(平成22年第3回)議事録

1 日時

平成22年3月30日(火) 14:00~16:00

2 場所

フロラシオン青山 2階 芙蓉の間

3 出席者

(委員)
大渕,小泉,清水,末吉,多賀谷,茶園,筒井,道垣内,土肥,中村,中山,前田,松田,村上,森田,山本(たかし),山本(りゅうじ)の各委員
(文化庁)
合田次長,戸渡長官官房審議官,永山著作権課長,ほか関係者

4 議事次第

  1. 1 開会
  2. 2 議事
    1. (1)権利制限の一般規定について
    2. (2)その他
  3. 3 閉会

5 配布資料一覧

資料1
資料2

6 議事内容

【土肥主査】
それでは,ただ今から文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の第3回を開催いたします。
本日は,お忙しい中ご出席をいただきまして,誠にありがとうございます。
議事に入ります前に,本日の会議の公開につきましては,予定されておる議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないと思われますので,既に傍聴者の方には入場していただいておるところでございますけれども,特にご異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【土肥主査】
それでは本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
それでは,事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
【池村著作権調査官】
それではお手元の議事次第の下半分,配布資料をご覧ください。
本日,資料といたしましては2種類でございます。
まず,資料1といたしまして,権利制限の一般規定に関する中間まとめ(素案)でございます。内容につきましては,後ほどご説明を申し上げますが,前回の素案で未定稿となっていた部分のうち,「おわりに」を除く部分につき加筆をしたバージョンでございます。両面印刷でページ番号は30ページまでとなっております。
続きまして,資料2といたしまして,前回の主な議論の概要をまとめたペーパーをご用意しております。こちらは片面印刷でページ番号は3ページまでとなっております。
配布資料の説明は以上でございます。不足や落丁等ございましたら,事務局までお申し付けください。
【土肥主査】
ありがとうございました。
それでは議事に入りますけれども,初めに議事の段取りについて確認しておきたいと存じます。
本日の議事は,(1)権利制限の一般規定について,(2)その他と,こうなっております。(1)につきましては,前回の本小委員会において事務局の作成いたしました中間取りまとめに向けた素案について議論をいただきました。本日は,引き続き事務局の作成した中間まとめの素案に基づき議論を行いたいと思います。
それでは早速ですけれども,議論に入りたいと存じます。
中間取りまとめの素案について,前回の素案から幾つか追加された点がございますので,これについてまず事務局から説明をお願いいたします。

(1)権利制限の一般規定について

【池村著作権調査官】
それでは,資料1と資料2をご覧ください。
まず,資料1でございますが,前回ご議論いただきました中間まとめの素案に,前回未定稿となっておりました「はじめに」,「第1章 検討の経緯」,そして「第3章 1 諸外国の状況」の部分をそれぞれ追記しております。なお,「おわりに」の部分につきましては引き続き未定稿となっております。
以下追加部分を中心に,簡単に内容の方を説明させていただきます。
まず,1ページの「はじめに」でございますが,本小委員会で権利制限の一般規定の問題を検討するに至った背景,すなわち近時著作権を取り巻く様々な環境の変化に起因して,権利制限の一般規定の導入を求める社会的な要請が高まり,そして知財本部の知財計画2009においても権利制限の一般規定の導入に向けて検討を行い,結論を得るといったことが盛り込まれ,それらを受けて昨年5月以降,本小委員会において検討が進められてきたことなどを簡潔にまとめております。
次の2ページからの「第1章 検討の経緯」でございますが,知財本部のデジ・ネット調査会の報告書で示されている権利制限の一般規定を検討するに当たっての問題意識や本小委員会での検討に先立ち,事務局の委託により基礎的な資料の整備という観点から調査研究が実施されたこと,本小委員会における検討は,この調査研究の報告書に基づく議論を実施し,その上で有識者団体や関係団体からヒアリングを行ったこと,そして,ヒアリングに基づく議論も踏まえて,平成21年9月18日の本小委員会で検討事項を取りまとめ,併せてワーキングチームを設置し,その後はワーキングチームにおいて短期集中的な検討が行われ,本年1月20日にワーキングチーム報告書の内容が本小委員会に報告され,それ以降,ワーキングチーム報告書に基づく議論を実施したことなどを簡潔にまとめてございます。
続きまして,4ページからの第2章でございますが,こちらの記載につきましては,前回のバージョンから特段変更はございません。
続きまして,7ページをご覧ください。
第3章でございますが,10ページまでの「1 諸外国の状況」の部分は今回新たに追記した部分となります。こちらの部分は,米国法,英連邦諸国,大陸法,その他の国・地域の状況や事実関係に関して調査研究報告書及びワーキングチーム報告書の内容を,詳細はこれらをご参照いただく扱いとし,本素案においてはごく簡潔にまとめてございます。
10ページ以降の第3章の残りの部分につきましては,前回のバージョンから特段変更はございません。
続きまして,16ページからの第4章,こちらにつきましては前回,Aの類型につきご議論いただいておりますが,とりあえず本日の段階ではご議論を受けて表現を修正した部分はなく,内容的には前回のバージョンと同様でございます。
なお,前回の主な議論につきましては,本日資料2として,内容ごとにまとめてございますので,必要に応じてご参照いただければと思います。
第4章の残りの部分につきましても,前回ご議論いただいていない部分ということもあり,特に前回のバージョンから表現を修正した部分はございません。
なお,18ページのB類型でございますが,現在,2つほどわかりやすい具体例を記載しておりますが,本日は特にこの点の追加,修正等はしていないものの,その後の事務局内部での議論におきまして,例えば38条1項に基づき,非営利・無料で複数枚のCDを再生することにより,音楽を複数曲演奏するといった場合,進行や会場設備の都合上,CDを1枚1枚チェンジして再生することは現実的に困難という事情があるため,予め1枚のCD-Rに演奏する楽曲を演奏順に編集して複製し,それを再生することにより演奏するといった場合の複製行為,こういったものもBの射程に入ってくるのではないかといった議論がございました。議論のご参考までにご案内させていただく次第であります。
最後に,29ページの「おわりに」の部分ですが,こちらは先ほど申し上げましたとおり,前回同様,引き続き未定稿となっております。こちらの部分は,議論が一通り出された段階で,それまでの議論状況を踏まえ,最後のまとめ的なことを簡潔にまとめることを予定しております。
事務局からの説明は以上でございます。
どうぞ,ご審議のほどよろしくお願いいたします。
【土肥主査】
ありがとうございました。
前回はA,B及びCの類型について一般規定の対象として,その範囲や判断基準・要素が適当かどうかという点等について具体的な議論を行う,そういう段取りでおったわけでございますけれども,本日はその続きを行いたいと思っております。
前回は,Aについて集中的な議論をしていただきましたので,本日はBから議論を開始したいと存じます。
18ページということになりますけれども,このB類型につきましてご意見がありましたら,お願いをいたします。
松田委員,どうぞ。
【松田委員】
B類型につきまして,18ページの中ごろに書いてありますが,2つの類型があるとされています。適法な著作物の利用に伴った中間的な複製ないしは制限規定によって許容されている複製に伴うものという類型だと思います。私はこれに加えてもう一類型あるのではないかなと考えているわけであります。Bの類型の中で,さらにもう一つ考えられるのではないか。それは,既に許諾されているものの中間的なものではなくて,これから許諾を得ようと思っているものに対しての原稿の作成等です。これについてもB類型に入れていいのではないかなというふうに思うのであります。例示されているものといささか違うところはまだ許諾されていないところに許諾の過程として原稿を作る等は許されるのではないか。ただし,この場合については許諾が得られなかった場合については当該原稿については廃棄する等の措置が求められるかもしれないと,こういうふうに思っております。
【土肥主査】
ありがとうございました。
今,松田委員のご指摘のあった点に関連してでも結構ですし,他のご意見でも結構でございますけれども,B類型についてご意見をいただければと思います。
【中村委員】
もともとの事務局から書いていただいているAとBというのは,いずれも黙示的な許諾があるとか,個別権利制限規定の適用が受けられる場合とも考えられるものでございまして,なかなかこうした事例でこういう一般的権利制限規定の立法事実を考えるのは難しいかなと思っておったんですが,今日,また事務局から事例のご紹介があったんですけれども,ちょっと相当早くご紹介されたので,もし可能であれば,もう一度どういう内容かわかりやすくご紹介いただけないでしょうか。
【池村著作権調査官】
先ほどご説明申し上げましたのは,38条の1項,こちらに基づき,非営利・無料で演奏権等が制限されているわけですけれども,複製権については条文上制限の対象となっておりません。したがいまして,例えば何らかの式典等で,非営利・無料という前提ですけれども,複数枚のCDに収録されている複数の楽曲を演奏するという場合,一枚一枚CDを替えながら再生して演奏する必要があるということになるかと思います。ただ,進行都合上ですとか,再生機器が1台しかないといった会場設備の都合上,予め一枚のCD-Rに,演奏する楽曲を複数のCDから編集して複製し,当日はそれを再生して演奏するといったような場合の複製行為についてもBの類型で読み込めるんではないかと,そういった趣旨でございます。
【土肥主査】
大渕委員,どうぞ。
【大渕委員】
幾つかあるのですが,今出たのに近い方からいいますと,要するに実例がないとわかりにくいというご趣旨からではないかと思いますので,Bの場合,(a)の方と(b)の方は随分趣旨が違うのですが,(b)の方そのものに当たるかどうかわかりませんけれども,今回のB(b)でこれが拾えるのではないかという気がしている事例があります。これは,権利制限該当性の方でなくて,支分権該当性のうちの公衆性の非該当性の点で侵害が否定される事例であります。例えば5人ぐらいで一グループを作って,論文などを今までだったら紙のコピーで回して,いろいろディスカッションなどしていたところを,今であればサイトを1カ所作って,パスワード管理をしっかりして,そのメンバー5人だけしか使えないようなところに複製ファイルを置いて,各自が見るというようなことを想定しますと,5人が難しければ,3人でもいいのですけれども,非常に少ない数の人だけに限定した範囲内でサイトから見るということであったら公衆送信でなくなるだろう,公衆性の要件を満たさなくなる一定の数があろうということで,そういうように公衆送信に当たらない非常に少人数だけのパスワード管理がしっかりした,そういう利用の事例を考えてみた場合,実質的には,複製した紙のコピーで回しているときと変わらぬという,そういう実体のものを前提にしていただいて考えた場合に,それをやろうと思ったときに,送信等のところだけ考えると,公衆送信に当たらないから非侵害ということになるのですが,サイトに置くためには,普通,何か複製をしておかない限りは,中にはOCRの上に本をひっくり返して置けばいいではないかという冗談みたいな話もありますけれども,多分,それは現実的ではないので,普通は何かしらの複製物を作ってサイトに置いて,みんなで見るということになるのですけれども,先ほどの送信等については,公衆送信に当たらないから適法になるのですが,そのための複製ということについては,そこだけで侵害になってしまうのだったら,結局,非公衆送信自体は,本来であれば法はそのようなものを許容しているのではないかという,そういう前提でお考えいただければと思うんですが,そういう場合などを考えると,B(b)に関するようなものというのは,今までも許容されているのではないかとも思われますが,今の例のような,適法な非公衆送信のサイトのための前提の複製も,細かく考え出すと,それも一応複製には当たるなどというのも,このB(b)の一つの─普通はこのB(b)は,権利制限,例えば,先ほどの38条の権利制限規定で非侵害になるのが前提になるケースが多いのではないかと思いますが,今のような支分権該当性,要するに,もともと著作権の範囲というのは支分権該当性と権利制限規定で画されるわけですから,そのいずれであるかによらず,本体部分は,許諾を根拠としてではなくて,法律の規定により,適法化されているという場合に,それに当然随伴するような前提となるようなものというのはここであり得るのではないかと思っております。
それが1点と,それからそういう話以外にちょっとまとめて申し上げたいのですが,これ前から気になっているところでありまして,これはいろいろとワーキングチーム以来抽出してきて権利制限の一般規定的なものとして出てきたプロダクトというのがAとBとCなのですが,今後,これを条文化等するに当たっての基本思想のようなところにかかってくるのですが,これは従前のマンデートがこういう形で組まれていたということもあって,Aについては「形式的権利侵害」にとどまるとされ,BやCは「形式的権利侵害」かどうかはともかく,という形で制限規定をするということで説明されていますが,「形式的権利侵害」というものの具体的内容自体がいかなるものかという点は,なかなか難しい論点で,これは人によっては広くも狭くもなるようなものなので,作業の途中のとりあえずの枠組みとしてはこれでいいのですけれども,こうやってA,B,Cと並べたときに,Aは「形式的権利侵害」なんだけれども,B,Cはそれかどうかはともかくというような形で,「形式的権利侵害」という概念を中間的媒介項として介在させる方がいいのかという点の検討は必要ではないかと思われます。このようなものを外してしまって,要するに,AとBとCをいわば並列的に考えて見ていった方がいいのではないかという点については,これは,A,B,Cの具体的内容をどのように理解するかというところにかかってくるものと思いますが,念頭に置く必要があるのではないかと思っております。
以上です。
【土肥主査】
ありがとうございました。
ほかにございますか。
まず,中村委員が先ほど事務局にお尋ねになった,そこはもうよろしいですか。
【中村委員】
 中身としては。
【土肥主査】
今まで出て,幾つかご意見をちょうだいしたわけですけれども,その点について。つまり,Bのiとiiというんですか,2つの類型というのは少し性格の違うものであるということなんですね。つまり,iについては許諾があるという前提でございますし,iiについては,これは権利制限規定の適用を受ける場合の話でございますので,例えば先ほど松田委員のおっしゃった,その前提としての行為もこれも入れるかという。だから,許が得られればそれが使えていくけれども,許諾が受けられなかったらそれ以前の行為は,それは松田委員はどういうふうにお考えになっているのでしょうか。許諾が得られない場合に。
【松田委員】
得られない場合は現行それ自体を廃棄するという必要になるのではないかと思っています。
【土肥主査】
大渕委員,どうぞ。
【大渕委員】
今の点は,(i)を考える上で非常に重要な点ではないかと思っておりますが,そもそも,(i)と(ii)というのは,結果的にかなり似たようなものになるかと思うのですが,法的性質は大きく異なっているように思われます。(ii)の方は,本来の意味での権利制限でありますが,ⅰの方は実質としてはむしろ許諾の範囲の画定のための解釈規定に近いようなものではないかというふうに思っておりまして,そういうふうに考えると,先ほど松田委員が出された例というのもその一種ではないかと思います。例えば原稿を書いてみない限り,採用するかどうかわからないような場合だったら,場合によっては最終的に没になっったとしても,その採用するかどうかの判断の前提のための複製行為が本当に禁圧されるのかという気がいたしまして,要するに,それは没とされれば当然その後は使わないという前提ですけれども,その辺りは結局は許諾の範囲の解釈に帰着するものと思われます。原稿が採用されれば問題ないのでしょうが,採用されずに没となったケースが問題となりますが,許諾を与えるかを判断してもらうために原稿を作るという段階でのことが,最終的に原稿が没となったことにより,事後的に違法になるというのも実体に合わないように思われます。今のようなケースであれば,黙示的に,そのような原稿作製のための複製等の限りでは許諾がなされているといえるのではないかと思われますが,これを黙示の許諾で処理するのがいいのか,許諾の範囲についての解釈規定的なもの等を置くほうがよいかの問題に帰着するかと思います。いずれにせよ,(i)と(ii)の法的性格の違い等の点はよく詰めておいた方がいいのではないかと思います。
ただ,その辺りで1点だけ気になるのが,今まで余り出てきませんでしたが,44条の放送事業者等による一時的固定という規定でありまして,参考になるかもしれないかと思います。放送事業者は,第22条第1項に規定する権利を害することなく放送ができる著作物を,となっているだけでありまして,ここでは,どのような理由で権利を害することなく放送できるのかという点については,明示されていないわけですが,そのような場合には一時的固定ができるということになっております。この条文についても,念頭において議論するほうがよいと思います。この44条の解説本を見てもそこまで余り詳しく書いてはいないので,どのような趣旨でこのような権利制限とされているかは必ずしも明確でない面もありますが,ここでの議論においても参考となり得る点もあるかもしれないと思われます。そして,これも参考にしつつ,(i)と(ii)の中身を考えるに当たっては,両者は法的性質が違うものとして議論した方が混乱が避けられるのではないかと思っております。
【土肥主査】
ありがとうございます。
そもそもBの類型,権利制限の一般規定の一つとして,これを必要がないと,そういう消極的なご意見はございますか。つまり,射程についてはまた議論をしていくとしても。
小泉委員,ございますか。
【小泉委員】
今言っていただいたとおりで,まとめの18ページの下から2行目から19ページの上から3行目に要らない,黙示許諾でいけるという意見もあるけれども,しかし,何か意味があるんではないかという前段の部分は,私は個人的にはどっちかというとそういう意見を持っております。理由はここに書いてあるとおりでございます。
【土肥主査】
消極的なご意見ですか。
【小泉委員】
そうですね。もちろん,ここに例として書かれているものが違法だと言っているわけでは決してございません。Bの括弧の中に入っている類型化を見てしまうと,これが果たして明確かどうかとか,いろいろなことが気になってくるわけでございまして,蒸し返したくはないですけれども,今日の資料2にもまとめていただいておりますとおり,前回,著作権法の中も既にやむを得ないとかという一般的要件は入っているから,新しく一般的条項の中にやむを得ないと入っても別に問題はないというようなご意見,この場ではどちらかというと有力だと思うんですけれども,一方,ワーキングチームの報告書の49ページ辺りご覧いただきますと,そうは必ずしも書かれておらず,例えば引用の条文に「正当という言葉が入っていても,引用というものはそもそも従前から,法律ができる前から引用って何かということについて,社会的な合意がある程度あるので,そういうものがあった上で「やむを得ない」とか,「正当」と入れても何のことか皆わかると。ところが,今のように全くの一般条項のようなものを入れておいて,その中に「正当」とか,「軽微」とかという言葉が突然と出てくると,やはり世の中の人はよりわからないんではないかということです。
もう一点いいますと,違法性阻却の点についても確かに新たに違法な行為を作る場合ではないから,明確性について,それほど神経をとがらせなくてもという意見もあり得るんですけれども,これもワーキングチーム報告書の49ページに整理されておりますとおり,必ずしもそうではなくて,つまり刑法には確かに一般的な違法性阻却はあるけれども,刑法の刑法犯というのは多くの場合自然犯であって,何がやっていいか悪いかということは割と皆わかっていると。ところが,特別刑法である著作権法について,そういうことについて同じようには考えられないんではないかという意見があったという形で両論併記されています。そういうことを踏まえて,Bというものをもう一度見ると,ちょっとどうなのかなという踏み切れないものがあるという意見,Aよりはより踏み切れないものがある意見ということでございます。
【土肥主査】
それでは,大渕委員,どうぞ。
【大渕委員】
今出た点に関連してなのですけれども,先ほど私が申し上げたのは,ここに挙げられている例のうちの,どれでもいいんですけれども,例えば,33条の権利制限を受ける行為に当然に随伴するような複製であれば,現行法のもとでも,各権利制限規定の,機械的解釈でない,実質的解釈によれば,権利制限の範囲内と実質的に解釈され,権利制限が肯定され,侵害が否定されるものと思われます。つまり,ここに上がっている33条の関係もまさしく18ページから19ページにあるとおり,各個別権利制限規定の適用範囲内として,本体が38条でカヴァーされるものであれば,それに当然随伴するようなものが,いわば形式的に侵害に当たるとされて適法に行なえないことになると,それと共連れになってしまって,本来適法に行なえるはずの本体までできないこになってしまいます。個別規定のこのような解釈というのは,余り妥当でない,いわば機械的な解釈でありまして,私は今までの個別規定でも適切妥当に実質的に解釈すれば読めている範囲なのではないかと思っております。ただ,そうはいっても,33条により適法とされる本体と,それに当然に随伴する前提的な複製を,ばらばらに,形式的に考えてみると,後者は違法であると解釈されるおそれがあるという点では,萎縮効果が働くことになりますので,このような萎縮効果をなくすために,さきほどの点を明確化するというのは権利者,利用者とも大変に意義があることであり,そういう意味で今回の作業の全ての基本思想に当たるようなものだと思います。従前もできなかったかと言われると,実はできたものを,それを明確化して萎縮効果をなくす点では,Bもその一つとして考えることができると思います。今言ったように個別規定の実質的解釈の範囲で読めないかと言われると,本来は読めるものなのですが,それをもっと読みやすく書いてあげる,ないしは,先ほどの例では,黙示的許諾の範囲でも,私は十分いけると思うのですけれども,黙示的許諾の範囲内であることが一般の方にわかりにくいのであれば,それはわかりやすい形でここへ明示するようにする,そういうようなものとしては今回の作業に共通する精神ないし哲学の一部というふうに考えると─条文の作り方は,またいろいろ工夫の余地があるかと思うのですが,そこの基本線がはっきりしないから両方の方にとって不安感を醸し出すところがあるので,基本的には,明確化であって,萎縮効果をなくすという点にポイントがあることを考えれば,先ほど小泉委員が言われたようなご心配というのもあまりご心配されるほどのものではなく,次第に払拭されていくのではないかという気がしております。それからあともう一点ですが,このA,B,Cのように書くと,非常にまたかえって何か漠然とした感じがする面もあるのですが,最終的な条文に落とし込むと,かえってこのような不安を抱かせないような普通の文言のものになってくるのではないかと思われるのでありまして,その意味では,あとは個別の作業のレベルの話ではないかというように思っております。
【土肥主査】
ありがとうございました。
ほかにございますか。
中村委員,どうぞ。
【中村委員】
黙示的許諾の範囲内だとか,個別権利制限規定の範囲内だと余りはっきり言われてしまうと,「では,要らないんではないですか」となってしまうので,やはり黙示的許諾を超える部分があるとか,個別制限規定を超える部分があるということを例えば想定できたとして,これの価値があるのかなと思われますし,ただ,一方で今日新たに事務局から出していただいた例を中心として見ましても,現在の個別の権利制限規定を改正することで処できないのかという問題はあるのかなと思うんですが,ただ,先ほど申し上げたような黙示的許諾の範囲を超えた例とか,個別権利制限規定の適用の範囲を超えた例が,本当に何かこういうものがあるんだというふうにした場合の話なんですけれども,立法技術的なになるかもしれませんが,明確性の原則を充足しつつかつ現段階では予測できない事例もあるということになりますと,このB類型で示したような考えを法律上は規定して,具体的な適用場面をうまく政令で定めることができるということにして,随時うまく乗り切っいくということもあるのかなと思われるんですが,ただ,元に戻って大変恐縮なんですけれども,まだ私自身は本当にBの類型でいろいろおっしゃっておられることが黙示的許諾を超えたものなのか,個別権利制限規定の範囲を超えたものなのか,また個別権利制限規を改正して対応した方がいいのではないかという疑念は持っておりまして,かなり小泉先生がおっしゃられた点とすごく近い思いがあるんですが,ただ,立法技術的な話としては,先ほどのBを法律で書いておいて,政令で規定しておく,規定することにするという具体的な場面は政令で定めるということもあり得るとは思っております。
【土肥主査】
ほかの委員の方,もし。大渕委員以外,ございますか。
森田委員,どうぞ。
【森田委員】
ただいま個別の制限規定を改正するとか,あるいは具体的な適用場面については政令で書くというお話しがありましたが,そのような個別に予想できるようなことについて具体的な規定を置くというのは,別途必要があればそういう形で明確化することは,権利制限の一般規定の議論をするときにも当然前提になっていたと思いますけれども,そういうふうに個別に拾えないようなものをどう拾うかというのが一般規定の意義だと思いますのでと思います。それで,先ほどから出されているご意見をお伺いしていますと,結論においては異論はないけれども,それを実現するためにBというような規定が必要なのか,それとも黙示の許諾や個別の権利制限規定の拡張解釈によるのかということで意見が分かれて旨は明確になるのではないかというふうに私は思います。
今日の議論では結論については異論がないわけでありますけれども,ワーキングチームで議論をしていたときには,むしろそうではない議論も一般には根強いのではないか,例えば,契約で定めている場合でも,契約書には許諾の対象として書いていないことについては,書かれていなければ駄目ではないかという意見は出てくると思いますし,それから個別の権利制限規定についても条文上はそれが権利制限の対象とは書いていないことついては,書いていないけれども,権利制限の趣旨から考えていくとそこまで含まれないとおかしいのではないかといっても,やはり明文で規定していない以上は権利制限の対象ではないというふうに条文を厳格に解釈するという考え方もあり得るところであります。そうージ辺りに書かれている個別の権利制限規定の類推適用とか,拡張解釈というのをどの程度許容するかということについて,権利制限というのは例外なのだから,厳格に解釈すべきだという考え方はとらずに,個別の権利制限規定についてももう少し柔軟に解釈すべきいるかというと,そうでない意見も一般的にはなお強いように思います。そうだとしますと,今日はこの場では異論がないわけでありますけれども,契約書に書かれていなければ駄目ではないかとか,個別の権利制限規定に文言上に当たらないから駄目ではないかというな規定があって初めてそれが許容されることになるのではないかというふうに私は思います。
ですので,ワーキングチームで議論していたときにも,Bのような規定が要らないということについて全ての人にコンセンサスができれば,黙示の契約法理や個別制限規定の解釈によって対応することは現実味を帯びてくるけれども,現時点では必ずしもそうはなっていないので,そのような前提の下で,Bのような範囲であれば適法とするのであれば,むしろそのことを明文で示した方が一般の人にとってもわかりやすいし,それに伴う萎縮効果がなくなるのではないかということになったわけです。19ページの先ほどの「必要はないとの意見もありうるが」のその次の3行の文章というのは,現実に何らかの問題が生じているとすれば,こういう形で規定を置くことによって明確を図ることに意義が認められるというふうに考えれば,Bのような規定も必要であると結論づけているわけでして,その点をどう考えるかというのが最終的なポイントだろうと思います。
【土肥主査】
ありがとうございます。
中村委員も,それから小泉委員も,今森田委員がおっしゃった19ページの3行目以降の「現実に」というところから始まる3行ですけれども,こういうメリットといいますか,こういう意義というのはお認めいただけるものではないかなと思うんですけれども,その点はよろしゅうございますか。
問題は,射程がどれぐらいあるのかという議論は当然出てくるわけですけれども,何せ権利制限の一般規定なものですから,事前にここまでということががちがちに決まっている,そういうことを想定しているものではないものですから,ある程度これは入るのかどうかという議論は当然に出てくると思われます。できれば,本日,まだCも議論したいところがございますので,その前に道垣内委員,お願いします。
【道垣内委員】
これ条文ではないので,言葉の一つ一つについて今この段階で議論するのはどうかと思いますけれども,「不可避的に」という言葉ですが,先ほどの例なんかを聞いていますと,不可避的ではないように思います。社会的に,あるいは経済的に見て不合理な,あるいは合理的でないので一時的に侵害せざるを得ないという状態ではないかと思いますので,この「不可避的に」という言葉が条文上,ほかの法律でどういうふうに使われているの,使われている例があるのかどうかをご検討いただきたいと思います。ですから,余り何か例と合わないような言葉ではないかなと思うのですが。
【土肥主査】
そこは考えさせていただきますけれども,大渕委員,今のところ何かありますか。
【大渕委員】
今のところというより先のところなのですけれども,これは多分この全てのものが今まで先ほどもどなたかおっしゃっていましたとおり,従前は権利制限規定というのは非常に厳格に解釈すべしということが非常に強く言われていて,それがワーキングチームの検討の中でも現実の裁判例などを見ると必ずしもそうでもないのではないかということもあって,実際は,制限規定だから,例外だから厳格に解釈すべきということでは今までもそうではなかったのではないかなという気がしますけれども,ただ,一般的にはそういうように著作権の世界で言われたこともあって萎縮効果が働いていたというのを,さきほどのようにそうではないことを明確化した方がよかろうというところの一環の話であると思います。それで先ほどのところに戻りますけれども,個別権利制限規定の実質的ないし合理的解釈の範囲内でも私も先ほど申し上げたように拾えると思いますけれども,これが拾えるかどうかというのをそれこそやり出せば38条で一個一個でここも入るかどうかは書き出したら切りがないし,また,他方で,そこに漏れたら,反対解釈で,それは権利制限はかからないのかという話にもなりかねないと思います。いみじくもBも例がなかなかすぐには出て来ずに次第にぽろぽろと1つ2つと出てくるのであって,これが多分このプロジェクトの一番の特色だと思いますが,言われてみるとなるほどと,こういうものもあるのだと,こんなものは権利制限を認めてもいいのではないかというのが個別的に出てくるのでありまして,それを事前に全て100%想定し切って書き出すととても動かないし,先ほどどなたか言われたとおり,法律で漠然と書いて,政令で対処するにしても,一々,それで閣議を経て政令を定めない限り,黒になってしまうのかというところに問題点があるかと思います。また,今までにある条文もそんなに100%詰め切った形で書かれているかというと,32条等を含めてそうでもないものがあって,それは法律一般において立法者が何年も後のことを100%予測して全て書き切るというのは不可能だというのはいわば法律界の常識だと思いますが,この点では,著作権法も同様であり,そういうことで結局は,明確性とそれから新たな事情に対する対処可能性等というものを総合的に考えた結果出てきたのがBの話ではないかと思います。今までのものを大幅に変えるというのではなくて,思想としてはむしろ今まで裁判例などが実際は柔軟に対応していたところをわかりやすくするというところにポイントがあるのではないかと思います。それからあとの不可避的という辺りも,これ実例との関係で狭いか,広いのかというのはある程度議論していくことがよろしいのではないかと思っておりまして,私はこの辺は不可避的かなと思っていたのですが,これは人によってそれこそ不可避かどうかというものが多義的でありますので,そういう辺りは今後の作業の話ではないかというように思っております。
【土肥主査】
ありがとうございました。
それでは,C類型についての議論をしたいと思います。
C類型について,ご意見ございましたらお願いをいたします。19ページです。
中村委員,お願いします。
【中村委員】
今Cとして書かれているのは,著作物の表現を知覚するための利用とは評価されない利用ということですので,この程度の表現だとすると,本来の利用と評価されない利用というのは一体何かというのが必ずしも明らかになっているとは言いがたいのではないかという思いがしておりまして,いろいろこれから挙げられる例などを基に具体的な想定事例を踏まえたメルクマール,あるいはおおよその適用範囲というものを具体的に検討してCという表現がいいのかというのをご議論いただく必要があるのではないかと思われます。
例えばなんですけれども,事務局から紹介された要望で出ている事例を見ますと,多くが企業内の研究開発に関するものということであれば,あくまで例えばですけれども,研究開発の目的でその目的である機器などの政令で定めているものの性能を検証するため,必要な限度で他人の著作物を利用する場合であって,著作物の本来の利用とは評価されない利用というような形で何らかの目的ですとか,こういうことに使うんだというようなことで,限定を加えたり,政令で指定する方式をとるというのが一つの現実的な在り方なのではないかなという気がしておりますので,議論の前提として紹介しました。
【土肥主査】
ありがとうございます。
今のような考え方もあるという─新しいといいますか,ご意見だと思いますけれども,このC類型については,恐らく皆様いろいろご意見があろうと思っているところでございますので,どうぞ忌憚なく。
中山委員,お願いします。
【中山委員】
今中村委員から「本来的な利用」という言葉が出たわけですけれども,ここに書いてあるのは知覚するための利用と書いてあるわけです。知覚するための利用と本来的な利用とかなり異なった問題ではないかと思います。既に立法化されていますけれども,例えばコンピューターの利用に伴う複製とか,あるいは修理のための一時的複製,この辺は知覚するための利用ではないというのは,これは誰が見ても明らかなのですけれども,例えばう立法化されておりますが,ある小説を裁判で使うというような場合は,これは本来的な利用ではないけれども,表現は知覚しなければ裁判で利用できないので,知覚はするけれども本来的な利用ではないということになると思います。このような例は,幾らでもある思います。例えば,笑い話みたいかもしれませんけれども,この前ワインを買おうと思ったら,モーツァルトの曲を聴かせて樽に寝かせているワインはおいしいとかいうので,買って飲んだ─味はわからなかったんですけれども,そんなの全然本来的な利用ではないでょう。こんなものはフェアユースにする必要はないと思うんですけれども,本来的な利用となると,知覚するための利用とはかなり違うのではないか。
私は将来のことをいろいろ考えると,本来的な利用の全てがフェアユースになるとは言いませんけれども,知覚していてもフェアユースになる,知覚するための利用であっても,フェアユースになる場合もあるのではないかというふうに思っております。
【土肥主査】
ほかにご意見としてはございませんか。
大渕委員,どうぞ。
【大渕委員】
このCは,これは知覚というところも含めて,いろいろ議論があって,非常に詰めなければいけないところが多いものではないかと思っておりますが,たしか,発端としては,このCは鑑賞になるかならないかという話がここのCが出てくる発端になっていたのではないかと思いますけれども,他方で,発端は発端として,でき上がったものは,必ずしも鑑賞云々ということになっていないと思います。対象としては著作物ですから,当然のことながら,プログラムというのもあり得るわけで,私はむしろCの一番のイメージとしてはネット社会では,いろいろなところで,思わぬところで複製等々がいろいろな形で起きているというのは,形式的に言えば全て複製だから抑えるということになってくるんですけれども,そんなことをし出したら,要するに情報化社会の基盤とも言うべきネットワークその他が全く動かなくなってしまうので,そういうものは侵害として抑えるものではないという考えで,そのような意味では,これはCの四角の中のように書くからイメージがわきにくいんですけれども,むしろ19ページの下にあるように,本当に必要があったのかというのは異論はあるかもしれませんが,幾つか近時同趣旨の改正がなされているわけで,むしろそれを包括するような,こういうもので,またさっきと似たような話になってくるかと思いますが,個別のものはサーチエンジン等々やるんですけれども,それを包括するような意味での,複製をしていないかと言われるとしているんだけれども,それが本来的利用的ではない複製だということを中心にして,ここを抽出してきているので,あまりそこから広げ過ぎてもまた問題ですし,かといって,今度逆に,先ほど言われた法律で基本を定めて,あと政令でということになると,政令作るまではまたそれが拾え切れないことになってしまいますので,その辺りは法律で決め切るというのがなかなか難しいのと同様に,政令だと法律よりは若干機動性がありますけれども,多分,それを全部拾い切ることは難しくて,またいろいろ大変なことになろうかと思いますので,そのような意味では,Cの四角の中では本来の利用となっているんですけれども,その「心」は先ほど言ったようなところをどううまく書くかというところでありまして,そういう観点からプログラムは鑑賞の対象にはあまりならないかと思いますけれども,ネットワーク上でいろいろなところで複製が起きていて,それを一々とらえられ出すとネットワークは立ち行かないと。それは国民全体に対して不利益になるかと思いますので,そういう点も含めてこのCで,これも先ほどのBと同じように,個別の例を一個一個今言うとなると,時々ぽつんぽつんと一個一個出てくるぐらいなのですけれども,後から出てきたらこんなものは拾ってもいいではないかというのはたくさんあるわけで,そういうものを拾うようなものとして,こういうものをCを置くというのがこの眼目ではないかと思います。こういうのは,どなたか前々回か「気持ち」ということを言われていましたけれども,要するに何を拾いたいかという気持ちというか,趣旨があって,それをどう条文化していくかという話なので,私が理解しているところではワーキングチームのときの気持ちというのはそういうようなところであります。
あとこれは余り人気がなかったのですけれども,そういうような本来的でない,ある種軽微なと言えるのかもしれないですけれども,そういうような複製が多々あるのと,先ほどどなたか言われているように研究開発等に絞りたいということで,個別に絞ってしまうといけないのですけれども,そういうのを包括したような,「公益」といったら言い過ぎかもしれませんけれども,何か適法な目的のためにというようなもので,結局はこう書いても,それが当然の前提になっているわけでありまして,そこを両面から,軽微性みたいなものと,それから公益性みたいなものを組み合わせでCを拾っていくと,適切な範囲に,ちょっと条文をどう作り込むかは別として,適切な範囲でとらえることができるのではないかと思っております。
【土肥主査】
中山委員,どうぞ。
【中山委員】
私も大渕委員がおっしゃるとおりだと思います。
とすれば,知覚するための利用というのは,先ほど言いましたように表現的にはちょっと違うのではないかという気がしております。
それから,あと軽微であるかどうかというのは必要かどうか。例えば,検索エンジンのためのコピーは全く軽微ではありません。世界中のサイトを無断でコピーしています。Googleは,恐らくコンピューターの最も大きなユーザーで,そこで世界中のものをコピーしているわけで決して軽微ではない。しかし,フェアユースになるであろうと思います。したがって,軽微であればフェアユースになりやすいということはあっても,軽微は必ずしもフェアユースの要件ではないのではないかと思います。
【土肥主査】
山本委員,どうぞ。
【山本(た)委員】 
私も中山委員のご意見に全く賛成で,著作物の表現を知覚するためにというのは,ちょっとずれているかなという気がいたします。もともと,これの基になった表現の仕方で私が申し上げたのは,「鑑賞する」という言葉を使ったのですが,鑑賞というのも気持ちが正確にはあらわれませんで,言いたいことはエンジョイメントなんですけれども,その著作物の価値を享受する,そういう行為でなければ,このCに当たっていいのではないのかなと。まさに,中山委員が先ほど例として挙げていただきましたように,裁判所で証拠として提出してやるという場合は,まさに表現を知覚はするんですが,それの鑑賞価値を享受するという行為ではない。そこに著作物本来としての利用とは評価されないという結論になって,このCで適法だという論理ではないのかな。そういう意味から言うと,このCの類型としては表現を知覚するというよりは,さっき申し上げましたような意味合いでの鑑賞であるとかいう表現の方がまだ近いのではないのかなというように思います。
それで,それとともに,利用が軽微であるという点については,私も全く必要のない要件だと思います。
【土肥主査】
これはワーキングチームでの議論のときもここで言う知覚という意味は,人の環境を満たすための利用,そういうものを想定していたのではないかなというふうに思っています。エンジョイメントということ,まさにそういうことではないかと思うんですけれども,そういう利用についてはCで読むという理解をしておりましたが。
中村委員,どうぞ。
【中村委員】
今まさにちょっとお尋ねしたい例が出たので,併せての確認をもしできればなんですが,ここの真ん中辺りからの例えばの例を見ておりますと,それでは,こういう例において著作物を再生したときに,では技術開発者や研究者というんでしょうか,技術者というんでしょうか,そんな人たちは著作物の中身といいましょうか,音色等はそれを鑑賞しているとは言ってはいけなくて,理解するというのかあれなんでしょうけれども,そうすると,それは本来利用ではないというふうに本当に言い切れるのかというのが一つでございまして,またもう一点が具体的にどのようにやっているのかという,もし,このCの類型を例えばここの議論の中では,この「例えば」にあるようなものなんだというふうに理解するとした場合に,そうであると,企業の実態としてどういうやり方がなされているのかというのを本来であれば,できればこれまで,あるいは今後の立案までの過程の中で企業から十分聴取するなどして,その真の必要性としてはどこにあるんだと。本当に「例えば」に限られたものでいいのかという点なども十分検討しておくべきではなかったかなというふうに思っております。
【土肥主査】
ありがとうございました。
大渕委員,お願いします。
【大渕委員】
先ほど私が「軽微」と申し上げましたのは,物理的意味での軽微と申し上げたつもりではないので,本来的利用でないからというので,形式的に見れば複製しているのだけれども,実質上の被害等々は少ないという意味で申し上げましたので,そこの点はちょっと誤解のないようにお願いできればというふうに思っております。
それから,先ほど例が挙がっていました,裁判のために複製するのが本来的利用ではないかという話をし出すと,Cも,さきほどの「心」以外の異質なものを入れることとなりまた広がり過ぎてしまいますので,今のは,むしろ,裁判手続による複製という,現行法42条で扱うような性格の話であると思います。ここでイメージしていたのは,さきほど言いましたようなここにネット社会等で,形式的に言えば複製なんだけれども,実質的には複製ではないということでありまして,結局は全てこの3つ通して,そういうような哲学のものだと思っております。多分,Cの「心」としては皆かなり共通していますが,それをここに書きあらわすのが非常に難しくて,この点で苦しんでいるのではないかと思います。その「心」を具体的に表すには,実例が重要と思いますが,ただ,実例が一番出にくいのがCのところではないかと思われます。私はイメージとしてわきやすいのは,近時の改正に係る検索エンジン等々に近いようなものが,また次から次へとあと2つ,3つと出てきても,法改正を加えなくてもCで拾えるという辺りがCのポイントではないかと思っております。
【土肥主査】
ありがとうございました。
このC類型の括弧書きの中にある知覚するための利用,本来の利用,この関係等については本日いただいたご意見を基に整理をさせていただきますけれども,つまり次回ご覧に入れますけれども,本日の意見をいただいて。
C類型について,これはこれまでのご意見を伺っておりますと,こういう類型を権利制限の一般規定としておくという必要性を皆さんおありであるという認識をしておりますが,それでよろしゅうございますね。
それでは,Cの後の20ページ以降のこの後の部分なんですけれども,(4)の既存の個別権利制限規定の解釈による解決の可能性がある利用への対応以下,5,それから特にパロディの関係とか,特定の利用目的を持つ利用への対応の仕方は,この(4),(5),(6),(7)について,ご意見いただけますでしょうか。こういう,これは基本的にワーキングチームで考えておりましたところをまとめていただいている部分でございますけれども,それについてのご意見をいただければと思います。
特によろしいですか。
(4)から(7)までの記述はこういうふうにさせていただいておりますけれども,もし,今のタイミングでご意見がなくても,また後でお気づきいただいた場合は,メール等でいただいてもいいんですけれども,森田委員,何かありますか。
【森田委員】
問題の切り分けなのですけれども,今まで議論していたのは,特定の公益目的のような要件を掲げずに,そういう意味では横断的な形での権利制限の一般規定なのですけれども,特定の公益目的との関係でも,例えば,「障害者福祉」とか,あるいは「研究開発」とか,「教育」といった,そういう特定の公益目的による権利制限ではありますが,そこが個別に解除するのではなくて,ある程度包括的な権利制限の受け皿を用意すべきでないかという問題はあるのではないかというのは,これは人によって評価が分かれるところでありますけれども,その種の問題があるではないかということについては,ワーキングチームでもいろいろと指摘があったところであります。もっとも,今回,権利制限の一般規定として検討するというのは,特定の公益目的による権利制限ではなくて,横断的なものをどうするかというのが主眼なので,そういう個別の権利制限規定の問題については,次のステップの問題であるというふうに私は理解しております。しかし,この点について,中間まとめの21ページの書き方をみると,2段落目の「したがって」以下のところでは,「関係者間の合意が得られ次第,個別権利制限規定の改正又は創設により対応することが適当であると考えられる」と書かれています。これは,従来のやり方で,関係者間の合意が得られているものについては一つずつ規定していくというやり方なのですけれども,関係者間でもなかなか合意を得るのは難しいとか,一つずつ拾っていくと,どうしてもそこから抜け落ちてしまうものが出てくるという問題があって,よく指摘されるように議員立法で対処がされてしまうようなことにもなっていて,要するに,そういう従来のやり方では適当な時期に権利制限の立法がうまく追いついていないのではないかという指摘もあるところでありますので,そちらについても,もう少し抽象化する形でフェアディーリングのような権利制限の規定を置くべきではないか,私自身はそちらの方向を考えております。この点については,次の次のパラグラフで「関連して」以下のところで,その最後のまとめが「これについても,同様に,慎重に考える必要がある」となっていますが,「同様に」というのが何と同様で慎重に考えるというのが文章としてよくわからないところがあります。この点については,次のステップで個別の権利制限規定の見直しをする中で,その種の問題についても今後対応を図っていくと,そこで従来のやり方をとるのか,それともう少しそちらの方も一般規定的なものを入れるのかについては,次のステップで検討するというのが私の理解ですが,そういう趣旨で理解してよいのか,それとも,そうでなくて,そういう問題については従来の関係者間の合意が得られて,個別に一つずつ拾っていくというやり方を今後も維持するということなのかという,その辺りの文章の読み方が難しいところがあるものですから,その趣旨について確認させていただきたいと思います。
【土肥主査】
もちろん,私も個人的に申しますと,森田委員がおっしゃるように,そういう点は次のステップの問題であるというふうに認識しておりましたし,その典型がパロディであるという,そういう構成かなと思っていたんですけれども,そういうニュアンスが十分ここで伝わっていないとすれば,次回お出しするときに,そういう意見を反映する形もさせていただきたいと思います。
ほかに,この点について,つまり今のような形,方向性を次のステップというような,そういうまとめ方についてご異論ございましたらいただければと思いますけれども,そこはよろしゅうございますか。
パロディのところはいかがですか。こういうまとめ方でよろしいですか。
中山委員,お願いします。
【中山委員】
パロディもくくり出して別途きちんとした規定を作ってもらえれば,それはそれでよろしいかと思うのですけれども,恐らく現実問題として,パロディの規定を作るというのはなかなか難しいんではないかという気はいたします。それに条文化するときにはパロディは含まないという条文にするという意味でしょうか。それとも,一般的な条文にしてしまって,場合によっては裁判でパロディも含まれてしまう場合もあり得るということでしょうか。はっきり除くのでしょうか。
【土肥主査】
それは法制小委がどういうふうにお考えかということなんですけれども,少なくともワーキングチームでは,パロディは権利制限の一般規定の中には入れない。別途考えるという,そういうまとめ方をしておりましたけれども,ありますか。
【中山委員】
それはこの案に書いてあるからわかりますが,含めないということをきちんと明示するのか。
【土肥主査】
書くかどうか。
【中山委員】
はい。
【土肥主査】
書くかどうかは,まだこの先の話になるんだろうと思うんですけれども。
【中山委員】
これ書かないとすると,一般的な条文だけだとパロディに入ってしまうということも判例によってあり得ると思うのですけれども。
【土肥主査】
裁判所によって。
森田委員,どうぞ。
【森田委員】
いまの点ですが,パロディが入ってしまうというのは,A,B,Cの解釈によっては,パロディの中の一部のものがそれに入ることが論理的にないとは言えないと思うのですけれども,どの要件に当たってパロディが入るかというのは余り具体的に想定していなかったので,明示的にパロディを排除するという条文はもちろん置かないのでしょうけれども,パロディに対応するということを想定してA,B,Cは書かれていないので,A,B,Cでパロディがすべて拾えるかというと,拾えないのではないかと思います。
【土肥主査】
山本隆司委員,お願いします。
【山本(た)委員】
今の点についての理解,確認しておきたいんですけれども,パロディでも形はいろいろあります。利用される著作物自体に対する風刺であるのか,そうでないのか。広い意味では両方ともパロディにはなりますけれども,使われるもの自身に対する風刺であれば,C類型が前提にしておりますトランスフォーマティブ・ユースとして,アメリカだったらパロディもフェアユースになることは確定された考え方です。こういうCの書き方であれば,私は,このようなパロディが入っても当然ではないのかなと。あるいはリバースエンジニアリングもCの類型に入っても当然ではないのかなとは思うのですが,皆さんのワーキングチームでの議論の中ではそうは考えられない方もいらっしゃったのは確かです。ですから,結局は否定説で固まっているわけではないと思いますので,Cについて,最終的には裁判所でどう判断していただくか,そちらの方に待たざるを得ない問題ではないのかなと思います。
【土肥主査】
中山委員,どうぞ。
【中山委員】
このCの文章を見ますと,知覚するというのが本文であって,括弧に本来的利用とあるわけですけれども,パロディとして著作物を使うときには,表現を知覚するような利用だと思うんです。しかし,本来的な利用かと言われると,そうではない場合もある。本来的な利用である場合もあるかもしれないが,そうではないものも多いのではないかと。したがって,本体とCの囲いの中の本来の文章と括弧の文章がちょっと違っているのではないかなという気がします。
【土肥主査】
それは先ほどもご指摘いただいたところでございますので。
大渕委員,どうぞ。
【大渕委員】
これこそまさしく先ほど言いましたCのところの気持ちないし趣旨というのを書きあらわすのが難しいというところではないかと思いまして,先ほど森田委員が言われたとおりに私も理解しておりまして,条文上どうするかという点は別として,先ほどありましたパロディとかリバースエンジニアリングというのは別途,パロディの場合には表現の自由等々に非常に絡みますし,著作者人格権も間接的に絡みまして,大変難しい論点がありまし,それからリバースエンジニアリングの場合には著作権法固有というよりは産業政策的にどう考えていくかというような色彩も出てくるので,そういうものはまたそういう点も含めて,これら全てを乗せてしまうと重くなり過ぎて動かないということもあるので,そいう特別な考慮を要するものは別に検討するということはかなりクリアに出ていたのではないかと思いますので,少なくともCを解釈した結果どうなるのかというのはまた別かもしれませんが,作る際にはそういうものでない,そういう特別の考慮を要するものでないのが念頭に置かれているわけでありまして,そういう意味では本来の利用とかというのもそういう趣旨で私は理解しておったわけであります。それが先ほど言ったところなので,その辺りはCができたら,これでパロディとフェアユースが入るという趣旨ではなかった思います。だから,まさしく,その趣旨がうまくここに書けているかに関わってきますけれども,そのような趣旨のものとして考えていくことになると思います。また,こういうものはスピード感も必要になるわけでありまして,できるものを萎縮効果を早くなくすたに一般条項として導入していこうという話ですので,いろいろご理解はあるのかもしれませんが,私は先ほどのように,森田委員と同じようにパロディ等は,別枠になっていると思っております。そして,そうであるからこそ,スコープがクリアになって,A,B,Cいう形でまとめることができたという,そういうことではないかというように思っております。
【土肥主査】
これは皆さんがおっしゃるところのパロディというものがどういうものを想定しておっしゃっておられるのかというのはもちろんあるんですけれども,いわゆる典型的な著作物の本質的な特徴をそのまま利用して,そしてしかも先ほどの山本委員からのあれから言うと,エンジョイメントですよね。著作物の鑑賞的な,そういう利用をしているわけですよね。そうすると,そうでないようなパロディというものがもしあれば,もちろんそれはまた別なんでしょうけれども,典型的ないわゆるパロディというものは少なくともワーキングチームのときの議論では入っていなかったということでございまして,それは別途考えるべきではないかというまとめ方をしておりますし,ここでもそのようにしておるところでございます。
あと23ページ以下の第4章のところ,まとめのところまで,「おわりに」の前までですけれども,23ページから28ページまで,ここについては何かございますか。先ほどリバースエンジニアリングも出てまいりましたし,幾つかご指摘あろうかと思います。
小泉委員,どうぞ。
【小泉委員】 
すみません,うっかり通り過ぎてしまって,1点言い忘れたんですけれども,22ページのところに戻ってよろしいですか。
22ページの3段目に,企業内の複製について一言言及がございまして,一般規定の権利制限の対象と位置付けることを検討すべきであるというご意見が書かれています。この点についてはワーキングチームの段階では余り深く検討は実を言うとしなかったんですけれども,ワーキングチーム報告書の40ページを後でご覧いただきますと,基本的に個別の問題だというふうに整理しております。今日配っていただいたものの22ページに戻りますと,最後のその他というところにくくり出されていて,ある種宙に浮いたような形になっています。これは中間とりまとめ以降の将来の問題として引き続き検討されていくのか,その際A,B,Cのどこかに入れ込むか,あるいはやはり個別で行くべきだから,紛らわしいので削除するのか,この場で検討する必要があるかどうか,という質問です。
【土肥主査】
池村さん,この部分説明いただけますか。
つまり,ワーキングチームでの議論の方向性としては,小泉委員がおっしゃっておられたように私も認識しておりますけれども,今回の表現ぶり……
【池村著作権調査官】
基本的にワーキングチームの方向性と同様でありまして,それに加えて法制小委でこういう意見が出ましたので,意見があったという事実を書いているという趣旨でございます。
【土肥主査】
そうですか。ありがとうございます。
23ページ以降,最後のまとめのところまでいかがでございましょうか。
中村委員,どうぞ。
【中村委員】
主に前回議論したことではあるんですけれども,28ページの最後までの間にいろいろ刑事罰との関係等もありますので,特に前回のA類型の中の写し込み,写り込みの点について,一言だけ追加させていただければと思います。
小泉先生から17ページの注にある写し込みの記載について削除されるべきではないかというご意見がありまして,私といたしましても,A類型の付随的ですとか,軽微という点について,メルクマールがうまく示せないということであれば,小泉先生のご意見は相当な説得力があるなと思っておりまして,特に刑事罰の観点から一言理由を補足させていただければと思います。
A類型で想定されているもののうち,写り込みにつきましては著作権侵害の故意がありませんので,刑事罰の適用範囲には影響しませんから,それは一つ置いておくとして,写し込みを入れるというときに,これからの話は初めて問題になるところでございますが,その場合ですと前回も申し上げたとおり,故意の要件が充足されてしまうので刑罰の範囲に入ってきて,明確性ですとか,刑罰の執行に当たって混乱が生じないかという点が非常に気になるところでございます。
そこで,写し込みを入れるというふうになったときの適用範囲とかメルクマールについて,どうもここでも意見の相違があるようですし,あるいは一般の国民の皆様方から見て,適用範囲に関する基準が本当に読み取れるのかということが気になるところでございます。
写し込みに関する場合,どういう場合に付随的なのかという点で,前回,ここに今A類型として書いているとおり,主たる目的云々というのを素直に見ればいいんだというお話もあったんですが,主たる目的としないほかの行為に伴い,付随的に生ずる云々というのを単に主たる目的かどうかだけで見てしまうというのも,それはまた非常にどうかなと思われる考え方でございまして,そうなってしまうと,では主たる目的以下の付随的云々の規定ぶりは要らなくなってしまいますし,また何をもって,質的,または量的に軽微なのかといっても,これはやはり基準があいまいと言わざるを得ず,どこまでどれだけ時間をかけて議論しても,これ以上に明確な要件というのは,あるいは難しいのかもしれませんので,明確性の原則を満たすような規定ぶりというのが難しいのではないかと思われるところであります。
そこで,明確な基準を読み取れる程度の規定ぶりにならないとなると,写し込みの場合にここでよく議論になっている萎縮効果の解消という効果は望めないのではないかと思われるところであります。また,法執行という立場から見ましても,明確な基準を読み取れない規定が設けられてしまうと,本来,A類型が想定している範囲以上に,あるいは範囲未満にといいますか,刑事罰の適用を相当限定的に行わなければならない事態にというのも心配をしているところでございますので,るる申し上げましたが,A類型を設けるといたしましても,写し込みは含まれないとする委員のご意見が妥当ではないかというふうに私としては思っておるところでございます。
今日はB,C,それから最後にAといろいろ申し上げたのですが,中間取りまとめの報告書につきましては,こうした様々な意見があったということをぜひ明記していただいて,例えばパブコメでの意見を募っていただいたり,最終的な取りまとめを行うまでに再度の企業ヒアリングを実施されるなどして真のニーズをつかまえていただいて,それをA,B,Cの作り込みの中で生かしていただければ。また,こういう場面で再度議論していただければというふうに望んでいるところでございます。
長くなりました。申しわけありません。
【土肥主査】
ありがとうございました。
これAは前回やったところでございますけれども,今おっしゃっていただいたところの写し込みの問題,これについては前回も議論があったところでございまして,付随性を何で見るかということは代替性で見るというふうに申し上げたのですけれども,それは様々議論があるところだろうと思います。
この43の注について,お二人の委員からそういうご意見がある以上は,ここは将来に委ねてはどうかなというふうに私からも提案させていただければと思います。
ほかに,後半の部分,28ページのところまでのところでご意見があれば。
大渕委員,どうぞ。
【大渕委員】
結局,この注43はこのままにして今後の議論に委ねるという,そういうご趣旨なのですか,というのがまず1点と,それから先ほどのAのこれも私前申し上げたとおりでありまして,イギリスやドイツでは少なくとも,むしろAで書いているものより,むしろ抽象的な,付随的挿入や重要でない付随物といった文言で規定しているのですが,これを更に細かく,ここにあるように書くから気になってくるようにも思われます。他方で,現行法のもとでも,こういうものを一律に今まで侵害と思っていたかというと,実質的利用がない等というほかの理由でもって否定しておりましたので,その辺りは余りそういうような今までも一般的に理解されていた帰結を明確化したというにすぎず,それをあまり変えるということではないと思います。ここでのように書くから違ってくるようにみえるだけで,むしろそこのところは先ほど社会通念云々ということを言うと,むしろ引用とどっちかはわかりませんけれども,まさしく私も先ほど小泉委員から紹介していただいたのは,むしろ私がワーキングチームで言った意見だと思いますので,一般の刑法で問題になるような自然犯的なものと違って著作権の場合には法定犯だから,自然犯的なものと同じような議論はできませんよというのは私自身言ったのですけれども,そうはいっても先ほどの実質的利用がないから現行法でも端に写っているだけのぼけたようなものは入りませんよという辺りは,法定犯とはいえ,社会通念で一定のラインが出ているのではないかと思いますので,むしろそれを萎縮効果がないように明確化しているということでありまして,そういう意味では今回,A,B,C,全てそうでしょうけれども,今回,これで創設的に作ったというより,今まで一部では,権利制限というのは制限なんだから非常に限定的に解釈すべきというご意見が有力な方によって唱えられたことは間違いないんですけれども,裁判実務等々でごく一般的にやられたものとしては大体の線は今まで出ているかと思いますので,それについて明確化を図ったという意味では余り変わらないということではないかと思います。このような意味での明確化を図っているという意識でおりましたので,ご安心くださいということだと思います。そして,できるだけそのような疑義がないように,文言等を作っていった方がいいことは間違いないので,それは今後の作業ということではないかと思っております。
【土肥主査】 
ありがとうございました。
ほかにございますか。
山本委員,どうぞ。
【山本(た)委員】
申しわけありません。先ほど中村委員からのお話の趣旨がよくつかめておりませんので。といいますのは,注43のところが写し込みの点が問題だというご指摘だと思うのですが,別にお話がありましたのは,明確性の点で例えば「軽微」であるというのは明確ではないとかというお話があったと思うのですが,あるいは「付随的」が不明確だとかという,問題があるんだとしたら,注の43を削っても削らなくても同じ問題であって,そももこのA類型が問題だという点に戻ってきてしまうと思うのですが。だから,もし43を削ってA類型を残しておくということに問題がないんであれば,A類型の読み込みとして結果的には43と同じように写し込みも場合によってはあり得るという解釈が出てきます。だから,本質的なご指摘の問題点の解決には余りならないのではないのかなと。
【土肥主査】
解釈によってそれが出てくるというのは構わないんだろうと思うんですけれども,裁判所の解釈によって。だけど,この段階において,そこを法制小委としてこの委員会全体の意見として,これが明確に入るということについてははっきりした疑問があるわけですので,それは本小委員会としてはそういう意見を受けとめたいというふうに思っているんですが。
中山委員。
【中山委員】
写し込みの方は故意だから刑法上問題があるということであるとすれば,写し込みに限らず,過失によるフェアユース以外は全部故意ですから,全部駄目になってしまうということになりかねないと思うんです。確かに,私も40年前に憲法や刑法の授業で罪刑法定主義だ,構成要件だと習いましたが,経済法の条文を見ますと,例えば著作権法の制限規定のところはもう一般条項がたくさんあります。それもやはり刑罰規定にも関係していす。したがって,他の著作権法の条文と比べて,フェアユースの規定がどの程度あいまいかということが問題なので,フェアユースの規定についてだけ刑罰があるから,写り込みは故意で駄目だということに私はならないのではないかと思うのですけれども。
【土肥主査】
それはそういうことなんですけれども,要するに写し込みについて,全て写し込みがA類型の下で救済できるのか,もちろん救済できる場合もあるんだろうと思うんですけれども。
【中山委員】
具体的な事案によってはと書いてある。全部とは書いていない。
【土肥主査】
具体的な事案によってはA類型に該当するものもある,そういうことなんですけれども。だから,そこをどう見るかという,ここをどう見るかなんですが。だから,では,私の方から申し上げるのも何なんですが,大渕委員,どうぞ。
【大渕委員】
また議論から若干混乱しかかっているかと思いますが,ここでの話は,要するに写し込みという,故意を伴うものであればそれだけでら即アウトになるというわけではないということだと思います。多分,かなりコンセンサスとなっていたのは,たまたま写り込んでいる方が付随的となりやすいでしょうが,故意があってもそれだけでは即アウトということはないということだと思います。わざわざねらっているときには付随的とはなりにくいけれども,たまたまどうしてもアングルの関係で隅に著作物が少しぼんやりと入ってしまったが,それは認識しつつも,隅に入ったものを外すことができず,やむを得ずシャッターを押してしまったという場合,故意がないかと言われると,故意はあるのでしょうが,写し込みという,故意的なものだから即アウトということはないということだと思います。むしろ小泉先生にお聞きしたいのですが,故意 があったら即アウトにすべしという強い確信に基づいておられるのでしょうか,一律アウトということが国民にとってよろしいと思っておられるのかという辺りをお伺いしたいと思います。
【小泉委員】
いや,そうは思っていませんけれども,ここではあえて注43というものをこの場で書いて後世に残しておくかという決断の問題になります。いろいろな場合があり得るということは私もよく承知しておりますけれども,A類型というものが必ずしも文言の案として余り明確性がないという指摘のある中,本邦初権利制限の一般規定というものを世に送り出すときに,やはり将来裁判で問題になったときには立法過程でどういう議論があったのかということを参照されると思うんですよね。議事録はみんな個人名付けて公表されていますので,参照されると思うんです。ところが,前回の議論うかがいますと,例えば,写し込みというものが許される理由として,当該著作物が代替性があるのか,逆に不可避なのかということについてもこの場で真っ二つに意見が分かれたりしていると。そういう非常にプリミティブなところでも合意がまだ形成されていない段階で,そのあたりを全部議論し切ってどちらかに決めないままに,しかも,まとめの後ろの方で営利性も排除しないとした中で,写し込みも入り得るというふうにここあえて示唆するのはどうでしょうか。そういう問題提起のつもりでございまして,全て入るとか,入らないとかということは当然わからない。まだ条文もわからないわけですから。
【土肥主査】
ここは私,主査の提案としては,ここは将来の裁判例に委ねたいというふうに思っておりますので,そういう形で次回,まとめたものの案をお示しして,そこでもう一度議論していただければというふうに思います。
ほかにございますか。
もしなければ,1章,2章についても,これは先ほど池村調査官から説明がございましたように,基本的に事実がここで記載されておるところでございます。こういうまとめ方でよろしいかどうかというそういうお尋ねです。
1章,2章について,ご意見がございましたら,お願いをいたします。
森田委員。
【森田委員】
1章,2章ではなくて,先ほどの23ページ以下のところでもよろしいですか。
前回,少し申し上げた23ページの2の(1)の(1)の要件の2段目に「この点」として,「具体的な要件を定めた上で,例えば,「著作物の種類,用途,利用の態様等に照らし社会通念上著作権者の利益を不当に害しない利用であること」を追加の要件とするといった方法も考えられる」と。この要件を書くかどうかというのがワーキング・グループの報告書ではA,B,Cの類型に共通する要件として書いていたと思うんですけれども,といった方法も考えられるということで,これはないものとしてA,B,Cだけを独立にというのも,むしろそちらがメインのような書き方になっているように文章としては読めるんですけれども,ここの扱いはどうなっているかというのをもう少しはっきりさせておかないと,パブリックコメントに出すときに,これはどちらの方向かというのがそもそもはっきりしないので,何に対してコメントすればいいかというのは不明確なような気がしますので,そこの位置付けを少なくとも議事録上はっきりさせておく必要があるような気がいたします。
【土肥主査】
恐縮ですけれども,森田委員は何かこの点についてご意見ございましたら,それを受けて皆さんのご意見を伺いたいと思いますので。
【森田委員】
私が前回申し上げたのは,機能的に考えると要件としては重複する部分も若干あるわけでありますけれども,やはりこのようなものを入れておいた方がよいのではないかと思います。つまり,権利制限の一般規定に対しては様々なご懸念があって,こういうものが入るか,入らないかというときに,最終的にはこういう観点から一般規定は解釈していくのだということを示すという意義があるように思います。他方で,そこはまた明確性の問題が出てくるわけでありますけれども,しかし,ここで議論しているような一般規定というのはすべてが一律に入るとか,入らないというよりは,こういった考慮に基づいて適法だとすべきものがあるのではないかという基本思想に立つものだと思いますし,また,この種の要件は現行の著作権法の中にも既にある規定でありますから,これが入ることによって不明確になるということであれば,現在の著作権法の規定自体が罪刑法定主義の観点からいって既に問題のある規定だということになりますので,その観点からこれを入れてはいけないという議論は成り立たないと思いますから,そうしますと,この種のものを入れておくというのは望ましいのではないか。いわゆるスリーステップテストのようなものを取り込むということについては,個別の権利制限規定について重ねて置くことについてはむしろ慎重であるべきだという意見が一般的ではないかと思いますけれども,このように一般規定を置いて若干対象を広げるというときには,それに対する歯止めを併せて用意をしておいた方が今後の裁判例の展開を待つ上でも適当ではないかと私は思います。そうしますと,ここでの書き方はむしろこのような要件は置かなくて,そのような趣旨ももちろん,A,B,Cの中で読み込んで解釈すれば要らないんだという考え方がメインであるようにも見えますので,その点はご議論いただいて,適切なまとめにしていただきたいと思います。
【土肥主査】
ありがとうございました。
では,中山委員,どうぞ。
【中山委員】
私も森田委員に賛成でして,A,B,Cの要件は,かなり緩く解釈しても私はいいと思っております。なるべく著作物は広く利用されるのはいいと思っているのですけれども,しかし,著作権者の利益を不当に害してはいけないという,そこが一番の根本であって,それをまず決めた上で,あとはA,B,Cの解釈だというふうに思いますので,やはりこのプリンシプルは正面に出した方がよろしいのではないかと思います。
【土肥主査】
ありがとうございました。
ほかに。
【川瀬著作物流通推進室長】
先ほどから議論になったので考えていたのですけれども,確かに不可避的というと狭過ぎる感じがしますので,例えば「……達成する過程において必要な合理的な範囲で」というような形にして,どこまでが合理性があるかというような解釈問題にするという方が個人的には妥当なような気がします。
それから,先ほど挙げられた松田委員の例では,許諾が得られない場合には廃棄をするということがありましたし,それから,今日事務局が挙げられた例でも,作成した複製物はその後廃棄することが当然に想定されているのだと思いますので,廃棄するということも,どこで読むのかというと,達成する過程で必要な範囲の利用であるから,その後複製物が残るのはその範囲を超えるので違法になってしまうというような読み方ができるような条文になっていなくてはいけないのですけれども,「不可避的に生ずる」というのは,当初利用するときの不可避性だけを問題にしていて,利用が許容される範囲の点がどうも条文上は読みにくい,つまり廃棄するというのがどの要件から出てくるのかが読みにくいという問題もあるのかなというふうに考えておりました。その辺りについても併せてここの表現を直すことによってカバーできるのではないかと個人的には思っていましたが,議論になりましたので,その点を付言させていただきたいと思います。
【土肥主査】
ほかに。
大渕委員,どうぞ。
【大渕委員】
これは前にも申し上げたとおり,本文のA,B,Cと一体となるものなので,それとの関係で,ワンセット的に考えなければいけないというところがあります。A,B,Cという本体の方で完全にクリアに書き切れればこういうものはある種要らない面があるし,また,これも合わさって内容が明確になってくるというところもあろうと思うのですが,できるだけ本文のほうでクリアーに書いた上での,安全弁的なものであると思います。本体はA,B,Cの方でできるだけクリアにしても,これは前回どなたかが言われたような,一個一個としてはAみたいなものかもしれないけれども,累積したらとんでもないことが起きるかもしれないが,それがどのようなものかは分からない,ということ等のような想定できないものに対応するような意味での安全弁的なものとして考えればいいのではないかと思います。また,これを余り前面に出すと,全く別の面から懸念があろうかと思います。A,B,Cのところに当たるとしても,ただし書きの方で不当に害するというのが広がってしまうと,例えば,写り込み的なものでも不当に害するからということで,結局は,権利制限が否定されて侵害が肯定されることになりかねないことになります。こうしたときには,Aに当たるから白だと思って行為してみたところを後からこれは不当に害するから駄目であると言われるという,ある種スリーステップテストが国内法に入った国でいろいろ懸念されているのと似たようなことも出てき得るので,ただし書きの内容についてはこれをどの程度積極的なものと位置付けるかについては,本体と一体としてよく考えてみなければいけないと思います。それで私は今まで安全弁という程度のことしか言っていないのは,この点は要するにこれだけ一個独立してあるというよりは,要するに本文の方との一体性で決まってくるかと思うので,若干歯切れが悪いところありますが,その辺りは悩ましいところがあるのではないかというように思っております。
【土肥主査】
この点,ほかにご意見ございますか。
先ほど室長説明ございましたように,またこの部分については検討させていただいて,次回にお示しするということにさせていただきます。
ほかにございますか。
森田委員。
【森田委員】
細かくて申しわけないのですが,23ページの「この点」というのが,具体的な要件の定め方としてこういう表現ぶりになるかどうかについては,なお検討の必要があるので,この部分は例示になっているというご趣旨だとしますと,先ほどのA,B,Cの方も,これも何か具体的な条文の要件として,こういう文言を使うというよりは,これも規定ぶりについては,先ほどの知覚するための利用とか,本来の利用といった辺りも含めて,どういうものを想定しているかということを明確にした上で,最終的にどういう表現を選ぶかについても今後さらに検討の必要があるという意味では同じことではないかと思います。したがって,前の方では囲みがついていると,かえってそれがひとり歩きする危惧があるのではないかと思います。後ろの方は,表現ぶりについては例示だとしますと,前の方は何かすごく重い意味を持ってきそうな気がしますので,その辺りについても何かニュアンスとして誤解を招かないような工夫をしていただければと思います。
【土肥主査】
そこは宿題にさせていただきたいと思います。
ほかにございますか。
山本委員,どうぞ。
【山本(た)委員】
18ページのB類型のところのお話なんですが,今日,冒頭松田委員の方からお話がありました点について,今さらで申しわけないんですけれども,私も松田委員が例示として挙げられました,許諾をもらうつもりで予め使う,というのもB類型に含めるような形に変えた方がいいのではないのかなと。ここで,一番重要なのは社会通念上軽微である,という枠がしっかり守られていないといけないとは思うのですけれども,その枠の中であれば,適法な著作物の利用を達成するためだけではなしに,先ほどの松田委員の例でいいますと,正当な目的,目的における正当な利用ですので,それも含めるような形で,できればB類型を広げるという考え方に賛成したいと思います。
【土肥主査】
B類型について不可避的というところにもあるところでございますけれども,適法な著作物の利用を達成する過程という意味では,恐らく松田委員のそういう想定されたものも入ってくるんではないかなというふうに思うんですけれども,過程は過程ですから,これは趣旨を踏まえて,どの程度この案文としてB類型の中に盛り込めるかは少し考えさせていただくということでございます。
【松田委員】
これは不可避的という言葉を使っていますけれども,本当にこれ以外にないという場合だけでいいのかという問題はあるので,その点についても言葉を考えていただきたいと私は思っています。
それから,A類型についても実は写し込み,写り込みしか例としてこの文面上はないわけでして,事務局と打ち合わせをして,例を1つ,2つ─1つだけですが,資料2に挙げてありますので,それも検討していただきたいと思っております。
【土肥主査】
大渕委員。
【大渕委員】
先ほどのBのところの不可避的というのは我々が念頭に置いたときはそう狭いと思っていなかったところはあるけれども,当然随伴するとかの方が抵抗感は少ないのでしょうかということで,不可避的というと,ほかは絶対にあり得ないというような意味でとられるのであれば,もう少し言葉を弱めた方がいいのかもしれませんけれども,その辺りはかなりの程度,言葉の使い方で随分イメージが違ってくるかと思います。その関係で,先ほども,最終物については許諾を得なくても,原稿を作ること自体は黙示的に許諾を得ているというところを詰めていけば,このままでもちょっと書き方がわかりにくいだけで,許諾を得たというのは,最終物について得ただけでなく,原稿作成も黙示的に得ている等のことで,いろいろもう少し工夫すれば,基本的にはこのままでさほど大幅に変えなくても,先ほど松田委員が言われたようなものも含めて拾える,要するに,黙示的に与えられた許諾の範囲ということであれば,あまりこの点を強調すると,これまた要らないのではないかという話にもなってくるのですけれども,明確化の色彩が強く,従前のものを大幅に変えているものでもないのではないかというように思いますので,それはここでの文章の書き方の問題かなという気はしております。
【土肥主査】
その書き方を問われているわけですけれども,なかなか難しいんですが。
どうぞ。
【森田委員】
先ほどから議論になったので考えていたのですけれども,確かに不可避的というと狭過ぎる感じがしますので,例えば「……達成する過程において必要な合理的な範囲で」というような形にして,どこまでが合理性があるかというような解釈問題にするという方が個人的には妥当なような気がします。
それから,先ほど挙げられた松田委員の例では,許諾が得られない場合には廃棄をするということがありましたし,それから,今日事務局が挙げられた例でも,作成した複製物はその後廃棄することが当然に想定されているのだと思いますので,廃棄するということも,どこで読むのかというと,達成する過程で必要な範囲の利用であるから,その後複製物が残るのはその範囲を超えるので違法になってしまうというような読み方ができるような条文になっていなくてはいけないのですけれども,「不可避的に生ずる」というのは,当初利用するときの不可避性だけを問題にしていて,利用が許容される範囲の点がどうも条文上は読みにくい,つまり廃棄するというのがどの要件から出てくるのかが読みにくいという問題もあるのかなというふうに考えておりました。その辺りについても併せてここの表現を直すことによってカバーできるのではないかと個人的には思っていましたが,議論になりましたので,その点を付言させていただきたいと思います。
【土肥主査】
これはワーキングチームのときにもいろいろ事務局から言われていて,目的外使用の点ですよね。ああいうところについての検討も必要ではないかということだったのですけれども,ワーキングチームの中で十分時間をとれずに今日まで来ているので,そこの辺りも今後の検討の対象になってくるだろうと思います。
できましたら,私からのお願いなんですけれども,全体を一度よく見ていただいて,次回にもう一度この法制小委にお見せをするときのまとめとして,ぜひこの部分については意見を出しておきたいという点がございましたら,1章,2章,あるいは全体を通じて意見をいただければと,そういうふうに思いますが。
よろしいですか。
前回,それから今回の法制小委の議論を事務局の方もお聞きになっておって,今後どういうふうに,次回どのように法制小委でこの問題を扱うのか,一言説明いただけますか。
【川瀬著作物流通推進室長】
前回と今回,中身に踏み込んで議論をしていただきましたので,私どもとしましては,この素案について追加の意見も含めまして,主査とご相談の上,修正,場合によっては追加をして,案を作成したいと思っております。また,その案はできる限り早くまた委員の方にメールベースですけれども,送らせていただきますので,それに対するご意見というものも事前に可能であればちょうだいいたしまして,次回に中間まとめ(案)というものを提出して,再度ご議論をしていただきたいと思います。
事務局としましては,日程等の問題もございますので,可能な限り次回でおまとめいただければありがたいと考えております。
以上でございます。
【土肥主査】
ありがとうございました。
事務局の予定としては今説明があったように考えておりますので,本日の意見,あるいは本日この法制小委が終わった後でも,もし追加的なご意見があれば,事務局の方にメール等でお出しいただいて結構でございますので,とにかくそれを受けて中間まとめをまとめさせていただきたいというふうに思っております。そこでもう一度議論をさせていただいて,法制小委としての考え方を固めたいと,こういうふうに思います。
どうぞ,中村委員。
【中村委員】
細かい点で恐縮なんですが,この修正案だけではなくて,今回と前回の各意見のご意見というよりは,そのままいつも何かいただけますよね,速記録みたいな。ちょっと前回分がまだ来ていないようでしたので,前回と今回分の速記録といいますか,それも併せていただいて,修正案とともに検討させていただいて,意見があれば事実上またご連絡する,そういう相当な期間を設けていただいて,次回のこうした協議日を設けていただければと,これはお願いなんですが,よろしくお願いいたします。
【川瀬著作物流通推進室長】
速記録につきましては,可能な限り早目に送らせていただきたいと思います。
【土肥主査】
今回のものよりも,前回のがありますよね。前回のものと─前回のものがまだ回っていないんですよね。まだ回っていないので,前回のものを早目にしていただいて,今回のものも恐縮ですけれども,早目に出していただければというふうに思います。
ほかにご発言ございますか。
よろしゅうございますか。
それでは本日の議論を踏まえまして,次回に中間まとめの素案を出させていただく,こう考えております。
本日は,これで法制問題小委員会を終わらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
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