皆様の御意見,いただいた御意見,御発言,そういったものを踏まえて整理していただければと思います。事務局におかれましては,大変お忙しいことだと思いますけれども,次回までにひとつ取りまとめの労をお取りいただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
最後に事務局から連絡事項がございましたらお願いをいたします。
【秋山著作権課課長補佐】 次回の会議日程等につきましては,調整の上,追って御連絡いたします。
【土肥主査】 それでは,これで本日の法制・基本問題小委員会(第4回)を終わらせていただきます。本日は熱心に議論いただきまして誠にありがとうございました。
―― 了 ――
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