文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第9回)

日時:令和5年1月30日(月)

10:00~12:00

場所:オンライン開催

議事

1開会

2議事

  • (1)文化審議会著作権分科会法制度小委員会 報告書(案)について
  • (2)その他

3閉会

配布資料

資料1
「文化審議会著作権分科会法制度小委員会報告書(案)」に関する意見募集の結果について(644KB)
資料2
文化審議会著作権分科会法制度小委員会 報告書(案)【概要】(1MB)
資料3
文化審議会著作権分科会法制度小委員会 報告書(案)(1MB)
参考資料1
第22期文化審議会著作権分科会法制度小委員会委員名簿(109KB)

資料2、資料3について異議なく、案の通り了承されました。

了承された資料については、以下の通りです。

資料2
文化審議会著作権分科会法制度小委員会 報告書【概要】(1MB)
資料3
文化審議会著作権分科会法制度小委員会 報告書(1MB)

議事内容

【茶園主査】それでは、ただいまから文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第9回)を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、委員の皆様にはウェブ会議システムを利用して御参加いただいております。皆様におかれましては、ビデオをオンにしていただき、御発言されるとき以外はミュートに設定をお願いいたします。

議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方にはインターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところですけれども、この点、特に御異議ございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【茶園主査】ありがとうございます。では、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。

それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】事務局でございます。本日の配付資料は、議事次第の配付資料一覧にあるとおりでございます。よろしくお願いいたします。

【茶園主査】それでは、早速議事に入ります。本日の議事は、議事次第にございますように、(1)、(2)の2点となります。早速、議事(1)の文化審議会著作権分科会法制度小委員会報告書(案)について入りたいと思います。

本件につきましては、前回の小委員会で報告書(案)を取りまとめていただき、その後、事務局にてパブリックコメントを実施していただきましたので、その結果について事務局において資料を作成しておりますので、まずは事務局からパブリックコメントの結果並びに報告書(案)本文について説明をお願いいたします。事務局より説明いただいた後に意見交換を行いたいと思います。

では、事務局より御説明をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】事務局でございます。本日は配付資料1の意見募集の結果を少し御紹介しながら、資料3の報告書(案)、こちらに主にパブリックコメント意見募集を踏まえまして、修正した内容等を反映した部分を中心に御紹介させていただきます。

それでは、まず資料1の「意見募集の結果について」を御覧ください。資料1にございますとおり、意見募集につきましては、こちら、任意の意見募集となっておりますが、期間は令和4年12月28日から令和5年1月18日まで行いました。寄せられた意見の総数でございますが、合計53件、内訳は、団体が26件、個人が27件となっております。結果の整理・分類につきましては、そちらに記載のありますとおり、提出された御意見につきまして、事務局で適宜分類・整理した上で記載しております。分類というものは、テーマごとに並べております。また、次の米印にもありますが、団体の紹介文、意見中の個人名・企業名、あとは個々のウェブサイトへのリンク、こちらは資料からは省略させていただいております。また、意見の記載順については順不同となっております。

以降が、報告書(案)の内容に関する意見となっております。基本的には、いただいたものをほぼそのまま写し込む形で作っていますので、こちら、全て読み上げると、時間が限られた中でなかなか御説明が難しゅうございますので、このパブリックコメントの資料1の構成を御紹介させていただきつつ、その後は報告書(案)を使いまして、どういった意見があったかという紹介と、その反映、こういったところを御紹介します。

ちなみに、資料1につきましては、この1ページ目の2ポツ、Ⅱ、「簡素で一元的な権利処理方策と対価還元について」といったところの、まず全体に対する意見、あとこちらについては少し論点も大きくありますので、14ページ以降は各論に対する意見という形でまとめています。

14ページの各論に対する意見にうまく入れ込むことができなかったものとか全般にまたがるような御意見につきましては、全体に対する御意見のほうに少しまとめさせていただいております。各論に対する御意見につきましては、14ページの「『意思』の確認について」であるとか、20ページ目は「アウトオブコマースについて」、21ページ目に「翻案等を伴う利用等について」、このように少しテーマごとに設けております。それぞれ、後ほどの本文の御説明の際に触れたいと思います。

また、この資料1のページ数で申しますと、ページ数が多くて申し訳ありませんが、39ページ目以降は、立法・行政・司法のデジタル化に対応した著作物の公衆送信等に関する意見について、また、41ページ以降が損害賠償額の算定方法の見直しについて、46ページが研究目的に係る権利制限規定について、50ページ以降はその他の著作権法制度に関する全般の意見といったところをまとめております。

それでは、資料3を用いて、パブリックコメントを踏まえた報告書(案)の変更点について御説明したいと思います。資料3を御覧ください。資料3、法制度小委員会の報告書(案)として、事務局でこれまでの議論、またパブリックコメントを踏まえて修正したものを1案として用意しております。

2ページ目の1ポツ、「はじめに」といったところ、こちらにつきましては大きく変更はございませんが、この文化審議会では、一昨年度になりますが、基本政策小委員会における方向性の議論においても、ヒアリング、パブリックコメントをしてきておりまして、今期の法制度小委員会もしてきております。そういった意味では、下から4行目辺りのところですが、多様な関係者からヒアリングを行い、さらに広く国民から御意見をいただくためにパブリックコメントを実施した旨、記載させていただいております。

また、3ページ目を御覧ください。3ページ目の、1「経緯」の2つ目の白丸のところでございます。前回審議途上でありましたので、令和4年度に●回と空いておりましたが、一応スケジュールでは今回、法制度小委員会、最終回ということで、9回としておりますが、今後の議論の状況を踏まえて、また、こちらは必要に応じて修正も行い得るというところになっております。

続きまして、6ページ目を御覧ください。6ページ目は、新制度の具体的な制度設計イメージの中での意思の確認をどのようにしていくのかというプロセスを示したところでした。こちらにつきましては、前回の法制度小委員会の御議論でも、こちらのページにあります※②についてといったところ、ページ中ほどの※②について、こちらについて御意見を様々いただいたところです。その後、主査とも御相談をしまして、今記載のような形でパブリックコメントに付しておりました。

これにつきまして、特にアウトオブコマースにつきましては、意見募集の結果、様々な意見がございましたので、また両論ございましたので、注釈の下のところ、注釈の5に新たに追記しております。アウトオブコマースについては次のような意見が示されており、今後の運用に当たっての検討に際して参考にする必要がある。1つ目、アウトオブコマースについては、定型的な記載のみをもって制度の対象外とするべきでない。定型的な記載は、創作者の意思を正確に表示しているとは考え難い。2つ目、アウトオブコマースに該当するかどうかは、コンテンツによって業界慣習も異なり、判断が難しい。単に一時的な在庫切れの場合や、将来的に市場に流通する場合がある。3点目、流通の実態を踏まえた検討を期待する。

事務局におきまして、こういった3点に主に絞らせて紹介させていただいておりますが、このようなことを踏まえながら、この新制度の対象となる意思表示が確認できないかどうか、こちらについて今後的確な判断がされるよう、引き続き検討課題とするといったところで、本文の記載自体には特段の修正は入れておりません。

続きまして、資料の7ページ目を御覧ください。(イ)「新制度における法的効果」のところです。法的効果の2つ目の○です。広く公表するといったところの公表に当たっての著作物の利用について、意見募集の資料の段階ですと、窓口組織の事務のところに書かれていただけで分かりづらかったので、「公表に当たっては、利用申請のあった著作物や著作権者等の特定に資するよう、公表に必要となる限度での当該著作物の公衆送信等の利用を可能とする」という旨を追記しております。また、こちらにつきましては意見募集でも御意見をいただいておりまして、注釈6を御覧ください。この公表での利用につきましてですが、例えば、言語の著作物であれば一定量の抜粋、視覚芸術分野の著作物はサムネイル画像等を添付することによって、どの著作物で、その著作物がどの著作権者のものなのかといった特定につながりやすいだろうということで、このようなものが必要だろうという御意見がありましたので紹介させていただいております。

また、こちら、少し字が小さくなっていて恐縮ですが、次の「新制度の流れ」のところ、利用者についてです。注釈7につきますが、前回の会議でも少し御意見が出ておりましたが、代理人や関係者と利用者本人以外の者による申請も想定されるということで、基本的には利用者が著作物を利用できる立場に置かれるんですが、当然代理人による申請とかも想定されるだろうということで、このような記載を行っております。

また、注釈8、今の本文で言う新制度の流れの1つ目の○の3行目です。「窓口組織においては、その確認や助言が行われる」といったところにつきまして、注釈8にありますように、「著作権者等の『意思』の探索に当たっては、的確に行われるよう、窓口組織による支援や助言を求める意見や探索方法を明確にしていくべきとの意見があった」というところを紹介しております。

また、次の8ページ目を御覧ください。8ページ目につきましては、先ほどの利用者からの相談に関する御意見もありましたので、8ページ目の(ウ)の2つ目の白丸の2行目です。窓口組織の担う事務のイメージとして、利用者からの申請に係る相談というところに、「利用の可否等の意思の探索の支援や助言を含む」といったところを追記しております。

また、9ページ目を御覧ください。9ページ目についてですが、(3)の直前の○のところを御覧ください。注釈9がございまして、窓口組織に対する公的支援の整備等についてです。こちらについては、御意見として、注釈9にありますように、窓口組織の安定的・持続的な運営が望まれる一方、既存の権利者団体等に負担や負荷を生じさせるべきではないとの意見が複数出ておりますので、その旨記載しております。また、(3)の「新制度の主な意義」につきましては、注釈10のところに少し追記をしております。

まず、注釈10のところですが、著作物の利用の可否や条件に関する著作権者の意思の表示や、著作物等の集中管理の促進に資するという御意見がございました。また、次の主な意義の黒ポツの2つ目のところです。著作権者等の権利を失わせることのないということで、いわゆる権利制限規定ではないというところの趣旨でございますが、注釈11にありますように、時限的ではあるものの、その間の権利者の許諾権を一定の範囲で制約するものであり、謙抑的な制度設計・運用を検討すべきとの意見があった旨、追記しております。

また、注釈12につきましては、柔軟なスキームというところですが、12にありますように、動画等の投稿や配信などの利用については、利用者が削除することも可能であるため、時限的な利用に適するといった御意見もありましたので、載せております。

続きまして、10ページ以降の個別の論点のところですが、前回からの大きな変更点としまして、まず12ページ目の1つ目の○、こちらは意思の表示に関するところですが、表示の方法や表示場所について、会議ではこのように整理しておりましたが、御意見の中では、ライセンシーによる意思の表示も含むだろうという御意見があったので、その旨書いております。

また、13ページ目を御覧ください。13ページ目につきまして、(ウ)の「翻案等を伴う利用について」です。翻案等につきましては、この会議、あとは各関係者からのヒアリングにおいても意見が様々ありましたが、パブリックコメントにおきましても、注釈16にありますように、著作物の種類や利用方法によっては翻案が不可欠なものであるといった御意見や、翻案を認めることで著作物の多様な利用や展開の裾野が広がるといった御意見もありました。

また、本文の(ウ)の1つ目の○の3行目、濫用的な利用や著作者の意向に沿わない利用に係る懸念というところです。この具体的な懸念の内容として、意見募集の中ではわいせつな利用、キャラクターの転用、著作物の価値や評判を失わせる利用等の御意見がありました。こういった御意見も踏まえながら新制度の運用をしていく必要があるという旨を追記しております。

また、次の注釈18のところです。こちらにつきまして、「新制度の悪用等に係る懸念」という言い方をしておりますが、まずは会議でも、これまで御議論のありました違法複製物の利用が新制度によって広がることがないように、また、AIによる著作物の生成等が用いられ、意思があえて表示されていないものの利用が広まるのではないかといった御意見もありましたので、こちらに記載しております。

続きまして、次の14ページを御覧ください。14ページについては、利用料については、非営利での利用の場合につきまして、負担可能な程度に低廉すべきといった御意見もありましたので追記しております。

また、15ページを御覧ください。15ページ、(ク)の「周知・普及啓発について」の1つ目の○についてです。こちらにつきまして、御意見の中で、個人クリエーターの中には著作権制度に明るくない者も多いため、集中管理の仕組み等も併せて普及し、集中管理を促進していくべきとの意見があった旨、追記しております。

また、資料の16ページ目を御覧ください。こちらは、本文の(コ)に「外国の著作物等について」と項目をしております。外国の著作物につきましては、これまでも会議の場でも御議論がありました。こちらにつきまして、必ずしもこの新制度だけの論点というものではありませんが、1つ目の白丸、著作物が日本の著作物であるか、外国の著作物であるかは必ずしも明確ではないか、新制度の運用に当たっては、外国の著作権者に配慮する必要がある。著作権者不明等の場合の裁定制度については、外国の著作物であっても対象となりますが、新制度の運用に当たっては、その周知状況も踏まえる必要がある。例えば、オプトアウト等の制度の対象とならない方法の周知、意思の確認のプロセスにおける連絡方法や期間、また、公表のプロセスにおける多言語化等、外国の著作権での不利益にならない運用が望まれると追記しております。

また、次の○、「なお」としてありますが、新制度の対象となるのは、当然日本の著作権法の適用を受ける範囲である旨、記載しております。

以上が簡素で一元的な権利処理部分です。

残り少ないので、事務局からの説明では通しで御説明させていただきます。本文17ページ目以降は、立法・行政・司法のデジタル化に対応した著作物等の公衆送信です。こちらにつきましては、これまでの議論をほぼ踏襲した御意見がありましたが、報告書の18ページ目の周知のところ、注釈26としまして、周知については、既存ビジネスを阻害しない方策等の具体的内容・例示を明確にするべきとの意見があった旨追記しております。

また、報告書19ページ目以降の損害賠償額の算定方法の見直しについて、こちらにつきましては、主な御意見として、まず21ページ目の枠囲みの中を御覧ください。21ページ目の枠囲みの中だったのですが、(1)のところに、賠償が否定されていた部分について、「ライセンス料相当額の損害賠償を請求できることとする」という旨を記載しております。ここの枠囲みのところについて、ヒアリング資料では、賠償が否定されていた部分について、「侵害者にライセンスしたとみなして」という記載があったのですが、「侵害者にライセンスしたとみなして」というのは必ずしもそうでない場合もあるだろうといったところもございましたので、こちらの記載は削除しております。

また、こちらの資料ですと、23ページ目を御覧ください。23ページ目に注釈を2点追加しております。1つ目は、23ページ目の上から2つ目の○のパラグラフの「ライセンス料相当額が増額され得るという効果が期待できる」というところです。こちら、パブリックコメントでの御意見では、注釈32にありますとおり、著作権侵害が起きた場合、著作権者等は被害の特定に多大な労力や手間が強いられるため、これまでのライセンス料相当額を用いて交渉してきたのと比較し増額が期待できるといった御意見もございました。また、注釈33につきまして、本文で言いますと3つ目の○のパラグラフ、特許法の令和元年改正による見直しは著作権法においても当てはまるものであるといった記載についてですが、特許法第102条第1項第2号括弧書きについて、著作権法における具体的事例についても審議されるべきとの意見があった。また、事業者による侵害が多い特許と異なり、著作権侵害の場合は組織的な侵害から個人による侵害と幅広く、その態様も様々であるといった御意見があった旨、追記しております。

損害賠償見直しが以上でございまして、最後、27ページ目以降、「研究目的に係る権利制限規定の検討について」を御覧ください。こちらについても、これまでの議論、ヒアリング、基本的には同様の御意見が多かったんですが、28ページ目を御覧ください。

まず、1点目が28ページ目の上から2行目、3行目のところです。令和3年度の調査研究によって、学会等の場面での発表につきまして、著作権法第38条等の権利制限規定の周知・理解が進んでいない実態等が明らかになった旨、審議会でも報告させていただいております。これにつきまして、注釈38ですが、多くの学会では参加費用を徴収しているため、著作権法第38条の要件を満たさない場合があるという御意見もございました。また、研究者等の著作権知識の向上に資する普及啓発に係る情報を収集・蓄積し、広く提供していくことがよいといった御意見もありましたので、追記しております。

また、28ページ目の上から2つ目の○のパラグラフにあります民間主体での一元的な権利処理スキームの構築に向けた検討が必要といった御意見につきまして、39の注釈ですが、オープンアクセスの普及、クリエイティブ・コモンズによる著作物の利用等により、権利制限によらずとも利用しやすい状況になりつつあるという御意見もございましたので、紹介させていただいております。

以上が主な修正点、変更点になります。また、御意見の中では、漢字とか表記に関する御意見もありましたが、基本的には著作権法に用いられている漢字、また、いわゆる公文書に倣った記載に統一させていただいております。

説明は以上でございます。

【茶園主査】どうもありがとうございました。ただいまの説明を踏まえまして、まずは、「2.簡素で一元的な権利処理方策と対価還元について」、このテーマにつきまして、パブリックコメントの意見も踏まえつつ、御意見等がございましたらお願いいたします。御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

福井委員、お願いいたします。

【福井委員】それでは、失礼して口火を切らせていただきます。まず、全体に、ここまでの事務局取りまとめの御努力に、敬意を表させていただきます。大変御苦労さまでした。パブコメにもありましたけれども、現在、AIと人間との共創による新たな著作物、あるいはメタバースなどの新しい形態での著作物やその流通場面が拡張を続けている状況があります。そうした中で、権利者にアクセスをして許諾を得やすくするための努力は、大きな意味での知識基盤を構成する努力であり、我々の社会の未来を左右する文化立国、知財立国の根幹であるように愚考します。

それに対して、簡素で一元的な権利処理の仕組みの、大きな方向性はパブコメでも支持されたように、拝読しました。今後、本当に関係者の役に立って、そして安心して使ってもらえる制度となるように育てていく必要があるだろうと思います。既に再三述べられてきたところですが、公的支援、この必要性はいくら強調してもし過ぎることはないでしょう。継続的な検討を要望したいと思います。また、窓口組織の設計や権利情報データベースの充実化、その連携やアクセシビリティーの在り方、そして、クリエーターやユーザーへの丁寧な説明、これらはいずれも非常に重要であろうと思います。この制度についても不断の見直しを行いながら、進化する新制度となることを期待したいと思います。

ごく総論的な意見となりましたが、私からは以上です。

【茶園主査】ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

早稲田委員、お願いいたします。

【早稲田委員】ありがとうございます。非常によくまとめていただいておりまして、特にパブコメにおいてが、運用に関して貴重な御意見がたくさん出ていると思いました。この制度を法律的につくるということもそうですけれども、今後、いかに使いやすく権利者の利益及び利用者の利便になるということはかなり運用に関わっていることだと思いますので、ぜひパブコメで出たような御意見を御参考に運用に生かしていただければと思います。

以上でございます。

【茶園主査】ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

では、次に進みたいと思います。

それでは、次に、「3.立法・行政・司法のデジタル化に対応した著作物の公衆送信等について」、このテーマにつきまして御意見等がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。

では、次に、今度は「4.損害賠償額の算定方法の見直しについて」、このテーマにつきまして御意見等がございましたらお願いいたします。

早稲田委員、お願いいたします。

【早稲田委員】何回もすみません。前回も申し上げたとおり、本年度の検討結果については、114条を特許法並びといいますか、そちらのほうに改正するということでいいと思っております。ただ、これも前回申し上げましたとおり、著作権法の著作物の損害の特性といいますか、デジタルになると非常に拡散が大きくて、経済的な利益の侵害も莫大になるところも考えて、また次年度以降、御検討をぜひいただければと思います。

それから、今回の改正につきましては、114条の1項の改正もさることながら、ライセンス料相当額による損害の算定に当たり、著作権侵害があったことを前提として交渉した場合に決まるであろう額を考慮できることを明記するのが、著作権の損害の場合には非常に大きいのではないかと思っております。御承知のように、著作権の損害の場合ですと、1項、2項を使うよりも3項を使って損害賠償することが圧倒的に多いと思っておりますので、ぜひここについては侵害を前提としたことについて、立法して、裁判所もそこのところをぜひ御考慮いただいて、判断をいただければと思っております。

以上でございます。

【茶園主査】ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

福井委員、お願いします。

【福井委員】損害賠償の点について、貴重な一歩であろうと考えます。この内容を評価いたしたいと思います。加えて26ページにも記載いただいた弁護士費用の柔軟な認定の点や、また立証責任の軽減の点を含めて、現実を踏まえた、さらなる議論の進展にも期待いたしたいと思っております。

私からは以上です。

【茶園主査】ありがとうございます。損害賠償額の算定方法のテーマにつきまして、ほかに御意見等ございますでしょうか。

事務局から何かございますでしょうか。

【小倉著作権課長補佐】ありがとうございます。事務局からは特段の補足等はございませんが、今、両委員から御意見がありましたような継続的な検討、こういったものをまた引き続きしていく必要があるのかとは思っております。

以上でございます。

【茶園主査】ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

では、最後ですけれども、「5.研究目的に係る権利制限規定の検討について」、このテーマにつきまして、御意見等がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。

それでは、このテーマに限らず、この報告書全体につきまして、何か御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。では、どうもありがとうございました。

では、本日やっていただきました意見交換を踏まえまして、この報告書につきましては、特に修正を要する点はなさそうでございますので、このまま本小委員会としての報告書として取りまとめさせていただきたいと思います。本報告書につきましては、今後、著作権分科会において、答申の形でさらに審議をいただいた上で、著作権分科会として取りまとめていただく予定でございます。

著作権分科会での今期の本小委員会の審議経過の報告は、この報告書の報告をもって行いたいと思います。どうもありがとうございました。

それでは、その他、全体を通じて何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。

では、ほかに特段ございませんようでしたら、本日は今期最後の法制度小委員会ということでございますので、私から一言御挨拶を申し上げたいと思います。

皆様方におかれましては、活発な議論をしていただきまして、どうもありがとうございました。今期の本小委員会におきましては、この報告書にございましたように、様々なテーマについて御議論いただきました。恐らく、その中で最も多くの時間を費やしたのは、簡素で一元的な権利処理方策と対価還元、このテーマであったと思います。これについて御議論していただいた結果が、これから文化庁の方々にさらに大変御苦労していただくことになると思いますけれども、実際に制度として稼働するようになったときには、恐らく社会における著作権制度に対する認識を大きく変える、そのような極めて重要なものであったと思います。先生方が、このテーマを含めまして、様々なテーマについて詳しく丁寧に御議論いただいたことに対して心より御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

では、最後に中原文化庁審議官から一言御挨拶をお願いいたします。

【中原文化庁審議官】文化庁審議官の中原でございます。今期の本小委員会を終えるに当たりまして、一言御礼を申し上げます。

この小委員会におきましては、令和3年7月の大臣諮問を受けまして、今年度は計9回にわたり、DX時代に対応したコンテンツの利用円滑化と、それに伴う適切な対価還元方策について、及びDX時代に対応したコンテンツの権利保護、適切な対価還元方策について、法制的な面から精力的に御審議をいただきました。

審議に当たりましては、クリエーターなどの著作権者等や事業者の皆様、あるいは多様な関係者からヒアリングをさせていただきまして、審議事項について幅広く重要な御示唆をいただくことができました。関係者の皆様には、この場を借りて心より御礼を申し上げたいと存じます。

この小委員会では、昨年度の著作権分科会の中間まとめを受けた簡素で一元的な権利処理と対価還元について御審議をいただくなど、これまでにない新しく難しい議論もございました。しかし、皆様方に本当に丁寧に御議論を進めていただきました結果、法改正の方向性を示す報告書を取りまとめることができました。今後、著作権分科会の審議を経まして、分科会として答申の形で最終的に取りまとめられましたら、この通常国会への法案提出を目指して、さらに検討を進めてまいりたいと考えてございます。委員の皆様方におかれましては、今期の本小委員会の充実した御審議のために多大な御尽力を賜りましたことに改めて感謝を申し上げ、私からの御挨拶とさせていただきます。本当にどうもありがとうございました。

【茶園主査】中原審議官、どうもありがとうございました。

では、最後に事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】事務局でございます。今期の法制度小委員会は本日が最後となります。これまで会議への御参画、誠にありがとうございました。

事務局からは以上でございます。

【茶園主査】ありがとうございます。以上をもちまして、第22期文化審議会著作権分科会制度小委員会を終了とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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