(平成22年第1回)議事録

1 日時

平成22年2月18日(木) 9:30~11:30

2 場所

グランドアーク半蔵門 4階 富士(西)

3 出席者

(委員)
大渕,小泉,清水,末吉,多賀谷,筒井,道垣内,土肥,中村,中山,前田,
松田,森田,山本(りゅうじ),山本(たかし)の各委員
(文化庁)
合田次長,戸渡長官官房審議官,永山著作権課長,ほか関係者

4 議事次第

  1. 1 開会
  2. 2 委員及び文化庁出席者紹介
  3. 3 議事
    1. (1)法制問題小委員会主査の選任等について
    2. (2)法制問題小委員会審議予定について
    3. (3)権利制限の一般規定について
    4. (4)その他
  4. 4 閉会

5 配布資料一覧

資料1
資料2
資料3
資料4
資料5
資料6
資料7
参考資料1
参考資料2

6議事内容

(1)法制問題小委員会主査の選任等について

  1. 本小委員会の主査の選任が行われ,土肥委員が主査に決定した。
  2. 主査代理について,土肥主査より大渕委員が主査代理に指名された。
  3. 以上については,「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」(平成二十二年二月十五日文化審議会著作権分科会決定)1.(1)の規定に基づき,議事の内容を非公開とする。
【土肥主査】
それから,議事内容に入ってまいります前に配付資料の確認と本小委員会の技術の公開の取り扱いにつきまして,事務局から説明をお願いいたします。
【壹貫田著作権課課長補佐】
それでは,配付資料の確認から行いたいと思います。
議事次第の下半分を御覧ください。
まず,資料1といたしまして第10期文化審議会著作権分科会法制問題小委員会委員名簿を,資料2といたしまして「小委員会の設置について」を,資料3といたしまして「今期の法制問題小委員会の当面の検討課題について(案)」を,資料4といたしまして「ワーキングチームの設置について(案)」をそれぞれ片面の1枚紙でお配りをしております。
また,資料5といたしまして,「権利制限一般規定ワーキングチームの報告書」と題する資料をお配りしておりますが,こちらは本体と参考資料の2部に分かれておりまして,通しで121ページとなっております。それから,資料6といたしまして,「ヒアリング等で挙げられた具体的事例」と題する,こちら片面で7枚紙の資料を,また資料7といたしまして,「第9期第7回法制問題小委員会における主な議論の概要」と題する片面の3枚紙資料をお配りしております。
その他にも参考資料1といたしまして,「文化審議会関係法令等」と題する片面10枚紙の資料を,同じく参考資料2といたしまして,第10期著作権分科会委員名簿の資料をこちら片面1枚紙となっておりますが,お配りをしております。
配付資料は以上でございます。落丁等ございます場合には,事務局にまでお声かけいただければと思います。
続きまして,議事の公開の取り扱いについてですが,参考資料1の8ページを御覧ください。
さきの15日に開催されました著作権分科会において決定されました文化審議会著作権分科会運営規則の第4条第1項では,分科会の議事は公開して行う。ただし,特別の事情により分科会が必要と認めるときは,その限りではないと規定されております。なお,9ページ以降にございますように,同規則の第4条第1項に定めるもののほか,会議の公開等についての取り扱いを定めている文化審議会著作権分科会の議事の公開についてにつきましても,同日の分科会においてあわせて決定されたところでございます。
以上でございます。
【土肥主査】
ありがとうございました。ただいま説明ございましたように,議事の公開については原則として一般に公開した形で開催をするということで,既に分科会において決定されておりますので,よろしく御承知おきいただければと思います。したがいまして,本日の議事につきましても公開で行いたいと思いますけれども,いかがでございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
【土肥主査】
御異議がございませんでしたので,これ以後は,本日の議事は公開といたしたいと存じます。事務局の方は,傍聴者の方の入場の誘導をお願いいたします。
それでは,第1回法制問題小委員会の開催に当たりまして,合田文化庁次長より御挨拶をいただきたいと存じます。お願いいたします。
【合田文化庁次長】
文化庁次長の合田でございます。一言御挨拶を申し上げさせていただきます。
委員の先生方におかれましては,大変御多用の中,本小委員会の委員をお引き受けいただきまして,まことにありがとうございます。もう改めて申し上げるまでもなく,デジタル化,情報化,ネットワーク化といったようなことで著作権をめぐります法制につきましても大きな変革が求められている中でございます。そういった中で,権利制限の一般規定の問題を初め,大変大きな課題もたくさんございます。そういったような事柄一つ一つにつきまして,御審議をいただいてきたわけでございますけれども,引き続き今期もこういったような課題を中心に御検討いただいて,なかなか難しい問題でございますけれども,方向性をお示しいただければ大変ありがたいというふうに思っております。
私ども文化庁といたしましても,これまで以上に注力をしてまいりたいというふうに考えておりますので,よろしくお願い申し上げます。
大変もう御多用の中,恐縮でございますけれども,重ねて御礼,また御協力のお願いをいたしまして,御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【土肥主査】
どうもありがとうございました。
それでは,次に本小委員会の今期の検討課題を確認しておきたいと思います。本小委員会の設置の趣旨や今期の検討課題,ワーキングチームの設置につきましては,事務局から説明をいただきます。

(2)法制問題小委員会審議予定について

【壹貫田著作権課課長補佐】
それでは,お手元の資料2から4に基づきまして,簡単ではございますが,説明をいたしたいと思います。
資料2を御覧ください。
資料2にございますとおり,さきの分科会におきまして著作権に関する特定の事項を御審議いただく委員会といたしまして,著作権関連施策に係る基本的問題に関することを審議事項とする基本問題小委員会,それから,著作権法制度のあり方に関することを審議事項とする法制問題小委員会,それから国際的ルールづくりへの参画のあり方に関することを審議事項とする国際小委員会の設置等につきまして,決定がなされました。
続きまして,資料3を御覧いただければと思います。
今期の法制問題小委員会で御議論,御検討いただく当面の課題の案といたしまして,資料3にございますとおり,さきに引き続き権利制限の一般規定,それからネット上の複数者による創作に係る課題,また,間接侵害を掲げております。そのほかにもその他といたしまして,公文書等の管理に関する法律の成立に伴う著作権法の整備の要否等について掲げられておるところでございます。
続きまして,資料4を御覧ください。
資料4におきましては,今期の法制問題小委員会に設置するワーキングチームの案といたしまして,ネット上の複数者による創作に係る課題を御検討いただくための契約・利用ワーキングチームを,また,間接侵害について御検討いただく司法救済ワーキングチームをさきに引き続き設置することなどとされております。
説明資料については以上でございます。
【土肥主査】
ありがとうございました。ただいま事務局から説明のあった資料や今期の審議の進め方,それからワーキングチームの構成について御質問等がありましたら,お願いをいたします。
特にございませんか。
それでは,特に御意見,御要望はないようでございますので,ワーキングチームの設置につきましては,今説明がございましたようなその案に基づいてお決めいただくということでよろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
【土肥主査】
御異議もございませんので,ただいま御了解いただいたワーキングチームにつきましては,座長をこの小委員会の委員の中から指名することになっておるところでございます。
そこで,契約・利用ワーキングチームにつきましては,前期から引き続きお願いをしておりますところの末吉委員に,それから司法救済ワーキングチームについては,これも前期から引き続きお願いしておりますけれども,大渕委員に座長をお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いをいたします。各座長におかれましては,ワーキングチーム委員の構成をかためていただきたいと存じます。かたまりましたら,この小委員会において名簿を配付したいと考えておりますので,これもよろしくお願いをいたします。
それでは,早速でございますけれども,今期の検討課題である権利制限の一般規定の議論に入ってまいりたいと思っております。前期の法制問題小委員会におきまして,ワーキングチームからの報告と若干の意見交換が行われたところでございます。事務局からこの点も含めて,簡単に説明をお願いできればと思います。

(3)権利制限の一般規定について

【池村著作権調査官】
それでは,資料5から資料7に基づきまして,若干の説明をさせていただきます。
まず,資料5,こちらを御覧ください。
こちらは前回も資料3-2として配付させていただいております権利制限の一般規定ワーキングチームの報告書となります。前回お配りしたものには誤記がありましたので,そちらを修正しておりますが,内容的な修正等は全くございません。昨年10月から12月にかけまして,全8回にわたりワーキングチーム員の方々に精力的に御議論いただきました内容を踏まえて取りまとめられたものとなります。細かな内容につきましては,前回御報告させていただいておりますので,本日は省略させていただきますが,前回も御説明申し上げましたとおり,本小委員会での議論のたたき台を作成するという観点から,昨年第6回の法制問題小委員会において決定されました検討事項ごとに検討を行い,また,ワーキングチームとしての結論は出さず,意見の集約度に応じ,意見が一致した,意見が大勢であった,意見が多かった等の表現でまとめ,さらには少数の意見も含めて記載をしております。今後の議論のたたき台として御活用いただければと思います。
続きまして,資料6,こちらを御覧ください。
こちらはワーキングチームの設置に先立ちまして,昨年の本小委員会で行いましたヒアリング等において一般規定により権利制限の対象とすべきであるとして挙げられた具体的な著作物の利用行為,こちらを表にし,利用局面,客体,制限される支分権,利用目的の観点から大まかにではありますが,整理したものとなります。表の一番左の欄,こちらにワーキングチーム報告書参考資料2の番号とありますとおり,ワーキングチーム報告書71ページ以降にも利用行為の一覧は載せておりますが,お手元で参照しやすいよう,別途表にまとめてございます。
前回も御説明申し上げましたとおり,ワーキングチームでは立法事実の確認が重要であるとのチーム員間の共通認識に基づき,ヒアリング等で出された事例をもとに,仮に一般規定を導入する場合,これによる権利制限の対象とすべきか否かという観点から整理をし,利用目的や対応等に着目して共通要素を抽出する等の分析を行い,その結果が報告書30ページの[1]から[4]の類型であり,さらには31ページ以降のAからCの類型ということになります。なお,この関係で1点御留意いただきたい点といたしましては,あくまでワーキングチームが行いましたのは共通要素の抽出等の作業でございまして,個々の著作物の利用行為一つ一つを取り上げて具体的にどの類型に当たるのか,あるいは侵害なのか非侵害なのか,こういった観点からの細かな検討まではしておりません。また,このこととも若干関係いたしますが,資料6あるいは報告書参考資料2で記載しております個々の著作物の利用行為につきましては,ヒアリング等で寄せられたものを取捨選択することなく,すべてそのままの表現で掲載しております。したがいまして,中には抽象的な表現のもの等もあるかと思われます。委員の皆様方におかれましては,以上の観点から資料6あるいは報告書71ページ以降を御活用いただければと存じます。
最後に資料7,こちらを御覧ください。
こちらは,前回第9期第7回法制問題小委員会における主な議論の概要,すなわちワーキングチームの報告を受けて行われた主な議論の概要を内容別に整理したものとなります。こちらも適宜議論の御参考にしていただければと思います。
事務局からの説明は以上でございます。どうぞ御審議のほどよろしくお願いいたします。
【土肥主査】
ありがとうございました。今説明ございましたように,権利制限の一般規定についてはワーキングチームで検討がなされたわけでございます。本小委員会といたしましては,このワーキングチームの検討に基づきまして,1つとしては権利制限の一般規定を導入する必要性と立法理由,それからもう一つは,権利制限の一般規定を導入する場合の規定内容,こういったことを中心に検討を進めたいと思いますけれども,無論他の点についても並行して議論していただきながら,議論を進めたいと思っております。
本日は,このワーキングチームのたたき台といいますか,これの全体を扱いたいと思っております。まずは,権利制限の一般規定を導入する必要性と立法理由について議論をしたいと思っております。ワーキングチームの報告書では,3ページから10ページ,ここですね。それから,最後の終わりの部分にもこれに関連する言及部分がございますので,52ページのところですが,この部分についても言及がございますので,これも御覧いただきながら,主として3ページから10ページまでの権利制限の一般規定を導入する必要性と立法理由について御意見を賜れればと,そう考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
御意見ございましたら,お願いをいたします。
松田委員,お願いします。
【松田委員】
ここで示されているものと,それから資料6で具体的に各所から出た事例等を検討してみますと,適法に取得した複製物をそもそも所持していて,私的使用ではないのでありますけれども,特に企業内で一部ないしは極めて少ない部数を複製等利用する場合,例えば会議等における少部数の配付,問題集をつくる途中経過における少ない部数の複製などです。これらは類型的に出てくるのではないかと思っております。
これは,条文上は私的使用には当たらないけれども,極めて小部数であり,なおかつ複製の対象となった複製物それ自体は適法に入手していて,それを保管しているような場合,こういうものをどうとらえるかというのは一応検討してみるべきだなというふうに資料を読んでいる次第であります。最初にそのような意見を言っておきたいと思います。
【土肥主査】
ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。
特にございませんか,ほかには。
今,松田委員から御意見をいただいたところでございますけれども,私的使用の外で企業内利用あるいはさまざまな著作物をそのままごく少量利用するような,そっくりそのまま利用するような場合についての存在理由はあると,検討する理由はあると,そういう趣旨だと受けとめておりますけれども,ここではもちろん私的使用の外の一般的な利用,特に特定の目的を限定しないで一般的な利用ということで考えてございますので,今言ったようなところも当然スコープの中には入ってくると思われます。特にほかに御意見ございますか。
要するに権利制限の一般規定を導入する必要性については,これはあるという前提で今後議論を進めていきたいというふうに思いますけれども,それでよろしゅうございますね。
ありがとうございました。
それでは,次のところになりますけれども,11ページから27ページの部分を中心に見ていきたいと思いますが,11ページから27ページというのは,これは比較法的な部分,つまりしかるべき部署を通じて外国制度の調査をしていただいたところでございます。それをそのままここでは手を加えないで回答を忠実に再現しておる部分と,それから,ヒアリングをいたしまして法社会学,憲法学,この2つの領域について専門家の御意見を承った部分,これをそのままできるだけ忠実に反映している部分でございます。この部分について御意見ございましたら,いただきたいと思いますけれども,いかがでございましょうか。
先ほど申しましたように,ここはヒアリングや調査に基づいたものをできるだけ忠実にという趣旨で再現をしておる部分でございまして,特に明確・明瞭な何か問題があるとかという一見して明らかなような部分がなければ,これを前提に今後議論したいと思いますけれども,よろしゅうございますか。
それでは,ここも一応こういう形で議論の前提としていきたいと思います。
それでは,次に恐らく御意見いただけるものと思いますけれども,28ページ以降の部分でございます。28ページ以降の部分というのは,これは権利制限の一般規定を導入する場合の規定内容の議論ということでございまして,ここについては種々御意見があるのではないかと思います。どうぞ遠慮なく御意見をいただければと思います。
よろしゅうございますか。特にございませんか。
先ほど今後の法制小委での議論の進め方の説明において,余り今後どうなるかというところについては言及がなかったところでございますけれども,法制小委としての一応の中間的なまとめをしまして,そこから先に議論を進めていくということになろうかと思います。そういたしますと,本日皆様にワーキンググループの議論の内容を本日と,既に前回の法制小委で議論いただいておりますので,それと本日の議論を踏まえたものを受けて法制小委としては一応の中間のまとめをして,そこから議論を進めていくというふうになろうかと思います。
どうぞ,多賀谷委員。
【多賀谷委員】
42ページもよろしいですか。
42ページのところに規定のタイプについてという話がありますけれども,権利制限という形で実体法的に著作権の制限というのを定めるという話をここで出てくるフェアユースとかフェアディーリングとかスリーステップ型というのは,何か同じレベルではない議論がなされていると思うんです。特にヨーロッパの場合には,フランスとかドイツはそれぞれ国内法で権利制限の規定があって,なおかつEUでスリーステップ型的な規定があるという重層的な関係にあると思いますし,英米法では,特にアメリカ法の場合には,フェアユースというのは何といっても裁判所によるスタンダード的な法理があるので,そこら辺と日本法の権利制限の議論というのは若干違う。こういう著作権についての権利制限はどういうタイプというよりは,手法の話だと思うので,その話をもう少しもしできれば詰めて議論したほうがいいだろうというふうに考えます。
【土肥主査】
米国のフェアユース型というのはもう既にかなり皆さん認識を共有していただいておると思いますけれども,今,委員御発言になったドイツ,フランス,EUというところについては,2001年の情報指令がありますので,EUの。それに基づいて加盟国はEUで20の任意的な権利制限の類型を加盟国に認めているわけです。スリーステップ型というのは,私の記憶では情報指令の5条5項だったと思いますけれども,20の権利制限規定をスリーステップの要件のもとで選択的に国内法化ようにと,そういう趣旨の規定で,つまりスリーステップだけの権利制限規定というのはないんですね。だから,あくまでも個々の20のそれぞれについてはスリーステップに適合するようにというのがEUの考え方かというふうに思いますけれども,これについて何か補足することがありましたら,お願いできればと思います。
【池村著作権調査官】
すみません,報告書の32ページ,こちらの脚注の23に先ほど土肥主査から御説明ありました情報司令の5条5項がございますので,御参照いただければと思います。
【土肥主査】
ありがとうございました。
当然ながら,したがって今後法制小委で考えていくところの一般的な権利制限の類型についてもそういうものに適合しなければならないということは委員のおっしゃるとおりでございます。
ほかにございますでしょうか,御意見は。
森田委員,どうぞ。
【森田委員】
あまり議論がないのもこの後の検討を深めるのが難しくなってくるかと思いますので,今の点について補足的に述べさせていただきたいと思います。問題状況の立法事実の確認が必要だという点に関係すると思いますけれども,なぜ権利制限の一般規定を設けるべきであるという議論が生じてきているのかといいますと,既存の権利制限の規定の置き方というのは個別にその範囲を明確にして規定するというものですが,このような規定の仕方ではうまく対応できなくなっている部分があるのではないか。その典型がインターネットだと思うのですけれども,インターネットの発達によって,もう少し柔軟にそれらにも対応できるように権利制限規定に機能的な柔軟性を持たせるべきではないかという課題があって,こうした課題自体についてはドイツやフランスも含めて,各国において共通に認識されているところだと思います。ただ,それにどう対応するかというのはそれぞれの法制度の組み方によって変わってくるわけでありまして,ここに挙がっているタイプというのはそれぞれの国でどう対応しているかということですけれども,それをそのまま日本に持ってくればよいかというと,そういうわけにはいかなくて,日本法のシステムの中でその種の課題を解決するためにどういう仕組みを組み込むのが適切なのかというのがここでの課題だというふうに認識しております。そういう観点からいきますと,どれに当たるかという問いかけに対してこれですというわけにはいかなくて,それぞれがどういう考え方に基づいてそういう規定を入れているのかというそのエッセンスを日本法のシステムの中に組み込んでいくとどうなるかというふうに問題を考えるべきではないかというふうに思います。
今,事務局から御指摘がありました32ページの,これは類型でいきますと形式的侵害のAの類型についての説明でありますけれども,その内容はB以下についても実質的には同様のことが妥当すると思いますが,そこではフランス法の122条の5の第2項というのが挙げられております。この規定はある類型について権利制限規定に柔軟性を持たせようということで,EC情報社会指令が定めるスリーステップテストに当たるものを明文として取り込んだというものでありまして,そういう形で権利制限規定について,ある種の規範的な概念を盛り込む形で柔軟性を付与しようというわけであります。しかし,これはすべての類型についてというわけではなく,ある特定の類型についてこういう形での要件を織り込むことによって柔軟性を持たせようということで,それと似たような発想がここで挙がっているA,B,Cの類型についても採られているわけであります。この32ページでゴシックになっているような要件を組み込むことによって,これ自体は非常に規範的な概念を用いた要件でありますから,具体的なケースについてこの要件に照らして権利制限に当たるか,当たらないかと聞かれましても,それは各人によって違うところで,裁判所がどう判断することになるかというのはそれぞれの判断にゆだねられるところでありますけれども,その結論がどちらかになるかはともかく,そういう形での解釈に対応できるような道具をもう少し要件に組み込むことによって,規定の柔軟性を広げるべきではないかという考え方によるものであります。したがって,その意味では,スリーステップ型にも似ていますし,フェアディーリング型にも似ている,そういうお答えをすることになるのだろうと思います。
この報告書の第2章のタイトルは「権利制限の一般規定を導入するとした場合の検討課題について」でありますが,この「権利制限の一般規定」とはいかなる意味なのかが非常に厄介でありまして,ワーキングチームで議論するときにもどういう宿題に対して答えを出すことが求められているのかということ自体がはっきりしていないところがあります。「権利制限の一般規定」というのは,これまでどちらかというと,ある規定を1つ置けば,あらゆる類型に柔軟に対応できるというような規定を想定している。そういう意味での横断的なものを想定していたようでありますけれども,何か「打ち出の小槌」のような規定を1つ用意すればあらゆる問題がそれでうまく解決できる,そのような規定が考えられるのかというと,実際には詰めて考えていくと難しい問題があります。そこで,もう少し一般性のレベルを落としたところで,しかし,その中で要件を適切に設定することによって機能的な対応力を広げていくことができるのだろうか,そういう観点から先ほどの課題に対する答えを考えてきた結果がここで示されているものだというふうに理解しております。
このように,先ほどの御質問があった点について,どの規定のタイプにも当たらないということの意味は,そのような考え方からどれにも当たらないということでありますので,どれも参考にしていないというわけではなく,むしろここでの提案はそれぞれのエッセンスを組み込んだものですので,そのような組み込み方が適切なのかというそのレベルで議論をさらに進めていくべきだろうと思います。
【土肥主査】
ありがとうございました。
大渕委員,どうぞ。
【大渕委員】
先ほどの点に関しまして,前回も含めて何度か申し上げた点で,若干繰り返しになりますけれども,今直前に森田委員が言われたところにエッセンスが出ているかと思いますが,規定のタイプをどうすべきかというのは最初から非常に重視されていた論点でありますが,この点につきましては,いろいろな形で各国苦労しているということを参考にしつつ,それを念頭に置いて,かつ,ヒアリングで出てきた具体的なニーズを抽出してきた結果,でき上がったのが,このA,B,Cという3つのポイントでありまして,だから初めにあるタイプありきというよりは,そういう規定のタイプの点も念頭に置いて抽出してみた結果,このA,B,Cの3点に集約されてきましたということになろうかと思います。
一般規定とは何ぞやという,その定義自体の議論をやり出すと,論文が何本書けるのかわかりませんけれども,これは,趣旨としては今まであったような個別規定とは若干異なり,一般性の高いような規定というような意味ではないかと思いまして,一般規定とは何かというところを定義して,これが一般規定か,一般規定ではないかという議論をするよりかは,要は,どのようなものを一般性のある権利制限として入れていくべきかという中身の議論をして,抽出したのがA,B,Cでありまして,これはかなり一般性のある形で規定されていることは間違いないですし,また,これを今後最終的に条文につくり込むに当たって,どういう形になっていくかというところにも大きくかかわるところではないかと思います。ただ,一般性のある形という,従前のような個別規定だけでは拾い切れなかった部分をどうにかしていこうというところはここにあらわれてきていて,最終的につくり込んだ結果のものを何型と呼ぶかは後から考えればいいというのは若干言い過ぎかもしれませんが,要するに,何々型それ自体ということよりは,中身,実体をどう把握するか,ないしはどういうふうにグループ分けしてきちんと整理していくかという実体の作業を中心に考えていくべきものではないかと思っておる次第でございます。
【土肥主査】
ありがとうございます。
清水委員,どうぞ。
【清水委員】
今の点に関連してなんですが,今まで議論をされてきた権利制限の一般規定のベルヌ条約とか,アメリカのフェアユース規定などに比べますと,今度のA,B,Cというのは一般規定の中でも,目的というかターゲットを絞っていただいていると思いますので,実際この規定をどういうふうに条文化するかということはあるわけでしょうけれども,裁判規範として利用するほうの立場から申し上げますと,こういう形で議論が随分詰まってきているのは裁判規範として利用しやすい形にはなってきていると考えています。さらに御議論いただいて,よりよい形を目指していただくのは大変ありがたいわけですが,この今の状態でも従前の一般規定のときの諸外国の規定をそのままという議論と比較しますと,利用しやすいものになってきていると感じられますので,さらに議論が深まればと思っております。
【土肥主査】
ありがとうございます。
多賀谷委員,お願いします。
【多賀谷委員】
前回と繰り返しになるような気がするんですけれども,このA,B,Cの類型というのは基本的に著作権の制限について消極要件の形で定められていると。権利制限,著作権の権利に対する違法不当な制限があるかどうかと。他方,例えば教育目的での利用とか視覚障害者の利用というのは,これはある意味で積極要件的な著作権制限の仕方だと思います。そうすると,恐らく今後議論しなければいけないのは,この消極要件の規定というのは,特定の目的とは関係なく,ある種の横断的に適用されるものなわけですけれども,それがほかの既存の目的にも横断的に適用されるものになるのかどうかと。
それからもう一つは,これは確認のためですけれども,ネットの利用というようなものを積極的要件として加えるかどうか,そういうことについてやはり確認をするということになるだろうと思います。
【土肥主査】
ありがとうございました。ほかにございますか。
大渕委員。
【大渕委員】
先ほど清水委員のほうからこういう形のほうが裁判規範として使いやすいという御意見がありましたが,まさしくそのとおりだと思います。法律に規定するということは,最終的には裁判規範ないしは行為規範となるというところが大変重要なので,裁判規範として使えるものかというのはもちろん非常に重要な点であることはいうまでもありませんが,若干手前みそになるかもしれませんが,この,裁判規範として使えるかどうかという点は,裁判所の立場からだけではなくて,利用者の立場からしても使いやすいものかというのも極めて重要だと思います。実際にこれでもって権利制限がなされるということが事前にはっきりわかるかどうかということが,いろいろな行為をする際に非常に重要になってくるかと思いますので,そのような意味では余り漠然としていて,結局制限規定に当たるかどうかがわかりにくいものがいいのか,それともある程度明確性があるのがいいのか,その辺はもうさじ加減の問題かと思いますが,ここのあたりまでだったら特に一々判例を待たなくても権利制限がなされるということがある程度クリアになるほうが利用者の立場からしても良いかと思いますので,そのような意味では,ここのA,B,Cということで,かなり具体的な形に落とし込んでいるのは大いに評価できる,裁判規範として,裁判所として使いやすいというだけではなくて,利用者側としても行動する際にも大きなメリットがあるのではないかというように考えております。
【土肥主査】
中山委員,お願いします。
【中山委員】
一般的に言って明確なほうが利用しやすい,あるいは裁判規範としてやりやすいというのはそのとおりですが,ただ,このネット時代に何が出てくるのかわからない,あしたは一体何が出てくるかわからないというときに,余りクリアにしてしまうと,今度は本来利用されてしかるべきものも利用できなくなってしまうというおそれがあるので,そこら辺の兼ね合いだろうという気はいたしております。
それから,ワーキングチームに伺いたいんですけれども,このCの類型なんですけれども,例えば検索エンジン,これは今回立法化されてしまったので問題はないのですが,仮に立法化されなかったような場合は,検索エンジンビジネスなどはCに入るんでしょうか。それとも,このようなものはこのA,B,Cのどれにも入らないで,フェアユースとしては救われないということになるんでしょうか。
【土肥主査】
森田委員。
【森田委員】
Cの類型の位置づけについては,ワーキングチームの委員によっても理解の仕方が異なるかもしれませんけれども,私自身の個人的な方向としましては,このCの類型は,今ご指摘があった検索エンジンについても,今般立法化されたような個別規定がなかったとしてもCのような規定があればその解釈によって対応できただろう,というようなものとしてCを提案しているというつもりであります。つまり,ネット社会におけるさまざまなビジネスに対応するために権利制限規定に一定の柔軟性を持たせるということが課題とされていたわけですが,それはインターネットを利用したサービスというのが権利制限を正当化するような特定の公益目的に当たるかというと,それは難しいと思いますけれども,ただ,インターネットを想定していない従来の著作権法にはさまざまな仕組みの柔軟性が欠けていて,そのことが課題として指摘されていたといいますか,著作権の権利範囲を広く抑え過ぎているのではないか,その点を調整することが要請されていたのではないかと思います。Cのような規定があれば,検索エンジンについてもこれに当たるという形で解釈論上その適法性を主張することは可能であったのではないかと思います。今般の改正で,検索エンジンそのものについては個別規定で対応して問題はなくなったわけでありますが,この個別規定は情報検索サービスに対象を限定した書き方になっていると思いますので,それに当たらないもので,しかし,それと同じようなものが出てきたときにはCのような規定があれば対応できることになります。ただ,具体的にこの規定に当たるか当たらないかについては規範的な要件が定められておりますので,その解釈のレベルでどうなるかという点によるわけでありますけれども,そのような意味で,「権利制限の一般規定」というわけですが,その射程はある範囲に限定しつつ,つまり,権利制限の考え方について特定の方向性は示しつつ一定の柔軟性を持たせる規定というものとしてCの類型が用意されているというふうに私は理解をしております。
それからもう一つ付言しておきますと,先ほど申し上げたように,「権利制限の一般規定」について検討せよという場合の「一般規定」とはいかなる意味なのか,何を検討せよということなのかという先ほど申しあげたワーキングチームに課された宿題の内容ですけれども,そのような一般規定としては,特定の公益目的を要件として掲げないで,すべてに横断的に妥当するような一般規定としてどういうものがあるかということについてはまず答えなくてはいけないことだろうということで,AからCまでの3つの利用類型を用意しているわけです。その後で,特定の公益目的,例えば,研究とか教育といった特定の目的を掲げた権利制限規定というのは,ここで解決すべき「権利制限の一般規定」の問題なのか,むしろ個別規定の問題なのかというところが微妙であります。特定の公益目的を掲げつつも,一般性のある権利制限規定というのはあり得るわけでありまして,そのような権利制限の一般規定としてここで提言すべきことが期待されているのかということについては,委員の中でも見解が分かれております。しかし,そうした問題については対応しなくてよいということでもなく,問題はあるわけですから,例えば,教育目的についての権利制限の規定のあり方が現行のままでよいのかというのは次のステップとして,そういう形で議論していく。あるいは,パロディについて何か権利制限を設ける必要があるかという点についても,権利制限の一般規定を設ければそれでパロディにも対応できるという形で,パロディも含めて一般規定の在り方を議論するのは難しいだろう。むしろパロディはパロディとして括り出して,パロディを認めるための要件はどのように設定したらよいのかという形で議論をしたほうがよいというのがこの報告書の立場であります。これが「一般規定」の問題なのかどうかという点については,すべての法律の規定には一般性があるわけですから,一般性の程度の問題だと思うのですけれども,一般性の程度としてはすべてに横断的に妥当する規定によって対処するのではなくて,パロディ一般に妥当する権利制限として,次のステップで議論すべき問題であろう,そういう整理になっております。したがって,このワーキングチーム報告書は,パロディについては権利制限を認めないという方向を出しているわけでもなく,いま申し上げたような整理に立ったうえで議論を次のステップで進めるべきであるという提言をしているというふうに私は理解しております。
【土肥主査】
山本隆司委員,どうぞ。
【山本(たかし)委員】
中山委員の御質問のポイントは,恐らくこのCというのはトランスフォーマティブユースに当たるのかどうかと。トランスフォーマティブユースとしてアメリカなどでは,検索エンジンは適法だとされております。それとこのトランスフォーマティブユースとのCの類型との違いにポイントがおありなんだろうと思いますので,その点について回答させていただきたいと思います。
本来的には,このCの類型は著作物の鑑賞を目的にしない利用であって,ですからトランスフォーマティブユースを念頭に置いてはおりますが,その当該著作物としての本来の利用とは評価されないものです。この要件の表現に当たるか当たらないかというところで,そのワーキングチームの委員でも認識が違うんじゃないか。つまりこのCの類型の中にはパロディであるとかリバースエンジニアリングは入らないというのがワーキングチームでの一般的な理解ですので,その意味ではトランスフォーマティブユースよりは狭い。それは今申し上げましたように,著作物としての本来の利用とは評価できないんだとの理解と,パロディやリバースエンジニアリングはできるんだというような御理解の違いがあるのかなと思います。そういう意味で,私はこのCの類型として,検索エンジンなんかは当然入るものだと理解しています。
【土肥主査】
中山委員,御質問よろしゅうございますか。
ほかにいかがでございましょうか。
特にないようでございましたら,次の議論に入りたいと思いますけれども,よろしゅうございますか。
いずれにしても,ワーキングチームにおきましては,この一般的な権利制限規定を入れることによって打ち出の小づちという印象が黄金の石というんでしょうか,そういう面も一部にあるのかもしれませんけれども,それによってつまずきの石になる,そういうこともあってはいけないと,そういうバランスをここでは,ワーキングチームの中では非常に考えていたということを申し上げておきたいと思います。
それで,次ですけれども,今度は44ページ以降ですね。44ページ以降,最後の部分までということになります。それと52ページの部分の終わりのまとめでございますけれども,この点につきまして御意見いただければと思います。
中村委員。
【中村委員】
まとめと,それから先ほどの1つ前との御議論ともかかわるところなんですが,ちょっと私,この二,三回,毎回出させていただいているんですけれども,このワーキングチーム,私どものものからも出席させていただいてつくらせていただいているんですけれども,例えば31ページ以下のA,B,Cというのがありまして,もうこれはここの議論としてA,B,Cというふうに集約されていくということなのか,それとも前に御議論いただいていたようなもっと一般的な権利制限の規定の議論というのがまだ残っているのかどうか,主査がおっしゃっておられた必要性とか立法理由ということで,もっと一般的なことの議論なのか,もう大分集約されていてA,B,Cの話なのかというふうな大きな論点が1つあるかと思います,解決済みかどうかはまた別として。
仮にそのA,B,Cのほうに集約されてくるんですといった場合に,次の規定内容のところに絡むのかもしれませんが,どこかの段階で,あるいは手続の中のどこかの場面,広い意味での手続の中のどこかの場面かもしれませんけれども,例えばAにした場合,どうしてこういうのを置く必要があるんだというようなことについては,一つ一つ丁寧に必要性の議論などもさせていただいたほうがいいのではないか。それがちょっとこういう場面がいいのか,あるいはそれは個別に文化庁さんとよくよく詰めていく話なのかちょっと私もまだ整理できておりませんし,文化庁さんの御担当の方の御意見等も聞いていないんですけれども,ちょっとそういう例えば利用の質または量的に軽微であるというようなことというのは,現実でも恐らく相当なケースがあって特段の問題なくその著作物が利用されている類型のようにも思われまして,全部が全部把握しているわけではないんですが,その辺の必要性ですとかA,B,Cを通じて黙示的許諾がないという場合というのはあるんだろうかとか,これまでの法律上定められている許諾の範囲内の行為なのかどうかというようなそういったことは,A,B,Cそれぞれについて一つ一つちょっと丁寧な議論を積み重ねていかないといけないのかなと思います。もちろんそれが最後の規定ぶりということになるので,それはまたちょっと,またそれはかなり時間のかかる細かい話なので,ここの方向性とは違って,そういう留保をつけた上で,それはあんたたちがちゃんと議論しなさいよということであれば,もうそれはおっしゃるとおりかなと思うんですが,ちょっとその辺で主査の司会のスピードがどんどん進んでいるものですから,どのような形になっていくのかなと思いまして,すみません,終わりのところで大変恐縮なんですが。
【土肥主査】
本日のところは,前回と本日の皆さんの御意見を伺って,例えば今おっしゃっておられるところの権利制限の一般規定を導入する必要性,立法理由,そういったようなことについてここで御意見をいただきたいと。つまりこういう立法理由に基づいて権利制限規定の一般規定を導入せよと,すべしであるというような御意見をいただきたいというのがそもそもの趣旨で,それを受けて1回くくりたいと,中間まとめをしたいということでございます。ですから,そこはA,B,Cで行くのか,A,B,Cプラスアルファがあるのか,これは恐らく法制小委の御議論でございますけれども,現在のところはこのワーキングチームの報告書を了とするような方向でおまとめいただいていると思いますので,そこでの議論に集中していくことになろうかと思います。しかし,あくまでもそれは中間的な取りまとめでございますから,そこから今おっしゃっておられるように,例えば仮にAという方向で議論が収束していく場合のその立法理由というのは,やはりそのときに機能的に議論が問題になってくるだろうとは思います。思いますけれども,むしろ委員がおっしゃっておられるような必要性,立法理由というものについての御意見をいただきたいということでございますので,ぜひ何かございましたら,今の段階でお出しいただければと思いますが。
もし格別今後の議論の中で御発言いただけるということであれば,それでもちろん結構でございますので,今,格別ということはございませんけれども,何かありましたら,今の段階でおっしゃっていただいておきますと,中間まとめのときのまとめに非常に有益ではないかという意味でございます。よろしいですか。
大渕委員,どうぞ。
【大渕委員】
私も余りに進度が早いので若干戸惑っておりますが,それは別として,全体としては先ほど森田委員が言われたところの延長線上になりますけれども,このワーキングチームの報告書自体は,一般規定の内容としては,このA,B,Cに集約されるだろうと思っております。ただ,それ以外に何があるかというと,例えば,この報告書の中では,パロディは別の問題があるから別途検討するとされておりますが,個別制限規定を含めたトータルなものとして権利制限規定を考えていくことになるのではないかと思っております。一般規定という表題のもとで集約したのはA,B,Cということになりますが,それ以外に別途検討するものとして,パロディ,教育その他,それに細かい話で恐縮なんですが,43条の関係等という個別規定ないしはその延長線上の問題というのが別にあって,それと,一般規定的なものとして集約したA,B,Cというものを,ワンセットとして,それをどういう順序でやるとかというのはまた今後の作業の方法論的なものになってこようかと思いますが,ワーキングチームの一員としては,そういうトータルなもので考えるという理解だったのですが。
【中村委員】
すみません,もしお許しいただければ。私が質問する立場じゃないので,もしお許しいただければなんですけれども,例えば大渕先生に伺いたいんですが,もともとの一般規定の話が例えばこのA,B,Cに集約されてきて,例えばなんですけれども,もちろん今すぐでなくてもいいんですが,このAというのが質的・量的に社会的軽微云々というのがあって,逆にここまで収れんしてくると,何でこのAが要るのかなというのがいまひとつ,ちょっとよくわからないというのが非常に正直なところなんですけれども。すみません,もしお許しいただければと。
【大渕委員】
私がこのAをどのように認識していたかにつきましては,ワーキングチームが設置される直前の法制問題小委員会で,写り込みというのはコンセンサスもあるし,それを個別規定と呼ぶかどうかは別として,入れていいんじゃないかというふうなことは私が発言させていただきましたが,私の理解としては,このAというのは個別規定かどうかというのは別として,写り込み的なもの,すなわち,このようにコンセンサスがあるようなものがあらわれているのではないかというふうに理解しております。あとは,条文としてどうつくり込んでいくかという具体論の問題になってきて,対象を広げれば広げるほど広く入る可能性が高くなってくる反面,要件があまり明確でなくなり,かえって使いにくくなるというあたりのそのような細かな作業のところにだんだん集約されていく話じゃないかなと思います。これはちょっと一委員の認識なので,また別にあるかもしれませんが。
【土肥主査】
A,B,Cというのはどこから出てきたかというと,あくまでもこれ(ヒアリング等から寄せられた具体的事例)から出てきているわけですね。97のここにありますけれども,こういうようなものを想定してニーズに対応するとすれば,考えられるものがワーキングチームとしてはこのA,B,Cであると。もちろんこれからこの97を全部そこに組み込んでいるわけではございませんので,今,大渕委員も言われておりますように,そこは個別の特定目的のもとでの権利制限とかパロディのようなものとか,何かそういうようなものはまた別途考えてはどうかというのがワーキングチームの考え方でございます。一般的な特定目的を絞らないものについてはA,B,Cという御提案が我々のほうに来ているということでございます。
【中村委員】
一言だけいいでしょうか,すみません。
例えばAなんですけれども,Aがないとだめなのかという方向での議論というのは,ワーキングチームではどんなふうにあったんでしょうか。
【大渕委員】
そのあたりは,いろいろ人それぞれ理解があるかもしれませんが,質問の御趣旨は大変よくわかりますけれども,こういうものをつくらなければ絶対に拾えないものかと言われると,そこのところはこの規定の対象をどこまで広げるかというところにかかってくるかと思いますけれども,1つ強調されていたポイントは,むしろほかの個別規定や一般法理等でも救える余地は十分あり得るでしょうが,利用者の面からいって,こういうものが権利制限されるということが,一般規定的とはいえ明確にされることによって萎縮効果がなくなるというメリットがはあるので,このような明確化という点から重要であるということです。例えば,写り込みの判例と読むのがいいのかというのは読み方にもかかわりますけれども,いわゆる雪月花事件の東京地裁の判決も現行法の下でも侵害を否定しておりますが,Aがまさに創設的というか,今まで真っ黒だったものを白にするというような色彩のものなのか,それとも明確性を高めるというものなのかというあたりは,どこまでAの規定の対象を広げるかというところにもかかってくるところですが,ポイントの一つとしてはこのような形で明確化することによって,非常に萎縮効果がなくなっていろいろな面でプラスがあるという点が強調されていたということでございます。
【土肥主査】
中山委員,どうぞ。
【中山委員】
大渕委員のおっしゃるとおりなので,だんだん著作権思想が浸透してきますと,果たして自分のやっていることは大丈夫なのか,我々の業界は大丈夫なのか,という疑心暗鬼にかられる人がたくさんおりまして,そのおかげで毎年,こんなものは改正しなくてもいいだろうというようなことまでも改正してきているわけです。現に録音機器の修理の際に,1回取り出してもう一回入れても複製権侵害にならないなどということは世間的に考えれば大丈夫に決まっていると思いますし,多分裁判所だってこれをアウトにはしないと思うんですけれども,しかし,業界としてみれば,自分のやっていることがもし差し押さえられたら困るというので,文化庁に駆け込んで何とか立法してくれということになります。今までもその連続で,これからも恐らくずっと行くだろうと思われるわけです。したがって,大渕委員がおっしゃったように,裁判所で救えないかといえばそんなことはないかもしれないけれども,フェアユースの規定があったほうがよりいいと,こういうことではないかと思います。
【土肥主査】
ありがとうございました。おっしゃっていただいたそのとおりでございまして,要するにそういう法解釈なり,いろんな手当で現行対応は仮にできているかもしれないけれども,それに伴う萎縮効果というのもあるということはヒアリング等で受けているところでございますので,その範囲の中で萎縮効果をなくすというその意義は十分あるんじゃないかというふうに認識しているところでございます。だから,これですべてというわけではないかもしれませんけれども,こういう従来にない一般的な特定の目的に限らない,そういう権利制限というのは初めてのことでございますので,引用のように明瞭区別性とか主従関係性とか,そういうことを求めない形での一般的な権利制限規定という意味で重要ではないかと思うところでございます。
どうぞ。
【川瀬著作物流通推進室長】
今まさに委員御指摘の点はワーキングチームでもその立法理由については,実は大きな議論がされたところでございますけれども,必要性,立法理由の話は非常にコアな部分でございまして,ある種簡単に整理してこの小委員会の御議論に任せようというコンセンサスのもとにこの報告書になったわけでございます。本日,その必要性,立法理由の点については積極的に推進するというような主査のおまとめがございましたので,材料といいますか,議論の内容についてはワーキングチームでも先ほど言いましたように議論されていますので,中間まとめをつくる過程で,私どものほうでそういうことに十分配慮して,いわゆる報告書のたたき台をつくりまして,それを踏まえた上で,改めてこの委員会で御議論していただきまして,もう少し整理をしていただくというような段取りで進めたいと思っております。
なお,審議会の役目はあくまでも一つの方向性を提言していただくということでございますので,一つの方向性を出していただいたときは,政府部内の手続を経まして,仮に法律改正ということになりますれば,詳細な部分についてはその審議会の趣旨を踏まえまして関係省庁との調整というのは当然ございますので,そういう中で細かい話については関係省庁と御議論をしながら整理していきたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。
【土肥主査】
どうぞ,末吉委員。
【末吉委員】
弁護士なので,実務家としてはずっと検索エンジンはだめだと言い続けてきた者の一人でございます。それで,先ほど来お話が出ているこのA,B,Cの類型というのは今後いろいろ立法化されていくと思いますけれども,特定目的のない形でいろんなビジネスモデルにつき適法意見を求められたときに,きっと権利制限規定で賄えないところでは,我々実務家が十二分に活用していろいろニーズに応えていくということになるんじゃないかと思います。今のこの検討のテーマで52ページのエというところがございます。私は昔,デジタルのワーキングチームのチーム員をしておりまして,そんなわけで検索エンジンの権利制限規定をつくることをずっとやってきたんですが,この点の結論が出てしばらく待たされた記憶があるんです。立法化するときに。いろんな御事情があったと理解はしておりますが,とても残念に思いました。こういう議論の時間ということももちろんあるんですが,国会におけるいろんな日程とかもありまして,あくまで立法だけに頼るんだということがビジネスチャンスという観点でいうと,非常に大きなリスクというかロスになる余地があると私は個人的には思っています。こういう,一般規定と呼ぶかどうかは議論の余地がございますけれども,一般的な規範を立てていくという方向でいろいろ議論を重ねるということに大いに私はメリットがあると考えております。
以上でございます。
【土肥主査】
ありがとうございました。
エの記述等については,前回の御指摘も踏まえて委員からおしかりもいただいているところでございますので,そのあたりのところは十分考えて中間まとめをしていきたいというふうに思っております。
ほかによろしゅうございますか。
中山委員。
【中山委員】
しつこいようですが,先ほどのCの件なんですけれども,検索エンジンのようなものも読み込めるというような話だったんですけれども,この文章だけ読んでいると,何か読み込めるのか読み込めないのか。例えばGoogle等は世界じゅうのサイトを全部そのままコピーしているわけですね。そのコピーしているというのは,それは著作物の表現を知覚するための利用と評価されるのかとか,いろいろ考えてみると,本当にこれ,そういうニーズにこたえる文章になっているのかなという気がします。私はもう少しこれを広めにとって,しかし,著作権者の権利を害してはいけないと。実質的な権利を害してはいけないというその歯どめを掛けることが一番大事ではないかと思います。AとBのほうの類型は,軽微とありますので,実質的には権利者の損害を与えないという意味だと思うんですけれども,Cについては,やはり私はもうちょっと文章的に広げて権利者の利益を害さないということを強調するということが必要だと思います。
これは例えば先ほど松田委員が最初におっしゃった企業内でのコピーですね。これなんかは,私はフェアユースになるかどうかは極めて微妙なケースだと思っています。今の状態だと,1部コピーするのにいちいちライセンスをとることなどは事実上不可能ですから,しようがないと思うのですけれども,仮に複写権センターみたいなものを完備してきちっとしたリーズナブルな対価が安価な取引費用でとれるという状況ができ上がったら,これは,私はフェアユースでなくてもいいと思っています。だから,そういう点も考えていくと,やはり権利者の利益を害さないというところを表面に出して,もうちょっと文章的に広げてもいいのではないかと,そういう感じがいたします。
【土肥主査】
ありがとうございました。もう少し広げるかどうかについては,それは法制小委の中の議論の経過の中で,そういう場面も出てこようかと思います。ですから,それは今後の議論ということでよろしゅうございますかね。
では山本委員,どうぞ。
【山本(たかし)委員】
中山委員のお考えの点なんですけれども,まず,Cの類型に関しては,要件として著作権者の利益を不当に害しない利用であることという要件は,37ページのところで入っております。ではそれだけでいいのかという点なんですけれども,それだけでは余りにも広過ぎて,何が対象になるのかわからなくて,かえって利用者側にも権利者側にも混乱を生ずる。だから,どういう要件を立てるのかというのが議論の出発点だと思います。アメリカでもそういう権利者の利益を害さないことというような裸の要件にはしていません。4要件を挙げております。しかし,4要件も何を対象にするのか極めて不明確ですので,結局のところ,判例法理で,大きく言って2つの類型に集約されています。1つは非営利的な利用については適法の推定を与えて,権利者の利益を害さないかどうかというのは権利者の側の立証責任にするという形での処理。もう一つは,トランスフォーマティブユースという概念に当たるかどうか。当たればその適法の推定を与えて権利者の利益を不当に害さないかどうかの立証責任を権利者側に求めるというような形になるわけです。やっぱりアメリカはそういう判例の積み重ねの中で要件,トランスフォーマティブユースだという概念,つまりそういう要件を定めているわけです。だからそれを取っ払って何もなしの著作権者に不当な影響を害さないことというのは余りにも広すぎるように思います。せっかくアメリカで長い時間とお金をかけた成果を持ってこないというのは,極めて無駄なことだと思います。そのトランスフォーマティブユースという概念を日本に持ってくるというのは極めて建設的だと思いますので,その考え方が反映されたのがこのCの類型だと思います。つまり著作物本来の利用行為ではない。著作物の鑑賞自身を目的にするものじゃないという利用という形でトランスフォーマティブユースのアメリカの成果を盛り込んでいるわけで,それ自身を取っ払うというのはちょっとかなり乱暴な議論になっちゃうんじゃないかと思います。
【土肥主査】
大渕委員。
【大渕委員】
今,おおむね山本委員に言っていただきましたけれども,これはそもそも一般規定的なものとしてやっている以上,そういう面があることはある程度はやむを得ないのではないかと思っておりまして,完全に従前の形のようにすれば,これは従前のような個別規定だということになるのでありますが,そうでなくて一般規定的なものとは言いつつ,やはり漠然としていたら使いにくいという話がありましたけれども,そういうものでないものを目指してやったのがこのCであります。不当に害さないというのは,安全弁として,37ページのほうでつけてありますが,それがあるからといって,Cのほうの要件を取っ払っていいという話ではなかったことだけは間違いないと思います。
それからあと1点だけつけ加えるとしたら,ちょっとこれは細々と痕跡を残しているだけですが,36ページの下から2つ目のパラのところに「なお」と書いてあって,1つの考え方としては限定すべきということではないんですけれども,Cは一つの方法論としてこういう形で権利制限をつけましょうということなんですけれども,ここの「なお」のパラで書いてあるものは多分,趣旨としては,Cの本文のゴシックで書いてある部分プラスこの「等」というのは研究開発以外の何か公益目的,正当な目的ということと合わせれば,本来の利用として評価されないという意味で,軽微性の要素プラスこういう公益目的性のようなものをあわせ技にすることによって一定の範囲で,Cで絞ろうというのと,それからこの2点をあわせることによってもう少し広い範囲まで権利制限できるのかもしれないということです。このあたりは,できるだけ明確性があり,かつ萎縮効果のないような形でやるというのは,いろいろ今後の作業の細かいところで,そういうものが最終的にでき上がったときには,実際上使えるかどうかというところで意外と大きな意義を持ってくるんじゃないかと思っております。
【土肥主査】
中山委員。
【中山委員】
ちょっと誤解を与えたようですけれども,権利者の利益を害さなければ何をやってもいいということを言っている人は,恐らく世界でだれもいないと思います。私が言いたいのは,Cのこの文章だけで読み込めるのですかということだけを聞きたかっただけです。先ほど議論になっているいろんなことがこのCの文章で全部読み込めるのかと。検索エンジンなんかは本当に読み込めるのでしょうかということを聞きたかっただけです。
【森田委員】
条文の文言といってよいほどに練られたものを提案しているというわけではないつもりですので,規定振りについてはさらにブラッシュアップして読みやすくするということについては,今後文言も含めて詰められるべきだろうと思います。ただ,いかんせんある種の一般性を持った規定でありますので,規範的な要件にならざるをえないところがあって,具体的にそれに何が入るかというのは解釈によるという点が出てくるのは,どういう文章にしても不可避な面があると思います。そのような性格をもった法律の条文を解釈するときには,何を手がかりにするかというと,そのような規定がどういう趣旨で置かれたのかという,その趣旨ないし目的であります。この点について,このペーパーでは簡潔に書いてありますけれども,36ページのCの一番最初のパラグラフがその意味では「心」をあらわしているわけでありまして,ネットの世界では,いろんな形で情報の複製が不可避的にたくさん生ずるけれども,従来はそこまで広く網をかけるつもりで著作権法の権利内容が規定されていたのかというとそうではなかったのに,ネットの世界にそのまま妥当させると,結果として想定していなかった利用についてまで広く網をかぶせてしまっていることにならないか。そのことに伴って新規のビジネスにさまざまな萎縮効果が生じているとすれば,それは本来の著作権法の趣旨から考えて広く網をかぶせ過ぎていることになるので,そこを適切な範囲に限定するためには,本来は著作物の表現を知覚するための利用と何らかの結びついた範囲で抑えるということだったのではないのか,そういう考え方を表しているのではないかというふうに私は理解しております。
すべての規定についてどのような理由で当該規定が提案されているのかという点についてはもう少し内容を詰めていって,その説明を明確にすることが必要で,最終的に立法化された場合には法律の解説などでなされるべきことだろうと思います。この報告書では趣旨の説明が非常に簡潔に書かれておりますので,そこがややわかりにくいかもしれないのですけれども,そこをもう少し詰めていくことが今後の検討においてなされるべきであろうと思います。
同じことは,先ほどから議論がなされているAの類型についてもいえることです。Aの類型についても,文言そのものをどうするかという問題については,これは今後詰めていく必要があると思いますけれども,そのような権利制限が要請されるのはどうしてなのかという点については,仮にこのような権利制限を認めなければどういう問題が生じるのかといいますと,要するに一般の人の行動の自由が制約されることにならないか。人込みで写真を撮ったりすると必ず写り込んでしまうわけでありますから,権利者から許諾を受けなければ写り込みはだめだということになると,人込みで撮った写真は利用できないということになります。公共の空間で写真を撮ることができなくなってしまうことになれば,これは一般の人の行動の自由を過度に制約することになるので,「他の行為に伴い付随的に生ずる」ものであってという要件は,他の行為の自由を確保する観点から設けられたものです。これを黙示の許諾で説明することもできなくはないのですが,Aが定めるような一定の要件のもとでは黙示の許諾があるというのはある種のフィクションでありますから,仮に黙示の許諾がなかったとしても,この範囲であればよいのではないかというように社会における行動の自由を保障するというのがこの提案の心でありまして,それと著作権者の利益との調整から要件が設定されているわけです。そのような利益を調整するときの要件立てが,「付随的」という文言がいいのか,「質的又は量的に社会通念上軽微である」というのがよいのかというのは,これは今後工夫をしていかなくてはいけない点で,さらによりよい表現ぶりが考えられれば,そういう御提案をいただいていく必要があります。この点は,ワーキングチームの中ではいろいろと知恵を出したわけですけれども,限られた時間で限界もありますので,そのあたりは今後詰めていっていただく必要があると思います。
【土肥主査】
今,森田委員がおっしゃっていただいたとおりでございますので,今後必要なところは法制小委の中で議論を詰めていきたいというふうに思っております。基本的に大体それでよろしゅうございますかね,本日のところは。
大渕委員。
【大渕委員】
この手の話は早めに出しておいたほうが頭出しとしていいかと思いますので,申し上げておきます。先ほどありましたように,このA,B,Cに集約されているんですが,これを今後どういうふうにつくり込んでいくのかというのがここでの作業になってくるかと思いますので,先ほどCについては若干付加しましたけれども,Bというのも,これもこういうふうにまとめられておりますけれども,今後の作業の視点として,実は,Bの中には[1]というのと[2]というのが35ページでいうと2つありまして,かなり質の違うものが2つ混じっていることは間違いがないので,要するにB自体は適法な著作物の利用を達成する過程において不可避的に生ずる当該著作物の利用であり,その利用が質的・量的に社会通念上軽微であると評価できるものと――ある種A,B,Cを通じての哲学として,軽微性というのが今回のこのA,B,Cを通じた思想ではないかというふうに思っておりますけれども,その軽微性以外にここのBでは適法な著作物の利用は適法なわけですから,それに不可避的に随伴するようなものは,これは権利制限にするということで,この中には適法な利用が何ゆえ適法かというのが,[1]は,大元の部分が許諾を得たから適法だというものであり,[2]のほうは権利制限に基づいて適法だということであり,適法だという点では同じなのですが,[1]と[2]では性質が大きく違いますため,理由づけ等もまたいろいろ変わってくる可能性もありますので,結局別に検討した結果,また同じような結論になるのかもしれませんけれども,一応そこのあたりをは念頭に置いた上で作業をしていくほうがいいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
【中村委員】
頭出しという意味でちょっともう一つ御教示いただきたいのがA,B,Cという類型の中で,さらに各ページにあるんですけれども,著作権者の利益を不当に害しない利用であることというのもあえてつけておられるんですが,先ほどの例の人込みで写真を撮って写り込んでというその軽微なものですとか,Bもあれですし,あとCも先ほどから御紹介いただいたような例なんですけれども,そうすると,それだけでさらっと話を聞いていると,別にそんなので何でもともと著作権者の利益を害しないような類型を選ばれたのではないかという気もするんですが,一方で,あえて著作権者の利益を不当に害しない利用であることという要件まで入れるというところが,またそういう必要まであるのかという点にちょっと疑義がありまして,もし……。すみません。
【土肥主査】
では,どうぞ。
【大渕委員】
これは,もともとが安全弁なので,それこそいろんなものがあり得るから,それを拾いたいというのがあります。そして,例えば人ごみで写すこと自体についてはたまたま写ってしまったとしても,その写したものをまた公衆送信するとかといういろいろな場面があり得るので,そういうものを写すこと自体はもうやむを得ないかと思うんですけれども,写してしまったものをまたそれを後で公衆送信したり複製したりとかということ等々もいろいろ考えてやっております。
【土肥主査】
大渕委員がおっしゃっておられるとおりだと思いますけれども,議論の過程では,これは初めなかったりしていたんですけれども,森田委員,ありますか。
【森田委員】
写り込みについては,大概の場合には著作権者の利益を害しないという場合に当たるのではないかというのはそうかもしれないのですけれども,この要件に当たる,つまり写り込みであっても著作権侵害になる場合もありうるとすると,どういう基準でそれらを分けるかという要件設定が必要になってきます。例えば,この報告書の17ページから18ページに付随的な利用についてのドイツからの回答が書かれていますが,ここに挙がっているような具体的な例を御覧いただきますと,やはり写り込みだからすべてよいという単純な議論ではなくて,写り込んでいるけれども,権利制限に当たるのか,その後に権利者の許諾をとるべきかどうかという点については,やはり写り込みの態様とかいろんなファクターを考慮した上で決めなくてはいけないわけです。現行法には付随的な利用であればよいという規定自体がありませんので,そのことで萎縮効果が生じているとしますと,Aの類型を法定した場合には,この要件に照らした上で,許諾をとるべきか,とらなくてもよいかという判断をビジネスの場で考えていただくことになるのではないかと思います。
【土肥主査】
よろしゅうございますか。これはドイツの例でございますけれども,交換可能性のような要件を入れて,ドイツではその場合に結論を分けているという紹介でございますけれども。
【中山委員】
ちょっと具体的な例の質問で恐縮なんですけれども,数日前の日本経済新聞の美術の欄に「セザンヌ礼賛」という大きな名画が載っていまして,これセザンヌの絵をいすの上に乗せて数人の紳士がそれを見て礼賛していると,そういう構図なんです。セザンヌの絵がちゃんと真ん中に描いてあるものです。これ写り込みではなくて写し込んでいるんですね。こういうものは果たしてこのA,B,Cの中に入るのか,あるいはそもそもこのようなものは入らないのか,侵害なのでしょうか。雪月花事件,あれもちょっと似ているところがありまして,あの事件は正確には偶然に写り込んでしまったケースではないのですね。あれはあの書の額を持っていって,あえて床の間に置いたわけですね。そして写真を撮ったわけですけれども,比較的今の「セザンヌ礼賛」に似ているんだと思います。そういうものはどうなんでしょうか。このA,B,C。つまり不可避的とか付随でもないし,知覚はできるしということだと,そういうものはどうなんでしょうか。そういうものは含まれるんでしょうかという話です。
【土肥主査】
だから,この例ではそのセザンヌでなければならないかどうかということが問題になっているということなんです。
【中山委員】
それを言い出すと,セザンヌである必要なんか全くない場合もある。つまり何を前提とするか,で変わってきます。作者にとってセザンヌのその絵をほめたいという確信があればセザンヌの絵は絶対必要なのかもしれないし,ではセザンヌではなくてゴッホではまずいかと言われれば,必ずしも不可避的とは言えないかもしれない。それは前提の置き方によって違うんですけれども,とにかくそういう名画があるんですけれども,そういう名画は侵害になるのでしょうかという話です。
【土肥主査】
名画が描けない。
【中山委員】
セザンヌの絵を写し込んだこのような名画は描けないということになりかねない。それはもし描けるとすれば,ABCのどこに入りますか,あるいは,それは侵害なのですか,という質問です。
【土肥主査】
今のはどうですか。大渕委員。
【大渕委員】
この写り込みに関しては幾つか論点があって,まずは個別具体的なものが一個一個侵害にあたるか,あたりませんかという話はしませんでしたよという話なので,それは後々紛争になれば,個別事案ごとで大いに違い得るところであります。このように個別事案ごとに考えなければ正しく判断できないということの例として挙げられるものとしては,例えばある小説の続編を書くのが翻案権侵害かという古典的論点がありますけれども,この問題も解答を正しく1行で書くのは不可能であり,,ケースごとに,元の小説の創作的表現をとっているのか,プロットだけを取っているのか等々の点を個々の事案に沿って細かく検討する必要がありますが,そういう意味では,今のようなものを実際の事案を前提とせずに抽象的に聞かれても,それはもうケース・バイ・ケースとしかお答えのしようがない,そのたぐいの問題ではないかと思っております。
それから,絵に関しては,一般論としてありそうな論点としては,先ほどの写し込みかという話で,意図的なものは排除されるのか,偶発的なものしか入らないのかどうかというのは1個の大きな論点で,これはイギリスなどでも判例があるようですけれども,こういうあたりは今後詰めていくべきもので,付随的挿入というものでやってしまった場合に,その付随的―――ないしはドイツだと非本質的付随物ないし重要でない付随物となったりしていますけれども―――,こういうものでどう読んでいくのかというたぐいの問題じゃないかと思っておりまして,そこまでは個別規定の場合ですら完全に詰め切った上で立法するということはむしろ不可能で,それはごくごく普通の,著作権法に限らない法律一般の規定の仕方ないし解釈の仕方の問題で,個別のケースはそれこそ生の事件として一個一個裁いていくしかないわけですから,一定の範囲の明確性はできるだけ図ったほうがいいですが,余り個別の事案がどうかということを正面から言われても,多分正しく回答するのは不可能ではないかというふうに思っております。
【土肥主査】
中山委員。
【中山委員】
先ほどの個別の話はどうでもいいんですけれども,一般論として聞きたかったんです。つまり写し込んでしまった場合,これ映画なんかはよくあるんですね。偶然撮れてしまうものももちろんあるんですけれども,監督や美術監督等が持ってくる場合もよくあります。一般的に偶然不可避的に写し込まれたものだけを考えているのか,あるいはそういった持ち込んだものも含まれる可能性があるのかという一般論を聞くために新聞の例を挙げただけです。
【土肥主査】
いや,だから議論は当然前者を想定していたんですね,前者を。だから,写し込むと,わざわざそれを写し込んだ利用というのが付随的な利用というふうには考えていない,そうだと私は思っておりますけれども。
どうぞ。
【山本(たかし)委員】
御参考のために申し上げておいたほうがいいと思いまして,これワーキングチームの中でもこの規定といいますか,このAの類型をつくったときにも何が写り込みかというところの認識は委員の間でかなり異なっていたんじゃないか。また,その写り込みについて適法だと考える範囲もかなり違っていたんじゃないかというふうに思います。まさに中山委員の御指摘があった絵の話というのは,そこにかかわるところだと思います。
また御参考のために申し上げますと,アメリカの場合にフェアユースで今御指摘のような絵をど真ん中に入れて,人が端っこに写っているというような形のものはフェアユースに当たりません。さらにデミニミス法理がありますが,それにさえ当たりません。それはなぜかというと,著作物全体が写っていて,それの観賞価値がそもそもありますので,そういうものは当たりません。そういうものはこの論理の中で言うと,質的にこの社会通念上軽微であるかどうかというところで,全体が写っていたら軽微だとは言えないだろうと。量的というのは枚数のことかもしれませんけれども,この質的に社会的軽微に当たらないだろうという解釈で,このAの類型に当たらないという結論になるんだろうというふうに私なんかは思っております。
【道垣内委員】
今後の議論,このA,B,Cを出発点に紙がつくられていくことになるという前提で,条文ではないにもかかわらず細かいことをあえて訊きたいと思います。A・B・Cはすべて,「であり,・・・であるもの」という書き方なんですが,同じ構造の文章ではなく,A・Bは「かつ」で接続されているのでしょうが,Cはそうではないのではないかと私は思っております。しかし,先ほどの山本委員の御説明だと,Aについて,どうも「かつ」で接続されているのではなく,後半部分だけでOKになると読めるようにおっしゃったように聞こえました。要するに付随的というところが欠けていても後半部分で読めるんじゃないかという御説明だったようにも聞こえたので,「かつ」で接続されているのかどうかということをお伺いしたいと思います。A・Bとの関係で最もわからないのがCの構造です。Cにももしかすると,さらにこの後に軽微な,あるいは不当な侵害がないことという条件がつくのかもしれませんけれども,Cの前半の「著作物の表現を知覚するための利用とは評価されない利用」と,後半の「当該著作物としての本来の利用本来の利用とは評価されないもの」,この両者は違うものなのか。つまり,どちらか一方が否定されるために,権利制限にかからなくなるという場合も想定されているのか,あるいはただ言いかえているだけなのか,という点です。この点,明確にしていただいたほうがいいのではないかと思います。
【山本(たかし)委員】
私のわかるところをまず申し上げますと,AとBに関しては,「利用であり」の後は「かつ」の意味だと思います。社会通念上軽微であるかどうかというのは両方共通しておりますので,AとBとを分けているのは前段のほうです。だから,気持ちの上では質的または量的に社会通念上軽微であればいいんじゃないかと。それだけだと広過ぎるんじゃないかという議論があって,このAとBとの類型に前の要件をつけ加えたという形になっておりますので,「かつ」の意味です。
Cの類型に関しましては,前段のほうと後段のほうとは同じことを言おうとしているんだと思います。これは意味をはっきりさせるために表現の仕方を変えてあらわしているだけで,ですから,文法的には「かつ」なんですけれども,意味的には重なっているものだと思います。
【土肥主査】
今,山本隆司委員のおっしゃっていただいたところについてよろしゅうございますか,何かほかに。よろしゅうございますか。
いずれにしても,法制小委の議論というのは基本的な議論の方向性というところをおまとめていただくと。細かな法文というのは,法制小委でどういう趣旨でこの制度を導入するかというその趣旨を実現するところから最終的には法文の詰めというのが出てくるのではないかと思っておりますし,その議論の中で委員の御意見は広くいただきたいと思いますけれども,私,法制小委としては大まかな一般的権利制限規定の方向性をどういう方向で,どういう趣旨で進めるかというところあたりについて合意を得ておきたいというふうに思っております。
ほかにいかがでございましょうか。
松田委員。
【松田委員】
今のA,B,Cの前段と後段を「かつ」でつなぐかどうかのことはよくわかりました。Cの意味もよくわかりました,山本委員の説明で。そのように読めるんだろうと思います。そうすると,表現を知覚するための利用が本来的利用であって,この知覚する主体というのはCの最初の部分の1段落に書いてありますが,著作物を見るとか聞くとか読むとかということになるんだろうと思います。だから,人間が著作物を見るとか聞くとか読むとかということの利用以外のものについては,本来的利用ではないというように表現が読めるかと思います。ここの部分だけ読むと。
しかし,1つだけ例外があるんじゃないかと思うんです。コンピュータプログラムのコードは人間が読むためのものじゃない。読んで読めないわけではないが,読むためのものではない。この点の表現はどこかで注意をしていただきたいというふうに思います。
【池村著作権調査官】
今,松田委員が御指摘いただいた点は,まさにワーキングでも大きな議論となりまして,38ページの最初の段落,「一方」から始まる段落でワーキングチームとして,この点,慎重に検討すべきだろうという形で記載がございます。
【土肥主査】
ほかにいかがでございましょうか。
【山本(たかし)委員】
今の点で事務局のほうから38ページの慎重に検討という御説明をいただいたんですが,私のほうとして理解しておりますのは,このCで表現したかったのは,これは表現の変遷が実はありますが,意図としては著作物の持っている観賞価値,利用価値を抽出する行為であるかどうかです。プログラムの場合には人間が見るか,見られないかには関係なくても,コンピュータが読み込んで機能するのであれば,それは著作物の観賞価値の抽出になりますので,このCには当たらないという結論になるべきものだというふうに理解しております。
【土肥主査】
ほかにいかがでございましょうか。
大渕委員。
【大渕委員】
このCのところは,「気持ち」といいますか,その趣旨目的を,明確に書きあらわすのが非常に難しいのですが,先ほど出ておりました「鑑賞」というのは,プログラム等も考えると,ここは,要するに本来の利用とか,アイディアではない表現の側面というのは著作権だから当然といえば当然なんですけれども,そういうものを知覚の観点から「鑑賞」ということに限定して考えるのが果していいのかなという気がしております。「気持ち」ないし趣旨としては,機械的に言えば,複製は,先ほどどなたかもおっしゃっていましたとおり,コンピュータを動かせば複製が各所で多々起きているわけですけれども,そういうものをすべて著作権法で押さえるべきものなのかというような実質的価値判断から来ているかと思いますので,それをどうやってうまく書くかというところで苦しんで,こういうことになっているものかと思います。そういう意味で,私はA,B,Cを通じて共通に出ているのはむしろ微小性とかそちらのほうであり,そして,その点に加えて,また繰り返しになりますけれども,それにプラスして,Cで挙げられているようなものを一々著作権侵害とされて押さえられると,とても研究もできなければさっきのサーチエンジンも動かせないというようになってしまい,現在の情報化社会のインフラともいうべきものがすべて動かなくなってしまうということを避け,そういうものをきちんと動かすということが最大の公益だと思いますので,この点も組み合わせたほうが――本当は説明が,微小性ないし本来の利用ではないことプラス「公益」―――というほうが説明としては,より適切であると思っております。なお,A,Bというほかのものも微小性プラス随伴性等々でありますけれども,「気持ち」は,一緒でそれをどううまく表現するかというところでいろいろ悩んでいるところかと思うのですが,その点は,また今後の議論で,最もうまく「気持ち」ないし趣旨があらわれるような形で,かつ,明確性が図れるような形に持っていけばいいのではないかと思っています。そういうふうにすると,プログラムの場合も含めて,要するに本来的な利用かどうかというようなところに持ってくれば,別に「鑑賞」というかどうかというようなことに必ずしもかかわらずにも説明できるのではないかと思います。
ただ,プログラムのリバースエンジニアリングの場合には,以上の話とは別に,先ほどのパロディと同じように,別途議論すべきファクターがあるので,ここの中でやっていくというよりは,また別途検討するということで,ここの一般規定の箇所からは外れているのではないかというふうに理解しております。
【土肥主査】
ワーキングチームメンバーでそれぞれこの点については,認識について若干温度差があるのかもしれませんけれども,そのCというのはAとBと比べると,かなり異質なものなんですね,これは。まさにその著作物本来の鑑賞的な価値を利用するかどうか,そういうアプローチをしておりますので,私の認識としてはコンピュータプログラムのようなものは別だというのが基本にあったと,そう認識をしております,そこは。つまりそういう機能的な著作物というような新しいそういう類型も,類型というのは鑑賞価値を利用する古典的な著作物とはやっぱり違う面が当然あるわけですので,そこは分けて考えておったということでございます。
ほかにいかがでございましょうか。
よろしければ,このワーキングチームのいわゆるたたき台というものをもとに法制小委としての中間まとめというものを1回まとめていただいて,事務局において。それで,法制小委としてはそれを土台にきょういただいたようなところを含めて,前回いただいたようなところも含めて留意しながら議論を進めていければというふうに思っております。
いずれにしても,一般的な権利制限規定というものがさまざまな著作権法に求められている課題を解決できるような,そういう仕組み,プラスの面でプラスの効果をもたらすように,つまりいわゆる一般的権利制限規定によってさまざまな新しい障害というか,つまずきの石にならないように,先ほど申し上げたまさにこれは賢者の石であるというようなそういう制度にしていきたいと思っておりますので,ぜひよろしく御協力をいただければと思っております。
それでは,本日全体にわたり一通りワーキングチームのこの報告書につきましては議論をいたしましたので,次回はこの本日の議論を踏まえて,前回の議論を踏まえて中間取りまとめに向けた素案を事務局につくってもらって,それに基づいて議論をいたしたいと思いますが,いかがでございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
【土肥主査】
御了解いただいたというように受けとめさせていただきます。
それでは,他に特段。どうぞ。
【中村委員】
事務局への要望なんですけれども,そういう方向で素案について相当早めにいただいて,ちょっとよく検討させていただけますように,そういう留保といいますか,何とぞよろしくお願い申し上げます。
【土肥主査】
法制小委につきましては,ある程度のスピード感もやっぱり社会的には求められておりますので,成案に至るスピードの問題ももちろんですけれども,この法制小委のメンバーに対して,素案についてはできるだけ早めに送っていただければ,病気にならない程度におまとめいただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
他に特段ございませんでしたら,本日はこの程度にいたしたいと思います。
事務局から連絡事項がございましたら,お願いをいたします。

(4)その他

【壹貫田著作権課課長補佐】
次回の小委員会の日程は現在調整中でございますので,決まり次第また御連絡をさせていただきます。
【土肥主査】
それでは,本日はこれで今期の第1回法制問題小委員会を終わらせていただきたいと思います。
本日は皆様のさまざまな御意見をいただきまして,ありがとうございました。これで終わります。
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