文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第3回)

日時:令和3年1月15日(金)

13:00~15:00

場所:AP虎ノ門 D室

議事

1開会

2議事

  • (1)図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する報告書(案)について
  • (2)独占的ライセンシーに対する差止請求権の付与及び独占的ライセンスの対抗制度に関する審議の経過等について
  • (2)令和2年度法制度小委員会の審議の経過等について
  • (4)その他

3閉会

配布資料

資料1-1
「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」に関する意見募集の結果について(1.4MB)
資料1-2
図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する報告書(案)(1.4MB)
資料2
著作物等のライセンス契約に係る制度の在り方に関するワーキングチーム審議経過報告書(1.4MB)
資料3
令和2年度法制度小委員会の審議の経過等について(案)(338.5KB)
参考資料
文化審議会著作権分科会法制度小委員会「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」への意見について(全国公共図書館協議会)(269.5KB)

議事内容

【茶園主査】では,時間が参りましたので,ただいまから,文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第3回)を開催いたします。本日は,御多忙の中,御出席いただきまして誠にありがとうございます。

本日は,新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため,基本的に委員の皆様にはウェブ会議システムを利用して御参加いただいております。

また,議事(1)に関しましては,図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチームの委員の皆様にも陪席いただいております。

皆様におかれましては,ビデオをオンにしていただくともに,御発言いただく際には,自分でミュートを解除して御発言いただくか,あるいは事務局でミュートを解除いたしますので,ビデオの前で大きく手を挙げてください。

議事に入る前に,本日の会議の公開につきまして確認いたしますと,予定されている議事の内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないと思われます。そのため,既に傍聴者の方には入場していただいているところですけれども,この点,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【茶園主査】ありがとうございます。では,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。

傍聴される方々におかれましては,会議の様子を録音・録画することは御遠慮くださいますようお願いいたします。

では,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【大野著作権課長補佐】それでは,お手元の議事次第に記載の配付資料一覧を御覧いただければと思います。まず,資料1-1が,中間まとめに関する意見募集の結果をまとめた資料,資料1-2が,本小委員会における図書館関係の権利制限の見直しに関する報告書案でございます。また,資料2が,ライセンス・ワーキングチームの審議経過報告書,資料3が,本小委員会の今年度の審議経過等の案でございます。また,参考資料といたしまして,全国公共図書館協議会から,中間まとめに対して,パブコメの期間経過後ではありますが,個別に意見をいただいておりますので,そちらもお配りをしております。不足などございましたら,お伝えいただければと思います。

【茶園主査】よろしいでしょうか。それでは,議事に入りますけれども,初めに,議事の進め方について確認しておきたいと思います。本日の議事は,(1)図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する報告書(案)について,(2)独占的ライセンシーに対する差止請求権の付与及び独占的ライセンスの対抗制度に関する審議の経過等について,(3)令和2年度法制度小委員会の審議の経過等について,(4)その他の4点となります。

では,早速議事に入りたいと思います。まず,議事(1)図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する報告書(案)についてであります。本件につきましては,前回の小委員会で中間まとめを取りまとめまして,その後,パブリックコメントを行っていただきました。その結果を踏まえて,事務局において報告書案を作成していただいておりますので,まずは事務局から,パブリックコメントの結果概要と報告書案について説明をお願いいたします。

【大野著作権課長補佐】それではまず,資料1-1を御覧いただければと思います。中間まとめに関する意見募集の結果概要をまとめておりますので,簡単に御紹介いたします。

まず,1ポツにありますとおり,令和2年の12月4日から21日まで意見募集を実施しまして,2ポツにありますとおり,合計195件(団体71件,個人124件)の御意見をいただいているところでございます。

その提出された意見を事務局で分類・整理などしたものが3ポツの意見概要でございます。非常に大部になっておりますし,後ほど報告書案の説明をする中で,主だった意見については言及することになりますので,ごく簡単に全体の御紹介をしたいと思います。

まず(1),全体の総論といたしましては,中間まとめの基本的に方向性に賛成する御意見をたくさんいただいております。デジタル化・ネットワーク化への対応,コロナ禍への対応という観点から,今回の検討が時機を得たものであるという御意見や,基本的に賛成しつつ出版市場への影響,権利者の利益保護等に配慮すべきといった御意見をいただいております。

それから,3ページに参りまして,ここでは権利者保護等への配慮を求める意見を多数いただいておりますので,それを列挙しております。例えば2つ目の丸では,出版業界と図書館とが営利事業とパブリックセクターというバランスを取りながら事業を進めてきたところ,今回の法改正によって,内容次第ではそのバランスに影響を及ぼすため,慎重に検討を行うべきといった趣旨の御意見を多くいただいております。

それから,5ページに参りまして,基本的な方向性に反対する意見も若干ございました。出版への悪影響という観点から,これ以上権利制限の緩和をすることには反対するという御意見がございました。

それから,5ページの真ん中辺りからですけれども,海外への送信に関する意見を多数いただいていおります。特に,入手困難資料につきまして,日本の利用者と同様に,海外の利用者も閲覧できるようにしてほしいという御意見を,海外の図書館,研究者の方々から多数いただいております。

それから,6ページの下辺りから,総論のその他の御意見としまして,デジタル化・ネットワーク化した社会における図書館の在り方という大所高所からの議論が必要ではないかという御指摘がございました。

また,7ページの上から2つ目の丸ですけれども,ここでいう「複製」というものについては,「複写」を想定していて,録画など映像資料などが対象にならないことを明記してほしいといった御意見もございました。

それから,7ページの下のあたりから(2)入手困難資料へのアクセスの容易化についての意見をまとめております。まず,対応の方向性については,基本的な方向性に賛成する意見が多数ございました。

一方で,8ページの下あたりからですけれども,基本的な方向性には賛成しつつも,不正な利用がされないような様々な措置が必要だという御意見もいただいております。

また,8ページの下から2番目の丸ですけれども,関係者の合意事項に基づいて,将来の市場を含めて悪影響が及ばない形の厳格な運用を前提とすべきという御意見もいただいております。

また,9ページ真ん中辺りから,先ほどと同様ですけれども,海外への送信も認めるべきという御意見を記載しております。

それから,飛びますが,11ページの一番上の丸でございます。その他の観点からの御意見として,国会図書館から利用者への直接の送信が可能になると情報発信機能の一極集中化傾向が強まる可能性がある,特,私立の専門図書館などの運営が圧迫されるのではないかという点を懸念する御意見もございました。

また,その次の丸では,対象とする資料の範囲について,録音資料については現行の運用では除かれているところ,レコードが対象外であることを明確にすべきという御意見がございました。

それから,11ページの下のあたりからが制度設計に関する御意見でございます。まず「(ア)補償金を含めた全体の方向性」については,補助金を導入せず厳格な運用をするという中間まとめの方向性に賛成する御意見がございました。

一方で,13ページの下から3番目の丸ですけれども,基本的な方向性には反対しないとしつつ,著作物全部の利用が想定されるところ,補償金制度が導入されるべきだという御意見も一部ございました。

それから,14ページに参りまして,(イ)の絶版等資料の定義などについてでございます。こちらも,中間まとめの方向性に賛成する御意見,厳格な運用を求める御意見が多数寄せられております。例えば,5つ目の丸におきましては,現行の国会図書館における合意事項について,10年近く安定的に運用されており,内容としても妥当であるため,今回の法改正によってその実務に影響を及ぼさないことを求めるという御意見を出版社関係から多数いただいております。

それから,16ページの下半分のあたりですけれども,逆に,送信対象資料の範囲が狭まるということについて御懸念する御意見や,漫画や商業雑誌などを一律に除外することには反対するといった御意見もございました。

それから,16ページに参りまして,中古本市場との関係については,中間まとめの方向性どおり,中古本の流通状況を考慮しないということに賛成する御意見があった一方で,下から2つ目の丸では,中古本の流通側からの意見としては十分な配慮を望むという御意見もございました。

それから,18ページに参りまして,(ウ)送信の形態についてでございます。これは,中間まとめで示されたID・パスワードによる管理を支持する御意見が多くございました。

それから,19ページに参りまして,複製の可否につきましては,1つ目の丸にありますように,国会図書館のシステムにおける技術的な制約や権利者保護の観点から,当面ストリーミングのみとするのが妥当だという御意見がございました。

一方で,一番下の丸にありますように,プリントアウト,ダウンロードなどを認めるべきという観点の御意見もございました。

また,20ページの下のあたりですけれども,権利者保護のための措置を求める御意見として,ストリーミングのみにすべき,プリントアウトは一部分に限定すべき,データのダウンロードまで認めるべきではないという趣旨の御意見もいただいております。

それから,21ページの下半分からは,先ほどと同様,外国への送信を認めるべきという御意見を記載しております。

それから,21ページに参りまして,(エ)が受信者側での複製の扱いでございます。これも中間まとめの方向性に賛成する御意見が多数ございましたけれども,例えば23ページの上から2つ目の丸におきましては,業務目的であれば,営利目的として複製を認めるべきではないといった御意見もいただいております。

それから,23ページに参りまして,(オ)が公の伝達権の制限でございます。こちらも中間まとめの方向性に賛成する御意見があった一方で,権利者保護への配慮等を求める意見として,送信先が図書館等以外の場にも拡大されるのであれば,権利者への悪影響を十分に考慮して要件設定を行うべきという御意見がございました。

それから,24ページに参りまして,(カ)です。大学図書館等が保有する資料を国会図書館に集約してハブにするという件に関しまして,これも賛成する御意見があった一方で,図書館等における実務面の配慮を求める意見の2つ目の丸にありますように,中小規模の大学図書館・公共図書館が自らデジタル化するというのは困難であるといった御指摘もあったところでございます。

それから,一番下辺りから,権利者保護への配慮等を求める意見としまして,国会図書館のデータを集約するサーバーについてのセキュリティーを確保すべきとの御意見,それから,25ページの下から3つ目,4つ目の丸でございますけれども,集約する資料としまして,国会図書館の納本制度の対象外である電子配信サービスのものや海外文献などは除外すべきという御意見もございました。

それから,「その他の意見」の1つ目の丸で注25と書いておりますが,これは,国会図書館以外の機関をハブにすべきという点についてでございますが,これに関しては,図書以外に関係する権利者への影響が大きいため,まずはニーズの有無の調査から慎重に進めるべきといった御意見などがございました。

それから,27ページに参りまして,ここからが(3)図書館資料送信サービスについてでございます。

まず,マル1,対応の方向性につきましては,デジタル・ネットワーク社会における知のアクセス向上などの観点から賛成するという御意見がございました。

一方で,例えば4つ目の丸にございますように,方向性には賛成しつつ,補償金を設けることには反対するという御意見も一部あったところでございます。

それから,28ページに参りまして,真ん中の上あたり,権利者保護等への配慮を求める意見,これが特に多く示された意見でございました。中間まとめでも様々な配慮が示されておりますけれども,正規の市場に悪影響を及ぼさないように,厳格な要件を設定することが重要な課題であるという御意見が多数寄せられております。

特に,28ページの一番下の丸でございますけれども,入手困難資料という限定がない以上,出版界の商用サービスと正面からぶつかるため,より慎重な検討が必要であり,その際には,電子出版の市場だけではなく,紙の出版市場などへの影響もしっかり考慮すべきといった御意見がございました。

それから,29ページの下から3つ目の丸に例がありますけれど,医学専門書のような専門分野の出版物については,特に影響が大きいといった趣旨の御意見もございました。

それから,飛びまして31ページ以降でございますけれども,真ん中辺りに,入手困難資料以外の資料についても,海外への送信を認めるべきという御意見を記載しております。また,下のあたりから,図書館等における実務面への配慮としまして,メール送信などのための作業負担を懸念する御意見を図書館側からいただいております。

それから,32ページに参りまして,「その他の意見」として,一番下の丸と下から2つ目の丸,同趣旨かと思いますが,対象となる資料の範囲につきまして,図書以外のものが対象になることを御懸念する意見でございます。映像資料やレコードなどが対象外であることを明確にすべきという御意見でございます。

それから,32ページからが制度設計についての御意見でございます。まず(ア)では,正規市場との関係についての御意見を記載しております。中間まとめの方向に賛成をする御意見,権利者保護等への配慮を求める意見が多数寄せられております。1つ目の丸は,著作物の一部分要件を維持して厳格な運用を望むという御意見,また,4行目辺りからですけれども,発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物であっても,全部を対象にすることには反対するという御意見がございました。

それから,3つ目の丸も同趣旨でございますけれども,送信対象とするのは紙のコピーサービスよりも限定すべきだという御意見や,新刊書籍,電子書籍,データベース,文献サービスなど商用サービスで入手可能なものは対象から除外すべきだという御意見もございました。

それから,同趣旨の意見が並んでおりますので,36ページまで飛んでいただきまして,ここから一部分要件の取扱いについての意見を抜き出して記載しております。中間まとめに記載したように,不合理な事例を解消するなどのために,一部分要件を緩和するなどの手当てをすべきという御意見があった一方で,一部分要件を維持したり,より厳格化すべきという趣旨の御意見も36ページの下のあたりから記載しております。

特に,36ページの一番下の丸ですけれども,多くの出版社から共通で寄せられた意見がこちらでございます。4行目辺りからですけれども,定期刊行物につきましては,バックナンバーが電子サービスなどで提供されるという事例も多いところ,定期刊行物について一部分要件を緩和して全部の送信を認めるということは,メール送信では行うべきではないといった御意見でございます。

それから,またページが飛びますが,39ページでございます。(イ)送信の形態・データの流出防止措置についてでございます。図書館等における実務面の配慮などを求める御意見として,流出防止措置によって煩雑な手順にならないようにしたり,視覚障害者の方などのアクセスが難しくならないような留意が必要という御意見でございます。

それから,39ページの下から2つ目の丸も同趣旨ですけれども,技術的なハードルが高くなると,実施できる図書館等がほとんどなくなって改正の目的が達成されなくなるという御懸念でございます。

一方で,40ページからは,権利者保護のための厳格な流出防止措置を求める御意見が多数寄せられましたので,それを記載しております。不正な拡散を確実に防止する技術的な措置を講ずべきという御意見がございました。また,例えば4つ目の丸では,いわゆるコピーガードをかけるだけではなくて,データの解像度を落とす,利用者を特定する情報などを透かしとして入れるなど,実効性のある措置を講ずべきという御意見もいただいております。

また,上から3つ目の丸になりますけれども,ダウンロード・メール添付ではなく,ストリーミングという方法によって流出防止を図るという提案もなされております。

それから,また飛びますが,43ページでございます。(ウ)主体となる図書館等の範囲についてでございます。こちらは,幅広い図書館等が対象になるようにすべきという御意見があった一方で,権利者保護の観点から,範囲を厳格に限定すべきという御意見がございました。下から4番目の丸にありますように,許認可制として定期的に運用状況のチェックなどを行うべきという御意見がございました。

また,44ページに参りまして,上から2つ目の丸におきましては,この主体となる図書館等の範囲につきましては,重要な要件なので,政省令やガイドラインなどではなくて,法律で厳格に定めるべきという御意見もございました。

それから,45ページに参りまして,(エ)が補償金請求権についての御意見でございます。中間まとめの内容に沿って,権利者の逸失利益相当の額とすべきという御意見や,直接の権利者とはならない紙の出版事業者などにも補償金分配がされるべきという趣旨の御意見がございました。

それから,45ページの下から2番目の丸になりますけれども,補償金の支払い主体について,法律上は図書館の設置者としつつ,実質的な負担はサービス利用者に全額転嫁すべきという御意見が寄せられております。

また,48ページからは,図書館等における負担軽減,利用者の負担軽減に関する御意見を記載しております。1つ目の丸は,先ほどと同じですけど,補償金の支払義務者を事実上利用者としてほしいという御意見でございます。また,下から2番目の丸では,補償金に関する図書館での事務負担が増えないように煩雑でない方法を希望するという御意見がございました。

また,48ページの一番下の丸では,個別の送信ごとに補償金を賦課すると負担になるため,包括での利用もできるようにすべきという御意見がございました。それから,49ページの下から2番目の丸におきましては,権利者の不利益が必ずしも明らかではないため,補償金請求権を付与すること自体に反対する,補償の必要性に疑義を呈する御意見もございました。

また,飛びますけれども,50ページに行きまして,その他の御意見でございます。ローマ数字1,サービス利用者の登録につきましては,中間まとめの方向に賛成し,事前に利用規約などに同意した者を登録するということを求める御意見がございました。

それから,51ページに参りまして,こちらでも海外への送信に関する御意見がありました。

それから,その他の意見としまして,1つ目の丸にありますように,補償金システム構築,図書館における利用者管理においては,表現の自由,個人情報の取扱いに最大限注意をし,情報漏えいなく安全であることを最優先すべきという趣旨の御意見もございました。

それから,52ページに参りまして,ローマ数字2が脱法行為の防止でございます。こちらも先ほどと同趣旨かと思いますけれども,1つ目の丸では,図書館では,利用の秘密を守るために利用履歴は速やかに破棄することになっているため,脱法行為がないように利用履歴に基づく精査をすることには限界があるという御意見がございました。

一方で,53ページの上辺りから,厳格な脱法行為の防止等を求める御意見も,権利者団体を中心に多数寄せられております。

それから,54ページに参りまして,ローマ数字の3,契約上の義務との関係でございます。これも中間まとめの方向に賛成する御意見があった一方で,その他の意見の1つ目の丸にありますけれども,31条関係はよいとして,35条関係でも契約が全て優先という取扱いになることを懸念する御意見がございました。

それから,55ページに参りまして,(4)まとめ部分についての御意見でございます。上から3つ目の丸におきましては,今回の制度改正においては,補償金,送信方法,コピーガードなど運用上協議すべき事項が山積しているため,施行日を定めるに当たっては十分に議論できる期間を取る必要があるという御意見がございました。

それから,56ページに参りまして,図書館等の範囲に関する意見,こちらも多数の御意見がございました。ワーキングでも議論がありましたが,学校図書館等を対象に加えることを求める意見が示されたほか,学校図書館以外に病院図書館,専門図書館などの指定についての御意見もございました。

一方で,58ページからでございますけれども,対象範囲の拡大に反対する御意見もいくつかございました。図書館の範囲拡大,とりわけ学校図書館を入れることについては慎重に議論すべきという御意見が権利者団体側から示されているとともに,59ページの一番下の丸以降でございますが,学校図書館関係の団体からも,指定への懸念を示す御意見が寄せられております。

それから,最後,60ページになりますけれども,今回の改正と直接関係するものではありませんが,その他著作権法制度に関する意見として,研究目的の権利制限規定の創設についての検討を求める御意見などがございました。

駆け足ですけれども,資料1-1についての説明は以上でございまして,続いて,資料1-2,報告書案について御説明をさせていただければと思います。中間まとめから追記・修正した部分を赤字にしております。これも全て紹介すると時間がかかりますので,主だったところをかいつまんで御紹介をしたいと思います。

まず,2ページ目の本文の一番下の部分でございます。先ほど紹介しましたが,パブリックコメントにおきましては,現行の入手困難資料についての関係者合意が10年近くにわたって安定的に運用がされてきたという点が強調されておりましたので,その旨を記載しております。

それから,3ページに参りまして,注釈の3では,現行の運用上,漫画や商業雑誌が一律に除外されていることに反対する御意見を御紹介するとともに,注釈の4と5では,現行のオプトアウトのための除外申出の手続改善を求める御意見を紹介しております。

それから,4ページに参りまして,注釈の7でございます。これは先ほど少し御紹介しましたけれども,対象となる資料の種類について懸念する御意見がございましたので,それに対応した記載として,法律上,資料の種類が限定されているわけではないけれども,実際の運用では図書・雑誌などが対象にされていて,今後も同様であろうということを記載しております。

それから,ページが飛びますけれども,8ページを御覧いただければと思います。注釈の22でございますけれども,入手困難資料の定義に関しまして,一時的な品切れ状態であることをもって入手困難資料と評価されないように注意する必要があるという御意見を記載しております。

それから,注の23におきましては,書籍全体としては入手困難だけれども,その中の一部が入手可能だという場合の扱いについて,当然ながら,入手可能な部分を除いたところだけが入手困難資料になるという点を記載しておりましたが,パブコメでは,必ずしもこの運用に合っていない事例もあると指摘がされていますので,その点について記載をしております。

それから,9ページに参りまして,本文の真ん中辺りに,入手困難資料の具体的な運用について,関係者間で協議をするということを記載しておりましたが,その際には,関係者間の合意に基づく現行の運用がひとまずのベースになるということかと思いますので,その旨を追記しております。

それから,注釈の25におきましては,入手困難資料の定義が法令上あまり明確化されると柔軟な運用が損なわれることを懸念する御意見がありましたので,追記しております。

それから,10ページに参りまして,注釈の29でございます。ここでは,外国への送信について記載をしておりましたが,パブリックコメントでは,先ほど御紹介したように,外国の図書館・研究者などから,外国からのアクセスも認めてほしいという御意見が多数示されておりますので,それを記載しております。

それから,注の30,これは複製の可否に関わる御意見ですけれども,権利者の利益保護,データの流出防止,それから国会図書館のシステム上の制約という観点から,ストリーミングのみとすべきという御意見を紹介しております。

それから,11ページに参りまして,注釈の34でございます。データのダウンロードを認めるかどうかという点に関して,パブコメでも,ダウンロードまで認めるのが望ましいという御意見があった一方で,将来的な復刻の可能性やデータの流出防止などの観点からダウンロードには反対するという御意見や,万一ダウンロードまで認めるなら,厳格な技術的措置を講ずべきという御意見を記載しています。

それから注の38では,受信者側での複製に関して,業務目的などでの複製は認めるべきではないという御意見を紹介しております。

それから12ページに参りまして,注釈の39番でございます。公の伝達権に関しまして,権利者への悪影響を十分に考慮した要件設定が必要であるという御意見や,現行の38条3項について,条約との関係などで疑義があるため,今回の規定は,この38条3項とは別個の規定とすべきという御意見を記載しています。

それから,注釈の40におきましては,国会図書館をハブとして資料を集約するという点につきまして,国会図書館の納本対象とならない電子配信サービスのものや海外文献は除外すべきという御意見や,国会図書館の専用サーバーのセキュリティーについての御意見を紹介しております。

それから,13ページに参りまして,注釈の43でございます。ここでは,美術館・博物館などの資料を国会図書館以外の施設をハブにするという点に関しまして,権利者への影響が大きいため,ニーズの有無の調査から慎重に進めるべきという御意見を紹介しております。

それから,14ページ以降が図書館資料の送信サービスについてでございます。まず15ページの本文でございます。真ん中辺りに「新刊本を含む。」という記載を削除している部分がございます。これは,正規市場とのバッティングの観点から,ただし書に基づくガイドラインで取扱いを決めていくべき話だろうと思いますので,ここで新刊本が含まれるという記載を行うのは適切ではなかったかと思いますので,削除しております。

それから,「このため,」という段落に2行追加をしております。先ほども御紹介しましたが,民間事業者によるビジネスと図書館等における公共サービスとの適切なすみ分けを維持するというのは,当然重要なことかと思いますので,その旨を記載しております。

それから,一番下の行ですけれども,著作物の一部分,調査研究目的,こういった要件は,当然,送信サービスの実施に当たっても維持されるものですので,確認的に追記しております。

それから,注の48におきましては,図書館資料の種類につきまして,法律上限定されてはいないけれども,実際の運用においては,現行でも図書・雑誌等が対象になっていて,メール送信等においも同様のことが想定される旨を記載しております。

それから,16ページに参りまして,注の49,ここでは,もともと図書館が他の図書館からデータを取り寄せて送信するということについて言及しておりましたが,パブコメでは,図書館が送信できる資料はその図書館が現物を有しているものに限定すべきという御意見がございましたので,それを紹介しております。

また,注の50におきましては,今回の権利制限に基づく送信サービスよりも民間ベースで進められている電子図書館サービスを進めるほうが有益ではないかという御意見,それから,注の51では,制度改正を行うとしても時限的な措置とすべきであるという御意見,注52では,公共貸与権の導入等を求める御意見を紹介しております。

それから,16ページから17ページにかけての本文の部分でございます。これは,出版社,権利者団体から除くべきという御指摘のあった資料の種類を列挙している部分でございますが,パブコメを踏まえて,若干の追記を行っております。16ページでは,電子書籍・データベースサービスを追記しております。17ページでは,基本的に娯楽観賞用である児童書,絵本などの書籍,発行から一定期間を経過していない,いわゆる新刊書などは除外すべきという御意見がありましたので,その点を追記しております。

それから,注釈の60ですけれども,正規市場とのバッティングを回避するためのガイドラインにつきまして,法施行前にガイドラインを作成すべきという御意見がパブコメでございましたので,当然ではありますが,その旨を記載しております。

それから,17ページの本文の下から2行目辺りでございますけれども,法整備,ガイドラインの検討に当たっての留意点として,権利制限の拡充が正規市場等に与える影響を十分に把握・考慮した上で対応することが重要という趣旨を明確化しております。

それから,18ページに参りまして,一部分要件の取扱いについて若干の修正を行っております。まず,注釈の66を御覧いただければと思いますが,先ほども少し紹介しましたように,一部分要件の見直しに反対する意見,とりわけ,メール送信の場合には,発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物であっても全部利用を認めるべきではないという御意見が出版社から多数寄せられております。本文で,もともとは,この発行後相当期間を経過した定期刊行物につきましては全部の送信が認められるということを前提に,それ以外のところにどう広げていくかという点を記載しておりましたが,定期刊行物であっても全部利用を認めるべきでないという御意見も強くありますので,それを所与の前提にしたような記載を削除することにしております。

その場合のイメージとしては,注の64になりますけれども,今,例外として法律上に明記している発行後相当期間後の定期刊行物,これを例示という扱いにしまして,「その他の著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情があるものとして○○で定める著作物」という形で規定を行い,定期刊行物の取扱いも含めて政省令など下位法令の中で調整の上で規定していくということが考えられるのではないかと考えております。

この観点から,注釈の68ですけれども,複製と公衆送信で一部分要件の見直しを行うに当たり,両者で取扱いが最終的に異なる場合もあり得るかと思いますので,その旨も付記しております。

それから,19ページに参りまして,データの流出防止措置に関して,マル2の下から2行のあたりに追記を行っております。技術的な防止措置に関しまして,データの解像度を落とす,利用者を特定する情報や注意事項などを透かしとして入れる,こういう御提案もございましたので,それも含めた措置が必要だという記載にしております。

それから,注釈の74でございますけれども,技術的措置のハードルが高過ぎると図書館等に過度な負担が生じるおそれがあるという点に関しまして,パブリックコメントでも,図書館等に負担が少ない方法にする必要があるという御意見がありました。一方で,コスト負担の観点から講ずべき措置の水準を下げることは権利者保護をないがしろにするものであり,あってはならないという御意見もございましたので,あわせて紹介をしております。

それから,注釈の76におきましては,データの流出防止の観点から,ストリーミング形式を検討すべきという御意見がありましたので,記載をしております。また,注釈の77では,仮にデータが流出した場合の責任関係を明確にしておく必要があるという御意見,注釈78では,この技術的措置によって煩雑な手順によって使い勝手が悪くなったり,暗号化によって視覚障害者等のアクセスが困難とならないように注意する必要があるという御意見を記載しております。

次に,20ページに参りまして,注釈の80でございます。データの流出防止のための様々な措置につきまして,政省令ではなくて法律に明記をして,具体的なレベルをガイドラインで規定すべきという御意見を記載しております。

それから,注釈の84,ここでは主体となる図書館等の範囲に関しまして,許認可制とし,定期的な運営状況のチェックなどをすべきという御意見を紹介しております。

それから,注の87では,主体となる図書館等の要件につきましても,政省令などではなく,法律で定めるべきという御意見もございましたので記載しております。

次に,21ページに参りまして,補償金の取扱いについての御意見でございます。まず,注釈の89におきましては,基本的な考え方として,現在行われている複写・郵送がメール送信等に変更されることで権利者の利益に大きな影響を与えるとは考えづらいことから,補助金請求権を一律に付与することは妥当ではないという御意見を紹介しております。

一方で,これに関しましては,注釈の91ですけれども,制定当時とは異なり,複製によって出版社・権利者が被る不利益は増しているため,現在無償となっている複製も含めて補償金請求権の付与を検討すべきという御意見もございましたので,記載しております。

それから,注釈の93でございますけれども,補償金を適切に分配するために図書館で送信実績を正確に把握・管理するという点に関して,事務負担が増大することを避けるために合理的なシステムをつくる必要があるという御意見を記載しております。

それから,22ページに参りまして,注釈の96でございます。補償金額の水準に関しまして,仮に全体を送信した場合の補償金額が書籍等を購入するより安くなる場合には脱法行為を招くことが懸念されるという御意見,過剰な利用を抑制する観点からも,補償金額は複写サービスにおけるコピー代・手数料等を超える額とすべきという御意見,逆に,現行の郵送料金と同額,それ以下とすべきという御意見もございましたので,記載しております。

それから,注釈の100では,出版物ごとの読者層・価格の相違などを踏まえて補償金額の算定も出版物ごとに個別に行うべきという御意見があった一方で,事務負担軽減の観点からの配慮を求める御意見もありましたので,あわせて紹介をしております。

それから,注釈の101では,学生の補償金を低廉な額とするのは妥当ではないという御意見を紹介しております。

それから,23ページに参りまして,注釈の102におきましては,紙の出版権のみを有する者,出版権を有しない出版社などについても,適切に補償金を支払うべきという御意見を紹介しております。

また,注釈の103におきましては,補償金の支払い主体が図書館等の設置者になることで,図書館予算が圧迫され,出版物購入費などが削減されるといった懸念があるため,法律上の支払い主体を利用者とすべきという御意見や,事実上利用者に全額転嫁することを徹底すべきという御意見を紹介しております。

それから,注釈の105でございます。ここでは,もともと,公立図書館の無料公開原則との関係で,補償金を徴収しても,それが印刷代や郵送代と同じような実費として観念できるだろうということを記載しておりましたが,パブリックコメントでは,こう記載することで,補償金の水準が印刷代・郵送代と同等の額になるという印象を与えるという御指摘もございましたので,そういう趣旨はないということを確認的に追記しております。

それから,24ページに参りまして,(5)マル1,サービス利用者の登録でございます。こちらは,もともとの記載の趣旨を明確化する観点で,図書館等においてあらかじめ利用者に対して説明すべき事項として,著作権法の規定の要件を書き下す形で記載しております。調査研究目的での利用,著作物の一部分の利用に限られること,複数回に分けて全文を取得することは違法であること,こういったことも含めて明示をすべきとしております。それから,不正利用が判明した場合の利用停止についても記載を追加しております。

それから,注釈の106では,利用者管理に関しまして,表現の自由,個人情報の取扱いなどへの配慮を求める御意見を紹介しております。

それから,注釈の108では,脱法行為防止のためのチェックに関しまして,図書館等では,利用の秘密を守るために利用履歴は速やかに破棄するため,精査には限界があるという御意見を紹介しております。

一方で,注釈の109では,全ての施設で一元的な登録として,脱法行為も含めて一元的なチェックをすべきという御意見もございましたので,紹介しております。

最後に25ページに参りまして,まとめの冒頭部分におきまして,権利者団体を中心に,著作権法の規定やガイドラインを遵守した適切な運用がなされるための周知・普及啓発が重要であるという御意見がございましたので,その旨を記載しております。

それから,注釈の114におきましては,法施行までの間にやるべきことは多岐にわたるため,施行日を定めるに当たっては十分な検討ができる準備期間を確保すべきという御意見を紹介しております。この点は,早急に法整備等を行うべきではありますけれども,当然,しっかりとした準備を行うことも必要ですので,それを十分に考慮して施行日を考える必要があるものと認識をしております。

それから,注釈の116におきましては,学校図書館の取扱いについて,パブコメにおいても追加すべきという御意見があった一方で,慎重な検討を求める御意見もあったことを記載しております。

それから,注釈の117では,学校図書館のみならず,病院図書館,専門図書館を追加することについての御意見も紹介しております。

駆け足でございますけれども,事務局からの説明はひとまず以上でございます。

【茶園主査】どうもありがとうございました。ただいま事務局から説明があった内容等につきまして,御意見,御質問等がございましたら,御発言をお願いいたします。何か御意見,御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

では,奥邨委員,お願いいたします。

【奥邨委員】報告書の修正案については賛成です。それらと重なる部分もありますけれども,今回,制度の具体的な部分というのは,法改正後の政省令やガイドラインに委ねられる部分も多いので,その際にはぜひ留意していただきたいなという点だけを簡単に申し上げたいと思います。こちらでもたくさん声があったように,保護と利用のバランスを取るということは,非常に重要な大前提ですが,同時に,今回は,紙でできることはデジタルやネットでも同じようにできるようにするということを目標にしつつ,バランスは補償金で取るという部分もあるわけですので,あまりに複雑・堅固な保護システムにし過ぎて,角を矯めて云々というふうなことにならないような配慮ある議論が望まれると思います。 あと,セキュリティーとか脱法行為防止のためにいろいろな措置が必要ということも分かるんですけれども,図書館の利用履歴というのは非常にセンシティブな情報であるということも事実でありますので,そこもやはり配慮が必要だろうというふうに思います。

それから3点目ですけれども,どうしても,そこまで配慮がいかない部分もあるんですが,今回のようにデジタル・ネットワーク対応が進展すると,障害者の方の情報アクセスに対するメリットに非常になるというところがあります。この報告書の中にも,例えば暗号化を厳しくし過ぎて,視聴覚障害者の方に対するマイナスにならないようにという意見がありました。例えば図書館に通うことが難しい肢体不自由の方とか,いろいろな方にとっても,今回の改正はプラスになることは事実であります。したがって,そういう方にもマイナスにならないよう,バランスのある,今後の改正法の運用の議論というのが望まれるというふうに思っております。

繰り返しになる部分もありましたが,賛成ではありますけれども,一言申し上げたいと思います。以上です。

【茶園主査】ありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。

では,大渕委員,お願いします。

【大渕委員】パブコメでいただいた貴重なご意見をうまく注記で入れていただくなどしまして,本文のほうも多少分かりにくいところを修正していただきまして,ありがとうございました。方向性としては大変結構で,従前の基本線を維持しつつ,分かりにくいところをうまく加筆したり削除したりしていただいて,我々がワーキングチームで考えてきたものを非常に明確に書いていただいたと思います。基本線はよいのですが,このような形で基本線を出したので,できるだけ法律の条文としても,その基本線が明らかになるようにしたほうがよいのですが,これは変わっていないところを見ると,いろいろ難しいのだろうとは思います。

私として重視しているのは,2つ目の送信サービスのほうの正規市場とバッティングしないということで,皆さんもこれが非常に重要なところだと,盛んに強調されているところです。民間ベースと図書館とがバランスよく今まで共存してきて,文化に貢献してきたわけですが,民業圧迫というか,電子出版等の民間の市場に非常に大きな影響を与え得る可能性があります。そこのところは出発点の哲学になるかと思いますが,正規市場に不当な影響を与えないということについて,私は日本版フェアユース的なものには反対で,きちんと明確に要件を書くべきだと思っています。各条にあるただし書は,通常のメルクマールというか要件では書けないような安全弁的な細かいところをきちんと押さえておくためには,むしろこれ以上にクリアカットなルールでは書けないから,このようなただし書的なものになっているのだと思います。

しかし,正規市場に悪影響を与えないというのは,絶版等資料ないし入手困難資料のほうはおのずから縛りがかかっているからよいのですが,通常の送信サービスのほうは,これを広げられると,バッティングしてしまいます。通常の各条では,明確に要件を書くことが困難だからただし書に入るような条文イメージが示されているのですが,ここでは,私としては,クリアカットに書けるものであるから,むしろ積極要件としてきちんと出したほうがよいと思います。権利者,利用者全員からして,何か趣旨がよく分からないものよりクリアカットに書かれているほうがよいので,第一希望としてはきちんと積極要件に書くし,第二希望としては,ただし書に入れるにしても,その他大勢の要素の中に埋没させるのではなくて,この枢要点を考慮要素として明記するなど,いろいろと工夫の余地があるかと思います。基本線自体はこのとおりでよいのですが,せっかくの基本線が国民にとっても疑義のないような形でクリアカットなルールになることが重要だと思いますので,そこの点は御工夫いただければと思っております。

それからもう1点,後者のほうの補償金については,今まで,補償金というとノミナルな額のものでもよいのではないかというイメージも漠然とあったかと思いますが,今般のは,補償金を払ってでも,もっとよいサービスを受けたいという人用のものですので,ノミナルな補償金ではなくて,実額を反映するようなきちんとしたリアルな額の補償金が前提となっています。この31条という重要な条文は,今までなかなか改正ができなかったのですが,私としては,正規マーケットとのバッティングがないというところをピン留めした上で,きちんとした実額的な補償金で支えているからこそ,突破口が開けたのであると思います。リーズナブルな合理的なフィーであれば,フィーを払ってでも高いレベルのサービスを受けたいという人のニーズに応えるというのが,権利者・利用者双方にとってウィン・ウィンになると思います。安くしろというような御意見もありますが,私はむしろ逆で,ここのところを崩してしまうと,下支えが崩れてしまい,そのため,本体のせっかくの利便性の向上というものが図れなくなりますので,利便性の向上をきちんとやるためにも,下支えをきちんと実現するということが重要だと思っております。

取りあえず大きいところは以上です。よろしくお願いいたします。

【茶園主査】ありがとうございました。ほかに何か御意見,御質問等ございますでしょうか。今村委員お願いします。

【今村委員】パブリックコメントがいろいろな形で丁寧に整理されて,盛り込まれて,非常に権利者と利用者の利益のバランスが取られている形になったと思います。1点だけ改めて確認させていただきたい点がありまして,19ページのところで,これは前回の委員会のときにももう既に整理されたところだとは思うんですけれども,送信されたものについての,その後の複製の問題です。一応,その限りにおいて受信者側の複製も権利制限の対象に含めるということで,送信されたものが,複製主体が利用者であるという認識の下で複製行為がなされるということになります。この点,その後の複製は,図書館が利用主体となる31条1項1号の従来の複製とは違う形の複製になると思います。たしかに利用者を複製主体に含めるということは,これをしないと利用が不便になりますから,当然だとは思うんですが,この複製自体が補償金の対象になるかどうかというのはまた別の問題ではないかと思います。他方で,21ページ目の補償金の対象範囲を見ると,補償金の対象とするのは,今回拡大する公衆送信のみということが適当だということでした。そのため,確認なんですけども,31条1項1号について,従来から認められている複製に補償金をつけないというのは,それはそれでいいと思うんですけれども,公衆送信に伴って,その後なされる複製行為も,これも補償金は発生しないという形で制度化するという形になるんでしょうか。その点だけ,念のため確認させていただければと思います。

【大野著作権課長補佐】事務局としての認識を回答いたします。今回の補償金請求権については,あくまで,図書館側がメール送信などを行う際の補償金という位置づけだと理解をしておりまして,受信者側で受信した後に複製するという行為について補償金を課すという議論はワーキングでも小委員会でもなく,そこには補償金を課さないというのが共通認識だったものと思います。

一方で,図書館側が公衆送信を行う際の補償金につきまして,受信した利用者がどういう形で利用し得るかという点も加味した上で金額の設定がされるということはあり得ると思います。そういう意味で,間接的には影響してくるかもしれませんが,利用者が手元で行う複製行為について,直接補償金を課せられるということはないということでございます。

【今村委員】分かりました。ありがとうございます。

【茶園主査】今村委員,よろしいでしょうか。

【今村委員】はい,大丈夫です。

【茶園主査】ありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは,今,御質問そして御意見をいただきましたけれども,いただいた御意見は,この報告書案にあります内容を実際に具体化する際に,十分に考慮すべき点を御指摘いただいたものだと思いまして,本報告書案自体について修正を必要とするところはなかったというように思っております。そうだといたしますと,この報告書案をこのまま本小委員会としての報告書として取りまとめさせていただきたいと思っております。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【茶園主査】ありがとうございます。では,この報告書につきましては,今後,著作権分科会においてさらに審議をいただいた上で,著作権分科会としての報告書として取りまとめをしていただく予定でございます。どうもありがとうございました。

では続きまして,議題(2)に入ります。議題(2)は,独占的ライセンシーに対する差止請求権の付与及び独占的ライセンスの対抗制度に関する審議の経過等についてでございます。本件につきましては,本年度も本小委員会の下にワーキングチームを設置いたしまして,昨年度のワーキングチームにおいて継続検討課題となっておりました独占性の対抗制度及び独占的ライセンシーに差止請求権を付与する制度の導入について検討を行っていただきました。

計4回にわたる議論を経まして,1月13日付で,「著作物等のライセンス契約に係る制度の在り方に関するワーキングチーム審議経過報告書」が取りまとめられております。その内容につきまして,座長の龍村委員と事務局より御説明をお願いしたいと思います。では,よろしくお願いいたします。

【龍村委員】では,龍村のほうから御説明させていただきます。著作物等のライセンス契約に係る制度の在り方に関するワーキングチームにおける検討状況を御報告いたします。

本ワーキングチームでは,昨年度より,独占的ライセンスの対抗制度の導入及び独占的ライセンシーへの差止請求権を付与する制度の導入という2つの課題について,専門的かつ集中的な検討を行っております。

昨年度のワーキングチームでは,検討で用いる用語・概念や検討対象場面等,検討の前提となる情報や考え方を整理いたしましたが,今年度のワーキングチームでは,昨年度の整理を前提に,想定される課題解決手段のうちの一つについて検討事項を整理し,それぞれの考え方を審議経過報告書にまとめております。

具体的には,課題解決手段として主に二つ,現行法上は債権的な効力しか認められていない独占的ライセンスについて,独占的ライセンスの対抗制度や独占的ライセンシーへの差止請求権を付与する制度を導入するという方法と,特許法における専用実施権のような物権的な独占的利用権を著作権法上に創設するという方法が想定されているところでございますが,今年度は,そのうちの債権的な独占的ライセンスについて各制度を導入するという方法についての検討事項を整理し,考え方をまとめております。

また,今年度の検討では,引き続き検討を要するとされた事項もあり,今後,その他の課題解決手段についての検討も想定されておりますので,本課題については,来年度も引き続き検討を継続することとされております。

審議経過報告書の詳細については,事務局のほうから追加説明をお願いいたします。

【高藤著作権調査官】それでは,資料2を御覧ください。著作物等のライセンス契約に係る制度の在り方に関するワーキングチームの審議経過報告書になります。大部になりますので,細かく説明すると時間もかかりますので,適宜要約しながら御説明させていただきたいと思います。

まず,1ページ目の「1.検討の経緯」,2ページ目の「2.検討の進め方」などについては,先ほど座長の龍村委員のほうから御説明いただいたとおりですので,割愛させていただきます。

2ページ目の「3.審議経過」のところから御説明させていただきます。

今年度は,独占的利用許諾構成,こちらは先ほど龍村委員より御説明いただいた,債権的な独占的ライセンスについて,独占的ライセンスの対抗制度及び独占的ライセンシーの差止請求権の制度を導入するという方法ですけれども,これについての個別の検討事項を整理しまして,その考え方を整理しております。(1)で独占的ライセンスの対抗制度,(2)で差止請求権の制度についてまとめております。

まず,(1)独占的ライセンスの対抗制度ですけれども,1つ目の検討事項として,独占性を主張することができることの法的意味ということで,まず,どういう法的効果を持つような制度を導入するのかというところを議論しております。3ページ目の上のところに書いてありますけれども,独占性を主張するということの意味については,昨年度の用語の整理に従えば,独占的ライセンシーが債権的な独占的ライセンスを付与されたことによって取得する著作物等の利用を独占的に行うことができるという地位というものを,その主張の相手方に対して積極的に主張することができると。その主張の相手方が当該著作物等を利用する行為を独占的ライセンシーとの関係で不法と評価することができることを意味するのではないかという形でまとめております。また,3ページ目の上から2段落目のなお書きで書いていますけれども,この独占性を主張することができるという意味と,差止めができるということについては,理屈上は別物だという前提で議論を進めております。

続いて3ページ目の「イ 独占的ライセンスの対抗制度導入の必要性及び許容性」ですけれども,こちらについては,いずれも認められるという形で,ワーキングチームでは意見が一致しております。ただ,6ページの最後,マル5のまとめというところに書いておりますが,独占的ライセンスの対抗制度を導入した場合につきましては,独占性の対抗を受ける著作権等の譲受人や,二重ライセンスの場合の他のライセンシーにおいて,その著作物を適法に利用することができなくなるということになりますので,そういった意味で影響が大きいと。したがって,今回,独占的ライセンスの対抗制度を導入するに当たっては,何らかの公示または,その第三者において悪意であるといったような要件設定が必要ではないかと。そういった要件設定をするのであれば,この独占的ライセンスの対抗制度について導入することも許容されるのではないかという形でまとめております。

これを前提に,7ページ目,「ウ 制度設計」についてという部分ですけれども,ここでは3つの制度について検討を行っております。7ページ目の四角囲いで囲っていますけれども,まず1つ目として,登録を対抗要件とする制度,2つ目として,ライセンス契約に基づく事業実施を対抗要件とする制度,3つ目として,対抗要件を要しないが,悪意者に対してのみ対抗することができるという制度,この3つについて検討を行っております。

まず,事業実施対抗制度についてですけれども,こちらについては,ライセンス契約に基づいて事業実施をしていたとしても,それが独占的に行われているかどうかというのはなかなか分からないと。仮に,事実上独占的に利用しているというところまで要件として求めると,その対抗要件を備えるためのハードルが非常に高くなる。そういった意味で,なかなかこの事業実施対抗制度については採用することができないのではないかという形でまとめております。

続いて8ページ目,悪意者対抗制度についてですけれども,こちらについても,第三者が悪意者かどうかというのは直ちに明確に判断がしにくいという意味で,実務に混乱を招きかねない。また,悪意者対抗制度を取った場合については,後から善意者が現れてしまうと,その分,適法に利用できる人がどんどん増えていくため,確定的に独占性を主張することができる地位というものを独占的ライセンシーにおいて自力で備えるということができなくなるので,そういった意味で,この悪意者対抗制度というものを単独で採用することについては,妥当ではないのではないかという形でまとめております。

ただ,8ページ目の上から3段落目,「もっとも,」というところですけれども,登録対抗制度のような公示制度を採用しつつ,その制度による公示を備えていなくても悪意者には対抗できるといったような制度設計をすることも考えられるのではないかという御意見,御指摘もありまして,その点について引き続き検討が必要だろうというまとめ方をしております。

続いて9ページ目,(ウ)の登録対抗制度の部分ですけれども,ワーキングチームでは,制度としての安定性や公示としての明確性といった観点から,登録対抗制度とすることが基本的にはよいだろうという形で意見が共通したところですが,ただ,これに関しては,様々なヒアリングなどでも,登録対抗制度についてはコストがかかったり,日々発生する大量の著作物等について一々登録を行うことは現実的ではないといった御意見もあって,なかなか使いにくいといった御指摘もあるところです。したがって,ワーキングチームでは,単に現行法のような著作物単位での登録対抗制度だけを採用するというのではなくて,例えば著作物単位での登録対抗制度を採用しつつ,別途,登録の代替となる対抗要件を設けると。例えばですけれども,民間のデータベースに登録すれば,文化庁への登録がなくても対抗できるとか,あるいは書籍の奥書きなどに独占的ライセンスを持っているということについて明記していれば,明認方法といった形で対抗要件の具備を認めるような制度をつくることはどうかといったような御意見もあったところです。また,登録対抗制度自体の改善についても検討してはどうかといった御指摘もあったところでございます。この点につきましては,引き続き来年度も検討が必要ではないかということで,基本的には登録対抗制度を採用することが妥当としつつ,登録制度を使いやすくするとかいった形での手当てか必要ではないかといった形でまとめております。

続いて11ページ目に飛びますけれども,契約承継の問題との関係というところになります。こちらにつきましては,利用権の当然対抗制度を議論した際にも同様の議論があったところでございますけれども,そのときの議論が概ねこの独占的ライセンスについても当てはまるだろうということで,ワーキングチームでは意見が一致したところでございます。

結論としましては,13ページ目に行きますけれども,契約が承継されるか否かについては,個別の事案に応じて判断されると。ただ,契約を承継しない旨の合意を契約で明確にしておけば,それについては,契約の承継が否定されるということについては認めてよいだろうといった形でまとめております。

続いて14ページ目ですけれども,著作権等管理事業への影響というところを書いております。こちらにつきましては,独占的ライセンスの対抗制度が導入された場合に,著作権等管理事業においてどうなるかといったところを記載しております。こちらは,独占的ライセンスの対抗制度を機械的に適用するとどうなるかといったところを書いているところですので,御説明の詳細については割愛させていただきます。

少しページが飛びまして,20ページ目になります。「(2)独占的ライセンシーに対し差止請求権を付与する制度」,こちらは差止請求権の制度についての検討事項をまとめているところになります。 まず,「ア 差止請求権付与の正当化根拠」というところになりますけれども,こちらにつきましては,債権的な合意を基礎とする独占的な利用権という点で共通する民法上の不動産賃借権に関する議論を手がかりに,独占的ライセンシーに差止請求権を付与する正当化根拠をどのように考えるかといったところをまとめております。

20ページ目の(ア)のところで,民法上の議論ということで,不動産賃借権に基づく妨害排除請求権の正当化としてどのような見解が示されているのかというところをまとめております。大きく4つほど,民法上このような見解があるのではないかということが指摘されておりまして,まずマル1が不動産賃借権の特殊性による正当化というところで,不動産賃借権というのが,人が生活したり事業をしたりするための基盤であるといったことや,借地借家法,農地法といった特別法によって不動産賃借権の継続性が強化されているといった特殊性に着目して,妨害排除請求権を正当化する見解があります。

続いてマル2のほうについては,不動産賃借権について,対抗力を備えれば,それについては妨害排除請求権を認めてもよいだろうという見解になります。

21ページ目ですけれども,マル3の対抗制度による正当化についても,基本的には,不動産賃借権を対抗できる場合について,妨害排除請求権を認めてよいだろうという見解ですが,このマル2とマル3の違いとしましては,不法占有者に対しての妨害排除請求において対抗要件の具備を要するか否かといったところが変わってくると。マル2のほうは,対抗力を備えてはじめて不法占有者に対する妨害排除請求が認められるというのに対して,マル3のほうは,そもそも対抗制度において,不法占有者に対しては対抗要件を備えなくても不動産賃借権を主張できるはずであるのだから,不法占有者に対しては対抗要件を備えなくても妨害排除請求ができるだろう,というような見解になります。

マル4の占有による正当化については,不動産賃借人がその目的物である不動産を占有していれば,妨害排除請求を認めてよいだろうというような見解になります。

これについてワーキングチームで議論したところ,基本的にはマル3の考え方が妥当ではないかと。独占的ライセンスの対抗制度を導入して独占性を主張できるとした場合に,独占性を主張できるだけで,その救済方法として差止請求権を認めないということにすると,権利の実効性を著しく欠く,といったような観点から,マル3の考え方を前提に,独占的ライセンスを主張できる場合については差止請求権を認めてよいのではないかと。

ただ,23ページ目,マル5のまとめのところの2段落目で書いていますけれども,民法でも様々議論があるところですので,これについては,民法上の議論,法体系全体との整合性というものを引き続き適切に整理する必要があるのではないかというような御指摘もあったところです。これに対しては,そもそも不動産賃借権と独占的ライセンスにおいては,権利の対象が有体物か無体物かといったような本質的な違いを含む違いもあって,そのような違いからすると,有体物を前提とする議論というものが無体物を対象とするこの著作権の独占的ライセンスに直ちに妥当するわけではないのではないかといった御指摘もあったところでございます。

したがいまして,この点に関しては,基本的にはマル3の考え方が妥当としつつも,引き続き民法を含めた法体系全体との整合性などについてさらなる検討,整理が望まれるという形でまとめております。

続きまして24ページ目に行きますけれども,「イ 著作権者等の意思への配慮の要否及び方法」というところで,こちらにつきましては,独占的ライセンシーが差止請求権を行う際に,その要件として,著作権者の承諾や,その他著作権者に配慮した要件というものを必要とするかどうかといった議論になります。こちらにつきましては,まず,24ページ目の(ア)のところで,基本的に,ワーキングチームとしての意見としては,差止請求権の発生要件や行使要件として,著作権者等の承諾やその他の著作権者等の意思に配慮した要件は不要という形で意見が一致したところでございます。やはり独占的ライセンスを付与した以上は,その独占的ライセンスを確保するために差止請求権を行使するということについて,ライセンサー側はそれを受忍すべきだろう,というような考え方に基づいております。そして,例外的に著作権者に対して何か配慮しなければならないといった事態があるのであれば,それは契約上,債権的に拘束することで足りるのではないかと。

ただ一方で,25ページ目(イ)のところで書いていますけれども,実体的な要件としてはそのような形でもよいかもしれないが,訴訟手続面での配慮については,別途考慮の余地があるといった御指摘もあったところです。例えばですけれども,独占的ライセンシーが差止請求を求めて訴訟を提起するといった場合については,事前にライセンサーへ通知をするといった義務を課すことも考えられるのではないかと。ただ一方で,そこまでする必要はないのではないかといった御意見もありまして,この点に関しては,来年度も引き続き検討が必要ではないかというような指摘もされているところでございます。

続きまして,27ページ目,「ウ 民法605条の4の規定との整合性」と書いてある部分でございます。こちらは「(ア)問題の所在」に書いていますけれども,民法605条の4というのは,不動産賃借権に基づく妨害排除請求権について規定しているものになります。先ほども申し上げたとおり,不動産賃借権と独占的ライセンスは債権的な合意を基礎とする独占的な利用権という点において共通すると思いますので,実際に法律に規定する際には,この規定との整合性についても配慮が必要だろうと。民法の605条の4に関しては,条文を見てもらえると分かると思いますけれども,対抗要件を備えた場合において,各妨害排除請求ができるとされておりまして,対抗要件を備えなければ,不法占有者に対しても請求ができないような書きぶりになっていると。さらに,同規定には妨害予防請求が規定されていない。この2点に関し,独占的ライセンスにおいてどう考えるかといったところが問題となっております。

まず,27ページ目の(イ)の部分,独占的ライセンスについて,そもそもこの2つの問題について認めるべきか,認めるべきではないかといったところですけれども,先ほど,差止請求権の正当化根拠のところで申し上げましたけれども,マル3の対抗制度による正当化を前提とするのであれば,対抗要件を備えていなくても不法利用者に対して差止めできることが望ましいといった考え方になりますので,対抗要件を備えていない独占的ライセンシーでも不法利用者に対しては差止めを行うことができるとすべきということになります。

侵害の予防請求につきましては,著作権法の場合,基本的には,侵害行為というのは,複製や翻案といった一時的な行為,継続的ではない行為というものが多いと思いますので,仮に予防請求を認めないとすると,ほとんどの場合に差止めができないという事態にもなりかねないことから,基本的には独占的ライセンスについては,予防請求まで認めるべきだろうということを書いております。

その上で,28ページ目の(ウ)のところで,この民法605条の4との整合性についてどう考えるかといったところをまとめております。まず,対抗要件を備えなければ妨害排除請求ができないかどうかといったところですけれども,こちらは,民法605条の4の立法時の議論におきましては,必ずしも不動産賃借人による不法占拠者に対する妨害排除請求の要件として対抗要件の具備が要求されないという考え方を否定しているわけではないといったことが,議事録などでも確認がされておりますので,独占的ライセンシーが,不法利用者に対して差止請求をする際に,対抗要件を備える必要がないとしたとしても,必ずしもこの民法605条の4の規定における考え方と整合しないわけではないという形でまとめております。

また,予防請求につきましては,この民法605条の4の立法時の議論においては,賃借権に基づく妨害予防請求について,これを認める判例がないということと,債権である賃借権に基づいて物権的な請求権が認められるのはあくまで例外的なものであるということで,予防請求まで認める必要はないという議論がされていたところでございます。ただ,独占的ライセンシーに関して見ると,判例がないという点につきましては,そもそも不動産賃借権については,判例上,妨害排除請求権が認められている中で予防請求を認めた判例はないという状況でしたけれども,今回の独占的ライセンシーの差止請求権については,解釈上もそもそも差止請求権が認められていなかったという状況ですので,不動産賃借権とは少し状況が異なると。その意味で,判例がないということが,何かその考え方に示唆を与えるものではないだろうと。

また,債権であるという理由ですけれども,こちらについても,債権であるから論理必然的に予防請求を否定されるというものでもないだろうと。また,不動産賃借権の場合は,占有という継続的な行為が主たる侵害行為として想定されますけれども,独占的ライセンスの場合についてはそうではないというところで,侵害行為の態様についても大きく違いがあるだろうと。

そういったところから,独占的ライセンスに基づく差止請求において予防請求を規定したとしても,この民法605条の4との違いというのは説明可能だろうということをまとめております。

ただ,29ページ目の「まとめ」のところに書いていますけれども,この民法605条の4の規定と異なる規定ぶりができるかといったところについては,法制的な観点から別途検討が必要だろうということを指摘しております。

29ページ目の「エ 完全独占的ライセンスと不完全独占的ライセンスの違いについて」というところですけれども,こちらにつきましては,完全独占的ライセンスと不完全独占的ライセンスでは,差止請求権が認められる範囲に違いがあるだろうというところで,まず,不完全独占的ライセンスについて差止請求権が認められる範囲について(ア)で述べております。不完全独占的ライセンスというのは,ライセンサー自身の利用については認めるというような独占的ライセンスですけれども,このライセンサー自身の利用について認めるという意味については,2つの解釈があり得るだろうと。四角で囲っていますけれども,(ⅰ)にありますように,著作権者等という属性を有する者による著作物の利用に限って認める趣旨だという場合と,(ⅱ)にありますように,そうではなくて,著作権者等という属性には着目せずに,契約の当事者であるそのライセンサー自身の利用に限って認める趣旨だという場合があるだろうと。両者で差止請求権が認められる範囲に違いが出るのですが,著作権等が譲渡された場合の著作権等の譲受人について,(ⅰ)の場合は著作権等という属性を有する者について利用を認める趣旨なので,著作権等の譲受人はそのまま利用ができ,差止請求を受けることはないと。一方で,(ⅱ)のように,著作権者等という属性に着目していない場合については,著作権等が譲渡されたとしても,著作権等の譲受人は差止めを受ける地位に立たされるということになるという点で(ⅰ)の場合と違いが生じると。

そして,31ページ目に飛びますけれども,「(イ)完全独占的ライセンスと不完全独占的ライセンスの違い」というところですけれども,今申し上げたとおり,不完全独占的ライセンスでは,一部,ライセンサーだけか,もしくは著作権等の譲受人に対してかというところで違いがありますけれども,差止請求権が認められる範囲が一部制限されていると。他方,完全独占的ライセンスついては,そういった制限がないという意味で不完全独占的ライセンスとの違いがあるということを書いております。

続いて,31ページ目の「オ 施行日前に設定された独占的ライセンスの取扱い」ですけれども,こちらにつきましては,もし制度が導入された場合に,その施行日前に設定されていた独占的ライセンスについても差止請求権を付与してよいのかといった問題になります。こちらにつきましては,各関係者の予測可能性を害しないかといった問題が出てきますけれども,ワーキングチームでは,34ページ目の上のところ,(エ)でまとめていますけれども,基本的には,施行日前に設定された独占的ライセンスであるからといって,差止請求権の付与が否定されることはないというふうに考えられると。ただ,その前提として,独占的ライセンスにおいて,いかなる場合に第三者にその独占的ライセンス対抗できるかといった対抗制度のところで,各関係者の予測可能性を害さないような制度設計を行うことであったり,もしくは,その過去の独占的ライセンスについて差止請求権を付与することで,著作権者等の予測可能性が害されるというような場合が例外的に生じることがあるのであれば,それについては手当てが必要かもしれないというところで,一定の手当てを行う必要性についても書いております。

続いて,34ページ目の「カ 複数人による独占的な利用を認めるライセンスの取扱い」ですけれども,こちらにつきましては,大きく2つの場面で分けて検討する必要があるだろうという指摘がありまして,まずマル1ですけれども,複数のライセンシーが共同で利用行為を行うことを許諾する場合,例えば1つの小説を複数のライセンシーが共同で出版するような場合。2つ目として,複数のライセンシーがそれぞれ独立して同じ範囲で利用行為を行うことを,それぞれのライセンシーに許諾する場合において,各契約で認められたライセンシー以外の者に重複するライセンスを付与しないという旨の合意がなされている場合。例えば1つの小説を複数のライセンシーがそれぞれ独立して出版して,それぞれの出版について各ライセンシーが相互に承諾するけれども,それら以外の者については利用を認めないというような場合。

まずマル1のほうにつきましては,特許法の専用実施権で共有が認められていることや,この場合,複数のライセンシーが会社などを設立して,1つの法人として独占的ライセンスの設定を受ける場合と実態的には異ならないだろうと。そういった意味で,このような場合に差止請求権を付与しても問題ないのではないかという形でまとめております。

また,(イ)のマル2についてですけれども,これにつきましては,そもそもそういう場合について独占と評価してよいのかといった疑問もあるといったところで,様々これについて差止請求権を認めるべきか否か,もしくは認めるとしても,その法的構成についてどのように考えるかといったところで様々な御意見があったところです。ただ,これについて,ワーキングチームでは統一的な見解は見いだせなかったところでございますので,この点についても引き続き検討が必要だろうという形でまとめております。

次に,36ページ目,「キ 独占的なサブライセンスを受けたサブライセンシーの取扱い」という部分です。まず,このサブライセンスの法的構成につきましては,利用権の当然対抗制度導入時の議論においても,2つの構成というものが想定されるという指摘がなされております。1つ目が授権構成と呼ばれるもので,ライセンシーはライセンサーから授権を得て,著作権者に代わってそのサブライセンシーに対して利用許諾をしていると。したがって,許諾を受けたサブライセンシーは著作権者に対する利用権を取得することになるという構成になります。

37ページ目の上のほうに図1として図示しておりますけれども,独占的ライセンシーが授権を得てサブライセンシーにサブライセンスをしているというところで,サブライセンシーは直接ライセンサーに対して独占的利用権を持つと。その際,このマル1の独占的ライセンス契約を前提としないので,独占的ライセンス契約とは別に授権契約というものが観念されて,それに基づいてサブライセンスをしているのだろうということになるかなと思います。

37ページ目の下のマル2のところですけれども,もう一つの構成として賃貸借・転貸借構成というものを想定しております。こちらは,著作権者,ライセンシー,サブライセンシーの関係を,賃貸借契約における賃貸人,賃借人,転借人の関係と同様のものであると構成するものであります。これを図示しますと,38ページ目の上のほうの図2になります。こちらにつきましては,独占的サブライセンシーは直接的には独占的サブライセンシーに対して独占的利用権を持つのだろうと。ただ,それについて承諾しているライセンサーに対しても,その独占的利用権は主張できると。また,この場合,マル1の独占的ライセンスを前提にサブライセンシーの権利というものがありますので,マル1の独占的ライセンス契約が消滅した場合には,それとともにサブライセンスについても消滅するといった形で連動するものになるだろうと。

これに関しては,マル1の授権構成で考えた場合については,ライセンシーが複数の独占的ライセンスを認めているのと事実上同じ状態になるのではないかと。したがって,これについては,ライセンシーが複数の場合の独占的ライセンスというものを認めないと考えるのであれば,ここの議論にも影響してくるといった御指摘があったところです。また,マル2の場合については,独占的サブライセンスを受けたサブライセンシーも差止請求権を行使できて,また,著作権者の意向を聞かなくても独占的ライセンシーは差止請求できるということからすると,独占的サブライセンシーも独立して差止請求ができるのではないかといった御意見もあったところです。こちらにつきましては,複数のライセンシーがいる独占的ライセンスを認めるか否かといった他の論点とも連動してきますので,その論点の整理と併せて,引き続き検討が必要だろうという形でまとめております。

続いて,38ページ目の下の「ク 特許法その他の知的財産権法との関係」ですけれども,今回の議論は,基本的には特許法などでなされている議論と大きく乖離するものではないだろうということを確認しております。むしろ,特許法の専用実施権のようなものについては,権利として強過ぎるため,使い勝手の悪い制度だという点で,今回のような独占的利用許諾構成のような制度設計とすることが望ましいのではないかといったような御指摘もあったところです。

39ページ目の「ケ 差止めの範囲」ですけれども,こちらにつきましては,基本的に独占的ライセンス契約において定められている範囲で差止請求権が認められるのだろうと。具体的には,独占的ライセンス契約において利用権が設定されていて,かつ,独占性が付与されている範囲というのが差止請求権が認められる範囲になるだろうということを書いております。

最後,40ページ目,(3)のまとめのところですけれども,以上のとおり,独占的利用許諾構成を前提に,独占的ライセンスの対抗制度,差止請求権の制度について検討してきたところ,独占的ライセンスの対抗制度,差止請求権の制度,いずれにつきましても,さらに検討を要するといった事項が多々ありますので,これにつきましては,来年引き続き議論,検討を要すると。また,その上で,出版権的構成やその他の構成についても検討を進め,最終的な取りまとめをするという形でまとめております。

長くなりましたけど,事務局からの説明は以上になります。

【茶園主査】ありがとうございました。ただいまの御説明を踏まえまして,御意見,御質問等がございましたら,御発言をお願いいたします。何か御意見,御質問等ございますでしょうか。

よろしいでしょうか。特にございませんか。

では,大渕委員お願いします。

【大渕委員】非常に詳細に御説明いただきましてありがとうございます。これは非常に難しい論点で,思い返しますと,特許法では,平成23年改正という大きな改正があって,50年に一度の大改正ということで,再審制限とか,冒認とか,特許法167条とか,ライセンスの当然対抗制とか,山のようにやりました。その改正のときにも,検討の途中まで行ったのですが,この排他的ライセンスに基づく差止めは,あまりにも改正項目が多かったので,先送りにしてそのままになって,今度は文化庁のほうでやっているということであります。50年に一度の大改正でも先送られたような難しい排他的ライセンス,独占的ライセンスに基づく差止めというこの大論点を着実に,前年度は概念の整理だけだったのですが,とうとう本格的に進めていただいております。許諾構成というよりは,私としては,特許法には通常実施権というので「権」というのがあったのに対して,著作権法のほうは利用許諾というだけで,あまり「権」にもなっていなかったのが,注2にあるように,令和2年改正で利用権という言葉ができたことで議論しやすくなったかと思います。これについて,独占的利用権ということになるのでしょうか,それに基づく差止請求という大きな論点について議論が前進して,次は来年,出版権という物権的なものとの対比などの話になって,出版権のほうも本当はいろいろと改善の余地がありそうですので,そこも含めて着実に進めていただければと思います。

それから次の点は,多くの方がそう思っておられるかと思いますが,無権利者に対しては登録なくして差止請求,損害賠償が行使できるのに対して,二重ライセンシーや著作権の譲受人に対しては,対抗要件を具備して初めて行けるということの大前提である登録の使い勝手の問題があります。不動産は登記するのが当然というカルチャーなのに,著作権の場合には何ゆえか,著作権の移転登録すらあまりやられていないというカルチャーですので,利用権の登録がそんなに容易にやられるとも思えません。来年度詰めていけば,実体的にはよいルールができるかと思いますが,せっかくのルールも実務的に登録されずに使われないと,意味がありません。来年は,引き続きこの独占的利用権の差止めプラス出版権とやられるかと思いますが,それに加えて,登録制度が著作権の世界でもきちんと使われるようになるような工夫をやっていっていただくのが重要ではないかと思っておりますので,ぜひともよろしくお願いいたします。

【茶園主査】どうもありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。

では,どうもありがとうございました。この検討が継続されるということですので,どうぞよろしくお願いいたします。

では,続きまして議事(3)に入りたいと思います。令和2年度法制度小委員会の審議の経過等についてございます。事務局において,審議経過報告案を作成していただいておりますので,まず,事務局からその御説明をお願いいたします。

【大野著作権課長補佐】それでは,お手元の資料3を御覧いただければと思います。今年度の審議経過報告の案について御説明をいたします。

まず,「1.はじめに」におきましては,今期の小委員会においては,知財推進計画2020に基づきまして,3つの課題について検討を行ってきた旨を記載しております。1点目は図書館関係,2点目は独占的ライセンスの関係,3点目は研究目的の権利制限でございます。このうち,(2),(3)につきましては,今年度結論が出たというわけではありませんので,来年度さらに議論を深める必要があるとしております。また,ここに挙げていない課題も複数ございますので,それについては,来年度以降,重要性,緊急性に応じて順次検討を行うということも記載しております。

次に,「2.課題の審議状況」でございます。(1)図書館関係につきましては,先ほど報告書をお取りまとめいただいたとおりでございます。ここでは,問題の所在と検討の経緯をごく簡単に記載した上で,最終的に報告書を取りまとめた旨を記載させていただいております。

それから2ページに参りまして,(2)では独占的ライセンスの関係について記載をしております。これも,先ほど御報告があったとおりでございまして,今年度もワーキングチームで議論を深めていただきまして,審議経過報告書が取りまとまっているという状況でございます。

最後の(3)研究目的に係る権利制限規定につきましては,昨年度から議論を行っていただいております。昨年度の小委員会での議論を踏まえて,昨年度は文化庁において調査研究を実施しまして,それによって著作物の利用実態,ニーズなどが一定程度明らかになっております。ただ,2段落目にありますように,その調査研究の報告書の中でも,より広範・詳細な調査の必要性が指摘をされておりました。

これを受けて,3段落目にありますように,今年度はまず,そうした点について新たな調査研究を実施することとし,その状況を踏まえながら,適宜制度設計等n検討を進めようということになっておりました。この新たな調査研究につきましては,事務局で準備中でございまして,思ったように進んでおりませんけれども,何とか今月中には調査研究を開始したいと思っております。その結果も踏まえて,また来年度御議論いただければと思います。

資料の3ページには小委員会の開催状況,4ページには委員名簿を添付しております。

最後の5ページには,別紙としまして,今期第1回目の小委員会で決定をいただいた今期の検討課題を列挙した資料もつけております。

簡単ですが,事務局からは以上です。

【茶園主査】どうもありがとうございました。それでは,ただいま御説明いただきました審議経過報告案につきまして,御意見,御質問がございましたら,御発言をよろしくお願いいたします。

よろしいでしょうか。では,どうもありがとうございました。それでは,このような審議経過報告で,著作権分科会に報告させていただきたいと思います。

その他,全体を通じて何か御発言されたいことがございますでしょうか。では,大渕委員お願いします。

【大渕委員】ルールとしては,先ほどの報告書が今度分科会に行って,粛々と報告書に沿った条文ができるかと思うのですが,やはり,立法実務も含めて,実務というのは結果を出してこそ実務であります。きちんとしたルールをつくるというのも第一の結果としてありますが,その結果,きちんと図書館の利用が改善されて,まさしく権利者と利用者,ないしは関係者全員がウィン・ウィンになるような,利便性の高さも実現できて,かつ,きちんとリターンが権利者に行くということが現実に実現されて初めて立法実務が成功したといえると思います。そのような意味では,ルールができた後,施行までに必ずやらなくてはいけないと注で繰り返して言われているように,きちんと関係者間で話合いをして,ガイドラインをつくるなどして,きちんと結果を出すということが重要だと思いますので,そこのところをよろしくお願いいたします。

【茶園主査】どうもありがとうございました。ほかに何かございますでしょうか。

よろしいでしょうか。では,特にございませんようでしたら,本日は,今期最後の法制度小委員会ということでございますので,矢野文化庁次長から一言御挨拶をいただければと思います。では,矢野文化庁次長,どうぞよろしくお願いいたします。

【出倉文化庁審議官】審議官の出倉でございます。私のほうから一言御礼を申し上げさせていただきたいと思います。

今期の本小委員会におきましては,図書館関係の権利制限規定の見直し,独占的ライセンシーに対する差止請求権の付与及び独占的ライセンシーへの対抗制度,それから研究目的に係る権利制限規定の創設,これにつきまして議論をいただきました。

特に,図書館関係の権利制限規定の見直しにつきましては,権利者の利益保護に十分配慮しつつ,デジタル・ネットワーク技術を活用した国民の情報アクセスを充実させる観点から,法改正の方向性を示す報告書を取りまとめていただきました。ありがとうございました。今後,この著作権分科会の審議を経まして,分科会としての最終的な報告書が取りまとめられましたら,今通常国会への法案提出を目指して検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

また,独占的ライセンシーに対する差止請求権の付与及び独占的ライセンスの対抗制度等の課題につきましても,今後さらに議論を進めていく上で,非常に重要な御示唆をいただいたものと受け止めております。

委員の皆様方におかれましては,それぞれの御専門の立場から,今期の本小委員会の充実した審議のために,多大な御尽力を賜りましたことに改めて感謝を申し上げ,挨拶とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

【茶園主査】どうもありがとうございました。

それでは,以上をもちまして,文化審議会著作権分科会法制度小委員会第3回を終了させていただきます。これまで活発な御議論をいただきまして,どうもありがとうございました。では,これで終了とさせていただきます。

──了──

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