(平成23年第4回)議事録

1.日時

平成23年9月21日(水) 10:00~ 12:00

2.場所

旧文部省庁舎 6階 第二講堂

3 出席者

(委員) 上野,大渕,小泉,末吉,多賀谷,茶園,道垣内,土肥,松田,山本(たかし)の各委員
(文化庁) 芝田文化庁長官官房審議官,永山著作権課長ほか関係者

4 議事次第

  1. 1 開会
  2. 2 議事
    1. (1)「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」における検討状況について
    2. (2)著作権法第30条について
    3. (3)その他
  3. 3 閉会

5 配布資料一覧

資料1-1 「デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方に関する事項」に係るまとめ概要 (224KB)
資料1-2 「デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方に関する事項」に係るまとめ (92KB)
資料2 松田委員ご提出資料 (496KB)
資料3-1 法制問題小委員会(第2回・第3回)ヒアリング対象団体 (496KB)
資料3-2 著作権法第30条に係る論点の整理 (496KB)

6 議事内容

【土肥主査】  それでは,定刻でございますので,ただいまから文化審議会著作権分科会法制問題小委員会の第4回を開催いたします。本日は,ご多忙の中,ご出席いただきましてまことにありがとうございます。
 議事に入ります前に,本日の会議の公開につきましては,予定されている議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないと思われますので,既に傍聴者の方には入場をしていただいているところでございますけれども,特にご異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【土肥主査】  それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
 それでは,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【壹貫田著作権課課長補佐】  それでは,配付資料の確認をいたします。
 お手元の次第の下半分をごらんください。まず,電子書籍に関するものといたしまして,資料1-1及び1-2といたしまして,「デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方に関する事項」の概要とそのまとめ,資料2といたしまして,松田委員からご提出いただいております資料を配付しております。次に,法第30条に関するものといたしまして,資料3-1としてヒアリング対象団体の一覧,資料3-2として,ヒアリングを受けて作成いたしました,第30条に係る論点の整理を配付しております。
 配付資料は以上でございます。落丁等ございます場合には,お近くの事務局員までお声がけください。

【土肥主査】  それでは議事に入りますけれども,初めに,議事の段取りについて確認しておきたいと存じます。
 本日の議事は,(1)「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」における検討状況について,(2)著作権法第30条に係る論点の整理について,(3)その他,このようになっております。
 (1)につきましては,先般,電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議におきまして,検討事項の1つでございます,「デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方に関する事項」について取りまとめがなされたものと聞いております。その中には,国会図書館による公共サービスの円滑な実施のため,著作権法の見直しによる対応が求められる点も含まれているようでございますので,本日はこうした点を中心にご議論をいただければと思います。
 その後,(2)につきましては,前回及び前々回の本小委員会で行われました関係団体からの著作権法第30条に係るヒアリングの結果を踏まえ,事務局で論点を整理しておりますので,その点についてのご紹介をちょうだいした後,自由に意見を交換してまいりたいと思っております。そのような段取りで進めたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 まず,電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議における検討状況について,特に,先ほど触れましたが,「デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方に関する事項」について,事務局から説明をいただきたいと存じます。

【鈴木著作物流通推進室室長補佐】  それでは,説明をさせていただきたいと思います。
 今ご紹介いただきました,「デジタル・ネットワーク社会における図書館と公共サービスの在り方に関する事項」につきましては,5月11日に開催されました法制問題小委員会におきまして,「議論の整理」として検討会議において了承されたものをご報告させていただいたところでございます。
 8月26日に開催されました検討会議におきまして,特に国立国会図書館のデジタル化資料の利活用につきましては,早期の実現が期待されているというところから,この検討事項におきまして取りまとめ最終案を確定した後,その内容を受け,各関係者間における実現に向けた検討が進められることを願うという形で取りまとめをされたところでございます。
 今回はその内容を報告させていただくとともに,その中には,著作権法改正に関します内容につきまして了承されるものがございますので,その部分におきまして,中心にご議論いただければと思います。
 まず,資料1-1をごらんいただきたいと思います。まとめ概要としております1枚ペーパーでございます。ここでまとめられました内容について,概略を説明させていただきたいと思います。
 電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議におきます主要課題としまして,国立国会図書館のデジタル化資料の活用方策が上げられておりまして,それにつきまして早期の実現が求められているところでございます。
 論点としましては大きく3点ございます。国立国会図書館からの送信サービスの実施,国立国会図書館の蔵書を対象とした検索サービスの実施,3点目が,デジタル化資料の民間事業者等への提供についてでございます。
 まず,国立国会図書館からの送信サービスの実施でございますけれども,国民の利便性の向上を図るためという観点からは,各家庭までの送信を目標とするということでございますけれども,そのためには各種の課題が多いというところから,第1段階として,国立国会図書館から地域の公立図書館などへデータを送信し,図書館などで利用者がアクセスできる環境を整備することが重要であろうという方向性が整理されているところでございます。
 送信サービスの具体的なあり方といたしましては,電子書籍市場の形成,発展の阻害や著作者,出版者の利益を不当に害することのないよう留意する必要があり,利用方法や対象出版物については一定の制限を課すことが適当とされているところでございます。利用方法としましては,画像データの閲覧のみとして,プリントアウトなどの複製は認めない。対象の出版物といたしましては,市場における入手が困難な出版物を対象とするという形で整理をされているところでございます。
 そして,そのような内容が法令により担保されるということであれば,権利制限規定の創設による実現が適当であろうという方向性が整理されているところでございます。
 また,検索サービスの実施に当たりましては,検索結果の表示方法についてさまざまな方法が考えられるわけですけれども,その具体的な内容については,まず,関係者間の協議を進めていくことが必要であると整理をされているところです。
 デジタル化資料の民間事業者等への提供につきましては,有償サービスの限定的,実験的な事業の実施なども検討し,その実現に向けて検討を進めていくことが必要であるという形で整理されているところです。
 もう少し具体的な内容につきまして,ご説明をさせていただきたいと思います。資料1-2の3ページ目から説明をさせていただきたいと思います。
 3ページ目の中ごろ,国立国会図書館からの送信先などを限定した上で,送信サービスの実施についてでございます。先ほども申し上げましたが,各家庭まで配信することが利便性としては一番高いということでございますけれども,その際の具体的条件や契約書,さらには集中管理機構の必要性などが課題として上がってきているというところから,早期の実現を目指すということになりますと,一定の送信先,利用方法,対象出版物を限定した上で,送信サービスの実施,実現を考えていく必要があるのではないかという形で議論が進められたところでございます。
 まず1点目,国立国会図書館からの送信先の限定についてでございます。第1といたしまして,地域の公立図書館につきましては,情報管理に係る一定の体制が整備されているという観点なども含めまして,アクセスポイントとして設定することは有益であるという形で整理されております。
 3ページ目の下から2番目のマルのところでございますが,大学図書館のような教育・研究機関の図書館におきましても,国立国会図書館にしかない希少な出版物を用いた研究が可能になるなど,その利点は大きく,受け手として考えられるべきであるというご意見がございました。そのほかにも,学校図書館においても対象とすべきではないかというご意見もあったところでございます。
 3ページ目の最後のマルのところですけれども,また,図書館法2条に定められております私立図書館など,公立図書館,大学図書館,それ以外の各種の図書館におきましては,設置趣旨や目的に相違点なども存在するというところから,すべての図書館を一律に同等とみなすことは適切ではないと思われるというところから,具体的に送信先を定める際には,著作権法31条の適用がある――これは複製サービスが認められている図書館ということになるわけですけれども――図書館の定義などを参照した上で整理することが必要であると整理されたところでございます。
 続きまして,利用方法の制限としましては,ポイントとしまして,送信先におけるプリントアウトなどの複製をどう考えるのか。もう1点は,国立国会図書館における所蔵冊数を超える同時間覧を制限するかどうかというポイントが,2つございます。
 これにつきましては,マル2の3番目のマルをごらんいただければと思います。プリントアウトなどの複製につきましては,送信先において無制限に複製物が作成される事態につながる可能性もあり,当面の間は認めないものとして整理すべきであると考えられる。同時閲覧に係る制限につきましては,デジタル化の利点を十分に生かす必要があるなどのご意見,さらには送信先や対象出版物を制限するというところの観点から,特段の制限をしないということが適当であるという形で整理をされたところでございます。
 送信サービスに係る対象出版物の限定といたしましては,前提としまして,電子書籍市場の形成,発展の阻害や著作者,出版者の利益を不当に害さないよう留意するということとしております。ですので,対象といたしましては,相当期間重版していないものですとか,あとは電子書籍として配信されていないなど,一般にその出版物の存在の確認が困難である,または入手が困難な出版物とすることが適当であると考えられると整理されたところです。
 具体的にその範囲を定めるに当たりましては,著作権法31条1項3号に規定されています「入手することが困難な図書館資料」に係る考え方を参照した上で整理することが必要であると考えられると整理されたところでございます。
 5ページ目をごらんいただきたいと思います。マル4,著作権法上の対応についてということです。
 2番目のマルをごらんいただきたいと思います。送信サービスが公共的な情報に係るインフラとしての性格を有すること,さらには,利用者からサービスに係る対価を徴収しないということが前提とされていること,さらには,著作者,出版者などの利益を不当に害するものではないということで整理されていることを踏まえますと,この送信サービスに当たりましては,著作権者などへの対価を支払うことの必要性は高くないという形で,ここも整理をされているところでございます。
 その下のマルといたしまして,送信先や利用方法,対象出版物の限定などの示されている内容が法令により適切に担保されるのであれば,権利制限規定の創設により対応することが適当であると考えられるという形でまとめられたところでございます。
 また,1つ飛んで,マル4の一番最後のマルのところですけれども,制限規定の具体的な規定ぶりについては,国際条約との関係にも留意した上で別途検討されることが必要であるとともに,法令の実際上の運用に当たっては,送信サービスの利用方法や対象出版物に係る基準などの整備について関係者間による協議が行われることが必要であると整理されているところでございます。
 最後に,1つ上のマルのところをごらんいただければと思います。「さらに」ということで,権利が制限された場合におきましても,著作権者等の求めがあった場合には当該出版物,対象出版物につきまして,送信サービスの対象から除外する方式を導入することなども,要件,手続について整理が必要であるという形で整理されたところでございます。
 以上が,国会図書館からの送信サービスの整理の内容でございます。
 もう一枚おめくりいただきたいと思います。6ページ目で,国会図書館の蔵書を対象とした検索サービスについてです。
 本文検索サービスの実施について,こういった利活用の方法も求められているところでございますし,検討会議におきましても,本文検索サービスの提供は必要であると考えられているところでございます。
 中ほど,(2)のマル1,テキスト化の方法についてです。現在,国立国会図書館は,画像ファイルにおきまして所蔵資料のデジタル化を進めているところですので,本文検索サービスを実施するに当たっては,所蔵資料をテキスト化する必要が生じるというところになるわけです。
 次のマルのところですけれども,画像ファイル形式をOCRなどにより処理してテキスト化する行為,さらには,テキスト化されたデータを検索するために利用する行為につきまして,著作権法上のどのような評価がされるのかというところにつきましては整理が必要であるというところでございますけれども,本文検索を実施するために書籍等の本文を利用するためだけのテキスト化であれば,著作者,出版者の利益を不当に害することにはならないと考えられると整理されているところです。
 2点目,検索結果の表示についてでございます。2番目のマルをごらんいただければと思いますが,検索された結果をどのように表示するのか。書誌事項だけであれば特段の著作権法上の問題は生じないということになるわけですけれども,例えば数行程度のスニペット表示を実施するに当たっては,利便性は高いものの著作物の利用となる可能性があり,著作権法上の取り扱いについての検討が必要であるとされているところでございます。
 1枚めくっていただきまして,7ページ目をごらんいただければと思います。表示方法につきましては,まず,表示方法をどのように行うのかという整理も当然必要となるわけですけれども,本文検索サービスの具体的なあり方も含め,まず,関係者間におけます合意形成を図ることが重要であると考えられる。その後,制度改正の必要性などに当たりましては,関係者間の協議結果を踏まえた上で,別途検討されることが必要であるという形で整理されているところでございます。
 3点目,デジタル化資料の民間事業者等への提供についてでございます。国立国会図書館がデジタル化いたしました所蔵資料のデータにつきまして,それを民間事業者の求めに応じて,民間ベースで書籍化を進めていくということについて,国立国会図書館が対応していくということについては重要であろうということで合意がなされているところでございます。提供の具体的な方法や仕組みにつきましては,国立国会図書館における適切な仕組みを定めた上で実施されるべきであろうと考えられるという形で整理されているところでございます。
 (2)提供のための環境整備といたしましては,7ページ目の一番最後のマルでございますけれども,デジタル化資料の提供に係る環境整備のための関係者間における協議の場を文化庁が設置することや,事業に意欲のある関係者における有償配信サービスの限定的,実験的な事業の実施なども検討することが必要であるという形で整理されているところでございます。
 以上,国立国会図書館のデジタル化資料の活用の部分を中心に説明させていただきましたが,この内容につきまして,この場でご議論いただければと思っております。以上でございます。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまご説明があった部分について,ご質問,ご意見を含めてお考えをちょうだいしたいと思いますけれども,いかがでしょうか。
 検討会議でのまとめというのは,大きく分けると3つあるわけですけれども,つまり,国会図書館からの送信サービスの実施という問題,検索サービスの問題,デジタル化した資料の民間事業者への提供の問題,3つあるわけでございますけれども,本日のところは,1番目の国会図書館から公共図書館へ,ということでしょうか。地域の公立図書館への送信サービスの実施の問題を中心に議論したいと思っております。
 その問題の場合,送信先の問題,利用方法の問題,対象出版物の問題,3つ紹介がございましたけれども,その3つの問題について分けて議論していくということもあり得るかもしれませんが,時間の関係,それから,相互に密接に関連するかと思いますので,まとめて議論していければと思います。
 いかがでございましょうか。どうぞ。

【松田委員】  松田です。公立図書館にデータを送信して,その利用を閲覧のみに限定するということで,この対象が,市場における入手が困難な出版物に限定しようということになっております。立法的にはかなり難しいのではないかと思います。予想するに,市場における入手の困難というのを1点ずつ,かかる困難性があるかどうかを認定することはおそらく難しい。
 そこで多分,公立図書館と著者,出版者の団体等が話し合いをして,こういう要件で一律に入手困難ということで,とりあえずデータ処理をして,その範囲内で公立図書館に閲覧のみの提供をしようじゃないかということになっていくのではないかと思うのです。すなわち,法律ができるとともに,団体間の協議によって一定の範囲内のものを提供していくという実務になるのではないかと私は勝手に想像しているんですが,そういうことを既に検討しているのでしょうか。それとも,ほぼ具体的に入手が困難な出版物であるという認定方法を,何かほかにとる方法があるのでしょうか。

【鈴木著作物流通推進室室長補佐】  まず,入手困難な出版物をどのように定義づけをするのかというところにつきましては,検討会議におきましても,具体的な方策とか,例えば何年までというところの基準が明確に示されているものではございません。
 ですので,仮に今後,立法作業をしていく上で,どのような立法上の整理ができるのかどうなのかということは検討していく必要があるかと思っておりますが,あわせまして,国立国会図書館,さらには著作者,出版者の団体において,実際どのような形で運用していくのかという協議の場を設置して,そこで検討していくという方向性につきましても,関係者間で了解されているところかと思っておりますので,そこの中で,具体的な実務上の整備をされていくことになるかと考えております。

【松田委員】  ということは,これから具体的な方策を団体間で話し合っていくことになるということのご説明です。それとの関係で,資料1-2の5ページにあります真ん中辺のマルですが,制限規定を置いた上で,送信対象となる著作物を,権利者の求めがあった場合には送信サービスから除外するというのは,この部分についても当てはまることなんだろうと思うんですが,そういう理解でいいでしょうか。
 言ってみますと,大きく括っておく方法を何か考えて,そして公立図書館に閲覧を提供する。しかし,個別の権利者が,やっぱりそれはやめてほしいなという要望を上げたときに,そのデータを外す。言ってみますと,グーグルでいうオプトアウトみたいな状況をつくろうとしているかのように見えるんですが,そういう理解でよろしいでしょうか。

【鈴木著作物流通推進室室長補佐】  はい。松田委員のおっしゃられたとおりのことをここで想定しているところでございます。具体的にどのような内容で,どういう仕組みで対応していくのかということにつきましても,関係者間なりの協議,そのあたりで整理がされていくものと考えております。

【土肥主査】  今の点に関して,31条1項3号の現在の運用というのはどんなものでしょうか。つまり,一般に入手することが困難な図書館資料ということで,既に規定があって,31条1項3号の規定で運用が行われているんじゃないかと思うんですけれども,そこではどういうものになっていますか。

【鈴木著作物流通推進室室長補佐】  そこのポイントにつきましては,法律の解釈上,入手困難という場合は,どこまでの探索をした上で,入手ができないということを確認することを想定しているという部分で,解釈上の線は示されているところかと思っておりますけれども,ただ,具体的に,他の図書館がどのような形で実施したかという状況は,把握しておりません。

【永山著作権課長】  若干補足させていただきますと,今,主査のほうからご指摘のありました31条1項3号については,今回検討している公共図書館への方針の関係とは若干違う側面があります。現行の31条1項3号については,要は,対象が非常に特定され,この本について他の図書館で利用したいというときの,要するに個別の判断を求められる場面ですので,その都度,それが一般に入手することが困難かどうかという判断を個別に行われることになります。
 ただ,今回の公共サービス,今回の検討会議での検討の内容については,もう少し包括的に,当然,国会図書館のデータを公共図書館で閲覧可能にするかどうかという判断になりますので,それとは少し場面が違います。現状の31条1項3号については,要するに個別の問題で個別に対応していますが,今回の公共サービス,公共図書館への送信については一定程度の基準を設ける必要があると思っていまして,そうしたら実務が動かなくなりますので,それを今,具体的には最終的にどこまで,すべてをクリアにできることはなかなか難しいと思いますが,一定程度の基準を設けて,それに基づいて運用していく。それついて,詳細についてはこれからまた関係者間で協議をしていきたいということでございます。
 そのときの立法のスタイルとして,どこまで書くのか。それについては,今,主査からご指摘のありました31条1項3号のような書き方もありますし,選択肢としては,もう少し具体的に法令の段階で書き込んでいく。その選択肢はあると思っていますが,それはまた今後,立法化に当たって検討していきたいと思っています。以上です。

【土肥主査】  国会図書館の持っている図書館資料の31条1項3号の運用ということは,今回の問題にもつながるのではないかと思ったわけですけれども。

【永山著作権課長】  個別の判断ということですので,明確な基準はないというふうに記憶しておりますが,ただ,今回の場合は,ある程度の判断基準というものは明確にしておく必要はあるんだろうと思っています。

【土肥主査】  ほかにご質問,ご意見ございましたら。どうぞ,大渕委員。

【大渕主査代理】  今,出ておりました関係なのですが,今のご説明のように,これを実際に行う際には,個別のことでなくて,一定の基準を使わなければならないというのはおっしゃるとおりだと思うのですが,その際に,中身としては,あくまで個別の判断が集積されるということも大量に行われるのだから,今までのようにばらばらにやるのではなくて,一定の基準を設けたほうがいいということなのか,実質自体が変わるのかというあたりはどうなのでしょうか。最終的には,1冊の本がマーケットで入手困難かどうかという判断である点については変わらないのだけれども,今までは単発的に起きていたのが,今度はもっと,送信というものの性質上,最初に決めて包括的に行うから,そういう意味では個別判断が累積されるような形だけれども,大量に行われるのだからきちんとルールを決めてやっていくということでしょうか。
 そうなると,今後は,そのようなルールがせっかくできれば,現行の複製サービスについても同じようなことが及んでいくのかというあたりも関係してくるかと思いますが,そのあたりはもう少し整理しておいたほうがいいかと思います。この論点だけでなくて,また,現行法の今後の運用のところにもかかわってくることもあるのではないかと思います。
 それと違いがあるとすれば,先ほど松田委員がご指摘されたとおり,嫌であればオプトアウトすればよいという,また別のところも入ってくるので,そういう意味では,先ほど言われたように,ざくっとやっておいて,あとは最後,オプトアウトで処理するというあたりで,非常に現行法が参考になる反面,若干違いがあったりして,実際運用していく際にはいろいろ出てくるのではないかと思います。

【土肥主査】  今のご意見で状況が見えてきたんですけれども,大渕委員のご意見の中には,利用方法についても含まれておりました。今回の説明では,利用方法としては複製を含まずということでご説明があったのかなと思うんですが,このあたりは非常に重要なことだと思うんですけれども,いかがでございましょうか。松田委員。

【松田委員】  このまとめを前段,後段で見ますと,国会図書館が担うべき役割というのは,公立図書館におけるデータの送信はほんの一部でございまして,家庭までの送信を目標にしているということまで書かれています。それから,国会図書館のアーカイブを事業者にも提供していいのではないかということも書かれております。これは全く公立図書館の利用とは違って,もっともっと大きな,言ってみればナショナルアーカイブを日本国中で使えるようにしようよねと,これは私,大賛成なんですけれども,そういう構想が描かれているように思うのであります。
 その状況の中で,とりあえず,レジュメにもあります,第1段階として公立図書館等へのデータの送信を可能にしようということを提言しておりまして,そのためには,先ほどの理想的な姿の前ですから,制限的に行う。入手困難な範囲内の出版物に目的を限定して,出版物を限定して,なおかつ複製はやらせない,こういうふうにしているわけですね。だから,制限規定でつくってもいいではないかという考え方にのっとっていると思います。
 それはそれなりに,ここで切るといいますか,この段階で切るということで制度を一度つくるということであれば,それはそれで私,一つの考え方としていいのではないかとも思うのでありますが,そうなると,もし理想的な姿になりつつあったときに,公共図書館がどうなるのだろうかということも考えてみなければいけないのではないかと思うわけです。
 というのは,公共図書館,公立図書館がもっと対象を広げる,もっとサービスを提供する。それはそうでしょう。だって,家庭まで送信を目標とするんですから,公共の図書館がもっとできるのは当たり前のことですよね。だとしたら,この範囲をもっと越えていくわけです。そのときに,現段階の制度設計を一応しておきますけれども,それもさらに修正して対象を広げる,閲覧だけでなくて複製も認める,こういうことまで拡大していくときに,公共図書館は当然そういうものを担うんだということを想定されているんだろうと思います。そういう考え方でよろしいでしょうかということです。それが1点。
 現段階の制限規定は何かというと,複製しませんので,公共図書館,公立図書館に対する自動公衆送信権の制限規定を入れるのと,閲覧はしますから,上映権の制限規定を設ける。この2つの制限規定で,とりあえず現段階は済むのかなと,こういうふうに思っておりますが,そういう理解でよろしいでしょうか。

【山中著作物流通推進室長】  松田委員が今おっしゃっていたようなことでございまして,まず,検討会議のほうでは,理想形としては,先生おっしゃっていたような形として上げているんですけれども,実際には集中管理機構が必要であったり,契約その他の問題,詰めることがいろいろあって早急にできるような話ではないということなので,第1段階として,権利者等の利益を不当に害しない範囲で権利を制限することでの対応という形で取りまとめが行われているということでございます。
 現在,図書館につきましては,一部の図書館で,試験的に電子図書館的な形でユーザーとの間に,契約に基づいて図書館資料を各家庭に送信するようなことも若干行われているところがございますので,今後,公共図書館自体のサービスのあり方というものに関しては,そういったことが発展していくのではないかと予想されるところではございます。
 それと,あくまでも今回の提言のほうが,プリントアウトを認めないということになっておりますので,当然,公衆送信権についての制限ということと,あと上映権の制限につきましては,当然制限する形になるかとは思いますけれども,そこは,現在の非営利無料の上映とかそういった制限規定との関係もございますので,その辺のところをしっかりと詰めていくことになるのではないかなと思っております。

【松田委員】  そうすると,上映権については38条で対処できている部分があるということになるんですか。

【永山著作権課長】  法制的な取り扱いについてはこれから整理したいと思いますが,この問題は上映権なのか,それとも公衆送信を受けての伝達なのか,そこら辺も含めて,こういうことが可能なように,法制的な手当てはしていきたいと思っております。

【松田委員】  いいと思います。

【大渕主査代理】  ちょっと気になったのですが,今,課長さんが言われたところもかかわるのですけれども,公衆送信されてきたものについて上映的なことをするのであれば,現在の法制だと上映の対象から外しているので,そのまま来たものについてであれば,上映権はあまり関係ないのではないかと思います。公衆送信されたものを,ずっとためておいてやったりすれば別ですけれども,その辺はまた実際やる際に,具体化する際には出てくる話なのですが。
 それより気になったのは,今回のはおそらく,利便性としてはプリントアウトなどできたほうがいいけれども,そうすると,また時間がかかって,いろいろ協議等も必要になってくることとなります。せっかくの知の拡大に当たっては,スピード感というものが重要なので,現実的にできるものからやっていくということが重要だと思います。閲覧ということまではいっているのですが,先ほどのご趣旨というのは,これはこれでいいけれども,もっと先に進めるという,そういう趣旨なのでしょうか。

【松田委員】  そうですね。その点だけで私の考えを言うよりは,実は私,ペーパーを出しておりますから,もしお時間をちょうだいできれば,これに沿って説明させていただけないかなと。そのときに,公立ないしは公共図書館がこれからやるべきことの範囲を考えられるのではないかなと思いますが,お許し願えないかなと思っております。

【土肥主査】  わかりました。それでは,どのぐらいの時間が必要でしょうか。

【松田委員】  5分から10分の間までかかると思います。

【土肥主査】  本日,検討に与えられている時間が全体で1時間ぐらいなんですけれども……。

【道垣内委員】  そのお話の前に……。

【土肥主査】  では,道垣内委員,どうぞ。

【道垣内委員】  国際私法の観点から,外国との関係が気になります。第1段階では国会図書館から国内の公共図書館に送るんでしょうが,これは専用回線を引くということでは多分ないでしょう。インターネット等の公衆回線を使って情報を暗号化して,アクセス可能な特別の方法をとる(簡単なID,パスワードでは多分ないでしょうが)のだと思いますしかし,それでも世界中から,暗号を破れば,実はアクセス可能になっているのではないしょうか。
 そのような状態について何法が適用されるのか。日本で丁寧につくり込んで,大丈夫ですといっても,例えば中国なりアメリカから見れば,それらの国からもアクセス可能な状態になっているとすれば,それぞれの国の著作権法が適用されることになるのか,ならないのかというあたりについて気になります。といいますのは,これと逆のことが起こる可能性があるからです。日本でいろいろ気を使って丁寧につくり込んでも,外国から同じようなことをしてくるかもしれないわけです。そのような場合,日本から抽象的にはアクセス可能な状態になっていても,それは構わないというふうに整理するのか,いや,それは困るというのか,という問題です。日本では今度の国会図書館の措置だけを可能にするような丁寧な法改正をして,その枠内だけで書籍情報を広く資産として使えるようにしているのに,その条件とは違う条件で,外国からそのようなサービスが提供されるのは困るというのかどうかです。
 この話は,国会図書館から公共図書館だけに向けた送信の段階ではそれほど顕在化しないんですが,家庭への配信をするという次の段階になった場合にはすごく大きな問題になるので,そのあたりのことをどのように整理されているのかを伺いたいと思います。

【土肥主査】  事務局から,今のご質問,いかがでしょうか。

【永山著作権課長】  今,検討している範囲は,どういう技術によってそういう形を実現するかはこれからですが,具体的には,国内の図書館,これは公共図書館に限らず,図書館法による図書館のある部分については,そういう図書館に限定をして国会図書館のデータにアクセスできる,そういう仕組みを考えていますので,国外の図書館ないし国外の個人からアクセスできるような仕組みをとることは,今回の検討の中では想定には置いていない。国内の図書館に限定された利用,それをどう技術的に担保していくかというのはこれからの議論ですが,そういうものを想定した範囲での検討会議での検討内容ということですので,外国からのアクセスということを想定した議論は行っていません。

【土肥主査】  公共図書館の中の端末でのみ見られるということですか。そういうことですね。

【永山著作権課長】  はい。

【多賀谷委員】  基本的に,この手のシステムの場合に,公衆回線でパスワードでやるというのは,セキュリティー上,私はあり得ないと思います。多分,国会図書館と図書館の間を,公衆回線を使うけれども,バーチャルプライベートネットワーク(VPN)という,ある種の専用サービスでもって閉じた回線にすることは,どうしても求められると思います。専用の線を引くんじゃなくて,VPNのレベルで。
 ただし,先ほどおっしゃったように,一般家庭に対して,提供するという場合には,そう簡単にはできませんので,それは一つのネックになると思います。

【土肥主査】  その場合も,どこからでもアクセス可能ということになる。

【多賀谷委員】  VPNにならないと。VPNはちょっと高いですから,一般家庭との間は困難だと。

【土肥主査】  今回の検討が,要するに,将来の各家庭までという先を見越しての第1段階なのか,そのこととは別に,情報アクセスへの地域間格差をなくす必要性のためにやるんだということなのか,私は後者かなと思っていたんですけれども,つまり,そこから先はまた別途考えるというか,そういう認識でいたものですから,すぐに,例えばアーカイブ化による全文検索の問題とか,あるいはコンテンツの提供というような問題は別の問題かなと思っていたんですけれども,事務局の説明は一貫して前者のほうの説明であったかなと思いますし,それから,まとめの概要もそういうトーンで書かれておりますので,先ほど,松田委員,ご要望がございましたが。
 その前に,道垣内委員。

【道垣内委員】  追加の質問ですが,検索サービスのほうはどうなんですか。これも図書館からしか検索できないんですか。それとも,家庭からできるんですか。

【永山著作権課長】  家庭からでもできるようなことを今,検討しています。

【道垣内委員】  その場合ですが,日本でスニペット表示であればいいだろうということにした場合,それはしかし,外国からもアクセス可能ということです。そのような状態は困るという国もあるかもしれません。先ほどと同じ話なんですけれども,ドメスチックだけ物事を考えていると,逆の場合に対応できないおそれがあるということです。

【土肥主査】  いかがですか,今のご質問は。

【永山著作権課長】  ご指摘の点について,今,そもそもスニペット表示をするのがいいのかどうか,頻度だけに限定すべきかどうかという議論もありますので,道垣内先生からご指摘の点も含めて,検討したいと思います。

【土肥主査】  わかりました。
 では,松田委員,どうぞ。

【松田委員】  ありがとうございます。短目に済むようにいたします。
 国立国会図書館がアーカイブをつくることの本来の考え方,よって立つところは何かというと,私は,書籍は文芸・学術部門の知的源泉である。これは産業にも,文化にも,国家のアイデンティティーを形成するものでもある。これを,日本アーカイブをつくることによって守ることといいますか,保護すること,基盤をつくることは国の責任だろうと思っております。ですから,それを促進してもらいたい。
 あわせて,国立国会図書館がアーカイブを構成したときにおいては,先ほど,まとめでも示されていたように,民間の利用,それから国民1人1人の利用が可能になるようなシステムを構築するところの方向性を目的としてもらいたいと思っています。この点は全く同じ意見を持っております。
 この間,総務省や経済産業省でも,アーカイブと書籍流通の件について,かなりの議論がなされていると思います。そこで共通するところは,書籍に関する著作権の権利処理の円滑化を図るために,権利の集中管理が必要であることが示されています。
 2番目,デジタル・ネットワーク社会における出版社の機能を維持し発展させるためには,出版社に著作隣接権的な版面保護の付与が必要であるならば,これを真正面切って考えなければならない。
 3番目,国立国会図書館をはじめとする公共図書館のデジタル・ネットワーク社会における公共サービスの在り方については,社会的コンセンサスを確立しつつ著作者と出版社との合意を形成して,公共サービスとこれらの出版関係者との利益のバランスを考えなければならないということが指摘されています。
 いずれもこれらについては,最終的な目標を達成するような方向を示すことでありますけれども,現段階では直接,今のような問題はないと思います。
 意見の1,日本がとるべき施策は何かということでありますが,これは10項目に分けて書いてありますけれども,結局は,国立国会図書館のアーカイブの確立と,できれば書籍テキストをテキストデータ化する。
 このためには,意見2,著作権法上の問題ではありませんが,電子納本制度を確立しなければならないのではないかと考えております。
 3番目は,国会図書館における検索,閲覧,コピーサービス――これは現行法の31条1項1号に該当するコピーサービスです――を行う。それから,館内LAN,本館と分館の送信システム,これを構築することにあるかと思います。
 4番目,公共図書館での利用,これは自動公衆送信権にかかわってくるわけでありますけれども,公共図書館にない図書がアーカイブから閲覧ができる。ないしは,その先においては複製もできる場合もあるかもしれないわけでありますから,そうなると,著作者・出版社の利益を害することが予想されるのです。適正な対価の支払いをもって,この施策を講ずるように考えなければならないのです。
 公共図書館において,全文検索システムを国民に提供すべきだろうと思っております。
 障害者のアクセスを可能にすべきだろうと思っています。
 検索の結果を民間に提供するということも,商用サービスの一つとして行われる場合に備えて,これも可とするべきではないかと考えております。
 アーカイブを備える書籍データそのものを,民間が行う商用サービスに提供することも考えるべきではないかと思っております。もちろんこの場合においては,業者はオープンにしなければならない。参入はオープンしなければならないと思います。
 このようなことを構築するということになりますと,権利管理事業者その他の機関が必要になると思います。有料の公共サービスと商用サービスとを権利管理事業者が権利管理をするということが必要になるのではないかと思います。これはもちろん国会図書館内においてそういう組織をつくるべきだろうと思っています。
 管理事業者を構築することを,提供が必要だということを考えるわけです。
 この10までの考えは,実はかなりのところ,資料のまとめを読んでみますと,国会図書館が担うべき役割というところで書かれているところと符合すると思っております。ですから,結論的に言いますと,第1の国会図書館が担うべき役割についての記述については,私はこのまとめに賛成する意見です。
 次に,具体的に,今回のデジタル・ネットワーク社会における図書館の公共サービスのあり方についてのまとめにおける部分について意見を述べたいと思います。
 私の意見は,公立図書館の役割について書かれている文について,3つの意見を持っています。
 1番目,公立図書館に限定せずに,公共図書館,もう少し広げてアーカイブの利用を検討すべきではないかと思っております。
 それから,公共図書館における利用の範囲は,検索にとどまらず閲覧と一部コピーも可能にすべきではないかと考えております。検索につきましては,おそらく制限規定的な対象は要らないわけですから,当然,アーカイブにアクセスして検索をして,その後の閲覧まで可能にしようというふうに,まとめは考えているようでありますが,その先に,一部コピーぐらいまでは可能にすることが適当ではないかと思っております。
 それは単純なことでありまして,閲覧をした後,閲覧者は,当該図書館で何らかの情報を取得して持ち帰ることはできないわけです,目で見ているだけですから。そうすると,どうするかというと,入手困難な書籍をどこで入手するかというと,国立国会図書館に行かざるを得ないわけですね。ほかで入手できないものが閲覧できただけですから。そうすると,東京の国立国会図書館その他に行って,今までと同じ方法で一部コピーをとるなどの方法をとらなければならないわけです。これは利用者として見て,公立ないしは公共図書館のサービスとして,必ず不満が起こると思っております。
 3番目,これらの公共図書館における利用をする場合には,著者・出版社の利益を害することになると思います。公共図書館が保有していない書籍について閲覧ができ,なおかつ,私の考えでは,一部コピーも可とすることになってしまうからであります。この段階でもうちょっと広げて,著者・出版社の利益の調整をあわせて考えるべきだろうと思っているところです。
 以上でありますが,最後に一覧表が6枚目にあります。私の選別では公共図書館という言葉を使っておりますが,公共図書館で何をやるかというと,真ん中の3,4,5,6に書いてあるところでありますが,国会図書館がアーカイブをつくってくれますから,公共図書館はその役割を果たす必要はない。検索は制限規定が要らないわけですから,当然にできる。線だけつながればできる。
 あと,閲覧は今回の制度でも可能にしようとしておりますけれども,閲覧だけでなく,一部コピー――現行法の図書館ができる一部コピーです――を可とすればいいと思います。
 国会図書館は館間送信の制限規定を現に設けているとされておりますけれども,公共図書館等については受けるだけですから,これは要らないということになるかと思っております。将来的な発展した形態で国民一般が何ができるかということであれば,家庭内では検索ができるだけでいいのではないかと私は思っております。
 それから先の閲覧,コピーサービスについては,国会図書館の公共サービスか商用のサービスによって閲覧,それから複製物の入手ということを可能にすべきだろうと思います。こういうことによって,商用についてのすみ分けもできるのではないかと考えている次第であります。以上です。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 松田委員のただいまのお話の中にも出てまいりましたけれども,情報アクセスへの地域間格差を解消する場合に,コピーが要る場合,国会図書館まで来なければならないという今のご指摘がある部分なんですけれども,その点,何かご意見ございませんか。つまり,ストリーミングサービスだけで,公共図書館においてプリントアウトができないという今回のまとめなんですけれども,その点はいかがでしょうか。
 小泉委員。

【小泉委員】  かなり時間をかけて,関係者が合意形成に努力された結果だと思いますので,それをこの場ですぐ反対するとかいうのは適切じゃないと思うんですけれども,今のお話の前提としては,送信先での複写の主体はあくまで図書館であり,利用者ではないということでよろしいんですか。

【土肥主査】  おそらく公共図書館の資料ではないということですよね。そうだと思います。

【小泉委員】  そうだとしますと,利用者の利便性という観点からするとやや問題があると。今日配っていただいた資料1-2の4ページのマル2の最初のポツのところですね。おそらく松田委員のご意見と平仄が合うのかもしれません。「一方」という,傍線が引いてある次の段落に,「プリントアウト等を認めてもよいのではないかとの意見もあった」というのがあるんですけれども,素朴な感覚としては,確かに,ここまで認めるのであればプリントアウトまで認めてもいいんじゃないかと思ったりもいたします。それが本全体ということになると問題なのかもしれませんけれども,ある程度のところまで認めてもいいんじゃないかなという感覚を持ちました。以上でございます。

【土肥主査】  あと,主体といいますか,送信の先の話なんですけれども,現在のところ,公立図書館という話になっているわけですけれども,松田委員の話もございましたけれども,大学なんかも含めた公共図書館というものに送っていいのではないかという意見もあろうかと思うんですけれども,現在のところは公立図書館ですか。あるいは,31条1項の図書館等という説明がございましたけれども,その「等」の中に含まれるものはすべて入るということですか。事務局はいかがでしょうか。

【永山著作権課長】  報告書の中でも,要するに,対象になる図書館の範囲については,現行31条の図書館の範囲を参照した上で整理するということで,基本的には同じような形を想定した形で,検討会議で議論が行われたのは事実です。公立図書館だけに限定するんじゃなくて,現行の31条の規定も参考にしながら,範囲については,立法化に当たってきちんと検討していくということに検討会議ではなっております。

【土肥主査】  そういう場合に,地域的に漏れはないんでしょうかね。つまり地域間格差を解消するという観点からすると,地方公共団体の中には,図書館等に含まれるような図書館のないような地域は存在するか,しないかということなんですけれども,それはいかがですか。

【鈴木著作物流通推進室室長補佐】  検討会議の議論の中でも,図書館行政にお詳しい専門の方がおられますので,その方のご意見といたしましては,いまだ図書館が設置されていない地方公共団体も存在する。そちらはそれとして,今後の課題として,どう整備していくかという面はあろうかと思いますけれども,しかしながら,公立図書館を対象とするということで,地域間格差の解消は一定程度図ることができるであろうということで,議論がなされていたところでございます。
 さらに,公立図書館に限るのではなく,国会図書館の貴重な資料を受ける,そして管理ができるというところを対象とすべきではないかという議論の中で,大学その他の研究機関の図書館なども対象としてよいのではないかということは,具体的な議論として上がったところです。
 しかしながら,図書館といいましても,報告書のまとめにもございますが,設立趣旨,目的など,さまざまな図書館が存在いたしますので,何らかの限定をかける必要があるのではないかといったところも意見として出てきたところでして,最終的には,まとめにもありますような,31条で複製が認められている図書館が政令で限定されているわけですけれども,それを参照するというところでどうであろうかという形で整理されたものと理解しております。

【土肥主査】  そういう図書館は,仮に31条の図書館ということになると3,000ぐらいあるという理解でいいんですか,数は。

【鈴木著作物流通推進室室長補佐】  数としてはもっと,大学図書館ですとか高等専門学校も入りますので,数としてはもっと多くなるかと思います。

【土肥主査】  ほかに。時間は若干まだ残っておりますので,どうぞ遠慮なくご発言いただければと思います。
 上野委員。

【上野委員】  今回の検討会議におきまして,図書館の新たな役割やデジタル資料の活用など,さまざまな検討がなされているのは大変結構なことだと思います。特に送信サービスにつきましては,送信先や方法などがかなり限定されたものとはいえ,まずは第1段階として具体的な提案がなされ,そして早期の実現が見込まれているということは結構なことかと思います。
 もちろん,それ以外のサービス,とりわけ各家庭に対する送信まで行うかどうかという点は課題として残されることになろうかと思います。今回の報告書が,そのようなサービスも理想形としていずれは実現されるべきと考えているのか,それとも,消極的な立場をとっているのか,そこは必ずしも明確でないというご指摘があったかと思いますけれども,わたくしの個人的な意見といたしましては,少なくとも中期的観点からすれば,図書館資料の各家庭までの送信といったものも含めて,より前向きに検討してしかるべきではないかと考えております。
 もちろん現状におきましては,図書館のサービスは図書館資料を複写し,これを郵送することまでが著作権法によって許容されたサービスであり,ファクスやメールによって送信することにつきましては,これまでこの審議会の場でも立法論として議論されながら,結論を得ることができなかった問題であることは承知しておりますし,そこにはさまざまな,複雑な,そしてデリケートな事情があることも理解しているつもりではおります。ですけれども,例えばドイツにおきましては,――もちろん個別の表面的な比較がしばしば危険であることも自覚しておりますけれども――最近の判例,そしてその後の立法によりまして,図書館のサービスとして,個々の論文の複写を郵送するだけではなくて,ファクスやメールで個人に送信することが著作権法上認められているようです。
 私がドイツに滞在しておりましたときもsubitoというサービスを利用しまして,ウェブ上で特定の論文を指示しましたところ,翌日にはPDFファイルがメールで届きました。基本料金が4ユーロ,そして権利管理団体(VG Word)への著作権料が2ユーロ(税込)ということでした。
もちろん,すべての著作物についてそうした送信サービスを認めてしまってもよいのか,著作権料はどのように分配されているのか,出版者との関係はどうなっているのか,などといったことはもちろん気になるところではありますけれども,技術発展によって可能となったサービスをあえて禁じるのではなく,権利制限によって一定の範囲で許容する一方で権利者には報酬請求権を与えることによって,その利益を確保するというシステムは,権利者にとっても利用者にとってもプラスになり得るものとして,これからの時代における一つのあり方ではないかとわたくしは思っております。日本の著作権法は,どうもオール・オア・ナッシングの規定が多いように思われまして,現行著作権法上,図書館資料を個人にメール送信することは一切許されない一方で,図書館資料の複写とその郵送サービスは基本的に自由にでき,権利者に報酬を支払う必要もありません。ですから,ユーザーが図書館から複写物を大量に郵送してもらって,そのための費用を支払っても,著者や出版者にはまったく分配されないわけです。中長期的にみるならば,こうした点は再検討して然るべきではないかとわたくしは思っております。
 もちろんそのようになりますと,先ほども道垣内先生からご指摘がありましたように,国際的な問題も考える必要があると思いますし,そもそもあらゆる出版物について一律に取り扱ってよいかどうか,かといって何でもオプトアウトできるようにしてよいかどうかといった問題もあるでしょうし,現行著作権法では出版者の権利が定められていませんけれども,出版者に対する利益配分ないし補償をどのようにして担保するのか,何らかの権利を設けるべきなのかどうか,といったことも問題になろうかと思います。
 もちろん,そうしたサービスを実現することがそもそも理想形といえるのかという点についても議論のあるところかも知れませんが,いずれにしても,他国で行われている事例を含めまして,今後もそういったことについて検討を続けていくことが重要ではないかと考えております。以上です。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。大渕委員。

【大渕主査代理】  これは先ほどもどなたか言われましたけれども,人によって受け取り方も若干違って,家庭までというのをどういうふうにとらえるのかは,要するに決め切れていないからこういうペーパーになっているのではないかと思います。それについては,無償でいくわけにはいかないから,何らかの形で利益還元をするのはどういう仕組みでやっていくのかというような,先ほどの上野委員の言われたようなものもあり得るし,いろいろな幅広い,著作権法全体にわたるような大がかりな再検討のようなものが必要になりますので,このペーパーの趣旨は,そういうものは将来の中長期的課題とした上で,まずは,最低限,現在では国会図書館に行かないと読めないものが,地域の図書館,これははっきりと大学図書館も入るというようになっていますけれども,そういうところで見られるという意味では,一歩前進していることは間違いがないと思います。
 言い出すと,見られるのであればコピーもできた方が良いというのは,ニーズとしてわかるのですが,この議論に時間がかかって,送信自体が例えば2年後に達成できるよりは,それはまた次の段階として,速やかに,この辺にいれば国会図書館に行くのも,大学図書館へ行くのも大して変わらないでしょうけれども,地方の方にとってはかなりの利便性向上にはなるかと思いますので,現実的に,先ほどのような大げさな問題をさほど伴わずに,できるものから1つは前進させて,次の段階で先ほどあったようなものを本格的に検討していくという,ステップ・バイ・ステップの形でないと,結局は,何年も後にしか改善が図れずに,反面で,それまでの間,全部現状のままで我慢しなさいということになってしまいますので,それよりは,まずは,これぐらいだったらさほど問題なく進むので,それを進めながら,次の段階でまたいろいろ考えていけばいいのではないかと思っております。

【多賀谷委員】  家庭への送信をするという場合には,おそらく公衆回線を使わざるを得ないわけですが,その場合には,アドレサビリティーを確保するといいますか,要するに家庭で利用しているコンピューターの識別番号を押さえて,利用回数とか頻度を一応チェックすることはどうしても必要になってくる。これは通信の秘密との関係で問題になりますけれども,そのことは,先ほど道垣内委員がおっしゃったように,外国からの利用というのを排除するということと関係してくる。全く利用自由ということにすると,おそらく私的なデータベースをつくってしまう人たちが出てくると思いますので,最低限その制御が必要だろうと思います。

【土肥主査】  山本委員,どうぞ。

【山本(た)委員】  今回の検討された3点のうちの1点の,国会図書館からの送信サービスの実施という点についてのご提案については全く賛成です。2点目,3点目は,認識は共通されていると思いますが,かなり大きな問題です。松田委員が今日ご提示なさったような,日本の書籍のデジタルアーカイブ化とと,国民によるそれへのアクセスをどういうふうに担保していくのかという大きな仕組みの問題で,それはぜひやっていただきたい。
 そこで,上野委員からいみじくもご指摘があったところですけれども,この問題というのは,大きなシステムの問題で,どの国も抱えている問題だと思います。各国それぞれ検討している問題です。決して,我が国が外国に倣えばいいとかいうつもりは全くありませんが,ただ,合理主義が徹底している欧米諸国をよく見ていると,事情に合わなくても,我々が参考にすべき知恵は結構あります。大きな問題として今後検討していく中で,欧米諸国の今の検討状況というのも,ぜひ調査していただきたいと思います。

【土肥主査】  では,道垣内委員,どうぞ。

【道垣内委員】  先ほど私が申し上げたことがネガティブに聞こえたとすれば,そのような趣旨ではありません。私自身は外国からのアクセスを排除するということも考えていません。できれば世界中から利用可能にし,また,日本からも外国の文献が可能になるようにすればいいと思うんですね。
 ですから,例えば第1段階のことに限っただけでも,ある外国で,そこはほぼ日本と同じレベルで,この種のものはオーケーになっているとすれば,その国の図書館には配信したって構わないし,その国からもらったって構わないと思います。閉じた体系ではなくて,できるだけ広げていくシステムにしていただきたいと思っています。
 ただ,そうはいっても,一挙に世界中に広げてしまうと,ご迷惑をかける国もあるかもしれませんので,そこは注意する必要があります。ドイツとの間で,もし協議が整うのであれば,国内の場合と全く比べ物にならないぐらい便利なことなので,それが可能なようなシステムにしていただければと思っています。以上です。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。茶園委員,どうぞ。

【茶園委員】  いろいろご検討されて,将来も見据えて,現時点で迅速に可能となるところをご検討いただいていると思います。ただ,日本全体に知のアクセスを拡大するという点から,将来的に望ましい到達点を考えて,そこに至る,現時点で実現可能な段階を考えるという見方と,これとは異なって,現時点で情報の地域間格差をなくすことを考えて,イメージとしては,国会図書館が全国にバーチャルに存在するようにする,公共図書館が国会図書館と同じような機能を果たすようにするという見方があると思います。
 後者の見方からしますと,できる限り,国会図書館でできることが,地域の公共図書館においてもできるようになってもらいたいと思うわけです。そのように考えますと,現在の31条1項1号で許されるような複写サービスが受けられないということは残念ですし,いろいろな問題を考えると難しい面があるかもしれませんけれども,複写サービスが可能となるように何とかできないかと思います。また,対象出版物が市場における入手が困難な出版物という制限が加えられるとか,あるいは,著作権者等の求めがあればそれが対象から除かれるということについても,後者については,単に著作権者が除いてくれと言うだけで除かれるのかどうか,その要件がわかりませんけれども,このような国会図書館との差異は,先ほど言いましたように,公共図書館において国会図書館と同じような機能が果たされる,それによって情報の地域間格差をできるだけなくすという面から見ますと,できる限り少なくなるようにご検討いただきたいと思います。以上です。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 今,茶園委員におっしゃっていただいたんですけれども,これはまだ一般の家庭ではなくて,日本全国にある公立図書館等の話で,そこでのみ閲覧できて,プリントアウトはできない。一部のプリントアウトができないというのは,実際,制度が動いていったときに,非常にユーザーに対して不便感を与えることになると思うんですね。法制小委の検討の中で,そういうことを検討した上でこれでいいかどうか,考えていただきたいと思います。
 確かに,検討会議で1年間ぐらいかけて検討いただいたと思いますけれども,しかし,法制小委としても,その考え方はここに反映できるはずだと思いますので,なぜ国会図書館に行ったらできるのか,しかも,それは市場性に一切影響を与えないような絶版その他一般に入手が困難なものである。また,それが市場性を回復したらオプトアウトできる。そういう資料についてストリーミングで見ることしかできないような,そんな僕は頭の中に持って帰れないですから,やはりそこで見たものを一部プリントアウトしてもらって持って帰る。そうしないと真の地域間格差というものは解消しないんじゃないかという懸念を持っておりますので,十分意見を反映いただくようにお願いしたいと思います。
 時間がちょうど,残りの30条問題を検討すべき時間となっているんですけれども,まだご意見ございましたら。今日のお話は今日でおしまいになるわけではないですか。事務局,どうでしょうか。図書館の公共サービスの在り方に関する問題に関しては,まだ機会があるという理解でよろしいですか。つまり,今日の委員のご意見を踏まえていただいて,おそらく事務局でもう一回,まとめていただくだろうと思うんですけれども。

【鈴木著作物流通推進室室長補佐】  今日ご議論いただいた意見を整理し,法制問題小委員会での検討結果ということで,著作権分科会のほうに報告なりをさせていただくような形を考えておりますので,今回の議論を踏まえた整理につきまして,もう一度ご議論いただく機会を設けられればと考えております。

【土肥主査】  本日の各委員の意見を踏まえて,事務局におかれましては,まとめという案をつくっていただいて,また出していただいて,議論ができれば,確認ができればと思っております。
 どうぞ。

【松田委員】  今日の公立・公共図書館の問題ではなくて,まさにずばり国立国会図書館の制限規定の問題なのでありますが,31条2項は先の改正で入れられたものです。これを読んでみますと,終わりのほうにありますように,電磁的記録を作成する場合には,必要と認められる限度において,当該図書館資料に係る著作物を記録媒体に記録することができるという制限規定にしているんです。これを直截に読めば,複製の制限規定というふうに読むべきだろうと思っています。
 ところが,ここがどこで複製されているかというと,関西館で複製されているわけです。東京のほうの本館においてもこの複製物はありませんから,送信で受信して利用しなければならないわけです。その場合に,この立法をする前に検討したところは,文化庁の資料にも残っているんですけれども,国会図書館の館間送信は自動公衆送信ではないのだと。1対1の関係だから,制限規定は何ら要らないんだという考え方があって,こういう条文になってってしまったのだろうと思います。しかし,東京本館で利用者がアクセスをして,検索をして,そしてデータを送ってもらう場合には,館間送信ではなくて自動公衆送信に当たるのではないかと思われるのです。
 ここのところも,自動公衆送信の規定ぶりをもう一度検討して,将来において憂いなきようにしたほうがいいのではないかと私は常々思っております。このことは立法前に,国会図書館と文化庁の文書のやりとりがありまして,国会図書館からの質問が,館間送信はいいですかという質問に対して,それは自動公衆送信ではありませんからいいですよというふうに,課長名で返されている文書があります。多分それがきっかけになっているんじゃないかなと思っています。
 言ってみれば,国立国会図書館の利用の方法を検討した上で,複製だけでなくて送信も可能だというふうに明確にしておくことがいいのではないかと思います。どうしてかというと,公立図書館に送信することになったとき,自動公衆送信の制限規定を入れるわけですから,国立図書館間の館間送信についてもまた注目されてしまうわけです。と私は考えております。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 それでは,次の議題に入りたいと思いますけれども,よろしゅうございますか。
 それでは,事務局から説明をお願いいたします。

【壹貫田著作権課課長補佐】  それでは,今度は著作権法第30条に関しまして,資料3-2に基づいて説明をいたしたいと思います。
 著作権法第30条につきましては,今期1回の本小委員会におきまして,委員の皆様方から関係団体に対してヒアリングをしてはどうかというご意見をいただいたところでございます。それを受け,第2回,第3回とヒアリングを行わせていただきました。その際のヒアリング対象団体につきましては,資料3-1にまとめてございますので,後ほどごらんいただければと思いますが,同資料中に括弧書きで書いております各団体の略称名をそのまま,次の3-2のほうでも用いさせていただいておりますので,申し添えます。
 それでは,内容について説明いたします。なお,整理に当たって,30条の条文の構成に沿いまして大まかに整理をさせていただいております。また,簡潔に記述するために,関係団体にご発表いただいた内容を適宜まとめておりますので,この点についてもあらかじめご了承いただければと思います。
 それでは,まず,1.の30条1項の柱書きについてでございますけれども,1項にもありますとおり,「その他これに準ずる限られた範囲内」という文言が非常にあいまいであり,拡大解釈され,権利者に悪影響を及ぼしていることから,当該文言を削除してはどうかといったご意見がございました。
 次に,(2)の「その使用する者が複製することができる」との文言につきましては,メディア変換についての強いニーズがあることなどから,利用者の手足として複製していると評価できる場合などには,利用者以外の者が複製を行うことなども認めるべきではないかというご意見がございました。
 一方で,いわゆる手足論を用いて30条の範疇だと言い張る業者もあり,30条に当該理論を用いることについては反対であるといったご意見もございました。
 また,(3)でございますけれども,映画をデジタル録画する行為につきましては,商品と同等の鑑費価値のあるものを無償で入手するという行為であることなどから,30条1項にも,35条1項等で用いられていますただし書きと同様のものを設けるべきではないかといったご意見をいただいているところでございます。
 次に,2.の1項1号,附則5条の2についてでございますけれども,1号に規定している公衆用自動複製機器につきましては,デジタルロッカーヘの複製は,コピー先が居宅内か外かといった違いしかなく,権利者に新たな経済的損失が生じているとは考えられないため,1項1号と附則5条の2は削除されるべきであるといったご意見をいただいております。
 ただ,これに対し,特に附則5条の2についてでございますけれども,附則追加以来,当分の間といいながら27年以上に及んでいるといったことや,営利目的の複製業者の行為が権利者の利益を不当に害するおそれがあることなどから,附則5条の2を削除するべきといったご意見がございました。
 一方で,附則5条の2を削除するとなりますと,私的使用を行おうとする者に著しい不便を生じさせ,混乱を招くため,最低限,現状を維持されるべきだといったご意見もいただいております。
 最後に,いわゆる自炊行為についてでございますけれども,この点につきましては,いわゆる自炊そのものを否定するものではないものの,自炊代行業者,特に自炊の場所や機材の提供,裁断済み書籍を貸しているような業者については規制すべきではないかといったご意見をいただいております。
 次に,3.の1項2号についてでございますけれども,バックアップ目的等で技術的保護手段を回避して私的複製することについては,著作権者等が予期しない複製とは言えず,著作権者等の経済的利益を著しく損なうことにもならないため,一定の限定的な範囲で認めるべきとのご意見がございました。
 一方で,ネットヘの流出などバックアップ目的を超えた利用が行われることは容易に推測されるのであって,権利制限の対象とすべきではないとのご意見もございました。
 また,(2)にございますとおり,現在検討中の技術的保護手段の見直しに関しまして,特定の者によるプラットホーム保護につながらないようにするべきであり,場合によっては,米国のような例外規定の導入等について検討すべきであるとのご意見をいただいております。
 次に,4.の1項3号についてでございます。
 まず,海賊版等をその事実を知りながら入手すること自体が侵害行為を故意に助長するものであり,ダウンロードに限らず,海賊版等を情を知りながら入手した上で行うデジタル録音・録画といったものについても違法とするべきといったご意見がございました。
 また,現行条文が「デジタル方式の録音又は録画」に限定されていることについて,プログラムの著作物についても30条1項3号の対象とするとともに,仮に対象とする場合には,47条の3についてもあわせて,資料にございますような見直しを行うべきといったご意見をいただいてございます。
 3号の刑事罰化についてでございますけれども,平成21年法改正による抑止効果は十分に発揮されておらず,また,違法状況の蔓延は新たな音楽の創作に悪影響を与えることから,1項3号の違法ダウンロードに対する刑事罰を導入するべきとのご意見がございました。
 一方で,施行後1年半の時間しかたっておらず,意識喚起や啓発の効果の評価・検証等も十分に行われていないことや,そもそも違法ダウンロードかどうかの判断が容易ではないため,消費者の行動の萎縮が想定されること,また,まずは違法アップロード行為についての厳格な運用がなされるべきであるといったことを理由に,刑事罰化を行う必要はない。あるいは慎重に検討するべきであるとのご意見をいただいております。
 また,そのほかにも,違法サイトからの複製が深刻な状況を踏まえ,違法サイトへのアクセス遮断や,いわゆるスリーストライク制度の導入の検討が必要であるとのご意見をいただいております。
 次に,5.の2項についてでございますけれども,私的録音録画補償金制度につきましては,音楽がコピーフリーとなっていることや,個々の複製行為に対する課金システムが存在しない状況にあること,また,複製機器の機能が飛躍的に向上し,それらの機器が一般的に大量に販売されている状況等を踏まえれば,廃止できるような状況にはなく,むしろ私的録音録画の実態と乖離していることを踏まえ,制度の見直しを可及的速やかに行うべきであるとのご意見がございました。
 一方で,現行の制度はデジタル時代に適合しているとは言いがたいため,現行制度の廃止を含めた抜本的な制度改正の議論が必要とのご意見や,利用者の複製行為の実態が,補償が必要なほどにコンテンツビジネスに影響を与えているのかどうかといった視点を持って検討を行うべきであるといったご意見をいただいております。
 同じく5.ですけれども,(2)につきましては,対象を録音録画のみならず写真や画像等に拡大するとともに,対象機器についても拡大し,広く薄く補償金の支払いが可能となるような制度を創設することを検討すべきといったご意見や,汎用機器などのように実際に私的録音・録画に用いられている機器が対象になるようにすることが必要であるといったご意見,さらには,デジタル方式による複製は,個々の機器や媒体にとどまらず,広範に行われている実態があるため,そういった実態を継続的に,かつ広く捕捉し得る制度となるような制度を再構築するべきであるといったご意見をいただいております。
 それから,(3)の著作権保護技術との関係につきましては,複製不可の著作権保護技術が用いられ,その回避行為が著作権法で禁じられているのであれば,補償は不要であるが,それ以外のものについては,デジタル・アナログを問わず補償が必要であるとのご意見や,許容される複製の量などを決めた契約が存在する場合には,契約が30条に優先して適用されるべきであるといったご意見をいただいております。
 最後になりますが,6.のその他・30条全般につきまして,まず,(1)にございますように,著作権侵害は原則として刑事罰の対象とされるべきであるといったことなどを理由に,3号のみならず,1号から3号すべてについて刑事罰を設けるべきではないかといったご意見をいただいております。
 (2)の,今回は30条見直しに当たっての留意点といったところでございますけれども,この点につきましては,私的複製という事柄の性格上,政府において,30条のもとでの私的複製の実態がスリー・ステップ・テストに適合しているかどうかといったことを検証する必要があるといったご意見や,30条の見直しに当たっては,図書館等における非営利無料の貸与を利用した私的録音の状況を念頭に置くことが必要である。それから,ユーザーの利便性の確保に偏ることなく,創造のサイクルの維持を絶えず意識しながら検討を行ってほしいといったご意見がございました。
 一方で,現在,有効に機能している30条の拙速な改正は避けるべきであり,とりわけ私的領域の範囲を狭めることについては,それによる影響や得られた効果の点から慎重な検討が必要であるとのご意見や,利用者の利便性を担保するには,私的利用目的の権利制限は必要であるといったご意見をいただいております。さらには,30条はユーザーに及ぼす影響が大きいため,審議に当たっては,ユーザーの意見が十分に反映されるような方策を検討してほしいといったご意見をいただいております。
 以上,足早ではございますけれども,過去2回のヒアリングを通しましていただいたご意見を,論点整理という形で資料3-2におまとめいたしました。今般,関係団体の皆様方からのヒアリングを通じて,改めて確認されたところでございますけれども,30条につきましては,問題意識の持たれ方や,あるいはその見直しの方向性等については各者各様であるといったところでございます。それだけに,今後,30条のことについて議論をいただくに当たっては,どのような観点から,どのような論点を取り上げていくべきかなどといったことについて,ぜひ委員の皆様方のお考えといったものをお聞かせいただければと思っております。それを踏まえまして,また事務局のほうでも,今後の議論の方向性といったものについて考えていきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 それでは,過去2回にわたりましてヒアリングを行ったものをまとめていただきましたので,こうしたことに基づいて,委員の皆様方にご意見をいただければと思っております。今,最後にご要望がありましたけれども,30条問題というのは,非常に立場によってご意見が異なるわけでございます。したがいまして,どういう観点からこの問題を考えるべきか,そして,どういう論点を取り上げるべきか,この点が非常に重要かと存じます。委員の忌憚のないご意見をいただければと思います。いかがでございましょうか。
 小泉委員,お願いします。

【小泉委員】  中身の議論が始まる前にという感じなんですけれども,1ページ目の1の(2)の2つ目のポツ,この文章なんですけれども,確かにこういうご主張というか,ヒアリングされたと思うんですが,ちょっと文章が強いかなという感じがして,趣味の問題かもしれませんけれども,言っている内容は,いわゆる業者がユーザーを手足であるという法律構成――いわゆる逆手足――のことを言っておられると思うんですけれども,こういう理屈が正当なものかどうかというのは,まだ,おそらく裁判所の判断も出ていないところだと思いますし,もうちょっとニュートラルな形で引用されたらどうかなという感想を持ちました。それだけでございます。

【土肥主査】  ありがとうございました。よろしくお願いします。
 ほかに。

【小泉委員】  「言い張る」という表現がちょっと気になる。

【土肥主査】  わかりました。確かにおっしゃるとおりだと思います。
 ほかにご意見ございますか。山本委員,どうぞ。

【山本(た)委員】  今,主査の方からお話がありましたように,30条の問題については,どういう観点からアプローチしていくのかというところが重要だと思います。また,立場がかなり委員皆さんによって違うんだろうと思います。私は,30条は,もともとはアナログの時代には零細な複製しかないという事情の下に30条を入れられたとは思います。今の状況は,デジタルコピーが極めて簡単にできて,当初,30条が入れられた状況とは全く異なっています。
 それではどういうふうに考えたらいいのかというと,まず第1には,30条が入れられたとき,アナログの複製しか頭になかった。そこでは零細な複製に対して課金するということは現実的ではないので,いわば市場の失敗がそこにあるということで権利制限が加えられたというふうに私は理解しております。
 したがって,現在の状況の中で,デジタルコピーの状況の中では,それに対する課金が可能な分野というのはいっぱいあります。このような分野については,30条の制限から外していくということが必要だろう。つまり市場の失敗がそこに存在するのかどうかというアプローチが1つは必要だろう、と思います。
 もう一つは,我々が小学校でやっていたときのことを考えますと,人のものをまねることによって,文化なり思想なりを学習するということをやっていたわけです。つまり,著作物に含まれるアイデアを勉強するために,表現をまねるというようなことをやっていたというふうに理解できると思います。そういう学習のための複製というのは,これは市場の失敗の問題ではなく,それ自身として権利制限が及んでいい話だと。
 学習も1つですが,著作権の保護よりも,より優越した価値に基づく権利制限というのも,実は私的複製の範囲内には入っていると思います。そのような優越的な価値に基づく権利制限なのか,市場の失敗があるから権利制限すべきなのかという観点から,30条の権利制限の範囲は見直していくべきだと考えます。抽象的なお話で申しわけありませんが,発想としてはそういうのが必要なんじゃないかと思っております。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 ほかにご意見ございますか。山本委員がおっしゃった問題認識というのは,まさにそのとおりだと私も思っておりますけれども,ほかにございませんでしょうか。昭和45年当時の複製技術なり,今おっしゃったデジタル技術のない時代,それから,テレビ,ラジオぐらいしかなくてインターネットはない時代,そういう時代の30条でございまして,その当時,市場というものがないものについて,30条で著作権の制限が認められていた。そういう状況の認識というのは,おそらく法制小委の皆さんで共有できるんじゃないかと思うんですけれども,ほかに,観点として,あるいは論点として,何かございましたらぜひお願いしたいと思いますけれども。
 山本委員は,マーケットフェイリュアが解消した分野というのは,例えばどういうようなイメージか,お持ちですか。

【山本(た)委員】  分野といいますか,例えばネット配信されているようなコンテンツで,個別に課金されているような利用の仕方のものについては,それについて私的複製というのは,あまり市場の失敗というのは考えられないんじゃないか。それから,図書のコピーであっても,複写権センターがあって,それに対して権利処理ができるような状況にもなっているという点も考えないといけないように思います。
 全体について,全部申し上げるというのはできませんので,例として。

【土肥主査】  ありがとうございます。
 事務局から何か補足するようなことはありますか。この問題は非常に難しい問題で,センシティブな問題になることが将来予測されていくわけですけれども,何か事務局としての覚悟みたいなものがありましたら。

【壹貫田著作権課課長補佐】  もともと30条について,いろいろな立場から,いろいろな理由によって,そもそも時代に合わなくなってきているというのは我々も十分承知しておりますし,そういったご意見があることも十分承知しておりますので,それをどういうふうに我々として受けとめていくかというのは当然考えております。
 先ほども山本委員のほうからご指摘がございましたけれども,昭和45年に著作権法ができて,その後,30条を幾度か改正しているわけですけれども,事務局のほうも,ぜひまたお時間をいただければ,その都度,その当時の実態,客観的などういう危機があって,その実態を踏まえてどういう改正理由で改正されていったのかといったところも,釈迦に説法かもしれませんけれども,一回,事務局のほうで資料としてまとめてみて,先生方の議論がより,今後の道行きについて深まっていくようなことも工夫として考えてみたいと思っております。

【土肥主査】  ありがとうございます。
 では,大渕委員,お願いします。

【大渕主査代理】  今回の30条の議論というのは,今まで,一,二回前のこの審議会でも出ていたかと思うのですが,個別の改正をいろいろ,1号,2号,3号等と重ねて来たわけですけれども,一度,その一端が先ほど出ていた議論ではないかと思います。,30条の趣旨というところに立ち返って,私の理解では,1項,2項を含めて,すべてがトータルとして一つのシステムができ上がって,最終的には「公私」問題というか,ないしは,これを言い出すと,権利制限だけの問題でもなくて,支分権とあわさって,著作権の範囲をどこまで及ぼしていくかというところの原点に立ち返るような話をしようとしていると思います。
 少し出ていたのは,ほかの事項も一応一段落したしということもあって,こういうことは今までもしなければいけなかったのでしょうけれども,なかなかそこまで手がつかなかったものだと思います。これについては近いものとしては,特許法の例が挙げられます。特許法については,平成23年改正という,50年ぶりの大改正がありました。これは,今までとても手がつかなかったような本質論的検討を要する論点を含む事項にまで踏み込んで,研究会を1年間も開いて,論点を洗い出しした上で行ったわけです。私は,イメージとしては,これほど大げさなものではないですけれども,個別の話だけではなくて,先ほど出ていたような哲学というようなところにも,かかわってくるし,著作権の場合には当然,複製伝達技術の進展というもの等の強い影響を受けていますので,その違いですとか,ビジネスモデルの違いとか,そういうものを踏まえた上で,現時点ではどういうふうに線引きをすべきかという,要するに著作権の範囲をどういうように画していくのかという議論を始めるようということだと思います。それを考えずに,個別の論点だけを検討しても整合性も図れなくなるおそれがでてきてしまいます。
 そういう意味では,ヒアリングもしたし,先ほど言われた,事務局のほうでも,歴史的なことも含めて,もう一回見直してみるということですが,そのような作業の上で,もう一度,原点に立ち返って検討するというプロセスがようやく始まりかかっているという状態ではないかと理解しております。

【土肥主査】  ありがとうございました。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 松田委員,お願いします。

【松田委員】  このペーパーには整理がされていないところなんですけれども,先般の法制小委で意見を聞いたときに,30条とクラウドの関係が議論になったことはあります。クラウドが次期の世代における枢要な社会システムになるにもかかわらず,30条が,極めて個人的な家庭内の利用の場面だけに限定されると,クラウド技術が発展しないんだという意見がありました。
 それに対しては,一体どういうクラウドを想定しているのかということで,私は質問させていただいて,なおかつ,具体的に示された事例が,それはクラウドという言葉を使ってはいけないとは思いませんけれども,いわゆる,総務省が整理しているところのパーソナルクラウドの事例で,それもストレージサービスの事例を説明されて,ストレージサービスは30条の範囲内で適法なのだというふうに運用すべきだというか,判例の出方がおかしい,判例がおかしいとかという指摘がありましたけれども,そのところで,委員会で議論すべきことだろうと思いまして,それ以上の議論はとどめました。
 言ってみますと,この論点の整理の中に,クラウドと30条ということは少し入れたほうがいいのではないかと思って,その上で,委員会で議論してみたらいかがかと思うのであります。

【壹貫田著作権課課長補佐】  承りました。クラウドの関係につきましては,法制小委でもご紹介したかもしれませんけれども,現在,調査研究を実施しておりまして,その報告を,まさに先生ご指摘いただいたように,そもそもクラウドとは何なのかとか,クラウドのサービスの対応と著作権法との関係について,どう整理して考えていくのかということは,まさに現在,調査研究としてやってございますので,その成果が上がりましたら,また法制小委においてもご紹介をして,ご議論が深まるようにしていきたいと考えております。

【土肥主査】  よろしくお願いします。
 ほかにございますか。よろしいですか。
 それでは,先ほど事務局からもございましたけれども,30条問題,45年以降の30条に関して,事務局なりの総括を一度していただいて,その観点としては,今,マーケットフェイリュアという切り口は出ておりますので,そういうことも踏まえた上で,ひとつ資料をまとめていただければと思います。大変だと思いますけれども,よろしくお願いします。
 それでは,もし皆さんのご意見もないようでございましたら,30条問題に関しましては,今,事務局にお願いをしたわけですけれども,事務局と相談しながら,今後の検討の進め方について整理をさせていただきたいと思っております。またでき上がりますと,適宜,法制小委に出させていただいて,検討を進めてまいりたいと思っております。
 特にご質問等ございませんようでしたら,本日はこのぐらいにしたいと思っておりますけれども,よろしゅうございますか。
 それでは,事務局から連絡事項がありましたら,お願いいたします。

【壹貫田著作権課課長補佐】  本日はありがとうございました。電子書籍と30条関係について,貴重なご意見を賜りましたので,そのご意見を踏まえまして,また検討していきたいと思っております。
 次回の法制問題小委員会につきましては,改めて日程の調整をさせていただいた上,でき次第ご連絡をいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【土肥主査】  それでは,これで第4回法制問題小委員会を終わらせていただきます。本日は,大変な気象条件の中でございますけれども,ご出席いただきましてありがとうございました。

Adobe Reader(アドビリーダー)ダウンロード:別ウィンドウで開きます

PDF形式を御覧いただくためには,Adobe Readerが必要となります。
お持ちでない方は,こちらからダウンロードしてください。

ページの先頭に移動