文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第4回)

日時:令和4年2月28日(月)

場所:オンライン開催

議事

1開会

2議事

  • (1)令和2年改正著作権法の施行状況に関する調査研究について
  • (2)DX時代に対応する基盤としての著作権制度・政策に関する検討について
  • (3)簡素で一元的な権利処理方策と対価還元に関する検討について
  • (4)令和3年度法制度小委員会の審議の経過等について
  • (5)その他

3閉会

配布資料

資料1
改正著作権法の施行状況に関する調査研究報告書【概要】(1.1MB)
資料2
DX時代に対応する基盤としての著作権制度・政策に関する論点整理(案)(217KB)
資料3
簡素で一元的な権利処理方策と対価還元に係る新しい権利処理方策について(154KB)
資料4
令和3年度法制度小委員会の審議の経過等について(案)(242KB)
参考資料1
民事訴訟法の改正に伴う著作権制度に関する論点整理(188KB)

議事内容

【茶園主査】それでは、ただいまから文化審議会著作権分科会制度小委員会(第4回)を開催いたします。本日は、御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、基本的に委員の皆様にはウェブ会議システムを利用して御参加いただいております。皆様におかれましては、ビデオをオンにしていただくとともに、御発言いただく際には、御自身でミュートを解除して御発言いただくか、事務局でミュートを解除いたしますので、ビデオの前で大きく手を挙げるようにしてください。

議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開とするには及ばないと思いますので、既に傍聴者の方にはインターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところですけれども、この点、特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【茶園主査】ありがとうございます。では、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。

それでは、まず、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】事務局でございます。配付資料は、議事次第にあるとおりでございます。

なお、参考資料1につきましては、本日の議事の予定ではございませんが、前回御審議いただいた論点整理の案を取ったものになります。

以上でございます。

【茶園主査】それでは、議事に入りたいと思います。

本日の議事は、議事次第のとおり、(1)から(5)の5点となります。

早速、議事(1)の令和2年改正著作権法の施行状況に関する調査研究についてに入りたいと思います。

本件は、令和2年6月に成立・公布されました著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律、附則第6条におきまして、侵害コンテンツのダウンロード違法化に係る改正著作権法第30条第1項第4号及び第119条第3項第2号の規定について、施行後1年、これは令和4年4月ですが、これを目途として、これらの規定の施行の状況を勘案し、これらの規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされていることにつきまして議論を行うものでございます。

本件について、今年度、文化庁委託事業として、改正著作権法の施行状況に関する調査研究が行われておりますので、その結果報告を、委託先であります三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社様からお願いいたします。

では、よろしくお願いいたします。

【三菱UFJリサーチ&コンサルティング(萩原氏)】三菱UFJリサーチ&コンサルティングの萩原と申します。本日は、お時間いただきましてありがとうございます。

質疑応答も含めて40分ほどと伺っておりますが、かいつまんで御説明させていただければと思います。

それでは、早速資料のほうを共有させていただきます。共有できておりますでしょうか。大丈夫そうですね。

それでは、始めたいと思います。

では、改めまして、改正著作権法の施行状況に関する調査研究、こちら、概要版を用いて御紹介させていただきたいと思います。

先ほど座長からも御説明ありましたが、こちらの調査、施行から1年後にフォローアップが定められている違法コンテンツのダウンロード違法化、こちらにおいて、一般の消費者の皆様を対象に、こういった方々の今回の改正法の認知状況、評価、行動変容や、客観的なデータを使って、海賊版等と思われるサイトの利用状況の影響はどのように出ているのか、関係される方々の取組状況について整理するほか、インタビュー調査を行って活動の評価をしていただいたところでございます。

基本的には、先ほど申し上げたとおり、消費者の皆様、主なターゲットと置いておりますが、必要に応じて、リーチサイトも確認させていただいているところでございます。

また、本調査は、委員会も設置させていただきまして、1月24日、2月17日に御検討いただいたほか、メールや様々な形で随時御意見をいただいたところでございます。こちらの分科会でも、御参加されている福井委員、前田委員におかれましては、本当に短期間に関わらず親身に御対応いただきまして、本当にありがとうございました。この場をお借りして改めて御礼申し上げたいと思います。

冒頭、簡単に申し上げましたが、調査については3点ございます。

1つは、一般消費者の改正著作権法に関する認知、評価、行動変容ということで、インターネットアンケート調査で行動を把握しております。どういったものを把握しているかといいますと、改正著作権法を認知しているのか、どのような評価をされているのか、海賊版サイトと思われるようなものをどの程度使われているのかということを、アンケートを中心に把握しているものでございます。

続きまして、2つ目としましては、統計調査という名前で呼ばせていただいていますが、いわゆる、アクセス数を解析するツールなどを使いながら、いわゆる海賊版サイトの利用、どのような推移をしているのかということを把握しておるところでございます。そのほか、今回のダウンロード違法化、どれだけ社会的な認知を得たのかということで、いわゆるグーグルトレンドと言われている検索数を評価しているデータ、そのほか、いわゆるSNS、率直に申し上げるとツイッター、こちらで改正著作権法に関連する発言がどれほどあったのかといったところも整理しております。

3点目のヒアリング調査、文献調査は、定性的な情報とはなりますので、本日はちょっと簡単な御紹介とさせていただいております。

どのような流れで進めてきたのかということも一応簡単に御紹介させていただきます。

調査は、事実上、新年1月4日から2月25日までが調査期間となっておりました。委員の皆様には会議を待たず、事前に御意見をいただいたりとか、あとは文献調査ということで、各種取組を整理した後に、すぐヒアリング調査を行って、このヒアリングで関係する団体の皆様に、アンケートの項目とか、統計調査でどういった調べ方をしたらいいのかというアドバイスをいただきつつ、各種調査を練り上げていきました。2月17日以降もメールなどでやり取りさせていただいて、2月25日にこちらの概要版をまとめさせていただいたところです。

前置きが長くなってしまいましたが、5ページ目以降が調査の内容となっております。

まず、アンケート調査、どのように設計したのかということで簡単に御紹介させていただいております。こちら、インターネットアンケート調査という方法を取っていまして、インターネットアンケート会社様が持っているモニターを使っての回答を得ております。モニターは、インターネット利用人口の分布に合わせて5,000人のモニターを割りつけて、左下の表にあるような回答者を集めてまいったところでございます。聞いている項目につきましては、いわゆる属性ということで、男性、女性なのか、子供がいるのかいないのかとかに加えて、ふだんどういったコンテンツをどれぐらい消費しているのかといった質問、また、今回の著作権改正法に関する認識、評価、また、この改正著作権以降にどのような行動変容があったのか、また、様々な広報活動の認知についてもお伺いをしているところでございます。様々な調査項目を尋ねておりますが、本日は、そのうち主要な項目について御紹介させていただきます。

まず、6ページ目です。

こちら、改正法の認知度ということで、今回、法改正がされたということをどのくらい知っていますかということをまずお伺いしています。これを見ると、知っていたというのが38.0%、また、こちらの内容を知っているというふうに自認いただいて回答いただいた方が全体の4分の1、25.1%となっておりました。とはいえ、改正の内容、結構難しい内容になっております。ですので、クイズ形式で、こちらのほうで7問問題を設定させていただいて、正しいものを選んでくださいといったものを質問しています。このうち、完全正答できた方は回答者全体の0.5%でした。6問正解が5.5%、5問正答が3.4%で、4問以下しか正答できなかった方が全体の9割という結果になっておるところです。

また、併せて、今回法改正にとても関連するダウンロード、またはストリーミング、こちらの意味について、そもそも把握されているのかどうかというところも、認識されているかどうかというのも把握する必要があるだろうということで、こちらについても質問しています。ダウンロード・ストリーミングを正しく回答できたのは、アンケートモニターさんのうち、全体の33.0%にとどまったといったところでございます。

ダウンロード・ストリーミングを正しく認識できているのか、また改正法を正しく認識できているのか、そこまででもないのかによって、今回の改正法についてアナウンスしたときの行動パターンが異なるのではないかということで、こちら、4象限に分けて、クロス集計を取って、どういう傾向に違いがあるのかということを把握しているところでございます。

続きまして、7ページ目でございます。

こちら、改正法の評価ということで、今回の法改正をどのように感じられたのかということをお伺いしています。良い改正である、どちらかというと良い改正であるというのが合計で53.0%ということで、約半数を超えていること、悪い改正だったという御意見に対して大きく上回っていることも見られました。

ただ、前のページにあったとおり、そもそも法改正自体を御存じないという方、また、内容を御存じないという方もいらっしゃいましたので、判断できない、分からないという回答も約4割の結果となっているところでございます。

こちら、良い改正、悪い改正、どちらで評価いただいても、それぞれ評価できる点、できない点はあるだろうということで、どのような評価をしていても良い点、悪い点をお伺いしております。こちらを見ると、よい点、評価を得た点については、違法なダウンロードをする人が少なくなると思うからという割合が最も高くて、続いて、権利者の権利は正当に守られるべきだから、コンテンツはきちんと対価を支払って購入すべきだからという御意見をいただいたところでございます。

一方で、悪い評価を得た点は、どういう行為が刑事罰の対象となるか分かりにくい、また、どのサイトやアプリが刑事罰の対象となるか分かりにくいというところについては、一定程度の割合でみられたところでございます。ただし、特にないと御回答いただいた方もそれなりで、半分以上いらっしゃるといったところでございます。

続きまして、8ページ目でございます。

こちらでは、海賊版の利用状況や利用されている方の属性について整理している設問になります。ただ、海賊版の利用については、アンケートにおいて、いわゆる正直に回答いただけないケースもあるのではないかといったところもございまして、直接的、間接的、または期間の限定をなくしたり、限定して改正法以降としたりしています。それぞれ幾つかの方法で聞いております。

すいません、時間の関係で1つ1つは読み上げませんが、こちらを見ると、最小の項目では1%未満でしたが、最も高い項目では21.5%程度見られるのではないかということが結果として出てきたところでございます。

また、例えば、コンテンツをダウンロード・ストリーミングするときに使ったことあるサイトをはじめとした項目を聞いていますが、これらの6つの行為について、3つ以上該当した人というのは全体の何%かというのを右側の円グラフで示しております。こちらを見ると、5.2%の方が、この左側に書いている様々な海賊版を利用しているのではないかと思われる行為について該当しているといったところです。

では、この3つ以上に回答いただいた方、どういった方が多いのかということを整理したのが下のボックスになっておりまして、全体的に30代、また15歳から29歳と、若い層において高い割合が見られたと。男女で比べると男性のほうがやや高くて、子供がいる方のほうが全体的には高い割合。また、年収が高くて自由が高い、年収のうち自由に使えるお金の割合が高い、コンテンツに年収のうち使っている割合が高い、こういった方々のほうが、かえって海賊版の利用と思われる行為について高い割合を示していたというところが、今回のアンケート結果から出ているところでございます。

先ほど申し上げたダウンロード・ストリーミング、また改正著作権法に対する質問についてのクロス軸で見ますと、ダウンロード・ストリーミングについては正答が1問以下、かつ改正著作権法に関する設問で見ると、正答が5問以上の方々において比較的高い割合が見られたところでございます。

続きまして、9ページ目では、いわゆる改正法以降、つまり2020年1月1日以降にコンテンツの入手方法について増やした、横ばいだった、変わらなかった、減った、やめた、これまで使ったことがないということで、正規版サービス、あるいは正規版か非正規版か分からないサービスということで、漫画だったりとか音楽だったりとか様々な聞き方でお尋ねしておるところです。

このうち、海賊版を利用しているかもしれないと思われる、この正規版か非正規版か分からないサービスから漫画をダウンロードした、こちらを見ると、「増えた、または新たにはじめた」というのは1.7%見られましたが、「減った」「やめた」は合わせて6.6%と、どちらかというと利用を控えるような回答の割合が高かったという傾向が見られたところです。

各節において一番上の点でダウンロードについて照会していますが、2つ目の点で参考までにストリーミングをつけておりますので、適宜御参照いただければと思います。

一方、正規版のサービスについて見ますと、正規版サービスから漫画(同人誌等を除く)をダウンロード等をしたについては、「増えた、または新たにはじめた」が3.9%にあることに対して、「減った」、もしくは「やめた」は合わせて5.5%になっておりまして、こちらもやや、ややですけれども、減らしたという回答が高かったという傾向が見られたところでございます。

続きまして、こちらの10ページ目のスライドにおいては、こちら海賊版と思われるもの、先ほど上のスライドで申し上げますと、正規版か非正規版か分からないサービス、こちらについての利用を増やしたといった方々に対して、なぜ増やしたのかといった御質問をさせていただいているところです。こちらを見ると、「コンテンツの視聴は他の方法で十分だから」が最も高いです。こちらは設問の文脈がないと分かりにくい設問なんですけれども、要するに海賊版と思われるようなサイトという意味で使っております。こちらの割合が27.3%となっておりまして、続いて同数の割合で「従来から対価を支払ってコンテンツを購入してきたから」となっています。また、「コンテンツに支払うお金に余裕がないから」という回答も26.3%見られたところでございます。

また、一方、2021年1月以降、変わらない、もしくはその利用を減少したということについても併せてお尋ねしております。こちらを見ると、「コンテンツは正当な対価を支払って購入すべきだから」という割合が一番高かったのですが、全体的に各設問に対して回答結果は拮抗しておりまして、「特になし」という回答が44.8%見られたといったところが大まかな傾向となっておるところでございます。

続きまして、スライド11ページ目になります。

こちらでは、今回の改正法によって特定の状況下で海賊版のダウンロードは違法化となったと思うんですが、海賊版のストリーミングはこれまでどおりということもございますので、ダウンロードから海賊版のストリーミングサイトに移行しているおそれがあるということで、クロス集計で傾向を見ています。これは、正規版か非正規版かわからないサービスから漫画をダウンロード等したというのを左軸、表頭においては正規版か非正規版かわからないサービスから漫画をストリーミングしたというのを置いて、これでクロス集計を取っています。もしダウンロードをやめてストリーミングサイトに移行しているのであれば、こちらでダウンロード等は「減った」、「やめた」回答して、ストリーミングしたは「増えた、または新たにはじめた」にチェックをつけていただくところではあるんですけれども、こちらの割合を見ると、全体的に見るとそんなに割合は高くなっておりません。ダウンロードを増やした方はやっぱりストリーミングも増やしていて、ダウンロードが変わらなかった方はストリーミングは変わらない、「減った」「やめた」も同じような傾向になっているというところがアンケートの結果から見えてきたところでございます。

また、右側の表です。こちらは、要は萎縮効果をみています。今回の改正法によって、ダウンロードが違法化されることによって、必ずしも問題にならないような行為もやめていないかというところを把握しているものになっています。ですので、この表頭については、一般的な、必ずしも海賊版とは限らない行為についてお伺いしているところでございます。

さらに、今回、改正法の内容をもともと御存じなのかということも軸にして、「知っている」、「知らない」によって、こちらの控えた行動が増えている増えていないかということを確認したところ、どちらかというと改正法を知っている方々のほうが、様々な行動について控えている傾向が見られたといったところでございます。

駆け足でしたが、アンケートについては、以上となっております。

続きまして、12ページ目以降は、アクセス数などを使った統計調査というところの御紹介となります。

海賊版と思われるサイトについてのアクセス数については、通常把握することが難しくなっています。例えば、自社が運営しているサイトであれば、グーグルアナリティクスみたいな、グーグルさんが提供されているようなツールを使って、アクセスがどれぐらい行われているのかということを把握することができるのですが、通常第三者が運用しているサイトについては把握することができません。ですので、こちら、いわゆる推計値を公表しているツールを使って把握することを試みました。

今回は、そのうち、比較的世界的にもシェアが高いSEMRUSHと言われているもの、また、もう1つ、ABJさんなどが使われているSimilar Web、こちらも活用させていただいて、それぞれについて傾向を見ているところでございます。

それぞれについてと申し上げたところではあるんですけど、SEMRUSHについては2つツールがございまして、1つは.trendsと言われているもの、もう1つはOrganic Researchと呼ばれているものです。また、Similar Webは推計値が1つなので、こちらを使っています。

それぞれについて簡単に御紹介させていただきますと、.trendsと言われているものは、いわゆるクリックですね、モニターさんに御協力いただいて、そのクリックの遷移を追っていくことによって、そのモニターさんから得られた情報を拡大推計して、このサイトにはこれぐらいアクセスされていると推計しているものになっています。また、2つ目、Organic Researchと言われるものです。こちらは、いわゆるオーガニック検索、これはグーグルとかで検索して、そこから当該サイトに流入したというものを分析しているものになっています。ですので、.trendsに比べたら分析の対象とする範囲は狭くなっています。が、1つ1つ推計の細かい方法は申し上げませんが、こちら、.trendsとOrganic Research、同じ会社が出されているものなんですけれども、データの対象ももちろんのこと、推計方法が全く異なるので、同じサービスの推計なんですが、データの推移が結構異なるということもございまして、両方使わせていただいています。Similar Webさんが行われているものについては、比較的.trendsのものと同じような方法となっていまして、こちらもモニター、個人並びに協力サイトからの情報提供、こちらのデータを集計して、そこから拡大推計をしている方法になっています。ただ、こちら、拡大推計を行っている2つについては、いずれも推計の式だったりとかそういったものは非公開となっていますので、残念ながら、どちらが正しいとか、そういったことは今回申し上げるつもりはございません。今回どちらがより真の値に近いのかは、確定することは難しかったんですが、真の値は分からないなりにいずれも示した状態で、それぞれどういう傾向が見られるのかということの特徴を整理しておるところでございます。

それで、その結果を整理したのが13ページ目になります。

こちらは、海賊版の上位15サイトについて、先ほど申し上げた3つのサイトを使って、改正法の前後1か月、また前後1年を対象に伸び率を見ています。伸び率は、2020年12月を100と置いたときに、どういう推移になっているのかといったものになります。これを見ると、SEMRUSHのうち.trendsについては、ダウンロード型、ストリーミング型も、2021年1月に1回増えているんですが、その後は減少傾向になっているという結果になっています。続いてOrganic Research、こちらについては、ストリーミング型は伸びているんですが、ダウンロード型は減少しているという傾向になっています。一方で、Similar Webについては、ダウンロード型は横ばい、ストリーミング型は上昇という傾向が見られていて、いずれも異なる傾向になっています。ですが、どの場合においても、ストリーミング型に比べるとダウンロード型のほうがそんなに伸びていないとは確認できるかなというふうに思っております。これは、改正法の効果が、一定程度効果が出た可能性があるのではないかというふうに感じているところでございます。

14ページ目でございます。

こちら、P2Pの分析になっています。P2Pについては、最近最も使われていると言われているBitTorrent、こちらを対象に分析を行っています。

BitTorrentについては、いわゆるリーチサイトの中には、アップロードした日付と、またダウンロードした数が整理されているサイトがございます。こちらに、いわゆるクローラー、つまりデータを収集するツールを弊社のほうでつくって、それから日本の漫画をダウンロード数でソートをかけた後に、ダウンロード数の上位から7,500件収集しています。こちらで、改正法以降、改正法以前で傾向の違いが見られるのではないかということで分析をしているものが、14ページ目の下の図以降になります。

こちら、下の図は、アップロードされたファイル数を月ごとにカウントしたものになっています。改正法以降は緑、改正法以前は赤としています。このグラフを見る限りでは、2020年に比べると、2021年、こちらの1年間は、総数のアッロードされたファイルは減っているように見えるといったところでございます。ただし、新型コロナウイルスの影響もある程度あるかもしれません。巣ごもり事業で2020年当初は増えている、だったりとか、そのときにはやったコンテンツの影響もあるかとか、改正法以外の点までは十分考慮ができていないところもございます。また、ちょっと後段でも触れているのですけれども、先ほど申し上げたとおり、ダウンロード数順に7,500件並べて、それから上から取っているという関係もございますので、ある程度アップロードされている期間が延びれば延びるほど、こちらの7,500件に含まれる可能性が増えるということもございます。恐らく改正法の影響によって減っているような気もするのですが、必ずしもその効果だと断定をするのは結構難しいというふうに思っているところです。

15ページ目です。

こちらは、ダウンロードの回数を散布図にしたものになっています。こちらも、繰り返しになりますが、2020年頃に比べると、2021年はやや抑えぎみになっているかなというふうに考えています。ただし、ごめんなさい、こちらも繰り返しになりますが、ダウンロード数については、アップロードされて期間が延びれば延びるほど増加するという傾向もございますので、その点は読み取りに注意が必要かなと思っておるところです。

こちらは、この15ページ目のところを月別に集計し直したものとなります。参考までに御覧いただければと思っております。

続きまして、17ページ目でございます。

こちらは、SNS、ツイッターを対象に分析しております。こちらでどれだけ今回の改正法についてつぶやかれているのかということを整理したものになっています。

こちらは、ソーシャルリスニングツールと言われているBoom Researchというツールを使って分析をしています。直近の3年2か月、こちらを対象にしています。

こちらのデータについては、日本全国の全ツイートのうち10分の1をサンプリングしているものですので、実数については、実際の値より10分の1ぐらい少ないと思っていただいて見ていただければ幸いです。

では、どういったキーワードを見ているかと申し上げますと、違法ダウンロード、違法DLと言われるようなキーワード、また違法サイト、あとダウンロードと違法化というキーワードが1つのツイートの中に入っているというところを中心に把握しているところでございます。

実際集計した結果が18ページ目のグラフになっていまして、ものすごく増えている時期がございます。2019年1月から3月です。こちらは、文化審議会著作権分科会法制基本問題小委員会における報告書、こちらが出たタイミングでものすごくツイートがされています。恐らくこの公表を受けたものではないかというふうに思われます。また、こちらの影響もあってか、パブリックコメントの時期にはもう一度増えているところです。一方で、成立の時期もちょっと山場になっているのですが、そんなに大きく山にはなってはいなくて、一定程度つぶやかれているかなといったような傾向になっておるところでございます。

続きまして、ページ番号が見にくいですが19ページ目です。

こちらは、Google Trendsというものを使っています。これは、グーグルで検索された件数を相対的な指数に置き換えて評価したものとなっていまして、ピーク時を100に置いて、少ないときは100に対して、値が小さくなるといった値となっております。

こちらを見ると、主に違法ダウンロードというキーワードを中心に見てまいりますと、先ほどと同様に、文化審議会著作権分科会における報告書の発表、こちらのタイミングで1回山になっているところでございます。ただ、興味深いのは、改正が実際にされて施行された2021年1月において、もう1回山になっています。ここからツイートはしていないけれども、実際みんなグーグルで検索してどういったものが違法になっているのかというのを調べられているのかなといった傾向が、これから読み取れるところでございます。

20ページ目でございます。

こちらでは、文献調査のパートになっています。内容については、結構膨大になってしまいますので、こちらでの御発表は遠慮させていただいておりますが、文献で各業界団体のみなさまが取り組んでいる活動についてリスティングして整理しております。また、ヒアリング調査ということで、実際海賊版対策で御活動されているABJさん、CODAさん、あと中島弁護士にもインタビューさせていただいて、アンケートや統計調査のときのヒントやアドバイスを頂戴しているところでございます。

報告書では、とりわけ今回の代表的取組であるSTOP!海賊版の活動とか、そういったところを紹介しております。

では、最後、まとめです。今まで申し上げたところと繰り返しになりますが、認知、あとは海賊版利用の行動変容、また実際購買行動につながっているのかということの3段階で再整理させていただいております。

まず1つ目、認知については、繰り返しになりますが、法改正自体を御存じだったというのは38.0%ということで、インターネット利用人口の方の約4割が御存じだったということになっていますし、内容も御存じだという回答いただいたのは25.1%いらっしゃいました。

また、SNSでも、法制・基本問題小委員会における報告書が公表された時期には、それなりのツイート数がつぶやかれていて、この辺りだと結構話題になったのでないかというふうに思われます。

一方で、先ほどクイズ形式ということで御紹介させていただいたとおり、改正内容を詳細に把握できている方はそこまで多くないのではないかというところも併せて整理しているところでございます。

また、海賊版利用の行動変容、こちらについて簡単に再整理しますと、アンケート調査では、正規版か非正規版か分からないサイトから漫画をダウンロードしたことについて、増やした方に比べると、減少もしくはやめたと回答した方の割合がやや高くなっているというところでございます。

統計調査では、SEMRUSHの2つのサービス、また、Similar Webの3つのツールで分析をしているところでございますが、それぞれ違う傾向になってしまいました。ただし、新型コロナウイルスにおける巣籠もり需要が増加していると言われている中で、ストリーミングが増えていたりとか、減っているサイトもあったんですけど、増えている中で、ダウンロードの方は減少もしくは横ばいとなっていることは、ダウンロード違法化の効果が一定程度現れているのではないかというふうに整理させていただいておるところです。

ただし、ダウンロードの減少には様々な要因があると思います。コンテンツのトレンド、あるいは、コンテンツを供給するサービスが増えている、減っているとか、そういったところの影響もあるかと思いますので、割と因果関係を、つまり制度変更によって消費者の行動が変化して、その変化はダウンロードが減少したことだということを確実に断定することは結構難しいと評価をさせていただいております。

また、P2Pもアップロード数で見ると減少傾向かなと思っております。ただし、繰り返しになりますが、長期間アップロードされているものについてはダウンロード数が増えるという傾向はどうしても出てしまいますので、この点は読み取りに留意する必要性はあるかなというふうに考えております。

購買行動の変化です。こちらについては、「増えた、または新たにはじめた」は3.9%に対して、「減った」もしくは「やめた」というのは5.5%とやや高くなっておりまして、ストリーミングも似たような傾向が見られたところでございます。実際、ヒアリング調査でも、こちら、正規版、ダウンロード違法化以降増えたでしょうかという御質問をさせていただいておりますが、業界としては、前年度より増加は、2021年は2020年より増加してはいるものの、2019年、2020年比ではなく、やや伸び悩んでいるのではないかという御意見をいただいているところでございます。こちらも、改正法によってダウンロード等が減少したことで購買行動につながったとは必ずしも言い切れないかなという評価をさせていただいているところでございます。

すいません。かなり雑駁な説明で恐縮でしたが、私からの説明は以上となります。御清聴いただきまして、ありがとうございました。

【茶園主査】どうもありがとうございました。ただいまの御報告を踏まえまして、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。

奥邨委員、お願いいたします。

【奥邨委員】奥邨です。非常に興味深い、また綿密な調査ありがとうございました。

それで、2点ちょっとお伺いしたいんですけれども、1点目は、資料の13ページのところ、一応これ、確認なんですけども、海賊版上位サイトと書いてあるんですけども、これは、漫画に関するということでよろしいでしょうか。

【三菱UFJリサーチ&コンサルティング(萩原氏)】さようでございます。失礼いたしました。

【奥邨委員】分かりました。

ほかのところも全部なんですけども、海賊版と書いてあるのが漫画だけなのか、それ以外が入っているのかちょっと分からなかったので、ですから、基本的に全部そういうことで理解でよろしいんですか。

【三菱UFJリサーチ&コンサルティング(萩原氏)】項目にもよりますが、その通りです。

【奥邨委員】それからもう1つ、最後の資料のところで、令和2年の購買行動の変化のところで、一番最後のところで、伸びの問題で、そもそも正規版のマーケット自体の伸びが、2021年は2020年より小さかったということが出ていますけど、これはコロナの影響とかそういうのは分析されているんでしょうか。というのは、常識的にも一般的にも、コロナに入った最初の年というのは、何を使ったか分かりませんけれども、巣籠もり需要が今とは全然レベルが違ったはずで、ものすごく伸びたはずなんです、ネット視聴というのが。したがって、これだけではなくて、例えば動画のストリーミングとかもものすごく加入者が増えたはずなんです。ですから、それと比べて、21年、たまたまコロナ2年目がどうだったというのをやっても、あんまりそこは出ないんじゃないかなと。むしろ、ダウンロードが非正規版から減ったというほうは意味があるんだけど、正規版は結構前の年にいっぱいお金使っちゃったんで、今年は控えようとなっているほうが普通だと思うんで、この辺はミスリーディングじゃないかなという気がちょっとしたんですが、その辺は大丈夫でしょうか。

【三菱UFJリサーチ&コンサルティング(萩原氏)】動画などの、他業界とかも比較しながらやりたかったというのもやや本音なんですけれども、ちょっと今回はそこまで行けなかったというところではございます。

【奥邨委員】ただ、正規版のマーケットの変化というのは、コロナの影響があるということがあるんですよね。

【三菱UFJリサーチ&コンサルティング(萩原氏)】もちろんそうです。

【奥邨委員】分かりました。ありがとうございます。

【茶園主査】よろしいでしょうか。

池村委員が、手を挙げられておられましたが。

【池村委員】ありがとうございます。

6ページのところで、改正法の内容についてのクイズの正答率が低いという記載があって、さらに最終ページのまとめのところでも、改正内容を詳細に把握している人が少ないという記載がございますけれども、これは、実際よりも厳しい改正だと誤解している人が多いのか、それとも実際よりも緩い改正だと誤解している人が多いのか、そういった何らかの傾向がもしあれば教えていただければと思います。

【三菱UFJリサーチ&コンサルティング(萩原氏)】ご質問ありがとうございます。こちらについては、結論から申し上げると、厳しい改正と判断された方の回答が高い傾向になっています。設問をお見せするとちょっと時間がかかってしまうので省略させていただきますが、例えば違法化にならないような行為も違法化になる、刑事の対象になるといった設問に対してチェックをつけていただいた方が、結構3割4割見られたりしましたので、今の御質問でいうと、厳しく評価されている方が多いかなと回答させていただきました。

ただしですが、今回7問のうち正答が2問ですが、2問とも「違法ではない」というところが正答だったということもございました。もしかしたら、正答いただいた方は、正しく理解をしていたというよりは、改正法を自分にとってポジティブに捉えている、つまり、全体的に違法にならないんじゃないかと考えている人が正答してしまっているという可能性は否定できないかなというふうに考えております。

【池村委員】ありがとうございました。

【茶園主査】ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。

井奈波委員、お願いいたします。

【井奈波委員】詳細な御報告ありがとうございました。

最後のまとめの21ページ目の一番下の項目について、ヒアリングの調査等の意見によると、販売額が2021年は前年比で増加しているが伸び悩んでいるということでしたが、単純に販売額だけで判断されているということでしょうか。例えば、出版の数との関係で比率で判断しないと、傾向は捉えられないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

【三菱UFJリサーチ&コンサルティング(萩原氏)】 紙は、販売額でみると長期的にはやや減っている中で、電子はここ数年でものすごく伸びているということもございますので、そういった意味では、そもそもコンテンツの消費のトレンドもあるかなと思っています。出版点数についてはあまり考慮していませんでした。すいません、うまく回答できなくて申し訳ないんですが。

【井奈波委員】ありがとうございます。比率との関係も明確にしていただけるとありがたいと思います。

【三菱UFJリサーチ&コンサルティング(萩原氏)】ありがとうございます。

【茶園主査】よろしいでしょうか。ほかにございますでしょうか。

福井委員、お願いいたします。

【福井委員】萩原さん、どうも御発表ありがとうございました。

今回は委員で配らせていただきまして、もう内容については、かなり委員間でも議論がありましたが、最後はもうペーパーになったものが今回の到達点としては精いっぱいというところかなというふうに理解しています。

調査に参加させていただいて感じたのは、こうしたいわゆる基礎的なデータ、客観的な把握は確かに容易ではないんですけれども、その努力を続けることが重要であるなと。これが我々のスタートポイントなわけですから、その努力を続けることが重要だなということでした。

私からは以上です。今回は御苦労さまでした。

【三菱UFJリサーチ&コンサルティング(萩原氏)】ありがとうございます。

【茶園主査】ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

では、どうもありがとうございました。

【三菱UFJリサーチ&コンサルティング(萩原氏)】ありがとうございました。

【茶園主査】ありがとうございました。この海賊版対策につきましては、引き続き注視していただくということで、どうぞよろしくお願いいたします。

では、続きまして、次の議事に入りたいと思います。

次は、議事(2)の、DX時代に対応する基盤としての著作権制度・政策に関する検討についてでございまして、これについて議論を行いたいと思います。

事務局におきまして、これまでの論点を整理していただいておりますので、まず御説明をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】事務局でございます。

資料2をお開きください。

こちらは、前回までの審議を踏まえた論点を、論点整理として案を示したものでございます。

1ポツの経緯は、昨年の諮問を踏まえたもの、また、その他のニーズ、聞き取りを行ってきたものといったところをまとめております。

2番、主な論点案に進めます。主な論点案、全体で4つに便宜的に大別しております。①、立法・行政・司法の目的のための複製を認める著作権法第42条について。こちらには、2点まとめております。

1点目が、最初の白丸の部分、民事裁判手続のIT化に対応した公衆送信等についてです。こちらにつきましては、御議論のとおり、民事裁判の電子化に対応した措置が必要とまとめております。こちらは、本日、参考資料1でお配りしているとおり、審議の中身をまとめております。

2点目、2つ目の白丸のところ、立法・行政のデジタル化に対応した内部資料の公衆送信等についてです。こちらは、現行法、紙媒体の複製が認められているところでございますが、こちらの内部資料の公衆送信等につきましては、これまでの議論で、デジタルでも同様の利用ができるようにすることが必要といった御意見が多くございました。ただし、その際でも、ライセンス市場等の既存のビジネスを阻害しないように対象を限定した検討が必要といった御意見もございました。また、この内部資料の解釈については周知を徹底する必要があるといった御意見、また、現行の解釈も含め検討が必要ではないかといった御意見もあったところでして、このようにまとめております。

②、こちらは立法・行政に限らずというところでございますが、オンライン会議の電子決裁、書類の共有に係る公衆送信等について、こちらにつきましては、現行の著作権法における公衆の定義が広いため、公に広く送信するものと、内部に送信するものについて、場合分けをして検討することが必要といった御意見もございました。

続きまして、③、政治上の演説等の利用を認める著作権法第40条について。こちら、主に国会審議映像の複製、公衆送信について、前回御議論をいただきました。こちらは、立法府における運用の状況等を踏まえて検討すべき、また、参政権や知る権利といった観点から法第40条全体の議論の中で検討が必要といった御意見がありました。

次のページを御覧ください。

④、その他、DX時代に対応した著作権制度・政策の見直しについてでございます。

こちら、まず、1つ目の白丸です。オンラインの進展やネット空間の拡大に対応した見直しについてというところでございます。前回までの御議論では、著作権法第38条に関連して、オンラインでの読み聞かせのみならず、メタバース空間での上演等についての検討が必要といった御意見がありました。ただし、こちらについて、現行の第38条の現実空間であっても非営利・無料であれば人数に制限がかからないことについて議論があるところ、慎重な検討が必要といった御意見もございました。また、39条に関連しましては、時事問題に関する論説の転載・放送等について、例えばネットニュースといった公衆送信一般に広げるかどうかといった議論。また、著作権法第45条に関連しまして、例えばNFTがついたアートの取引が進んでいる中、NFTつきアートの購入者についての著作権の扱い、こういったところを新しい技術、ビジネスに係る著作権制度についても検討が必要とまとめております。

また、その他でございます。著作権法第47条の7により、権利制限規定の目的の範囲内において認められている「譲渡」につきまして、紙媒体での譲渡が可能なものについて、データでの譲渡、公衆送信を可能とするかといった視点での検討が必要と御意見、その他、一番ちょっと下になりますが、災害発生時の情報収集、情報発信等のための著作物の利用についても検討が必要、このような御意見がありましたので、まとめております。

資料2の説明、以上になります。

【茶園主査】ありがとうございました。ただいまの御報告を踏まえまして、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。

奥邨委員、お願いいたします。

【奥邨委員】基本的には、ここでおまとめいただいた内容でよろしいかと思うんですけども、ぜひまた、これは著作権法のほうが先行してすることではありませんけれども、今、刑事裁判についても、刑事裁判手続についてもIT化についての検討が進んでいて、研究会の報告書がそろそろ出るんですが、というような形で進んでおります。

ですから、民事だけではなくて、刑事についてもそういう動きを踏まえて適切な対応を行うというようなことは、当然の方向性としてあるのかなというようなことを思った次第です。

ちょっと今の書き方だと、もしかしたら民事だけみたいに見えるのもあれかなと思ったので、そういう動きもありますので、そういうのも踏まえてということなのかなと思った次第です。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございました。よろしいでしょうか。

では、池村委員、お願いいたします。

【池村委員】たしか前々回でコメントさせていただいて、複数の先生方からも御賛同いただいたように記憶しておりますけれども、こちらの論点、全て基本的に権利制限関係で占められているように思われて、タイトルどおり著作権制度・政策全体を検討の対象とするのであれば、権利保護の観点からの検討という視点も必要なんじゃないかなというふうに思いました。

最後のその他のところでもよいと思いますので、例えば権利保護の観点からは現行法はDX時代に十分対応できる法制度になっているか検討するといった一文があってもいいんじゃないかなと考えます。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。

大渕委員、お願いいたします。

【大渕主査代理】今、直前に池村委員が言われた点は大変重要だと思っております。やはり著作権法制度全体では、権利保護と利用のバランスというのは常に大きな課題になっておりますので、あまり一方だけを強調するというのはバランスを失しておりますから、先ほど言われたように、簡単でも結構ですので、前々回でしたか、121条関係など幾つか出ていたかと思いますが、やはりトータルな形で全体を見直すというか、そういう形をきちんと出すことが重要だと思っております。

【茶園主査】ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

では、どうもありがとうございました。

この論点につきましては、来年度も継続して審議をしていただくということになっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

では、次に、議事(3)に入りたいと思います。

議事の(3)は、簡素で一元的な権利処理方策と対価還元に関する検討についてでございまして、この点につきまして御議論をお願いしたいと思います。

まず、事務局より資料3につきまして御説明をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】事務局でございます。

資料3を御覧ください。

簡素で一元的な金利処理方策と対価還元に係る新しい権利処理方策についてです。

1ポツ、中間まとめの抄となりますが、枠囲み部分、前回もお示ししているとおりでございます。

2ポツ、制度化に向けた主な論点・検討課題(例)でございます。こちらは、前回御出席委員の皆様から、主な課題となるもの、御意見いただきました。そういった御意見も踏まえまして、また、さらに事務局でも検討して、論点の検討課題の例として挙げております。本日は、これらの論点のほか、さらに洗い出しておくべき論点がないかといった観点でも、この資料を御覧いただければと思います。

まず、例として御紹介します。(1)要件、1つ目の白丸の部分、著作権者等が不明または著作権者等と連絡が取れない場合についてです。

1ポツ、窓口組織への相談をもって、利用者として相当程度の捜索を行ったこととみなすことができるか。2ポツ目、利用者本人または窓口組織によるデータベース等を活用した「探索」について、どの程度まで精度を求めるか。少なくとも、現行の著作権者不明等著作物に係る裁定申請に必要な相当程度の探索と同程度とすべきか。データベース等の整備状況や一元的な窓口組織の関与を踏まえ、例えば、探索を軽減することは可能か。

2つ目の白丸、意思表示についてです。意思表示がされていない場合という要件ございますが、1つ目のポツ、「意思表示」については、その有無が客観的に判断できることが望ましいが、どのような内容・条件とすべきか。2つ目の黒ポツ、「意思表示」の具体的内容について、著作権等に関する情報、現行の著作権法では、著作権等を有する者、利用方法及び条件、他の情報と照合することによりこれらを特定することができる情報等といった規定もございますが、これらも参考にして、どのようなものとすべきか。また、いわゆる「自由利用マーク」や「クリエイティブ・コモンズ」、「利用規約」、「著作権者名表記」等といったものも柔軟に含めるべきか。

その下になりますが、意思表示の方法・手段・場所。また「意思表示」を判断する時点について、例えば著作物の探索時点なのか利用時点なのか。また、「意思表示」の事後の変更について、事後の変更があった場合どのように対応するかといったものです。

次のページを御覧ください。

続きまして、連絡を試みても返答がない場合についてです。

「返答がない場合」として、どの程度を想定するか。著作物の種類や利用形態に応じて柔軟性を持たせるべきかです。また、返答がないといった様々な事情も考えられるので、単に例えばメールを打つといった連絡のみならず、現行の著作権者不明等著作物に係る裁定申請手続に求められているウェブページ等による広告などを併用させることも考えられるかどうかといったところです。

続きまして、「使用料」、「対価」についてです。

新しい権利処理に係る使用料相当額は、現行の著作権管理事業者や指定管理団体等による使用料規程等を参考に、窓口組織が算定することができるか。この使用料相当額について、現行の裁定制度のような供託ではなく、窓口組織に支払いを行わせる仕組みが採れるかどうか。これらによりまして、現行の著作権者不明と著作物に係る裁定制度に指摘されているような、使用料相当額算定の困難さ、供託手続の負担といった課題を解消できないかとしております。

その次の白丸ですが、この「新しい権利処理の仕組み」に至るプロセスである、上記の各要件を満たしていることについて、「窓口組織」への相談といった手続を組み込むことで、一定の適正な運用の担保や利用者負担軽減が期待できるかとしております。

続きまして、(2)の効果になります。

新しい権利処理の仕組みとして、1ページ目にありますように、①から③の方策等、様々な仕組みを組合せて利用円滑化を実現させる必要がある。それぞれどのような活用が想定されるかと。

①については、諸外国において拡大集中許諾制度が対象としている教育目的の利用や図書館等によるアーカイブ等について、現行の著作権法では権利制限と補償金制度が採られているが、こういったことも踏まえて、どのようなケースが想定されるか。

②については、「利用」を認めることとするほか、許諾や権利制限とは異なる「暫定利用」も視野に、特定の利用場面に限定しない柔軟な制度化ができないか。

③については、①や②による対応ができない部分を捕捉・補完する仕組みと位置づけることも考えられるかとしております。

また、ここでの②の「暫定利用」について、一定期間の利用行為について、例えばその違法性を阻却する、または無過失であることを推定させることについてどのように考えられるか。「暫定利用」が可能な期間については、一定とすべきか。相当の使用料の支払いを行うことを踏まえ、利用者からの申請期間とすべきか。あるいは、この際、「権利者からの連絡があった時まで」とすべきか。

③の現行の裁定制度の代行について、現行の著作権者不明等著作物の裁定制度に指摘されている使用料相当額算定の困難さ、供託手続の負担といった課題を解消することは可能か。また、この代行につきまして、弁護士法等その他の法令との関係について。

続きまして、翻案等の改変を伴う利用についてどのように考えられるか。現行の権利制限規定や著作権者不明著作物に係る裁定制度においても一定の翻案等による利用が認められていることを踏まえ、可能な限り対応できる仕組みとすべきか。

また、最後になりますが、著作者人格権についてどのように考えられるかです。

(3)オプトアウトです。

いわゆるこの制度の対象外、この制度から適用を除外してくださいといった意思表示になりますが、このオプトアウトについてどのように制度化すべきか。オプトアウトも「意思表示」の一種であると捉えることができますが、例えば著作権者単位による簡易で包括的なオプトアウトの仕組みを設けることについてはどう考えるか。その際、オプトアウトの明確性担保の観点から、オプトアウトをする著作物または著作権者等について、分野横断権利情報データベースを活用することも考えられるかとしております。

以上でございます。

【茶園主査】ありがとうございました。ただいまの御報告を踏まえまして、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。何かございますでしょうか。

福井委員、お願いいたします。

【福井委員】御説明どうもありがとうございました。重要な論点、非常にたくさん網羅いただいていると思います。ここでどのような設計の議論を行うかは、今後のこの国の著作権制度の在り方にも、実際の現場の生の生きた制度の在り方にも大きな影響を与えるだろうなという思いがしました。

何点か、まず、気づいた点申し上げますと、P1でしょうか、意思表示がされていない場合、とても限りのある概念であるというふうに感じました。ここを広く取るかあるいは狭くとるかで、非常に意欲的な、場合によってはちょっと意欲的過ぎる制度にもなり得るし、また、逆に、ほとんど意味のない、この部分に関してはほぼ当てはまるケースはないというような規定にもなり得るんだろうなというふうに感じたところです。

思いますに、全ての著作物のあらゆる利用について意思表示がされていないという場面を一律で規定するのはかなり難しいんじゃないかという思いがしました。これは、基本政策小委員会での議論も踏まえまして、例えばアウト・オブ・コマース、市場で既に売られていないような作品のものと、それからいわゆるインコマース、現在も売られており、著作者やプロデューサーたちの収入源になっている作品、ここでは違いがあってもいいのではないか。また、想定されている利用も営利利用の場合と非営利利用の場合で、EUの議論等にも多々あったところですけれども、意思表示がされていない場合の意味合いについても、これらのマトリックスによって変わってきてもいいのではないかということを感じました。例えば、アウト・オブ・コマースのものの非営利利用であるならば、意思表示なしということをより広く認定しやすいとか、またはその逆であるとか、そういう考え方です。これがP1。

それからP2の使用料です。これは、特に権利者不明の場面に限っていうと、そういう場面でも、計算がしやすい、しにくいではなく、支払わせることの意味は何なのかということは再度問われてもいいかなというふうに感じました。ここでは問題提起にとどめます。

最後に、P3の翻案等の改変、それから人格権についてです。翻案等に関しては、UGCあるいは2次創作の活性化推進ということは、知財計画でも大きな方向性として示されているところです。権利者による十分なオプトアウト、簡易のオプトアウトを確保しつつ、広く対応するという方向に賛成したいと思います。人格権に関しても、この制度を利用する場面については、例えばベルヌ基準まで切下げて、近づけるような、そういう運用を考える、こんなこともあってもいいのかなと感じたところです。

最後に、オプトアウトですが、これはやはり権利者にとってできるだけ簡便に簡易に行えることが重要ではないかなというふうに感じたところでした。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございました。

では、大渕委員、お願いいたします。

【大渕主査代理】前回の結果を資料3できれいにおまとめいただき、ありがとうございます。

前回も少し気になっていたのですが、いろいろな場合があって、第1と第2と第3がそれぞれ、不明と連絡不可と、最後に不意思表示ないし不返答となっていて3分法なのですが、不明も連絡不可も結局連絡不可なので、著作権者に連絡がつかない場合という第1と第2の前半の部分と、それから第3の意思表示をしていないという部分とは、前回も非常に違うのではないかというのを民法の水津先生がおっしゃっていました。私も、この両者は性質が違いますので、最低限この2つをきちんと分けないと議論が混乱するので、まずここをきちんと分けることが重要だと思います。今申し上げた第1、第2類型の連絡がつかない場合というのはもう許諾を取ることがおよそ不可能なのでやむを得ないため、これは現行法でも裁定という形で処理しているわけですけれども、最後の第3は、先ほど福井委員も御懸念を示されたとおり、意思表示をしないというだけで著作物を使えるということになると大変なことになりますので、連絡がつかないという場合と不意思表示という場合とはきちんと分ける必要があります。

著作権に詳しくない法律家の方で誤解されている方もいらっしゃるようなので指摘しておきますと、ここで重要と思いますのは、利用を欲する者というのは、著作権者に対して許諾を求める実体法上の請求権を有していないということであります。ここの点が一番の出発点になり、ここのピンどめが重要だと思っております。すなわち、著作権というのは許諾権でありますが、許諾権というのは許諾をするかしないかというのを自由に権利者が決められるということでありますので、許諾を強制することができないということが出発点になるということです。法律家の中には、第3類型というか、不意思表示の場合を――法律家だと割とイメージしやすいところかもしれませんが――民事の欠席判決と似たようなものとして捉えておられる方がいらっしゃるようなのですが、それとは全然違うということであります。民事の欠席判決では、原告が被告に対して実体法上の請求権――これが旧訴訟物理論での訴訟物になるのですけれども――があることを前提として、それの手続法的エンフォースメントを判決手続という形で行っているわけでありますが、ここでは、先ほど申し上げたとおり、利用を欲する人は、著作権者に対して決して許諾をせよという実体法上の請求権はないということをきちんとピンどめしておかないと議論が大混乱していくことになりますので、その点を申し上げたいと思います。

ただ、許諾をするかしないかがはっきりしないと困るから、そこを明らかにせよというのはあり得るわけですが、それが恐らく今後に進むべき後半部分についての話かと思います。最初からこの部分で、要するに許諾権という著作権の根幹に関わってきて、許諾権がいつの間にやら許諾義務に変わってしまうというのでは大変なことになりますので、そうならないように、そこのところはきちんと抑えておく必要があります。

その関係で、オプトアウトというのは、この制度全体から出るという趣旨かと思いますが、オプトアウトしないと、許諾と推定するとか許諾とみなしてしまうとか、あるいは、フラグを立てないと、許諾と推定するとか、みなすということになると、先ほどの申し上げた基本的な部分が全く変わってきます。要するに、著作権者というのは、許諾を出せば許諾になるし、許諾を出さなければ、適法には、権利制限等に当たらない限り利用できないという、そういう立場にいますので、そこを崩して、オプトアウトとかフラグを立てるとか何かしないと許諾になってしまうということになると基本的な部分が全く変わってしまい、大変なことになりますので、そこのところは慎重に考えていく必要があると思っております。

それから、そういう関係で、イエスかノーかをはっきりせよという気持ちは分かるのですが、ただ、そうであっても、純粋理論的に言うと、現行法上は著作権者はイエスもノーも自由に決められるし、イエスかノーかを明らかにする義務が特にあるわけでもないのですが、そこは利用の円滑化のために、その程度の義務だったらあり得るのかもしれないとは思っているのですけれども、ただ気になるのは、はっきりせよというときには、ここで法律家というのは割と、はっきりしないときにはサンクションを課すというネガティブな発想は出てくるのですけれども、そうではなくて、クリエイティブ・コモンズか何か分かりませんが、意思表示をしたらメリットがあるという、ポジティブな方向で何か考えられないか。北風と太陽ではないですが、あまりネガティブな方向だけではなくて、みんなのためになる一定のことをするとメリットがあるという、ポジティブな方向も考えていく必要があるのではないかと思っております。

それから、先ほど出ておりました翻案的利用と改変の話は、重要かと思いますが、財産権的な翻案的利用は、現行法でもここに書かれているとおりできますので、これは今後の新しい仕組みでやるニーズもあるし、これは適正に処理されると思われます。ただ、人格権のほうはなかなか難しい話があって、現行法では、「裁定の手引き」を見ると人格権は別であるということが書いてありますが、人格権のほうは現行法では賄うことは、やむを得ない改変(著作権法20条2項4号)の解釈ではもちろんできますが、これをいじりだすと、著作権法の最大のパンドラの箱を開けるようなところがあります。今回この喫緊の課題にできるだけ迅速に対処するという観点からすると、私はある程度のものは現行法でもやむを得ない改変のところで読み込めるかと思いますので、あまりそこ自体をいじり出すとかいう大げさな話をすると、迅速に進めなくてはいけないものが進められなくて、全体が倒れてくるおそれがあるのではないかと思います。

最後に、2ページの下のほうで、②について、違法性阻却か無過失かという議論があるのですけれども、私としては、できるだけ法制的なハードルが低いほうがいいと思いますので、前回比喩的に申し上げましたが、「民間裁定」にのっとった利用というだけで、当然に適法とは言いにくいのだけれども、そういう権威ある「裁定」があるのに従って行ったのであれば、原則として過失がないというぐらいであれば、経験則的にも言いやすいのではないかと思います。できるだけ法制的ハードルが低いもので、確実に暫定期間中の利用について損害賠償責任を負わないということを担保してあげるという現実的なアプローチが重要だと思っております。

取りあえず以上でございます。

【茶園主査】ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

前田委員、お願いいたします。

【前田委員】ありがとうございます。

まず、使用料と対価につきまして、先ほど福井委員からもお話がありましたように、必ずしも使用料や対価が常に必要とするべきではなくて、もちろんそれが必要となる場合もあるでしょうが、使用料や対価がゼロの場合もあり得ることを前提としたほうがよろしいのではないかと思います。

それから、大渕委員からも御指摘ありました、同一性保持権との関係なのですけれども、同一性保持権の侵害にならない旨を明文の規定で置くということになると、なかなか難しい問題が生じてくると思います。ただ、今回の新たな権利処理の仕組みを用いて利用するような場合には、20条第2項4号やむを得ないと認められる改変を相対化し柔軟に解釈する余地があるとか、そういう検討をすべきであるとか、審議会報告書の中で解釈の柔軟化について言及するということは考えられるのではないかと思います。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

このペーパーにある論点や課題についての御質問、御意見でももちろん結構ですし、これらに含まれていない新たに検討すべき論点、課題がございましたら、それらについても御発言いただきたいと思います。何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。

では、どうもありがとうございました。

この論点につきましても、来年度、詳細に審議をいただくことになっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

では、議事(4)に入りたいと思います。

議事(4)は、令和3年度法制度小委員会の審議の経過等についてでございまして、この点について議論を行いたいと思います。

まず、事務局において審議経過報告(案)を作成していただいておりますので、まず、事務局から御説明をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】資料4をお開きください。

資料4、令和3年度法制度小委員会の審議の経過等についての案になります。

法制度小委員会のクレジットでまたまとめて公表することを考えております。

1、はじめにのところです。はじめには、昨年7月の大臣諮問を踏まえて、DX時代に対応した著作物の権利保護・利用円滑化・適切な対価還元に係る法制度等、主に以下の課題について検討を行ってきたということで、(1)から(4)まで挙げております。

その審議経過を2ポツ、次から御説明するとおりまとめております。また、今年度結論が得られていない課題については、来年度以降も引き続き検討を行うこととするとしております。

2、課題の審議状況についてということで、(1)DX時代に対応する基盤としての著作権制度・政策に関する検討についてです。こちらは、本日の議題2のところで御説明したとおりになっておりますので、詳細は、説明は省かせていただきますが、本日の御意見、御議論を踏まえまして、また更新を考えております。

(2)独占的ライセンシーに対する差止請求権の付与及び独占的ライセンスの対抗制度について、ワーキングチーム関係の議論でございます。

こちらは、今年度の検討で一定の報告書、まとまっておりますので、(2)にございますように、平成29年度からの審議の経過、あと30年度、そして今年度のワーキングチーム、このような経緯をまとめております。

最後は、3ページの中ほどのところにございますが、令和4年2月4日付で報告書を取りまとめたとしております。詳細は、報告書に譲る構成にしております。

続きまして、(3)研究目的に係る権利制限規定の創設についてでございます。

こちらは、継続検討課題で審議しておったものでございます。こちらも、令和元年度の小委員会における議論の結果のところから踏まえまして、今年度さらに調査研究を行っているというところを言及しております。現在、こちら、調査研究実施中でございますので、その旨の報告となっております。

最後(4)番です。

(4)番、DX時代に対応した著作物の権利保護・利用円滑化・適切な対価還元に係る法制度については、先ほどの議題3の関係でございます。本日いただきました御議論も踏まえまして、こちらも適宜事務局で見直しを行った上で、審議経過報告とさせていただければと考えております。

資料の説明は以上でございます。

【茶園主査】ありがとうございました。

それでは、ただいま御説明いただきました審議経過報告案につきまして、御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。

これは、今期、令和3年のこの本小委員会で行ったことをまとめたものでして、何か御意見、御質問等ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

では、この内容で本小委員会の審議経過を報告して、著作権分科会に報告をさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

では、全体を通じまして、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、本日は今期最後の法制度小委員会ということでございますので、文化庁から一言御挨拶をいただければと思います。

【杉浦文化庁次長】失礼いたします。文化庁の次長をしている杉浦と申します。

【茶園主査】よろしくお願いいたします。

【杉浦文化庁次長】今期の本小委員会が終わるに当たりまして、一言御礼申し上げたいと思います。

今期の本小委員会におきましては、DX時代に対応する基盤としての著作権制度・政策に関する検討、独占的ライセンシーに対します差止請求権の付与及び独占的ライセンスの対抗制度、研究目的に係る権利制限規定の創設、それからDX時代に対応した著作物の権利保護・利用円滑化・適切な対価還元に係る法制度について御議論を頂戴いたしました。

DX時代に対応する基盤としての著作権制度・政策に関する検討につきましては、民事裁判の原則電子化・オンライン化に係る民事訴訟法の改正に伴いまして、民事裁判手続に必要となる著作物の公衆送信等を可能とする著作権法の改正について御了承いただいたところでございます。

また、先ほども、またさらにこれから新しいお話もあるとお伺いしましたけども、そういった時代になっていると認識しております。

また、独占的ライセンシーに対する差止請求権の付与及び独占的ライセンスの対抗制度につきましては、契約実務に与える影響や著作権者の意思との関係、他法令との整合性等を考慮しつつ、制度改正の方向性をきめ細かく御議論の上、お取りまとめいただきました。

委員の先生方におかれましては、それぞれの御専門の立場から、今期の本小委員会のため多大な御尽力を賜りましたことに改めて感謝申し上げ、私からの挨拶とさせていただきます。

本当にどうもありがとうございました。

【茶園主査】どうもありがとうございました。

それでは、以上をもちまして文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第4回)を終了とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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