文化審議会著作権分科会政策小委員会(第4回)

日時:令和6年2月6日(火)

13:00~15:00

場所:文部科学省東館3F1特別会議室

(オンライン併用)

議事

1開会

2議事

  • (1)国境を越えた海賊版による著作権侵害に対する対応について
  • (2)その他

3閉会

配布資料

資料1
文化庁の国内外における著作権保護の推進(1.8MB)
資料2
墳﨑委員発表資料(5.3MB)
※誤りがあったため、資料の差し替えをしております。(令和6年3月4日)
資料3
伊東委員発表資料(1MB)
資料4
中島弁護士発表資料(3.8MB)
参考資料1
DX時代におけるクリエイターへの適切な対価還元方策に係る現状、課題、論点(案)(485KB)
参考資料2
DX時代におけるクリエイターへの適切な対価還元方策に係る現状、課題、論点(案) 関係資料(3.5MB)

議事内容

【太田主査】ただいまから文化審議会著作権分科会政策小委員会(第4回)を開催いたします。本日は雪の中、御多用の中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は委員の皆様には会議室とオンラインにて、それぞれ御出席いただいております。オンラインにて御参加されている皆様におかれましては、ビデオをオンにしていただき、御発言されるとき以外はミュートに設定をお願いいたします。

議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されている議事内容を参照いたしますと、特段非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方には、インターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところですが、特に異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【太田主査】ありがとうございます。では、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方にはそのまま傍聴していただくこととします。

それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【白井著作権課専門官】ありがとうございます。本日の資料ですが、議事次第にございますとおり、資料1として文化庁から御説明させていただく資料を御用意しております。資料2から4としてヒアリングさせていただく資料を御用意させていただいております。参考資料1及び2は、これまで確認した論点とそれに関係する資料でございます。以上です。

【太田主査】ありがとうございました。

では、議事に入りたいと思います。本日の議事は議事次第のとおり、(1)から(2)の2点となります。早速議事(1)の「国境を越えた海賊版による著作権侵害に対する対応について」に入りたいと思います。まず事務局より、資料1、文化庁の国内外における著作権保護の推進について、説明をお願いいたします。

【小林国際著作権室長】事務局でございます。資料1を御覧いただければと思います。文化庁の国内外における著作権保護の推進のための取組について簡単に御説明を申し上げます。

まず、1ページ目のスライドです。2021年に政府で策定したインターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニューの概要になっております。赤枠が文部科学省や文化庁が関係する取組です。このうち、国際連携・国際執行の強化に関する取組を中心に御紹介します。

2ページ目です。国際連携・国際執行の強化のための文化庁の取組の全体像をお示ししたものです。大きく3つの柱で構成されており、1つ目が著作権制度の整備、2つ目が権利行使強化の支援、3つ目が普及啓発となっており、これらの柱を基に各種事業を進めております。

3ページ目です。1つ目の柱の著作権制度の整備に関する、これまでの主な取組をまとめたものです。国際機関である世界知的所有権機関(WIPO)に信託基金を拠出して、WIPOとの協力の下、アジア太平洋地域における著作権制度の整備や国際条約への加入の促進、それを担う人材の育成を支援しております。

4ページ目以降では、2つ目の柱の権利行使の強化の支援に関する取組をまとめております。4ページ目の上の部分ですが、中国、韓国、ベトナムの著作権担当部局と定期的に政府間協議を開催し、法整備や取締強化を要請しています。

これまでの成果について簡単に触れますと、まず中国については、平成14年から日中著作権協議を開始し、平成21年には協力関係を強化するための覚書を締結しました。その後、定期的に著作権法制度上の課題や、海賊版の被害状況に係る課題の共有、そして日本の権利者の権利行使支援のための協力要請を当局に行ってまいりました。また、民間も巻き込んだ形での両国のセミナーも実施し、政府間のみならず民間での協力や連携関係の構築に取り組んでまいりました。現在、中国における日本の権利者による権利行使が進んでおりますが、その素地をつくる一助になっていると考えております。

次に、ベトナムに関しては、平成26年に文化庁とベトナム文化・スポーツ・観光省との覚書を締結し、それ以降、定期的にベトナムの要請に応じて、日本の知見を共有するために著作権当局職員の訪日研修を実施してまいりました。この研修はコロナ禍で中止しておりましたが、今年から4年ぶりに再開する予定です。令和3年には、ベトナム発漫画海賊版サイト問題について、この覚書に基づく政務でのオンライン会談が実現し働きかけを行いました。その後も様々な関係者による御尽力の結果、当時、問題視されていた巨大サイト閉鎖の一助になったと考えております。ただし、運営者はまだ逮捕されておらず、その後、後継サイトも生まれており、根本的な解決には至っていない状況です。

さらに、韓国については、平成23年に覚書を締結し、最新の著作権法制度や課題に係る情報共有を図ってきております。本年度は、韓国当局の要請により、日本の海賊版対策における知見を共有するためのセミナーを行いました。韓国も国外における海賊版への対応が課題であり、日韓で連携して対応しようという機運が高まっているところです。

次に5ページ目、上の部分になります。日本のコンテンツの侵害が発生している国々での法制度や取締りの実態の調査、権利者が権利行使をする際に役立つハンドブックのセミナーやその解説のセミナーを行っております。また下の部分ですが、令和4年、インターネット上の海賊版による著作権侵害対策情報ポータルサイトを公開しまして、これらのハンドブックをはじめ、権利行使のノウハウを分かりやすく掲載するとともに、ポータルサイト内に弁護士による相談窓口を開設いたしました。

6ページ目以降は、相談窓口の実績をまとめたものです。窓口の開設からこれまでの1年半の受付総数は451件となっております。これまで個人クリエーターや中小のコンテンツ企業から、自分のイラスト、写真、アニメ、漫画などを無断で利用されたというような相談が多く、また、海外の事業者からのものが多い傾向になります。

続いて7ページ目です。左上の円グラフですが、相談者の属性としては、企業等に所属しない個人の方が多い状況です。また左下には、正規版のイラスト有料サイトが海外の海賊版サイトに転載されていることなどへの相談事例を御紹介しています。右側には利用後のアンケートをまとめています。「おおむね有益」と「有益」を合わせると、9割の利用者に満足いただいている結果になっております。しかしながら、より多くの必要とする利用者にお役立ていただくために、この相談窓口について一層周知に努めてまいりたいと思っております。

8ページ目以降は、一般の方々を対象とした国内外での普及啓発事業の例を御紹介しております。これらの事業を通じて、国内外の著作権侵害を抑制するとともに、権利者の権利行使の実行力を高めることで、正規流通がさらに促進されることを目指しております。

11ページ目、最後のスライドになります。本日の会議では、これから3名の有識者の方々からのヒアリングを行った後で、意見交換のお時間を設けております。このスライドには、その際に委員の皆様から御意見をいただきたい論点の例を挙げております。1点目は、諸外国や国際機関とのさらなる連携の在り方についての改善や御提案、2点目が、国内・国外への普及啓発の在り方、3点目は、相談窓口の運営方法の改善や周知の在り方、そして4点目は、後ほどヒアリングでも御紹介いただく予定ですが、デジタルプラットフォーム上での著作権侵害も課題になっている中、そして権利者は対価還元の機会を逸する反面、投稿者やプラットフォーム事業者は広告収入を得ることもあり得るという特殊性がある中で、それらを踏まえてどのように対応するかといった点。そして5点目は、そのほかにも文化庁としてどのような海賊版対策が考えられるか。これらの論点例について御意見を頂戴できますと幸いです。

事務局からの説明は以上でございます。ありがとうございます。

【太田主査】ありがとうございました。ただいまの御説明について、御意見、御質問がございましたらお願いしたいと思います。……御質問がないようでしたら、次へ行きますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、議事を進めさせていただきます。

本日は、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構より墳﨑隆之委員、一般社団法人ABJ、集英社より伊東敦委員、弁護士法人東京フレックス法律事務所の弁護士であり、漫画原作者としても活動されている中島博之様に、インターネット上の著作権等侵害に関してそれぞれ御発表いただきます。

それでは、まず初めに、資料2に基づきまして、一般社団法人コンテンツ流通促進機構の墳﨑隆之委員より御発表いただきます。それでは、お願いいたします。

【墳﨑委員】ただいま御紹介にあずかりました、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構の墳﨑と申します。どうぞよろしくお願いいたします。今日はこのような場で発表させていただく機会を設けさせていただき、ありがとうございます。

コンテンツ海外流通促進機構、通称CODAと申しますけれども、本日は現状のコンテンツの被害の状況と、このCODAがやっている海賊版対策の取組について、網羅的な話にはなりますけれども、御説明させていただければと考えております。

次のスライドをお願いします。まず、日本のコンテンツをめぐる状況を簡単に概観させていただきたいと思います。現状では、世界のコンテンツ市場は非常に広がっているところではありますけれども、日本の市場自体については、ちょっと古い資料ではありますが、そこまで大きく広がっている状況ではないという状況です。

次のスライドをお願いできますか。他方で、それに対して日本のコンテンツホルダーの皆様はそこまで海外の売上げが多いわけではないです。MPAAのアメリカのメンバー6社の売上げと比較しても、ここで表を出させていただいておりますが、これだけの差があると言われているところではございます。そうすると何が問題かというと、海外における権利行使に対してかけられる費用がそこまでまだ大きくはないんじゃないかというところがございます。かつ、海賊版対策というところで考えますと、1つのサイトには複数のコンテンツホルダーさんの作品が並んでおりますので、1社が対策を講じたとしてもほとんど意味をなさないというところがあります。もちろんその会社さんの作品は消えますけれども、サイト自体には大した痛手はないというような状況が生まれておりまして、そういったところを考えても、共同の権利行使が必要な状況にあります。

続いてのスライドをお願いいたします。さらにオンライン環境の変化によって、コンテンツはオンライン上ではコピーをハードよりもさらにしやすくなっているという状況下で、かつ、使用している媒体もパソコンからスマートフォンに移っていって、若年層が見やすくなっているというような状況にもあって、こういった風潮があって海賊版の被害はなかなか拡大していっているという状況にあるかと思います。

そこでCODAでは、2022年に被害額の推計を行っております。次のスライドをお願いいたします。こちらは日本コンテンツの海賊版の被害額の推計を示したグラフになります。最初に申し上げておきますと、あくまで推計ですので、この数字自体が絶対だというわけではないということはあらかじめ御認識いただければと思っております。実際、海賊版は至るところにあるわけで、我々がその全部を把握できるわけではないです。そんな中で、さはさりながらどれぐらい被害が出ているのかということを、ある程度、消費者アンケートやそういったことを踏まえて計算してみようということで計算して出してみたものがこちらになります。

2019年にも同様の調査をしておりまして、その際の被害額はおよそ3,000億から4,000億だったんですけれども、2022年の結果では約2兆円と非常に大きくなっております。これは算定式によるところもあるんですけれども、そもそもコンテンツの市場は先ほど申し上げましたとおり、世界的に大きくなっているというところと、そのほかの要因としましては、アンケート結果によるものではありますが、海賊版を見たことがあると答えた方が、以前の調査よりも割合が増えていることや、その1人当たりの消費本数、何本見たことがあるかとか、そういったことに関しての消費本数が増えていることや、さらには転換率という言い方をしていますけれども、仮に正規版が売っていたとしたらそちらを買いますかということで、正規版を買う人の転換率も上昇傾向にあることから、被害額が上がっております。

つまり、海賊版があったとしても無料だから見ているという人は、正直言うと被害額の中に本来含められるべきではないですけれども、海賊版がなくて正規版があるなら見ますというような方が多ければ多いほど被害額は上がるということになりまして、その方たちの割合が以前よりも大きくなっていることから、このような被害額の増加につながっております。

次のスライドをお願いします。様々な形で運営者と視聴者がどういうところにいるのかというのは日々変遷しております。一番当初は日本コンテンツなので、サイトにアップロードする人間も視聴者も日本にいるというパターンがほとんどではあったんですけれども、だんだんその運営者が海外に行ったり、視聴者も海外の者が見て被害が拡大しているというような形で様々な形での侵害が行われております。その中で海賊版対策を実施しているのが私の今所属しているCODAという組織になります。

CODAの説明は時間の関係もありますので、少し割愛させていただいて、9枚目のスライドまで行っていただけますか。CODAの対策としてまずやっていることは、CJマークというものをパッケージや映像に入れることで商標権侵害などで対策を取っております。実際これをやって、様々な、かなりこれは古い事業になりますけれども、実際に世界各地でこれに基づく権利行使は行わせていただいております。

次のスライドをお願いいたします。さらにそういったものとか、あとはアメリカのモーション・ピクチャー・アソシエーションなどと連携して、共同エンフォースメントというのをCODAでは行っております。これは中国、香港、台湾で主に行っておりまして、古くは2005年から実施しておりますけれども、2023年の3月までの集計ですと、このように、中国では1万件を超えていますというような件数の共同エンフォースメントを実施しております。

先ほども申し上げましたけれども、1つのコンテンツホルダーのものだけを取り締まったとしても、それほど痛手にはならないので、そこは共同で皆さんで力を合わせてやるというような手法で、かつ、ハリウッドの会社とも連携しながら行うということで、効率的な対策を実施しております。これはあくまでハードの話になります。

続きまして、次のスライドでオンラインの話をさせていただきたいと思いますが、もちろん最近は、先ほど申し上げたとおり、オンラインのほうに被害が移っておりまして、様々な形でコンテンツが流通しているということになっております。詳細は割愛しますけれども、SNSで流れていたり、この後ほかの委員の先生からも発表がありますが、様々なプラットフォームの中で流通するということもなされております。

次のスライドをお願いします。これは一部ではありますけれども、海賊版サイトは広告で様々な形で収益を得ております。UGCサイトで、ユーザー投稿サイトでも広告はありますし、後程出てきますけれども、リーチサイトでも広告が掲載されて、それにより収益を得ていて、今、要は視聴者からお金を取るという形はほとんどなくて、無料の配信をしながら、広告によって収入を得ているという現状が生まれております。

続いてのスライドをお願いします。さらに、この違法配信が様々な形で行われていますけれども、これは巧妙化の一途をたどっております。いたちごっこみたいなものです。要は、動画の配信に関してコンテンツホルダーが検索をして削除するというのをひたすら続けているんですけれども、その検索に引っかからないようにするために、動画のタイトルを、キーワード検索を回避するために変えたり、あとは使い古された手ではありますけれども、動画を左右逆転させて配信したりとか、あとは少しだけ音声の速度を変えたり、さらには画角、周りに少し枠をつくって配信するなどして検索を逃れるというような形といった巧妙化が続いているところではあります。

これらの配信に対する侵害対策としてCODAが行っているのが、次のスライド、さらに次。CODA自動コンテンツ監視・削除センターというものをCODAでは行っております。これは権利者の皆さんから事前に照合用のオリジナルのコンテンツのデータをいただいた上で、そこで削除要請をシステムを用いて行っていただくというような形になります。CODAでは目視のチームとシステム両方を持っていて、それを踏まえて、こういうのがありましたということを権利者さんにお伝えして、そこでシステムで権利者から削除要請が各動画サイトに飛んでいくというようなシステムを御提起しております。

続いてのスライドをお願いします。これがコンテンツ削除センターの累計実績になります。これだけの件数を日々送り続けております。実際、削除率は以前は本当に悪かったんですけれども、最近はGoogleの方々も非常に協力的で、削除率はおおむね高くなっております。ただ一部、具体的な名前を出すこともはばかられますけども、SNSのサイトなどではなかなか申請を受け付けてもらえないといったことはまだまだあって、そういったところとは引き続き対話をしていかなくてはいけないと考えております。

あとはそのyoukuとか中国系のサイトもCODAでやるとほぼ削除されるんですけれども、ただ、CODAは中国の様々な機関と連携を取っている関係で削除率が高いというのもあって、普通に権利者の方が削除要請してもなかなか消えないというような現状も伺っております。そういった相談を受けたときはCODAから削除要請して消すという対応もやらせていただいておりますけれども、そういったこと分け隔てなく削除できる環境を各プラットフォームには求めていく必要が引き続きあるのではないかと考えております。

さらに、オンライン侵害は複雑化しておりまして、これはかなり前の1例ですけれども、anitubeというブラジルのサイトがあって、サイト運営者はブラジルにいるけどサーバー所在地はアメリカで、ドメインはスウェーデンで登録しているというようなことがあって、どこで対策すればいいのかというところで、色々な国にまたがって対策が必要になっているという現状が生まれております。

さらに巧妙化していくと、段々とインターネットの匿名性を利用していく形になって、データ関連の法律があまり厳しくない国のサーバーとかを用いて匿名性の高い管理者のところからドメインを受けて対応するということもありますし、さらに、次のスライドをお願いします。

例えばこういったドメイン登録サービス、今言ったようなNjallaという、例えばですけれども、これは完全匿名性で、そもそも登録するのにメールアドレスぐらいしか必要なくて、情報をそもそも持たないというような形のサービスなども出てきていて、なかなか運営者の特定が難しいという状況が、結構前からですけれども続いている状況にあります。

ほかの巧妙化として、スライドは用意していないですけれども、例えばある国の運営者、中国の運営者が、中国では見えないサイトだけどほかの世界中では見えるというようなサイトを用意した場合などもあって、その場合、中国国内でその運営者を取り締まろうと思っても、中国国内での権利侵害が本当にあるのかというような疑問とかを当局が持ってしまって、なかなか対応できないとか、そういった問題なども起こってきております。

続きまして、さらにこれも簡単に御説明しますと、要は不正ストリーミング視聴機器というものが最近では出てきております。これはテレビに機器を接続するだけで生放送の日本のテレビとか、そういったものが見られてしまうと。本当に数秒のずれ、10秒とかそれぐらいのずれで世界各国のテレビが見られるというような機器が海外で流通し出しているということも確認しております。

次のスライドをお願いします。こういった形で差し込むとこういった画面になって、どれでも見られますよと。もちろん無料で見られるというものになっております。機器のお金は払うんですけども、視聴自体は無料だと。これに関しては、23枚目のスライドでお願いできますか。台湾で摘発した事例などもございます。ただ、機器を売っているだけで摘発できるのかというのはなかなか疑問のあるところで、このケースですとアップロードもやっていた方々だったので、台湾で著作権侵害で摘発することができております。

CODAでは、こういった侵害対策がある中でなかなか難しいところもありますけれども、悪質なサイトを絞って、オンラインセキュリティー対策の専門家と連携したりして、何とか運営者を特定して権利行使を行っております。フォレンジック調査や、SNSなどを用いたオンラインプロファイリングなどして、運営者を特定できたものに関して摘発を行う、権利行使を行うということを実施しております。

最近の事例では、2023年にB9GOODというので結構有名な海賊版サイトではあったんですけれども、ここをまさに中国で権利行使することができました。これは先ほど申し上げた、まさに中国では見られないサイトだったんですけれども、たまたま見られる時期があって、それを踏まえて権利行使できたという事例になっております。

次のスライド、さらにブラジルにおいて政府と連携した上で、大規模な摘発を実施していただき、合計36サイトの閉鎖が実現したという事例もございます。

次のスライドをお願いします。また、さっきお話がありましたけど、まさに皆様の御尽力のおかげで、著作権法が改正されて、リーチサイトが違法化したこともあって、それを踏まえた権利行使なども行われております。

あとは時間の関係もありますので、ゲームプレイ動画のアップローダーの逮捕といった事例などもありますので、併せて掲載させていただいております。

これらは、全部直接的な対策で、運営者が分かる対策になっておりますが、先ほど申し上げたように、運営者というのは分からないことも非常に多くて、それに対してどう対応していくかというのも一つの課題となっております。CODAでは、間接的対策と言っておりますが、これに対して、色々な周囲から外堀から埋めるというようなことをやらせていただいております。

次のスライドでお願いします。まずフィルタリングというか、セキュリティソフト会社さんと連携した上で、そこに海賊版サイトの情報提供をした上で、そこにユーザーさんがアクセスしようとしたときには警告表示が出るというような対策を行っております。

続きまして、その次のスライドをお願いします。あとは検索結果表示抑止です。Google様と特に連携させていただいておりますけれども、検索結果の表示抑止ということで、CODAは、Trusted Copyright Removalプログラムに参加させていただいていて、これに基づいて海賊版サイトの情報を提供して、検索結果から削除していただくというような取組をしていて、これを大量にやることでサイト全体の表示のランキングは下がるというような形で対策を進めさせていただいておりますし、また、2018年には、Googleなどの関係者との間で「著作権侵害コンテンツの検索結果表示に関する検討会」というものも発足させていただいております。

また、広告は先ほど申し上げておりますとおり収入源となっておりますので、広告の団体とも連携した上で、広告の団体に侵害サイトのリストを提供することで、そういったサイトに広告は出稿されないようにしてくださいというようなことを協力して行わせていただいております。ちょうど昨日ですか、昨日にも定期会議というのが行われて話しているところです。この広告の出稿抑止というのは世界的にも行われているところで、WIPOでも行われております。これについては日本のCODAからもWIPOに情報提供を行っております。

あとは正規流通促進への取組と取締機関のトレーニングセミナーなども、もう2005年からずっと行っていて、実際にもう127回、2023年3月までで開催して、正規コンテンツへの理解を深めていただいておりますし、普及啓発活動、先ほど論点の一つに出ておりますけれども、こちらも様々な形で行わせていただいております。日中韓で共同キャンペーンを行ったり、不正商品対策協議会に参加して、そこで「ほんと?ホント!フェア」などの実施に参加するということをやらせていただいております。

続いて、スライド38ぐらいまでお願いします。あとは海外での正規版啓発活動なども行わせていただいております。

時間がないので駆け足になりますが、さらに、最近では教育というか、10代の若者向けに普及啓発をしていく必要もあるだろうということで、経済産業省様の受託事業として、新たに教育プログラムの提供も行っております。

さらに正規版の流通ということで、次のスライドで、動画配信サイトと日本のコンテンツホルダーとの顔合わせ会というようなことも行わせていただいております。

以上、駆け足になってしまいましたけれども、CODAが行っていることを網羅的に発表を行わせていただきました。CODAの今の課題としては、先ほど申し上げたとおり、どうしても運営者が見つからないケースが多いんですね。それに対してセキュリティー対策の専門家などを交えて実施していても難しいという点がどうしても残ってしまって、インターネット上のシステムとしてどうにかできないかというのが一つ課題としてはあるかと。

さらに、せっかく運営者が見つかっても、それに対する権利行使がなかなかうまくいかないというケースも少なからずあります。ある国では、起訴されてからもう3年4年、刑事の第1回の公判期日が行われないなどということもあって、せっかく運営者を、お金をかけて見つけても、そこから先が進まないというようなこともあって、それらの裁判制度を、今後各国にちゃんと実施していただきたいという点も必要なことになってくるのではないかと思っております。例えばですけれども、ほかに被害を受けている国と連携して、そういったこと、そういった国に対して、もう一度そういった権利行使の実行に関して要望していくというようなことも今後考えていけるのではないかと考えている次第です。

以上、非常に速足となって大変恐縮ですが、私の発表は以上になります。御清聴ありがとうございました。

【太田主査】どうもありがとうございました。ただいまの御発表について御質問がございましたらお願いします。なお御意見につきましては、全ての御発表が終わった後にまとめて意見交換の時間を設けますので、その際によろしくお願いいたします。御質問はございますか。坂井委員、どうぞ。

【坂井委員】発表ありがとうございました。御紹介いただいたISDというんですか、について、私の理解だと、誰かが不正にインターネット上にストリーミング配信をしていて、それをこの機器を買うと、多分インターネット経由で受信ができてテレビで見られるものと理解したんですけれども、何となく、ストリーミングということなので、多分日本の著作権法上だとダウンロードと差があるということと、それから、この機器の販売自体とその視聴というのは今、法的にどういう扱いになっているんでしょうか。

【墳﨑委員】そこがまさにグレーゾーンというか困っている点でして、機器自体には、正直言うと何も入っていなかったりするんです。そこに視聴するためのアプリが入っているケースもあれば入っていないケースもあるんですけども、ユーザーにアプリをこういった形でダウンロードしてくださいといってダウンロードさせてストリーミングができるようなケースなどもあって、もちろんそのストリーミングで配信している行為自体は著作権法違反ではあるんですけれども、この機器自体を売ることが著作権侵害になるのかというと、我々のスタンスとしては幇助とかになるんじゃないかと、共同不法行為になるんじゃないかと言えるとは思うんですけれども、何分そこは法解釈として確立はしていないのかというところなので、その辺は明確にしていけるといいというところではございます。

【坂井委員】ありがとうございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。ほかに質問はございますか。仁平委員どうぞ。

【仁平委員】日本ネットクリエイター協会の仁平と申します。僕が聞き漏らしていたのかもしれないんですが、なぜ違法の著作物を見てしまうのかというアンケートといいますか、その結果として、どういう理由で、つまり単にお金がないからなのか、ほかにも何か理由があるのか、その辺りをもう一度教えていただければと思いまして。

【墳﨑委員】詳細に覚えてはいないんですが、お金がないというのも当然あるんですけども、そもそも正規版が見つけられないというところももちろんあって、その割合については、追って別途何らかの形で御回答したいと思います。手元に今、完全な資料がないので、申し訳ありません。

【仁平委員】ありがとうございます。

【太田主査】では今村委員、次いで河野委員。

【今村委員】私から2点御質問がございます。1点目は、先ほどのISDの件で、台湾では摘発がうまくいったということで、日本のコンテンツホルダーが、取締りが功を奏した世界初の例ということで挙げられていました。これは台湾で数年前にこれに関する法改正をして、この機器に関する規制を明確化したと聞いておりまして、そのおかげだと思うんですが、ほかの国ではその辺の法規制があまりまだ明確になっていないと、グレーゾーンだというので摘発にはほぼ至らない状態なのか、台湾が非常に特殊な例なのかというのがまず一つお伺いしたい点です。

もう一つは、3ページ目のところで共同エンフォースメントという話が出ました。日本のコンテンツホルダーが共同してやっていったらいいんじゃないかということですけども、共同でやるのであれば、むしろうまくやっているディズニーとかとやったほうがうまくいくというか、経験も豊富そうですし、そういった海外のこういったメジャーとの協働というものも視野に入れていたり、あるいは今までそういった実績があるのかという点をお伺いできればと思います。

【太田主査】よろしくお願いします。

【墳﨑委員】ありがとうございます。1点目ですけれども、台湾は稀有な例だという理解です。ただ、さらに先ほど御紹介した事例でも、アップロードも一応行っている人間ではあったので、そこであまり疑義が生じない部分もあったというのもあり、摘発に踏み切っていただけたと理解しております。

あと後者の点は、MPA、要はアメリカのハリウッドメジャーとの連携は、CODAは設立の早い段階から連携はしておりまして、スライド番号10番を御覧いただければと思いますけれども、もともとハードで非常に協力をしておりました。MPAはハリウッドメジャーの団体ですけれども、その団体が権利行使するところに日本も参加させていただいて、それで権利行使するというようなことを行っていますし、今でもネット対策についても、アメリカの各コンテンツホルダーのMPAとは連携して行っていて、他国におけるサイトブロッキングとか、そういうのにも参加させていただいたり、日々情報交換も行っているところではございます。

ただ、最近の傾向としましては、日本のコンテンツと欧米系のコンテンツが同サイトに載っているかというと、なかなかそうではないケースも多くて、連携できる範囲は限られてくる部分もあるのかと。他方で、中国とか韓国のコンテンツと同じところに載っているというところもあったりしますので、その辺りは今後、ほかの国との連携は、最後に申し上げさせていただきましたけれども、進めていけたらと思っているところではございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。

【今村委員】ありがとうございます。

【太田主査】河野委員、どうぞ。

【河野(康)委員】ありがとうございます。御説明どうもありがとうございました。この間、対外的も含めまして、CODA様には粘り強い対応を行ってくださっているということが御発表でよく分かりました。私は消費者でございますので、川下側、ユーザー側に対する対策として、先ほど御教示くださいました10代のデジタルエチケットに関しまして、作成されてちょうど1年ということだと思いますけれども、これの効果ですとか、それから現状の浸透具合、それからさらにユーザー側に何か望むことと言いましょうか、皆様がこの間対策をされていて、本当にネット環境はどんどん利便性が高まっていますが、ユーザー側に、何かもう少しこういうところを頑張ってほしいということがあれば、そういったところの御示唆もいただければと思います。よろしくお願いします。

【墳﨑委員】ありがとうございます。この反響は今把握していないので、それはまた追って何らかの形で御報告をさせていただきたいと考えております。ユーザー側の、なかなか難しいところではあります。こういうことをしてほしいというのは、もちろん海賊版を見ないようにというのがもちろんあって、コンテンツのサイクルというのはよく昔から言われていますけれども、そこで収益が上がって初めてコンテンツが回って新しいコンテンツが生まれるんだというのはずっと言われるところで、それを認識していただいて、ユーザーの皆様も正規版を積極的に見に行っていただくというようなところはあるかと思っております。もちろんそのためには、ユーザーの皆さんが手に届く、業界団体の私が言うことではないのかもしれませんけれども、ユーザーの皆さんが手の届くような利便性の高い形でコンテンツを提供していくというのも重要なことではないかと考えております。答えになっていないような気がするんですけれども。

【河野(康)委員】ぜひこの10代のデジタルチケットを、いろいろなところで視聴していただく機会を増やしていただければと思いました。ありがとうございました。

【墳﨑委員】どうもありがとうございます。

【太田主査】ほかに御質問はございますか。

質問というよりも資料の確認ですが、5ページです.下の表の音楽のところ、2019年ですが、1,552億円の横の数値が359億円となっております。これは正しいでしょうか。

【墳﨑委員】これは多分誤植ですね。

【太田主査】分かりました。あともうひとつ確認ですが,10ページの中国ですけども、データファイルが0個というのは、ブツだけを押さえたということですか。

【墳﨑委員】そうです。基本的にはこれはハードの話ではありますので、これは問題ないかと思っております。

【太田主査】分かりました。どうもありがとうございます。ほかに質問等はございますか。今村先生、どうぞ。

【今村委員】今、御確認いただいた点ですけれども、3,000にすると、2022年、何か数が多過ぎると気がするんですね。誤植というか、グラフの幅を見ると……。

【墳﨑委員】そうですね、逆になっているだけだと思います。これは確認して訂正したものをお送りさせていただきます。

【今村委員】そうですね。音楽はストリーミングサービスとかで産業がうまく回って、被害額が減っているとか、そういったことも影響があるのかもしれないので、後で御確認いただければと思います。

【太田主査】では、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

それでは、続きまして資料3に基づきまして、一般社団法人ABJ、集英社、伊東敦委員より御発表いただきます。それでは、よろしくお願いいたします。

【伊東委員】ただいま御紹介にあずかりました、一般社団法人ABJで広報部会長を務めておりまして、一方、出版社の集英社で海賊版対策の現場にかれこれもう10年以上おります。ABJという、いろいろな業界と連携して対策をする立場と、あと個社が頑張る立場の両方の視点から今日は話させていただきます。よろしくお願いします。

では、次のスライドをお願いします。これは一般社団法人ABJで継続してまとめている日本人向けの出版物海賊版サイト上位10サイトのアクセス数の合計を折れ線グラフにしたもので、いろいろなところでお見せしておりますが、もしかすると初めての方がいらっしゃるかもしれませんので、一通り説明させていただきます。

左端が2020年の1月で、コロナがちょうど始まるぐらいのときで、2020年の4月7日、初めてのコロナの緊急事態宣言になります。その辺りから海賊版サイトへの日本国内からのアクセスが伸び始めました。4月ぐらいの段階で上位10サイトの合計が1億を超えまして、この1億というのはトピック的な数字ですけれども、皆さん御存じの、非常にニュースで話題になった漫画村という海賊版サイトの最盛期のアクセス数が1億だったので、上位10サイトの合計とはいえ、それを超えてしまったと。そこから、巣籠もり需要を捉えたと推測されますけれども、アクセス数がどんどん伸びていって、2021年の秋ぐらいには合計アクセス数が4億というとんでもない数字になってしまいました。

もちろん我々も手をこまねいていたわけではなくて、様々な対策を講じて、各省庁やCODAさんも含めた関係各方面と連携して、例えば漫画BANKという超巨大サイトと、あと2022年の3月には漫画BANKに匹敵するような超巨大サイト2つ、これはベトナムに運営者がいると推測される海賊版サイトですけれども、合計3つ、月間アクセスが1億ぐらいに達していた3つのサイトを閉鎖に追い込みました。それでガクッとアクセス数が下がりましたが、それでも2億という数字をずっとキープしておりました。

この2億という数字は、漫画村の最盛期の2倍になります。異常事態が継続している状況でしたが、2023年に入ってから徐々にアクセス数が下がっていって、1億5,000万を切って、直近では1億2,000万というところで、若干11月から12月にかけて揺り戻しもありつつ、1億2,000万ということで、非常にいい方向に向いています。それでも漫画村の最盛期を超えるアクセス数になっております。

海賊版対策の現場の人間からすると、もう毎日のようにインターネットを見ていて、新しい海賊版サイトが生まれていないかというのをチェックしていますが、毎日のように新しい海賊版サイトが誕生して、または発見して、急速にアクセス数を伸ばす海賊版サイトも出現しています。まだまだ予断を許さないかと。

先ほど、CODAさんが丁寧にこんな海賊版サイト対策をしているとおっしゃっていましたが、あれだけ頑張っても海賊版サイトはなくならないという事実のほうが大事かと。その点を皆様の心に留めておいていただければと思います。

それで次のスライドをお願いします。これは具体的に上位10サイトのアクセス数それぞれを細かく書いたもので、一般公開されるということで、サイト名やURLは墨塗りしておりますが、一時期は1サイトで1億に達する巨大サイトがありましたが、今は2,000万ぐらいがせいぜいで、中堅のサイトが多数存在するという方向性に向かっている感じは、ここ一、二年の傾向です。出るくいは打たれるというか、超巨大になると我々はそこを頑張ってたたき潰すよう動くので、それをたたき潰すとガクッと減らせますが、中堅サイトが多数あると、なかなか全部をしらみ潰しのようにたたき潰せなくて、向こうも複数のサイトを運営してリスクヘッジするというような形になるかと思います。

このスライドで重要なところは、右側に「ベトナム系濃厚」「ベトナム系」と記載しておりますが、かなりのサイトがベトナムに運営者がいると推測される、これは発信者情報開示請求、サイト構成の類似性など、もろもろのことからベトナム系と推測しております。ベトナム発の海賊版サイトが非常に増えているという状況です。

次のスライドをお願いします。それでABJでは、タダ読みされた金額、被害額ではなくタダ読みされた金額と我々は申し上げております。実際に売上げがこれだけ下がったと主張するつもりはなく、実際に海賊版サイトで、コミックス1冊500円として、どれぐらいそれが読まれてしまったのかという金額を推計しておりますが、2020年は2,100億だったのが、2021年はコロナの巣籠もり需要を受けて1兆円というとんでもない数字になり、それを、サイトを3つ潰して2022年は5,000億に減らし、2023年の年間は幸いなことに3,818億という数字が、ほんの1週間前ぐらいにまとまりましたが、2022年から2023年で25%減ということで、非常に良好な数字にはなりました。ただし、繰返し申し上げますけれども、2020年と比較して1.8倍という残念な状況は継続中です。

次のスライドをお願いいたします。出版物の海賊版サイトの全体的な概況ということで、ABJが把握している出版物の海賊版サイト、1月1日のデータですけれども、1,176サイトに上っております。半年前からやや増加という感じで、実はその1,200近いサイトのうち、日本人向けの海賊版サイトは277ということで、一番多いわけではありません。一番多いのは英語に勝手に翻訳された海賊版サイトで446サイト、残りは450サイトぐらいは各国語に翻訳されたサイトになります。言語は下に書いてあるとおり様々で、日本の出版物、特に漫画を中心とした出版物が全世界で愛されているというのが逆に読み取れます。この中で各国語と申しましてもいろいろありますが、実はベトナム語に翻訳されたサイトが160と3番目、英語、日本語、3位がベトナムになります。それ以下は中国語、ロシア語、スペイン語などのサイトが上位になります。

右側はトリミングをしてありますけれども、これは「SPY×FAMILY」がベトナム語に翻訳されて、こんなふうに勝手にインターネット上にアップされているという画像になります。

次のスライドをお願いします。その中では先ほど英語翻訳の海賊版サイトが非常に多いと申し上げました。我々が把握している中で大手と言われる海賊版サイト5つをピックアップしてウオッチしておりますが、その大手5サイトの月間アクセス数の合計が3億にのぼります。日本人向けが上位10サイトで1億2,000万ですから、それと比べて非常に多いという状態が見て取れます。

英語はワールドワイドの言語なので、どんな国からアクセスされているかというのが下になりまして、アメリカは人口も多いですし、あと漫画に親しむ文化が割と早くからあったということで、アメリカがやはり多いです。それ以外にインド、フィリピン、カナダ、イギリスなど、英語を解する国が上位に並んでいます。あと、インドネシアは、インドネシアの皆さんが英語を解するかどうか、私は詳しく分からないですが、人口が多いということで非常にアクセス数が多いという状況になっております。

次のスライドをお願いします。先ほど申し上げた3番目に多いベトナム語の翻訳の海賊版サイトに関しては、頻繁にドメインが変わって、継続ウオッチが難しいのですが、2023年11月の調査では、上位3サイトで2億1,300万ということで、たった3サイトで日本の倍近くのアクセスを稼いでおり、97%がベトナム国内からのアクセスになります。当然人口が多ければアクセスが多いはずですけれども、例えばアジアの国々で、インドネシア語の海賊版サイトは27で多いですけれども、それは人口が2億7,000万いるから多いし、中国に至っては14億ですが64で多いというのは当然ですが、このベトナムは人口が1億でサイト数が160ということで、ベトナム語翻訳のサイトが非常に多いことがご理解いただけるかと。右側に、ぼかしがかかってサイトの画像が掲載されております。この中に日本の作品も当然ありますが、中国の作品や韓国の作品も並んでいて、ベトナムの海賊版サイトの運営者たちはアクセスを集められる人気の漫画作品であればどこの国の作品でもいいやと、勝手に翻訳してサイトに掲載して、アクセスを稼いで広告収益を上げているという現状になっております。

次のスライドをお願いいたします。当然、CODAさんと同じように我々出版界も頑張って対策しておりまして、CODAさんと連携したりする部分もありますが、こんな感じで、まずは個社としては削除要請をたくさん送ると。あと、国内での刑事摘発も頑張っておりまして、昨日今日、ニュースで目にされたかもしれませんけれども、早バレサイトの摘発が熊本県警、新潟県警の御尽力でサイト運営者2人が捕まりまして、実は彼らは外国籍だったりして、海賊版に関わる人間たちが海外だなというのがそれによっても如実に分かるかと思ったりしています。

あと、CODAさんと協力して漫画BANKの行政摘発ができたのは、漫画BANKが超巨大サイトで、いろいろな出版社が困っていたので、単独の出版社がやるよりは出版5社でマンパワーと費用の面を分担して、CODAさんと連携して、あるいはほかの団体さんと連携してやるという、個社ではなく出版社で連携するという枠組みも非常に効率的で、それをうまく使い分けています。

CDNのクラウドフレアの訴訟であったり、漫画村の民事訴訟に関しても、個社がやるよりもみんな一緒にやりましょうというようなことで今動いております。あと、Googleさんとは効率的な検索結果の表示枠組みをつくり上げておりまして、それは別の紙で紹介させていただきます。それから、一般社団法人ABJとしては、「STOP!海賊版キャンペーン」であったり、海賊版サイトリストの作成と利活用をということで、CODAさんに提供して、広告出稿枠組みに利用していただいたり、あるいはセキュリティソフトベンダーの皆さんに提供したり、あるいはスマホの通信事業者の皆さんが青少年フィルタリングを実施しているので、保護者の同意の下、フィルタリングを導入すると、海賊版サイトを含む、違法というか、非常に強烈なアダルト系とか、出会い系とか、そういうサイトにアクセスできないようにするという枠組みにも協力しております。やれることを頑張ってやっておりますが、残念ながらまだ完全に押さえ込める状況にはなっておりません。

次のスライドをお願いします。日本人向けのサイトに関しては、4億から2億に減ったというのが2022年の3月ですが、これはさっき申し上げたとおり、明確な理由があって、各方面の協力をいただき、超巨大3サイトを閉鎖に追い込めましたと。2023年1月から、つい先日12月までは、2億から8,000万円減って1億2,000万に減り、非常に大きな前進でしたが、正確な理由は不明です。

今まで積み上げた対策がようやく功を奏してきたという側面もあるでしょうけれども、2023年に新たに実施したことが2つございまして、1つが、さっき少し申し上げていたGoogleの検索結果非表示措置の迅速な運用と、あと、これまでにない拡散をした「STOP!海賊版キャンペーン」、去年の3月9日からスタートしたキャンペーンは記憶にある方もいらっしゃると思いますけれども、Vaundyという超人気のマルチアーティストに曲をつくってもらって「ありがとう」動画というのを公開しまして、これまでにない拡散をして、いろんなユーザーの人に届いたかなと思っております。

一般社団法人ABJで海賊版ユーザーに、1年ほど前にアンケートを取ったとき、ちょうどこのキャンペーンをやっている期間にアンケートを取ったときは、読んでいる海賊版サイトがなくなってしまったりしてやめるという人もいますけれども、ニュースやネット上や、あるいはいろんな周りの人が、海賊版ってよくないよねという、そういう雰囲気を感じたからやめたという回答が理由の上位に位置しておりました。キャンペーンで、海賊版はよくないよね、面白い出版物を読むためには海賊版読んでちゃ駄目だよねというような雰囲気をつくり出したことが、海賊版を読む人に影響を与えて、この減少をもたらしたのかなというようなことも感じております。

次のスライドをお願いします。先ほどから申し上げているGoogleの検索結果非表示措置の迅速な運用に関してですけれども、先ほどCODAさんの説明にもありましたが、個別の作品のURL、この海賊版サイトに、例えば集英社のONE PIECEの1,106話が上がっていますというようなURLをGoogleさんに送ると、その個別作品ページのURLが検索結果に表示されないというような枠組みはGoogleさんが用意していて、集英社も月に7万件ぐらいそういうURLを送付しています。残念ながら個別のURLの検索結果はすぐ非表示になりますが、たくさんそういうURLが申告された悪質な海賊版サイトは、アルゴリズムで判断されてサイト全体が非表示措置になりますという運用をGoogleさんはされているんですけれども、なかなかサイト全体が非表示措置にならないという状況があります。そこでGoogleさんと出版5社でいろいろ話合いを重ねた結果、実験的な裁判所が関与する枠組みをつくりまして、海賊版サイトが迅速に非表示措置、検索結果に非表示にされるという枠組みを2023年に積極的に運用しまして、正確に言うと、2022年の秋から動き始めたんですけれども、それが非常に効果があったのではないかと推測しております。

我々がこの検索結果非表示措置を実施すると、海賊版サイトは嫌がって別のドメインに替えたりするという傾向も結構見て取れますので、その観点からも非常に効果があったかという手応えがあります。ただし、これは日本人向けの海賊版サイトのみで、海外の翻訳版の海賊版サイトに関しては対応がまだできていないので、今後Googleさんといろいろと話し合ってやっていければとは思っております。

次のスライドをお願いします。今後注力すべきに対策、問題点に関して言うと、もう日本人が日本国内で海賊版を運営しているケースはほぼゼロと思っていただければ。海外に運営者がいて、海外のインターネットサービスを使って運営しているので、海外での法的執行の強化が非常に重要かと思います。例えば、先ほど申し上げたとおり、ベトナム発の海賊版サイトが非常に多いので、民間も頑張っておりまして、あと官庁、政治家の皆さんともいろいろ連携して、例えば文化庁さん、外務省、警察庁、経産省、総務省等々で、ベトナムにおける法的執行を動くよう、いろいろと動いていっても、私も陳情に総理官邸に行ったりとかしたりして頑張っておりますが…。

ベトナムにおいて、さっき言ったとおりサイトは閉鎖に追い込むことができましたけれども、運営者がまだ一向に逮捕されていない。もう本格的に動いてから3年近くになろうとしているのに一向に動いていないという現状があります。今後もしかするとうまくいって、ベトナムにおいてかなり有効な対策が打てるかもしれませんが、次はインドネシアだ、次はミャンマーだといったときに、この3年にわたる努力をもう1回別の国でやらなければいけないかと思うと、非常に気が遠くなるというのが私の率直な感想です。

あと、韓国と中国の連携、CODAさんからも話がありましたけれども、韓国と中国との関係に関しては別紙を見ながら説明します。また海外に向けての啓発活動は一生懸命やっていきたいので、文化庁さんとも連携してやっていきたいと考えております。アウトサイダー的な広告も、これは別紙を見ながらで、あとCDN対策として、今クラウドフレアと訴訟していますけれども、訴訟に勝つだけではなくて、クラウドフレアを海賊版サイトの運営者が使えなくなると非常にアクセスができにくくなります。その結果は明白なので、クラウドフレアさんの訴訟で我々が勝ったのち、海賊版対策に有効な枠組みを一緒につくりませんかという話になったら良いのではと思っております。そういう意味でいうと、海外のネットコミュニティーとの連携強化は必須ですので、これも引き続き取り組んでいけたらと思います。

次のスライドをお願いします。韓国と中国の連携です。先ほども話が出ましたけれども、MPAさん、ハリウッド映画の海賊版が上がっているサイトと、日本の漫画など出版物が上がっているサイトは違うサイトが多いので、直接的な連携が難しいです。ところが、ベトナム発の海賊版サイトを見ていると、韓国、中国の作品も一緒に載っているケースが多いので、韓国と中国と連携してやれるんじゃないかと非常に思っております。ベトナムとかそういう海賊サイトを運営しているところに、日本だけじゃなくて韓国や中国からもプレッシャーをかけるとベトナム政府が動いてくれる可能性が高まるんじゃないかとの期待がありまして、文化庁さんやCODAさんにはここら辺をさらにやっていただければと思っています。

次、最後のスライドをお願いします。広告に関して言うと、「アマゾンに25000円投資して90万円儲けましょう」とか、こんな怪しげな広告ばかりが海賊版サイトに表示されていて、アダルト系も多ければ、スポーツ賭博のサイトもあれば、真っ当とは思えない企業と、そんな企業の広告を海賊版サイトに出稿する広告配信事業者が跋扈していて、海賊版サイトがずっと収益を上げられるという現状が続いています。真っ当じゃない人たちを相手にするのは困難を伴います。これをどう対応していけばいいのかというのが今の課題です。

私からは以上になります。

【太田主査】ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明を踏まえ御質問がございましたら、お受けしたいと思います。菅委員、お願いします。

【菅委員】ありがとうございます。大変基礎的な質問なのですが、先ほどGoogleの検索非表示にするために7万件ほどずっとURLを出している、そして非表示になるとおっしゃっていましたが、そのときに、そのURL自体のページは削除されるけども、そのURLを持っているサイト全体はなかなか揺るがないものだとおっしゃっていたのですが、そういうページを持っているところの全体が違反のページを持っていると思うんですけど、なぜそのサイト全体は揺るがないのでしょうか。

【伊東委員】まず検索結果に表示されないというだけで、その海賊版サイトの当該ページがなくなるわけではありません。当該ページが検索結果に出てこないので、例えば作品名で「ONE PIECE 何話」と検索したときに、その海賊版サイトは検索結果には出てこないけれども、URLをSNSやブログで知っていればそのサイトを見ることはできます。Googleさんいわく、そういう個別作品の海賊版ページのURLの削除要請がたくさん寄せられたサイトは悪質なサイトだから、サイト全体が検索結果に出てこないようにしますとおっしゃっているんですが、海賊版サイトは人気があって、たくさんの人がアクセスするサイトなので、たくさんの人がアクセスするサイトに関しては、その非表示措置が働きにくいようなアルゴリズムになっているようで、あ漫画村のときにも、サイト全体が検索結果に出てこないという仕組みがなかなか働かなかったという事実があります。

【菅委員】了解しました。ありがとうございます。検索結果に対してGoogleがということですね。ありがとうございました。以上です。

【太田主査】よろしいでしょうか。ほかに御質問はございますか、では,仁平委員,どうぞ。

【仁平委員】日本ネットクリエイター協会の仁平と申します。2つ質問がありまして、一つはビジネス的な観点からですけども、今回のお話の中で出てきた数字は、タダ読みの数字であるというお話がありました。その中で、漫画村みたいな大きいサイトはバーンと削除したときに、それに伴って実際の売上げは伸びたのでしょうかということが一つと。

もう一つは、ベトナムでベトナム語に翻訳されている漫画が結構たくさんあるというお話でしたが、ということは逆に考えれば、ベトナムが漫画市場において物すごく大きなブルーオーシャンなのかなとも捉えられます。現在、日本の漫画、出版社さんは、ベトナム語に翻訳した日本の漫画をビジネス展開していく、そういう動きはあるのでしょうか。この2つお願いします。

【伊東委員】タダ読みされた金額に関しましては、漫画村がひどかった時期に、これは公式な数字ではないのですが、私がいろいろと試算しております。例えばある作品のコミックス30巻、31巻、32巻が続けて出ている時に、30巻が漫画村以前の発行で、31巻は漫画村がひどかったときに発売されていて、32巻が漫画村が閉鎖された後に出ましたと。30巻と31巻を比較すると、15%ぐらい売上げが落ちました。31巻から32巻は15%売上げが戻りましたという事態が生じていました。それと同様な例が幾つか確認できたので、漫画村においては15%ぐらい売上げが落ちたのではないかというのが私の個人的な感触です。ほかの出版社さんからもよく聞くのが20%ぐらい売上げが落ちたという話です。あながち間違いではないかなと。

本当にあのとき、電子の売上げは、紙は置いておいて、ちょうどデジタルが非常に伸びている時期でしたので、前年比20%から30%ぐらい伸びていました。ところが漫画村が酷い時期に、前年比が横ばいになってしまった。つまり、20%から30%伸びていたときに電子は伸びなくなってしまったという意味でいうと、これもかなりの金額の売上げが毀損されたのではないかと個人的には思っております。

2番目に関して言うと、ベトナムに関しては、現地の出版社にライセンスをして、そこが日本の漫画、昔からベトナムでは「ドラえもん」などが人気と聞いておりますが、そういう作品を出して、紙でずっとやっていたんですけれども、最近、電子でも取組を始めています。逆に現地出版社さんからは、海賊版がひどいから電子でやってももうからないんじゃないかというような心配をされている、そういう傾向もあります。

プラス、集英社の場合で言うと、「MANGA Plus by SHUEISHA」という全世界向けのアプリ、ウェブサービスがありまして、ベトナムに関してはベトナム語で何作品かを日本と同時配信をしています。それなりに各出版社さん、ベトナムは漫画好きというのを把握していて、ベトナムでCODAさんも含め漫画や著作権関連のイベントをよくやったりして、非常にブルーオーシャンというのは分かっているので、積極的に取り組んでいる最中です。

【仁平委員】ありがとうございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。ほかに御質問はございますか。ありがとうございます。

それでは、次に資料4に基づき、弁護士法人東京フレックス法律事務所より中島博之様より御発表いただきます。それでは、よろしくお願いします。

【東京フレックス法律事務所(中島氏)】弁護士の中島です。これまで出版社連合の海賊版対策会議、その顧問弁護団、CODAと協力して、本日御紹介する漫画BANKやファスト映画をはじめとする多数の海賊版サイト、著作権侵害に対する法的手続、取締りに協力した見地から御報告を行いたいと思います。

また、発表資料の表紙に書きましたとおり、漫画原作者としても活動しております。海賊版サイトに権利者自身として直接対決したいという思いから、2021年に漫画原作者デビューし、1年半以上週刊連載を行いました。漫画は全6巻が現在発売中となっております。

では、最新の海賊版対策の実務に関する報告に入りたいと思います。よろしくお願いいたします。

2ページ目に行きます。伊東さんの御報告のとおり、漫画の海賊版サイトについては、2021年末の過去最悪の被害状況からは、関係者の努力で被害が若干抑えられた状況となっています。しかし、かつては月間4億アクセスを記録したということは、それなりに海賊版サイトの利用者がいるということですので、使い勝手のよいサイトが生まれ広まれば、このような数字に逆戻りする可能性がありますので、引き続き対策を徹底していく必要があります。

次のページからは直近の取締例を簡単に紹介します。4ページ目です。中国から運営されていた日本向けの巨大海賊版サイト、漫画BANKの摘発事例です。日本向け漫画海賊版サイトが海外で摘発された初の事例となりました。

5ページ目です。CODA主導で、中国から運営されていたアニメの海賊版サイトの摘発事例とCODA・集英社による最大規模の漫画のリーチサイト、13DLの閉鎖事例です。13DLに関しては、運営者特定のため北欧で裁判手続中となっております。

6ページに行きます。海賊版サイトの目的は、広告を表示させるなどして金銭を得ることですので、収益を断ち切ることも重要です。こちらはスペイン現地で広告会社に対して出稿を停止させた事例となっております。イギリスでは例えばロンドン市警と業界団体が同様の取組を行っているなど、同種の取組が世界各国で取られています。

7ページ目に行きます。次はファスト映画の取締事例です。2021年にコロナ禍の巣籠もりでインターネットのアクセス率が高まる中、最初から最後までの内容が10分程度で分かるように無断編集されたファスト映画と呼ばれる動画投稿がYouTube上で多発し、大きな損害が出ました。先に、米国で情報開示手続を行ったCODA及び権利者と情報提供を受けた宮城県警が連携し摘発を実現しました。官民連携して取締りを行ったモデルケースと言えます。さらにその後、CODAの取りまとめで、映画会社13社が原告となって投稿者に損害賠償請求訴訟を提起し、5億円の賠償判決を得ました。著作権侵害に対する権利者の毅然とした対応や高額の賠償判決という結果により、同種の事案への大いなる抑止事例となりました。

8ページ目に行きます。漫画の絵はほとんどアップロードせず、漫画の最初から最後までの内容を詳しく文字抜き出しして投稿している「ネタバレサイト」という違法サイトも存在します。コンテンツがあふれる世の中で一日の時間が限られているため、パフォーマンスを重要視してコンテンツを消費したいという人も急増しました。ファスト映画と同じで、短時間で最新話の内容が分かればよいという需要も背景に被害が拡大しました。NHKのクローズアップ現代では、2021年には「トレンドブログ」という名前で紹介され、違法ではないかと問題視されていました。こちらは小学館が中心になって対策をして、漫画の文字抜き出し行為は違法に当たるという民事での判決のほか、1件の刑事での略式命令と1件の刑事裁判の判決が存在します。

9ページ目に行きます。海外からの侵害事例は、海賊版サイトはリーチサイトなど、著作物のデッドコピーが多い印象です。右上の記事ですと、2021年の日経新聞の報道では、「海外勢暗躍」との題名で、ベトナムから運営されているサイトが問題となっていると報道されています。海賊版サイトのアクセス数上位10サイトのうち約半数はベトナムから運営されていることが、開示手続等を通じて判明しています。

10ページ目に行きます。一方で、国内では漫画海賊版サイトの摘発やリーチサイト規制の創設などの取締りが進むにつれて、侵害方法も変容してきています。漫画そのものはアップロードしないで、文字だけを詳細に抜き出して投稿するネタバレサイトや、キャラクターのみに着目してそのキャラクターの漫画の登場シーンから退場までの漫画のコマを貼りつけてYouTubeに動画投稿するファスト漫画のようなものも登場しています。また、映画全編をアップロードするのではなく、ファスト映画のような投稿事例もあります。これらの投稿先は、一部は海外のサーバーやサービスであるため、国内に投稿者がいるとしても国境を越えた侵害対策が必要になります。

12ページ目に行きます。海賊版サイト上位10サイトのうち半数はベトナムから運営され、2021年頃から問題となっていますが、運営者が外国に所在している場合、摘発に現地当局の協力が必要になります。出版5社海賊版対策会議において、ベトナム当局に摘発要請を行っているものの、2年以上摘発されていないというのが現状です。また、海外のサーバー提供会社、ドメイン登録会社の中には利用に本人確認を必要とせず、著作権者から複数の違反申告を受けても、海賊版サイト運営者との契約を打ち切らない会社も存在するため、海賊版サイトによる被害が拡大してしまう事例もあります。

このようなサービスに対しては、開示命令を取ったとしても裏づけのある本人の氏名・住所が出てきません。侵害者にたどり着くためには、開示された情報をヒントに権利者はそこからさらに複数の開示命令を取る必要があります。実際、開示手続を行う過程で存在しない住所や死者の登録情報が出てきたケースもあります。さらに近年では頻繁にドメインホッピングと呼ばれるドメイン・URLの変更を行い、開示命令による証拠の収集を妨げ、足取りを追わせないようにするような海賊版サイトも存在します。

そして、漫画BANKの2022年の摘発以降、大きな漫画海賊版サイトの摘発例がありません。継続的な海賊版サイトの摘発が行われないと、同種事案への抑止力とならない可能性もありますので、今年中には最低1つの海賊版サイトの摘発を行いたいと考えております。

13ページに行きます。効果的に海賊版サイトを取り締まるためにはということです。日本では、ランサムウエアを使って企業のデータが盗まれるなど、企業がサイバー攻撃を受けたというニュースが大きく報道されています。一方で、漫画海賊版サイトは、漫画の発売日やアプリでの公開日の当日に漫画のデータを不正にコピーして掲載しています。漫画のデータが大量に盗まれ、日本のコンテンツに巨額の損害を与えているということは、サイバー攻撃に類似する重大問題として捉えてもよいと思います。

事案の重要性から、日本・ベトナムの首脳会談では、2021年、2023年に2度、漫画海賊版サイトの取締りについて合意が行われ、外務省でも公表されています。しかし、いまだに1件の刑事摘発もありませんので、政府だけでなく各省庁からも、引き続き働きかけを行っていくことが重要だと思います。

前のページでも言及したドメイン登録会社が本人確認をしていない問題は、総務省も参加しているICANN会合などで解決が進み、問題のあるドメイン登録会社の運営形態が是正されることが期待されます。そして、海外から日本のコンテンツが侵害されている事例が大変多くなりましたので、機動性や柔軟性の観点から、ファスト映画や漫画BANKの事例のように、官民連携した取締りが今後も重要になってくると思います。

14ページ目に行きます。さらに、取締りだけでなく啓発も重要になります。左上のX投稿では、大手海賊版サイトが閉鎖すると、代わりとなる違法サイトの情報交換を求める投稿や、左上の4つ目の投稿ですが、NPO法人が自社のX投稿ができるだけ多くの人に見られるようにと、人気海賊版サイトの名前を入れて投稿するなどの事例が見られます。海賊版サイトを見ることでサイトの収益につながり、利用者が間接的に著作権侵害の助長に加担してしまっていますので、こういった見る側への啓発活動も重要です。

違法なゲーム配信、ファスト映画、ネタバレサイトなど、近年摘発された事例に関しては、紹介した刑事事件のほか、権利者が侵害者を特定して、民事で和解しているケースも多数あります。その中で私がやり取りした侵害者のほとんどは、ほかの人もやっているので大丈夫だと思ったと弁明していました。こういった新しい侵害類型も著作権侵害に当たると周知啓発を行うことも意識する必要があると思います。

次は、大手プラットフォーム上での著作権侵害問題について報告を行います。16ページに行きます。海賊版サイトを減少させたとしても、簡単にアクセスできる大手プラットフォーム上の著作権侵害問題を解決しなければ抜本的解決となりません。上に掲載している画像は、YouTube上で漫画が投稿されている事例であったり、また現在放送中のテレビ番組が違法にミラーリング配信され、公式の放送のすぐ下に表示されているような事例を示しています。こちらはTVerで同時配信ができるような取組を台無しにするような事態だと思っております。

特に、YouTubeの収益可能なアカウントの売買が行われていると推測されることや、著作権侵害の申立を受けて削除された動画の投稿者への支払いをすぐに止めないなどの事情から、海賊版サイトを構築する手間をかけずに著作権侵害を行って、継続して収益を得ることが可能となってしまっています。

YouTubeでは、コンテンツIDという仕組みで、あらかじめ正規の動画や音源をYouTubeに登録しておくと、違法アップロードを自動検知してくれる仕組みがあります。しかし、漫画のような静止画は動画ではないため、コンテンツIDを利用できず、権利者は目視で違法動画を探すしかありません。また、TikTokにはコンテンツIDのような削除ツールもないため、違法動画の法律的な検知・削除もできないという問題もあります。

17ページに行きます。前のページで言及したYouTube上の収益化されたアカウントの例です。日常の動画投稿を行って実績をつくり収益化されると、違法な漫画投稿を行うようになるアカウントが多数存在しています。こういったアカウントが投稿する違法な動画によって、例えばYouTubeはその広告収益の45%を取得しているなど、プラットフォーマー自身も違法投稿によって収益を得ている問題があります。自民党の知的財産戦略調査会提言でも、プラットフォーマーは侵害者への広告報酬支払いの禁止措置を行うべきと言及されています。

18ページに行きます。また、侵害者を摘発し、被害者が民事で損害賠償請求をするなどして被害回復を行うには、侵害者を特定する必要があります。プラットフォーマー側が真摯に対応しない結果、被害回復や侵害者の特定ができないというケースも存在します。例えばこのページでは、Googleに対する手続なのですが、かつてGoogleはYouTube上で権利侵害に対し、米国で開示命令(DMCAサピーナ等)を取得すると、こちらが求める情報の開示を迅速に行っていただいておりました。しかし2022年以降、1度目はGoogleのアカウントの開示しか行わないことがほとんどとなり、ここに登録されているのは実名でないニックネームやGメールだけですので、侵害者を特定できないケースが急増しました。YouTube動画の広告収益を受け取るためには、別にGoogleAdSenseにアカウント登録をする必要があり、Googleの説明・規約によると、登録にあたっては本人確認がされているということです。侵害者特定のためには特にこの情報の開示が重要になります。

しかし、複数の開示請求の結果、GooglAdSenseの情報が開示されたとしても、「岡山県…田中」という実在しない虚偽の住所情報が開示され、プラットフォーマー側で本人確認、住所確認をしているという公式の説明と矛盾した結果となったケースも確認されております。本人確認の徹底、確かな情報取得の徹底を行っていただきたいと思います。

19ページです。出版社が2022年10月に改正プロバイダ責任制限法を使い、日本国内で裁判手続を通じてYouTubeの侵害者を特定しようとしたケースの報告を行います。国内の裁判手続で、Google側はYouTube投稿を行うのに必要なものはGoogleアカウントのみであるから、Googleアカウントのみが発信者情報に当たる。Googleアカウントの保有者とGoogleAdSenseアカウントの保有者は別人である可能性もある。情報開示の要件である情報を保有しているかどうかについては、申立人に立証責任があるので、GoogleAdSenseの登録情報保有があるかどうかをGoogleは回答しない。申立人で立証すべきという対応が取られたため、裁判が長期化しました。

動画に広告が入っているというだけではGoogleAdSense登録があることの証明にならないと争われ、申立人としてはアカウントにハッキングをして中身を見るなどしない限り、それ以上の具体的な証明ができないこととなりました。その結果、裁判所としては、GoogleがAdSenseアカウントの情報を保有しているか不明なため、Googleアカウントのみの開示を命じました。開示命令後、情報が来るまでに約2か月ほどかかりましたので、約10か月かけて権利者が手にしたものは、ニックネームとGメールアドレスだけという結果になり、侵害者を特定することができませんでした。

なお、実務上では日本の通信会社の多くは情報を保有しているかどうかを回答してくれるため、裁判手続上で情報を保有しているかどうかが争点になることがほとんどありません。Googleは利用規約で第三者がAdSense収益を得ることやYouTubeアカウントを第三者のAdSenseアカウントにひもづけることを禁止していますが、別人の利用を許容しているということであれば、マネーロンダリングなどに使用される危険性もあり問題だと考えます。

20ページ目に移ります。その他大手プラットフォーム上の問題もここに記載しております。一つ紹介すると、YouTubeに著作権侵害に基づく削除申請を行うと、ノーティスアンドテイクダウンの原則に基づき、動画が削除されるということは大変ありがたいのですが、投稿者が異議申立を行うと、一定期間内に米国現地で差止訴訟を提起し、訴訟のコピーを提出するなどしない限り、削除された動画が復活してしまう運用が取られています。異議申立の提出時に内容が不正な申請でない旨をチェックする欄がありますが、住所、氏名、電話番号などの虚偽登録ができてしまい、実際に電話をすると別人が出たケースも存在します。不正な異議申立に基づいて権利者が差止訴訟まで起こさなければならないリスク・コストも問題だと思います。

なお、プラットフォーマーの異議申立フォームに虚偽の情報を登録し送信することは、日本だと私電磁的記録不正作出・同供用の罪に当たると考えられますが、プラットフォーマーが不正利用者に責任追及した事例が恐らくないであろうことも不正がはびこる背景になっているのではと考えられます。

21ページ目では大手プラットフォーマーに求められる対応について報告を行います。プラットフォーマーは著作権侵害動画が投稿されることを通じて自身も収益を得ているところ、侵害者の特定を阻むような行為を行えば、プラットフォーマー自身の責任を問う事案に発展しかねません。先日ユニバーサルミュージックは、TikTokが権利侵害対応や権利者への還元を十分に行っていないことを理由に、TikTokと楽曲使用契約の更新を行わないことを発表し、大きなニュースになりました。また、著作権侵害動画によってプラットフォーマー自身が得る収益は、法律上の原因がない可能性が高く、その場合、権利者は不当利得返還請求をプラットフォーマーに行うことができます。

プラットフォーマーは著作権侵害動画を通じて自身も収益を得ていることから、権利者が著作権侵害に対策しやすいシステム、体制の整備を行うなどして、権利者側に還元をしてほしいと思います。

また、個人情報を投稿者に無断で開示できないため、裁判所命令を得て開示を行う必要があることは理解できますが、裁判所が開示命令を出した後は、真摯に情報開示を行い、被害回復に協力いただきたいとも思います。Google検索に、先ほど発表であったように海賊版サイトが表示されないよう、権利者との間で良い取組結果も出ておりますので、YouTubeをはじめとするプラットフォームでも同様の取組を期待しています。また、権利侵害申告のあった場合、アカウント精査をして一旦収益の支払いを止めるなどして、違法行為によって収益を得ることができないように徹底いただきたいとも思います。

22ページ目です。最後に政府及び関係省庁に期待することを記載させていただきました。重複する点もあるため一部割愛しますが、例えば総務省管轄のプロバイダ責任制限法で、利用登録と広告収益の受益のアカウントが分かれた場合、開示対象になるのかや、登録クレジットカードの名義は虚偽登録できない真正な情報ですので、こちらが法律で開示対象となる氏名に当たるかどうかの解釈などをガイドラインで示していただくなどすれば、日本の法制度を使って権利者が侵害者を特定しやすくなるのではと思います。

また、今回の資料で紹介しただけでも、米国、ベトナム、スペイン、北欧における海賊版サイト対策のノウハウがあります。外国現地で行う海賊版サイト対策のノウハウを広く供用できれば、少しでも多くの権利者が対策を行いやすくなると思いますので、文化庁のインターネット上の著作権侵害対策ハンドブックの拡充や実務での利用例の紹介などを引き続きお願いしたいと思います。

私からの発表は以上です。ありがとうございました。

【太田主査】ありがとうございました。ただいまの御発表について御質問がございましたらお願いします。坂井委員、どうぞ。

【坂井委員】ありがとうございました。海外の海賊版対策ということで、非常に勉強なりました。先ほど伊東さんからも、もう日本人が日本でやっているような、多分それは漫画の話だと思うんですけれども、そういうものはないよということだったので、多分、海外の海賊版というかメインのところになると思っているんですが、例えば防弾ホスティングの話とか、あとはレジストラだとかドメインレジストラとか、あとCDNとか、あるいはもしかしたらプロバイダみたいなところで、最後にあったプラットフォーマーですか、こういうところの情報開示が進んでいけば、この問題は多くが解決できると考えているかというのを1点お伺いしたいのと。

あと、これはもしかしたら文化庁さんになると思うんですけれども、今ちょうど新サイバー犯罪条約ですか、多分こういうところは議論しているんですけれども、どういう方向性なのかというのを教えていただきたいと思っております。よろしく願います。

【東京フレックス法律事務所(中島氏)】では、まず私から御回答いたします。墳﨑委員の発表の最後のほうで資料にありましたように、完全に匿名をうたったサービスというのも存在します。こういった業者を、例えばICANNなどを通じて排除するのか是正措置などを行わない限り、運営者を開示を繰り返して特定するということは非常にハードルが高いと思っております。特にこういったサービスは、ほぼ確信的に匿名性を売りにして海賊版サイトに協力を行っているなどの事例がありますので、例えば伊東様の発表にありましたように、著作権侵害を知って海賊版サイトに協力というか、何の対策も行わない通信会社に対しては損害賠償請求訴訟を出版業者で起こしている事例もございますので、こういった例えば協力しない会社に対しては、著作権侵害の幇助犯であったり、正犯同様の問題として損害賠償請求ができる、責任追及できますよという理論が確立されれば、協力しない体制の構築だったり、身元情報をちゃんと取って、真っ当な人にしか使わせないとか、そういった取組が進むのではないかと期待しています。

【太田主査】よろしいでしょうか。

【坂井委員】新サイバー犯罪条例、多分、文化庁さん。

【太田主査】では、小林様、お願いします。

【小林国際著作権室長】外務省と本件を調整しております。最新の状況をしっかり正確に確認して、別途お返しさせていただきます。

【太田主査】よろしいでしょうか。ほかに質問のございます先生はいらっしゃいますか。僕から1つ質問ですけど、7ページの5億円の損害賠償判決とか、8ページの罰金50万円というのはどれほどの効果があるものでしょうか。

【東京フレックス法律事務所(中島氏)】著作権侵害に対しては、初犯ですとほぼ実刑にならず、罰金刑も低い金額のものが多いため、犯罪で得た収益が手元に残ってしまう可能性があります。そういったやり得を許さないという姿勢から、例えばファスト映画の事例では、損害賠償請求訴訟を提起して、5億円という侵害者が得た利益の何十倍もの金額を請求しております。また、ネタバレサイトについても、収益の没収を行うなど、やり得を許さないという姿勢で徹底的に対応を行っております。

【太田主査】ありがとうございます。ほかに質問等はございますか。ありがとうございました。

それでは次に、ただいまのお三方からのヒアリングを踏まえ意見交換を行いたいと思います。また、意見をいただく際には、先ほどの資料1の最後のページ、11ページでございますけれども、資料1で事務局から御提案のあった論点も参考にしていただいて、お願いします.かなり御報告と重なりがあるとは思いますが….御意見等がございましたらお願いいたします。もちろんそれ以外の観点の御意見でも結構です。また、もし御質問があれば、このタイミングでもお受けしたいと思います。それでは、よろしくお願いします。菅委員、お願いします。

【菅委員】いつも私が発言してしまって申し訳ありません。まず、質問と意見とがごっちゃになりますし、どなたに向けての質問かが私自身よく分かっていないので、皆様方の頭の中で整理して聞いていただきたいんですが。

一つは、今、違法サイト自体の犯罪としてお話を伺いました。ところが、違法サイトが、例えば手下を使ってコンテンツを集めて、サイト全体が利益を得る場合と、あとYouTubeのように、サイトは厳然としてあって個人がアップロードを違法でする場合と2つあるように思います。個人のアップロードについては、インターネット黎明期は善意だったんですね。こんな面白いことがあるから広めてあげよう、みたいな善意でアップロードをしていたという歴史があり、なかなか個人のアップロード意識は覆りが難しい歴史があるような気がします。

今、サイトに違法動画をアップロードする人も、先ほどの御意見を見ると、知らなかった、みんながやっているからというふうにあまり違法性を感じていないような印象を受けました。

話が少し横滑りしまして、教育事業としてデジタルエチケットというのがある。そして、「STOP!海賊版キャンペーン」というのがあるということは今日お話しいただきましたが、私が女子大で教えている限り、3年前ぐらいからようやく、こういう教育を受けてきたので私の話すこともよく分かるという意見が出てきて、3年前よりもっと前になると、もうそんな教育なんか受けていないよということがあったので、ある一定の効果が出ていると思います。

ところが、これも周知は少ないわけで、ここから私の個人的な意見です。YouTube、TikTok、あとインスタ、若い子に向けてはこの3つが多分強力なアピールの場になると思います。そこで例えば、私、ぶんちゃんが大好きですけど、ぶんちゃんのようなキャラクターとかキティちゃんではなくて、先ほどABJの伊東さんがおっしゃったように、タレントとか有名ユーチューバーとか、あともっと言うと二次、三次的なアバターを使ったようなキャラクター性をもって、もっとキャラクター人気であおるような形でキャンペーンをしていくのがどうかと思いました。

映画館でカメラの顔をしたのがいますよね。あれはもう何十回、何百回とみんなが見ているので、あの顔が出てきただけでそのキャンペーンを思い出すという効果があります。なので、何かいいキャラクターを使って、とても印象的で、若い子にちゃんと呼びかけるようなキャンペーンが、TikTok、あとYouTube、インスタでどうかと個人で思いました。

もう一つだけ言うと、偽のグッズがいろいろ出ているという話になりましたけど、偽のグッズと公式の、例えば2.5、3Dキャラですね。スーパーデフォルメキャラと、あと同人誌グッズのすみ分けが大変難しくなっている。丸Cがついているかどうかだけで判断するのは危険な状態になっているので、どうしたらいいのか分からないんですけども、もう偽グッズ、アプリがあるという線引きはどこかで必要な気がします。

以上、大体2点申し上げました。ありがとうございます。

【太田主査】ありがとうございます。もしリアクションがございましたら、どなたか。お願いいたします。

【伊東委員】貴重な御意見をありがとうございます。キャラクター等を使った啓発活動は非常に効果的ですので、御意見をお聞きいたしまして、さらにそれに邁進していこうかと決意を新たにした次第です。一つ付け加えると、「海賊版を読むな」というメッセージは伝わらないなという気がしていて、正しく読んでくれてありがとう、楽しんでくれてありがとう、みんなで一緒に盛り上げようというようなメッセージ性を出すと、それが広がって、回り回って海賊版を読んでいる人たちに届いて、俺がやっていることはまずいかなと思わせるというのが、遠回りだけれども実は近道かなということを最近つくづく感じているんで、そういう方向で今後も頑張っていきたいと思っています。一般社団法人ABJとしては。ありがとうございます。

【菅委員】ありがとうございます。少し付け足しますと、私が学校で言っているのは、連載途中の漫画も読んでくれと言っています。連載が終わってからまとめて読むというのは作者の支援にならない。連載途中のアンケートとかビュー数で人気が出てこそ、あなたが好きな漫画はつながりますよと言うと、言うことを聞いてくれますので、いいように応援しようというメッセージはとてもいい方向だと思います。ありがとうございました。

【太田主査】ありがとうございます。では、ほかに御意見、御質問ございますか。では,坂井委員,どうぞ。

【坂井委員】最後の質問でもあったんですけれども、今、韓国、中国、ベトナムでしたっけ、というところで海賊版対策をやっているということでしょうけど、たしか多分ホスティングとか、あるいはドメインとか、CDNとか、そういったところは多分そうじゃない国のところに実際は存在して、最初のサービス提供者はそこかもしれないですけれども、そういうところとやっていかなければいけないだろうなというのは強く感じました。

その意味で、先ほど申し上げた新サイバー犯罪条約も今議論されている途中だと思いますので、ぜひそういったところでも、当然、表現の自由の問題があるので、裁判所の関与は必須だとは思いますけれども、そういったところも文化庁さんには検討していただきたいと思っております。以上です。

【太田主査】ありがとうございます。今村委員、お願いします。

【今村委員】ありがとうございます。海賊版対策といった場合に、日本のマーケットを守るための海賊版対策と、例えばベトナム、先ほどブルーオーシャンという言葉もありましたけれども、海外のマーケットを守るための海賊版対策というものが、2つの意味があると思うんです。

まず、コンテンツのサイクルを守っていく上では、足元の日本の市場を絶対守らなければいけなくて、日本の読者がタダ読みできてしまうようなことは生じてはならないわけです。それによって、国内で漫画を描く人が減るとか、アニメの制作にお金が回らなくなるといった事態が生じないようにするということが大事なわけですから、その意味で、ベトナムなどで海賊版サイトを運営している人を止めるということは、日本の市場を守るという側面があるわけですよね。

もう一方は、中国とか韓国、ベトナム、アメリカとかヨーロッパもそうだと思いますけれども、外国自体の市場、大きな可能性のある市場を守っていくという部分での海賊版対策があると思うんです。それで、いただいた資料の11ページ目で、諸外国とのさらなる連携というものがあって、追加すべき対象国とか地域とかという話があったんですけども、例えば特許の場合ですと、発明をしただけでは全ての国で権利が取れるわけじゃありませんから、アメリカとかヨーロッパとか中国とか、市場として非常に有望な国に重点的に権利を取って、マーケットを展開していくということになると思うんです。これに対して、著作権の場合には、ベルヌ条約などもありますから、全て加盟国では権利が生じるということになります。ただ、著作権の場合でも、それらの全部において、潜在的に発生している海賊版を抑えるべきかといったら、権利行使の容易さとか、様々の市場としての可能性とか、どれぐらい費用がかかるのかとか、そういったことも踏まえて検討するべきで、全部の国で対策ができるわけではないと思うんです。

名前が挙がっている中国とか韓国とかベトナム、そういった諸国の当局といろいろ協力していくし、そういったマーケットを守るということが大事だと思いますけれども、漫画とかアニメとかいったコンテンツであれば、アメリカとかヨーロッパとか、そういった権利行使のしやすさとか、市場が大きいことも踏まえると対策を積極的に進めた方がよいかもしれませんが、他方でブラジルとかだと権利行使が難しそうですし、なかなかコストばかりかかるようにも思われるので、そういうのは勝手にやってくださいという判断もあろうかと思います。でも、勝手にやってくださいで済まない部分もあって、アニメなどコンテンツによってはインターネットを介して海賊版が日本に還流してくるという問題もあるので、放置するわけにもいかず、判断がなかなか難しい部分もあるかと思います。いずれにしても、マーケットとして、これから非常に大きく成長させていきたい国、あるいは日本のコンテンツの制作者とかに利益が還元していきそうな潜在的なマーケットがどこかということを考えながら、海賊版対策全体のパッケージも考えていったらいいんじゃないかと思っております。意見となります。以上です。

【太田主査】貴重な御意見ありがとうございます。先ほど手をお挙げになった生貝委員、どうぞ。

【生貝委員】ありがとうございました。御説明いただいて、今ある課題がかなり様々見えてきたと感じました。それでYouTubeさんにしても、TikTokさんにしても、あるいはドメインネームに関わる方も含めてでしょうか、特に前者に関しては、YouTubeさん、TikTokさん等に関して、そこから収益を得ている、広告収入を得ているという立場からも、様々対応をちゃんとやっていく責務もある場合が多いだろうと思います。

そういったときに、その課題を解決していく上で、非常にソフトロー的な方法からハードロー的な方法まで、いろんなオプションがあって、ソフトロー的な対応をするにしても、例えば話合いの場を設けるのか、あるいはMoUのようなものをつくるのかといったような幅もあれば、また、ハードロー的な対応を行うにしても、例えば透明性を向上させる枠組みをつくるのか、あるいは権利ベースで対応するのか、あるいは、より公式に域外適用ができるような仕組みも含めて、規制的な形で対応をするのかといったような、またこれも幅があると思います。

そういったときに、そういったオプションを、幾つか課題はあると思うんですけど、主なものに関して、ちゃんとオプションを整理していくといった作業はしてもよいのではないか。そのことが、こうした、どうしても一朝一夕ではオプティマルな解決策が見つからない政策課題について、より精緻な議論を可能にしていくであろうし、またそうしたある種のオプションが存在することが、当事者同士のソフトロー的な施策をより進展させていく部分もあるのではないかと感じたところでございます。私からは以上です。

【太田主査】貴重な御意見をありがとうございます。ほかに御意見、御質問ございますか。内山委員、お願いします。

【内山委員】ありがとうございます。法律家ではないので、少し稚拙な質問といいますか、多分事務局で調べていただいて、後でまた御連絡いただく形で十分なのですけれど、デジタルプラットフォームを直接的に対象にした、こうした海賊版を取り締まる法はあったのかどうかというのが分からなくなってしまいまして。例えば今官邸でやっているデジタル競争会議に基づいて、例えば経産省管轄で透明化法があり、あるいは総務省管轄のプロ責法があり、というのは何となく見えるんですけれども、でも、もっと直接的にコンテンツへの侵害で、しかもそれがデジタルプラットフォーム上という形で、非常に特定した形のハードローは存在していたかどうか、分からなくなりまして。

もしかしたら、例えばEUだと、AVMSDであるとか、DSMであるとか、DSRとか、いろんな形で、それこそGAFA特定でいろんな義務を課す方向に持っていっていますけれども、日本の場合、もしかしたらそういう狭間に落ちていないのかという疑問が生じておりまして。うまくカバーできているのかどうかというのは疑問としてありましたので、今でなくて結構ですので、何か次の場面で結構ですので、教えていただければと思いました。

【太田主査】ありがとうございます。この段階でリアクションございますか、どうぞ。

【籾井著作権課長】日本国内ではまだ、多分そういう包括的に何かというのはないという認識でおります。著作権法の中でできる部分、それぞれの法律の中でできる部分がございまして、一方で、諸外国ですと、EUのほうでも議論がまさに進行中でございますので、一旦整理をさせていただきまして、また次回にでも御報告をさせていただければと思います。

【太田主査】よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問はございますか。ないようでしたら、どうもありがとうございました。最後にその他、全体を通して何かございましたら、お受けしたいと思います。いかがでしょうか。もし発表者から何かあれば、お願いします。

【東京フレックス法律事務所(中島氏)】学生に対する啓発の話が出たので、少しだけ最後に話をさせていただきます。伊東様もおっしゃったように、上から目線で、海賊版サイトを見るのが駄目だよと言うよりは、一緒に盛り上げよう、であったり、また被害を具体的に想像してもらうということが非常に重要だと思っています。一昔前は、農家の方が丹精を込めた農作物が収穫期に盗まれたら、何てひどいことをおじいさん、おばあさんにするんだということで憤りが大きかったと思います。一方で、漫画の海賊版サイトにおいても、漫画家の先生が苦労した原稿が発売日当日に盗まれているんですが、こちらに関しては、ただで見れてラッキーというような意見が多数を占めています。これはどちらも本質的な問題は同じであると思うんですが、なかなか被害者だったり被害を具体的に想像できない、身近に感じられないということから、こういった違いが生まれてくるのかと思いますので、普及啓発を行う際は、ひとつそういった観点からの情報発信も重要ではないかと思っております。ありがとうございます。

【太田主査】貴重な御意見ありがとうございます。ほかにございますか。菅委員、どうぞ。

【菅委員】今の御意見はごもっともだと思います。そこで考えなければならないのが、例えばこの広告収入というのが、学生たち、若い子には見えていないんです。YouTubeに出したらユーチューバーはもうかる。そしてAmazonの無料で出したらその人はもうかるという、広告収入の動きが全然見えていない。それは無料で読んで、その人ももうかるという不思議な関係になっていますので、無料で読んだら、どこからお金が入って、だから得になる、だから損になるという、その無料部分の説明が必要かと思いました。丁寧に、なぜもうかるとか、なぜ損をするのかというのを、もっと可視化してやるのがいいかと老婆心ながら思いました。ありがとうございます。

【太田主査】ありがとうございます。ほかにございますか。ありがとうございました。仁平委員、お願いします。

【仁平委員】啓蒙活動は本当にそのとおりだと思って、私も自分の団体でそういったことは続けていきたいと思うんですが、ちょっと違う観点から。僕はもしかしたら、これは勘ですけども、本物のコンテンツを見たいんだけども見られない、探せない方も意外と多いんじゃないかと思って、最初に質問をさせていただいたということもあって。あと、海外の中で、日本のコンテンツがかなりブルーオーシャンな、日本のコンテンツ企業から見たときに、海外がかなりブルーオーシャンじゃないかというところを考えたときに、その正式なコンテンツホルダー、出版社さんなりが、かなりもっと積極的にネット展開を今後していくというのも、海賊版対策を防ぐ一つの何かきっかけになるんじゃないかと勝手ながら思っていたりします。

例えば、ある雑誌が、週刊誌が出たときに、もうその日のうちに、海賊の人たちはコピーして出すんであれば、言ってみたら本が出る1日前に、もうネットで正式に公開して、きちんとそこではバナー収益を得るなり有料配信するなり、もう先手で積極的に出していく。海賊版の人たちは広告収入が得られるというところでそういう海賊版をやっているということは、ネットに出すということは広告収入なりいろいろ売上げが上がる可能性もあるんだろうと思っていたりするので、そういったことを積極的にやるのはどうかと。

僕自身が実は今ネットで、例えばヤングマガジンにしてもヤングチャンピオンにしても、ネットで出ていますよね。結構、夜寝るときに携帯でスマホで見たりして、積極的にそういうデジタルコンテンツを探して楽しんでいるんです。もっとあればいいのにと思ったりします。例えば、ここで企業名出すのもあれなんですけども、Kindle Unlimitedみたいなものだと、かなり安い金額で雑誌読み放題だとかというサービスもあったりするわけですよね。だから、ネットでもっとどんどん出ていけば、海賊版が減るんじゃないかという、もしかしたらつながらないのかもしれないんですけど、そういうのもあったりするんじゃないかと思って。

もちろん啓蒙活動は大事だし、犯罪者を取り締まることも大事ですけども、それにプラスアルファとして、コンテンツをネットにどんどん出していく、正規にということで、犯罪者を抑制できるんじゃないかと思ったりします。もちろんこれは自信があまりないんですが、こういう御検討も誰かどなたか教えていただけたらと思いまして。そんな感じです。

【太田主査】ありがとうございます。DX時代の新しいビジネス・モデルに戦略的に取り組むべきではないか,ということでしょうか。ほかにございますか。ありがとうございます。

それでは、もしよろしければ本日の議事は全て終了したということにさせていただきたいと思います。本日はここまでにしたいと思います。どうもありがとうございます。

最後に、事務局から連絡事項がございましたらお願いします。

【渡邉著作物流通推進室長】本日はありがとうございました。次回の政策小委員会は2月28日を予定しております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

【太田主査】それでは、以上をもちまして文化審議会著作権分科会政策小委員会第4回目を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

Adobe Reader(アドビリーダー)ダウンロード:別ウィンドウで開きます

PDF形式を御覧いただくためには、Adobe Readerが必要となります。
お持ちでない方は、こちらからダウンロードしてください。

ページの先頭に移動