文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第7回)

日時:令和3年11月15日(月)

15:00~17:00

場所:オンライン開催

議事

  1. 開会
  2. 議事
    • (1)簡素で一元的な権利処理について
    • (2)その他
  3. 閉会

配布資料

資料
簡素で一元的な権利処理方策について(中間まとめ)(素案)(310KB)
参考資料1
第21期文化審議会著作権分科会基本政策小委員会委員名簿(135KB)
参考資料2
第21期文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第1回~第6回)における委員意見の概要(1.1MB)
参考資料3
関係者からのヒアリング(第2回~第5回)における意見の概要(2.3MB)
参考資料4
第21期文化審議会著作権分科会基本政策小委員会の今後のスケジュール(162KB)

議事内容

【末吉主査】  ただいまから、文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第7回)を開催いたします。

本日は、御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、基本的に委員の皆様にはウェブ会議システムを利用して御参加いただいております。皆様におかれましては、ビデオをオンにしていただくとともに、御発言いただく際には、御自分でミュートを解除して御発言をいただくか、事務局でミュートを解除いたしますので、ビデオの前で大きく手を挙げてください。

議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照しますと、特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方々にはインターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところですが、特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉主査】  ありがとうございます。では、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方々にはそのまま傍聴いただくこととします。

それでは、事務局から配付資料の確認をお願いします。

【小倉著作権課長補佐】  配付資料につきましては、議事次第にあるとおりでございます。

以上です。

【末吉主査】  それでは、議事に入ります。本日の議事は、議事次第のとおり、(1)、(2)の2点となります。

早速、議事1の「簡素で一元的な権利処理について」に入りたいと思います。本件につきましては、これまでの議論やヒアリング、パブリックコメントの御意見を踏まえて、中間まとめ素案を事務局に用意いただいております。資料1について、事務局より御説明をお願いいたします。

【小倉著作権課長補佐】  それでは、資料「簡素で一元的な権利処理方策について(中間まとめ)(素案)」を御覧ください。

こちらの中間まとめの素案につきましては、「Ⅰ.問題の所在及び検討経緯」、「Ⅱ.検討結果」、「Ⅲ.まとめ」という形で構成しております。

まず1ページ目、「Ⅰ.問題の所在及び検討経緯」の「1.はじめに」のところでございます。こちらは7月の大臣諮問、その後のヒアリング等の照会のうち、3パラグラフ目、本中間まとめは、上記諮問のうち、簡素で一元的な権利処理方策と対価還元について、及びDX時代に対応した著作権制度・政策の普及啓発・教育について、一定の方向性を取りまとめたものであると位置付けております。

「2.問題の所在と背景」につきましては、これまでの諮問と政府の計画等になりますので、説明は割愛させていただきます。

3ページ目をお開きください。「3.検討経緯」といたしまして、本政策小委員会の議論以前の著作権分科会での議論も含めて紹介して、まとめております。こちらにつきましても個別の説明は省略させていただきます。

4ページ目を御覧ください。「4.諸外国のいわゆる拡大集中許諾制度の導入について」とございます。今回の審議会でもドイツの状況等、幾つか委員から御意見、御説明をいただいたところでございます。それに加えまして、文化庁著作権課のほうで把握できました情報を基に、(1)北欧諸国、(2)EU、(3)その他と、幾つか追記をしてございます。こちらも参考いただければと思います。

続きまして、7ページ目を御覧ください。「Ⅱ.検討結果(目指すべき方向性)」としております。

まず、「1.簡素で一元的な権利処理について」です。

「(1)いわゆる拡大集中許諾制度を基にした簡素で一元的な権利処理が可能となる仕組みの実現」と題しておりますが、こちらの1パラグラフ目では、簡素で一元的な権利処理について、権利処理コストの低減、適法利用の促進、また、これまで利用されてこなかった著作物等の利用の促進による新たな対価還元の創出といった期待をまとめております。2段落目では、拡大集中許諾制度の導入について、ワンストップでの権利処理、スピーディーな権利処理といったメリットの紹介、また諸外国の状況を簡単にまとめております。

3つ目のパラグラフ、「このため」というところですが、これまでの審議会で、合意を得つつ検討を進めてきた留意点として、クリエイターの意思、許諾権の尊重、ライセンスビジネスに悪影響を与えないようにすること、安心して著作物等を利用できるようにすること、また管理運営コスト、持続可能な仕組み、このような留意点を紹介しておりますが、これらを踏まえ、実現を目指すべき方向性としては次のとおりとなるというところで、その次のパラグラフで、小見出し「目指すべき方向性」と続いております。

こちらですが、分野を横断する一元的な窓口を創設し、分野横断データベース等を活用した著作権者等の探索等を行い、著作権者が明確な場合は案内等を行います。また、分野横断データベース等に権利情報がなく、集中管理がされておらず、窓口による探索等においても著作権者等が不明な場合や、著作物等に権利処理に必要な意思表示がされていない場合、著作権者等への連絡が取れない場合、または連絡を試みても返答がない場合等について、新しい権利処理の仕組みを創設し、著作物等を円滑かつ迅速に利用できるようにするというものでございます。この「著作物等」には注釈をつけておりますが、いわゆるアウトオブコマースを含めております。

この新しい権利処理の仕組みとしては、いわゆる拡大集中許諾制度のように、窓口組織または特定の管理事業者が許諾に相当する効果を与えることや、窓口組織への申請や十分な使用料相当額の支払いをもって利用または暫定利用を可能とすること、あるいは窓口組織が著作権者等不明著作物に係る文化庁長官への裁定申請手続を代行することなどが考えられるとまとめております。

次の8ページ目を御覧ください。これによりまして、著作物等を利用する際の著作権者等の探索に係るコストは最小化されるとともに、これまで必ずしも利用につながらなかった、インターネット上のいわゆるUGCコンテンツの多くに見られるような、意思表示がなかったり、連絡が取れなかったりする場合の権利処理が可能となります。また、いわゆる拡大集中許諾制度に対する懸念点として示されていた、ライセンス市場等の既存ビジネスへの影響や、集中管理率が低い我が国における実現可能性という点からも、一定程度、克服が可能になると考えられます。さらに、分野を横断する一元的な窓口の創設や分野横断データベースの構築・拡充は、今後生じ得る新たな利用場面に柔軟に対応できる、いわゆる拡大集中許諾制度の導入にも資するものと考えられます。

その次の「なお」のパラグラフにつきましては、簡素で一元的な権利処理が想定される場面について、これまでの議論の場で出てきたものを掲げておりますが、デジタル化や技術革新が進む中、今後も必要とされる場面が増えていくことが考えられるということで、少し幅を広げた書き方にしております。

続きまして、(2)以降は、今まで述べたものの各論になります。

まず「(2)分野横断データベースの構築」でございます。こちらについては、前回の論点整理でまとめさせていただいたものをベースに、前回の御意見を含めて、少し追記をしております。追記したところを中心に御説明しますと、9ページ目、上から3つ目のパラグラフです。「なお、著作権法第47条の5の効果的な活用も考えられる。」といった点を追加させていただいているとともに、次の次のパラグラフ、こういったデータベースを推進するための国の支援の一環として、「例えば、本年11月より経済産業省による調査研究が実施されるが、引き続き、調査研究事業の実施等の支援の在り方についても、検討が行われることが望ましい。」というところを追加させていただいております。

また、「(3)集中管理の促進」についても、これまでの議論、資料のとおりの記載としております。

続きまして10ページ目、「(4)分野を横断する一元的な窓口組織による新しい権利処理の仕組み」の各論についてでございます。冒頭の第2段落からは、従前のとおり、利用者が直接、個別の著作権者等に許諾を得ることを原則としつつも、例えば、複数の著作権者等が想定される場合、著作権者等の探索が必要となる場合に、利用者のニーズに応じて、この分野を横断する一元的な窓口組織を活用した権利処理の在り方について、フロー図を文章に起こしております。①窓口の相談、②データベースの活用を用いた探索、③判明した場合は紹介を受け権利処理、④不明な場合については窓口組織が探索。

このとき、不明な場合についてですが、そちらのパラグラフにございますように、著作権者不明等の著作物に係る裁定制度の仕組みがございますが、これについては、これまでのヒアリングや審議においても、その手続等の煩雑さの御意見がございました。また、著作権者等が判明し、連絡を試みても返答がない場合等につきましては、利用の途が開かれていないところでございます。このため、新しい権利処理の仕組みとして、次のパラグラフになりますが、先ほども申し上げましたデータベース等に権利情報がなく、集中管理がされておらず、探索等においても著作権者等が不明な場合や、意思表示が示されておらず、連絡が取れない場合、返答がない場合、このような場合に、新しい権利処理の仕組みに移行することによって、利用円滑化、利用可能化することができないか検討する必要があるとしております。①、②、③は先ほど申し上げたとおりでございます。

次の段落に移りますが、これまでの審議においては、著作物について、その著作権者等による意思表示がされることの重要性が指摘されております。例えば、意思表示がされることにより、利用者目線では、安心して利用ができる、またオーファンワークスとなることを未然に防止できる、③著作物等の広報・広告となり利用可能性が高まる、こういったメリットがあると考えております。この意思表示の方法としては、これまでの議論では、例えばクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの利用、インターネット上のプラットフォームを利用した連絡先あるいは利用規約の提示、こういったものが書かれておりますが、次の11ページにまたがりますが、こうした意思表示の在り方や手法については引き続き検討を行っていくべきであるとしております。さらに、意思表示の信頼性の確保や意思表示自体の保護についても、この新しい権利処理の仕組みと併せて検討を行う必要がある。また、新しい権利処理の仕組みについて、著作権者等の意思等を尊重するための簡易で分かりやすいオプトアウトの仕組みを検討する必要があるとしております。こうした意思表示の重要性については、著作権の普及啓発においても強調されることが必要であります。これにつきましては、また後半で説明申し上げます。

「なお」としておる段落でございますが、分野を横断する一元的な窓口組織には一定の管理運営コストが生じると考えられます。このため、この創設に当たっては、分野横断データベースの活用等による管理運営コストを最小限にする工夫や、探索支援、権利処理支援に伴う手数料収入等、持続可能な仕組みとすることが求められるという記載を併せて追加しております。

「(5)現行の著作権者不明等の著作物に係る裁定制度の改善」です。これにつきましては、これまで大きな異論がないところでして、前回の論点整理と同等の記述としております。

「(6)その他」を御覧ください。その他につきましては、まずUGCについてです。UGCは、この全体の議論の中で併せて検討していきましょうというところになりましたので、こちらの「その他」に移して記述を行っております。

次の12ページ目を御覧ください。上から6行目から始まるパラグラフですが、保護期間についてです。保護期間がなかなか不明で、円滑な利用を妨げているケースがあるというお話もありました。これらを解決することは著作物等の利用円滑化に資するものと言えます。こちらにつきましては、その下、例えばということで、著作者の没年不詳等の場合に、保護期間の起算点となるその没年を推定させる仕組みの検討なども考えられるといった例示をしております。その次、なお書きでございますが、先ほどの権利情報データベースの構築や充実、こちらに保護期間に係る情報を併せて入れていくことで、一定程度解消することも考えられるのではないかとしております。

さらに次のパラグラフ、「また」のところです。複数の著作権者等のうち一部の者の許諾が得られず、利用に至らないコンテンツの利用円滑化についても議論がございました。このうち、複数の著作権者が全員見つからなくて利用に至らない、一部の方のみが著作権者不明になっている、こういった場合については、先ほどの簡素で一元的な権利処理により一定の解決が図られると考えられます。

最後のパラグラフ、「そのほか」というところにつきましては、新しい技術の動向を見据えつつ、運用面や制度面での検討を行っていくことが重要とまとめております。

続きまして、12ページの下半分の「2、DX時代に対応した著作権制度・政策の普及啓発・教育について」でございます。冒頭のパラグラフの最終行に示しておりますように、普及啓発・教育の在り方もDX時代に対応したものである必要があるとしております。

「(1)の普及啓発に関する取組の現状」につきましては、前回会議で詳細に説明しておりますので、説明を割愛します。

13ページを御覧ください。「(2)の今後の方向性」ですが、前回の会議で、かなり活発な御議論、御意見をいただいたところでございます。それを踏まえまして、事務局にて、全面的にこちらの内容を差し替えて整理しております。

具体的には、「今後の方向性」の3段落目「このため、これからの著作権の普及・啓発や教育に当たっては、次のような観点で検討を進めてはどうか。」というところで、①どうすれば適法に利用できるか。②クリエイター目線での普及啓発、例えば意思表示の大切さや、利活用により初めて対価が生まれること、また集中管理といった対価還元の仕組み。③著作物等の利用について、適法と断定することができるのは著作権者等であることを踏まえ、著作権者等や企業の意思表示や取組。④青少年のインターネット利用に関する取組や法教育等、関連する分野、民間組織と連携した普及啓発。丸5番、若い世代から大人まで、日常的な著作物等の利用場面での普及啓発、こういった観点をまとめております。

次の14ページを御覧ください。これらについて具体的に考えられる方策例として、前回事務局から提示したものに加えまして、各委員からアイデア、御意見賜りましたものを、それぞれの観点に基づいて、便宜的に整理しております。例えば①につきましては、ホワイトリストの作成であるとか、学校現場での取組、著作物の利用や創作物を発信したり、あるいは学ぶだけではなくて実践できる、そういったものを記載しております。

②クリエイター目線のところでは、先ほどの観点に併せまして、しっかりと自分の権利を守りながら、著作物を利用してもらうためにできることについての啓発であるとか、③著作権者等や企業の意思表示や取組例として、例えば2つ目のポツには、販売促進用の資料やキービジュアルといったコンテンツの二次利用について意思表示を明確にすること。丸4番につきましては、青少年のインターネットの適切な利用に関する教育及び普及啓発との関連。⑤につきましては、各利用場面における著作物等の著作権等の普及啓発、こちらについてまとめております。

16ページを御覧ください。「Ⅲ.まとめ」としております。

第1段落目ですが、1の簡素で一元的な権利処理について、及び2の普及啓発、これらはいずれも著作物等の利用円滑化を一層進め、新たな対価還元の創出につながるものであり、その実現に向け、総合的に取り組んでいくべきであるとしております。

2段落目、一方で、新しい権利処理の仕組みの実現に当たっては、法制的課題や国内法制、条約との関係など、さらに詳細な議論が必要である。このため、本中間まとめで示した方向性を堅持しつつ、その実現に向けての法制的課題を引き続き議論すべきであるとしております。

3段落目、あわせて、権利情報データベースの構築や一元的窓口機関の創設等の環境整備について、関係省庁の支援を得つつ、速やかに進めていくことが望まれる、このようにしております。

最後、イメージ図をつけておりますが、前回との違いは、アウトオブコマースについて、新しい権利処理の仕組みに入り得るところを明記させていただきました。

事務局からの説明は以上でございます。

【末吉主査】  ありがとうございます。ただいま説明いただいた資料1について、3つのパートに分けてこれから議論をしたいと思います。

まず、「Ⅰ.問題の所在及び検討経緯」について、ページで言うと6ページまでで御質問、御意見を承りたいと思います。いかがでございましょうか。特にございませんでしょうか。

後で、また思いつかれたら手を挙げていただければ。取りあえず先に進ませていただきます。

それでは、今度は「Ⅱ.検討結果、対応の方向性」のうち、「1.簡素で一元的な権利処理について」、ページで言うと、12ページまでの部分で、御意見、御質問、いかがでございましょうか。

坂井委員、どうぞ。

【坂井委員】  事務局の方、まとめていただきありがとうございます。私のほうから2点、お願いしたいと思っています。

まず、新たな窓口組織についてですが、ヒアリングだと、テレビ局はあまり乗り気でなかったような気がしていて、ぜひテレビ局に使ってもらわないと意味がないと思っています。また、そのニーズを、テレビ局含めて聞いていただきたいなというところと、そういう権利者だけではなく、ユーザー側もこの組織の中に入ることを検討してほしい。

もう1点、データベースについて、今回は明示をされておりませんが、データベースをコンテンツ単位でつくるのか、それとも、個人や団体単位でつくるのかというところが肝になると思う。個人的には、個人でつくったほうがいいのではないかと思っていて、例えば、今、UGCとか考えると、ピクシブで、例えば100個絵を描いていますとか、写真家さんがブログにいろんな写真を載せていますとか、そういったのは、じゃあそれ1つずつにコンテンツIDを振っていくのかというと、それって現実的ではない気がしています。データベースには、基本的にはユーザー単位で、その人が、「私としてはこういうふうに使ってほしいですよ」、CCなのか何なのか分からないですけど、そういうようなものや複雑なものであれば、連絡先を載せて、直接交渉できるようなものがいいのではないかと思っています。

これは実際、権利者側は、そのデータベースを、自分の情報、自分の連絡先やCCの情報というものを常に最新にアップデートしておけばいいし、使いたい側はそのデータベースにアクセスをして、CCを見るなり、その人に連絡をするということで、ある意味、そこに書いてある連絡先に連絡しても連絡がつかなかったというのは、一応、ユーザー側としてやれることはやったということの一つの証明にもなるので、そういったものがいいのではないかと思っております。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。

河野委員、どうぞ。

【河野委員】  発言の機会を頂戴してありがとうございます。今回御提案いただきました中間取りまとめに関しましては、先だって行われた勉強会でのブレーンストーミングやパブリックコメント実施など、広く社会との対話を行った上で進めてきたものでございまして、まとめられた内容に賛同いたしたいと思っております。詳細については、それぞれ専門的な見地から、まだまだ様々な御意見があると思いますけれども、概要に関して3点、意見を申し上げたいと思います。

1点目ですが、今回の検討の重要ワードは、やはりDX時代だということです。今回の検討は、従来型の著作権についての考察と整理ではなく、デジタル技術の進展によってもたらされた川上側である創作の場の多様化と、対価還元という川下側における利用場面の多様化、複雑化への対処にほかならないと思っています。中間整理以降においても、DX時代というキーワードを関係者間で常に意識し、共有することが大事だというふうに考えています。

2点目です。次に、実現性や実行可能性という視点においても、DX時代を土台として考えますと、今回の施策実現に向けては、これまでの霞が関の所掌業務の枠を超えて、例えばDXを主導するデジタル庁や経産省の参画が、必須ではないかと認識しています。ぜひ関係省庁との連携協働をしっかりと視野に入れた形での報告としていただければと思います。

3点目は、実現と同時に、持続可能な制度設計とするためには、財源の手当てと人材の確保が不可欠だと思いまして、この点についても言及する必要があると思っています。例えばプラットフォーム構築においてのプライマリーコストや、管理運営のためのランニングコスト等に関しては、事前に明確にして、予見性を持って取り組むことが重要ではないかと考えています。今回の取りまとめが絵に描いた餅で終わらないように、関係者が知恵を出し合うことで、実現するために、数字を伴った現実感のある制度で提示することが大事だと考えています。

以上でございます。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょう。

仁平委員、どうぞ。

【仁平委員】  ありがとうございます。僕のほうからUGCに関して3点、お話しさせてください。

クリエイティブ・コモンズのお話ありましたが、コモンズに書かれていることの信頼性をどう確保するのかが1点目です。うそを書く人間もいますし、悪意を持っている人間もいますが、これに対して現状、ネットの中では、割と相互監視的な、お互いがお互いを監視するみたいなものが上手に働いていたりする場合があります。もちろんこれが悪い方向に行くこともありますが、例えば僕が「千本桜」の曲を、全く同じものを作って、僕が作りましたと言っても、いや、それ違うだろうとみんなが言うということですね。こういう相互監視的なことをちょっと取り入れてみるというのも面白いかなと考えています。

2つ目として、権利者不明というものをどのように判断するのか、そのプロセスを書くことが大事だと考えています。以前、「思い出は億千万」というのがネットの中ではやって、それを僕のほうで権利商売にして、1曲、CDに入れたのと、カラオケに入れたことがあった。そのときに、事前にネットで、これを作った人とお話ししたいので、毎日この時間の間に電話くださいという話をしましたが、その間かなりの電話が僕のところ鳴り響いて、皆自分が作ったって言うわけですよ。なので、ちょっとどうしようもないような話なので、だけどそれをそのままで、権利者不明というふうにするのも駄目だなということで、当時いろいろ考えたのですが、権利者不明というのは、人によって、ちょっと判断する方向性が違ってくると、ある人にとっては、もうこれは権利者不明って決めてしまう人もいれば、ある人によって、いや、この権利者はこうやればちゃんと探せるよというのもあるので、この辺りのプロセス、ちゃんと決めたほうがいいなというのが2つ目です。

最後に、拡大集中許諾という言葉がすごくはやっていますが、UGCをやっている人たちに対して、具体的にどのようなものなのかが伝わっていないのではないかという懸念があります。毎日のように、UGCやっている人間と話をして、こういうような話もしますが、皆さんの考えているポイントが皆さんそれぞれ違うので、今回我々がやろうとしている拡大集中許諾ってこういうことだよというのを分かりやすく告知するということも大事だなと。

以上3点、お話しさせていただきました。ありがとうございます。

【末吉主査】  ありがとうございます。

太田委員、どうぞ。

【太田委員】  どうも失礼しました。1点だけ、訴訟法関係者であるからかもしれませんが、争いが生じると、結局証拠が必要になる。それを考えると、権利者不明や権利者が分かってもリーチできないということで、一生懸命調べたけれどもだめだった、十分調べたことを証拠で立証しないと裁判でも調停でもうまくいかないということを考えますと、データベースを構築した場合に、ちゃんとこのデータベースでこういう検索をしたんだという記録が残って、後に、例えば争いが生じたときに、それが証拠として使えるような、足跡みたいなものが残るような機能も必要かなと思いました。とりわけ、将来の紛争が起きそうだということを考えた場合にです。そのような機能も検討に値するのではないかということを、1点コメントさせていただきました。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。

福井委員、どうぞ。

【福井委員】  ありがとうございます。では、4点ほどのコメント、1点感想を述べさせていただければというふうに思います。

まず、「Ⅱ.1.(1)」の冒頭の標題についてですが、ここに(1)で、いわゆる拡大集中許諾制度を基にした簡素で一元的な権利処理を可能とする仕組みの実現と書いてありますが、思うに、拡大集中許諾制度については様々な意見も出まして、これは十分有望な制度だと思いますが、まだまだ検討も必要なところだとも感じます。「基にした」という言葉が冒頭にあると、いろいろと懸念を抱く方もいるかもしれません。また、実際には、この後で書いてあることは、むしろ拡大集中許諾に一直線で行こうというお話ではなくて、利用窓口の一元化など、様々なメニューをミックスさせて目的を達成しようという、私には非常に的確に思える方向性が記載されているので、それを反映すべく、例えば「拡大集中許諾制度などの簡素で一元的な権利処理」などという言葉に改めてはどうかと思いました。

それから、次の「(目指すべき方向性)」について、これは感想で、どう変えてくれという話ではありません。これまでの方の御意見にもあったとおり、例えばここでは、権利情報が不明確な場合、あるいは意思表示がされていない場合や連絡が取れない場合などに、ある権利処理の仕組みを創設しようという方向性が示されていて、大変有望な方向性だと思いますが、恐らく今挙げた3つの場面いずれも、実際の制度をつくるときには、多義的な概念が含まれているため、より明確化が必要になると感じます。

それを今ここで明確にすべきだという意味ではなく、その明確化していく過程で、想定されている利用法に応じて、必要な条件についてグラデーションが必要になるかもしれないなと感じました。例えば過去の雑誌や学術的な機関誌について、そのデジタル復刻をしたいという御相談が非常に現場では多いんですね。そういう場合は、潜在的な権利者が、場合によっては1つの冊子で100名以上に及ぶこともあるわけです。その全てについて、ただ単に名前が分かるというだけで全てと連絡を試みろというふうに言われたら、多分実際に現場はやれないと思う。そういう場合と、それから、例えばこの1つの作品について大規模な商業利用をしたいですという場合では、恐らく求められる条件や行為の程度は違うのではないかと思う。これは前回も少し議論で出たと思いますが、視点として持ってもいいのではないかと思います。

あとは具体のところで、(2)以下が各論というふうに教えていただいたので、(2)以下が各論であるという明記があってもいいかなと思いました。

また、(2)の最後です。権利情報データベースについて、調査研究の実施等の支援を行うという表現がある。これではやっぱり、まだまだ不十分だと思います。河野委員の御意見にもありましたが、当初においては、採算が取れるはずがありませんので、国の十分な支援なしには、絶対無理だと感じます。そのことが、自分たちだけでやれと言うのかという権利者団体の御不安にもつながっていると思うので、ここを少なくとも「調査研究事業の実施等を含む十分な支援」ぐらいの言い方はやっぱりしていただくのが良いのではないか。

最後に(6)です。保護期間について記載を入れていただきまして、ありがとうございました。没年不詳の場合の推定規定、非常に重要ですが、もう一つ、古い映画の著作物などですと、旧著作権法からの経過規定がありまして、著作者の没年から38年という計算が必要になりますが、著作者が誰なのか、厳密には分からないのです。全体的形成に創作的に寄与した者というのが法律の定義ですけれども、現場を見ないと分からないですね。現場を見るのはもう不可能なので、古い映画の著作物等についての起算点の推定規定。具体的に言うと、もう監督の没年とするのが現実的だと思いますが、例えばそういう起算点の推定規定もここに記載をいただいたらどうかと思いました。

長くなりましたが、以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。

今子委員、どうぞ。

【今子委員】  ありがとうございます。今回目指すべき方向性として、おまとめいただいた内容で非常にいいなと思っております。

デジタル化が進んで、コンテンツ創作の機会が非常に広がっているというのはもちろん言うまでもありませんが、一昔前と全く異なった状況でして、プロとアマという区別ももちろんないですし、それから、我々が全然知らないような、様々な新しいタイプのコンテンツ、著作物がどんどん日々無数に生じている状況でして、複雑な、ある意味世界が広がっているとイメージを持っています。そのため、DX時代というか、昨今の権利処理というのは、単純に、1個のデータベースでいろんな著作物を登録したらいいだとか、そこで情報を調べて見つけられるとか、権利者に連絡、リーチできるとか、そういった単純なやり方ではやっぱり不可能だと思います。

こうした背景をしっかり踏まえて、今回、利用者側の課題や権利者側の課題、その他課題、それぞれ総合的に検討をして、方策を過不足なくおまとめいただいたのではないかと思っております。これら一つ一つは、そんな簡単なものではもちろんありませんが、関係者をうまく取りまとめて、みんなが協力すれば現実的に進めていける方向性を示せたのではないかと思っております。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。

生貝委員、どうぞ。

【生貝委員】  非常に重要なおまとめをいただきましてありがとうございます。

先ほど河野委員がおっしゃった、別の様々な政策の枠組みとの連携というのはすごく重要だと思っておりまして、ちょっと別の角度からのコメントになりますが、僕自身、本業としては、いわゆる「データ活用政策」、産業データや医療データなどの様々なデータをどううまく活用していくかを研究している。その視点から見たときに、著作権政策の話ではありますが、他方でデータ活用政策の話にほかならないのだと改めて感じていて、データ政策の文脈だと、ヨーロッパのほうで2020年2月に欧州データ戦略というのが出されて、その1つの大きな肝というのが、まさに様々な、製造業ですとか農業ですとか医療ですとか、そういう分野ごとのデータが最終的にはつながっていくような「欧州共通データスペース」という仕組みを構築していこうと。その共通データスペースというのは、まさしく法制的な枠組みと、技術的な標準化、そしてインフラストラクチャーの整備というところも含めて、まさにデータのオーナーが、自らの意思に基づいて、各種の法令を守ることはもちろんとして、契約的な枠組み含めて、安心してデータを使える、そして広く共有できるための法的、技術的な枠組みというものを指すものであります。

このデータスペースの枠組みは、最初は、製造や農業など、比較的著作権の対象にはならないようなデータというのを中心として議論されてきましたが、このような著作物、メディアに関わるデータを完全に別に取り扱う理由ってどこにもありまえん。そこで、先週には、そのデータスペースの一環として、欧州文化遺産データスペース、日本でいうデジタルアーカイブのデータスペースを、データ戦略の一環としてつくっていこうと。これ自身は比較的、著作権保護の対象になるものは少ないですが、去年の12月には、欧州メディアアクションプランの中で、メディアデータスペース、欧州メディアデータスペースというものの構築が方向性として示されているところで、そこではまさしく、知的財産、コンテンツ、あるいはコンテンツに関する共通のデータスペース、標準化を含めた仕組みをつくっていこうといったような、まさにヨーロッパで最近行われてきたこの文脈での議論というのがここに収斂していくのだと考えている。そのようなデータスペースの構築の中に、ホライズン・ヨーロッパですとかデジタルヨーロッパなんかの非常に大きなファンドを入れることで、まさしくこれからのデータ流通の基盤というのを各領域の中でつくっていこうとしている。まさにこのような基盤は国がしっかりお金を出さないとつくっていくことができない。

この文脈でデータというと、大きく2つくらいあって、1つは、まさに権利情報を含むコンテンツに関するメタデータ、2つは知的財産法で守られるようなデータ、つまりいわゆるコンテンツ、これをどう活用していくか。ちょっとディメンションが違うのですが、どっちにしてもデータであり、さらにヨーロッパのほうですと、様々なメディア、プログラムなんかをつくる場合の視聴データとか、そういうものをどうやって共有していくかということも大きな1つの柱にされていますが、これらを完全にばらばらにやっていても仕方ないので、しっかりとつながるように、ほかともつながるようにつくっていく。

このようなところも御参照いただきながら、まさに日本でも、官民の持つ様々なデータをしっかり共有していくためのインフラをつくっていこうということは、デジタル庁など、今非常に様々、国レベルで打ち上げられている大きな政策枠組みの中で、まさにデータ流通基盤というのが最も重要な役割を果たすものとして期待されているところでございますけれども、まさに日本のそういった文脈の中での今回のイニシアチブというのがどのような位置付けと役割を果たすべきなのかというということは、ここですぐ答えが出る問題ではないと思うのですが、ぜひ国際的な状況なども御覧いただきながら、意識していただけると非常によいのかなと感じているところです。

少し長くなりましたが、以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。

奥邨主査代理、どうぞ。

【奥邨主査代理】  ありがとうございます。簡単に、3点ぐらい申し上げたいと思います。

まず1点目は、7ページのところの(1)の先ほど福井委員からお話があった見出しのところですが、お話を伺って、なるほどとも思ったんですけれども、私自身は、(1)の下のパラグラフの2と3をうまく表しているのかなと思って読んでいた感じがありますので、仮に変えられるとしても、今のニュアンスとあまりまた離れると、今度はまた何か、第2、第3パラグラフで言いたかったことがうまく伝わらなくなってしまう恐れもあり、審議に参加している人と一般の方が読むのと、いろんな読み方あると思いますので、いろんな御意見を踏まえていただければいいのかなと思っています。

それから2点目は、9ページのところで、これはもう中身、全くそのとおりだと思ますが、47条の5が出てくるところですが、いきなり47条の5だけ出ると、何にどう活用するのかがよく分からないので、データベースの構築とか運用とか何か、そこの部分でというふうな例がついていたほうが分かりやすいのではないかなと思いました。

それから最後は、先ほどの、これも福井委員からお話のあった没年不詳の場合の保護期間の起算点の話ですけれども、ほかにも、例えば共有になっていて、共有者の1人が、連絡がつかないとかいうとき。共有の場合は最後に死んだ人から起算するということになっているわけですけれども、その最後の人が誰か、連絡がつかないということになると、死んでいるのか生きているのかみたいな話になると、これもまた使えなくなるわけで、そういう意味では、起算点自体を推定したりとか一応決め打ちしたりとかいうようなことができると便利なケースはいろいろほかにもあると思いますので、少しここは、せっかくのアイデアになっていますので、膨らみを持っておいてもいいのかなというふうな気はいたしました。まだいろんな具体例が出るのかもしれないなと思って、伺っていました。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょう。

前田委員、どうぞ。

【前田委員】  ありがとうございます。

まず、11ページの9行目のところで、一元的な窓口組織の管理運営コストについての言及があるのですが、その中で、探索支援、権利処理支援に伴う手数料収入が収入源として挙げられております。しかし、この探索支援、権利処理支援に伴う手数料収入等が、直ちに窓口組織の管理運営を賄うことができるだろうかという疑問が残ると思います。この窓口組織は公共的、公益的な性質を持つと思いますので、公的資金の投入が検討されるべきではないかと思います。

もう1点、12ページの15行目でございますが、複数の著作権者等のうち一部の者の許諾が得られず、利用に至らないコンテンツの利用円滑化について、確かに、お書きいただいているように、簡素で一元的な権利処理によって一定の解決は図れるとは思うのですが、仮に100人の権利者がいて、1人が反対をし、99人は利用を望んでいるという場合に、1人の人の反対で利用ができなくなるという問題は残るという気がいたしますので、その点についての検討も必要ではないか。ただ、今申し上げたこの問題は、簡素で一元的な権利処理の問題ではなくて、別個の問題だと思いますので、別の問題として引き続き検討することが必要になるのではないかと思います。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。

後藤委員、お願いします。

【後藤委員】  後藤でございます。まとめていただきまして、事務局の皆様、どうもありがとうございます。

私、ちょっと内容的なものではないんですけれども、文書の内容じゃないんですけれども、データベースに関しまして、ちょっとCODAの報告と、お願いをさせていただければというふうに思います。

まず報告として、CODAは、国際連携の強化を目的に、9月10日付けで、中国においてCODA北京支店という登記を済ませました。これは2017年に施行された中国外国非政府組織国内活動管理法に基づきまして、国家版権局に申請して許可を得て、北京市公安局に登記をしたものです。ちなみに、この法律によって国家版権局が許可した外国法人の第1号ということであります。これによって来年、2022年の1月1日から、中国の事業年度に合わせて事業をスタートしようというふうに思っています。主な事業が4つです。日本の著作権に関する著作権の証明、いわゆる著作権の認証業務というやつですね。それとCODA会員社の権利保護、それと著作権法の調査・広報、それと中国との著作権分野における交流と協力です。国家版権局の指導に基づき登記されています。

最初の認証業務につきましては、既に中国で外国著作権認証機構として許可を得て、本邦においても登記がされている日本レコード協会さんの分野以外の日本の著作物に関する証明業務ということになります。これは国家版権局の強い要望に基づいています。

ちょっと長くなりますが、次に権利保護ですが、現在も実務処理として行っていますが、中国では、公安局等が著作権侵害の摘発を行った際、日本のコンテンツが存在した場合、その犯罪を立件するに当たりまして、著作権の帰属と被疑者に対する許諾の有無と、この2点について照会を受けています。オンライン侵害の場合、刑事訴追基準で500の被害事実が求められるわけでありますけれども、この照会を短期間に回答しなければいけないと。日本の映像著作物の場合は製作委員会方式が主流でありまして、なかなかこれが難しい部分があります。

ここで、今のデータベースの話に関しまして、関連ですが、CODAは中国からこれまで照会をかなり受けていますので、映画の著作物に関する帰属のデータは蓄積しています。しかし今後として、登記の事業内容にあります映像以外の日本の著作物全体に、この認証のジャンルが拡大されて、要求されるということになりますと、今皆さんで議論されています一元的な窓口やデータベースというものが構築され、運用されていれば、いわゆる権利保護の観点で非常に有益であるというふうに私は思っています。期待をさせていただきたいと思います。

今、前田先生からもありましたけれども、分野を横断する一元化窓口の設立に当たりましては、やはり人、物、金の負担が当然のことながら必要になるというふうに思っています。ここは皆さんからの知恵と知見で議論を行いまして、その結果として、やはり、ちょっと虫のよいで恐縮でありますが、国のリーダーシップ、いわゆる国家プロジェクトとして、国の資金で運営していただかないと、私は当面動かないというふうに思っていますので、このデータベース、権利保護も含めまして、ぜひとも国の御支援を頂戴したいというふうに思います。

長くなりましてすみません。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょう。

【井上委員】  すみません、井上ですけれども。

【末吉主査】  どうぞ。

【井上委員】  今回のまとめで、今後の方向性が明確になったと考えています。具体的な方策として挙げられている一元的な窓口組織による権利処理の円滑化に大きな期待を寄せております。簡素で一元的な権利処理という目的について、誰の目から見て簡素で一元的でなければいけないかといえば、ユーザーだと思います。表から見て窓口が1つであれば、ユーザーにとっては非常に分かりやすい仕組みになる。その後ろ、バックで、例えば拡大集中許諾ですとか裁定ですとか、様々な法制度の組合せがあるとしましても、ユーザー側から見るとわかりやすい仕組みになれば目的は達成できたといってよいと考えています。

窓口組織については、個別の権利処理に関してサポートすることはもちろん、それに加えまして、ニーズの拾い上げにも重要な役割を果たし得ると思います。資料8ページにあるように、ヒアリングやパブリックコメントで様々なニーズを集めてきたわけですけれども、本当にそれに尽きるのかどうかよく分からないので、一元的窓口で、ニーズの拾い上げを行うことが非常に重要なことになってくると思っております。

利用が希望されている著作物について、権利者不明なのかどうか、あるいは連絡がつかないのか、そういった情報がたまっていきますので、そうしたデータをその後の権利処理にもうまく活用していけるのではないかと思います。

一元的な窓口組織は立ち上げたからには、なるべく多くの利用者に使っていただくということが必要です。周知についてはいろいろ工夫をしていただきたいところです。現時点で想定される利用形態のみならず、多様な著作物の利用希望者を呼び込めるような形の周知をお願いしたいと考えています。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。

【吉村委員】  すみません、吉村もよろしいでしょうか。

【末吉主査】  吉村委員、どうぞ。

【吉村委員】  ありがとうございます。今回の取りまとめは非常によくできており、基本的には異論はございませんので、単なる感想だけ申し上げます。生貝先生や今子委員がおっしゃっていたところに近いのですけど、DX時代の著作権というものを考える際には、データの流通政策のような話も意識をしながら語る必要がある。そういう時代になってきたのだと感じております。もしかすると、今まで議論してきた著作権の中の世界に比べ、プレーヤーはもっともっと拡大するかもしれません。DX時代というものが今、キャッチフレーズ的についていますけど、これを単なる枕詞に終わらせないことが必要だと思います。その世の中の変化を意識した上で、さらなる議論を深められたらいいなと、感じた次第でございます。

今まとめられているもの自体は非常に分かりやすいと思いますし、基本的に賛成いたします。事務局の皆様は、御苦労されたと理解しております。ありがとうございました。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょうか。こんなところでよろしゅうございますか。

ありがとうございます。それでは、取りあえず先に進ませていただきます。

残ったところでございますが、Ⅱ.2の「検討結果、目指すべき方向性」のうち、普及啓発・教育についての部分でございます。御意見、御質問、お願いいたします。

倉田委員、どうぞ。

【倉田委員】  失礼いたします。本件おまとめいただき、ありがとうございました。

私からは、14ページの、①にある、2つ目の中ポツの件ですが、拡大集中許諾制度をしっかりしたものにするためには、国民全体の協力が必要不可欠だと思いますので、ここの部分はしっかりと、重要な視点であると思いました。全体的な方向性につきましても賛同いたします。

ただ、現状を申し上げますと、やはり現在の学校現場におきまして、この著作権制度の基礎について学ぶ時間というのは、もう非常に少なくて、様々な教科の中で軽く触れられる程度にとどまっている印象を受けています。つまり、著作権というものは知っているけれども、十分に基礎を学ぶ時間がないため、著作権というものを、ブラックボックスの表面的に学んでいるというのが恐らく教育の現状だと思います。例えばですけれども、義務教育の段階において、最も恐らく著作権制度が充実していると思われる中学校の技術・家庭科の技術分野においては、多種多様な内容が大量に盛り込まれている中に情報教育という分野があって、その中に著作権を含む知的財産権に関する内容があるのですが、教科書会社にもよるんでしょうけれども、見開き1ページだけとか、そういうふうなレベルでの情報なんですね。多くても見開き2ページとか、そういう状況です。新学習指導要領において著作権に関する内容の充実を図って、一定の効果を得ているとは思うのですけれども、やはり義務教育段階においては著作権の基礎というものを学ぶ時間がほとんどないと言っても過言ではないと思います。もしかしたら高等学校もほぼ同様かもしれません。

よって、本素案における今回の部分においては、情報教育としての著作権教育のやり方は変えるけれども、情報教育の一つである著作権教育の絶対量といいますか、そういうのが現段階で既に充足しているというふうにも捉えられる危険性というか、可能性があるため、やはり義務教育段階からの情報教育を学ぶ機会の充足というのはさらに必要であるということの加筆ですかね。つまり、現在ではそういうのを学ぶ時間がないので、教育の中で、この著作権の教育というものを取り入れていってくださいというふうな、何かそういうふうなアピールができる加筆というのも御検討いただけたらなと思いました。

また、学校現場以外のインフォーマルな場面においては、セミナーや動画配信によって普及啓発していると思うのですが、例えばそれに加えて一般の方が大学の講義が無料で受けられるという、MOOCというシステム、いわゆる大規模公開オンライン講座が世界中ではやっておりますので、そのようなEラーニングシステムなどをうまく活用して、学校現場、学校の学生だけではなくて、一般の方がいつでも誰でもどこでも著作権の基礎が学べるような環境の拡充、そういうのも重要なのかなと思いました。

長くなりました。以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょう。

この2ポツに限らず、全体を通じてさらに御発言があれば、どうぞ。

菅委員、どうぞ。

【菅委員】  ありがとうございます。今まで発言をちょっとこらえておりましたのが、この素案については全く、私的には問題がないと思っております。いろいろ意見も酌んでくださって、本当にありがとうございました。

素人意見ですので、ここをこうするというものではなく、これからの個別の問題について、少しお時間いただければと思います。これがちゃんとランディングできてからの話とかもちょっと混じってしまうので、発言のタイミングをはかっていたのですが、少し聞いていただければと思います。話題が飛びますが、失礼します。

まず、先ほど太田委員がおっしゃった、調べた足跡が残るという点につきましては、これはもろ刃の剣だと思います。足跡が残るということを非常に嫌うユーザーもおります。そこで、中間案としては、こういうこともあるので、今調べたということを自分でスクリーンショットを撮っておいてくださいみたいな呼びかけということも少し考えていただければ。そうすると自分の責任で、私は今ここを調べているということを記録する、それが後々証拠になるという、責任を個人に押しつけてしまうような形になるのですが、それだと問題はないのではないかという、勝手な意見でございました。

あと、福井委員がおっしゃった、100人の著者がいてという話については、私は小説家ですので、著作のことを考えると、一本一本許可を取る形式のばら売り形式と、その本を復刻する全体形式とあると思うんですね。その1人が抜けてしまうと本の構造が崩れてしまうような場合というのは大変難しいと思うのですが、これは、一人一人なのか、その本を出した出版社が幹事会社となって、責任を持って皆さんに連絡してくれるかという、いわゆる今回の一元的なものでいうところのゲートウエー方式に関わる問題だと思っています。これは本に限らず、映画はそうですね。映画は、例えば音響さんが嫌だと言ったら、その映画そのものが音なしで配信みたいな形になってしまうので、1人の反対が全体の公表をするか否かに関わってしまう問題かと思います。

これはこれからの話で、また異論もあろうかと思いますが、そういうアンソロジー的なもの、共同作業的なもの、例えばアニメでいいますと製作委員会的なもの、幹事会社というところに集約できれば、随分違うなと思っています。アニメで申しますと、製作委員会方式というのは、いろいろな会社が出資をして、出資のパーセンテージなり分野分けなりというのを、一応製作委員会で全部、権利料を頂いてから、幹事会社が分配することになっています。これはよしあしです。ですが、アニメに関わらず、いろんなもの、共同製作でした場合には、その幹事会社というものを代表としてデータベースに登録する、その幹事会社にアクセスすることによって、使えるか使えないかが即座に分かる、その後の説得とか分配とかは、その幹事会社にやってもらう、責任の分配というとそういうことになるでしょうし、これで余計に問題になる事象も出てくるかと思いますけれども、私の理想としては、あちこち当たるよりも、1社または1つの代表、JASRACならJASRAC、そういうところに当たれば全てが解決するようなところに今回の一元的なデータベースがつながっていると、簡単でいいかな、また、1人の反対だけで使えない作品というのは、その幹事会社がオーケーと言えば、あとの説得お願いしますみたいな形で、使いやすくなるかな、ちょっと無謀な論ですけれども、そういうふうにも少し思いました。

すみません、まだ続きます。先ほどの教育の啓蒙の問題です。私は、アニメーションなり、今の人気の女優さんとか俳優さんとかを出した映像を作ることを推奨しております。なぜならば、映像作品で、これはこうだよ、これはこうなっているよということをまとめることによって、教育現場が直に教育しなくても、コンテンツとして見ていただけるというメリットがあるからです。前も言いましたけど、先生がいない自習時間に見てもらうとか、先生の御負担は随分なくなる気がします。また、朝活というのがあって、朝の活動時間が低学年とか、小中学校あると思うのですが、そういう朝活の読書の時間の5分の代わりに、それを流す。今回は使う側、明日は自分が著作権者になった側、そして今の自分たちが気をつけること、3本シリーズ、朝5分ずつとかね、そういう形でやれば負担は少ないと思っております。また、それをどこかにアーカイブすることによって、一般の方々にもいつでも見ていただけるということがありますので、私は、映像作品にして、そういうアピールする作品を作るということを進めたいと思っております。

あと、このデータベースについて、仕組みには何も、私は反対することはございませんが、もう一つ、使う立場として、いずれ盛り込んでいただきたいことが、お願いがございます。それは、前にも言いましたけれども、大体のお金の目安が知りたい。高かったら使わないという選択肢というのは、アクセスする前にユーザー側が判断することです。1万円だったら使わない、500円だったら使う、そういうことは、アクセスして、そのデータベース側の手をというか、データベースですけれども、管理者の手を煩わす前に、使う側が価格によって判断することだと思いますので、幾らか分からないけれどもリーチしてみるというのは、とてもとてもとても勇気の要ることなので、どこかに、これをするならこれぐらい、丸々複製して復刻するならこれぐらい、背景として、素材として使うならこれぐらいみたいな、何かガイドラインがないと、ますます隠れて使うようになるのではないかと、ずっと前から思っていましたので、価格の提示がある程度できればなと思っています。これは使う側としての立場でした。

最後に、著作権というと、みんな本当に今、萎縮しているという例をお話ししたいと思います。私、先日から有料放送の小説講座というのをしております。有料放送の、いわゆる市民講座的なものです。ですからSARTRASさんに関わるものではなく、本当に自分で権利を探して、お願いしますといって素材を使わせていただくことになります。ここで困ったのが、1つは、誰が権利を持っているかというのが、先ほど言ったように分からない場合がある。そこの例で聞きましたら、作曲者に許諾をもらって放送をしたら、公衆放送権は別の人が、持っていたので、それが駄目になったというような話を聞きます。こういうこともあるので、やはり誰にオーケーをもらったらいいのかという窓口は、このデータベースでしっかりしておかないといけないなということは思いました。

もう一つは、私の場合、ガイナックスという自社で作ったCMを、とある会社にもう売ってしまった、だからCMの権利としてはその会社が持っているはずとして、私は使おうとしたのですが、配信業者のプラットフォームのほうが、CMは分かります。でも声優さんとか音楽とか大丈夫ですか」、怖がっているのですね。だからそれはCMである限り、もうどこで流そうと、CMとして配信したい人が全部持っていると仮定して私は思っていたのですが、今みんなそこまで怖がっているのか、それはもう使いづらいに決まっているねと思いました。そこで考えたのは、やはりこうして一元的なところで尋ね合わせたら、すぐ分かるということを啓蒙するのが大事、怖がらないでいいよ、みんな使えるよ、これは大丈夫だよ、これは幾らだよと、すぐ分かるのが大事だと思いました。

もう一つは、先ほど言ったように、誰に聞けばいいかというのは、CMにかかわらず、そこがオーケーといっても、じゃあこれは大丈夫ですか、あれは大丈夫ですか、しかもCMですから、それはこのデータベースに登録するとは限りませんよね。作品ではなくて、いわゆる商業的な、コンテンツとも言えない、部品なわけですから、CMというのは。作品か作品でないかのあわいですね。だから登録するかどうかも分からない、さあ、誰に聞こうというときにも手助けしてくれるといいと思いました。

大変たくさんしゃべらせていただきましたけれども、この案に反対するものではなく、この案を肉付けしていくに当たって必要かと思いましたので、発言させていただきました。御清聴ありがとうございました。

【末吉主査】  ありがとうございました。

畑委員、どうぞ。

【畑委員】  畑でございます。ありがとうございます。今日お示しいただきました中間まとめの素案につきましては、これまでの基本政策小委員会の議論を的確に反映するまとめだと思いますので、内容的には反対するものではございません。よくまとまっていると思います。

その上で、どちらかというと今後の検討について進め方のお願いですが、これで中間まとめが年内にまとまりまして、来年以降、先ほどの肉付けも含めて制度設計、必要な法改正の検討になるかと思うのですが、今回の中間まとめで示されました横断的で簡素で一元的な権利処理窓口について、その窓口組織の設立、あるいは分野横断型の連携型データベースの方向性が示されているわけですが、その分野横断の連携型データベースというものが実際に構築可能なのかどうか等、その実現可能性の検証というのが精緻な制度設計に入る前に必要なのではないかと思っています。

何回も申しますけれども、音楽分野は、私が代表をやっていますMINCという場で一定の集約はされておりますけれども、著作物の分野によって、それぞれデータベース化の進み具合が異なり、あるいはそういったデータベースがない分野もあるわけですね。そういったデータベースを横断的につなげていくために、そもそもそれら各運営団体等が、このような一元的な窓口にデータベースをつないでいただけるのかどうか、実際につなぐときに、はどのぐらいの経費が現実的に見込まれるのか、それによって、先ほども御意見ございましたように、幾らで使えるのかといったようなことにつながってくるでしょうし、そういった横断的な連携データベースの実現可能性、あるいはそのような窓口組織を作っていく上でのいろんな要件、条件の検討、そういった検証が今後の制度設計の議論を深めるのと並行して必要になってくるのではないかと考えているところでございます。

【末吉主査】  ありがとうございます。

中村委員、どうぞ。

【中村委員】  シャープで大きいまとめだと思います。異論ございません。最後のまとめのところが外に出ていくと思いますので、そこのところだけコメントいたします。

制度の議論は、このまとめの方向性を堅持しつつという、意味深なことが書いてありますけれども、ぜひ早く、後戻りしないように、具体設計に移っていただければと思いますが、最後にデータベースと窓口の整備を速やかに進めるという結語ありまして、これが全体の前提となるもので、最も重要だと思いますが、ここまで指摘があるように、コストや収入の設計が一番の難問で、それをクリアしないと、この報告全体が空洞化します。公的資金を確保する上でも、この中で議論していても、あるいは報告書を幾ら書いても難しくて、政策のプライオリティーを上げていく必要があるのだと、そのためにも、生貝さんが言うような大きな政策に乗っていくなどして、外に向けてこのメッセージを発するということが大事だと思います。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。

奥邨主査代理、どうぞ。

【奥邨主査代理】  ありがとうございます。簡単に一言ですけれども、先ほどから畑委員等々からお話ありましたように、今後具体化していく上で、データベース、それから窓口のお話ありましたけれども、私、著作権法の研究者としましては、今回出てきたいろんな施策については、やはり法的にかなり詰めなければいけないところもいろいろとあるということは事実だと思います。今回はあくまで基本政策という考え方でありますので、まず何をすべきかというゴールと、あるべき姿を議論してきたわけですけれども、じゃあこれを具体化する上では、法的にはいろいろと頭をひねるところもあると思います。

一方で、時間的にも急がないといけないということもあると思いますので、ぜひまたその点も、言わずもがなでありますけれども、集中して、さらに緊密な検討というのを法制面も進めていただきたいなというふうに思っております。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかに。

福井委員、どうぞ。

【福井委員】  各委員の御意見もっともだなと思いながら伺っておりました。特に最後、中村委員、あるいはそれ以前に生貝委員の御指摘にもあったとおり、大きな視点からの、しっかりとした公的補助、これがなければ、幾らこの報告書が意欲的でも、ほとんど意味のないものになりかねないという点、全くおっしゃるとおりだと思いますので、この点、賛同したいと思います。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょう。よろしゅうございますか。

河野委員、どうぞ。

【河野委員】  ありがとうございます。すみません、最終段階に入っておりますけれども、少し戻ります。

今回取りまとめの中心となる簡素で一元的な権利処理の仕組みと、そのためのシステム構築は、その存在そのもの、それからそれを実現することが、取りも直さず後段にまとめられている普及啓発や教育においても、その大きな効果を発揮することにつながると期待しております。取りまとめ案に示されたホワイトリストの開示など、様々な方策というのはぜひ実践につなげていただきたいと考えますけれども、私のような一般国民からすると、例えばデジタルプラットフォーム等への投稿や視聴の場面など、本当にOJTで知っていくということが、そういう場面が一番有効だと思いますし、併せて、先ほど報道されましたけれども、漫画BANKに情報開示命令が、アメリカですけれども、出されたという報道がありました。これは海賊版の取締りですから、これで、萎縮するところには直結しないと思いますけれども、メディアとの協働によって社会発信を強めていくという方策など、教育の現場だけに押しつけるのではなく、社会全体を活用するという考え方が普及啓発には大事だと思いますので、ぜひその点をテークノートしておいていただきたいと思います。

最後に、私も、せっかくここまでまとまったのですから、今回の取りまとめ案に、ぜひ命を吹き込んでいただきたいと思います。実現可能性に向けて何が重要なのか、まずは、このデジタル技術の最大活用というところに軸足を置いているのだというところで、この検討会の委員全員が、新たな道筋を開いていくという覚悟をしっかり持って、実現のためにもうあらゆるところに爪跡を残すのだという、そういう気持ちでこれを公開することが大事だというふうに思っています。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにいかがでございましょう。

生貝委員、どうぞ。

【生貝委員】  ありがとうございます。教育に関してちょっとだけ、附属的なコメントくらいですけれど、やっぱり著作権法、難しいので、なかなか生徒さんとか学生さんとかが、やっぱりしっかり勉強して、一つ一つの厳密な判断を自分たちでやっていくことの限界というのはあるのだろうといったようなときに、やっぱり聞きにいって教えてくれるプロがどのぐらい身近にいるかというのが現実的にはすごく重要なのだろうと。そういう意味では、ずっと言われてきたことでありますけれども、学校の先生が、全員でなくてもいいのですけれども、例えば学校に1人でも、そういったことについてしっかりと専門的な研修等を受けている方がいるかいないかだけでも全然違うのだろうと、例えば学校の枠では。

そういったときに、特にアメリカの大学なんかですと、コロンビア大学のユニバーシティーライブラリーなんかが有名ですけれど、ユニバーシティーライブラリーのスタッフが結構そういう著作権の判断に関する様々なナレッジの蓄積と共有というものに重要な役割を果たしていたりするというふうにいったときに、よく、データプロテクション、個人情報の世界だと、チーフプライバシーオフィサーは一体誰なのかみたいなことが組織の中なんかでもすごく議論になるのですけれど、例えばスクールやユニバーシティーの中でのチーフコピーライトオフィサーは誰なのか、どういうところにいるべきなのかみたいな議論もこの分野でちゃんとやっていかないと、やっていく必要があるのかなと、ちょっと感じたところでした。

以上です。

【末吉主査】  ありがとうございます。ほかにまだ御発言ございますか。

倉田委員、どうぞ。

【倉田委員】  何度もすみません、失礼いたします。先ほどの生貝委員の話を聞いて、私はそれにすごく賛同させていただきたいなと思います。特に今はGIGAスクール構想というのが走っておりまして、その中でICT支援員というのが今、4校に1人配属されるようになっています。基本的な仕事としては、ICT機器の活用・支援ですが、そのような立場の人が学校に入ることによって、学校の著作権とか、例えば誰に聞いたらいいのかとか、そういうふうな支援員がいると随分安心なことになると思いますので、何かそういったところの投げかけとか、そういったことができればいいのかなと思いました。

あと、すみません、これは本当に小さいことで恐縮なのですが、1点だけちょっと発言させていただきますと、15ページの一番下の中ポツに、SNS投稿時のアラート表示を推奨するような文があるのですが、ここがほかの部分と比べて、普及啓発教育に直接つながっていないような感じがしました。私だけでしょうかね。もちろんそのポップアップ表示とかチェックリスト表示によって著作権が身近なものになって、教育効果、つながるとは思いますが、単純に書き方だけの問題かもしれませのんで、何かそこに直接、普及啓発教育につながるような書き方のほうがいいかなというふうに思いました。もしそうでないということだったら、もう、今回の私の発言は御放念いただければと思います。

すみません、最後のまとめのときになって、すごい小さなことを発言してしまいまして申し訳ありませんでした。よろしくお願いいたします。

【末吉主査】  ありがとうございました。ほかにいかがでございましょう。よろしいですか。

ほかに特段ございませんでしたらば、本日はこのくらいにしたいと思いますが、よろしゅうございますか。――ありがとうございました。

最後に、事務局から連絡事項がありましたら、お願いします。

【小倉著作権課長補佐】  次回の本小委員会につきましては、12月2日13時からを予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。

【末吉主査】  ありがとうございました。

それでは、以上をもちまして、文化審議会著作権分科会基本政策小委員会(第7回)を終了とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

Adobe Reader(アドビリーダー)ダウンロード:別ウィンドウで開きます

PDF形式を御覧いただくためには,Adobe Readerが必要となります。
お持ちでない方は,こちらからダウンロードしてください。

ページの先頭に移動