文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第5回)

日時:令和4年9月30日(金)

13:00~15:00

場所:オンライン開催

議事

1開会

2議事

  • (1)審議事項に関する関係者からのヒアリング
  • (審議事項)

    • 研究目的に係る権利制限規定の検討について
    • 立法・行政のデジタル化に対応した内部資料の公衆送信等について
    • 損害賠償額の算定方法の見直しについて
    • 簡素で一元的な権利処理と対価還元の制度化について
  • (2)これまでの審議・ヒアリングでの主な意見について
  • (3)その他

3閉会

配布資料

資料1
第22文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第5回)ヒアリング出席者一覧(101KB)
資料2
第22文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第5回)ヒアリング資料一式(424KB)
資料3
過去に裁定制度を利用した者へのアンケートの結果について(268KB)
資料4
これまでの審議・ヒアリングでの主な意見(264KB)
資料5
「意思表示」がされており、新しい権利処理の対象とならない例について(検討用ペーパー)(191KB)
参考資料1
第22期文化審議会著作権分科会法制度小委員会委員名簿(109KB)
参考資料2
第22期文化審議会著作権分科会法制度小委員会における審議事項に関するヒアリングについて(454KB)
参考資料3
中間まとめ DX時代に対応した「簡素で一元的な権利処理方策と対価還元」及び「著作権制度・政策の普及啓発・教育」について【概要】(649KB)

議事内容

【茶園主査】ただいまから文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第5回)を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、委員の皆様にはウェブ会議システムを利用して御参加いただいております。委員の皆様におかれましては、ビデオをオンにしていただいて、御発言のとき以外はミュートに設定をお願いいたします。ヒアリング関係者の皆様におかれましては、御自身の御発言時以外はビデオもオフにしていただきますようお願い申し上げます。

議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと特段非公開とするには及ばないと思いますので、既に傍聴者の方にはインターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところですけれども、この点、特に御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【茶園主査】ありがとうございます。では、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。

それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】事務局でございます。配付資料は次第の下ほどにあるとおりでございます。

以上です。

【茶園主査】それでは、議事に入ります。本日の議事は、議事次第のとおり、(1)から(3)の3点となります。

早速、議事(1)の「審議事項に関する関係者からのヒアリング」に入りたいと思います。本日は議事次第にございます審議事項について関係者からのヒアリングを行います。まず事務局より簡単に趣旨の説明をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】事務局でございます。本日は、資料1のとおり5団体の関係者の方に御発表いただきます。また、1団体におかれましては、日程の都合上、資料のみいただいておりますので、事務局より御紹介いたします。

時間の都合上、質疑の時間は複数団体ごとにまとめて設けます。

御発表様におかれましては、事前に事務局よりお願いしました発表時間、1団体約5分程度、こちらに御留意いただきまして、円滑な議事進行に御協力賜れば幸いです。

以上でございます。

【茶園主査】ありがとうございました。それでは、初めに、日本芸能実演家団体協議会の椎名和夫様、よろしくお願いいたします。

【日本芸能実演家団体協議会(椎名氏)】ありがとうございます。本日はこういう機会を与えていただきましてありがとうございます。

第22期の法制度小委員会における審議事項への意見ということで、提出いたしました資料を基に御説明をしたいと思います。時間が限られておりますので、御説明する要点を絞って御説明したいと思いますが、まず、研究目的に係る権利制限規定の検討については、ここに書かれているとおりでございますので、後ほどお読みいただければと思います。

2番の立法・行政のデジタル化に対応した内部資料の公衆送信等についてということでございますが、まず立法・行政のデジタル化に対応した内部資料の公衆送信等については、検討の方向性に異論はございませんが、権利制限の適用範囲を拡大するというようなことであれば、補償金制度の導入を含めて、権利者の利益を不当に害することのないように慎重に検討を進めるべきであろうと思います。

それから、その他、DX時代に対応した著作権制度・政策の見直しについてということなんですが、この検討課題につきましては、立法行政による利用に限定されるものではないために、立法・行政のデジタル化に対応した内部資料の公衆送信等についてというテーマにおいて検討するということがちょっと違和感がございます。オンライン配信、VR、メタバースなどDX化の進展に伴いまして、コンテンツの新たな利用機会が増大し、新たなビジネスが生み出されることが期待されておりまして、こういった新たな利用についても権利行使の機会がしっかりと確保されることがクリエーターへの適切な対価還元を実現していくためには重要であろうと思います。

DX化の進展に伴いまして、実演家の人格権が害される機会が増大する可能性があることから、人格権についてもしっかりと保護をしていくことが重要であると思っております。

他方で、DX化の進展による技術的な革新が人格的な利益の保護に寄与することを期待できる。例えば実演家の氏名表示については、物理的な制約からパンフレットとかCDジャケット等に一部の実演家の氏名しか記載されないというようなことは珍しくないことでございまして、しかし、DX化の進展によって物理的な制約を技術的に解消することも可能になるという面もあると思います。

一方で、実演家の人格権というのは非常に限定的でありまして、氏名表示などが省略されてしまうような場合もあるということで、この部分は人格権のみならず財産権の権利処理にも影響する部分でもあります。実演家というのは、権利処理をする対象の人数が非常に多いということもありまして、実演家の氏名表示権については、DX化の進展に伴ってむしろ強化を検討すべき部分ではないかと思います。この点、御検討いただければありがたいと思います。

損害賠償額の算定方法の見直しについては、お読みいただければよいと思います。

4番の簡素で一元的な権利処理方策と対価還元の制度化イメージについてということでございますが、簡素で一元的な権利処理方策と対価還元の制度化を検討するに当たっては、著作物等の保護と利用のバランスを失わないことが重要であり、特に新しい権利処理において、窓口組織が権利者に代わって利用許諾を与えるというような場合には、ある種の強制許諾であるという部分もありますので、スリーステップテスト等との整合性にも留意しながら丁寧な検討が必要だと思います。

また、窓口組織のデータベースを権利者の探索に活用する方向性を否定するものではないのですが、現時点で権利管理情報に関する網羅的なデータベースが存在していないことに十分留意した上で、権利者の探索や意思の確認の在り方を検討すべきである。

あと、窓口組織の運用コストですね、データベースの構築費用等、これをいかに賄うのかというのは実務的な観点からも検討が必要でありまして、制度趣旨に照らせば、この制度は社会全体に寄与するものであるところでもありますので、そのコストについては、公的な支出等も含めて総合的に検討すべきではないかと思います。

あと4-2、各論点の整理についてということで、意思表示がされていない場合、新しい権利処理の仕組みでは権利者不明の裁定制度の対象となっている権利者不明・所在不明の著作物等に加えて、意思表示がなされていない著作物等も対象になることが想定されていますが、どういう基準でこれを判断するのかが非常に重要であると思います。新しい権利処理手続によって権利者の許諾なく利用が認められることになるために、権利者による権利行使の機会が不当に害されることのないような厳格な判断基準を規定する必要があると思います。

また、暫定的な利用についてですが、権利者に代わって窓口組織が利用許諾を与えるという場合に、著作者や実演家の人格的利益を害するような利用、不適切な利用が生じる蓋然性が高まるおそれがあります。人格的利益の侵害は回復が困難な場合もありますから、客観的に著作者等の人格的な利益を害することが明らかな利用については、新しい権利処理手続の対象外とするなどの措置を講ずるべきではないかと思います。

あと、使用料相当額に当たる利用料ということですが、権利者が現れる蓋然性が極めて低いと言える場合において、窓口組織が収受した利用料を一定期間経過後にデータベースの拡充その他著作権関連事業に充てることには異存はないんですが、例えば権利者が現れた場合に備えて、一定期間経過後の利用料の一部を基金として積み立てる方策も考えられるのではないかと。これを俗にクレーム基金などという言い方をしますが、そういうやり方も検討してはどうかということでございます。

4-3については特段意見はございません。以上でございます。

【茶園主査】どうもありがとうございました。では、続きまして、映像コンテンツ権利処理機構の中井秀範様、よろしくお願いいたします。

【映像コンテンツ権利処理機構(中井氏)】中井です。よろしくお願いいたします。時間が短いので、手短に行きたいと思います。

それでは、1番の研究目的に係る権利制限規定の検討ということでございますけれども、これ、現時点では特段の意見はございません。

ただ、時間がない中、余談で申し訳ないのですが、我々が扱っている実演家には、いわゆる有名芸能人という人たちが多くおりまして、この方たちの名前を冠して何とか研究とかいう、研究という名前に名を借りたゴシップ本とか、そういうものを出されて、堂々と著作物を引用されたりとか、肖像・パブリシティ権を侵害されているというケースがあるということは一言申し上げたいと思います。

それから2番、立法・行政のデジタル化に対応した内部資料の公衆送信等についてです。これも、立法・行政に関しましては、特段大きな違和感はないんですけれども、こちらに書いてございます2番、②のDX時代に対応した著作権制度・政策の見直しについてのところで、DX時代に対応した著作物の利用円滑化とバランスを取りつつ、著作権、著作者人格権等の権利内容の検討が必要と書かれております。しかしながらDX化するために権利の内容を簡素化するというのは本末転倒であると感じております。もともとDX化する、先ほど椎名さんもおっしゃっていましたけど、具体的に言うとブロックチェーンとかということになれば、余さず情報を入れられるというのがDXの有利な点でございまして、DX化するのに何で情報を簡素化するんだという、非常に矛盾した議論なのかなと。これは何度もこの委員会あるいは総務省さんとの会議でもお伝えしてきたかなと思いますが、再度申し上げておきます。

それから3番目、損害賠償額の算定方法の見直しにつきましては全面的に賛同いたします。これまで本当にライセンス化プラスちょっとした賠償金みたいなことで決着されていたので、権利者を侵害する側が取りあえず使っちゃって、後で著作権者が文句言ってきたら、すいません、それなら金払いますみたいなことで済まされてきたということで、懲罰的な効果は全くなかったと感じています。それが改善されるということであれば非常にいいのではないかなと感じております。

それから、制度化イメージについてということなんですけれども、ここに書いておりますけれども、私どもの映像実演というものを取り扱っている団体に限って申し上げますと、映画とかその他のコンテンツの場合、出演者の録音録画の許諾を取得していると、いわゆるワンチャンスで処理しているので、特段二次使用に関しては必要ないと。したがって私共で取り扱うのは、放送局の方々が放送番組を二次使用するときに出てくる権利処理というのがほとんどでございまして、それに関していうとaRmaで完全に対応できているというところでございます。多分これから先、映像実演の権利処理というのが新しいところで増えていくのはUGCの作品等々だとは思いますけれども、今のところ、映像実演につきましては、特段幅広な窓口をつくってどうのこうのと、窓口組織をつくって拡大許諾みたいなことをしないとどうしようもないというところにまではまだ来てないということと、窓口組織がつくり上げるデータベースのイメージがもう一つつかめていないというところが不安といえば不安材料かなと思っています。

我々、事務所にIDがあって、同じアーティストのIDが今度、団体、音事協にあって、そのまた上がaRmaにあって、CPRAにも別にあってというふうにIDがばらばらになっているということで、アーティスト固有のIDを付与するアーティストコモンズという社団をつくりまして、こちらか親会のほうで理事長の関西大学三浦教授が一度プレゼンさせていただいたことがあったかと思いますが、そのIDを使ってAPIでどんどんほかのデータベースとつないで使用を促進しようということをしたりしております。民間ベースでそういうこともやっておりますので、そこら辺りのこともこの窓口組織をつくる上で御参考いただいたりすればいかがかなと思っております。

あと、全体的になんですが、どうしてもある種の権利制限ということが加わっていくことはしようがないんです。ただ、その際に拡大集中許諾とかというと、非常に使用者側が勝手に拡大して解釈するという悪い癖がありますので、拡大解釈をして権利濫用されないようにそこは十分周知していただきたいと。適正な運用を求めていきたいと思っております。どうもありがとうございました。

【茶園主査】どうもありがとうございました。では、続きまして、クリエイターエコノミー協会の淺井健人様、よろしくお願いいたします。

【クリエイターエコノミー協会(淺井氏)】クリエイターエコノミー協会の淺井と申します。よろしくお願いします。本協会、この場で発言させていただくのが初めてというところでありますので、簡単に協会の内容について御説明した上で、4番について意見を申し上げさせていただければと思います。

まず私どもの対象としているクリエイターエコノミーというのは、あらゆる人々がクリエーターとして活動して、それによって生まれる新しい経済圏を指しております。

こちらが広がってきた背景としましては、インターネット上に様々なプラットフォームができたりですとか、インターネットで活動する者のエージェントといったところがかなり充実してきたというところで、今、大きく伸びている分野と感じております。

私どものミッションは、クリエーターが活動しやすい社会環境をつくり、その自由かつ安全な活動を促進するということで、現在クリエイターエコノミーに関係する会社61社ほどに参加してもらっております。設立は1年ちょっと前になります。

そうしましたら、4番について意見を申し上げさせていただければと思います。まず冒頭申し上げますと、簡素で一元的な権利処理が可能となること自体には協会として賛成をしておりますけれども、時期尚早ではないかというふうには考えております。

まず具体的には、1点目ですけれども、分野を横断する一元的な窓口について、音楽の分野については充実していますが、ほかの分野は、必ずしも充実しているとは言えない部分もあるかとは思っております。この分野横断的な情報データベースを充実させることで、権利者にアクセスがしやすくなって、コンテンツが使いやすくなるというところについては賛成しております。

他方で、インターネット上で活動するクリエーターという立場から見ますと、今回の制度で暫定の利用の対象になりやすいにもかかわらず、そうしたクリエーターの御意見というところについて、個別のクリエーター何名かの御意見を聞いていただいたことはあったかと思いますけれど、まだまだ実情等が反映されていないのかなと思っております。

暫定利用の対象になりやすい理由としましては、1つは、インターネット上のクリエーターの方々、業界団体ですとか企業ですとかエージェントとかに属していない方もおられまして、そういった方の場合、法改正といったところについても、実態としては疎いというところがございます。そうした方々については、集中管理の対象にもならずに、法改正も知らないままでいるということが容易に想定されるというところがあります。こうした方々が事前の意思表示をせずに連絡を受けたという場合であっても、クリエーター自身、何か団体に所属しているわけではないとなると、例えば使っているプラットフォームのDM機能等で連絡するというところは想定されますけれども、いろんな連絡が来たりですとか、場合によっては誹謗中傷の窓口になっていて、そもそも見ていないということですとか、あとは今回、連絡が管理団体から来たとしても、それ自体が怪しい連絡かなと思って対応しないというところもあったりするというところで、意思表示もなく、かつ連絡も取れないということで、暫定利用の対象になりやすいと考えております。

実際にこういった暫定利用が可能と判断された場合に、3つ問題点が出てくると考えております。1つは、これに限った話ではないところはありますけれども、暫定利用というところが起点となって、コンテンツを利用されたことに後から気づいて権利者が停止するということをしたとしても、新しくコンテンツが、いろんなところでコピーをされてしまって、実態としてはインターネット上にデジタルタトゥーとして残ってしまうという問題があると考えております。

もう一つは、利用停止というところについて、かなり包括的にオプトアウトするような仕組みというところも検討いただいているところではございますけれども、現在の案ですと、使用された側のほうがその手続を取らなければいけないというところが少し負担として重いと思っております。

というのも、まず利用されているというのを認知した上で、そのクリエーターがどうやったら止められるかというところで、法改正を認知していないというところになりますと、そもそもどうやってやるのかを調べるところからコストがかかってきますので、そういったところを逐一対応していかなければいけないというところになると、それを使われた側が負うというのは少し負担として、重たいと考えております。

もう一つ、今回、法改正が行われたというところで、既存の団体等に所属しておりますと、法改正があったので意思表示をしてくださいというところになるかと思いますので、そういった方々の中で個別許諾をしないという意思表示をされた方々が、逆に法改正を知らないインターネット上で活動しているクリエーターの方々のコンテンツを一方的に使うみたいな状況がもしできてしまいますと、ハレーションが起きやすいのかなと考えております。

ほかに実際にこの制度が導入された場合に、幾つか懸念と申しますか、配慮いただきたい点としては、以下4つございます。

1つは、今回許諾というところがありますけれども、インターネット上では実名ではない名称ですとか匿名で活動する者も多くおります。メタバースが発展しますと、恐らくメタバース上では匿名でいろんな人格で活動される方とかも増えてくるかなと考えております。この許諾の諾否の際に実名が必要ということになりますと、実名を絶対出したくないという方は、結構な数おられると思いますので、もしそういった仕組みをつくられる場合には、許諾団体自体に実名を開示するというところはあるとは思いますけれども、その先にまで実名を出さないでいいような仕組みといったようなところも御検討いただければと思っております。

利用単価については、音楽以外の様々なコンテンツは、単価がさまざまですので、その点についても御配慮いただきたいというところと、二次創作活動については、今現在、明示・黙示のルールでうまく運用されている部分が傷つかないようにしていただきたいです。

もう1個は、複数の権利者で構成されているコンテンツについても、外からは見えにくいとは思いますけれども、きちんと複数の権利者が関与できるような形で御対応いただきたいというところがございます。

検討を重ねた上で、今回の制度を進めていくという場合には、やはり知らないで使われるということが発生しますとかなりハレーションが大きいと思いますので、制度自体の周知だけでなく、どうやって意思表示をすればよいのかとか、どのように連絡をすれば到達したという話になるのかといったところについては、広く十分な周知をいただきたいと考えております。

以上です。ありがとうございました。

【茶園主査】どうもありがとうございました。それでは、ここで質疑の時間を取りたいと思います。ただいまの3団体からの御意見に関連いたしまして御質問がございましたら、御発言をお願いいたします。御質問等ございますでしょうか。

福井委員、お願いいたします。

【福井委員】 以前もお伺いしたことなんですが、現在、万人が情報の利用者であり発信者であるということが言われます。既存の作品に基づくUGC、これも非常に多いと思いますし、またメタバースや埋もれた作品のアーカイブ利用など、膨大な作品についての利用の需要や可能性は増加しているだろうと感ずるんですね。

他方で、こちらの文化審議会の基本政策小委員会で、昨年度のヒアリングでは、多くのジャンルにおいては権利者団体の組織率が10%から20%という低いレベルにとどまっているということが各団体から報告されました。これは会員の組織率だけでそうですので、集中管理や権利情報データベースのいわゆるカバー率はさらに大分低いんじゃないかなと思うんです。

そういう中にあって、こうしたカバー率を上げるための工夫、あるいは、それ以外の手段で権利者からの許諾を得て利用を促進し、そして権利者、創作者への対価を還元するための工夫として、今日お伺いした以外に一体どういう仕組み上の提案等が考えられるか。もしお考えがあれば、どの団体でも結構なので、お伺いできればと思います。

あと、各団体さんに御質問があるんですけれども、まずaRmaさんにですね。aRmaでは、過去の放送番組を中心に、不明の出演者について呼びかけのページを持っていらっしゃいますね。直近で見たところでは、現在、3,549件の呼びかけが行われているようです。既に権利者が現れた場合、記載は残っていないと思うので、3,549件が現状ということかなと思うんです。中には昨年の番組もあるようです。

ところが、こうして呼びかけをして、それは文化庁の利用裁定を得ればそうした番組は使えることになるんでしょうけれども、裁定の実績のほうが、見たところ最近ではほぼないようです。とすると、それでエイヤで放送番組を二次利用しちゃっているということはないだろうと思いますので、考えられる可能性は2つで、全部本人が登場しているか、あるいは利用を諦めているか、どちらかだと思うんです。出演者でもこれだけの数字が出ていますから、もちろんそのほかの番組に関わる権利者、同じような不明の問題を抱えているんじゃないかと思うんですが、全部呼びかけたら出演者が登場しているのか、それとも利用を諦めている番組がかなりあるのか、いずれかあるのか、中井さんの御知見の中で結構ですので、分かる範囲でお答えいただければと思いました。

そして、クリエイターエコノミー協会さんに。UGCにしても、クリエイターエコノミーにしても、既存の作品の利用の需要もかなりあると思うんですね。今日は権利者としての側面の御発言が多かったように思うんですけれども、こうした既存の作品を利用する側面からお伺いします。既にEUなど14か国とも言われる国で拡大集中許諾、ECLの制度が導入されているのは、こうした危機感、新しいニーズへの対応という各国の意識のあらわれであるかなと思うんですが、それに対して、日本、現状の状況で競争に勝てるでしょうか。クリエイターエコノミーにとっては大丈夫でしょうか。もしお考えがあればお伺いできればと思いました。

以上です。

【映像コンテンツ権利処理機構(中井氏)】どうもありがとうございます。aRma、中井です。大体この手の会議って、福井先生が一番に質問して、僕が一番に答えるということが多いような気がするんですけど。1番目の問いに関しましては、いわゆる芸能実演家という方々というのは、基本的に何かの資格が必要なわけでもなく、何となく、私、今日から入るですとか、今日から芸能人ですとかと言ってしまうと、なれる。かつ、何らかの番組に1回出てしまうというと、実績が残っていくというようなところがありまして、随分いろんな方たちがいっぱい入ってきて、いっぱい出ているという状態です。

ですから、プロダクション単位では、誰が入って誰がやめたかというのは分かるんですけれども、我々事業者団体のほうでは、割とかためるんですけれども、団体に入ってない方々だと、ちょっと1回役者やろうと思ってやってみて、端役とか、そういうところで出てみたけど、やめましたとか、そこから行方が分からないとか。事務所とかが分かれば何とか追っかけたりはできるんですけど、そういうことができないというのが、先ほどおっしゃったaRmaの三千何百人かなと思っております。

昔の作品ですと、やっぱりお亡くなりになっていたり、もう廃業されている方がいたり、転職されている方がいたりと。見つかっても、面倒くさいからどうでもいいよと、そんな何百円もらうためだけに、いろんな申請したり登録したりとか面倒くさくてできねえよとお断りになる方もいっぱいいらっしゃって、これはECLを導入した際にも当然出てくる話なんだろうなと思っています。

去年の作品でも見つからない人がいるというのは、そういう、突如、やってみたけど、いなくなったという人が多いのかなと思っていますが、裁定制度を利用していないというのは、これは多分、放送局の方がこの番組を二次使用しようと思ったけど、そこまでしてやりたいわけでもないんだよみたいなことがあって、そんな面倒なことだったらもういいよと。NHKさんは多分文化庁さんの裁定制度を何回かお使いになっていると思うんですけれども、民放はほとんど使ってないんですね、以前会議でお聞きしたときも。ドラマのメインロールの方々は、きちっと契約をして、二次使用の際には二次使用料というような契約になっていますけども、いわゆるエキストラの方とか、こういう言い方、非常に嫌いなんですが、端役の方々とかは買取りになってしまっていると。出演料で、この後、DVDになろうが、配信しようが、全部権利はこっちだよといって買い取ってしまっているという大きな問題がずっと続いたままになっているというのが現状です。

ですので、テレビができて七十何年たって、もちろんビデオがない頃から含めて七十何年なんですけれども、そこの部分で今見失われている人が3,000人ぐらいいるということですね。当然、先ほども申し上げたように、委任してくださいと言っても、面倒くさいから嫌だよとか、もともとそういう団体に入りたくないから入ってないんだよと、何で今さら入らなきゃいけないんだよという方が少なくないというような現状があるということを申し上げておきます。

【茶園主査】よろしいでしょうか。

では、続きまして、クリエイターエコノミー協会様、よろしくお願いします。

【クリエイターエコノミー協会(淺井氏)】いただきました最後の質問についてですけれども、私どもとしては、一番の骨としては、時期尚早という部分かなと考えておりまして、そう申し上げているのは、今回の制度が実際に走った場合に、ネット上のクリエーターの方のコンテンツばかりが使われてしまうのではないかなという危惧がございます。創作活動自体は既存のコンテンツの上に積み重なっていくものだと考えておりますので、そういったものが積み重なって使われていくということ自体は特に否定するものでは全くないというところではございますけれども、その辺り、アンバランスにならないということと、実態としてやはりネット上のクリエーターがこういうことになるということがちゃんと認知できる仕組み、恐らくそれぞれがちゃんと意思表示ができれば、それはそれでだとは思っているんですけれども、知らない間に勝手に使われていて、すごくメンタルが傷ついて、創作活動に支障が出るみたいなことというところについては十分な配慮が必要かなと思っています。

おっしゃっていただいたとおり、競争環境という意味では、うまく使われるのであれば、すなわち、それぞれのクリエーターの事情にも配慮した上で使われるというところであれば、既存の創作物は活用されるべきなのかなというのはございますけれども、ただ、他方で、日本のコミケのように、すごく特殊な暗黙の了解の下でここまでなら、という線引きで動いている部分というところも、世界的にみても、類いまれなる部分だとは思いますので、そういった部分が毀損されないような形を御配慮いただきたいというところも併せて、感じておるところでございます。

【クリエイターエコノミー協会(淺井氏)】私ども、基本的にインターネット上のクリエーターの活動のプラットフォームですとかエージェントの会社が集まっている団体ですので、あまり業界団体的に集約してみたいな動きを今のところはしていないというところがありますので、カバー率の質問については回答を控えさせていただければと思っております。

【茶園主査】ありがとうございます。芸団協様、カバー率の件については何かございますでしょうか。

【日本芸能実演家団体協議会(椎名氏)】先ほども最後の辺で申し上げたんですが、集中化に向かうインセンティブの最たるものはやっぱり対価の還元なんですよね。そこのところで、新たに用意された対価がありますよということをいかにきちんと知らしめていくかということから考えると、さっき使用料相当額に当たる利用料の処理について申し上げたくだりの中で、クレーム基金ということを申し上げたんですけど、一定期間、一定額を取り置いて、後から来た権利者に対してそれを渡してあげることがインセンティブにつながっていく。そういう形で集中化を進めていくという知恵はあるのではないかと。実際芸団協の権利処理の中でもそういったことをやっていたりしますので、集中化を進める上での選択肢の1つとしてそういうことも検討していただいたらいいのではないかと思います。

以上です。

【茶園主査】福井委員、よろしいでしょうか。

【福井委員】ありがとうございました。

【茶園主査】ほかに御質問等はございますでしょうか。

早稲田委員、お願いいたします。

【早稲田委員】貴重な御意見ありがとうございました。クリエイターエコノミー協会様に御質問があるのですが、よろしいでしょうか。今御回答いただいたように、クリエイターエコノミー協会様というのは、いろいろなネット上のコンテンツのプラットフォーマーの会社が集まっていらっしゃるというように認識しているんですけれども、その中でプラットフォーマーの役割というのは非常に今後重要になってくるのではないかと思っているんですが、各プラットフォーマーさんが、そこに登録しているクリエーターの方に対価還元とか、情報提供とか、何かいろいろと工夫されていると思うんですけれども、今回、どういうものがあるかということを教えていただければありがたいなというのが1点と、2点目は、先ほど時期尚早ではないかと。一方的に制度を知らないクリエーターが不利になるのは、それは好ましくないとおっしゃって、それは本当にそのとおりだと思うんですけれども、例えばこの法律が制定して、周知期間があってということであれば、それは実施が可能なのかどうかというのが2点目。

最後にもう1点だけ、申し訳ございません。先ほど諾否の関係で、クリエーターさんの場合は匿名活動も多いので、諾否については、本名じゃないというようなところでも諾否ができるようにというのは、それも非常に貴重な御意見だと思ったんですが、それはプラットフォーマーさんのほうである程度この方が匿名でこういう活動をされていますということを、例えば窓口組織に登録なり連絡するようなことができるのか、それとも、やはり窓口組織のほうで匿名の方は匿名の方として登録していくみたいな形が必要になるのかという、すみません、長くなりましたが、その3点をお教えいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【クリエイターエコノミー協会(淺井氏)】そうしましたら、最初の点からですけれども、プラットフォームの対価還元につきましては、大きく広告型とコンテンツそのものを売っていると場合に分かれまして、広告型の場合は、そこから得られた広告収益のうち何%をクリエーターさんにお渡しするというところですとか、あとはコンテンツを販売するようなサイトというところになりますと、そのうちの何%をプラットフォームに納めていただいて、残りの部分についてはクリエーターさんに取っていただくというような対価還元をしております。

情報提供につきましては、プラットフォームによって様々ではありますけれども、クリエーターさんが間違って法律に違反してしまうとか遠慮してしまうといったところもございますので、そういったことがないように情報提供するというようなことは行っていたりしております。

周知期間のところですけれども、結局、インターネット上のそういったプラットフォームを使っていないですとか、例えば独自のホームページ上で活動されているといったところの方もあると思いますけれども、そういった方含めますと、なかなか周知が難しい部分はあると思いますけれども、結局はちゃんと意思表示ができる中で、ちゃんと法改正を認知して意思表示ができるところで。

匿名の部分の諾否というところでございますけれども、プラットフォーマーに関しては、かなりのクリエーターの方がそのプラットフォームを使っておられたりというところがございますので、プラットフォームによっては窓口になれるようなものもあれば、かなり多数のクリエーターさんが使われている場合については、プラットフォーム自体がどこまで窓口になれるかというところはプラットフォームの考え方にもよるのかなとは思っておりまして、かなり多数のクリエーターを抱えているようなところに関しては、どちらかというと、多分窓口のほうで取り合っていただく際に、恐らく窓口自体にはお名前をお示ししますけれども、例えばインボイスのように、相手の方、使われる方には実名を出さなくてもよいというような仕組みづくりがあると、匿名で活動するクリエーターとしてはありがたいのかなと考えております。

【早稲田委員】ありがとうございます。

【茶園主査】ほかにございますでしょうか。

よろしいでしょうか。

ありがとうございました。では、関係者の方々には随時御退室いただいて結構です。

では、続きまして、コンピュータソフトウェア著作権協会の中川文憲様、よろしくお願いいたします。

【コンピュータソフトウェア著作権協会(中川氏)】コンピュータソフトウェア著作権協会の中川でございます。意見発表の機会を頂戴し、ありがとうございます。

弊協会からの意見は3と4についてでございます。まず3の損害賠償額の算定方法の見直しについてです。対応案に賛成いたしますが、特許法の追認的なものであることを前提とせず、より柔軟な対応が可能となるような法改正となることを期待しております。

次に、4の簡素で一元的な権利処理方策と対価還元の制度化イメージについてです。まず制度化イメージについてですが、そもそも本制度の検討に際しては、その理由として著作権者等の探索を含む権利処理コストが高いために必ずしも著作物の利用に結びついていない点が挙げられておりますが、本制度が導入された場合の影響の甚大さ及び権利保護の観点からすれば、その根拠データを提示していただき、権利者が十分納得するだけの説明が必須と考えております。

私どもといたしましては、権利者が不明な著作物について、利用の円滑化のために施策を講じる必要性については一定の理解はできるところ、今回の新しい権利処理の仕組みについては、権利者不明・所在不明である場合のみならず、著作権者等の意思表示がない場合も著作物が暫定的に利用されることまでをも想定しています。権利者は、著作権の大原則である許諾権に基づき、意思表示がない場合、著作物の利用は許されないことを前提にビジネスを適切に展開しておりますので、意思表示の対応を大原則とする今回の制度が導入されれば、権利者の権利をいたずらにじゅうりんするものとなってしまいます。権利者にとって大きな不利益をもたらす制度の検討を、先述の根拠が不明なまま拙速に検討し結論を得ることは将来にわたる著作物の創作に影を落とす結果となりかねないことを御理解いただき、慎重な御検討をお願いいたします。

また、私どもの会員にはグローバルに事業展開をしている企業も少なくなく、国際条約や他国法制との関連を懸念しており、その点についても改めて御確認いただきたく存じます。

なお、ビジネスソフト、ゲームソフトについては集中管理は行っておりませんし、統一的なデータベースも存在しませんが、著作権者についてはインターネット上の検索などで容易に判明することから新たにベースを構築する必要もないと考えております。そのため、一元的な窓口組織に参画するに当たっては、分野横断データベースの構築に参画することを前提としないことを希望いたします。

次に、意思表示についてです。著作権者等の意思表示に関して、第三者からの無数のメール等の個々の問合せに対して、著作権者が全て応答することは現実的ではなく、また、一定期間内に応答されなかったことをもって一律に著作物の利用を認めることは、第三者の利用を望まない権利者にとって負担や不利益が大きいため、実情に即した多様な意思表示の形態を柔軟に認めていただけるよう要望いたします。

また、ゲームなどの複合的な著作物について、ゲーム会社でない国内外の第三者の著作物について意思表示をどのように確認するかの検討を行うことと、ライセンサーがライセンシーの意思表示を代理して行うことも可能とするよう要望いたします。

続いて暫定的な利用についてです。制度化イメージでは裁定制度と新しい権利処理の仕組みのいずれも選択可能なように思われますけれども、権利者不明の著作物については、現行裁定制度における課題を解消すべく改善した上で、原則として裁定制度を利用することとすることを要望いたします。

また、新しい権利処理の仕組みにおける暫定的な利用は、手続が進められた後窓口組織による公告が行われた上で、あまり時間を置かずに公告と並行して利用可能となるように見受けられますが、一定程度の著作権者からの意思表示を求める期間を設け、その期間中は暫定的な利用は行えないようにすることを希望いたします。

次に、窓口組織の役割についてです。制度化イメージから窓口組織が管理運用すると考えられるデータベースありきと、そのように見えることに権利者としては懸念しております。また、現実として全ての著作物が分野横断データベースに登録されることはあり得ないということを考慮し、分野横断データベースでは権利者が発覚しない場合の探索手法を十分に検討し、権利者の意思を確認するためのフローを適切に策定することを強く求めます。

続いて、翻案等を伴う利用についてです。翻案等を伴う利用を可能とすべきとされておりますけれども、少なくとも暫定的な利用においては、翻案等を伴う利用を不可とする、あるいは、翻案等が可能な利用対応の明確化が必要だと考えております。また、原著作者に許諾を得ずに制作・頒布されているものも含む二次的著作物について、二次的著作物の著作権者が新しい権利処理の仕組みを活用する意思表示をしている場合であっても、原著作者が新しい権利処理の仕組みを活用しない意思表示をしている場合には、二次的著作物の著作権者の意思表示のみによって誤って利用可能とされないような制度設計について十分な検討が必要だと考えております。

なお、弊協会関連の意思表示の取組については記載のとおりでございます。

以上でございます。ありがとうございました。

【茶園主査】どうもありがとうございました。

では、続きまして、日本映画製作者連盟の堀口慎様、よろしくお願いいたします。

【日本映画製作者連盟(堀口氏)】日本映画製作者連盟の堀口と申します。弊連盟からは、4ポツ、簡素で一元的な権利処理方策について意見を述べさせていただきたいと思います。商業用映画のビジネスは、映画製作者に一元化された著作権を行使することにより、完成した映画を最初に映画館で上映し、その後二次利用を行うというワンソース・マルチユースを実践することで、収益の最大化を図り、それに伴い発生する利益によって映画制作の持続性を保証するというビジネスモデルとなっております。

収益の最大化を企図しております映画製作者に著作権を一元化するというシンプルな構造によって、個別の権利者がライセンシーからの様々な利用意図に応じて許諾を行うための管理を行っておりまして、このモデルで問題なくライセンスビジネスは進行しているかと思っております。

また、映画の中に複合的に内在します文芸とか音楽の原著作者及び著作権管理団体ともおおむね友好的で、映画作品の流通促進は総じて良好となっているかと思います。

ただし、それに対しまして、今般の簡素で一元的な権利処理方策は、個人が著作権者である著作物や著作権管理事業者による集中管理が行われている分野を主たる対象として制度化イメージの創出が行われているかと思いまして、法人である個別の権利者による許諾管理が行われております映画ビジネス等につきましても、一律で対象とする必要があるとは思いません。必要の度合いに応じた調整を行うことで、映画のライセンスビジネスに不要な負荷が生じることのないよう希望するところであります。

さらに意思表示がされていない場合という概念も曖昧で、拡大解釈の余地があると考えられまして、商業用映画のビジネスモデルの根幹であります映画製作者が主体的にコピー・コントロールを行うことで、他者に許諾を行い収益を上げるというモデルを揺るがす可能性もございます。著作物の分野に応じた対応をされることを切望する次第であります。

次に、オーファンワークスに関してですが、著作権者が法人である商業用映画においては、その法人が何らかの理由で消滅した場合でも、作品に利用ニーズがある場合は著作権譲渡が行われており、他分野に比するとオーファンワークスが少ない分野であると考えられますが、平成19年以降の裁定実績では、映画の著作物で13件、そのうち商業用実写映画3件2作品が裁定実績があるという事実もございまして、オーファンワークスの利用促進に資する裁定制度そのものの改善には賛同をいたします。

続きまして、各論点の整理についてというところで、考え方ということですが、権利処理コストが高いといった理由で利用に結びついてないということでありますが、先ほど申し上げましたとおり、商業用映画においてはライセンスビジネスが阻害されているという要素は存在しておりませんし、また、個人の方の利用に関しても権利制限や問合せによる対応が整備されており、滞りなく利用が行われているものと考えております。このような状況の中でコンテンツ創作との好循環といったことで、このモデルを阻害することがあれば、看過することができない事態であると言えるかと思います。

権利者不明・所在不明に関しましては、先ほど申し上げましたとおりでございます。

次、意思表示がされていない場合ですが、商業用映画においては、先ほど申し上げましたとおり、収益の最大化を図ることが唯一無二の目的ですので、データベース等に著作権者である映画製作者もしくは映画配給社の法人名を記載することは、すなわち利用の意思表示を行っているに等しいことであります。その結果、実際に許諾を行うか否かを判断するのは著作権者である映画製作者となります。

このような意思表示の有無を基準に利用円滑化の方策を設けるということであれば、その方策を必要とする著作物に限るなど、分野を制限するべきではないかと考えており、この件に関しては著作権者の不利益につながることがないよう細心の検討を行うことをお願いしたいと考えております。

以下、使用料相当額に当たる使用料、窓口組織の役割、遡及効については、記載のとおりでございます。

最後に、意思表示等の取組について事例があればということですが、このようなデータベースがございますということを参考として記載させていただきました。

弊連盟からは以上を意見とさせていただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

【茶園主査】どうもありがとうございました。

では、続きまして、コンテンツ海外流通促進機構の資料につきまして、事務局より説明いただきます。よろしくお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】事務局からでございます。一般社団法人コンテンツ海外流通送信機構様におかれましては、資料のみの御提出がありましたので、代わりに紹介いたします。

資料は、今、投影しておりまして、15ページとなります。特に意見がございましたのが3ポツの損害賠償額の算定方法の見直しについてでございます。逐一は読み上げませんが、かいつまんで御紹介すると、対応案に賛成しますということ。

また、中ほどですが、実効性を持った損害賠償制度の実現が必要といったこと。

また、まず特許法改正に倣った改正を著作権法においても実現していただくことに賛成するという一方で、最後の3行になりますが、特許法改正に倣う著作権法改正とは別に、法定賠償制度や侵害数の推定規定の導入、ストリーミングサイトへの対応等についても別途検討していただくことが必要であると考えるといった御意見をいただいております。

簡単になりますが、御紹介は以上になります。

【茶園主査】どうもありがとうございました。それでは、質疑の時間を取りたいと思います。ただいま御発表がありました2団体からの御意見につきまして、御質問等がございましたら、御発言をお願いいたします。御質問等ございますでしょうか。

早稲田委員、お願いいたします。

【早稲田委員】日本映画製作者連盟様に御質問させていただきたいんですが、13ページのところ、4-1の最後のところで、オーファンワークスに関してということで、ここにも書かれてございますように、若干過去の映画とか、それとか、映画会社がなくなってしまった場合、制作委員会がなくなった場合等でやはりオーファンワークスになるということはあると思うんですけれども、そのときにオーファンワークスの利用促進に資する裁定制度そのものの改善には賛同いたしますとお書きになっているんですが、もし今の裁定制度でここを改善するといいんじゃないかなというところを、御意見があれば教えていただきたいと思います。

以上でございます。

【茶園主査】よろしくお願いいたします。

【日本映画製作者連盟(堀口氏)】これに関しましては、やはり現状の手続の簡素化を行い、例えば暫定的な使用料相当額に当たる利用料なども含めて、簡素化により早めに利用が出来る形で改善されてゆくことを望んでおります。

したがって、今回のオーファンワークスの裁定制度の改善の方向そのものには賛同したいと思っております。

以上でございます。

【早稲田委員】ありがとうございました。

【茶園主査】ほかにございますでしょうか。福井委員、お願いいたします。

【福井委員】本日も皆さん、有益な御意見、大変ありがとうございます。実は今の早稲田委員の御質問に対するお答えで半分は済んでしまったのですけれども、映連さんへのお尋ねとなります。御意見の中で、特に利用に支障が生じていない、滞りなく二次活用は行われているというふうにお伺いしたんですけれども、映連さん加盟のメジャー4社さんはそうでもあろうなと思うんですが、膨大なインディペンデント系の過去の映画群や、あるいは記録映画フィルム等についても含めた御意見だったのでしょう

これらインディペンデント系においては、プロダクションの倒産事件もしばしば報道もされ、また、過去の映画作品の配信等はまだまだごく一部のカバー率であり、幻になってしまっている映画も多いようにも思います。アーカイブでの利活用も進んでおらず、散逸等の危険も叫ばれているところかと思うのですけれども、今日の御意見、映連加盟4社さんについての御発表であったのか、インディペンデント系映画や記録映画フィルムを含めた映画の著作物全体についての御意見であったのか、ここを御確認させていただいてもよろしいでしょうか。

【日本映画製作者連盟(堀口氏)】 了解いたしました。まず、インディペンデント系に関してですが、映画には経済的、そして文化的その両面の価値がございますから、その両面に即して利用ニーズがあるものについては、著作権譲渡が行われてゆきます。またあの作品は今どうなっているのかということを探索して、著作権を得ようとする、そういった方や法人が存在することが多いかと思います。

ドキュメンタリーに関しても、これもやはり利用ニーズの側面が反映し、いわゆる作家性の高いドキュメンタリーで仮にそのような状況になっている作品に関しては、著作権譲渡が行われています。先生がおっしゃったのはいわゆる文化映画とか産業映画のことかと思いますが、この分野は確かにそういった状態の作品があることは私も感じておりますが、ただし、それが果たして利用ニーズが有るのか否かというのはまた別の話であって、これらの作品は利用ニーズの観点から捉え直す必要が有ると思います。

以上でございます。

【茶園主査】ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

では、どうもありがとうございました。関係者の方々は随時御退室いただいて結構です。

続きまして、制度の利用者の御意見をお伺いするために、事務局にて過去に裁定制度を利用した方へのアンケートを実施されたということですので、事務局よりその説明をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】事務局でございます。資料3、「過去に裁定制度を利用した際のアンケートの結果について」を御覧ください。こちらは、今、主査のほうからも少し御紹介いただきましたが、資料の冒頭枠囲みにありますとおり、簡素で一元的な権利処理方策の法制化に関する検討に当たりまして、著作物等の利用者の方の意見をお伺いするため、裁定制度を利用したことのある者を対象にアンケートを行いました。

こちら、ちょっと脚注になっておりますが、令和2年以降に裁定申請をいただいた者のうちで事務局にてメールでの連絡が取れた27者を対象にしております。少し期間が短くなっておりますが、今年9月12日に依頼をしまして、21日締切りでメールにてアンケート票と制度化イメージについてお送りしたものでございます。

これから説明します本資料は、送付した調査票にタイトルと枠囲みの説明、あと回答内容、資料番号を追記したのみの構成となっております。

それでは、資料本体のほうに戻ります。また、枠囲みのところでございますが、回答いただきましたのが8者となります。この場を借りて、御協力いただきましたこと、改めてお礼申し上げます。

また、回答者名を含む回答資料は非公表とすることを前提に調査を行っておりますため、本資料の取りまとめに当たりまして、回答者属性が分かる部分を事務局にて削るとともに、同様の意見を統合する等、原文より簡略化しております。

質問1のところです。裁定のこれまでの利用方法、どういったものを使ったかといったこと、また、それに伴って苦労した点をお伺いしております。

主な回答の欄を御覧ください。著作物の種類、利用方法、目的は、左のところ見ていただければ分かりますが、書籍化とか電子書籍、また、デジタルデータ化の公開であるとか、ディスプレー表示、このような様々な利用がされています。

苦労した点でございますが、これまでの審議でも幾つか御意見としていただいておるものが多くございます。やはり手続に要する時間がかかるとか見込めないといったもの、また、補償金の算出基準の調査、問合せ、確認依頼が苦労したといった点。また、関係者の探索とか各所への確認でございますね。中には、迷惑を承知の上で各団体様のほうに問合せをして回答いただいているといったようなところもありました。

また、業界慣行を把握していても関係団体の見解を聞く必要があるといった御意見。

さらに、供託の必要性の疑問性とか、手続に必要な経費、人材の確保といった御意見がありました。

続きまして、調査票では、このポイント、新制度のイメージという括弧書きについて記すとともに、次のページになりますが、質問の2、検討中の新制度のイメージを踏まえ、新たにまたは継続して利用したいものはありますかといったところの回答をいただいております。

主な回答としましては、これまで裁定を受けて利用していた著作物の継続利用に使えるんじゃないかとか、意思表示がない著作物の利用もやってみたいという声、また、言語、美術、写真、図形、著作物の出版、電子出版といった利用も考えられる。また、古い資料の活用をしたいといったもの、ネットやSNSの投稿された権利者不明の著作物を活用したいといったもの、さらに、過去に許諾を得られた著作物であっても、著作権者本人または遺族の高齢化等によりなかなか連絡がつかなくなっているもの、こういったものを使いたいといったもの、また、著作権者が亡くなられ、継承者が特定されていない状態の著作物もあるといった御意見もありました。また、新たに使いたいというものは現時点ではないという回答もございました。

質問の3-1になりますが、新制度についてどれくらい活用機会がありそうですかといったところ、上から1、2、3、4と並べておりますが、回答いただきました8者中、より多くの活用機会があるだろうが4者、同程度に活用機会があるだろうが3者、活用機会が少ないだろうが1者です。

それぞれ答えた理由については、次の質問の3-2に示しております。活用機会があるとお答えいただいたところの多くは、手続にかかる時間が短くなるとか、調査期間、資料作成、手続の簡素化、また、意思表示のない著作物が対象になるといった点です。

また、次のページになりますが、同程度に活用する機会があるといったところは、利用料の支払いが手続上負担になりそうだとかいう御意見がありました。

また、同程度ということで、権利者不明の著作物を利用する機会は、制度いかんにかかわらず発生するんだといった声。

また、裁定制度の事務に回す人手が足りないので、制度の利用は最低限に抑えたいといった御意見もありました。

また、活用機会が少ないだろうといった回答者からは、③番にありますように、利用料を支払ってまで緊急に利用するケースは少ないという声がありました。

続きまして、質問4、新制度への期待や要望があればお答えくださいということで、期待と要望、あと懸念もいただいておりますので、それぞれ並べております。

期待としましては、権利処理の簡略化、所要時間の短縮を期待すること、費用の低廉化を期待すること、供託が不要となるのであれば利用したいというものが主にありました。

また、要望につきましては、暫定的な利用は実用性に欠けるので、本利用(仮称)への切替えができることを望むといったもの。

また、オーファンワークス実証事業のような利用申請の代行が可能となれば、社内に担当者を置かなくても利用が可能になるといったもの。

また、次の著作権上の継承者が複数、権利の再継承、再々継承が増えているため、より簡明な制度の整備を求めるといった御意見。

また、管理委託を促すような普及啓発を行うことの希望、ルーズな運用にならないようにすることを要望する声、また、アウトオブコマースの定義・範囲を明確化していただきたいといったもの、また、情報の更新速度が早まる中、権利処理に時間がかかることは不利益になるといったお声がありました。

懸念点としましては、デジタル化して公開することが浸透し、様々な権利を守る必要も増大してきているので、利用の簡便化との兼ね合いにも留意する必要があるといった御意見。

また、新制度下で利用が認められた後、権利者が利用を拒否した場合に対抗要件として効力を有するのか懸念があるといった点。

また、データベースはあればよいが、費用対効果の計画と検証がないと実現と継続は難しいといった御意見もいただいております。

以上でございます。

【茶園主査】どうもありがとうございました。

では、続きまして、議事(2)の「これまでの審議・ヒアリングでの主な意見について」に入りたいと思います。本日までのヒアリングを受けまして、これまでの審議及びヒアリングで示された論点について、事務局に資料を準備していただいておりますので、その説明をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】事務局でございます。本日で一通りのヒアリングが一段落しておりますので、資料の4、「これまでの審議・ヒアリングでの主な意見」としておりますが、冒頭の米印のところを御覧ください。本資料は、ヒアリングで多くの団体から指摘のありました「意思表示」・「窓口組織」について、昨年度より文化審議会著作権分科会において継続して議論を行っていることを踏まえ、今般のヒアリングでの主な意見に加えまして、昨年度の文化審議会著作権分科会における中間まとめや、それに至る審議における主な意見を改めて整理の上まとめたものでございます。こちらについて御説明させていただきます。

少し説明の便宜上、ちょっと順序が変わってしまいまして、申し訳ありません。また、資料にページの番が消えておりまして、申し訳ありません。

資料4の5ページ目を御覧ください。まず窓口組織についてでございます。多くの団体のほうから懸念等も含めた意見をいただいております。この窓口組織につきましては、まずこちら、「令和3年度文化審議会著作権分科会における主な意見」というところをまとめております。

1つ目の白丸ですが、一元的な窓口組織による権利処理の仕組みに大きな期待ということで、ユーザーから見て窓口が1つであれば、その後ろで例えば拡大集中許諾裁定制度の様々な法制度の組合せがあるとしても、分かりやすい仕組みなり好ましいといった声。

また、少し飛ばしますが、3つ目のところでございますね、権利処理に資する一元的な窓口機能として探索の代替ということも入れていただくと、これまでのヒアリングで多くの団体から探索について事務局にあまり人がおらず大変だという意見もあったので、役立つのではないかといった御意見。

また、次の丸、窓口組織については、権利者だけではなくユーザー側の視点も入れられるような構成にする必要があるのではないかといった御意見。

また、その次の丸ですが、組織の運営費用についても御意見が出ておりまして、誰が負担をするのか。少なくとも当面の間は運営費用を公的なお金で支えていくことが必要なのではないかといった御意見。

また、最後のところですが、窓口の整備が全体の前提となるもので最も重要であるということで、コストや収入の設計が一番の難問であると。公的資金を確保する上でも政策プライオリティーを上げていく必要があるので、外に向けてのメッセージを発することが重要といった御意見がありました。

このような御意見を受けまして、その下、文化審議会著作権分科会の令和3年12月の中間まとめ、こちらでは抜粋をしておりますが、ここにございますように、窓口組織の創設とその取次案内といった業務、また、2つ目の白丸は、窓口組織の存在は適法利用を促すとともに、著作権の普及啓発に資することも期待できるといった、こういうまとめをしております。

さらに次のページにまたがっておりますが、分野を横断する一元的な窓口組織には一定の管理運営コストが生じると考えられるというところも中間まとめに記載をしておりまして、このため、分野横断権利情報データベースの活用等による管理運営コストを最小限にする工夫や、探索支援、権利処理支援に伴う手数料収入や受益者である利用者からの一定の負担等、持続可能な仕組みとすることが求められる。また、関係者の理解を得て、授業目的公衆送信補償金の共通目的事業によるによる支援も考えられる。

また、この組織には想定される利用場面に応じた利用者が参画する仕組みとするべきであるといったようなまとめを行っております。

さらに引き続きということで、政府予算である調査研究事業の実施等を含め、十分な支援の在り方について検討が行われるべきであるといったまとめがなされております。

これを受けまして、その次、令和4年度法制度小委員会の第3回参考資料、今回のヒアリング資料でございますね。こういったことも受けまして、今般のヒアリング資料では今のこの枠囲みにあるような記載を行っております。

ここで少し御意見が多くありましたので、また御意見の中には、これまでの図書館の公衆送信補償金に関する指定管理団体であるとか授業目的公衆送信補償金の指定管理団体に対する御批判と否定的な意見が少し出ておりましたので、米印のところになりますが、これまでの検討状況の中で補償金に関する指定管理団体との違いについて少しまとめております。

まず1つ目、今般の仕組みは、権利者不明等や意思表示がないことを前提としておりまして、現行の裁定制度と同様、窓口組織において著作権者を探索し分配は行わないと。少しこれ、表現が分かりづらくなっていて、申し訳ありませんが、もう少しかみ砕いて言いますと、窓口組織において利用料を収受した後でございます。利用料を収受した後、その受けるべき団体とか権利者が確定しない、存在しないといったものが今回の仕組みなので、例えばその支払いのために著作権者を探索、捜索することとか、各団体に分配を行うこととか、こういったことは、基本的に現在のこれまでの検討状況を踏まえると、必要はないというところが違います。

さらに2つ目のところですが、窓口組織は公告を行い、著作権者からの申出に基づき、あらかじめ収受した利用料の支払いを行うということで、こちらも著作権者から申出があったときにお支払いをする。

また、利用料の決定に当たっては著作権等管理事業者等の協力を得るというところで、この辺りが、前回の御議論でもありましたように、各団体、各管理事業者等にどういった協力が必要になるのかといったところを丁寧に議論していく必要があるところかと考えております。

また、権利者団体の集合体というわけではありませんので、利用者が参画する仕組みをどのように構築するか。また、支援につきましても、先ほどの中間まとめにありましたように、データベースでの公的支援や授業目的公衆送信補償金の共通目的事業等の支援を検討といったようなことが既に分科会の中間まとめでは記されているところです。

以上が窓口組織についてのこれまでの議論をまとめております。

続きまして、資料、少し戻っていただきまして、資料4の1ページ目の「『意思表示』について」です。意思表示につきましては、令和3年度の文化審議会著作権分科会の主な意見を入れております。その中では、1つ目の丸にありますように、利用円滑化という観点の議論でございますが、自らの著作物に関する意思表示を促す仕組みが必要であると。権利情報データベースにもそういった情報を入れていくべきといった御意見や、次のクリエィティブコモンズマークをつけ、意思を宣言するような文化を根づかしていく必要があるといったこと。

また、3つ目の白丸ですが、意思表示を宣言できる場所が大事だという御意見。

また、4つ目の丸でございますが、権利があることに責任を持ち、データベースの登録、意思表示をしていく必要があるのではないかといった御意見。

また、その次のものでございますが、権利処理のイメージ図の意思表示がされていない場合については、いわゆる拡大集中許諾制度や裁定制度で課題を解決しようとすると、様々な議論があり、難しい可能性があるところではありますが、著作権制度の機能不全を起こしているところを何とか突破するために、どういった方策、課題で解決するべきか、引き続き検討すべきといった御意見。

また、その次の下の丸ですが、権利者不明や意思表示の有無の判断基準は容易ではないので、このことを判断するプロセスを明確にする必要がある。

次の白丸でございますが、権利処理のイメージ図の中で、意思表示がなく、連絡が取れない場合に利活用できるというライン、この自体には賛成だが、一方で、アウトオブコマースの利活用の待望論があったことを頭に入れて検討すべきといった御意見が出ておりました。

次のページを御覧ください。こういった御意見を踏まえまして、文化審議会著作権分科会の中間まとめ、令和3年12月の中間まとめの概要について抜粋しておりますが、目指すべき方向性としましては、これまで議論してきたとおり、データベースに権利情報がなく集中管理がされていないこと。また、著作権者不明の場合、意思表示されていない場合について、新しい権利処理の仕組みを創設するということ。

また、中間まとめでは意思表示についても次のような記載をしておりました。著作物について、その著作権者等による意思表示がされることが重要。その普及啓発とともに、意思表示の在り方や手法、真正性確保、意思表示の有無や著作権者等が不明であることの判断基準・判断プロセスについての検討が必要といったものです。

これを踏まえた法制度小委員会における主な意見がこの下のとおりでございます。データベースを最大限活用し、探索はデータベース限りとすることがいいのではないか。

個々の著作物についてのオプトアウトの状況をデータベースで管理していくことが適当。

分野横断権利情報データベースには、著作権等管理事業者の情報が集約される見込みだが、集中管理の状況を考えると、全ての著作物が網羅できるわけではなく、データベースの充実も併せて必要。

権利者に新たに意思表示を求めるということであれば、十分な周知期間が必要といったもの。

さらに、権利者の意思表示にとっても、多人数の創作、権利者自体が相続などで多岐にわたるなど、一部の権利者の意思のみ分かっているといったケースもあること。

また、利用許諾に係る連絡先や権利の所在のみが示されている場合もあること。

UGCコンテンツの投稿サイトにおける利用条件等の記載等も活用すべき。

また、現に意思表示がされているか否かのみではなく、意思表示の機会が与えられたか否かということも重要。

このような御意見が出ておりました。

こういったものに基づきまして、次のページの上側にあります今般のヒアリング資料にこのような記述を行ったところでございます。

このようなヒアリング資料に基づきまして、各団体の御意見をお伺いするに当たっては、中間まとめにもありましたように、どのような形で意思表示がされているのかどうか、こういった現状をしっかり把握して捉える必要があると。ヒアリングにおいてもそういった御意見もありましたし、まさに今回ヒアリングの中で、著作物の分野に応じた意思表示等の取組について事例があれば参考として教えてくださいということで、本日の映連様、あるいはコンピュータソフトウェア協会様のように丁寧に情報提供を多くの団体がくださいました。

そこを主に集約すると、その枠囲みの意思表示の現状の例でございますが、まずは各会社、各団体が持っているデータベース、あるいはこれまで紹介のあった音楽権利情報のデータベース、こういったものがありました。

また、2番、著作物そのものや著作物に付随した記載もあるだろうということで、イラストの下部のキャプションであるとか、動画の終わり等のコンテンツ内にあるもの、書籍、冊子、CD、DVD等のパッケージにあるもの、ウェブサイト上のコンテンツのキャプションにあるもの、また、コンテンツ投稿サイトやSNSのコンテンツの説明文などにあるもの。

あるいは3番にありますように、権利者または関係者の公式な情報があることが明らかなところということで、団体や企業が公開している誰でもアクセスが可能なデータベースとかウェブサイト、また、コンテンツ投稿サイト、SNSのチャンネル概要、アカウントの所有者プロフィール、また、展示会とかいう場合であれば、展示作品周辺とか作品リスト、このような意思表示がされております。

これについて、ヒアリングでの主な意見は、前回までのまとめになりますが、こちらのところに少し概略としてまとめております。

続きまして、さらにこの意思表示について、もう少しどういったパターンがあるのか、また、意思表示があるかないかでこの新しい権利処理の対象となるかならないかといったところが重要だといった御意見を多くいただいておりましたので、これまでのヒアリングを基に、事務局で、資料5になりますが、「『意思表示』がされており、新しい権利処理の対象とならない例について」ということで、こちらはあくまで検討用ペーパーということで、これまでのヒアリングまたはこれからの委員の皆様の御意見を踏まえて検討していこうということで作ったものでございます。

米印にありますが、まずは著作物について集中管理されているものはそもそも新しい権利処理の仕組みの対象外になるといったこと。

また、ここに上がっているものは、事務局でこれまでのヒアリング等を基に一般的な事例を収集したものであるので、当然これに限られるものではないというところを御留意いただいた上で、少し紹介します。

まず、新しい権利処理の対象とならない場合として、利用の可否が明示されている場合と整理しております。例えば、利用の禁止の旨の表示、「利用禁止」とか「複製・公衆送信禁止」等の記載がある場合についてです。これらについては、当然意思表示がされているので、今回の新しい権利処理の仕組みにはならないと。

一方で、アウトオブコマースであるとか著作権者不明の制度との関係が出てきております。仮にこういったものがあった場合どうするかといった御意見もこれまで出てきておりますが、まずは新しい権利処理の対象となるかならないかといった場合、これがあればならないだろうという整理をしております。

また、利用条件等の表示がある場合として、例えば利用条件を示したガイドライン・利用規約を公開している場合、「利用の際は事前に許諾を得てください」といった記載がある場合、また、クリエィティブコモンズマーク、自由利用マーク等、利用が可能な旨の記載がされている場合などはこれに当たるだろうと。

さらに、これまでの御意見の中で、こういった利用ができる、できないといった情報のみが示されている場合で判断してしまうと、ここは著作権者の意思の確認という観点では不十分ではないかということで、今般の審議会の議論では、次の2ポツ、利用の可否に係る明示はないものの著作権者等に係る情報のみがある場合ということで、こちらについては、下記のように著作権者等に係る情報がある場合は、まずは連絡先に連絡を試み、著作物の利用の可否について、著作権者の意向を確認して許諾を取りに行くという著作権の原則を書いております。

その上で、返答がある場合とか、交渉をしている場合については意思表示がされているだろうということで新しい権利処理の対象にはならないのかなと。

じゃあ、どういう情報がある場合かというと、著作権者等が表示されている場合、著作者名、もちろん変名も可です。また、著作権者、発行元・販売元の企業・法人の名前。あとはマルCマークとか、all rights reservedといった記載で著作権者名が記されている例もあるかと思います。

さらには個人というよりは企業のほうでは、利用許諾に当たっての連絡先が書かれているとか、また、利用許諾にかかわらず代表の者が分かる場合、こういったものもこういった番号を通じて取ることができるかなと。

また、メッセージの送受信が可能なSNSアカウント等の記載ということで、本日の発表でも、非公開設定にしているとかアクセスを禁止している例もあるといった御説明もありましたが、基本的にこういったものがあれば、まずは連絡を取るのかなといったところです。

その下の米印にありますが、著作者名、企業名・法人名の記載がある場合、連絡先そのものが記載されていなくても、連絡が可能であれば、連絡を行う。少し分かりづらい表現ですが、近年ではホームページ上に電話番号を書かないとか、メールアドレスを書かないといったことも多くなっておりますが、こういった場合でも、何かしら連絡手段があれば、まずは連絡して意向を確認するんだろうといったところです。

次のページになりますが、少し分類が難しかったんですが、いわゆるアマチュア参加型といいますか、例えば町内会の展示会であるとか、サークルの展示会、こういったものの著作物なども、主催者などに、関係者に問い合わせることができれば連絡をとるんだろうといったもの。

また、連絡を行い、普通で例えばメールが届かず、そのまま返ってきてしまうとか、郵便物が届かないといった場合、こういったものは、意思表示がされていないとか、所在不明であるか、どちらかに該当するということで、新しい権利処理の対象になるのかなといったところを少しまとめております。

いずれにせよ、検討用ペーパーですので、こういったものも踏まえて、今後、御議論をしていくということになるのかなと思います。

事務局からの説明、以上でございます。

【茶園主査】どうもありがとうございました。それでは、ここからは自由討議に入りたいと思います。議事(1)で本日行いましたヒアリング、及びただいま説明いただきました資料3から5を踏まえまして自由討議を行いたいと思います。

それでは、御意見がございましたらお願いいたします。池村委員、お願いいたします。

【池村委員】ありがとうございます。資料5についてなのですけが、資料を拝見して、ここに書かれている1にせよ、2にせよ、これらは原典なりオリジナルのサイトなりに当たればこういうことが書いてあることが判明すると、そういう意味なのだろうと理解しました。

ただ、他方で、実際の著作物の利用は、著作権者から許諾を得た適法な利用にせよ、無許諾の違法利用にせよ、例えば部分利用のような形のように原典がそのまま利用されているケースばかりではなくて、その結果、原典では確認できるはずの意思表示的な記載が確認できない形で世に出ている著作物というのもそれなりに存在するような気もしています。

そこで事務局に確認したいのですが、今回の整理というのは、先ほどから原典と言っている、最初に著作物が公表された媒体と言えばいいのかもしれないのですけども、そこにこういう意思表示的な記載が存在するか否かということが基準になると、そういう前提だと理解してよろしいでしょうか。権利保護という観点からはそれが原則でよいと思うのですけれども、他方で、利用者から見た場合は、そもそも利用したいと思って見ているものが原典かどうかも分からない、原典に当たろうと思っても、原典がどこにあるか分からない、どこにあるか分かってもアクセスできない、よって、意思表示の有無が分からない、というようなケースもあるように思いましたので、念のため確認させていただく次第です。よろしくお願いします。

【茶園主査】事務局、何かございますでしょうか。

【小倉著作権課長補佐】 池村委員、ありがとうございます。まさに原典利用かどうかといったところですが、通常、ウェブページとかに載っているものですと、それが原典なのかどうなのかといった判断、なかなかつかないものが多いかと思います。その意味で、今回の利用円滑化の対象とするに当たって、その点は留意が必要なのかなと思いますが、その著作物が例えば二次的著作物であった場合に、本来であれば、原著作者に当たって、またその著作物自体の利用者にも当たるといったところが必要になります。

今回の仕組み、まずはこういったものがあった場合に、データベース等にあるかないか、また、データベースになくても、コンテンツが掲載されているところを確認して、まずはそれを作成した人に当たるんだろうと。その作成した方に当たる場合に、基本的には、原著作者がいるのであれば、その方に対しても利用許諾を得る必要が出てきますので、そういった方がいるかどうかといった確認が行われるといったところが基本的には丁寧な運用になるのかなと思います。

そういった意味で、こういった原典かどうか分からない部分といったところは、少し今後、今の事例のような形で少し丁寧な議論が必要かなと思っております。

【池村委員】ありがとうございました。

【茶園主査】では、ほかにございますでしょうか。

今村委員、お願いいたします。

【今村主査代理】全体にわたるような確認で恐縮なんですけれども、この議論をする際、資料5でもそうなんですけれども、意思表示という言葉がずっと出てきていると思うんですが、民法などで議論されている意思表示の概念などとはやっぱり若干違ったニュアンスで使われている場面も多いのではないかと思うんですね。そもそも利用許諾とかライセンスに関しても、契約で成立するのか、単独行為のような一方的な意思表示が生じるのかというような、いろんな場面もあると思いますし、ただ、そういった何か利用許諾というものが承認させられるようなタイプの意思表示だけじゃなくて、著作権者の単なる意思とか権利があるんだというような宣言みたいなものとか、いろいろなものもひっくるめて意思表示という言葉でくくられて議論がなされているような気もするんですね。

ですから、何かもし可能であれば、より広く、もうちょっと幅広く適切な用語を検討しても場合によってはいいのかなと思いました。

【茶園主査】どうもありがとうございます。私も意思表示という言葉については、この言葉で表される問題そのものは分かるのですが、場合によってはちょっとミスリーディングなところがあるかなと思っておりました。

ほかにございますでしょうか。

水津委員、お願いいたします。

【水津委員】今村先生と茶園先生とがおっしゃったことは、前からずっと気になっておりました。ここでは、法律行為に基づく権利義務の変動が問題となっているわけではありません。そのため、意思表示という概念は、用いないほうがよい気がいたします。

資料を作成された事務局も、ここで意思表示とあるのは、本来の意味での意思表示とは異なることを前提とされているのではないかと思います。資料の多くのところでは、意思表示という言葉に鍵括弧がつけられているからです。

【茶園主査】 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。

島並委員、お願いいたします。

【島並委員】私も今の点が気になっていまして、意見ではなくむしろお伺いを致します。水津先生、意思表示に代わるいい言葉はございますでしょうか。

私もいろいろ考えて、「利用可否不明著作物」など思いついたのですが、それでもぴたっとはまらないですね。何かお考えあれば教えていただきたいのですが。

【水津委員】権利者不明・不在の場合以外の場合であって新しい権利処理の対象とすべきケースをうまく定式化することができればよいのですが、もう少し考えてみます。

【島並委員】ありがとうございます。

【茶園主査】ほかにございますでしょうか。

福井委員、お願いいたします。

【福井委員】 今の皆さんのお話伺って、なるほどなと思って私も頭をひねっておりました。一方で、長年、文化庁ではかつて意思表示システムについての委託調査が行われたように、クリエーティブコモンズ的な仕組みは、意思表示と一般に呼び習わされていた部分もあるので、すっと通る納得度の高い言葉が浮かぶならいいなと思いながら伺っていたところでした。

それから、もう一つはちょっと違う方向ですけれども、まずは今日のおまとめ、本当に労作で、ありがとうございました。こういうふうに並べていただくと、さびついた記憶もよみがえってまいりまして、全体の流れがよく理解できるように思いました。

改めて、この間の、特に権利者団体中心でのいただいた御懸念、うなずけるものも多々あった訳ですが、それらは多くは商業流通中の作品についての懸念が中心ではなかったのかなと思うところです。実際そういう言葉もありましたし、過去の議論のまとめの中にもあったわけです。

それに対して、やはり過去のまとめの中にもあったアウトオブコマース作品、これは分けて考える視点はやはり重要ではないかなと感じました。例えば資料5の1ポツにおいて、原典に複製や公衆送信等禁止という表記があれば新しい権利処理の対象とはしない。つまり、従来どおりでいくと読める記載があるように思ったのですけれども、これが例えば数十年前の、しかも現在では既に流通していないような作品の場合で、その初出のときにしばしば横並びで記載されるこういう表示が仮に印刷されていたとして、それでも新しい権利処理の対象としないのか、それで果たしてニーズに応えられるのかという点は検討対象かなと感じました。逆に、2ポツのほうの運用においてもこの両者の違いは、例えば返答を待つ期間その他で影響が出るんじゃないかなと感じた次第でした。

私からは以上です。

【茶園主査】どうもありがとうございます。ほかにございますでしょうか。

池村委員、お願いいたします。

【池村委員】せっかくなので、資料4の最後のページの窓口組織についてちょっと。資料の最終ページの米印のところを拝見すると、事務局としては、補償金を取り扱うSARTRASとかの管理団体と比較した場合には、ヒアリングでたくさん示された懸念ほど大変なものじゃないよというか、そんなに心配しなくてもいいよということがおっしゃりたいのかなとも思ったんのですけれど、そういう理解でよろしいのでしょうか。

【茶園主査】事務局、よろしいでしょうか。

【小倉著作権課長補佐】よろしいでしょうか。今の池村先生の質問の御趣旨があまり読み取れていないかもしれませんが、少なくとも今回ここでまとめたものが、これまでの団体の御意見の中で、補償金に関する指定管理団体に対するやはり御不満とか御不安があったという点です。

ただ一方で、これの記載をもって全く心配する必要はないよというところでは全くなくて、前回御意見でも出ておりましたが、今後どのように、各管理事業者、あるいは業界団体の皆様に御協力を得ていくかといったところです。

例えば具体的には、権利者の不明とか、そもそも集中管理がされているのか、されていないのか、こういったところ、例えばデータベースのほうで速やかに確認することとなると、毎回問合せをする必要がなくなるというところもありますが、そもそものデータベースに一定程度協力をいただくことになるのかどうかとか、あるいはデータベースではなくても、探索のタイミングで、利用の申請とか利用の依頼が上がってきたときに各団体に問合せをする、こういった部分も出てくるかと思います。

そういった意味で、ここはあくまでもこれまでの権利制限に伴う補償金を分配する団体とは違うといったところを客観的に記させていただいたにすぎない資料ではございます。

【池村委員】分かりました。ありがとうございます。

【茶園主査】ほかにございますでしょうか。

水津委員、お願いいたします。

【水津委員】先ほどの島並先生の御質問について、回答を補足させてください。

御案内のとおり、令和3年に改正された民法には、252条2項という規定があります。この規定は、一定の場合において、その一定の場合に係る共有者以外の共有者の持分の価格の過半数により、共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができることを定めるものです。すなわち、同項1号は、共有者が不明または不在であるときに、その所在等不明共有者以外の共有者による管理の裁判を認める規定であり、同項2号は、共有者が「期間内に賛否を明らかにしないとき」に、その賛否不明共有者以外の共有者による管理の裁判を認める規定です。

この規定の仕方は、少し参考になるかもしれないと思いました。もっとも、この規定は、ここで扱っている問題とは異なる問題を規律するものです。賛否不明という定式は、ここで扱っている問題との関係では、狭すぎます。そのため、所要の修正が必要となります。

【茶園主査】どうもありがとうございます。ほかにございますでしょうか。

今水津委員からお教えいただきましたが、どのように呼ぶかはともかく、意思表示の問題、それと窓口組織の問題はこの制度を考える上では極めて重要だと思います。これらの点について、ちょうど資料4、資料5できちんとまとめていただいて、そのおかげで忘れていた記憶がよみがえってきて、これまでの議論が非常に分かりやすくなったと思っております。この意思表示と窓口組織でも結構ですし、その他の論点でも構いませんし、何か御意見等ございますでしょうか。

麻生委員、お願いいたします。

【麻生委員】麻生でございます。資料5の意思表示のところで、利用可否の連絡の試みとか、利用可否の返答がある場合等の具体例を挙げていただいてますけれども、より細かい話で申し訳ないんですが、例えば連絡の試みというのは、住所、電話番号、メールアドレスが書いてあった場合、その中の1つに連絡すれば足りるのか、全部に連絡しなければならないのか。電話して権利者が電話に出なかったら連絡にはなっていないけれども、留守番電話に残したら連絡になるのか。著作物の利用可否の返答についても、お問合せのようなところに記入すると受領の自動返信メールがあったりすると思うのですが、そのメールに担当者が追って連絡しますということが書いてあったら、それはもう権利者としては利用許諾の交渉しているというように、著作物の利用可否について何か返答したということになるのか。もちろんケースバイケースだと思いますが、そうしたところがもう少し具体的に明らかになると、今までヒアリングされた団体の方々もイメージがより掴めて、権利者にとっても利用者にとっても、安心感が出てくるのではないかなと思いました。

以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。

早稲田委員、お願いいたします。

【早稲田委員】ありがとうございます。資料5、非常に分かりやすい検討用のペーパーを出していただきまして、ありがとうございました。やっぱり今までヒアリングしていて、権利者団体の方々の懸念で、どういうものかがちょっと漠として分からない、こういうような御意見が多かったので、この検討用ペーパーを基に、具体的に今後議論していけばいいのではないかと思いました。

意思表示の問題と、今回、暫定的な利用では、結局権利者不明の場合も入っていくと、こういうことになると思いますので、先ほど福井委員がおっしゃったように、アウトオブコマースの場合ですと、意思表示がされていないというのと、それから、さっきおっしゃったように、資料5、1の利用条件等が表示していても、結局その後で連絡しても届かなくなっちゃうというものもアウトオブコマースの場合は結構あると思いますので、そういう意味では、暫定的な利用で意思表示が不明の場合と権利者の不明の場合も両方がカバーされるという意味では、アウトオブコマースでは随分カバーできるんじゃないかと。

それから、商業流通中の作品については、福井委員がおっしゃったように、ほとんど暫定利用は適用にならないんだと思うので、そういう意味ではそこら辺をはっきり議論していけば、権利者の方々の不安というか、懸念が大分薄らぐのではないかと思いました。

以上でございます。

【茶園主査】ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。

よろしいでしょうか。では、どうもありがとうございました。

それでは、そのほかに全体を通して何かございますでしょうか。

他に特段ございませんようでしたら、本日はこれくらいにしたいと思います。

最後に、事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】本日はありがとうございました。次回の本小委員会につきましては10月の開催を予定しておりますが、改めて事務局にて調整の上、日程をお知らせいたします。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

【茶園主査】ありがとうございました。

それでは、以上をもちまして、文化審議会著作権部会法制度小委員会(第5回)を終了させていただきます。

本日は活発な御議論、どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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