文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第6回)

日時:令和3年10月27日(水)

13:00~15:00

場所:オンライン開催

議事

  1. 開会
  2. 議事
    • (1)簡素で一元的な権利処理について
    • (2)その他
  3. 閉会

配布資料

資料1
「簡素で一元的な権利処理」の在り方に関する意見募集の結果について(2.3MB)
資料2
「簡素で一元的な権利処理」の在り方に関する論点整理(370KB)
資料3
いわゆる「拡大集中許諾制度」を基にした簡素で一元的な権利処理方策に関する検討(169KB)
資料4
著作権制度の普及啓発に関する検討(276KB)
参考資料1
第21期文化審議会著作権分科会基本政策小委員会委員名簿(139KB)
参考資料2
第21期文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第1回~第5回)における委員意見の概要(887KB)
参考資料3
関係者からのヒアリング(第2回~第5回)における意見の概要(2.3MB)
参考資料4
第21期文化審議会著作権分科会基本政策小委員会の今後のスケジュール(165KB)

議事内容

【末吉主査】  ただいまから、文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第6回)を開催いたします。

本日は、御多忙の中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、基本的に委員の皆様にはウェブ会議システムを利用して御参加いただいております。皆様におかれましては、ビデオをオンにしていただくとともに、御発言いただく際には自分でミュートを解除して御発言をいただくか、事務局でミュートを解除いたしますので、ビデオの前で大きく手を挙げてください。

議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照しますと、特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方々にはインターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところですが、特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉主査】  ありがとうございます。それでは、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方々にはそのまま傍聴をいただくこととします。

それでは、事務局から配付資料の確認をお願いします。

【小倉著作権課長補佐】  配付資料につきましては、議事次第の配付資料一覧にあるとおりでございます。

以上でございます。

【末吉主査】  それでは、議事に入ります。本日の議事は、議事次第のとおり、(1)、(2)の2点となります。

早速議事1の「簡素で一元的な権利処理について」に入りたいと思います。本件につきましては、9月22日から10月14日までの期間でパブリックコメントを行っていただきました。

まず、事務局からパブリックコメントの結果概要を資料1に基づき報告いただき、その後、これまでの議論やヒアリング、パブリックコメントの御意見を踏まえた論点整理につき、資料2に基づいて説明をお願いします。また、論点整理の中の一元的な窓口組織による権利者探索等々、いわゆる拡大集中許諾制度による権利処理については、資料3とも関連しますので、資料1から資料3をまとめて事務局から説明をお願いします。

【小倉著作権課長補佐】  失礼します。資料1を御覧ください。意見募集につきましては、委員の皆様方の周知、御協力もありまして、意見の総数が合計98件、団体からは37件、個人からは61件と多くの意見をいただくことができました。この場を借りて改めてお礼申し上げます。

このパブリックコメント結果の概要は資料1のとおりでございますが、かなり大部にわたるため、ここでは資料の配付とさせていただきまして、個々の御紹介は割愛させていただきたいと思いますが、資料1の大まかな構成を申し上げます。

資料1、並びとしましては、パブリックコメントにおかけしました資料の構成に基づいて意見を事務局にて適宜分類・整理した上で記載しております。

1ページ目のところからはまず、目指すべき方向性と留意すべき点、また、18ページ目からは想定される場面についての御意見をまとめております。また、具体的な方策につきましては26ページから、具体的な方策の詳細な各項目に当てはまらない全般なものは「(0)全般について」というまとめ方にしております。

具体的方策の(1)の権利情報データベース、集中管理の促進につきましては29ページから、また、具体的方策(2)の権利処理に資する一元的な窓口の創設につきましては37ページから、(3)拡大集中許諾制度による権利処理は41ページから、(4)UGCのデジタルコンテンツの利用促進につきましては46ページから、(5)現行裁定制度の改善につきましては50ページからとなっておりまして、その他として挙がっているものが53ページ以降になります。また、著作権等の普及啓発に関連しましては55ページにまとめております。

こちらのパブリックコメントの主な意見等々は、前回までの議論を含めまして、資料2のほうに意見の取り入れ、反映を行っておりますので、資料2の説明に移らせていただきたいと思います。

資料の2をお開きください。資料の2、「『簡素で一元的な権利処理』の在り方に関する論点整理」でございます。1番、目指すべき方向性と留意すべき点。こちらにつきましては、パブリックコメント、また、これまでの審議でもおおよそ賛同の御意見が多くなってございます。

追加したところとしまして、1ポツ目の1つ目の丸の最終行でございますが、ビジネス展開とか正規品の流通拡大といったビジネス面のみならず、新たなクリエイターの発掘と文化の裾野を広げるといった文化の振興の観点の記述も増やしてございます。

また、検討に当たっての次の項目への留意を適切に行うといった点は、こういった項目に留意されながら検討していることで安心したといった声や、こういった審議が今後引き続きしっかりと適切に行われていくことを期待するといった声もございました。

2ポツ、想定される場面でございます。本審議会は、冒頭の議論から、どういった場面で利用が想定されるのか、こういったところをとにかくニーズの掘り起こしも含めて議論してまいりました。今回パブリックコメントの中でいただいたもので特に追加したものとして、黒ポツの1つ目の後半、過去に出版された書籍・雑誌に掲載された挿絵や写真等、御意見としてありましたので、追加しております。

また、2ポツ目、権利者不明とだけ記載しておったんですが、権利者に連絡を取ることができないとか、あるいは権利者に連絡を取ってもレスポンスがないと、こういったときに使えないんだといった実際の声も届きましたので、少し広めて書いております。

また、3ポツ目ですが、複数の権利者がいて、全員の利用許諾を得ることができないために利用に至らないコンテンツもありますといった声もございました。

また、5つ目の一番下のところですが、授業目的の複製・公衆送信に係る権利制限規定の範囲を超える利用ということで、ニーズがありました。具体的には、教職員研修であるとか、生涯学習であるとか、そういった声でございました。

想定される場面は以上でございます。

次のページをお開きください。3番、具体的な方策についてです。こちら、(1)権利情報データベースの構築、集中管理の促進につきましては、パブリックコメントと並行して前回のこの会議でも御審議いただきましたので、その審議結果も踏まえて大幅に更新しております。

まず1つ目のポツにつきましては、著作権等管理団体、あるいは一部の権利者団体において、各団体の管理業務や流通のためのデータベースが整備されておりまして、その内容、公表範囲は様々であると。

2つ目の白丸になりますが、分野を横断する包括的権利情報データベースは、利用者にとって、クリエイターにとって、また著作権等管理団体にとっても一定のメリットがあるだろうというところを示させております。

3つ目の白丸になりますが、このため、既存のデータベースと連携させた分散管理型の分野横断的な権利情報データベースの構築が望まれるとまとめております。

4つ目の白丸ですが、一方、実現可能性や持続可能性の観点から、データベースを利用する主体とか管理運営する主体を踏まえ、権利情報等、必要最小限の設計とすることとか、Japan Search等の既存のコンテンツデータベースとの連携、工夫も考えられるとしております。

また、次の白丸のパラグラフになりますが、分野ごとのデータベースを拡充していくことも必要だということで、これまでの御意見では、例えば令和3年の著作権法改正で可能となる図書館資料の公衆送信を視野に入れました書籍等のデータベース構築といったものも並行して進めると効果的ではないかといったところでまとめております。

次の白丸のところですが、その他、集中管理がされていないコンテンツやUGC等に関する情報が掲載されることが望ましいということで、どのようにこういったものを取り入れていくかといったところは引き続き重要な検討課題になるかと思っております。

その次の白丸でございますが、これらを推進するための調査研究の実施等の支援の在り方についても引き続き検討が行われることが望ましいとまとめております。

続きまして、その下の集中管理の促進についてです。集中管理の促進については、総論としてはどんどん進めていくべきだといった御意見もある一方で、こちら、パブリックコメントやヒアリングも踏まえて少し追記させていただいておりますが、2行目のところ、商業用映画等、権利者自らが個別に管理しライセンスを行う権利者の意思を尊重しつつということで、集中管理になじまないと言われるコンテンツもございます。こういったところも配慮しながら、全体としては集中管理を進めていくというような整理の仕方を事務局でまとめさせていただいております。

次のページの(2)分野を横断する一元的な窓口組織による権利者探索のところに移ります。こちらにつきましては、パブリックコメント等踏まえても、これを期待する声、あるいは探索コストが減るという観点から望ましいという声が多く寄せられました。そのようなことも踏まえまして、1つ目の白丸のパラグラフでございますが、引き続きこちらは検討すると併せて黒ポツの2つ目のところを追加しております。権利者の特定が困難な場合の探索支援です。

また、その次の白丸のところでございますが、こうした組織の運営にかかる費用、コストの観点から、それを最小化するためにも、(1)に示したような権利情報データベースの活用等を併せて検討することが重要としております。

さらに3つ目の白丸になりますが、権利者不明等の著作物や権利情報データベースになく個々のアクセスが困難な場合等について、行政手続や供託手続によらず利用可能とするような新しい権利処理の仕組みも検討してはどうかというところで、(3)の拡大集中の議論、(5)の現行の裁定制度の見直しと併せて検討というところを少し書かせていただいております。こちらについては、本日の次の資料3のところで改めて御説明したいと思います。

(3)いわゆる拡大集中許諾制度による権利処理でございます。こちら、1つ目のパラグラフで、これまで出てきたメリットやニーズ、あるいは懸念点をまとめております。3行目の後半からですが、ニーズや期待、メリットとしては、ワンストップでの権利処理、またスピーディーな権利処理といったものがございました。

また、懸念点としては、下から3、4行目になりますが、既存ビジネスの影響、使用料の点、また③番、集中管理割合が低く担える団体がないといったような懸念もございました。

次のパラグラフに移りましたが、これらの懸念やデメリットについては、例えば個別の特定の利用場面や特定の著作物等を対象とする仕組み、いわゆる個別ECLとすることや、簡易で分かりやすいオプトアウトの仕組みを設けること、集中管理やデータベース等の環境整備を整えていくことで解消していくこともできると考えられます。

次のパラグラフ、このため、いわゆる拡大集中許諾制度による権利処理の実現を検討するに当たっては、(1)の権利情報データベースや集中管理の促進、(2)の一元的窓口の創設、(5)の現行の裁定制度の見直しと併せて検討を行っていく必要があると。

また、こうした検討を踏まえまして、拡大集中許諾を担うことのできる特定の組織の要件、例えば著作権等の管理率などなどについても検討を行う必要があるとまとめております。こちらについても、次の資料3についてもう少し踏み込んで御議論いただきたいと思っております。

次のページをお開きください。(4)のUGCのデジタルコンテンツの利用促進についてです。こちらにつきましては、パブリックコメントでも使いやすくしてほしいという声、あるいは、違法コンテンツが含まれている場合に注意してほしいといったような注意喚起の御意見もございました。

1つ目の丸にまとめましたように、前回の御議論でもUGCやアウトオブコマース等について定義をすること、また、その定義に具体的に当てはめていくことは難しいという御意見がありました。

このため、例えば利用条件等により権利者の意思が明示されていない、連絡を取っても回答がないといったような客観的な条件や一定の手続を設け、暫定的利用可能とする制度設計が可能かを検討することが考えられるます。

まとめると、併せて、次のパラグラフ、この検討に当たっては、下から3、4行目になりますが、UGC等の利用場面として想定される具体的ニーズを踏まえた上で、(2)の窓口の議論、(3)の拡大集中許諾制度の議論、(5)現行の裁定制度の改善等の全体の議論の中で検討を進めることも考えられるとまとめております。

また、3つ目のパラグラフでございますが、UGC等については、プラットフォーム等における2次利用に関する意思表示の仕方や仕組みを促すことが重要であると。この意思表示の大切さといったものも前回までの御議論で多く御意見いただいておりますので、このようにまとめさせていただいております。

続きまして、(5)現行の裁定制度の改善でございます。1つ目のパラグラフは現行の裁定制度を簡単に説明したものでございますが、2つ目以降に運用の改善等についてまとめております。こちらにつきましては、パブリックコメントでも、現行裁定制度の改善につきましては、賛同する声、あるいはさらなる改善を希望する声が多く届いております。こちらにございますように、引き続き検討を行っていくというような形でまとめております。

(6)その他といたしまして、1つ目のパラグラフ、保護期間の問題については、パブリックコメントでも多く意見がございました。この中で、例えば保護期間を推定させる仕組みなどの検討といった具体的なものもございましたので、こちらに挙げさせていただいております。

また、次のページに移りますが、2つ目のパラグラフ、複数の権利者のうち一部の者の許諾が得られず利用に至らないコンテンツについて、使いやすくしたいといったような声もありましたので、紹介をしております。

また、その次のパラグラフにつきましては、普及啓発の観点でございます。多様な主体、場面によるデジタルネットワーク技術を活用した新たな普及啓発方策について書いてございますが、特にクリエイター同士が学ぶことができる場とか、クリエイター向けの支援・教育への期待といった声が多く寄せられております。

また、最後のパラグラフですが、DX時代におけるコンテンツの利用促進・対価還元方策として、フィンガープリント等の既存の技術を活用した方策の導入、新たな技術の活用可能性も視野に検討を行ってはどうかといったところもまとめさせていただいております。

資料の2は以上でございます。

長くなりまして恐縮ですが、続きまして資料3を御覧ください。資料の3は、「いわゆる『拡大集中許諾制度』を基にした簡素で一元的な権利処理方策に関する検討」と題しまして事務局にて用意したものでございます。

まず1ポツ、概略につきましては、1つ目のパラグラフにございますように、これまでの審議やヒアリング、パブリックコメントにおけるものをまとめたものでございます。特に1つ目のパラグラフの2段落目、想定される場面について先ほど少し御紹介したようなものを挙げさせていただいております。

また、2つ目の白丸のパラグラフでございますが、拡大集中許諾制度につきましては、ヨーロッパ諸国をはじめとして、導入または導入を検討する国が増えていること、また、複数の権利処理を行う場合にワンストップで権利処理ができること、権利者不明や権利関係の判明に時間を要する場合にスピーディーに権利処理ができることが理想であるといった意見が出てございます。

次のパラグラフに移りますが、一方、拡大集中許諾制度の導入や実運用について、これまでのヒアリングやパブリックコメント等では次に掲げるような懸念も示されておりますので、これらに配慮した検討を行う必要があると考えております。

1つ目、既存ビジネスへの悪影響を及ぼさないようにすることということで、パブリックコメントでも、応諾義務があるとか固定された利用料となるといったこと、また、ライセンス市場との競合については大丈夫かといった声がございました。

また、2つ目としましては、使用料について、利用許諾について著作権者等に利用許諾することの選択の余地がないということで、交渉で決められる価格よりも安価になる可能性があるのではないかといった心配の声、一方で、利用者からすると、市場で申請先の選択肢が多いことや、個別交渉によって著作権使用料を低減することもできるので、一元的でないことの自由度やメリットも引き続き尊重してほしいといった声もございました。

また3点目は、著作物の分野によって既存の管理団体による集中管理の割合が高くないといったこととか、4点目は、団体からの御意見としてもありましたが、いわゆるノンメンバーの著作権管理、著作権等の管理をすることについて、管理事業者にとってのメリットやインセンティブが必要ではないかといった声もございました。

次のページを御覧ください。2ポツ、検討の方向性でございます。1つ目のパラグラフですが、いわゆる拡大集中許諾制度は諸外国でも導入が進みつつあること、また、多くの権利処理をスピーディーに行うことができるといった期待、これまで必ずしも対価還元がなされていない場面での対価創出の可能性もあることから、引き続き本制度の導入を見据え、上記の懸念を払拭させる方策や環境整備を打ち出していくこととしてはどうかとしております。

2つ目のパラグラフですが、例えば、個別ECL、またオプトアウトの仕組み、さらには拡大集中許諾を行う組織に利用者、権利者双方が参画または関与できる仕組み、また、著作物の利用に係る一定程度の規模感や手数料収入等により自立運営できる仕組みといった方策を検討すること。また、集中管理や権利情報データベース等の環境整備なども考えられると思います。

3つ目の白丸のパラグラフですが、また、DX時代が到来しており、速やかな政策を打ち出す必要性もあることから、並行して権利情報データベースの構築、分野横断的な一元的窓口の創設についても検討を行い、簡素で一元的な権利処理の早期の実現を図ることとしてはどうかとしております。

4つ目のパラグラフになりますが、これらの権利情報データベースの構築であるとか一元的窓口組織の創設につきましては、今後さらなる具体のニーズや利用場面が生じた際に、いわゆる拡大集中許諾制度の導入等がよりスムーズに行えるような環境整備にも資すると考えられます。

次の3ポツ、分野を横断する一元的な窓口組織による新しい権利処理の検討についてに移ります。1つ目のパラグラフにございますように、こちらの窓口組織の創設につきましては、これまでの審議においても、探索コストの低減、適法なコンテンツの利用向上に資するといった意見が示されておりますが、これまでも少し御意見が出ておりましたように、権利者不明の場合のアクセスが困難な著作権者等の探索やその探索の支援、また、著作権者不明著作物の利用について煩雑さが指摘されている行政手続や供託手続によらない新しい権利処理の在り方についてさらに検討を深めてはどうかといったところで少し論点として示させていただいております。

次のパラグラフに移りますが、例えば利用者にとって著作権者等が明らかでない場合の権利処理の流れとして、どういったケース、どういったイメージになるのかと踏まえた検討ということで、1つ、想定場面として、過去の演劇作品の配信に係る権利処理の簡素化を一例として書かせていただきました。①配信希望者が、分野横断する一元的な窓口組織へ相談をします。②窓口組織では権利情報データベース等も活用しながら著作権者等の探索を行います。③劇中の音楽利用部分などにつきましては集中管理事業者へ案内をしたり、また、劇中で用いられた音源などは個別の著作権者等への取次・案内をしたりします。

③のダッシュになりますが、それでも見つからない、権利者不明の場合、または見つかりそうなんですが、権利者の意思表示がない、もしくは連絡が取れない場合といったもの、例えば劇中に用いられた小道具であるとか、写真であるとか、こういったものがある場合の探索あるいは探索の支援なども書いております。

さらに④ダッシュとして、文化庁長官への裁定申請の支援を行うこと、あるいは新しい権利処理の仕組みというところが考えられないかということで、次のパラグラフに移りますが、ここでの権利者不明の場合の新しい権利処理の仕組みとしてということで、1つたたき台として挙げておりますが、1ポツ目、いわゆる拡大集中許諾制度のように窓口組織または特定の管理事業者が許諾に相当する効果を与えること。

2つ目のポツとして、窓口組織への申請や十分な使用料相当額の支払いをもって利用または暫定利用可能とすること。

3つ目のポツ、窓口組織が文化庁長官への裁定申請手続を代行することなどは考えられるかとしてございます。

次のページを御覧ください。こちらは分野を横断する一元的窓口組織を活用した権利処理のイメージの例を示させていただきました。一番左のほうに「利用者」とありまして、利用者が窓口に相談します。また、窓口ではデータベース等を活用した権利者の探索を行います。その中で、一番上のほうに、集中管理されている場合は、集中管理団体を通じた許諾手続になります。また、一番下の権利者不明の場合は、これまでの文化庁長官への裁定であるとか、先ほどの新しい権利処理の仕組みに乗せられるかどうか。また、真ん中の集中管理されていない場合につきましては、例えば意思表示があったり、明確にここの企業、この権利者に連絡を取ってくれということが明らかな場合は当然個別に許諾手続に進むと。

そういった意思表示がなかったり、あるいは連絡が取れないといった場合、ここにつきましても、これまでみたいにちょっとここが使えずに断念するということがないように新しい権利処理の仕組みに乗せられることができるかどうか、こういったところも御議論いただければと思います。

なお、一番下に米印で書いてございますが、あくまでこちらの絵は窓口組織を活用した権利処理イメージを書いてございますが、この仕組みによらず、従前のとおり利用者が直接権利者に許諾を得て利用することは可能でございますので、念のため付記させていただいております。

資料の説明は以上でございます。

【末吉主査】  それでは、ただいまの説明に関連して、特に資料3の内容につきまして、御質問、御意見をお願いいたします。

いかがでございましょう。中村委員、どうぞ。

【中村委員】  資料3の前の資料2なんですが、総論として資料2の整理の方向性に賛同を申し上げたいと思います。方策の1ポツのデータベース、それから、2の横断窓口がセットで運用されて、それらから外れる権利者不明なコンテンツについては5の裁定で拾うと。これを迅速に実装するということと、そして3ポツの拡大集中許諾と4のUGCについては、並行して検討していくトーンとお読みをいたしました。これはプライオリティーの高さに対応していて、かつ骨太でシンプルで分かりやすい政策だと思います。全体で年内に結論を得て来年度に措置とされているんですけども、早く成案を得てアクションに移ることを希望いたします。

1ポツの最後のところには調査研究も引き続き検討とあるんですけれども、これなどは早急に構築、実装に進んでもらいたいですし、窓口組織も関係者と協議を進めてもらいたいなと思いました。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。福井委員、どうぞ。

【福井委員】  ありがとうございます。私も資料2のほうからコメントがあるんですけれども、それはよろしいでしょうか。

【末吉主査】  どうぞ。

【福井委員】  まずはパブコメの御紹介が冒頭ありました。私も急ぎざっと拝見しただけですけれども、数ももちろんですが、ここまでポジショントークではない、現実の課題を解決しようと考え抜かれた提案が集まったこと自体、本当にすばらしいことだなと思いました。これらは今後の議論でもぜひ念頭に置いていきたいことだなと感じました。

その上で、資料2の論点整理の中で言いますと、2ポツ、過去に出版されたものとありますが、これ全くおっしゃるとおりで、雑誌などの過去の刊行物も広く例として挙げてはどうかなと思いました。

それから、3ポツですけれども、権利情報のデータベースについて、方向性がかなり出たなと思っておりますが、特に(1)データベースの最後の丸のところで、支援の在り方を検討と書いてありますが、ここはもっと強い表現でもいいんじゃないかと思いました。実際、権利情報のデータベースというのはすぐに収益は生みませんので、しっかりとした財政的支援がなければ、それは各団体が負担せよという話にしか聞こえず、そこに不安の源泉もあると思うんですね。やはりここはしっかり政府としても支えていきますという意思表示が必要ではないかなと感じました。

さらに、3ポツでいうと、(5)の裁定ですね。パブコメを拝見しても、抜本的見直しの中、供託金の不要化についても賛同する意見が非常に多かったように拝見しました。ここはもう踏み込むべき時期ではないかなと感じた次第です。

最後に、3ポツで(6)ですかね、保護期間についてですけれども、やはり意見が非常に多いところでした。これも保護期間についての推定規定はもう現実の検討に入るべき段階だなと思います。特に、そういう推定規定は複雑過ぎて使えないものではいけませんので、単純で現実に作品を使えるルールであることが重要であろうと思いました。

拡大集中許諾までちょっとたどり着きませんでしたが、長くなりましたので、一旦以上といたします。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょう。

坂井委員どうぞ。

【坂井委員】  事務局の方、おまとめありがとうございました。方向性として賛同します。特に窓口と、それから拡大集中許諾の比較のところで、今の窓口なんていうのは、御指摘あったように拡大集中許諾的な効果も発揮できるというところで評価をしてもいいんじゃないかなと思っています。特に拡大集中許諾の場合は、ある一定の管理率を求められるようになると、音楽とか、そういった分野に限られることになると思うんですけれども、この案であれば、本当に分野横断的にできるのかなと思っています。

こういったことを考えるときに、過去の著作物の再利用ということと、それから将来、これから生み出されるコンテンツをまたうまく再利用できるという、その2つの観点があると思うんですけれども、過去についてはかなりこういったところで資料3の最後でもおまとめいただいたんですけれども、大分見えてきたのかなと。今後のところについては、やはりデータベースのところが肝になると思っています。これは前回の会議でも少しお話ししたんですけれども、クリエイターIDみたいなものをやっぱりデータベースをつくってあげて、管理して、クリエイターのほうはそちらに自分の連絡先をきちんと登録できる。だから、例えばメールアドレスが変わりました、住所が変わりましたということがあっても、そこさえ変更しておけば、コンテンツを利用したい人がクリエイターIDを基に利用できる。これはほかの業界団体との協力というのも必要になるとは思うんですけれども、例えば先ほどあった小道具の話とか、それから照明さんの話とか、何かコンテンツをつくったときに、その人のクリエイターIDだけを知っておけば、将来また再利用するときに、それをたどって連絡ができるというようなところの仕組みも検討していただければなと思っております。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでございましょう。生貝委員、どうぞ。

【生貝委員】  大変重要なおまとめありがとうございました。僕のほうからは、少しプラスアルファの論点を含めて3つほどコメントなのでございますけれど、1個目が、今までの議論のちょっと外側になるんですけれど、まさしく今回特に権利情報データベースの作成等をはじめとして、権利処理をしやすくする。そして、恐らくコンテンツの利活用を進めるためには、その前の段階として欲しいものが見つかる必要がある。今どんなデータベースをつくったとしても、一般的な利用者が検索のキーにすることができるのが、タイトルか、あるいは著者か、あるいはその他のメタデータ一式であり、そして、その状況というのを非常に大きく改善させる可能性を持っているのが平成30年の改正でつくられた著作権法47条の5、いわゆるグーグルブックサーチ条項であり、あれができると、個々の全ての本の中から自分が欲しい情報をまさに見つけることができる。それから、まさに様々な映像作品や音楽作品であっても、今のAIを使って欲しいものを見つけることができる。

すばらしい条項なんですけれど、ほとんど使われていない。施行から結構時間がたっているのにという、もったいない状況があるといったときに、理由はいろいろあるとは思うんですよね。やっぱりすごくデータベースをつくるのにお金がかかる。まさにデータベースをつくるのにお金がかかる。

あるいは、47条の5の軽微利用を含めて、法解釈やガイドラインというのはまだまだ明確化されていない部分があるといったようなこと。しかし、解決可能な課題ではあろうと思います。

個人的には、ぜひ、まさにコンテンツの利活用を合法的に進めていく前の段階として、まさにデータベースといったようなものの構築の中にそういった47条の5のポテンシャルをどう生かしていくかということもぜひ視野に入れていただきたいなというのがまず1点目でございます。

それから2点目として、この中で、資料3のほうで出てきた意思表示というところでございます。意思表示、すごく重要で、そしてやはり、これはパブコメの中でも国立国会図書館様等が書かれていましたけれども、意思表示の標準化や統一化というところがすごく重要であると。もちろんクリエイティブ・コモンズがあり、さらにデジタルアーカイブの世界ですと、クリエイティブ・コモンズやヨーロピアナや幾つかの団体が連携して、rightsstatements.orgという、クリエイティブ・コモンズには収まらないような権利表示の在り方をグローバルに標準化するための仕組みというのもつくってきたりしている。それは、ちょっとまだ日本語への対応ができていないのでこれからの課題なんですけれども、Japan Searchなんかでは積極的に取り入れている。

そのほかにも、まさに営利利用を含めて、幾つかスタンダイズはできるし、必要なはずであって、スタンダイズというのも、別にライセンスそのものをスタンダイズする形だけでは必ずしもなくて、個別の意思表示がどういう類型にあるのかといったようなサマリーをスタンダイズする形でもよい。rightsstatements.orgはそういう方法を取っているわけでありますけれども、そういった部分というものをどう整備していくのかというのが大変重要であり、Japan Searchは大変参考になるだろうというのが2点目です。

それからもう一つ、全体として、拡大集中許諾というものに関して、これをどのタイミングで導入するか、どういう形でということはともあれ、まさに引き続きそれを見据えつつ、権利情報データベースの構築をはじめとした必要な措置を段階的に取っていくということ、極めてしかるべき方向であろうかと思います。

僕自身、ECLにはすごく期待しているんですけれども、実際問題、まだヨーロッパでもまさに今年の6月に大きく状況が変わり始めた中で、その具体的な用途というのが、独仏はじめとして主要国でどのように使われるかというのはこれからかなり詳しく見ていく必要があるところ、ぜひしっかり、これから恐らく1年、2年で急速に変わってくる状況というものをしっかり把握しながら、まさに国際的にハーモナイゼーションの取れたECLの枠組みというのはどのようなものなのかということを、まさに今調べながら考えながらやっていくタイミングだと思いますので、一見抑制の取れた、しかし野心的な書きぶりにすごく賛同するところであります。

それで、ちょっとこれも繰り返しになるんですけど、他方で段階的にやっていくという意味ですと、やっぱりドイツもフランスも、そしてDSM指令もなんですけれども、アウトオブコマースの非営利アーカイブ活用から始めてみるというのはみんなやってきた道なんですよね。明らかに権利者に不利益を与える影響が少ないところから始めてみた。データベース構築も始めてみて、フローもいろいろ考えてみた。そして、その蓄積の上に一般的なECLがあるというのが1つの今の例えばヨーロッパの状況でもあろうといったようなところだと思います。規制の実験場という言いぶりが僕は結構好きなほうなんですけれど、そういった意味合いも含めて、もしかすると、お書きいただいたような著作権法35条のライセンス部分といったような部分も含めてかもしれませんが、公の、そしてまさしく権利者に不利益を与える可能性が極めて少ないようなところから始めてみるというのも1つの考え方ではあるんじゃないかと感じています。

取りあえずは3点、以上です。

【末吉主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでございましょう。前田委員、どうぞ。

【前田委員】  私からは資料3について意見を申し上げたいと思います。資料3では、分野を横断する一元的な窓口組織を活用した権利処理について触れられていまして、最終ページに権利処理イメージを書いていただいております。

これを拝見しますと、今まで私たちが議論してきたデータベースの問題がこの中に取り込まれており、また権利者不明の場合のことに触れて、裁定制度の改革の問題が取り込まれており、さらに、意思表示なし、または連絡が取れない場合の新しい権利処理の仕組みについても言及がございまして、従前UGCに関して議論していたことが実質的にはここに取り込まれてくるのかなという気がいたします。

そして坂井委員から御指摘がありましたように、この分野を横断する一元的な窓口組織の活用ができるようになりますと、拡大集中許諾そのものではないかもしれませんが、それに近い、それに準じた効果が期待できるのではないかと思います。そのように考えますと、資料3の分野を横断する一元的な窓口組織を活用した権利処理イメージには、資料2の具体的方策のかなりの部分が流れ込んできているということになるのではないかなと私としては思いますので、この権利処理イメージをベースとして今後議論をさらに詰めていくのがいいのではないかと思います。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。畑委員、どうぞ。

【畑委員】  文化庁様、資料のまとめをありがとうございます。資料2の新たな論点整理を踏まえて、資料3が今後の検討の方向性をお示しいただいているものと思っておりまして、先ほどの前田委員の意見とほぼ一緒ですが、特に2ポツの検討の方向性で示されております拡大集中許諾制度については、メリットもありながら、いろいろまだまだ検討すべき点があり、さらに諸外国の状況も見ていかないといけないという点があると。したがって、ここは継続検討していきましょうと。優先順位としては、まず権利情報データベースの構築、集中管理の促進、それから、それを進めた上で分野横断的な一元的窓口の創設をまず実現に向けて進めてはどうかという提案かと思っております。

それをまとめたのが資料3の最後の権利処理イメージだと思っておりまして、集中管理で許諾できるものは集中管理で許諾をし、個別の許諾手続を取りたい権利者はそれもでき、また裁定制度、あるいは連絡が取れない権利者に関する新たな権利処理の仕組み、それらのどこかに落ちるという仕組みになっていると思いますので、今まで言われてきた、著作物を使いたいんだけども、どこに問合せをして、どういう手続を取ったらいいか分からないということが、この分野を横断する一元的な窓口をもってかなりの部分が解決できる可能性があるのではないかなと思っております。

したがいまして、今回の検討の方向性には賛同させていただきたいと思っております。

課題は、一元的な窓口にどのくらい多くの分野の著作権等管理事業者または団体が入ってきていただけるかということかと思いますので、そこについてはまた今後議論を深めていければなと思っております。

以上でございます。

【末吉主査】  ありがとうございます。河野委員、どうぞ。

【河野委員】  ありがとうございます。まず資料2について、今回整理していただいた方向性に関して賛同させていただきます。クリエイターの意思を尊重する、それから2次創作に関わる柔軟な運用を阻害しないようにする、利用者が安心して著作物を利用できる仕組み構築の3点に留意し、同時に、こういった方向性に関わるコストの検討も行うということで、先ほど他の委員の方からも御発言がありましたけれども、できれば早くグランドデザインの決定を行っていただき、より一歩進んだ具体的な検討に入っていただければと思います。

その上で、簡素で一元的な権利処理の確立が私たちに与えられている命題ですので、時代に合わせて柔軟に対応できるフローを構築するという視点を大事にしていただきたいと考えます。

先ほどもお話出ましたけれども、Japan Searchをはじめとして、既存の関連する活動や取組とつながり、連帯をする。それから、権利情報データベースや集中管理の促進、権利処理に資する一元的な窓口の創設、また、現行の裁定制度の見直しと、いわゆる合わせ技で最適化を図っていくという方向性で、上手にそれぞれのメリット、デメリットを、メリットは生かしデメリットを打ち消すような形で組み合わせていただければと考えます。

拡大集中許諾制度の導入については、パブコメでは懸念が多いということでございますけれども、著作物全体の権利処理のマッピングを行って、拡大集中許諾を適用できる対象を明確に示すことが安心感を増すことだと思いますし、今、国内、国外も含めて見えていない部分というか、光が届きにくい部分に対する効果的な対策としてぜひこの制度を前向きに検討していただければと思っています。

以上でございます。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょう。奥邨委員、どうぞ。

【奥邨主査代理】  ありがとうございます。基本的には、他の先生方からも出ましたけれども、私も今回のまとめ、資料2、資料3、賛成であります。その全てが、先ほど前田委員からもありましたように、分野を横断する一元的な窓口組織を活用した権利処理イメージ図というところに結実しているんだろうなと思います。パブコメでも御意見がありましたが、著作権というのはあくまで私権であるのが原則ですから、やはり御本人が自分の権利をどうしたいということは尊重されるべきだろうと思うんですね。

それが、このイメージ図の場合は、真ん中のところで、集中管理はしたくない、自分で管理したい、自分でこういう許諾をしたいという場合について、その道をきちっと残すということが、まずど真ん中に置かれているという点で、著作権の基本的な性質に照らした正しいまとめ方だと思います。

ただ一方で、そうは言っても、権利というのは難しいですし、また、今回UGCも含めて、いろんな著作物を取り扱っていくということを考えると、自分で管理すると言っても、どういう管理方法があるのか分からないまま死蔵しているというものがいっぱいあるわけですから、そういうものを集中管理のほうに取り込んでいく、もしくは意思表示がないところや、権利不明のところに取り込んでいくということで、積極的に管理をしたい方、自分で管理をしたい方、活用したい方を別段害するものではなく、一方で使われないことを望んでいるのではなくて、使ってほしいんだけれども、うまく使われ方が分からないままになっているものがたくさんあるときに、それをカバーしていくものとしてこういうシステムができるというのは、資料2の冒頭に挙げておられたような創作サイクルというのをつくるという意味で非常にいい方法だろうと思います。

皆様からも御意見出ていました、やはり鍵は、分野横断のデータベースをつくるというところにありますし、また集中管理を進めていくべきだろうと思います。今、御議論の中で必ずしもない、ちょっと資料の中にはないんですが、先ほど生貝委員もおっしゃった部分ですけども、47条の5に限るかどうかは別としても、いろんな技術、新しい技術を利用していただいて、どんどんとデータベースの構築等々、それから権利者の探索等々についてはやっていくべきだろうと。従来型の人間の目で見て、帳簿を探って、電話をかけて、この人いますかという、そういう話だけではなくてやっていくと。そのためには、権利者団体の方とそういう新しい技術を持っておられるベンチャーとかスタートアップとかがコラボレーションをしてもらう、日本の集中管理の法制度というのはいろんな方が参入できるようになっているわけですから、そこに入ってきてもらってコラボレーションして、どんどん新しい仕組みで、従来カバーし切れてなかったもの、特にネットのUGCなんか、従来の形で管理していくというのも無理だと思いますので、そういったものについても、技術を活用してデータベースをつくり、また窓口もつくっていくというようなところに新規参入していただく、もしくはコラボレーションしていただくということを期待したいと思います。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。太田委員、どうぞ。

【太田委員】  どうもありがとうございます。資料の2、資料の3と非常に適切で論理一貫して分かりやすい方向性を示していただいて本当にありがとうございます。奥邨先生のおっしゃることと重なるんですけども、資料3の最後の見取図を見ると、分野横断データベースと権利者の探索の成否、これが結局このシステムでワーカブルになるか、使える制度になるか、それとも結局は使えないということで先細りになるかの分岐点になると思うので、その点で、この分野横断データベースの構築においても、新たな技術や、いわゆるAIとかITですね。権利者の探索についても同じように、単なる文字情報とか、あと権利者が登録するという形で起動しないとならないという形ではない、もっとシステムの側から包括的にすくい上げるような形で構築する必要があるかなと。そうしないとなかなかワーカブルにならないおそれがあるかなということを感じた次第です。

基本的にこの取りまとめに賛成させていただきます。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。仁平委員、どうぞ。

【仁平委員】  ありがとうございます。3番目の表の、今、奥邨先生も太田先生もおっしゃられていましたけども、集中管理されていない、特に私、UGCのコンテンツについてお話しさせていただきますが、集中管理されていない場合のコンテンツの意思表示の場というものの重要性というものを、前もお話ししていますけど、改めてこの重要性があるんだよというところを前面に出して発言したいなと思っています。

今現在もそういった意思表示をするいわゆる宣言をする場所というのはあるんですけども、使われている言葉が割とばらばらだったり、ちょっと見ただけではどうしていいのか分からないという表現もありますので、その辺りの何となく統一的なフォーマット化みたいなものというのも必要なのかなと。

それと、今いろいろな技術が出てきていまして、そういった新しい技術を使ってコンテンツを識別するという仕組みもいろいろなところで研究されているようですから、その辺りの技術の公開、もっと広くいろんな人に知ってもらうということも必要なのかなと改めて思いました。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょう。井上委員、どうぞ。

【井上委員】  ありがとうございます。井上です。日程的に合わない日程が多かったため小委員会に参加できない回が多かったので、今回意見を申し述べさせていただきます。

すばらしいペーパーをおまとめいただきまして、ありがとうございました。権利者の探索等の費用、手続の負荷が原因で利用されてこなかったコンテンツについて、取引コスト全般を低減し利用させることにする、という方向性について、権利者、利用者、社会一般の「三方よし」を実現するという方向性だと思います。これに誰しも異論のないところだと思います。私ももちろん賛成でございます。

問題は、そのための方策として、どのような場面でどのような制度を使うかということです。本小委員会ではフィーチャーされているのは拡大集中許諾制度ですが、これは日本では全く新しい制度でありまして、新制度導入のための合意形成コストを考えると、裁定制度の抜本的な改革、あるいは権利制限プラス補償金制度の追加など、既存の制度をベースに改革していくほうがよいのではないかともともとは考えておりました。裁定制度については、実際の運用面では、権利者の探索ですとか補償金の額などについて、権利者団体と連携・協力していますので、理論的な立て付けは全く異なりますが、やっていることは拡大集中許諾で実現できることと大きく変わりません。

ただ、既存制度の改革という方策を取りますと、慣性が働いてしまう、あるいは既存の発想から抜け出せないというところもあって、「抜本的な改革」と言いながらなかなかそれが実現しないということもあると思います。拡大集中許諾は、海外の諸国で導入が進んでおり、既存の発想を超えた改革ができるかもしれないという気もしております。

したがって、拡大集中許諾でなければならないということではないと思いつつも、拡大集中許諾制度の導入可能性について今後検討を継続していくということには私も賛成です。生貝先生からご発言がありましたように、諸外国の動向を注視していく必要があろうと考えております。

いずれにしましても、先ほど奥邨先生からもございましたが、無方式主義で権利を与えるという著作権制度の立てつけの下で、個別の許諾の意思表示が明確でないのに利用を認めるというような仕組みは、拡大集中許諾にせよ裁定制度の改革にせよ、法制局を通そうとすると大きな抵抗があるだろうと認識しております。

たとえば、資料3の「窓口の一元化」のところで、権利者は判明しているが意思表示されていない場合の取扱いが論点として挙げられています。拡大集中許諾を認めるにせよ、裁定制度の対象に取り組むにせよ、正当化根拠について議論があり理論的には簡単に解決しない問題が残されていると思います。

では、当面どうするかということですが、これも皆様方からおっしゃっておられたことですが、法制面での手当とは別に、データベースを構築し、そしてそのデータベースも活用しながら一元的な窓口組織をつくり上げることを先行すべきだろうと思います。一元的に窓口組織については、著作権者不明著作物の実証事業で課題も明らかになっていると思いますので、そこでの学びも活用しながら前に進めていただきたいと思います。

なお、データベースの構築や一元的な窓口の立ち上げには公的な財源で支援することが必須ですが、未来永劫そういう形でいくのかということは妥当でないと思っています。一元的な窓口組織というのは一種のプラットフォームになるわけですから、そのプラットフォームを活用したビジネスなどもうまく呼び込んで、そこからの収益を還元させるような形で自立して運営できるようなサステナブルなモデルになればと期待をしております。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでございましょう。後藤委員、どうぞ。

【後藤委員】  後藤でございます。事務局の皆さん、資料2、資料3とおまとめいただきまして、ありがとうございます。私も全面的に賛成でございます。そこで質問なんですけども、資料3の後ろのイメージ図がございますけども、やはり肝になるのが一元的な窓口というものの設置と、それと新しい権利処理の仕組みというものが肝になろうかと思いますけども、ちょっと先走るようで、以前、説明があったかもしれないんですけども、事務局に質問なんですけども、タイムテーブル的なものというのはどういう形だったんでしたっけ。推進計画にも多分書いてあったと思うんですけども、今年度検討をずっと詰めて、来年度具体化して、再来年度に運用を始めるとか、ちょっとその辺、漠然としちゃいましたものですから、ちょっと今、いま一度教えていただければと思います。

以上です。

【末吉主査】  どうぞ。

【小倉著作権課長補佐】  事務局でございます。スケジュール感でございますが、拡大集中許諾制度を基にした簡素で一元的な権利処理方策、これについての結論を、知的財産推進計画等では年内に一定の結論を得るように書かれておりまして、今年中でございます。12月までというところになります。

その後、これに基づいた措置を来年度していきましょうと書いてございますので、まずはこういった方向性であるとかある程度の中身を年内に固めるところを固め、それで来年度の措置につなげていくといったスケジュール感になります。

以上でございます。

【後藤委員】  どうもありがとうございました。私からは以上です。

【末吉主査】  ほかにいかがでしょう。福井委員、どうぞ。

【福井委員】  それでは、先ほど時間の関係で拡大集中許諾についてお話できませんでしたので、そこのお話をさせていただきます。

各委員の皆さんの御指摘、全くもっともだなと思いながら伺っておりました。特に拡大集中許諾は懸念意見もある中で、まずは権利者の方がアクセスをして、自分の意思を反映しやすいような、そういう権利情報データベース。単に一方的につくるんじゃなくて、権利者ともインタラクティブな関係を保たれている権利情報データベースなどの環境整備を進めることで、結局は全体が解決に近づいていくのかなと、まずそこからかなと思いました。

それから、窓口組織について、私もここからまさに進めるべきだなと思うんですけれども、これを活用した権利処理のイメージ図の中で、意思表示なし、連絡が取れない場合に利活用できるようにするというラインがあるんですね。このこと自体には私は賛成です。ただ、パブコメでも非常に待望論が強かったアウトオブコマースというものは、本来は意思表示がない、連絡が取れない作品のことを言うのでは必ずしもないんです。アウトオブコマースとは、まさに入手困難、市場で現に流通していないような作品のことをいう。これについて利活用の待望論が強かったということは忘れてはいけないと思うのです。

よって、そうした意味でのアウトオブコマースもカバーする上で、現在の記載の部分だけでよいかどうかはさらに検討を深めていく必要があるだろうなと思います。

このことに限らず、アウトオブコマースや、あるいは裁定制度の抜本見直しは、窓口組織がそこで大きな役割を果たしていくとは思うのですけども、窓口組織だけに話を限ってしまうのはちょっとリスクがあるだろうなと思います。というのは、他の委員の方の御指摘もあったとおり、窓口組織は、まだどれだけ広がるか分からない中で、その1点にかけてしまうのはリスクがあるだろうと思います。

ほかに、生貝委員の御指摘があった意思表示を促す仕組みですね、これは本当に重要で、権利情報データベースでも推奨していくべきですし、同時に政府ももっと自らの発信情報の中にも取り組んでいくべきだと以前からも考えていたのは、やっぱりクリエイティブ・コモンズです。CCですね。世界的に通用しており、世界的に検索をしてもらえる。もうCCがついてない資料は最初から探す対象から外してしまうユーザーたちも世界には多いわけです。ですから、こういうものを権利情報データベースや政府自身も取り入れていく、そういう促しも必要かなと思いました。

最後に、これも生貝委員でしたが、47条の5は本当にすばらしいんですよ。それがまだ十分には活用されていないということについて、今準備中でこれから発表されていくものがそれなりにございます。数日前に発表されたアニメ大全などは過去最大規模のアニメのデータベースですけれども、こういうものでも47条の5が活用されていく予定なんですね。

むしろというか、課題はこれが知られていないことです。様々なアーカイブ活動についての御相談をいただく中で、47条の5がありますよというふうにアドバイスすると、まず大抵のケースでは御存じないですね。ですから、知らしめていくということも大事じゃないかなと思いました。私からは以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにはいかがでございましょう。

よろしいですか。生貝委員、どうぞ。

【生貝委員】  今、福井先生が御指摘いただいた意見、同感で、特におっしゃるとおりアウトオブコマースに関しては、今改めてパブコメのほうを見ても、やはり非常に期待のコメントが多かったところかなというふうにも改めて気がついたところでありました。

あと、それに加えて、資料の2のペーパーの中でも、やはりUGCやアウトオブコマースがなかなか定義することが難しいという書きぶり、それはそのとおりかと思うんですけど、UGCとアウトオブコマースは、重なり合うところはあるんですけれど、もともと全くベクトルが違った概念であるというのがまず1つ。ちょっとここの書きぶりは最終報告書までに少しうまく整理をいただけるとよいのだろうと思います。

そして、アウトオブコマースは定義できるんですよ。実際に絶版等資料という形で定義され運用されているわけですから。しかし、それをまた書籍・出版物以外に広げていこうとすると、もちろんまた新しい基準のようなものが必要になるということであって、定義できないということではないと思うんですね。その定義というものをどのように分野に合わせた形で考えていくのかというのも、この分野を考えていく上では大変重要なのかと感じております。少し補足的なコメントです。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがですか。前田委員、どうぞ。

【前田委員】  アウトオブコマースのことを資料3の最後の権利処理イメージの中に取り込めるかどうかということについてなのですが、集中管理がされておらず、拒絶の意思表示がある場合に、アウトオブコマースだからといって利用できるようにできるだろうかというと、ちょっとそこはハードルがかなり高いのではないかなという気がいたします。

資料3の最後の権利処理イメージの中で、アウトオブコマースの場合は、意思表示なし、または連絡が取れないという場合に当たることが結構多いでしょう。福井先生が御指摘のとおり、必ずしもそうなるとは限らないとは思うのですが、そうならない場合、そこで連絡が取れて、拒絶の意思表示があった場合に、それでも、新しい権利処理の仕組みの対象にするかというと、うーん、そこはどうなんだろう。個別の意思表示として拒絶の使用を認めないという意思表示がなされている場合に、利用を認めるというのはなかなか厳しいのではないかなと思います。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。菅委員、どうぞ。

【菅委員】  法律には詳しくありませんが、クリエイターが拒絶の意思を示した段階でもうそれは使えないものとして諦めていただきたいと思います。パブコメも見ましたけども、クリエイターの意思というものを尊重してくださいという意見もありましたし、通常の著作権処理の考え方からしても、嫌だと言っているものを載せることはできないと私は思っております。

少し話はずれてもう1点ですけども、私、この間本を読んでいて、末弘厳太郎先生という、法律家の方は御存じだと思いますけれども、その方が、「権利の上に眠る者」というすばらしい言葉があるというのを初めて知りました。著作権者だからこうしてもらえる、ああしてもらえるという権利の上にどっかり座って自分は何もしないというのではなくて、権利があるということを、きちんと自分で責任を持ってここに登録をする、意思表示をする、返事を返す、拒絶をするならする。その上で拒絶があるのだったら、それは立派な意思だと思いますので、それは尊重して、幾ら絶版もの、例えば、アンソロジーでほかの方は載せてもいいけど、自分のだけは作品としてアンソロジーの中から外してくれと、そういうようなことはクリエイターの意思が尊重されるべきだと思っております。失礼いたしました。

【末吉主査】  ありがとうございます。福井委員、どうぞ。

【福井委員】  前田先生の御指摘、少し誤解もおありなようで、多分私の説明がよくなかったんだと思いますけれども、拒絶の意思表示のあるものを使うというような意見の方は多分あんまりいらっしゃらないんじゃないかと思います。そうではない、アウトオブコマースという状況の中で、まず意思確認をしに行かなきゃいけないかどうかというところが多分問われるのですね。諸外国でも導入例があるようなアウトオブコマースの利活用推進というのは、すべて意思確認をしに行けるようであれば、もともと流通の問題は少ないはずなので、意思確認ということを前提としなくても何らかの客観条件で使えるようにならないかという議論だと思いますので、その点はまず誤解のないようにいたしたいと思います。

それから、私が申し上げたのも、この意思表示なし、連絡が取れないという条件は、実際制度設計次第ですから、この言葉だけで、必要な状況をカバーしているかどうか、さらなる検討が必要ですよということを申し上げたので、その点も明確化しておきたいと思います。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。

よろしゅうございますか。

ありがとうございました。いろんな御意見をいただきまして、ありがとうございました。1つ感想を主査から申し上げると、このイメージ図が皆様の目に止まったのが非常に印象的でした。事務局としてもこのイメージ図をもう少し膨らまして、論点整理なりに反映するようになってきたらいいんじゃないでしょうかね。ありがとうございました。

それでは、次に参ります。「著作権制度の普及啓発」に係る論点につきまして議論したいと思います。事務局において資料を用意いただいております。資料4に基づきまして御説明をお願いします。

【小倉著作権課長補佐】  資料4を御覧ください。「著作権制度の普及啓発に関する検討」と題する資料でございます。

1ポツ、普及啓発に関する取組の現状についてまとめました。上から文化庁著作権課の取組。また、中ほどに教育関係の取組、下側に知的財産関係の取組としてまとめております。

上から順に御案内しますと、著作権課の取組としましては、対象者別の講習会の実施であるとか、著作権教育教材の提供、普及啓発活動を行っております。特に対象者別の講習会につきましては、著作権法の各種権利制限規定とも関係ある教職員、図書館職員といった方々への講習会を通じて著作権の普及啓発を行っております。

また、教材もなるべく分かりやすくするように、またアクセスしやすくするようにということでインターネット等の公開をしております。

また、普及啓発活動につきましては、今年度も著作権広報大臣「ハローキティ」による啓発動画の発信、啓発イベントの実施などを行っています。

教育関係の取組につきましては、学校教育の場でといった御議論が多い中で、新学習指導要領、また教科書においても、知的財産教育、またその指導においては著作権を例示として書かれておりまして、学校現場においても、例えば資料にございますように、小学校の音楽、中学校の技術・家庭、高校の美術、こういった芸術的な科目の中で、併せて知的財産の創造、著作権の保護とか活用、こういったところを指導が行われています。

また、一番下側の知的財産関係の取組として、こちらは内閣府のほうで中心に行われているものでございますが、1つ目のパラグラフの3、4行目でございますが、知的財産の保護・活用の重要性に対する理解の増進と態度形成を図り、もって知的財産の創造に始まり、保護・活用に至る知的創造サイクルの好循環を生み出すための人材を育む教育と定義されております。

2017年度より知財創造教育コンソーシアムといったコンソーシアムも設置がされまして、知財創造教育の普及実践が一層進められております。

次のページを御覧ください。2ポツ、今後の方向性でございます。最初の白丸のパラグラフにございますように、2行目の辺り、容易に著作物にアクセスし利用できるデジタルネットワーク環境、こういった環境を踏まえること、また、2つ目のパラグラフの冒頭にありますように、SNSの普及等に伴って誰もが容易に著作物の創作・発信・利用を行うことが可能になり、全ての国民が日常的に著作権に関わる状況においてといったところで、今後の著作権の普及啓発に関する留意すべき視点を以下3つのように挙げてみました。

まず1つ目、著作権は身近な権利であり、全ての人が侵害する可能性もある一方で、自らの著作物を侵害される可能性もあるということで、極めて日常的につながるといったところを意識づけするようにすること。

また、2つ目につきましては、著作権法、あるいは著作権を守りましょう、というだけではなくて、著作権という権利があるからこそ、権利者あるいはクリエイターに適切な対価還元が入りまして、新たなコンテンツの創作につながっていくんだといったところを意識できるような普及啓発方法ができないか。

また、3点目は、著作物を創作した者への思いを尊重することの重要性、こういったところをコンテンツを利用する際に意識できるようにしてはどうかといったところです。海賊版など、見る、使うのではなくて、適法なコンテンツを使いましょうと、こういったところにもつながればなということを考えております。

また、次のパラグラフで、知財創造教育推進コンソーシアムの議論の状況ですが、知財創造教育をふだんの授業の中で既にある素材等を活用して進める方向性で検討されていると伺っております。こちらは、このパラグラフの最後にもありますように、学校現場の負担、こういったところも課題となっておりますので、この点を留意する必要があるとされております。

さらに次のパラグラフに行きますが、後半最後の2行、SNSを頻繁に利用する若年層も含め、広く社会一般に働きかけ、日常の様々な場面やタイミングで意識づけする方策が効果的ではないかとまとめております。

これらの視点、方向性を踏まえまして、3ポツ、今後考えられる取組を一例として挙げてみました。この一例は、パブリックコメントの御意見とか、あるいは事務局のほうで比較的若い世代の方々の御意見もまとめて少し一例として挙げてみておりますが、まず1つ目として、創作者の目線から創作活動を行ったり著作物を公表したりする際に、自らの権利を守るために行うべきことをまとめた資料。この中で例えば今日の御議論で出ている意思表示の仕組みだとか、前回までに出ている集中管理について、そもそもクリエイターがどこまで御理解されているかとか、こういったところを促すことも考えられるのかなと。また、これまで、クリエイター同士の学びの場、こういったものが重要であるといった声もございました。

また、次の黒ポツでございますが、映画盗撮防止キャンペーンのように、コンテンツの視聴のタイミングで注意喚起する仕掛けを官民が連携して構築すること。

また、次のポツも関連しますが、SNSへの投稿の際に著作権に関する配慮がされているかを確認するポップアップの表示、チェックリスト画面への移行、こういった仕組みも検討を行ってはどうかと考えております。こういった利用場面とか日常使いのところで著作権を意識する工夫が重要かと考えております。

次の黒ポツにつきましては、内容面にもなりますが、違法な行為だけを周知するのではなく、と。今、著作権の教材とかテキストも勝手に何々してはいけませんといったような内容が多くなるんですが、そうではなくて、適法な利用事例、どうすれば適法にそのコンテンツを使うことができるか。各種権利制限の活用の方法であるとか、ライセンスの取り方であるとか、こういった適法な利用事例をまとめたホワイトリストといったようなものを活用した普及啓発も効果的ではないかと考えております。

さらにその下のところは広報の方法論でございますが、例えば国民に人気のあるアーティストやインフルエンサーと連携したプロモーションであるとか、あるいは、学生コミュニティーの活動、あるいは、クリエイターの共同制作での場面、こういったところでの発信であるとか、こういった機会を活用して普及啓発活動するとより効果的ではないかというところも一つアイデアとして載せております。以上でございます。

【末吉主査】  ありがとうございます。それでは、ただいまの説明につきまして、御質問、御意見をお願いいたします。菅委員、どうぞ。

【菅委員】  前半黙っていた分、今まとめて言わせていただきます。まず、2、3回前のときに私が出した図を参考にしてくださったと聞いております。ぽっと出のこんな者が作った図でしたけど、お役に立てば幸いです。やっと委員の役を果たせたかなと思って感謝しております。ありがとうございます。

それで、今の啓発事項につきましてお話しさせていただきます。ここには、以前から皆さん、今日もおっしゃられていましたけど、CCマークなど、自分たちの意思を表示するマークを積極的につけようぜというのがちょっと落ちていると私は思います。ここまで書くのであれば、みんなでCCマーク、もしくは条件つきマークを利用しましょうよ、これだったらたくさん書かなくても一言で一目で使っていただけますよ、条件分かっていただけますよというのを少し一文書き添えていただきたいと思っております。

あと、2点ほど申し上げます。2の今後の方向性の1、2、3、3の白丸にある学習指導要領と学校のことなのですが、文科省にも少し御縁がある立場から言いますと、やりましょうと言っても教科書以外のことをする余裕が学校の現場はほとんどございません。ので、ここに積極的に活用してもらうように、ビデオの制作、映像の制作、それがあればいいかなと個人的に思いました。そういうコンテンツがあれば、先生がちょっと自習のときとかにそれを放映するという手軽なことになりますので、自分が教壇に立って教えるということは大変なことなのですが、コンテンツがあれば、それを見せるだけでも勉強になる、啓発になると考えますので、教育現場が使える映像コンテンツというものの可能性を少し覚えておいていただければなと思いました。

そして、最後になりますが、今後考えられる取組の例の後半にございますホワイトリスト、これは大変重要だと思います。特に若い世代は、あれをしちゃいけない、これはしちゃいけないといって萎縮をする。萎縮をするだけならまだかわいいんですけども、地下に潜るんです。やっちゃいけないと思うと、地下に潜って見えないところでさらに過激な違反をするという傾向がありますので、これを使うんだったらこういうことだったら大丈夫というホワイトリストはぜひ若い子に発信していただきたい。

少し突っ込んだ意見を言いますと、これは啓蒙だけでなく、企業、あと、プラットフォームの立場からも、これは使っていいですよというマークを作ってほしいんです。先ほどのCCのように。例えば、キービジュアルというのがあります。映画のときにポスターに使われる、あれは大体キービジュアルです。あとサブのキービジュアルといって、これは報道関係にまかれるものがあります。

ですから、キービジュアルAとBも、自由に評論するときにも図説として載せていただいて結構ですよと、そういうのを企業が積極的につけていくことによって、これがついてれば使えるな、だったらこの映画を評論しようみたいに広がっていくと思いますので、これはクリエイターという小さいくくりではなくて、大きなマスコミュニケーションの側の企業、配給元、そういうものが積極的にこれはホワイトですと言っていただきたいと私は思っています。

そうしたものを全部ひっくるめて、アーティスト、インフルエンサー、あとアニメですね、皆さん大好きなアニメ、そういうものと連携したプロモーションをしていく。

簡単に言いますと、抜けているのは、マークの使用と、あとホワイトリスト、あと学校、教育現場への働きかけ、これをもう少し強く書いていただければなというのが私の意見です。長々ありがとうございました。

【末吉主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでございますか。中村委員、どうぞ。

【中村委員】  普及啓発は重要なテーマなんですけれども、制度設計やデータベースの構築などよりも時間とコストがかかりまして、成果検証がしにくいんですね。だから、これは著作権だけで取り組むのはしんど過ぎます。いろんなところとの連携策というのもここに掲げられていますけれども、この点でいうと、青少年のネット安心・安全対策は12年前から省庁横断で、通信業界、IT業界だけではなくてコンテンツ業界も協力して進められてきています。大変な蓄積とノウハウがそこにはあります。

この対策もこれまでこの10年ほどで2つの大きな変化がありまして、当初はいかに青少年にデジタルの危険を回避させるのかというのが対策だったんですけども、コロナで1人1台、ギガが実現いたしまして、いかに使わせるのかに転換をしています。つまり、抑制策から促進策に変わっているということ。そして当初は高校生が対策の中心だったんですけど、だんだん中学生、小学生に下がってきまして、今は未就学児をどうするかが課題です。

つまり、誰もがデジタルの時代に、その入り口のところで対応するテーマだということになっているということで、これも著作権と同じだと思うんですね。また、秋からはデジタル庁がスタートしまして、1人も残さないデジタルというのをテーマにしてデジタルの日などの普及啓発策に取り組んでいますので、こういう動きに著作権教育も乗っかって、効率的で継続的に対策を打っていくのがいいんじゃないかと思います。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。倉田委員、どうぞ。

【倉田委員】  失礼いたします。まず資料4について分かりやすくお取りまとめいただき、ありがとうございました。普及啓発に関する現状や今後の方向性というのがよく分かりました。これらにおいては全く異論ありませんし、非常に大切なことだと確信してはおります。

あえて申し上げるとするならば、先ほどの両委員に関連することなんですけれども、やはり著作権制度の普及啓発に関する検討の2ポツ、今後の方向性、この全項目の表現が、留意すべきこととか、注意すべきことという比重が多いように感じました。つまり、著作権制度の普及啓発が著作物の活用の際のブレーキをかけるための普及啓発に偏っているような感じがししました。

この小分科会での議論というのは、やはりコンテンツ創作の好循環の最大化を目指して文化振興を図るということだと思いますので、著作物を活用する際のブレーキだけではなく、著作物の利用円滑化とか、利用促進のためのアクセルについての普及啓発内容がもっとあればいいかなと思いました。

例えば、学校現場での具体例になって誠に恐縮なんですけれども、例えば子供たちが読書感想文とかプレゼンテーションのスライドを制作するときに、現行のよくあるデータベースを積極的に活用させたりとか、正しく引用するのを勧めたりとか、加えて、先ほど菅委員のほうからもありましたけれども、積極的に2次利用に関する意思表示、クリエイティブ・コモンズみたいなものの意思表示をしたりするなどの利用促進というのも大事なのではないかなと思っております。

やはり著作物を正しく活用していく教育を普及啓発するためには、知識を教えるというだけではなくて、やはり著作物を活用する経験だったりとか体験というのが必要不可欠ですので、ブレーキとアクセルのバランスを踏まえた方向性が望ましいと私は提案いたします。御検討よろしくお願いいたします。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。太田委員、どうぞ。

【太田委員】  どうもありがとうございます。資料の2、資料の3と非常に適切で論理一貫して分かりやすい方向性を示していただいて本当にありがとうございます。奥邨先生のおっしゃることと重なるのですけれども、資料3の最後の見取図を見ると、分野横断データベースの構築と権利者の探索の成否、これが結局このシステムがワーカブルになるか、使える制度になるか、それとも結局は使えないということで先細りになるかの分岐点になると思います。その点で、この分野横断データベースの構築において、新たな技術、いわゆるAIとかITの活用が必要になると思います。また、権利者の探索についても同じように、単なる文字情報による検索とか、権利者がわざわざ登録しなくてはならないとかという形ではなく、もっとシステムの側から包括的・自動的にすくい上げるような形として構築する必要があると思いますし、そのためにもAIとかITの活用が必須だと思います。そうしないとなかなかワーカブルにならず、データベースの構築も不十分,データの検索もうまくできないような、使いにくいシステムになるおそれがあるかと感じている次第です。

そして、全体としては,基本的にこの取りまとめに賛成させていただきます。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございました。福井委員、どうぞ。

【福井委員】  ありがとうございます。やはり今後の方向性についての意見になりますけれども、もう各委員の御発言に尽きているように思うんですね。例えば、2つ目の丸の①ですけれども、侵害の話だけではなくて、どうやったら使えるか。この知識がまさに重要です。それこそが情報社会の今後の生存知識だと思うんですね。

ですから、この資料全般について、どうやったら使えるかというところを強調し、そして、やはり各組織と連携してこれを面白く伝えていくということ。面白くなければ全然引きつけられず、右から左に素通りですから、面白く伝えていくという工夫が大事だなと思います。

そのまま下に参りますと、②のところで適切な対価還元とあります。これももう繰り返しになりますが、単なる禁止のみからはただの一銭の対価も生まれないのですね。あくまでも利活用が促進されて初めて対価は生まれます。そういう視点も重要であろうと思います。

そして、③ですね。思いを尊重とあります。このこと自体には何の異論もない。ただ、思いを尊重というだけではやっぱり解決には恐らくつながらない。仕組みに解決させないと駄目ですね。ジェフ・ベゾスではないけれども、善意は役に立たない。仕組みだけが解決する。

その意味で、菅委員もおっしゃったクリエイティブ・コモンズの活用とか、あるいは倉田委員もおっしゃった経験とか、そういう仕組みによって解決をしていくということが重要かなと感じました。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございました。後藤委員、どうぞ。

【後藤委員】  前もお話ししたかもしれませんけど、例のファスト映画というのがこのコロナ禍の中でかなり人気を博しまして、その視聴者というのがZ世代だったということで私非常にショックを受けた思いがあります。いわゆる彼らは情報過多の中で、いかに素早く情報を処理するかということに非常にたけているわけですね。やはりそれが私たちと違いまして、今や本当に赤ちゃんのときからスマホであやされているという環境があるわけですね。これに対してどうやって著作権の大切さを教えるかということは非常に難しい問題であります。

そしてお話に出ているように可視化ができない。啓発の結果の可視化ができないというのは非常に難しい部分であろうかと思います。

やはりこの中できっかけとしてあるのが、スマホですね。スマホは今中学生から教育するのかもしれませんけど、昔高校生であったんですけども、警察の防犯教室ですとか、学校の教室でスマホの利用の仕方。ただ、これも教育しているわけなんですけども、いじめ問題、ポルノ問題、出会い系とか、そっちがプライオリティーがどうしても高くなっちゃうんですね。ここに対して著作権が入れられれば一番いいんでしょうけども、それもなかなか私たちの努力が不足しているという点は否めないと感じています。

今後どうやっていくかというのは、やはり地道にやっていくしかない。文化庁さんがおまとめていただいたものを地道にやっていくしかない、長期的にやっていくしかないというのが1つだと思います。

それとやはりコアとなる団体を育てていかなきゃいけないと思っています。手前みそながらCODAは蓄積もあります。といいながら、CRIC、著作権情報センターですとか、それとか今、ABJ、出版のABJとかございます。この団体と連携しながら、蓄積を共有しながら、例えば、中村先生おっしゃいましたけども、政府でそういう会議があった際に、著作権としてはこういう対応しています、ぜひともこの切り口でお願いしますという基軸になる団体もつくっていかなきゃいけないかなと思っています。

ということで、すいません、私の意見でした。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。奥邨委員、どうぞ。

【奥邨主査代理】  ありがとうございます。今まとめていただいている中で、幾つか既にポイントとしては出ているんですけれども、従来の利用者視点で、これをやっては駄目、あれをやっては駄目という駄目リストを作る、駄目リストを教えるだけではない形、創作者目線の形ということが重要であるという御意見が出ています。実際にヒアリングさせていただいた中で、たしかスタンフォードのマツモトさんでしたかね、御自身がおっしゃっておられたと思いますけれども、著作物を自分が発信する側になって初めていろいろと勉強してよく分かるようになったと。使うだけの人たちに比べて私はよく分かるようになっていると思うという御意見あったと思うんですけど、まさにそのとおりだと思うんですね。

例えがいいかどうか分かりませんけども、歩行者として道歩いているだけと車を運転する立場になるというのは、大分交通ルールに対する理解も違いますし、料理食べているだけと作るようになるとでは衛生概念も違いますし、今、ティックトックとかインスタグラムとか、本当に若い人たちが簡単に情報を発信できているわけです。それから、プログラム教育をする、それから、データサイエンスの教育をする、そういう中で、これからどんどんと、著作物を作っていく教育を頑張りましょうとなっているわけですから、教育する、啓発するというのも、単に利用する場面とかの関係だけではなくて、全てのコンテンツを創作する試みの中で、創作者目線からの教育啓発ということも必要だと思います。

さらにそういう点でいうとちょっとやっぱり心配なのは、どっちかというと、今、小中学校の学生相手みたいな話ばっかりなっていると思うんですけども、もっと重要なのは、先ほど菅先生もおっしゃっていましたけども、今活躍されているクリエイターの人たち。確か、福井委員は、美術系の大学などで教えておられると伺ったことがあると思いますけども、そういう形で、今、クリエイターとして活躍されている方にもっともっと分かっていただく。それから、権利者の方、それから企業にも、著作権というと、ただ守らないといけないんだという話になってないのかどうか、適切に使っていくということが、保護と利用のバランスがあるんですよということを伝えていくという意味では、啓発先が小中高に留まるのは、ちょっと狭いなと思います。もっともっと広い目で見る。啓発なんですから、教育じゃなくて啓発なんですから、そうしていくべきだと思います。

最後申し上げると、これも菅委員もおっしゃっていましたけども、若干私の言葉で申し上げると、著作権はやっぱり私権ですから、ある著作物の利用が黒だということは、基本的には裁判所でだって簡単には結論づけられないわけですね。裁判所だって一審の判決が黒だと言ったって、最高裁まで行ったら白になるかもしれないわけで、簡単にはこれは分からないわけです。ところが、白だということは簡単に言えるんですよ。権利者が使っていいですと言えば、それは100%白なんです、どんな使い方であったって。

したがって、権利者がやはり重要な役目を持っている。だからこそ権利者に対する啓発。これは何も自由に使わせなさいということだけではなくて、どうして使ってほしい、どうしましょうということを、みんなで分かりやすいルールにしていく。それがみんなハッピーになりますよということを広く訴えていくということがやっぱり重要なんだと思います。白にできるのは権利者だけ。このことはやはり重要なんだと私は思っております。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。河野委員、どうぞ。

【河野委員】  ありがとうございます。もうほぼ議論は尽くされていると思いますけれども、私、消費者団体に長くおりまして、消費者の権利ということは常々いつも考えているところでございますけれども、いわゆる著作権というものについて、これまでの人生で、また消費者団体に属している間に真剣に考えたことがあったのかなというのを振り返ってみましても、なかなか距離感があると改めてと思っているところです。

それで、今後の普及啓発についての取りまとめは、記述どおりだと思いますし、具体的な方策もそれぞれやってみていただければと思います。重要だと思うのは、今という時代の認識、いわゆるデジタル全盛時代という点を着目しなければいけないと感じています。学校教育においては第一歩である原理原則の指導をお願いしたいと思いますけれども、著作権制度は学校で教わったからではなく、日々の経験を重ねることで、判断力として身についていくものだと思っております。著作物に触れる場面や、それから自分で発信する場面、それぞれの臨場感を持ったいわゆるOJTのようなものを繰り返し繰り返し続けることで、しっかりとした効果を上げていっていただければと思いますし、論点整理に書かれている官民の連携、それからクリエイターや各管理団体の皆様の御協力、それから流通に関わるメディアの皆さんやプラットフォーマーの参画も不可欠だと思っております。

これまでの委員の御発言のように、著作権、上手に使おうみたいなポジティブなキャンペーンが進められるといいのかもしれませんが、他方で、例えば、子供の誕生日に人気アニメのキャラクターのケーキを作ったらとっても好評だったから、じゃあ、ネットで販売をしようというような、何げない行動がどこでも可能になってしまう時代だという認識を持って、ぜひ今後の普及啓発を進めていっていただきたいと思います。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。生貝委員、どうぞ。

【生貝委員】  ありがとうございます。僕から少し加えるとしたら、やっぱり何でもネットで読んで学びたい世代なので、著作権を普及啓発する質の高いダイナミックでアップトゥデートな情報がどれだけオンラインで多くオープンアクセス可能かというのがまず前提としては大きいんだろうなと感じていて、例えば、まさに先ほど奥邨先生から名前が出たスタンフォードの松本さんにしても、末吉先生がどこでそういう著作権に関する情報を調べたんですかというふうに言ったら、いらすとやの利用規約とか、そういうのを片っ端から読んで勉強していたんだと言うんですよね。

一般的な小中高生全員に届けるというのとはまたちょっと違ったレベル感にもなるかもしれないんですけれど、ちょっとこれ持論なんですけれど、日本の著作権の普及啓発リソースで最も優れたものは間違いなく著作権情報センターが出している「コピライト」という雑誌だと思っていて、これは業界の外側の人間だから勝手なことを言うんですけれど、あれがオフラインで会員と図書館にしか配付されないのは本当にもったいないなと思っているんですよね。あのレベルの内容がオンラインでアップトゥデートにインターネットで公開されていたら、例えば松本さんとか読むんですよ。読んで学ぶんですよ。もちろん独立した団体様が出している具体的な雑誌についてオープンアクセスにすべきだとかいうのはまた難しい議論ではあることは承知しているんですけれども、まさにああいったすばらしいリソースというのがオンラインでいかにアクセス可能になるかというのが大変重要なことだと感じております。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。坂井委員、どうぞ。

【坂井委員】  ありがとうございます。皆さん、もうさんざんおっしゃっている、何々やったら駄目ですよというんじゃなくて、使いやすくするような教育というか、啓蒙ですね、というところは非常に重要だと思います。その意味で、ホワイトリスト、これはちょっと文化庁さんには少し攻めた形というか、で作ってほしいなと思っています。具体的に例えば、ユーザーとして、これっていいのか悪いのか分からないって、それは権利者に確認を、引用じゃなければ確認を取らなきゃいけないんですけれども、やっぱり引用って非常に難しくて、例えば本の批評をブログにアップするときにその本の表紙を載せていいのか、載せちゃいけないのかとか、幼稚園のお遊戯で振りつけやっているやつをユーチューブにアップしていいのかとか。この間知財高裁のBL同人事件ありましたけれども、判決、パロディーとか2次創作とかどこまでやっていいのかという、そういうところ、もしこのホワイトリストというものに何らか書けるのであれば、逆にそういうことが載らないと、これは著作権法上駄目なんだとやっぱり思ってしまうと感じています。

それから、福井先生がおっしゃっていた著作者の思いを尊重という文脈はちょっとどうかなというふうに私も思いました。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょう。

よろしいですか。

ありがとうございます。その他、全体を通して何か御発言ある方おられますか。

よろしいですか。

活発な御議論ありがとうございました。ほかに特段ございませんようですので、本日はこのくらいにいたしたいと思います。

最後に、事務局から連絡事項ありましたらお願いします。

【小倉著作権課長補佐】  次回の本小委員会につきましては、11月15日、15時からを予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございました。

それでは、以上をもちまして文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第6回)を終了とさせていただきます。本日はありがとうございました。

―― 了 ――

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