(平成20年第11回)議事録

1 日時

平成21年1月16日(金) 10:00~12:00

2 場所

三田共用会議所 3階 大会議室

3 出席者

(委員)
青山,大渕,清水,末吉,茶園,道垣内,土肥,苗村,中山,前田,松田,村上,森田,山本の各委員
(文化庁)
高塩次長,関長官官房審議官,山下著作権課長,ほか関係者

4 議事次第

  • 1 開会
  • 2 議事
    • (1)文化審議会著作権分科会法制問題小委員会平成19・20年度・報告書(案)について
    • (2)その他
  • 3 閉会

5 配布資料一覧

資料

6 議事内容

【中山主査】
ただいまから,文化審議会著作権分科会法制問題小委員会第11回を開催いたします。
本日は,ご多忙中のところお集まりいただきまして,まことにありがとうございます。
本日の会議の公開につきましては,予定されている議事内容を参酌いたしますと,特段非公開とするには及ばないと思われますので,既に傍聴者の方々にはご入場をしていただいておりますけれども,このような措置でよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【中山主査】
それでは,本日の議事は公開ということにいたしまして,傍聴者の方々にはそのまま傍聴をお願いいたします。
それでは,議事に入ります。
まず,事務局に人事異動があったようでございますので,事務局からその紹介と,あわせて配布資料の説明をお願いいたします。
【黒沼著作権課長補佐】
それでは,まず人事異動からご紹介させていただきます。本年1月1日付で,著作権調査官として,これまで弁護士として活動されておられました池村聡が着任しております。
【池村著作権調査官】
池村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【黒沼著作権課長補佐】
引き続きまして,配布資料の確認ですが,本日は1点のみでございます。平成19年度・20年度・報告書(案)でございます。
【中山主査】
本日検討していただきたい事項は1点で,文化審議会著作権分科会法制問題小委員会平成19・20年度・報告書(案)についてでございます。複数の論点がございますので,効率的な議論を行うために議事を論点ごとに分けて進めたいと思います。1番目はデジタルコンテンツ流通促進法制,2番目は海賊版の拡大防止のための措置,3番目は権利制限の見直し,4番目はその他の検討途上の課題,この4つの事項に分解いたしまして事務局より報告書(案)に基づいて説明をちょうだいし,その後各論点についての自由討議に移りたいと思います。
それでは,初めに,第1章デジタルコンテンツ流通促進法制について,事務局より説明をお願いいたします。

(1)文化審議会著作権分科会法制問題小委員会平成19・20年度・報告書(案)

[1]「デジタルコンテンツ流通促進法制」について
【黒沼著作権課長補佐】
それでは,お手元の報告書(案)に基づきましてご説明をさせていただきます。
まず,第1章に入る前に,報告書全体の構成についてご説明させていただきます。
表紙を1枚めくっていただきまして左側に目次がございます。ごらんになっていただきますと,4章立てになっておりますが,こちらは19年度中間まとめと20年度中間まとめの項目をそのまま載せて,それを性質ごとに並べかえたものでございます。特徴といたしましては,19年度,20年度をそのまま2つ並べるのではなくて,性質ごとに並べかえたということと,検討途上のものと結論の得られたものというのをできる限り分類しようと試みたことです。中でも第4章その他の課題では,検討途上,最終結論に至っていない,今後も検討が続くというようなものを中心に集めております。構成についても,このような形でいいか,後ほどご指摘をいただければと思っております。
その右のページの「はじめに」のところですけれども,こちらはこれまでの経緯などをいろいろ書いているものでございますので,省略をいたします。
それでは,第1章に入らせていただきます。2ページからでございますが,こちらは19年度・20年度2カ年にわたって検討を行っておりますので,大きく第1節と第2節に分けまして,第1節が主として19年度に検討を行った検討の背景と課題の整理,それから7ページ以降は20年度で行ったことを中心にしまして,この課題の整理を受けて何をデジタルコンテンツ流通促進法制としていくのかということを整理したつもりでございます。
それでは,特に19年度中間まとめ,20年度中間まとめから変わっているところを中心にご説明をしたいと思います。
まず,第1節の課題の整理のところですけれども,こちらは課題の整理であって既に整理をしたものでございますので,それほど大きく記述を変えているわけではございません。ただ,ところどころ,例えば7ページの上のほうですけれども,19年度以降の動きについても言及をしている部分がございます。7ページの上の○のところでは19年度以後の知財本部の動きとしまして,デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会が設けられていろいろな事項が検討されているということも言及をしまして,デジタルコンテンツ流通促進法制として何が求められているのかを考える上ではこういった事項に関心が持たれているということについて参考になるのではないかと追加で記述をさせていただいております。課題の整理については変更点としては大きなものはそれくらいでございます。
引き続きまして,第2節でございます。こちらは20年度中間まとめを基本的に引き継いでいる形にしてございますけれども,特徴としましては,20年度中間まとめではこういった内容が考えられるということで具体の言及をしていなかったのですが,はっきりと何をテジタルコンテンツ流通促進法制として盛り込むべきなのかということがよりわかりやすくなるように結論部分を書き加えております。例えば11ページのところでございますけれども,(4)としまして,「デジタルコンテンツ流通促進法制」として盛り込むべき内容という一つの塊を設けまして,コンテンツの二次利用に関する課題としては,権利者不明の場合の措置,これについて可能なものから早急に制度的対応が実施されることが適当との結論を,20年度中間まとめにも書いてはございましたけれども,法制の内容として盛り込んでいくべきだということをよりはっきりと書いております。
それから,その次のインターネットを活用した創作・利用に関する課題についても同じような構成にしてございまして,書き加えている点としては,14ページでございます。こちらも20年度中間まとめでは権利制限の見直しについていろいろと整理すべき点があるというようなことを指摘しておりましたが,盛り込むべき事項として(3)ではっきりと権利制限の見直しとして検討されている事項,例えば検索エンジンや通信過程における蓄積などでございますけれども,そういったデジタル化・ネットワーク化に関連する権利制限規定の見直しについてはデジタルコンテンツ流通促進法制の中身として位置づけていくべきだということを書いております。
それから,3でございますけれども,その他最近の改正要望の動向等に基づく課題ということで,こちらも中間まとめにも書いてあったものでございますけれども,海賊版の頒布の防止策など,権利者が安心してネットにコンテンツを提供していく環境の整備というものもデジタルコンテンツ流通促進法制の要素の一つとして考えていくべきだということをはっきりと整理をしてございます。
このような形を受けまして,4でまとめとしまして,デジタルコンテンツ流通促進法制は,15ページの上のところで,三本柱でございますけれども,コンテンツの二次利用に関する課題として権利者不明の場合の措置,インターネットを活用した創作・利用に関する課題として関連の権利制限規定の見直し,それから,コンテンツを提供しやすくするための環境整備として海賊版の拡大防止策,こういった形で柱を立ててみてはいかがかということでございます。
その次のところは,中間まとめにも書いてございましたけれども,これですべて課題を網羅しているということでは必ずしもない可能性もございますので,今後とも知財本部などの検討を踏まえて検討を続ける必要もあるということを書いてございます。
第1章につきましては以上でございます。
【中山主査】
それでは,ただいま説明がございました第1章デジタルコンテンツ流通促進法制につきまして,何かご意見がございましたらお願いいたします。
【松田委員】
15ページまでのまとめとしては,これで私はこの段階はいいんだろうというふうに思っております。加えまして若干,このテーマにおける議論が活発になっている状況がありますから,それも見守っていただいて,そういう意見もどこかの段階で出すようなことがあって,そして議論を闘わせるという場面が必要ではないかなというふうに思っております。
以上でございます。
【中山主査】
それはおっしゃるとおりで,そう遠くない将来にやらなければいけないだろうと思います。
ほかに何かございましたら。
この問題についてはこれでよろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

[2]海賊版の拡大防止のための措置について
【中山主査】
それでは,続きまして,次に,第2章海賊版の拡大防止のための措置につきまして,事務局から説明をお願いいたします。
【黒沼著作権課長補佐】
それでは,第2章についてご説明させていただきます。
第2章は海賊版の拡大防止のための措置ということでして,こちらは平成19年度中間まとめで同じ節のタイトルがございまして,その中身をそのまま引き継いでございます。2節立てでございまして,第1節は海賊版の頒布行為の防止策ということで,19年度中間まとめでは譲渡告知行為という単語を使っておりましたけれども,よりわかりやすくということもございましてタイトルを改めております。
それから,第2節は親告罪の範囲の見直しでございまして,こちらは19年度中間まとめのタイトルそのままでございます。
では,それぞれの中間まとめからの変更点について,ご説明をいたします。こちらの部分は19年度中間まとめ以降大きな議論があったわけではございませんので,正直変更点は余りございません。書き加えているところといたしましては,21ページでございます。まず1カ所ですけれども,こちらは下の脚注を追加しておりまして,19年度中間まとめでは類型1から5,物が手元にない状況などいろいろ含めて議論がございました。いずれも対象となるように権利侵害を構成する範囲を考えるべきだという形にしていましたけれども,こちらにつきまして,その解釈についていろいろと外から質問を受けることが多かったのでこのような脚注をつけ加えてはどうかということでございます。これは議論があったわけではないのですけれども,ご提案でございます。中身が不適切等であれば後ほどご指摘をいただければと思いますが,つけ加えたのは,特に特許法との関係でございまして,特許法に関しては譲渡の申出や貸渡しの申出というのが権利の内容としてあるわけですけれども,そちらの解説を見ますと,申出行為というのはもちろん物の存在を前提としない行為でございまして,カタログ,あるいはパンフレットによる申出なども対象になっているわけですけれども,その立証に当たっては,実際に行われた申出が特許発明,実施行為と認定されるためには物を別途所持している事実などを立証して,それを特定する必要があるのだと書いてありまして,著作権法の解釈は今回申出を追加した場合にどうなるのかについてあわせて書いてみたものでございます。下の2行でございますけれども,ただ,物がすべてなければいけないということになると立法の趣旨と変わってきてしまうかもしれませんので,それも踏まえまして,今回はおよそ物の存在があり得ない,あるいは何の著作物なのか特定できない。あるいは頒布の意思が全くないような場合,これは確かに対象となるようなことではないでしょうということで,特許法の説明との整合がある程度はとれるのではないかなとは思っております。ただ,ご議論がないところで事務局で議論をこういう意味だったのかなというものを書いてみたものですので,不適切であればご指摘をいただければと思っております。
それから,記述の変更はその他もう一点ございまして,同じページの下から2つ目の○のところでございますけれども,インターネット以外の媒体で頒布の申出をした場合,これをどうするのかということでございます。19年度中間まとめでは,同じパラグラフの下から二,三行目のところで,放送,新聞,雑誌からチラシなどの印刷まで,多様な業態があるという一文の後に,これらを一律に扱うことは適切ではないという一文が入っていたのですが,その後に必要性を見きわめた上でと書いておりますので,結論めいたものと必要性を見きわめるという,多少言葉の矛盾があるのではないかというところもありましたので,必要性を見きわめた上で必要な措置を講じるということで記述を統一をしてございます。
第1節につきましては以上でございます。
それから,第2節でございます。こちらは親告罪の範囲の見直しですけれども,こちらにつきましては,記述の追加,変更等ございません。念のため,まとめ部分,31ページをご紹介しておきますと,侵害行為の多様性あるいは人格的利益との関係を踏まえると,一律に非親告罪化することは適当でないということと,一部の犯罪類型を非親告罪にするという考え方はあり得るけれども,立法技術上可能かどうかという点や社会的影響を見きわめるということで慎重に検討することが適当という結論でございます。こちらについては変更をしてございません。
第2章については以上でございます。
【中山主査】
それでは,ただいまの第2章海賊版の拡大防止のための措置につきまして,何かご意見があればお願いいたします。特に21ページの注23の問題と,先ほどの新聞,チラシ等まで含めるという問題について,ご意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。注23にこれは立証の問題と書いてありますが,余りこれを強調すると恐らく実効性がなくなる可能性もあります。特許の場合は,例えばテレビを売るという宣伝をしてもそのテレビが特許権侵害かどうかというのは物がなければ難しいというのは常識的にわかるんですけれども,海賊版の場合は,立証は難しくない場合もあるかと思います。注23はそういう趣旨で書いてあるとは思うのですけれども,この点はいかがでしょうか。
【森田委員】
注23で,最後の頒布の意思がないようなというのはよくわからなかったんですけれども,譲渡告知行為を行っているけれども,後で実は譲渡する気はなかったんだというと免れてしまうということだったのでは何かまずそうな気がしますので,意思がないような場合というのは具体的には何を想定しているかというのをもう少しご説明をお伺いしたく思いました。
それから,その上のところのインターネット環境というのは,その理由から言いますと匿名性が高いといいますか,匿名でそういうことがなされると審査情報開示の対象にするためには一定の違法行為であるというふうにしないと,それの対象にならないんだということだとすると,匿名でない場合はその理由が当てはまらない。逆にそれ以外の媒体の場合にも匿名で一定の告知行為を行うということはありそうなんですけれども,そのあたりの整理というのはどういうふうになっているかについても,そちらももう少し今の点についてどういう整理をした上でこういうことになっているかということについてのご説明をお伺いできればと思います。
【黒沼著作権課長補佐】
先に後者からまいりますと,ポイントはまさにおっしゃるとおりかと思っておりまして,インターネットだけいろいろと法的な手段などがあるという点も一つございますし,一方で,匿名で申出行為がやられてしまうという点で共通点もあるということもございまして,立法に当たりましてその共通点に着目していくということも考えられますので,あとは実態とか業界の実態も見て,このような実態があって,そちらも立法の必要性が高い,やはり匿名で手を焼いているということがあるのであれば可能性があるということで考えてはいかがかと思っております。ただ,インターネットについて優先度が高いということは確かですので,その点で記述を書き分けているということでございます。
【森田委員】
これは法制化するときの具体化の問題だと思いますけれども,どうやって切り分けるのかというのがあって,インターネットということでくくってしまうと,インターネットの中には普通のサイバー上でお店を出して,匿名ではなくて実名で売っているというところもありますし,それから実店舗とインターネットオンラインショップと両方やっているというようなところもあって,インターネットのほうだけ入ってくるというようなくくりになってしまうといかにもバランスが悪そうで,そうではなくて,インターネットプラス何か匿名の場合に限るんだということになってくると,どういうふうに限定するかというところが要件立てが難しそうなので,いろいろ仕分けをするということになるとその種の問題がたくさん出てきて厄介なので,広く譲渡告知行為は網をかぶせるという行き方もありそうなんですが,そのあたりは実際上の法制化をするときの要件がうまく立てられるかどうかということにかかってくるのかもしれないと思いました。
以上です。
【黒沼著作権課長補佐】
その点を留意して立法化作業を進めたいと思います。
【中山主査】
匿名性の高いインターネットの環境においてはと書いてあるのは,匿名の場合に限るという趣旨なのか,必ずしもそういう趣旨ではないわけですか。
【黒沼著作権課長補佐】
要件として匿名性を要件とすべきだということは19年度中間まとめでは言われてはいなかったところでございます。
【中山主査】
その辺も整理して立法的によろしくお願いします。
【苗村委員】
脚注の追加された2行のところで,本質論ではなくて表現の問題だけなんですが,何の著作物の頒布の申出か特定できないというような表現がありますが,これは16ページで,海賊版という言葉の定義は著作権等の権利を侵害する物品というふうになっていて,かなり広いわけです。これが例えば何のというか,どの海賊版の頒布なり譲渡の申し出かという意味で理解してよろしいんですか。通常の意味の海賊版というのは,もともとの映画,音楽その他の著作物のデットコピーのイメージだと思うんですが,前のほうの定義によるともう少し幅が広いようなので,そういう意味ではここは多分海賊版と書いていただいたほうが誤解がないような気がいたしました。
【黒沼著作権課長補佐】
特定できるかできないかというのは,だれの著作権料を害するかを特定しないと権利者が確定しませんので,という意味で書いたつもりでございまして,海賊版全体をというよりは,だれに差し止めを打つ権利が生じているのかということでのつもりでございます。
先ほど森田委員のご質問にまだ回答してございませんでした。頒布の意思がないような場合ということですが,こちらはどういうのを想定しているという具体的なものがあるわけではないんですけれども,特許法でなぜ物の存在がないようなものを消極的にとらえているのかというのをいろいろ考えて,こういうことなのかなということでして,例えば冗談で売りますと言っているような場合,これはそもそも申出という要件ではねているのか,それとも頒布の目的を持ってという要件ではねているのか,どちらかわかりませんけれども,いずれにしてもどちらかの要件でそういうのがはじかれているのだろうということで,こういう注を書いてみたということでございます。
【土肥委員】
今の頒布の目的との関係で,これは質問なんですけれども,伺っていたのはリアルでインターネットによる場合に輸入ということになる場合があるわけです。その場合に海賊版というようなものを輸入するようになってくる場合,頒布の目的というのがリアルの場合は要るので,それとのバランスのことかと思ったんですが,そうではないんですか。
【黒沼著作権課長補佐】
バランスという点もございますし,もともと今回の検討は,頒布目的所持の規定あるいは海賊版の頒布そのものの権利侵害みなしの規定で拾えない範囲があるというところから出発していますので,その延長線でいくと,申出行為についても当然頒布の目的を持ってという要件が入ってくるだろうという前提でございます。
【中山主査】
もともとこれは頒布目的での譲渡の告知だから,譲渡,頒布の意思がないものが入ってくるというのはそもそもおかしいので,文章も検討してもらえればと思いますけれども。
【大渕委員】
今の点に関連いたしまして,先ほどお聞きしたときには頒布するよと言っていて頒布の意思がないというのは,むしろ詐欺とかそういう,また全然違う話なのかなというふうにも。こういうふうに書くと何を外そうとしているのかというところがイメージがわきにくいので,その辺は何かもうちょっと,後の人が見てわかるようにしておかないといけないかなという気がいたしました。
【茶園委員】
前のことで,忘れてしまった点があるのですけれども。特許法では,対象とする譲渡等の申出行為というのは譲渡等をしようとする人がその申し出をする行為でしょうが,この著作権法で対象としようとしている譲渡告知行為は,譲渡しようとする人が告知するという場合もあるでしょうけれども,譲渡しようとする人と告知する人が別人で,告知するだけの人の行為も含めようとするものであったのではないでしょうか。後者の場合,譲渡告知をする人は頒布をしないので,頒布意思がないのは当然ということになるのではないでしょうか。そうだとしますと,その人自身に頒布する意思があるかどうかは,そもそも問う必要がないということになると思います。私の誤解でしょうか。
【黒沼著作権課長補佐】
だれかが必ず頒布の意思は持っていて,その全体のつながりの中で手足として告知行為だけしている場合というのは入ってくるというような感じだと思います。
【中山主査】
多分一体なのでしょうね。先ほど言った手足とか,そういう感じで,海賊版の宣伝を請け負っている人をこれで抑えられる,こういう話だと思います。手足として動いているにすぎないとすれば,刑事的には共謀共同正犯とか,民事的には共同不法行為とか,そういう話になるのではないかと思うのですけれども。頒布する意思がなくて冗談でやったというようなことをここで考えているとは思えないのですけれども。その点検討していただければと思います。
それから,何の著作物の頒布の申し出か特定できない場合というのは,これは別に申し出の場合に限らず,どんな場合でも何だかわからないものが抑えられないというのは当たり前の話ではないかと思うんですけれども。
【黒沼著作権課長補佐】
もし当たり前の話で,この注を書いてむしろ議論を惹起するようであれば,書かないほうがいいというご指摘であれば,そのようにいたします。
【中山主査】
注23につきましては削除あるいは変更を検討していただければと思います。それでよろしいでしょうか。
【茶園委員】
つまらないことですけれども,注の22に挙げられている特許庁編集の本は,その後改訂されていると思います。報告書のこの部分が作成された時点では,これでよかったのではないかと思いますけれども,その後の改訂があると思いますので,改訂された版の方に変えたほうがよろしいと思います。
【中山主査】
これはその時の立法の趣旨を書いてある本なので,多分この本は改訂されていないと思います。注22ですか。失礼しました,23ではなくて22ですね。この本は改訂されています。
ほかに何かございましたら。
よろしいでしょうか。
それでは,次に,第3章権利制限の見直しにつきまして,事務局から説明をお願いいたします。親告罪については別にご意見ございませんでしょうか,先ほどの話ですけれども。これでよろしいでしょうか。それでは,今,申し上げました第3章についての説明をお願いいたします。
[3]権利制限の見直しについて
【黒沼著作権課長補佐】
それでは,第3章についてご説明させていただきます。
第3章につきましては8節立てにしてございまして,第1節は「はじめに(検討の視点)」として総論的な話をつけ加えまして,第2節以降は19年度・20年度に検討した課題を一つずつ節ごとに並べてございます。
「はじめに」の検討の視点のところでございますけれども,こちらは権利制限に当たってどのような点を考慮して検討をしたのかということで,今まで明示的にこういうものを提示して検討したというわけではございませんけれども,論点の中で出てきたものをそれぞれまとめてみたものでございます。
最初の○のところは,これは今までの権利制限規定の見直しで常にやってきたことでございますけれども,著作物の性質,利用目的,社会的要請や利用行為の対応,契約実態との関係などを今まで検討してきたということを書いてございます。
それから,2つ目の○は,これは第1章との関係で記述をしているものでございまして,第1章のデジタルコンテンツ流通促進法制の中では今後は権利制限規定の見直しの中では新たに権利制限規定を追加する場合の話だけではなくて,そういうものが今の技術の実態に合っていないという点も指摘がございますし,その逆に今の権利制限規定というものが逆に広過ぎるという場合もあるというようなこともご指摘もありましたので,そういった観点も今後は検討の視点に入れていくべきではないかという第1章の指摘を,こちらでも検討の視点として書いてございます。
それから,3つ目の○でございますけれども,こちらは今後の話になろうかと思います。20年度はそういう観点で検討した部分もないわけではございませんけれども,知財本部で導入が提言されました日本版フェア・ユースの規定がございます。今後の検討に当たってはその役割分担といいますか,そういったものの関係も踏まえた検討が必要になるのではないかということを記載してございます。
検討の視点につきましては以上でございます。いずれにしましても,今まで検討をしてきたものを要約したような,エッセンスを抜き出したような形でまとめているつもりでございます。
それでは,第2節でございます。第2節以降は基本的に19年度中間まとめ,20年度中間まとめの内容を踏襲しているつもりでございますが,体裁として19年度中間まとめと20年度中間まとめのつくり方が大分異なっていたもので,そういったものを補うというような記述をしてございます。例えば第2節でいきますと,1の問題の所在の(1)というところで,こちらは17年度の報告書からの引き続きの検討だったので,その体裁に合わせていきなり要望事項を記載するような記述から始まっていますので,そこの部分のつなぎとして冒頭6行ぐらい記載をしてございます。
それから,35ページで(2)がございますけれども,こちらは19年度中間まとめ以降の状況,19年度にもあった動きでありますけれども19年度中間まとめに書いていなかったものの状況についてまとめて記載をしてございます。1つは障害者の権利に関する条約が採択されて日本政府も署名をしているということ,それから,政府の重点施策実施5カ年計画が策定されていて,そこで障害者が情報アクセスする配慮という事項が盛り込まれているという周辺状況を記載をしてございます。
それから,37ページの検討の結果以降についても,体裁の平仄を合わせるという観点から幾つか修正をしてございまして,タイトルなど,ちょこちょこと修正がございます。ただ,中身については修正をしておりません。
それから,40ページの聴覚障害者関係のところ,こちらはデータの更新などを行っておりまして,40ページの字幕放送の割合などについて新しいデータに変えております。
それから,その次の変更点は43ページでございますけれども,[4]のその他の条件のところでございます。こちらはその他の条件の1番目のところで,利用登録制,技術的保護手段などを要件とするというような書きぶりにしていたんですが,利用登録制と技術的保護手段と全然違うものが並んでいるというようなこともございまして,その文言の観点,それから立法上の難しそうな部分というのもございまして,多少表現を変えて体制の整備を求めるというような形でその他の条件をさせていただければというふうには思って記述を変えてございます。
それから,44ページでございますけれども,(4)については修正はございません。(5)でございますが,こちらも体裁上の変更でございますが,ほかの節はみな最後に「まとめ」という部分を設けておる一方で,障害者の部分にはまとめがございませんでしたので,こちらではそれを記述しております。中身につきましては,情報アクセスを保障し,情報格差を是正する観点から,対象とする障害種を,視覚障害者,聴覚障害に限定することなく,障害による利用が困難な者ということに拡大をしていくということ,それから複製などの主体,方式についても拡大を行う方向で速やかに所要の措置を講ずることが適当ということでまとめを書いてございます。
「また」のところで,中には一定条件の確保を前提とすべきだということで,例えば43ページの映像の公衆送信の部分,そういった記述がございますけれども,そういったものについて条件整備がいつ整うかという問題がございますので,速やかな措置が難しい事項があったとしても,条件が整い次第所要の措置を実施に移すべきだということで記述をしてございます。
第3節に移らせていただきます。ネットオークション等における画像利用の円滑化,こちらは中身については特に変更はございません。体裁上の節あるいは中の小見出しのタイトルなどを変えているだけでございます。19年度中間まとめでは,(1)が現行法上の取り扱い,複製に該当するかどうかで,(2)が引用に該当するかどうかだったんですが,現行法上の取り扱いということが重なっておりまして修正しようと思っております。それぐらいでございます。
それから,50ページの検索エンジンの関係でございますが,こちらは19年度中間まとめではデジタルワーキングのご報告をそのまま張りつけるような形としておりましたが,ほかの節に比べて相当大部なものでしたので,ほかの節との平仄を合わせて多少分量を縮減してございます。いろいろと細かく説明している部分を割愛するという観点でやっておりまして,中身については結論その他盛り込んでいる要素を変更している点は特にございません。第4節についてはそのような感じの修正でございます。
第5節,リバース・エンジニアリング,ここも体裁上の変更をしておりまして,20年度中間まとめでは知財計画あるいは知財本部の提言の抜粋などを載せておりましたけれども,ほかの節で載せておりませんので,そういうものを削ったということと,ヒアリングでどういう意見が出ていたかというのもほかの節で記載をしていないので脚注に落している,そういった体裁の変更を行ってございます。中身につきましては,前回パブリックコメントを受けて何らか修正すべき点があるかということでご議論いただいたときに特に大きなご指摘はなかったかと思いますのでそのままにしてございます。第5節につきましては以上でございます。
それから,第6節研究開発における情報利用の円滑化も先ほどのリバース・エンジニアリングと同じような観点の修正でございまして,体裁を合わせて知財計画の抜粋などを脚注に落しているというぐらいの修正でございます。こちらについても中身は前回特にご指摘ございませんでしたので,基本的に中間まとめのものをそのまま残してございます。第6節につきましては以上でございます。
引き続きまして,第7節でございます。機器利用時・通信過程における蓄積等の取り扱いでございますけれども,こちらも検索エンジンと同じように20年度中間まとめではデジタルワーキングチームのご報告をそのまま張りつけていたわけでございますけれども,こちらも大部になっておりましたので,多少ほかの節との分量の調整を図って縮減をしております。ただ,こちらも,結論部分あるいは議論しているポイントについては変更しているということはございません。
それから,99ページ以降はパブリックコメントでここだけ参照条文がついていないという指摘もございましたので,そこは追加をしております。第7節につきましては以上でございます。
それから,最後第8節でございます。権利制限に関するその他の事項ということで,権利制限のうち継続検討となっている課題につきまして記述をさせていただいております。1番目は薬事関係でございます。こちらは前回の小委員会で議論を急ぐべきではないかというご指摘をいただいておりますけれども,確かに19年度中間まとめでは一定の措置を講じるということにしてパブリックコメントを募集をしたわけですけれども,そこの中でいろいろとご指摘がありまして,特にこの小委員会でも,ポツが2つ並んでいるうちの下のほうですけれども,国際条約との関係についてはこの小委員会でももう少し議論が必要なのではないかという議論がございまして,昨年1月の審議経過報告ではそのような点を含めて引き続き検討を進めるべきだということにしておりましたので,今回も,19年度中間まとめではなく,その昨年1月の審議経過報告の記述を引き継ぐ形で記載をしてございます。
その2のその他というところでございますが,そのほか要望が寄せられている事項,17年度からの継続検討課題となっているものにつきましては,図書館あるいは学校教育の関係がございます。そのことを記載するとともに,図書館のご要望のうち一部につきましてほかの小委員会で結論が出されている部分がございますので,そちらに言及をしてございます。具体的には記録の技術媒体の旧式化によって再生するための機器が入手困難になった場合の媒体変換のようなものでございますけれども,こちらは過去の著作物等の小委員会で保存のための複製31条第2項の解釈としてできるのではないかという,そういう解釈が示されておりますということを紹介しております。その他の課題についても引き続き検討を行うということで記述しております。
以上でございます。第3章全体につきましてはここまででございます。
【中山主査】
それでは,第3章権利制限の見直しにつきまして,ご意見があればお願いいたします。
【末吉委員】
意見というより希望なのですけれども,4節とか7節のデジタルワーキングを中心に私は検討してきました。いろいろな環境の問題だとか,あるいは理論的な問題があってここまで改正が延びてきていると思うのですが,現況の生活環境とか社会環境を見ると非常に必要な改正だと思います。けれども,ワーキングで検討しているときから法律の条文をつくるところも大変難しそうだなというようなことも意識しております。ですから,ここからが勝負,まだまだ検討課題が多いと思うのですけれども,4節,7節に限らず,できるところはどんどん改正を進めていただきたいなと個人的に思っております。
それから,109ページのところの薬事のところが,今ご紹介いただいたようにちょっとトーンが変わっているのですが,私心配していますのは,私の意識では,日本国の薬のマーケットはすごく特殊でございます。この場でも検討されましたけれども,そういう点などもよくご吟味いただいて,さらに継続検討をぜひ続けていくべきではないかと思っておりますので,申し上げたいと思います。
以上でございます。
【中山主査】
その点について事務局から何かございますか。
【黒沼著作権課長補佐】
審議再開に向けて事務的なご相談はいろいろ受けている最中でございまして,材料が整えばまたご審議をいただけるように準備を進めたいと思います。
【中山主査】
薬事関係につきましては前回松田委員からのご指摘もございましたので,ぜひ進めていただきたいと思います。
それから,デジタルあるいはインターネット関係は今末吉委員がおっしゃったとおり変化が目まぐるしくて,具体的な条文化のときに大変苦労すると思いますし,条文をつくってもまたすぐに状況が変わるということもありますので,今後の課題となっているフェア・ユースも含めて,進めていただければと思います。
ほかに何かございましたら。
【苗村委員】
今,ご指摘のあった点とも関係しますが,第1節の検討の視点の中で,緊急を要するものとそうでないものとの区別というのが余り明確に書かれていないような気がするんですが,今までの議論で,第2節を初め,緊急に措置すべきだという議論を大分ここでしたのが幾つかあるんだと思うんです。そこら辺はこの文章の中でもちろん書かれているんですが,そのあたり何か,例えば第1節の検討の視点の中にも緊急または早急,何かそういう言葉が出てもいいのではないかという気がするんです。一見してそういうように読めないんです。
それから,純粋に表現の問題なんですが,第2節から第7節まで個々の要求に対して具体的な権利制限をどうするという議論をしてある程度結論を出したと思うんですが,結論を書いてある項目が,まとめと書いてあったり,結論と書いてあったり,検討結果と書いてあったりするのは,特に分けたわけではないんですね。かなり平仄を合わせる苦労をされていると思うので,多分意図的に分けられたわけではなくて,いずれも同じ趣旨と理解してよろしいでしょうか。
【黒沼著作権課長補佐】
実は上司からも怒られて必死に合わせたつもりではあったのですが,合わせ切れていない部分があろうかと思います。また見直して,小見出しについては,修正させていただきます。
1点目の緊急に措置すべきものを記載すべきというご指摘がございましたけれども,ご確認させていただければ,第2節から第7節までの中でも緊急の度合いに差がある,そういうご趣旨でございますか。その中でも緊急のものを特に明示すべきだと。
【苗村委員】
そういう意味ではなくて,第1節の検討の視点の中でむしろそういう,この中に幾つか早急に措置すべきものもあるし,あるいは先ほどもお話があったように,実際法技術的といいますか,具体的に条文のつくり方等でまたこれから時間のかかるものもあるだろうということで,たしか前にも,特に第2節は急ぐんだというお話を特に伺って,これを延ばしておく理由はほとんどないだろうと私も思うのですが,実際に問題があるかもしれませんが,実際に第2節のまとめのところを見ると,ものによっては実際の施行を少し延ばしてでも,とにかく早急にすべきものはするんだと書いておられるわけですから,第2節から第7節の中では実際そういう趣旨のことを書いておられるんです。ただ,第1節の「はじめに」の検討の視点のところで余りそういう時間軸のことを触れておられないので,実際そういう議論を大分したような気がしたという意味です。
【黒沼著作権課長補佐】
それでは,確かに条文化する上で難しい問題があるものもございますし,早急に対応,特に2年前から検討しているようなものというのはその分時間もたっているというのもございますので,そういったイメージが何らか出るような記述を,主査とまたご相談させていただいて,工夫したいと思います。
【中山主査】
見出しの平仄につきましては,黒沼補佐が徹夜で苦労されていることも知っておりますのでなかなかきついことは言えませんけれども,最終的には調整をしてもらえればと思います。
ほかに何かございましたら。
よろしいでしょうか。
それでは,次に第4章,その他の検討途上の課題につきまして,事務局から説明をお願いいたします。
[4]その他の課題について
【黒沼著作権課長補佐】
それでは,110ページの第4章をご説明させていただきます。
第4章につきましては,今までの第3章までと異なりまして,小委員会で検討を続けておりますけれども,なお,さらに検討すべき課題が残っているというようなご指摘があったものを中心にまとめてございます。
まず,第1節は私的使用目的の複製の見直しでございます。こちらにつきましては,録音・録画につきまして,措置を実施すべきであるという私的録音録画小委員会の報告を前回ご紹介いたしましたけれども,こちらの小委員会ではそれ以外の,録音・録画以外の取り扱いについて検討を行ってきたわけでございます。そちらについての経緯を記載しているとともに,3番目の○のところからでございますが,こちらが本小委員会の検討のエッセンスを詰め込んでいる部分でございますけれども,本小委員会ではプログラムの著作物を中心に,複製の実態などをヒアリングしてまいったわけでして,そういったことをまとめまして,関係者からの要望がプログラムについては特に強いということと,一定の種類のゲームソフトについて,違法配信からの複製実態が相当量に上っているということが報告をされているという,その事実をまず記載しまして,特に録音・録画と同様の措置を講ずる必要性,何らかの措置を必要が講ずる必要があるのではないかという指摘があったということを記載をしてございます。
ただ,もう少しデータがあったほうがいいというご指摘もございましたので,それを踏まえまして,ほかの種類のゲームソフト,あるいはビジネスソフトまでも含めた実態,それから正規のビジネスとの比較としてどの程度の規模に達しているのかというような点についてなお検討を要するのではないかということで記述をしてございます。
それから,プログラム以外,その他の著作物については今のところご要望あるは複製実態についてのご報告はございませんので,そういったことを記載しております。第1節につきましては以上でございます。
第2節,ライセンシーの保護でございます。こちらは契約・利用ワーキングチームで検討されていた課題でございまして,19年度中間まとめには一定の記述を盛り込んでいたわけでございます。そのような形で幾つか今までの経緯を上のほうに記述をしてございます。ただ,3番目の○のところでございますように,その中間まとめに対する意見募集の結果としましては,何らかの措置を講ずることは適当ということについては賛成ですけれども,登録によって対抗要件を具備するということについて慎重な検討を希望するような意見も多かったということでございます。そういったこともございまして,こちらについては引き続きの検討ということで,特許関係の新たな制度の運用状況も踏まえながら,必要に応じて著作権制度特有の性質を考慮して新たな仕組みを検討することを含めて実効性のある制度のあり方について多面的な調査研究を進めることが適当ということで,今年度までの途中経過という形でまとめてございます。
引き続きまして,第3節の間接侵害でございます。こちらは司法救済ワーキングチームを中心に検討されてきたものでございます。こちらにつきましても,いろいろと19年度中間まとめでこのような案はどうかというようなご提案をさせていただきましたが,その後ヒアリングをいろいろやった結果,間接侵害について権利追及できる根拠を明確化すべきだというようなご主張もあれば,その逆に間接侵害責任の生じない範囲を明確化すべきだというようなご要請もあったところでございまして,それを踏まえまして,20年度につきましては間接侵害責任が生じないような範囲の明確化について検討を行ってきております。そういった両面で審議を進めてきているわけでございますけれども,そういった経緯についてここに記述をするとともに,113ページの最後の○としては,こういった両方の課題を含めて今後とも望ましい制度設計のあり方について引き続き総合的に検討を行っていくという形でこれまでの途中経過としてございます。
第4節,法定損害賠償でございます。こちらは前回の小委員会でご報告がありましたけれども,そのエッセンスをそのまま記載をしてございます。今までの検討の経緯を記述するとともに,3つ目の○のところでございますが,損害額の立証が困難である場合の問題などが指摘されているということで,何らかの救済が図られることが適当という認識のご報告がありましたが,「しかしながら」のところでございまして,114条の5の損害額の認定の状況を踏まえれば,その規定がある程度機能しているということで,現行法によってなお対応が困難であるかどうかの実態,そういったものが認められないといけないという意見が大勢であったという,ここまでの検討経過を記述してございます。まとめとしては,今後の実態の推移を踏まえて検討を行うという形で総括をしてございます。
それから,115ページはその他の課題でございまして,通信放送のあり方の変化への対応,それから日本版フェア・ユースの検討,こちらにつきましても,これは20年度中間まとめでも触れていた内容でございますけれども,それについてさらに引き続きの検討課題ということで引き続き記述をしてございます。
以上でございます。
【中山主査】
それでは,第4章その他の検討途上の課題につきまして,ご意見があればお願いいたします。どの問題も非常に難しくて,私的使用は著作権特有の問題ですけれども,それ以外は他の一般法との関連もある非常に難しい問題ではありますが,何かご意見かございましたらお願いいたします。どれも検討を行うとか,調査研究を進めるという結論ですので,多分その結論には反対はないかと思いますけれども,表現等で問題がございましたらお願いいたします。
【松田委員】
まさに検討を要するという結論になっている私的使用目的の複製等の見直し,これにつきましてはゲームの違法配信と複製の問題における大きな被害があるという報告があって,私がこれをさらに録音・録画のほかに加えたほうがいいのではないかという意見を言ったことがあります。このように,両者並列的に検討を要するという点につきまして記載ぶりとしては適当だろうと思っていますが,ぜひその点について,次回についても,これからについても,この点の視点を忘れることなく,全体として違法配信による複製等ができるだけ縮小するように検討していきたいというふうに思っています。
【中山主査】
ほかにございましたら。
よろしいでしょうか。
それでは,きょうはまだ時間も余ってはいますけれども,その他特にご意見がないようでございますので,報告書(案)の議論はこの程度にしたいと思います。
報告書(案)につきましては,本日ちょうだいしたご意見を取り入れまして事務局において案を作成いたしまして,また各委員に送付をしたいと思っております。修正意見の取り扱いにつきましては私にご一任いただければと思います。ご一任いただけるようでしたら,修正した後各委員にまたお配りをするということにしたいと思いますけれども,よろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

【中山主査】
では,そのような扱いにさせていただきたいと思います。
なお,取りまとめられました文化審議会著作権分科会法制問題小委員会平成19・20年度報告書につきましては,1月26日開催予定の著作権分科会において私から報告をいたしまして,分科会においてご審議をちょうだいした上で,文化審議会著作権分科会報告書として取りまとめをするという予定でおります。
その他時間がございますので,何か特にご質問等がございましたらちょうだいしたいと思います。この際何か一般的な話でも結構でございますので,ご意見がございましたらお願いいたします。
それでは,最後に事務局より連絡事項がございましたらお願いいたします。
【高塩文化庁次長】
私から一言御礼を申し上げたいと思います。
今期の著作権分科会の法制問題小委員会を終えるに当たりまして,一言御礼を申し上げたいと思います。
先生方におかれましては,大変ご多忙の中,本当に精力的にご審議を賜りまして,心から御礼を申し上げたいと思う次第でございます。特に今期の法制問題小委員会におきましては,「デジタルコンテンツ流通法制」の問題,私的使用目的の複製の見直しの問題,リバース・エンジニアリングに係る法的課題,研究開発における情報利用の円滑化など,昨年度に引き続きまして非常に多岐にわたります課題につきましてご審議をいただきまして,今後の施策の方向性につきまして重要なご提言をおまとめいただいたことを心から御礼を申し上げる次第でございます。
ご提言いただきましたこれらの事項につきましては,今,主査からございましたように,今月末の著作権分科会でご了解をいただいた後,結論が得られたもので,かつ法制上可能なものにつきましては,法案化し,今,開かれております通常国会に提出をしたいと思っております。著作権法の改正につきましては,国会全体の取り扱いの中で,予算関連法案ではなく,3月上旬の閣議決定を目指すわけでございます。ご承知のような政治情勢でございますけれども,私どもとしては,行政の立場として淡々と準備を進めて万全を期したいと思っている次第でございます。
先生方におかれましては,今後とも引き続きご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
最後に,改めまして大変お忙しい中これまでの並々ならぬご努力・ご尽力を賜りましたことに対しまして厚く御礼を申し上げまして,御礼の言葉とさせていただきます。本当にありがとうございました。
【中山主査】
条文化につきましては,恐らくこれから事務局が法制局との攻防戦が大変だと思うのですけれども,ぜひ頑張っていただければと思います。
それでは,本日はこれで第11回法制問題小委員会を終了させていただきます。本日はまことにありがとうございました。
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