文化審議会著作権分科会政策小委員会(第2回)

日時:令和5年12月22日(金)

14:00~16:00

場所:文部科学省東館3F1特別会議室

(オンライン併用)

議事

1開会

2議事

  • (1)DX時代における適切な対価還元についての関係者からのヒアリング(JASRAC/NexTone)
  • (2)その他

3閉会

配布資料

資料1
JASRAC提出資料(2.86MB)
資料2
NexTone提出資料(1.46MB)
参考資料1
DX時代におけるクリエイターへの適切な対価還元方策に係る現状、課題、論点(案)(485KB)
参考資料2
DX時代におけるクリエイターへの適切な対価還元方策に係る現状、課題、論点(案)関係資料(3.45MB)

議事内容

【太田主査】ただいまから文化審議会著作権分科会政策小委員会(第2回)を開催いたします。

本日は御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

本日は委員の皆様には会議室とオンラインにて、それぞれ御出席いただいております。オンラインにて御参加されている皆様におかれましては、ビデオをオンにしていただき、御発言されるとき以外は、音声はミュートに設定していただくようお願いいたします。

議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段、非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方々には、インターネットを通じた生配信によって傍聴をしていただいているところでございますが、特に御異議はございませんでしょうか。

(配信開始)

【太田主査】では、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴していただくことにいたします。

それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【白井著作権課専門官】事務局より配付資料の確認をさせていただきます。

資料1ですが、ヒアリングをさせていただくJASRACの提出資料。資料2ですが、同じくヒアリングをさせていただくNexToneの提出資料、それから参考資料1として、第1回の政策小委員会で確認された論点が掲載されている資料を参考に添付しております。参考資料2として、第1回の政策小委員会で言及のあった事項ですとか、それから本日のヒアリングで関係してくるだろうと思われる著作権等管理事業法、それから使用料規程についての資料も含んだ形で更新をした関係資料を添付してございます。

以上です。

【太田主査】ありがとうございました。

それでは、議事に入ります。本日の議事は、議事次第のとおりでございます。(1)及び(2)の2点となります。早速、議事(1)の関係者へのヒアリングに入りたいと思います。

本日は、一般社団法人日本音楽著作権協会、株式会社NexToneより、DX時代における適切な対価還元について、第1回で確認した論点に沿って、それぞれ御発表いただきます。

それでは、初めに、資料1に基づき、日本音楽著作権協会より御発表いただきます。御登壇いただくのは、常任理事の宇佐美和男様でございます。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

【JASRAC(宇佐美氏)】御紹介いただきました日本音楽著作権協会、JASRACの宇佐美と申します。よろしくお願いいたします。

私どもJASRACは、御承知の方は大変多いと思いますが、国内の作詞者、作曲者、音楽出版社などから、権利者から著作権の管理委託を受けて、演奏分野、放送分野、録音分野、配信分野など、様々な形で利用される音楽に対するライセンスを発行して、その使用料をお預かりして、権利を委託された方に分配する業務を行っている一般社団法人でございます。国内の信託者数は、作家、音楽出版社など、約2万者強になります。海外の音楽著作権団体との相互管理計画を含めて、国内外楽曲を管理しております。本日は、DX時代におけるクリエイターへの適切な対価還元策に係る論点について、当協会の考えを述べさせていただきます。

それでは、発表資料を御覧ください。1枚進んでいただきまして、スライド2ページ目になります。今回、デジタルプラットフォーム事業者のお話になりますので、まず、当協会の配信の著作物使用料の規模感について、若干触れておきたいと思います。こちらのグラフが、当協会が管理する音楽著作物の使用料の2012年度からの推移になります。過去約10年間の傾向でございますが、徴収額の総額はおおむね1,100億円前後で推移してきており、総額というのはそれほど変わっておりませんが、CD・DVDのフィジカル分野とインタラクティブ配信の分野が、この折れ線グラフのところですが、2019年を境に逆転しておりまして、その後もインタラクティブ配信は伸びている状況というのが分かりいただけると思います。昨年度の使用料総額というのは1,290億円になりますが、そのうちの約3分の1がインタラクティブ配信となっております。ここにおいても、デジタルプラットフォームの方の使用料の規模というのが非常に大きくなっているということになります。

次に進めていただきまして、こちらが当協会とデジタルプラットフォーム事業者との契約の概要です。事業者と当協会との利用許諾契約に基づきまして、事業者側から楽曲情報であるとか収入、再生回数などの使用料算定に必要な情報を御報告いただいておりまして、当協会は使用料をそれに基づいて算定して御請求させていただき、そして事業者の方から使用料が入金されて、それを報告いただいた楽曲ごとに、委託者であるクリエイターに分配するという流れになります。

ちなみに現在、当協会と契約している配信事業者は約1,700社、5,000サービスになります。デジタルプラットフォーム事業者の定義をどう置くかにもよりますけども、音楽サブスクリプションや動画配信サービスを行う大規模配信の事業者を含めますと、デジタルプラットフォーム事業者はそのうちの約1%と考えております。1社当たりお支払いいただく使用料は、配信規模によりまちまちになりますけども、デジタルプラットフォームと呼ばれる事業者になりますと、年間数億から数十億の規模になるとお考えいただければと思います。

また、利用される楽曲の報告についてですが、例えば音楽サブスクリプションサービスであれば、利用された楽曲のメタデータ、再生回数を全て御報告いただいております。そのインタラクティブ配信の楽曲報告数というのが年々増加しておりまして、昨年度では年間延べ33億曲分のデータが報告されておりますので、デジタルプラットフォーム事業者1社でも数千万から数億件の報告データの規模になっております。

次のページに移っていただいて、論点の中にも出てまいります、楽曲報告に係る権利管理のツールとして、YouTubeのContent IDというのが挙げられます。このContent IDが当協会とどのように関わるのかということについて触れておきたいと思います。Content IDはGoogle様の著作権管理システムで、YouTubeの投稿動画に使われた楽曲を自動的に検知して、その対価を関係権利者に還元するというものになります。

まず、ここで言うグリーンの(箇所は)レコード会社さんです。音源を持っていらっしゃるレコード会社さんなどが、音源のデータと楽曲名などの情報を登録していきます。そして、JASRACなどの著作権管理事業者が、その音源情報に加えて作詞、作曲、音楽出版などの著作権の情報を登録していきます。そうしますと、音源のフィンガープリントと、その音源データからメロディー化されたフィンガープリントがそれぞれ生成されて、この図の右にあります①、②のとおり、YouTube上の動画で使われている音源でも、例えば歌ってみた動画なども、そういったカバー曲であっても自動的に検知するという仕組みになっているものです。この仕組みによって、YouTubeで利用される楽曲が適切にJASRACに報告されるという1つの流れができているものになります。

次に行っていただきまして、ここから各論点について当協会の具体的な考えを述べさせていただきます。

次のページの6ページ目、まず、1つ目ですが、デジタルプラットフォームサービス事業者が行う取引の条件や収益に係る透明化を促進するために、どのような取組が期待されるかとの論点であります。

著作物使用料の算定を行う上で、我々、その管理事業者は、デジタルプラットフォーム事業者に事業収入等の報告を求める必要がありますので、事業者から、もしその報告を拒まれてしまえば使用料算定ができないことになります。

当協会では、そういうことが起こらないように、デジタルプラットフォーム事業者との契約において事業収入等の報告等の内容を定めておりまして、それに従って適切に御報告いただいております。論点整理の中に出てまいります取引透明化法というのが、当協会にとってどのような影響を及ぼすかというのが私のほうでは分かりませんけども、取引内容を全て公開されてしまうことがよいかどうかというのは、分からない部分があります。

次の2つ目、7ページ目になります。著作権管理事業者とデジタルプラットフォーム事業者との契約内容が、権利者にとって不透明との指摘に対して説明責任の在り方をどのように考えるか、契約の透明性の確保のために使用料規程が果たすべき役割をどのように考えるかという論点です。

青字で私どもから3点挙げています。JASRACの中では、委託者との間で、またはその委託者の正会員とか理事者の間で、しかるべき場面において適切に情報を提供しております。また、個々のクリエイターである委託者の方には、使用料を分配する際の明細において、どの楽曲が、どのような利用をされたのかというものを明確にしています。ここの下の※印の内容にあります、例えば利用者名、サービス名、リクエスト回数、金額など、そういったものを詳細に提供しています。

一方で、デジタルプラットフォーム事業者とは、契約の段階においては秘密保持契約、NDAを交わしております。どこの事業者と幾らで契約しているのかといった情報については、個々の委託者には提供できません。

また、適用する使用料率等は使用料規程に基づいておりまして、本日も添付資料で委託配信の規程全文をつけておりますが、その規程に基づいておりますけども、配信ビジネスというのは、御承知のとおり、1つのサービスの中でも様々な利用形態が複合的に関わっている事業形態です。1つの事業者のサービスの中に、UGCサービスとか音楽配信といった複合的なサービスが展開されていますので、各サービスにおいて適用する使用料率というものを、この使用料規程に基づいて、事業者と当協会との間で協議・交渉を進めて決定していきます。つまり、一義的には、この使用料規程というのは、その役割というのは利用者に対するものでありまして、委託者に対しては使用料規程自体の説明というのは当然できますけども、その適用においては、委託者の方は当協会にその内容を一任していただいているものと認識しております。

次の論点になります。8ページになります。次は、DSM著作権指令第19条のように、事業者側から、著作物の利用方法や生じた収入の情報が取得できることを保障すべきルールの有効性について、どう考えるかという論点です。

ここに記載しましたとおり、もちろんこうしたルールは有効であると考えます。

ただ、当協会ではデジタルプラットフォーム事業者との契約において、事業収入等の報告の内容を定めておりますので、現状はこの契約の範囲で保障されていると同等であると認識しております。

次の論点になります。9ページ目になります。次は、デジタルプラットフォームサービスにおける著作物利用について適用される料率の妥当性や、権利者間における分配の公平性についての論点です。

YouTubeのような大きなデジタルプラットフォームサービス事業というのは、当協会にとっても非常に大きな利用者でございますし、適用される使用料の妥当性や分配に際しての公平性については、委託者、クリエイターから強い関心があることは当然承知しております。先ほども申し上げておりますとおり、その使用料規程の適用の仕方については、管理事業者であるJASRAC、当協会に一任していただいております。当協会の役割として、委託者への対価の還元をできるだけ大きくするために、デジタルプラットフォーム事業者の皆様との協議を重ねて、使用料規程に基づき決定しております。

【JASRAC(宇佐美氏)】では、スライド7ページ、 論点の2つ目になります。著作権管理事業者とデジタルプラットフォーム事業者との契約内容が権利者にとって不透明との指摘に対して、説明責任の在り方をどのように考えるか、契約の透明性の確保のために使用料規程が果たすべき役割をどのように考えるかという点です。

私どもからこの青字の3点を挙げさせていただいています。

JASRACの中では、委託者に対しては、正会員、信託者、理事者の方々へ、それぞれしかるべき場面で適切に情報は提供させていただいております。また、個々のクリエイターである委託者の皆様には、分配する際の明細において、どの楽曲がどのような利用をされたのかというものを明確化しております。一番下のところに記載している※印にあります、例えば利用者名、サービス名、リクエスト回数、金額などを詳細に提供させていただいております。

一方で、デジタルプラットフォーム事業者とは秘密保持契約、NDAがございますので、どこの事業者と幾らで契約しているのかといった情報を個々の委託者には提供しておりません。

また、適用する料率については、使用料規程に基づいておりますけども、配信ビジネスは、御承知のとおり、1つのサービスの中でも様々な利用形態がございます。UGCサービスや音楽配信といった複合的なサービスも展開されておりますので、各サービスにおいて適用する使用料率というものを、その規程に基づいて、事業者と当協会との間で協議・交渉を進めて決定していきます。これは一義的には、その使用料規程の役割というのが利用者に対するものであると考えておりまして、委託者に対して使用料規程自体の御説明というのはさせていただいておりますけども、その適用の中身については、当協会に一任されているものと認識しております。

次、スライド8になります。DSM著作権指令第19条のように、事業者側から著作物の利用方法や生じた収入の情報が取得できることを保障すべきルールの有効性について、どう考えるかという論点になります。

もちろん、こうしたルールは有効であると考えております。

ただ、当協会では、デジタルプラットフォーム事業者との契約において、事業収入等の報告の内容を定めておりますので、現状は、この契約の範囲で保障されていると同等であるものと認識しております。

次に進んでいただきまして、9ページ目になります。次は、デジタルプラットフォームサービスにおける著作物利用について適用される料率の妥当性や、権利者間における分配の公平性についての論点になります。

先ほどから出ておりますとおり、YouTubeのような大きなデジタルプラットフォーム事業者は、当協会にとっても非常に大きな利用者でございますし、そうした適用される使用料の妥当性とか分配に際しての公平性については、委託者、クリエイターから強い関心があることは承知しております。先ほど申し上げているとおり、その使用料の適用の在り方、仕方については、管理事業者であるJASRAC、当協会に一任していただいております。当協会の役割として、委託者への対価の還元をできるだけ大きくするために、デジタルプラットフォーム事業者の皆様と協議を重ねて、使用料規程に基づいて決定しているということになります。また、必要に応じて料率の見直しというのも行っているため、適用される料率については適切であると考えております。

また、権利者間における分配の公平性とは、どのようなことをこの場面で指されているのか、少し私の理解が追いついていないところがありますが、どの辺りが、どのように不公平なのかということについて、まずは、明らかにしてからの議論かなと考えております。

次に進んでいただいて、10ページになります。デジタルプラットフォーム事業者が提供する権利管理ツールのような自主的な取組を積極的に促すには、どのような方法が考えられるかという論点になります。

先ほど少し触れましたとおり、YouTubeのContent IDを想定された論点かとお見受けしております。Content IDは、Google様が自ら投資して、このようなシステムをYouTubeのコンテンツの発展向上等、それから権利者への対価還元を目的としてつくったと認識しております。ほかのデジタルプラットフォーム事業者の利用楽曲報告が精緻になるということは当然喜ばしいことでありますが、技術力、時間、費用というのが相当にかかるものと認識しておりますので、どのように促進できるかという質問に、私どもからお答えするのはなかなか難しいかなと考えております。

そうなりますと、正確な利用楽曲報告の促進のためには、各デジタルプラットフォーム事業者の皆様方との協議等を、権利者としても継続していくことが重要であると考えております。

次に進んでいただきまして、11ページになります。次は、DSM著作権指令18条のように、クリエイターが適正かつ比例的な報酬を受け取る権利があることを保障すべきルールの有効性についてどう考えるかとの論点です。

先ほどの19条と同様に、もちろんこうしたルールは有効であると考えますが、当協会では、デジタルプラットフォーム事業者との契約において、事業収入等の報告の内容を定めておりますので、現状はこの契約において保障されていると同等のものであると、こちらも認識しています。

次がスライド12になります。デジタルプラットフォーム事業者が果たすべき責任をどのように考え、権利者とデジタルプラットフォーム事業者との適切な競争関係を確保するために、どのような方法が考えられるかとの論点です。

デジタルプラットフォーム事業者は、著作物利用において権利者と適正に協議を行って、利用許諾契約を締結して、適切な使用料の支払いを行う責任があると考えております。申し上げておりますとおり、当協会では、各事業者と契約を締結して、協議・交渉して適切にお支払いいただいております。

もっとも、こちらの論点の詳細に記載されていますとおり、デジタルプラットフォーム事業者の責任を明確化する方法として、DSM著作権指令のように、デジタルプラットフォームが利用主体となるというアプローチも有効な手法であると考えております。

スライド13ページになります。デジタルプラットフォーム事業者と交渉を行う際の交渉力向上方策についての論点になります。

こちらについては、まずは、デジタルプラットフォーム事業者におかれては、権利者側との交渉のテーブルに着くということが重要だと考えます。そういった点で、利用許諾契約の締結、使用料を支払う義務がデジタルプラットフォーム事業者にあることを明確化することで、交渉力が向上することにつながるのではないか、そうしたものが有効であると考えております。

私からの発表は以上になります。ありがとうございました。

【太田主査】ありがとうございました。

ただいまの御発表につきまして、御質問がございましたらお願いいたします。なお、御意見については、NexToneの御発表が終わった後にまとめて意見交換の時間を設けますので、その際によろしくお願いします。したがって、御意見は後で、御質問の方からお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

伊東委員どうぞ。

【伊東委員】2点ほど質問させていただきます。

YouTubeのContent IDで捕捉されるYouTube上にあるコンテンツで音楽家の方が公式で上げている動画と、あと、歌ってみた等、一般の方が使う動画というか、音楽音源が2種類あると思いますが、その比率は大体どれぐらいになっているんでしょうか。

【JASRAC(宇佐美氏)】比率ですか。

【伊東委員】どちらが多いとか少ないとか、もしすぐお分かりでなければ、後で。

【JASRAC(宇佐美氏)】申し訳ありません。どういう楽曲がどういうふうに使われているかというのは、当然、このContent IDにより報告されておりますので、報告された部分での比率というのは、すみません、今数字を持ち合わせていないので、直ちにお答えができませんけれども、見つけたデータに応じて把握することは行っておりますので、その部分については、こちらでは確認できます。

【NexTone(荒川氏)】NexToneの荒川です。

今のContent IDの仕組みの運用については、当社も全く同様なので、今の御質問に対してのお答えとして、一般的には、いわゆるミュージシャン、アーティストが公式で上げているものに比べて、それ以外の使われ方のほうが比率としては高くなっていると認識しております。もうちょっと厳密に言いますと、専ら音楽中心に運用されているチャンネルの収益性の部分、ミュージックというカテゴリーで、その下にゼネラルエンターテイメントというカテゴリーがあるんです。その中間にゼネラルエンターテイメントミュージック、GEミュージックと呼ばれるものがあるんですけれども、実はGEの部分が非常に大きいと。ただしそれぞれの、例えば地域であったりとか、その楽曲の特性であったりとか、Content IDの運用というところによって変わってきますなかなか何対何と申し上げることは難しいんですけども、一般的にはそういうような傾向にあるというふうに我々は認識しております。 以上です。

【伊東委員】ありがとうございます。

すみません、あともう一つ、音楽業界はサブスクリプションが非常に増えていると思いますが、サブスクが伸びることによって、権利者、すなわちミュージシャンの方、作曲家、作詞家の方が得る収入というのは、非常に増える傾向にあるんでしょうか、それともそんなに変わらないんでしょうか。

【JASRAC(宇佐美氏)】サブスクリプションの会員数が増えることで、サブスクリプション事業者から権利者側にお支払いいただく金額というのが大きくなると思います。その中で、どれだけ楽曲が使われているのか、また、その再生回数はどのくらいなのかということに応じて変わってきますので、全体の金額が増えれば(権利者の収入は)増える傾向にはあると思いますけども、それと楽曲数の品ぞろえが、またはその再生回数がどのぐらい増えたかによって変化していくものだと思います。

【伊東委員】インターネット上のブログとか見ると、ミュージシャンの方がサブスクになって、もらえるお金が少なかったとぼやいているのは、個別のレアケースということでよろしいでしょうか。

【JASRAC(宇佐美氏)】その比較は、どこの部分で比較されているのかというところにもよると思います。先ほども少しお話しをさせていただいているフィジカルと配信の部分での利用の変化というのが生じています。フィジカルの場合は、最初の発売のときに、配信に比べると比較的大きな一時的な収入というのがあると思います。サブスクリプションの場合には、1回の利用というのはフィジカルに比べては少ないかもしれませんが、長く続くという特徴があります。フィジカルと配信の比較において、そのようなお声があるということも承知しております。

【伊東委員】ありがとうございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。

では、坂井委員どうぞ。

【坂井委員】坂井です。今日は、発表をありがとうございます。

今、伊東委員のほうからもあったアップロード型のコンテンツを特定する仕組みは、それはフィンガープリントとかContent IDとか、そういったものでカバーできるというふうに認識しているんですけれども、その前の、この楽曲は誰の楽曲だというところの特定というんですか、それをどうやっているのかというのを教えていただきたいと思っています。背景にあるのは、JASRACさんは組織率高いですけれども、ほかの権利者団体ってなかなか組織率が高くなくて。今後、特にユーザージェネレーテッドコンテンツの時代になると、そこは難しいんじゃないかというふうに思っていて、そこら辺のコツみたいなものがもしあったら教えていただきたいというふうに思っているのが1点です。

それから、2点目が、DSMの著作権指令については、同じような仕組みを取り入れたらいいんじゃないかというような御意見だったというふうに思っています。ただ、反面、JASRACさんというのは、権利者からすれば、大手のサービスから権利者に対して利益を提供する側だと思うんですけれども、逆にユーザー側からすると、どちらかというと利用申請をさせていただくというか、そういう側になるというふうに思っていて、当然、今、経産省のほうでやっているプラットフォーマーという定義には今、入らないと思うんですけれども、DSM指令で言うと17条のフィルタリングですか、ここら辺はこの会議でも議論になりましたけれども、そういったところでは、プラットフォーマーの定義も結構広いですし、元となったDSAなんかでは、その仲介事業に対してもそれはプラットフォーマーなんだというようなことを定義しているというふうに認識をしています。

その中で、JASRACさん自身が、自分自身がプラットフォーマーだというふうに定義をされて、例えば今日議論になった19条の透明性とか、そういったようなものを御自身として義務を課されるというところについて、どう思っているのかというところについて2点お伺いしたいと思っています。

【JASRAC(宇佐美氏)】ありがとうございます。

1点目、どのように権利者等が把握できるかということでよろしいですかね。配信事業者の方から詳細な楽曲のデータを頂いております。私どものお預かりしている楽曲の権利情報というのは、データベースでこちらが把握しているところでございますので、そのデータベースと報告データとのマッチングということで、その利用された楽曲がどなたの楽曲ということが分かりますし、どなたの楽曲がどのくらい使われたということも報告に入っております。それに基づいて分配の資料を作成して、それと使用料とのひもづけることによって分配します。

【坂井委員】例えば、私がインターネット上にある商用利用フリーの楽曲に対して、これが僕の持ち物ですと言ってJASRACさんに申請をしたときの確認方法みたいな、そういったようなところです。インターネット上にある自由に使っていいよという楽曲を、これは私の曲ですって言ってJASRACさんに申請したときに、本当に私の曲かというのをどうやって担保しているのかという、その1つ前段のところをお伺いしたいと思っています。

【JASRAC(宇佐美氏)】先生が個別にこの楽曲だって言うかどうかというのは、どういう観点でというのがありますけれども、まずは作詞家、作曲家の我々に委託している方が我々のほうにも登録をいただいているというのが、まず前提になります。それが御自身の楽曲だということを保証して届け出ていただいています。

配信事業者からは、こういう楽曲を使いましたという報告が上がってきたものとの突き合わせになりますので、そこにこれは私の曲ですよというふうに上がってきたときのスキームが、そこには入り込む余地がないかなというふうに思います。

【坂井委員】割と性善説に基づいてされているようなイメージですよね。その前段のところは。

【JASRAC(宇佐美氏)】先生の曲だよというふうに言う隙がどこかにあるんですか。この報告スキームの中で。

【坂井委員】多分、悪意を持った方というんですかね。

【JASRAC(宇佐美氏)】それは御自身の楽曲だということを悪意で届けられているかどうかということですか。

【坂井委員】そういう意味です。そのとき、どうやっているのかというのは、ほかの権利者団体はすごい困っているところだと思うんです。

【JASRAC(宇佐美氏)】権利者の方は、まず我々と信託契約を締結した上で、その作品をお預けいただくという形になります。そして、お預けいただく作品は、御自身が権利を持っているということを契約約款上でちゃんと保証していただいているというのが前提になりますので、その保証義務に従って我々は管理しているというような、そういう全体概念です。

【坂井委員】理解しました。

【JASRAC(宇佐美氏)】それから、すみません、2点目がよく理解できなかったのですが。

【坂井委員】JASRACさん自身が、見方によっては、ユーザーからすればプラットフォーマーに見えるところの面もあると思うんです。特にオンラインで申請とかされているので。そういったことで、JASRACさん自身がDSM指令19条の透明性の担保とか、そういった法的な義務を課されてしまうというところに対して、そういうところというのはどう考えていらっしゃるのかというのが、もしあれば教えてください。

【JASRAC(宇佐美氏)】我々、権利者の団体でございますので、そういう面からすると、我々がこのDSM指令に基づいて何か保証することが必要なのかなというのは、すみません、私、ちょっとよくつながらない部分がありますけども。

【太田主査】よろしいでしょうか。

次に、オンラインで今村委員が挙手をされているので、今村委員、お願いいたします。

【今村委員】どうも御報告ありがとうございました。

3点ほど質問があるんですけども、1点目は、まず、資料の2ページ目のところに、使用料徴収額の推移というものがあって、2022年度は1,290億というすばらしい伸びを示されていると思うんです。確かに大きな金額になっていると思うんですけども、コンテンツ産業全体で音楽が使われていることが多いと思うのですが、その伸びと比較して、この2022年度の金額というのは相当なものなのか、それとも更なるDX化の取組とか、いろいろと徴収を工夫することによってもっと伸び代が本来はあって、さらにクリエイターに還元できる余地があるのかという点を1つ目でお伺いしたいと思います。

2つ目は、資料の3ページ目の利用実績報告、それから6ページ目の透明化の報告を求める必要があるというところと関係します。利用実績報告はDPF事業者から行われると思うのですが、いろいろな事業者がいますから、しっかりとした業者はしっかりとした報告をするんじゃないかなとは思うんですけれども、その利用実績報告の、例えば事業収入などの数字の正しさというものをどのように担保しているのかというような、例えば、最近様々な虚偽記載の問題が発生していますけども、虚偽の報告などがあり得るということも考えて、何か間違いがないような方策を取られているのかというところですね。パイが小さくなったらもらえる金額も少なくなっちゃうと思いますので、大事な点だと思うので、その点が2つ目となります。

3つ目は、資料の13ページ目と関係するんですけれども、おっしゃるとおり、こういった義務がDPF業者側にあったら、交渉はよりしやすくなるということで、私もそのとおりだなというふうに思って聞いておりました。今のところ、その義務が仮に明確にされない中で、契約をしているDPF業者はたくさんあると思うんですけれども、契約をしていないDPF業者もあるわけですよね。プラットフォームと呼ばれるものはたくさんあると思うんですけれども、これまでどういう形で新しいDPF業者と契約をしてきたのか、結構強気で拡大していったのか、それとも何か困難に直面しているのか、その点について、3点目としてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【JASRAC(宇佐美氏)】先生、ありがとうございます。

まず、1点目でございますけども、昨年は1,290億というような数字ですけども、これは当然配信だけではなくて、ここにありますとおり、演奏・放送分野であるとかフィジカルも全部合計した金額ですね。申し上げているとおり、インターネット配信は、今のところ順調にと言っていいかどうか分かりませんけども、全体としてはまだ伸びている、そういう状況ですので、まだ伸びる余地があるのではないかと今は考えております。

それと、特に演奏分野においては、これはコロナ禍で、かなりお店の休業であるとか、それからコンサートの中止とかがありましたので、一時的にこのグラフにありますとおり、2020年度辺りはかなりへこんでいる状況があったというところになります。まだその回復余地が報道とかでありますとおり、まだ見込みがありますので、その辺りを含めて、まだこれからも伸ばしていきたいというふうに考えているところでございます。

それから、2点目の報告の担保という点でございますけども、これは個々の契約について、どこがどうというふうなことはちょっと申し上げられませんけども、全体にJASRACでは、フィジカルにしても、ほかの分野にしても、報告に応じて使用料を算定しますので、その報告の正確性や信憑性というのが常にテーマになっているところでございます。我々としては、かねてから、契約の条項に監査条項等を置くなどして、その頂いている報告内容が正しいのかどうかということを定期的に見させていただくとか、ある時期の報告データが少しいびつな状況になっているときには、事業者の方にお尋ねするなどして、信憑性を担保しています。

それから、3点目、協議の内容については、新たなサービスが出て、先方様から、この許諾についてどうしたらいいのかという御相談いただくこともありますし、もしそれが遅れている場合については、私どもからアプローチをさせていただくということもございますので、その辺りは、まさにその協議・交渉という流れの中で進めてきている結果だということになります。

すみません、3点、以上でございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。

ほかに御質問ございますでしょうか。唐津委員、どうぞ。

【唐津委員】すみません、ありがとうございます。お話ありがとうございました。唐津です。

私から1つだけちょっとお伺いしたいんですけれども、現在の知財戦略の重点項目にも入っている課題の一つに、クリエイターへの適切な対価の還元が必要であるという問題があるかと思います。その中で、音楽に関しては、クリエイターへの還元というのは、まさにJASRACさんのような管理団体から還元されるので、そういう意味では非常に重要な役割かと思うんです。DPF事業者とのNDAがあって、契約内容については開示できない部分があるというところはもちろん分かっているつもりなんですけれども、クリエイターから見た場合に、適切な対価還元という意味で、多分、一番気になっているのは、自分の曲で、このDPF事業者は一体幾らもうけているんだというところが、先ほど質問の中にも出てきたサブスクリプションがこれだけ盛んになっている中で、自分たちに還元されている金額は少ないんじゃないかという、何となく正確なデータがない中でもそういう感覚を持っているという理由の一つは、DPF事業者がどれぐらい自分の楽曲で利益が上がっているのかが見えないというところがあるかと思うんです。そこの適切な還元というときに、まさにそれを決めるのが料率かなと。利用料使用料規程に定められている料率が、まさにどれぐらい分配するかという具体的な役割を果たしているかと思うんですけれども。

それで御質問させていただきたいのは9ページのところで、必要に応じて料率の見直しをされているというお話がありまして、もちろんそのときにはDPF事業者と協議をしているということなんですけれども、このときにどれくらいシビアにDPF事業者が楽曲を、例えば配信することで、サブスクリプションであればそのサービスにおいて、どれくらい収益を上げているのかというのを、どの程度シビアに見てくださっているのかなというのが1つ気になります。クリエイターからすると、そこは突っ込んでいけないですし、個別に交渉もできないので、言わばクリエイターのために、JASRACさんが適切な還元ができるだけの料率を定めるという役割を果たしてくださっているという認識ですので、この協議の中で、一体どういった要素を具体的に考慮しながら定めているのかなというところを1つお伺いしたいかと思うんですけれども、お願いします。

【JASRAC(宇佐美氏)】先生、ありがとうございます。

協議の具体的な内容に踏み込まないと、今の御質問に対して真正面にはお答えできないのかなというふうには思います。必要に応じた料率の見直しを行っているおりまして、1つ言えるのは、サブスクリプションサービスにおいても、ただ音楽配信をするだけではなくて、付加的なサービスも様々やっていらっしゃいます。その中で、こういうサービスについては、どのような使用料規定の適用が適切なのかということについて、各事業者と時間をかけて協議をして、それに可能な限り見合った形での対価還元を目指しています。すみません、そこまでしか答えられない部分がありますが、それで御理解いただきたいと思います。

【太田主査】よろしいでしょうか。

【唐津委員】ありがとうございました。

【太田主査】ほかに御質問等ございますでしょうか。

ないようですね、どうもありがとうございました。

【JASRAC(宇佐美氏)】ありがとうございました。

 Content IDのところで、すみません、私の認識が、質問の御趣旨が少し分からない部分があって、音源が全体的にどのくらい使われていて、歌ってみた動画はどれぐらい使われてという御質問かと思ったんですが、荒川さんのほうでいろいろお助けいただいて、ありがとうございました。

【太田主査】どうもありがとうございます。

それでは、次に、資料2に基づき、NexToneより御発表いただきます。御登壇いただきますのは、代表取締役COOの荒川祐二様でございます。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

【NexTone(荒川氏)】ただいま御紹介いただきました株式会社NexToneの荒川と申します。本日はよろしくお願いいたします。

当社NexToneは、著作権等管理事業法が施行されたときより、音楽著作権の管理事業というものをスタートしております。事実上、現在の日本国内における音楽著作権管理というフィールドでは、JASRACさんと当社の2社のみが集中管理事業を行っていると認識をしております。

管理作品数といたしましては、現在約45万作品で、徴収額につきましては年間で約110億円程度という形になっております。そのうち、約3分の2、66%がインタラクティブ配信の領域からの徴収という形になっております。

当社は、2020年に東証マザーズに上場し、現在ではグロース市場となっておりますが、四半期ごとに極めて詳細な事業の進捗についてレポートを適宜開示しておりますので、もし、お時間がある方は当社のウェブサイト等を見ていただければというふうに思っております。

当社は、著作権等管理事業法に基づく著作権管理を行っていると同時に、アーティストやレーベルさんから音源をお預かりをして、様々なデジタルプラットフォームに対して、その配信を可能にする、そしてその許諾の管理から使用料の徴収・分配というアグリゲーターとしての事業を展開したりしています。またアーティストさんがライブを行ったときに、例えば東京にライブに見に来れない、もしくはチケットがソールドアウトしてしまったというようなときに、最近、よく映画館等で行われるようになったライブビューイングが一般的になっておりますが、そのコーディネートを手掛けているなど、様々な形で、音楽のアーティスト、クリエイター、プロデューサー、そういった方々をサポートする事業をトータルで展開しております。

また先ほど宇佐美さんからの御発表にもありましたけれども、YouTubeにおけるContent IDの運用というのは、今、極めて重要なポイントにはなってきておりますが、例えばレーベルさん単位だったりとかがContent IDの運用を行うというのは極めて煩雑ですし面倒な部分というのもたくさんあります。当社ではそういった部分のContent ID運用の代行を請け負ったり、様々な角度から音楽クリエイターへのサポートを行っているというのがNexToneと御認識いただければと思います。

それでは、本日のヒアリングについてです。まず、1ページ目、ポイントとして挙げられていたところで、透明化を促進するために、どのような取組が期待されるかということ、同じくDSMの第19条における透明性義務、こうしたルールの有効性はいかがなものかというような御質問に対してです。先ほど今村委員の御質問にもありましたが、デジタルプラットフォームからの徴収というときに非常に重要なのが、その収入が果たしてどれだけあるのかということになります。ここについては、もちろん我々も様々な形、いろいろな角度からデジタルプラットフォーマーにその開示を迫っていくわけなんですけれども、特にグローバルDSPと呼ばれるような、何十か国、場合によっては百何十か国にまたがるようなプラットフォーマーにおいては、彼らから示される、例えば広告収入やサブスクリプション収入が適切で適当なものなのかということについて、なかなか確信を得ることができないというような状況にあるというのが正直なところです。

違う見方をすると、先ほど申し上げたようなグローバルDSPの日本法人に対する税金の在り方…これは消費税だったり、所得税だったり、様々あると思いますけども、そういったところに対するアプローチも果たしてどこまで踏み込めているのかというところは、疑問を持たざるを得ません。ファイアーウォールが非常に高く築かれているというところもありますので、そういった意味においては、そこのところについて、ぜひ何らか我々のような個別の管理者とか契約をしている者というだけではなくて、様々な角度からグローバルDSPを経営している企業体に対する収入の明確な開示というものを迫っていく必要が望まれているのではないかというふうに認識をしておる次第です。

続いて次のページ、取引の透明性というところで、管理事業者の権利者に対する説明責任の在り方について、どのように考えるかという設問ですけれども、もちろん先ほどJASRAC宇佐美さんのお話にもありましたとおり、当社でも、グローバルDSPとの間におけるNDAというものは存在しております。しかしながら、我々のスタンスとしては、NDAがあるから全て開示できないんだということではなくて、NDAの中でも、ここまでであれば踏み込んで開示してもいいよねということをグローバルDSPと交渉して、開示できるものについては適正に開示しているというようなことをやっております。

したがって、当社に対してストレートに権利者のほうから、DSPとの契約の内容が不透明であるとの指摘というものを受けたことは、これまで一度もありません。実際、先月21日、YouTubeと当社の契約条件、収入をこうカウントしてこのタイミングで分配をするというような具体的な内容についての説明会を実施しました。それには200名以上の権利者、音楽出版者の方々にお集まりいただいて御説明をさしあげました。次ページ以降に参考資料という形で添付させていただいておりますけれども、3ページ目から5ページ目までは実際に先ほど申し上げた説明会の際に使用した資料になります。

例えば3ページ目は、徴収の方式についてです。初めてアップロードした日…そこから始まるプリクレームがある、Content ID運用を行う以前の部分というのは、どうしても徴収が漏れてしまう場合がありますが、そこはポストクレームと呼んで、このタイミングで遡って徴収するんだよとか。そしてその仕組みの中においても権利が確定しなかったものについては、これまでだったらクロージングバランスと言って一番最後に徴収をして終わりというふうになっていたものを、この秋からバッククレームという新しいものが生じたというようなことについて御説明をしております。

それから、次のページは、具体的な料率について。AVOD、SVODにおいて、ミュージック、ゼネラルエンターテイメントミュージック、ゼネラルエンターテイメント、それぞれ別の料率が契約の中でありますが、この契約の条件、何%ということについても、説明会の中では全て具体的な数値を開示しており、透明性というものを限りなく追求していくということをやっております。

それから、次のページ、5ページ目になりますけれども、そうやってそれぞれのカテゴリーで徴収したものについての分配の考え方はどういうふうにしているのかということを、徴収と分配のタイミング、それから、その分配における計算の考え方というようなものについても、個別具体的にこういう考えに従って分配しているということを、御説明しています。

それ以外にも、我々がContent ID運用において、どのタイミングでどういうことをやっているのか、どのタイミングでどうクレームをしているのか。権利競合があったときには、どういうふうにそれを解消していくのか、解消した場合にどこまで遡って徴収できるのか、もしくは遡れないのかというような、そういう詳細についての説明も行っております。

我々としては、管理事業者としての説明責任を果たすということについて、このような形で透明性を高めていくということを行っております。

続きまして、6ページ目のスライドになります。ここでは、その契約の透明性確保のために使用料規程が果たすべき役割についてということの御質問をいただいているんですけれども、もちろん使用料規程というものが管理事業を行う上において極めて重要な位置を占めている、重要な意味を持っているということに何ら疑義を挟むものではありません。ただし、ことグローバルに展開するようなデジタルサービスにおいては、使用料規程がそもそも持っている透明性確保のために果たすべき役割というものが、残念ながら実態として低下してきているというふうに認識をしております。繰り返しになりますけども、だからといって使用料規程を軽んじていいということを意味するものではありません。

配信サービスとして、非常にいろいろな形のサービスが出てきてはおりますが、基本的には何か特段のリテラシーが必要だとか、そういうこともなく普通に使えるものになってきている。その中で、各プラットフォーム、各サービス事業者がどのように競争していこうかというときには、我々が思いもよらないようなサービスを付加してきたりとか、そういうことを行っています。

話は先ほどのYouTubeに戻りますが、最近、ショートという、専らモバイル端末とかで撮影をして、数十秒から1分程度の短い尺のムービーが存在感を増してきています。さらに加えてYouTubeライブみたいな、ライブ配信が行われるというようなものもあります。こんな形で様々な付加サービスが出てきている中において、我々が全て先回りをして使用料規程をつくっていくことは極めて難しい時代になっているというふうに認識をしております。ですので、そういった現状においては、残念ながら使用料規程が契約の透明性確保のために果たすという役割は、相対的に低下していると言わざるを得ません。

一方では、サブスクリプションサービスにおける欧米の権利者が実際にプラットフォーマーと契約をしている料率は、現在、収入に対して15%がほぼデファクトになっており、さらにこれを15.5に引き上げるぞ、16に引き上げるぞというような目標も定めて、どんどん権利者の分配を増やすという方向性が出てきています。

そんな中で、日本国内で使用料規程を定めるというときに、著作権等管理事業法の定めにおいて、いわゆる利用者代表団体との協議が必要であるとされています。厳密に申し上げますと、我々は指定管理事業者ではありませんから、必ず利用者代表団体と協議して合意する必要性、義務は法的には課せられていないという立場ではありながらも、必ず利用者代表団体と協議をしております。

具体的に言いますと、インタラクティブ配信においては、NMRC…ネットワーク音楽著作権連絡協議会という団体との協議ということになるんですが、現時点において、NMRCにおける著作権の使用料に対する考え方をつくるにあたり、グローバルDSPの意見であったりとか、諸外国の現状であったりとかというものがどの程度反映されているかというと、ちょっと疑問を持たざるを得ないというような状況があります。

次のページに、これも参考として当社の使用料規程における、サブスクリプションサービスの規定の部分を抜粋しておりますけれども、我々の場合だと12.5%というのが上限になっています。具体的に言うと、YouTubeを運営しているGoogleとか、そういうところは、他国のサービスに対しては15%とかでライセンスするわけです。ところが、我々はこの12.5%という規定が足かせになってしまって、それ以上取れないというような状況になっています。

だからといって、これを踏みにじるというのは、管理事業法上もちろん問題があると認識しておりますので、規定を遵守したうえで様々な形での対価還元ということに取り組んでいます。それから国際競争力ということを考えるのであれば、そういう単に管理事業法上における規程だけにフォーカスをするのではなくて、その周辺の様々な事象にもフォーカスしていくことによってクリエイターに対する対価還元の最大化というものを図っていければなというふうに思っております。

続きまして、取引の透明性という観点から、権利者にどのようなデータや数字などを開示しているかということについて、幾つかのポイントを御紹介させていただきます。

例えば、これは本日の議論とは直接関係ないところでありますけれども、放送に関する分配です。ここに挙げているように、楽曲を利用した放送局、番組名、利用秒数、利用回数、放送年月日等、こういうものを全てデータとして分配の際に提供しております。当然、同じような粒度でインタラクティブ配信の分配のデータとして付することによって、透明性を確保していくということをやっているんですが、次のページに、当社ならではの権利者に対するデータ提供の例を挙げております。これもまたYouTubeにはなるんですけども、YouTube動画における利用実績の詳細のデータというものを、分配データとは別に、「こういうデータがあったらマーケティング的に有用なんじゃないですか」という意味合いも含めて提供しております。

ある作品が、オフィシャルチャンネルで使われる場合もあるし、歌ってみた、演奏してみたというところに使われることもある。それから、思わぬところで、それがバズっているようなこともありますが、その全てを権利者が把握出来るかといったらそれは難しい。そこで、各作品の再生数のトップ100の実績をそのURLとともに、チャンネルのタイトル等とともにデータにして権利者さんにデータをお渡しするという形を取っております。こんなところでバズっているんだったらこういう仕掛けをやってみようみたいなマーケティングに活かせるような気づきを与えるような、そんなデータとして御活用いただけるということも行っております。

それから、次のページなんですけれども、これはウェブベースで提供している使用料の分析ツールになります。この右肩のところに、こんなことが機能として提供されているよということを幾つか挙げてありますけれども、権利者さんであれば誰でも、御自身の持っている作品についてのデータをリアルタイムにウェブで見ることができます。このように、様々な角度からその透明性を確保していくということをやっております。もちろん、これらのデータとかツールの利用というものは、全て無償で御提供しております。

続きまして、11ページ目、対価の妥当性並びに公平性ということに関して。まず、デジタルプラットフォームサービスにおける著作物利用について適用される料率の妥当性に関してですが、料率については、NDAはありながらも、海外の団体だったりとか、出版社だったりとか、様々なところで情報交換を行うことを通じてデファクトが見えてくると。同時に実際に開示されている情報もたくさんありますので、それらの情報を分析していくというようなことを通じて、この妥当性というものを固めていきたいというふうに思っております。

それから、下段の権利管理ツールについてということに関してですが、冒頭にも申し上げたとおり、当社ではContent IDの運用を様々な角度で手がけております。我々が権利管理ツールに日々向き合っていることなどを通じて、「こういうところが使いにくいよ」とか「こういうところはもっとこうした方がいいよ」もしくは「こうしないと駄目だよ」「こうして欲しいよ」ということについての情報交換などを日々行っております。そういう積み重ねによって、プラットフォーマー側に対して、権利管理ツールをアップデートし使いやすくしていくということが自分たちプラットフォーマーにとってプラスであるということを理解していただき、そしてもう一方で、権利者側に対してもそういうツールを有効に利用することが自分たちにとっていかに有用なのかということに気づくことに繋がる。そんな形で双方で意識を高め合っていくということができるんじゃないかなというふうに思っておる次第です。

続きまして、12ページの目の対価の妥当性・公平性。DSM指令の18条ということで、適正かつ比例的な報酬を受け取る権利があることを保証すべき旨の規定。もちろんこういうことを規定する明文化するということは極めて重要な意味を持つ一方で、曖昧なままに「適正な報酬」というような、分かったような分からないような表現で丸めてしまうということで、何となく適正と思い込んでしまうというリスクも生まれると思います。同時に、何らかのデータに裏打ちされた「適正な報酬」を突き詰めていくということを併せ持つことによって、はじめてこうしたルールは有効性を帯びてくるのではないかというふうにも思っております。

そして、最後のページになります。適切な競争関係というところで、DSM指令における、デジタルプラットフォームサービス事業者は、一定の要件の下で著作物の利用主体とみなすということ。もちろん、こういう考え方は一考に値するとは思いますけれども、現実性というところにおいては、ちょっと距離があるのかもしれないなというふうに言わざるを得ません。ただもう一方で、こういうデジタルプラットフォームサービスの自主的な…というか、著作物を自らが利用して、もしくは自らが提供している場で著作物が使われることによって、自分たちのサービスが成立しているんだという自覚をより高いところで持つように促していくことによって、よりよい環境ができる、できてほしいというようなことは強く思っているところです。

それから、最後のところで、いわゆる交渉力向上のために、例えば権利者同士が協同して何らかに当たっていくことについて、どの程度許容されると考えるかということに関しましては、これは競争法上の問題であったりとか、様々なことがありますので、私のほうからの具体的な回答というのはなかなか難しいのかなと思っておりますが、例えば産業全体として、もっと言えば国全体として、海外勢に主導されてしまっているグローバルサービスプラットフォーマーから、より適切な還元を得るためにどうすればいいのかということの連絡交換会というか、そういうような場を設けるといったことなどは、すごく有用性があるのではないかというふうには思っております。

私からは以上になります。どうもありがとうございました。

【太田主査】どうもありがとうございました。

それでは、次に、ただいまの御説明を踏まえて御質問がございましたら、お願いいたしたいと思います。

坂井委員、ございますか、どうぞ。

【坂井委員】ちょっと1点だけ。御発表ありがとうございます。

1点確認という意味でさせていただきたいんですけど、新しい徴収方式というのでバッククレームというのがあったということなんですけれども、これはNexToneさんのほうで技術的な対応をされたのか、それともGoogleのほうから、こういう新しい制度ができたからというのでやったのかというところをちょっと確認で教えていただきたいんですが。

【NexTone(荒川氏)】基本的には、こういう方法については、Googleのほうでこういうふうになったよということの説明を受けると。そこに対して、どういうふうに対応するのか、もしくは、そこに新たな条件を付するのであれば、どのようにすればいいのかというようなことを我々として対応していくという位置づけになっております。

【坂井委員】ありがとうございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。

ほかに御質問がございますでしょうか。どうぞ、伊東委員。

【伊東委員】半分、興味本位でお伺いしたいのですが、YouTubeに一般人がアップロードした音楽データや音楽動画のContent IDの捕捉率は、現在は何%ぐらいですか、システム的に。

【NexTone(荒川氏)】トータルでどの程度配信されているかというもともとの分母が分からないので、何%ということを申し上げることは極めて難しいと思います。ただ、感覚的にはContent IDの精度というのは、近年、相当上がってきているなという実感は強く持っております。ただし、それが全体に対して、どの程度のインパクトであるかということはなかなかお答えすることが難しいと。

【伊東委員】Content IDで捕捉できなかったものを見つけ出してきて収益化しますということを売りにしている海外の事業者さんから、過去、売り込みを受けたことがありますが、昔から8割ぐらい捕捉できているんじゃないかと言われていて、その残りの2割を業者がつかまえてくるのかなという理解をしていました。その8割という数字は妥当性があると実感されていますか。

【NexTone(荒川氏)】例えばミュージック、GEミュージック、GEと申し上げましたけれども、GEにおけるものを捕捉していくのってものすごく大変なんですが、先ほども申し上げたとおり、その利用実態としての割合は非常に高いものがあります。何をもって8割と言うのかというのは、徴収できる金額ベースの話なのか、件数ベースなのかというとなかなか難しいんですが。ただ、例えば当社でも、単にContent ID運用をやっているというだけではなくて、GEミュージックだったり、GEだったりで使われているものを独自に捕捉するためにクローリングをしたりとか、動画の下のところのハッシュタグにアーティスト名や楽曲名などが入っているテキストなどをクロールしていって、AIマッチングをかけて権利を確定していくというような手法も独自に展開しております。

【伊東委員】その独自で見つけてきたのがどれぐらいあるのかというところは、Content IDでできない部分を御自身の努力でやっていらっしゃるということですね。この質問の趣旨として、それが結構あるのかないのかというところです。

【NexTone(荒川氏)】やればやるほど出てきます。 IDでできない部分を御自身の努力でやっていらっしゃるということですね。この質問の趣旨として、それが結構あるのかないのかというところです。

【伊東委員】ありがとうございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。

ほかにございますでしょうか。生貝委員、どうぞ。

【生貝委員】前半遅れまして、申し訳ございません。大変貴重なお話、ありがとうございました。

それで、今の伊東委員からの御質問にも関わるんですけれども、まさしく様々な透明性を確保していくことが重要だというふうに言ったときに、まさしくContent IDのような仕組み、あるいはコンテンツモデレーションにどのくらいの人員ですとか、あるいは日本語を使える人がどのくらいモデレーションに回っているのかですとか。また、あるいはいろんなツールのまさにエラー率ですとか、捕捉率ですとか、そういったような情報って恐らく当然プラットフォーム様が持っていて、NexTone様ですとか権利者になかなか分からない情報というのもいろいろあると思っていて、そういうことの透明性というのも併せて大事だなというふうに思っているんですけれども。そういうことで、例えばまさにもっと情報を開示してほしいというような感覚というものがあるかどうかという御質問がまず1つと。

それから、もう一つは、今まさしく自社の努力ですとかあるいはサードパーティーのツールなんかもいろいろ使われて、追加的な検証というものを行われていらっしゃるというお話もございましたけれども、例えば最近いろいろなウェブサービスですと、スクレーピングのようなことを、YouTubeさんがどうかというのが全然分からないんですけれど、技術的にはじいてしまったりですとか、事実上アーキテクチャとして、そういうツールの受入れを難しくなっていたりというようなことも、別のサービスなんかですとしばしば聞かれることもございまして、まさにそういう独自調査等をやられる上での障害というものが、何かもし今あれば教えていただきたいなというのが2つ目の御質問でございます。よろしくお願いいたします。

【NexTone(荒川氏)】御質問ありがとうございます。

まず、今の御質問にお答えする前に、前提としてグローバルサービス、グローバルDSPの中でも、具体的にサービス名を申し上げますとApple Musicだったり、Spotifyのような、何千万曲、何億曲そろえていてそれを聞けますよというような、そのサービス主体となる人がこれをアップロードして管理をしているサービスと、YouTubeに代表されるようなユーザーアップロード型のサービス…一口にサブスクリプションサービスといっても、これらは分けて考える必要というのは当然のようにあると。

今の生貝委員の御質問の中でもあるのは、ほとんど後者に当たる部分だというふうに認識をするんですけれども、それでいくと、代表格はどうしてもGoogle、YouTubeということになります。YouTubeとの間では、日本法人の担当者であり、アジアパシフィックの担当者であり、それからヘッドクォーターの責任者であり、様々なレイヤーの方々と、定期的、不定期含めて相当いろんなディスカッションを行っております。今回も新しい契約を締結するために、もう何か月にもわたって、Webだけではなくて、実際に別の国でミーティングを行ったりとかしながら、単に数字で何%高い安いという話だけではなくて、いかに我々が透明性を必要としているのか…逆に言えば、まだまだ見えないところがたくさんあるんだというようなことについては、常に強く交渉の場面で申し上げておりますが、それによって開示されるようになった項目というのも実際にあります。ですので、数字を挙げて申し上げることは難しいんですが、データ開示については、常に高いレベルでのセッションを行っているというふうに御理解いただければというふうに思います。

それから、2番目なんですけども、その追加検証というところに関しては、確かにいろんな壁があります。先ほども伊東委員の御質問に答えさせていただいたとおり、やればやるほど出てきます。ただ、それがどこまでできるのかということは、もう底なし沼と言ってもいいくらい本当にたくさんのデータがそこに転がっているような状況なんです。我々も当然事業採算性というものも意識しながら、どこまでであれば、そこの検証に力を尽くせるのかというようなことの判断をするというのが、マネージャー的な感覚としてすごく重要になってくると認識しております。

同時に、もう一方では、Googleから上がってくるログのデータ量というのは、とてつもなく大きいという点にも留意が必要です。単純な話、その上がってきたデータそのものをストレージしておくだけで、とんでもないコストがかかってしまう、そのくらいの量が出てきている。データ量が多ければ多いほど追加検証はできるものの、それによってこちらが圧迫されていくというようなジレンマも生じています。先ほど池貝委員もサードパーティーという言い方をされましたけれども、我々も実際に海外のある企業のサービスを使いながら、そこにもデータの分析をさせたりとかというようなことをしながら、様々な角度で追加の金鉱掘りというか、そういうものを行っているというようなのが現状でございます。

以上です。

【生貝委員】ありがとうございました。

特に1点目に関連しては、今回、特にDSM著作権指令の19条ですとか関連する重要な規程を中心に、事務局のほうから設問を上げていただいたところだというふうに思うんですけれども、また並行して、EU法ですとデジタルサービス法の中で、まさにコンテンツモデレーション、違法コンテンツの検知や削除等に使っている技術の情報でありますとか、あるいはそのモデレーションにかけている人員の状況といったところの透明性に関わる規律というのが、これは別途存在もしているところでございますので、比較法的な議論のときは、ぜひそちらのほうも参考にして議論していけるとよいんだろうなということを、今お聞きしていて改めて感じたところでございました。

それから、特に権利者様たちが御自身の努力で取り組まれる、そういった検知等の努力に対して、プラットフォーマー様の積極的な御協力をどのように法制的に後押ししていくかといったようなところも、改めて多分考えられるところであるのだろう。いずれにしましても、まさにそういった施策というのが適正に行われることって、権利者様の側にも重要ですし、あるいはまた、時々、誤って削除されちゃったりすることがあるような、ユーザーの側にとっても重要なことでございますので、その両面からしかるべき在り方というものを考えていけるとよいのかなというふうに思います。

私から差し当たり以上です。ありがとうございます。

【NexTone(荒川氏)】ありがとうございます。

【太田主査】ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。どうぞ、内山委員。

【内山委員】すみません、ちょっと学部生みたいな単純な質問してしまうんですけれど、今回は、相手がグローバルプレーヤーというふうに考えて、皆さん方、権利者団体として、その両者の間での取引において、あるいはそこで払われるお金に関して、世界の中で相場価格の共有ってできているでしょうかというのが1つ目です。つまり、適正な報酬云々といったときに、要は、そこに例えばYouTubeで1回再生されるとこれぐらいだよねという相場観が世界中に共有されていれば大きな問題にならないと思うんです。でも、そこが恐らく分断されている。

もし、NDAがあって、それで市場価格情報の共有が妨げられているいう話になると、それは独占企業の論理で、結局その買い手を分断している話であって、市場メカニズムを作用させないということになっているんで、それはある意味ではまずいなと思うんですけれども、そういう意味で、世界の権利者団体の間で、例えばYouTubeとやると大体こんなもんだよねという、その相場価格の形成ってできているのかどうかが1点目。それは同様に、権利者団体の皆様方から、今度は権利者に向けてというところに向けて、例えばYouTubeで1回やると、これぐらいだよねという相場価格の情報の共有とか形成というのはできているのかなどうかなという、そういう質問でございます。

【NexTone(荒川氏)】この相場観というのはなかなか難しくて、例えば、同じYouTubeの中でも、あるチャンネルで1回再生されたときの単価…単価というのは、このチャンネルにおける再生数と、このチャンネルに対する広告収入というものを割り戻したものになるわけですが…、例えばチャンネル登録者数が数千人という規模のものと1,000万人という規模のものでいったら、広告価値としては当然前者のほうが低く後者のほうが高くなりますけれど、何らかの理由によって、登録者数が1,000万人いるものよりも、数千人規模のほうが単価が高くなる可能性もあるわけです。

そうすると、この数千人のところと1,000万人のところで、いや、うちは何円だよ、うちは何円だよというような単純な比較ができない。これは各国の広告マーケットのありようであったりとか、そこに入っている様々なエージェントのプレーヤーの話だったりとかという要素も加わってくるので、単価で物事を語っていくというのは極めて危険だというのはあるんです。単価を重要視しすぎると誤った方向に誘導されてしまう、誘導してしまうというリスクを併せ持っているので、その部分について僕らとしてどのように認識し説明してゆくのかという点はものすごく難しいと思っています。ただし、世間的には単価というのは分かりやすいので、大きな指標の1つとして語られがちなんですが。

それから、もう1つ、YouTubeのような仕組みの場合、例えば自分の子供が立ったよという映像を撮っている後ろで何かBGMが流れていて、意図せず音声に入ってしまいましたというような場合も音楽の使用になるわけです。なんですけれども、そういうものをどんどんマッチングして拾っていくということをやると、トータルとしての収入は同じなんだけれども、分配先が増えていくので、単価が下がっていくというような、ちょっと不思議とも言える経済モデルがここにできてしまうということもあります。故に、単価の例のようになんでも分かりやすくしてしまうことが透明性を担保するのかというとそれについてはちょっと冷静に考える必要があるのかなと。単純化することによって、かえって見えなくなってしまうところもあるというのが、このグローバルサービスの一つのある種の盲点なのかもしれないなというふうにも思います。ちょっと回答になっていないかもしれませんけれども、そんな風に認識をしております。

【内山委員】非常によく分かりました。

ただ、お話を伺っていて思うのは、結局、どんどん市場細分化されていて、細分化された市場はそれぞれ独占市場になるんで、おのずと、逆にプラットフォーマー側が有利な交渉ができるよなという印象もちょっと受けます。

【NexTone(荒川氏)】そうですね。その御懸念点というのは非常によく分かりますし、我々としてもそれは常に考えなければならないと認識をしております。

【太田主査】よろしいでしょうか。ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。ありがとうございます。

それでは、続きまして、ただいまのお二方からのヒアリングを踏まえて、意見交換を行いたいと思います。御意見等がございましたら、お願いいたします。また、もし御質問があれば、このタイミングでもお受けいたしますので、それでは、よろしくお願いいたします。に兵員、どうぞ。

【仁平委員】日本ネットクリエイター協会の仁平と申します。JASRAC様もNexTone様も、本当にすばらしいお話ありがとうございました。

本日のテーマであるDX時代のという切り口から、私なりの意見を2つ言わせていただければと思います。

1つは、実は日本ネットクリエイター協会(JNCA)からも、そしてJNCAの傘下の団体からも、Content IDには楽曲をかなり提供させていただいて、恐らく数百曲出させていただいていると思うんですが、結構いろいろなトラブルが起きています。本当に毎月のようにというか、毎週のように私もあたふたしていて、そのたびにNexToneの御担当者様にも本当にいろいろとお世話になっているんですが。

そこで1つ、こういうことがあったらいいなというのがありまして、それは先ほども楽曲の存在証明のお話もありましたが、この楽曲は誰々さんの楽曲ですよというデータベース、日本には今、J-WIDというJASRACさんのデータベース、そしてNexToneさんのデータベース、大きく2つあるんですけども、ほかにはMINCというのもあります。そちらのほうにタイトル名と作詞・作曲者名等は当然書いてあるんですが、どの音源なのかというのは、デジタル的なものがそこには登録されていないです。例えば、有名なボカロ楽曲で「千本桜」というのがありまして、その「千本桜」ってどんな音楽なのかというのを知らない人にとってみたら、そのデータベースを見ても、「千本桜」というタイトルと黒うさPという名前しか出てこないんです。なので、せっかくデジタルの時代、DX時代ということなので、フィンガープリント情報なのか、その他、そういう音源が特定できるような情報も含めて、そういうデータベースの必要性があるんじゃないかなと思います。

そのデータベースには、もうグローバルな時代なので、アメリカで「千本桜」って何て呼ばれているんだとか、中国ではどういう表記なのかというのが結構いろいろあるわけです。僕らは僕らで、中国では実はこういう表記で出ているよとかというのを独自に調べているんですけど、それは僕らが持っている情報であって、そんなのどこにも出ていないんです。なので、その世界各地でこの楽曲がどう呼ばれているかデータベースみたいなのも、そこに入っているといいかなというふうに思います。これが1つです。

もう一つは、実はYouTube Content IDってとっても便利なんですが、例えば音楽を1人の人間が権利を持っているんであれば、著作権は基本的には管理団体さん経由で入ってきますが、原盤の権利を1人の人間が持っているんであれば、それこそNexToneさん経由で我々のところにその原盤のContent IDの金額が入ってきて、それで終わりなんですけども、UGCの場合、複数の人間が権利を持っている原盤というのは多数存在します。音楽原盤だけじゃなくて、これは音楽著作権でも隣接権でも何でもないんですが、この音楽がはやった背景には、この動画があったよねとか、このイラストがあったよねとか、この踊ってみた方の存在があったよねというのがあって、例えば「千本桜」で言うと、つくったのは黒うさ君という作曲家、作詞家、音源製作者なんですけども、絵を描いたのは一斗まるさんという女性の方で、その一斗まるさんの作品の裏には角川さんが権利を持っている「千本桜」という小説のストーリーがあって、さらにその動画をすごく格好いいのをつくってくれたのは三重の人という方で、さらにそこに出てくる初音ミクというのは当然のことながらクリプトンさんのキャラであると。そういうふうに複数の権利者がいて、「千本桜」というのがヒットしたよというのがあります。

ちょっと内輪の話をしてしまいますと、ニコニコ動画では、実は「千本桜」が流れたときの広告印税というのは、今言った人たちにふわっと分けられるコンテンツツリーという機能があったりするんですが、YouTubeの場合は、基本的にContent IDを登録した企業さんにぽんと1本入ってくるだけというのがあります。なので、これはYouTubeさんの問題なので、どうしろという回答も何もないんですけども、今後DX時代というふうになったときには、実は著作権とか著作隣接権とか、つまり、原盤の権利とか実演家の権利だけじゃない、いろいろな権利が複雑に絡まってヒットした曲というのがたくさん今後も出てくるので、そういった人たちにお金が何かしら、ちゃんとスマートコントラクトみたいなものをつくっておくんでしょうか、うまく流れるような仕組みというのも必要なのかなと。

これはYouTube Content IDをこうしてくれという話じゃないです。あくまでもDX時代にというテーマだったので、こういうようなことがあるんじゃないかなということで、以上2点、僕のほうからの意見として出させていただきたいと思います。ありがとうございました。

【太田主査】ありがとうございます。御意見として扱わせていただきます。

ほかに御意見等、あるいは御質問ございますでしょうか。菅委員、どうぞ。

【菅委員】ありがとうございます。今日はとても興味深いお話ばかりで、発表されたお二方、本当にありがとうございました。

著作権的には素人ですけども、つくる側、見る側として、何点か意見を言いたいと思います。

1つは、先ほど自覚的だというお話がありました。これはとても大切なことだと思います。例えば、プラットフォームがContent IDで検索されたことに従って払ってくれるよとなると、アップロードするユーザー側が勝手にどんどん、どうせ払ってくれるからいいやといって無法地帯になるおそれがありまして、それは海賊版みたいになってしまわないかと私は心配しています。YouTubeでも、あとTwitterのスペースでもそうですけれども、今、プレイリストを流します的な番組がたくさんあるんです。でも、普通、人の曲、僕のプレイリストですって流しっ放しにしていいんでしょうかと私はいつも思うんですよ。もしYouTubeだったら引っかかる、ちゃんと権利が発生するかもしれませんけど、Twitterのスペースで、それ、できるのかな。

それを例えばデスクトップ音源として録音したりする人も多分いると思うんです。これ、違法だと思うんですけども、それは楽曲の紹介とかじゃなくて、本当に海賊版としてしか扱えないんじゃないかなといろいろ考えたりします。どうすればいいかというのは分からないですけども、その無自覚にアップロードするというのをやめるためには、何回かここでも申し上げましたようで、クリエイター側、もしくはアップロードするユーザー側にしつこく告知をしないといけないと思うんです。今回、DXということ、また透明性ということがありましたけども、君たちがこれをアップロードした場合に、こういう仕組みで、ちゃんとこうやってお金が行くよ。こういうやり方をしたら、この人たちにお金が行かなくなるので、いいほうでやってくださいねみたいな、ちゃんとした誘導を、それこそ小学校からおばあさんまで、ずっと言い続けないといけないと思います。

例えば、YouTubeの、先ほど踊ってみたとかも全部クロールされているということだったんですけども、私が知っているダンサー系の人で、オリジナル曲をそのまま流すと多大なお金をJASRACから請求されるのと思い込んでいるで、わざと私たちは歌ってみた音源を使っていますというテロップを出している人がいます。それ、どうですか。私はお金関係、分からないんですけども、それはクリエイター側にしても、ユーザー側にしても、権利団体側にしても、すごい損じゃないですか。これをまともにちゃんとした曲を使ったら幾らかかって、もし歌ってみたを使いたいんだったら、この歌ってみたの人がすごい好きだから、オリジナルじゃなくって歌ってみたを使うんですという愛情がなければ、正しい文化発展はできないと思うんです。逃げ道のように歌ってみたを使うなんていうのは、とても失礼なことだと思うんですね。

だから、それはどうなって、どうしているかというのは、ユーザー側が知らないといけない話なので、これからもっと広報のほうに、あと、決まってから広報じゃなくて、今こういうことを一生懸命私たちは話し合っていますよという途中経過でもいいので、広報をすごく考えていただきたい。これは文化庁なのか、権利団体なのか分かりませんけども、しつこく広報する方法をぜひやっていただきたいと思います。

それから、先ほど裾野の派生作品まで全部拾ってくださるというのは、とてもそのクリエイターの励みになります。それはとてもいいんですけども、それをどうまとめて、その元に分配するのと、あと派生作品をつくった人に分配するのと、それもちょっと難しいことは分かっているんですけども、それも派生作品をつくるときに、僕がこれをつくれば、この人にはこういういいことがあって、こちらにはこういういいことがあって、このプラットフォームがこれだけ払ってくれて、もしかしたら僕はこれだけ払わなくてはいけないという。そういう、つくる側、アップする側の自覚をしっかり促すことが、今、あやふやになっている崩れたパイみたいな状況を、いや、僕たちは、これで社会を回しているんだという、もっと大きなパイにして、それぞれの権利団体がもっと細かく、自覚的な人たちから徴収できるパイを大きくする方法として、広報がとても大事になってくるというのが私の意見です。ありがとうございました。

【太田主査】ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。坂井委員、どうぞ。

【坂井委員】すみません、2点ほど。

伊東委員と唐津委員からあった、著作権管理団体のほうでは、プラットフォーマーからもらっているサービス利用料については、少なくとも著しく安い金額ではないという受け止めだったというふうに思っているんですけれども、去年かおととしかのこの委員会だったと思いますけども、事務局のほうで、今回のアップロード型じゃなくてサブスク型なんですけれども、サブスクで1万再生されるぐらいなのに、100万再生されても4万円ぐらいにしかならないみたいな試算を出していただいたというふうに記憶をしています。それと比べると私の中では結構ギャップがあるなというふうに思っていて、そうだとすると、その間に入っている、単純にそれが両方とも正しいとすると、著作権管理団体なのか、それから音楽出版社なのか、そこのところでお金がどうなっているのかというのは、個人的にはちょっと気になるなというふうに思ったところです。

あと、NexToneさんからあったグローバルプラットフォーマーに対する扱いというところについては、現実的な問題として、多分理想論を語ってもしようがなくて、どこまで、どういう実効性を持たせる、担保するのかというところは真剣に議論しないと、あまり意味のないものになってしまうんじゃないかなというふうに思っています。

最後、これは個人的な感想なんですけれども、生貝先生からもあったDSAですか、私もJASRACさんに質問させていただいたんですけれども、そのDSAの観点で情報公開というのをどうしていくのかというのは、ちょっと観点が大きくなってしまうかもしれないんですけれども、重要な論点じゃないかなというふうに思っています。

以上です。

【太田主査】ありがとうございます。

ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。ありがとうございます。尽きたようでございます。

では、続きまして、その他に進ませていただきます。その他、全体を通じて何か御意見等ございましたら、お受けしたいと思います。何かございますでしょうか。生貝委員、どうぞ。

【生貝委員】すみません、もう一個だけ。先ほどDSAのことをちょっと申し上げたんですけれども、この分野に限らず、デジタルプラットフォーマーのこういう交渉力関係ですと、DMA、デジタル市場法のほうも重要で、どの分野が、どの条文が今回のテーマにかかってくるか分からないんですけれど、例えばデジタル市場法のコアプラットフォームサービスには、ビデオシェアリングサービスというのもカテゴリーとして明確に含まれていて、もしかするとあんまりこういうパイ系の情報とかないかなと思うんですけれど、最恵国待遇条項の禁止ですとか、こういうレベニューシェアの在り方にも影響を与えることなんかが多かったりするので、適正な対価還元との関係では、競争不履行はもちろんなんですけど、DMAですとか、あるいは各国、今、ドイツ法ですとかイギリス法ですとか、いろんな形でこの分野動いておりますので、フォローしておいてもよいのかなと思ったのが1つ。

あと、これはちょっと余談ですけれど、先ほど菅委員おっしゃっていただいたこと、すごく重要だなというふうに思っていて、まさしくどのプラットフォームが果たしてどのくらいクリエイターのほうに対価がちゃんと還元するようになっているのかということを、何か消費者というか、ファンがちゃんと分かった上で選択できる状況にだんだん近づいていくとすごくよいんだろうなというのを改めて感じたところです。

取りあえず以上です。ありがとうございます。

【太田主査】どうもありがとうございます。

その他一般的な御意見、御質問等ございますでしょうか。どうもありがとうございます。

それでは、少し時間も早いですが、本日の議事は全て終了したものと判断いたします。特にございませんようでしたら本日はここまでとしたいと思います。

最後に、事務局から連絡事項がありましたら、お願いいたします。

【白井著作権課専門官】本日はありがとうございました。

次回以降の政策小委員会ですが、第3回目を1月23日に予定しております。

以上です。

【太田主査】ありがとうございます。

次回、1月23日でございますので、ぜひスケジュールにチェックを入れていただきたいと思います。

では、本日はありがとうございました。以上で終了でございます。どうもありがとうございます。

―― 了 ――

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