文化審議会著作権分科会政策小委員会(第1回)

日時:令和6年5月20日(月)

13:00~15:00

場所:文部科学省東館3F1特別会議室

(オンライン併用)

議事

1開会

2議事

  • (1)政策小委員会主査の選任等について【非公開】
  • (2)今期の政策小委員会における審議事項及びワーキングチームの設置について
  • (3)その他

3閉会

配布資料

資料1
第24期文化審議会著作権分科会政策小委員会委員名簿(203KB)
資料2
ワーキングチームの設置について(案)(165KB)
参考資料1
文化審議会関係法令等(346KB)
参考資料2
第24期文化審議会著作権分科会委員名簿(268KB)
参考資料3
第24期文化審議会著作権分科会における主な検討課題について(令和6年5月13日文化審議会著作権分科会決定)(265KB)
参考資料4
小委員会の設置について(令和6年5月13日文化審議会著作権分科会決定)(161KB)
参考資料5
令和5年度政策小委員会の審議の経過等について(546KB)
参考資料6
令和5年度法制度小委員会の審議の経過等について(237KB)
参考資料7
AI と著作権に関する関係者ネットワーク第1回について(102KB)
参考資料8-1
WIPO(世界知的所有権機関)における最近の動向(294KB)
参考資料8-2
第45回著作権等常設委員会(SCCR)議長サマリー(330KB)

資料2について異議なく、案の通り了承されました。

了承された資料については、以下の通りです。

資料2
ワーキングチームの設置について(70KB)

議事内容

〇今期の文化審議会著作権分科会政策小委員会委員を事務局より紹介。

〇本小委員会の主査の選出が行われ太田委員が主査に決定。

〇主査代理について、太田主査より早稲田委員を指名。

〇会議の公開について運営規則等の確認。

※以上については、「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」(平成二十四年三月二十九日文化審議会著作権分科会決定)1.(1)の規定に基づき、議事の内容を非公開とする。

(配信開始)

【太田主査】配信の準備が整いましたので、会議を開始したいと思います。

傍聴されていらっしゃる方々におかれましては、会議の様子を録音、録画することは御遠慮ください。

では、改めて御紹介させていただきますが、先ほど本小委員会の主査の選出が行われ、主査に私、太田が就任いたしました。また、主査代理として早稲田委員を指名いたしましたので、ここに御報告申し上げます。先ほども少し申し上げましたが私自身、昨年に続きまして皆様方の御協力を得て活発な議論で実のある会議を実施したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

また、本日は今期最初の政策小委員会となりますので、議事に先立ちまして、合田文化庁次長から一言御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【合田文化庁次長】文化庁次長の合田でございます。大変恐縮ながら着座のまま、この政策小委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと存じております。

まず、委員の先生方におかれましては、日頃、著作権政策に大変な御尽力を賜っていることに心からお礼を申し上げたいと思っております。また、政策小委員会にお引受けをいただき、早速本日こういった形で貴重なお時間を頂いておりますことに厚くお礼を申し上げたいと存じております。

この政策小委員会でございますが、昨年度に引き続きDX時代に対応した著作物の利用円滑化・権利保護・適切な対価還元に係る基本施策について、また、著作権保護に向けた国際的な動向を踏まえた対応の在り方などについて御議論を賜ることができたらと存じております。

近年のコンテンツ産業の発展に加えまして、技術の進展に伴い、国境を越えてコンテンツが流通、利用されるなどコンテンツの提供の在り方も大きく変化する中で、文化庁としては、これは政府を挙げてと申し上げていいかもしれませんが、コンテンツの創作を担うクリエイターの育成支援と文化芸術の振興を大きな柱と掲げているところでございます。

具体的には先生方御案内のとおり、昨年の秋に5年間で100億円ということでございます。

これまで単年度で若手芸術家の海外派遣ということで、私どもしっかりと文化庁創設以来60年間、目利きの機能を果たして、これはという方を御支援申し上げてきたわけでございますが、今後その中でも卓越したお力のある方を文化的価値に加えまして社会的、経済的価値を見据えて、複数年度にわたって支援をする仕組みがやっとこれで整うことになったということでございます。

クリエイター支援については過日応募を締め切ったところでございますが、相当数の申請をいただいておりまして、かなりの手応えを感じているところでございます。同時に政府全体としても、先月17日に官邸におきまして新しい資本主義実現会議が開催をされまして、映画監督の是枝監督ですとか、あるいはゴジラ-1.0の山崎監督などもお越しをいただいて議論をさせていただいたところでございます。

そこでは公正取引委員会の委員長も出ておられまして、映画ですとか、アニメですとか、そういったもののクリエイターに対する利益還元ということについて、公正取引委員会として独占禁止法の優越的地位の濫用に該当するか否かという調査を行った上で、該当するかどうかについてのガイドラインを出したいというようなこともお話がございました。

政府全体として、クリエイターをしっかり支援しながら、適正な利益還元ということについて大きく動いているところでございますが、今、申し上げたようにクリエイターの次の創作活動につながる適切な利益還元の在り方の検討、あるいは国境を越えた著作権の保護というのはコンテンツの利用と創作の循環を最大化し、我が国の文化芸術の継続的かつ健全な発展を図る上で極めて重要だと考えているところでございます。

今、そういうかなり大きな転機を迎えているところでもございますので、本政策委員会の先生方におかれましては、それぞれの御専門の立場から著作権政策の課題につきまして御議論を賜ればと思っているところでございます。今期も大変お世話になりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【太田主査】ありがとうございました。

次に、議事2の「今期の政策小委員会における審議事項及びワーキングチームの設置について」の議事に入りたいと思います。事務局に資料を準備していただいておりますので、まず、事務局から説明をお願いいたします。

【持永著作権課課長補佐】議事2の資料は資料2となりますが、まず、その前提となる説明から始めさせていただければと思います。

まず、参考資料3を御覧いただければと思いますが、先日、著作権分科会において決定された今期の主な検討課題の資料となります。このうち、審議事項1の著作権法関連の基本政策及び国際的な課題に関することとして、DX時代に対応した著作物の利用円滑化・権利保護・適切な対価還元に係る基本政策について、また、著作権法制度に関する専門的事項について、著作権保護に向けた国際的な対応の在り方についてなどにつきましては、次に参考資料4ですが、小委員会の設置について記載のとおり、こちらの政策小委員会を設置し、審議することとされました。

そして資料2に戻らせていただきますが、政策小委員会の審議事項として決定されたもののうち、特定の検討課題について検討するためのワーキングチームを設置する案がこちらでございます。

1が、ワーキングチームの構成となります。1つ目のワーキングチームですが、昨年に引き続き放送条約に関して、その対応の在り方について御議論いただく場として放送条約の検討に関するワーキングチームを設置したらどうかというものになります。2つ目のワーキングチームについてですが、昨年度、法制度小委員会において御議論いただいた内容は、今期は政策小委員会で御議論いただくことになりましたが、特にその点について御議論いただく場として法制度に関するワーキングチームを設置してはどうかというものになります。

次に、2がワーキングチーム員の構成となります。(1)ですが、各ワーキングチームには座長を置き、座長は政策小委員会の委員のうちから主査が指名することとされております。次に(2)ですが、ワーキングチーム員は政策小委員会の委員のうちから座長が指名した者及びそのほかの者であって、座長と協議の上で文化庁が協力を依頼した者で構成される旨、記載をしております。こちらがワーキングチームの設置案の概要についての説明になりますが、こちらに関連しまして放送条約の検討に関するワーキングチームについて追加で説明がございます。

【石田国際著作権専門官】事務局の石田でございます。放送条約のワーキングチームに関連しまして、世界知的所有権機関、WIPOにおける最近の動向について参考資料8-1に基づき説明させていただきます。資料を御覧ください。

先月4月に、第45回著作権等常設委員会SCCRが開催されました。SCCRは著作権分野における国際調和について議論するWIPOの中の委員会であり、そこでの議論としましては、これまでと同様に放送条約、権利の制限と例外、その他の議題の3つの枠で議論が行われました。

次に、各論について御説明いたします。最初は放送条約でございます。3ポツ(1)アの経緯・趣旨に記載のとおり、1998年からデジタル化に対応した放送機関の権利保護に関する新たな条約の策定を目指して議論しておりまして、条約採択のための外交会議の開催に向けて各国合意を得るべく長年議論が行われてまいりましたけれども、技術の進展ですとか各国の法体系の違いなどにより現在まで合意に至っていない状況です。今回のSCCRでは前回のSCCRの議論を踏まえて、改訂された条約草案の内容について加盟国間で議論が行われました。

次にイのところで、条約案の概要を説明します。この条約の趣旨としては、放送番組のインターネットを通じた無許諾の再放送等を効果的に防止できるように、放送機関に対して著作隣接権、またはそれに代替する適切かつ効果的な保護を与えることを規定するものです。ここで保護対象は、放送機関による送信に用いられるプログラムの搬送信号であり、その信号が固定された後はコンテンツの保護と考えられるため、放送条約では固定後については関与しないとされております。ここでいうプログラムというのは、音や映像で構成される素材を意味しております。

次に、条約草案の中身、骨格について説明させていただきます。丸1の受益者としましては、条約草案で示された放送機関の定義に当てはまる者、すなわちプログラム搬送信号の送信に対して主導権を有し、編集責任を負う法人であり、放送機関のプログラムはリニアなプログラムの流れを形成するとされております。

また丸2の対象について、先ほど述べました信号になりますけれども3種類の信号がありまして、1つ目が放送機関が送信したプログラム搬送信号、2つ目が保存されたプログラムへのアクセスを公衆に提供するための放送機関が使用するプログラム搬送信号、これは見逃し配信等のインターネット上でのオンデマンド送信に該当します。そして3つ目が放送前信号、これはスポーツの試合会場から放送設備までの放送素材を含むような信号でございます。

そして丸3の受益者に与えられる権利としましては、それぞれの信号の無許諾の再送信及び固定化を禁止する権利があります。

続いてウで、今回のSCCR議論の概要を説明します。主な論点としましては、この2つのポツになりまして、まずは1つ目のポツについて受益者についてですけれども、現在の条約草案では、受益者である放送機関には先ほどの放送機関の定義を満たせばインターネット上のみで活動するウェブキャスターも含まれます。これについて、日本を含む加盟国から伝統的放送機関でないウェブキャスターを受益者の範囲から除外するための留保規定が必要であることが示されました。

2つ目のポツですけれども、外交会議の開催について国によって意見が異なっておりまして、現在の条約草案で、来年の2025年に外交会議で最終交渉ができる状態であると考える国と、それに対して、この条約草案はさらなる議論が必要であると考える国がありまして、結論としましては次回のSCCRで再度、最新の条約草案に基づき検討した上で、外交会議の開催を勧告するか否かを検討することとなりました。

次の(2)の権利の制限と例外に関する議題は省略させていただきます。

2ページ下の(3)のその他の議題につきまして、ここでは、5つのトピックがありますけれども、こちらでは1点のみ御紹介させていただきます。

3ページ目の一番上のポツですけれども、アのデジタル環境に関連する著作権の分析についての議論のところで、生成AIと著作権の機会と課題に関する情報セッションが開催されました。俳優、芸術家、歌手などのクリエイターから、コンテンツ制作現場でのAIの使用の利点ですとか課題についての発表があったり、また、俳優組合や集中管理団体、レコード会社、AI事業者などからは持続可能で公正かつ有益なAIの利用についての発表がございました。日本からはクリエイターサイドとして、文化審議会著作権分科会の委員であり、アーティストの草野絵美様が御登壇されました。AIの議論の今後については、急速にAI技術が発展する中で継続的にAI関連の状況を分析するために、次回のSCCRにおいても追加の情報セッションが開催されることとなりました。

3ページ目で最後のポツですけれども、今後の予定としましては次回のSCCRは来年3月に開催される予定です。

説明は以上です。

【太田主査】どうもありがとうございました。それでは、資料2については事務局から御説明を受けたとおりの案で決定したいと存じます。御異議ございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【太田主査】ありがとうございます。それでは、ワーキングチームの座長については私が指名させていただき、後日、事務局よりお知らせいたします。

さて、本日は今期の第1回ということですので、今期の政策小委員会に向けた抱負や今後議論していきたいことなどについて、委員の全員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。お名前の五十音順で指名させていただきますので、1人当たり二、三分程度で簡潔に御発言をお願いいたします。

五十音ですので、まず麻生委員、お願いいたします。

【麻生委員】九州大学大学院芸術工学研究院の麻生でございます。知的財産法を専門としておりまして、昨年度より政策小委員会に参加させていただいております。

クリエイターへの適切な利益還元等の著作権法関連の基本政策や、国際的な課題に関することは非常に重要な審議事項だと思いますので、私も微力ながら何かお力になれることがあればと考えておりますので、これからどうぞよろしくお願いいたします。

【太田主査】ありがとうございました。

続きまして、生貝委員、お願いいたします。

【生貝委員】一橋大学の生貝でございます。前年から引き続いて参加させていただいております。特に法制度の中でも情報法と呼ばれる分野を研究している者でございまして、特に抱負という意味ですと2点だけ簡単に申し上げさせていただきますと、特に僕の情報の分野ですと数年前からデータ、プラットフォーム、AI、この3つが重要であり、非常に相互に深く関係しているようなこと、その重要性というのが議論の中心にいつもなってくるわけですけれども、著作権法の分野においてもそのことというのは非常に今、大きなイシューになってきているのかと改めて思っているのが一つと。

それからもう一つ、まさにこの著作権法が目的を達成するに当たって、例えばプラットフォームにしても、AIにしても、適正な対価還元にしても、恐らくほかの法領域との関係性というものを様々考えないといけない必要性というのは、またこれも非常に高まってきているのだろうと思います。そういった観点から、ぜひ今後もお役に立てればと思いますのでよろしくお願いいたします。

【太田主査】ありがとうございます。

引き続きまして、伊東委員、お願いいたします。

【伊東委員】一般社団法人ABJの伊東と申します。前年に引き続き、そしてその前の国際小委からも引き続いて参加させていただくことになりました。日頃は集英社という出版社で海賊版に関して、13年ぐらい対策に関わってきまして、もう本当に個社の努力だけではどうしようもない状態が続いております。その流れで一般社団法人ABJという、出版社や電子書店だけでなく通信事業者やIT事業者の皆さんと連携した海賊版対策の団体をつくり上げて、そこで今、広報部会長ということでSTOP!海賊版キャンペーン等々などを実施するなど業界横断的な対策に当たっております。

それで審議事項の丸の3で、著作権保護に向けた国際的な対応の在り方についてとありまして、これに関して、より積極的に関わっていきたいと思います。日本のコンテンツ、特に漫画やアニメは世界的に人気で、日本人が海賊版サイトを作ってもうけるケースはもうほぼなくなって、もう大体の悪い連中が海外に住んでいて、海外の英語やベトナム語や中国語に翻訳してもうけているような状況が続いております。ですので、この対策に関しては海外の捜査当局や著作権関係者や、あるいは通信事業者、IT事業者の皆さんとの連携が本当に必要な状況になっていますので、その国際的な対応の在り方についてということを皆様のお力を借りて進めていくような素地づくりができればいいかなと思っております。よろしくお願いいたします。

【太田主査】よろしくお願いします。ありがとうございます。

次に、私から一言お願いしたいと思います。実は昨日、おとといと,北海道大学で私の所属する法社会学会という学会がありました。そういう法律関係の学会でもベイズ統計であるとか、ニューラル・ネットワークを使ったデータ・アナリシス等が取り組まれていると同時に、生成AIを使って裁判官の補助をするとか、将来的には取って代わるようなシステムの構築、それから調停手続きについても、当事者の発言の角をとって柔らかくして相手に伝えるような、あるいは調停案を両当事者の様子を見ながら創り上げる、そういうシステムなんかの研究も発表されておりました。、本当に10年前、15年前とは全く隔世の感のある状況となっていて、学問自体も法律学だけでなく社会科学一般的でも大きく変わってきていると感じました。そして、実はデータ分析や生成AIということで分かりますように、著作権の問題も背景に非常に切迫するものが生じていることをヒシヒシと感じた次第でございます。私自身もデータ・アナリシスを割と行うほうですので、じっくりと考えてみたいと思います。

では、続きまして唐津委員、お願いいたします。

【唐津委員】唐津です。よろしくお願いいたします。私も伊東委員と同じで昨年度からこちらの政策小委員会に所属しておりまして、その前は国際小委にいる経緯でございます。仕事は普段、弁護士をしておりまして、主にアート、メディア、エンターテイメント関係のお客様の様々な御相談に対応するのが主な仕事になっております。

昨年度からこちらの小委員会で参加していて、特に自分としては興味持っている点としては、普段も関わっているクリエイターの方たちへの適正な利益配分という問題、それから、いまだに深刻な状況が続いている海賊版対策という意味では、その最も基本的な対策になるのではないかなと自分で考えている著作権教育というものに特に興味を持っております。

冒頭で文化庁様からお話がありましたように今、公正取引委員会も業界の実態調査に動いているというお話ありましたけれども、私も、ここでは主に著作権の観点からお話しすることになるかと思うんですが、それだけではなくて業界における様々な契約慣行ですとか、あるいは契約にもなっていない業界慣行といったものが相互的に絡まり合って存在しているところですので、その辺りの横断的な視点も持ちながら本年度も取り組んでいきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【太田主査】よろしくお願いします。

続きまして楠本委員、お願いいたします。

【楠本委員】日本レコード協会、楠本でございます。今期よりこちらの小委員会にも参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。私も、ずっとレコード協会に入ってからは集中管理事業ですとか、それから違法対策を中心に携わってまいりました。過去、国際小委ですとか、最も新しい側の録録小委なんかも委員を務めさせていただいております。

私からは、3つお話をさせていただきます。1つ目は、昨年のこちら、こちらというか、分科会の他の小委員会でも取り上げて、ヒアリングを呼んでいただきましたレコード演奏伝達権についてでございます。繰り返しになりますが、著作権者にはこの権利が付与されているものの、実演家及びレコード製作者にはいまだ、この権利が付与されていない状況において、ヨーロッパはおろか、アジア諸国でもいよいよ日本が最後の国になってしまった状況にございます。ぜひ、こちらの権利創設に向けた御検討を進めていただきたいというところが1点目でございます。

2点目もさっきの小委員会の中で取り上げていただきました、バリューギャップの問題、こちらは私からは経済的側面もさることながら、伊東さんですとか唐津先生からもお話がありましたとおり、海賊版対策のパイラシーに関しての観点から一つ発言をさせていただきます。

ヨーロッパを中心にビックプラットフォーマーに対しては権利者から削除要請、違法コンテンツが無許諾でアップロードされた場合に削除要請を出しております。ノーティスアンドテイクダウンというものでございます。しかしながら結局、次の日には、下手すればその日中に再度同じアップロードが繰り返されてしまう状況はいまだに変わっておりません。こちらもヨーロッパを中心に法が進んでおりますステイダウン、一度違法で取り下げてほしいお願いを行った後はプラットフォーマーの責任においてステイダウン、二度とアップロードが繰り返されないといったところを日本でも検討していっていただければと思っております。

それから3点目ですが、こちらは私的録画補償金に関してでございます。もう2年ほど前にブルーレイが政令指定されておりますが、当事者間での議論がなかなか定まらないところもあるものの、もう2年ほど経過しております。早期の解決、それから早期の補償金の徴収、それから分配へという実務へ進んでいきますよう、行政庁の皆様、そしてこちらの先生方のお力添えも頂戴したいと思っております。

以上でございます。

【太田主査】ありがとうございます。

次に、河野委員、お願いいたします。

【河野(智)委員】昨年に引き続き、業界横断の知的財産関係者による産業界組織である知的財産協会の代表として参加をさせていただいております。

産業界は、これまで著作物のデジタル化やネットワーク化による流通や利用の変化、それを踏まえた著作権法制度の在り方について様々な議論に参加させていただいてきたところでございますが、近年の技術革新と、それによる市場の変化のスピードは今までとは比較にならないほど早いものになっていて、世界共通の課題として顕在化をしているという認識を持っております。

国内の議論でも著作権法だけの課題、法制度だけで対応できる課題というのがどんどん少なくなっている印象がございますので、技術や契約、ビジネスモデルとかエコシステムの構築など多方面なところからの検討、あるいは複合的な解決策の模索が求められていると、そういう認識でおりますので、そのような観点で本小委員会の議論に貢献できますよう努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【太田主査】よろしくお願いいたします。

次に、オンラインで御参加の河野委員、お願いいたします。

【河野(康)委員】日本消費者協会の河野でございます。本年もこの委員会で活動させていただくことになりました。

先日の著作権分科会においても多くの発言がございましたが、デジタル技術と社会実装の進展は目をみはるものがあります。先週も生成AIの特に進化のスピード感に対して、著作権の保護について危機感を持って取り組む必要を強く感じました。この分野での事業者間競争は激化していて、入力した文章から1分程度の動画を生成できるAIや普通のスピードで会話ができるAIなどが開発され、さらに複雑で高度な環境となっていくと思います。

私たちの日常生活においてもSNSがコミュニケーションの主流となったことで、例えばアニメのキャラクターを模したケーキデコレーションとか小物等の製造などについて、許諾なしで製造販売が進んでいる実態等もありまして、ここに生成AIなどの進化したデジタル技術が入ることで、規模はとても小さいですけれども、さらに複雑な状況が生まれる可能性は否めないと思っております。前年度に生成AIと著作権について一旦整理が行われましたが、海外の状況なども参考に、ぜひ踏み込んだ対応方針を明確にすべきときではないかと思っています。

もう1点、気になっていることとして、DX時代に対応した著作物の利用円滑化・権利保護・適切な対価還元については、この間、かなりの時間を割いて整理と検討を進めてまいりましたが、DXが仲介する環境においては、どこまでが対価を受け取れる権利者で、どこからが対価を支払う側となるのか、一般消費者の私からはよく分からないということを申し上げておきたいと思います。

昨年、アニメ原作のテレビドラマでの原作者と脚本家と制作サイドとの問題がありましたが、その利用の円滑化・権利の保護・適切な対価還元への公正で公平な対応というのが簡単ではないことに改めて思い至りました。状況をしっかり学びながら議論に加わっていきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

【太田主査】よろしくお願いします。

次に、坂井委員、お願いいたします。

【坂井委員】エンターテイメント表現の自由の会の坂井崇俊と申します。どうぞよろしくお願いいたします。普段は漫画とかアニメとかゲームとか、そういったものの表現の自由について活動している消費者団体の代表をしております。そういった観点で今日この場に呼ばれているのは、消費者、利用者ですかね、という観点で、この場で意見をしろということだろうなと捉えています。

この場には情報、流通の方であったりとか、権利者の方というところが多いので、もしかしたら皆さんとは違う意見を言うこともあるかと思うんですけれども、御容赦いただければと思っております。著作権法でも、保護と利用というところは両立で掲げられているところだと思っておりますので、そこは御理解いただければと思います。

今も皆さんから多くあったんですけれども、国際化と技術進展というところが、ここ数年で大きな動きになっているんだと思います。もちろん権利者だ、利用者だということで対立している間に、例えば技術的なデファクトをとられてしまうとか、海外にですね。あるいはプラットフォームとしてのデファクトをとられてしまうようなことになってしまっては我々の国益であったりとか、あるいは税金という面でもよろしくないと思いますので、そういったところはぜひスピード感を持って議論をしたいなと、特に国際的な観点を持って議論したいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【太田主査】よろしくお願いします。

次に、佐藤委員、お願いいたします。

【佐藤委員】経団連の佐藤でございます。本日2点ほど申し上げたいと思います。

先般の著作権分科会でも申し上げましたが、AIをはじめとする技術の進展は極めて速いことは、皆様ご高承の通りと存じます。こうした中、わが国として必要な環境整備等は、引き続き、国全体の問題として行っていただけるものと思います。その際、国内外の動向を的確に把握しつつ、変化が生じた場合には、関係省庁が一体となった対応をお願いしたいと存じます。

他方、クリエイティブ産業をわが国の基幹産業の一つとして位置付けていくという意味では、著作権の持つ役割は非常に重要になってくると思っておりますので、クリエイティブ産業の競争力の維持、強化といった観点も、今後の議論において忘れずにお願いしたいと思っております。

また、昨年、ご尽力いただいた「AIと著作権」に関しましても、分科会で申し上げた通り、経済界としては非常に関心が高く、今回のワーキンググループの設置により、この場でも迅速に議論できるものと期待しております。その際、引き続き、関係業界・企業の意見も踏まえていただければ幸いです。

さらに、人材という面では、クリエイターの創作活動が適切に評価されて、適正な対価が得られることが引き続き重要と考えております。検討にあたっては、権利の保護とコンテンツの利用の円滑化、活性化の適正なバランス、また、グローバルな視点というものを踏まえた議論をお願いしたいと存じます。その際、経済界といたしましても、この適切な契約関係の構築や関連法令順守等について、引き続き、周知してまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

私からは以上です。

【太田主査】ありがとうございます。

次に、オンラインの島並委員、お願いいたします。

【島並委員】島並と申します。神戸大学で著作権を含む知的財産法の研究と教育に携わっております。前期は法制度小委員会でAIをめぐる議論に参加させていただきまして、今期から親委員会及びこちらの小委員会に加えていただくこととなりました。

本日の参考資料4にもございますとおり、本委員会の審議事項は著作権関連の基本政策及び国際的な課題ということで大変広うございますけれども、基本的かつ国際的な喫緊の課題として社会の関心がとりわけ高いのは、生成AI関連法制かと存じます。

昨年度、法制小委でまとめられたAIと著作権に関する考え方は、あくまで現行の法制度及び現在のAI技術を前提に、現時点での一般的な考え方を示すことでルールの透明化と周知を図ったものと了解しておりますので、今後この考え方を踏まえて、さらに日々進化するAI技術に適した、そして必要であれば立法的な対応も含めた望ましいルールの構築に向けて情報共有と意見交換をさせていただければと存じます。

また、前期政策小委におきまして今後の検討、継続課題とされた事項のうち、私的録音録画保証金制度及びレコード演奏伝達権についても知財に関する排他権なき対価還流の在り方、及び国際的な制度調和の観点から理論上、実践上の関心を持っておりますので、御議論させていただければと願っております。

最後に近年、著作権法の規定は全体としてかなり詳細、かつ、もしかすると過度に複雑なものとなっているように感じます。社会一般の利害に広く関わるようになった著作権法の平易化、簡素化、さらには著作権思想の普及やリテラシー教育についても微力ながら貢献できればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【太田主査】ありがとうございます。

引き続きネット、オンラインで水津委員、お願いいたします。

【水津委員】東京大学の水津と申します。私の専門は、民法です。昨年度は、法制度小委員会に参加しておりました。DX時代に対応した法制度についても、関心を持っております。本小委員会の審議事項について、著作権法の専門家ではなく、民法を研究・教育する者の立場から議論に参加させていただきます。微力ではございますが、尽力いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【太田主査】よろしくお願いいたします。

続きまして、オンラインで菅委員、お願いいたします。

【菅委員】SF作家の菅と申します。よろしくお願いいたします。

SFという分野はSFプロトタイピングといいまして、未来を先取りしたものが現実化されることも大変多くなっていますので、そういう観点でこれからどうなるか、昨年、AIとSFというアンソロジーが出まして重版かかるほどの売行きだそうで、皆さん、そこら辺に注目が集まっているのではないかと思います。私もちなみに、AIと裁判について書いていますのでよろしければ御覧ください。

ほかにSF作家の顔と近しいですけども、私はサブカルチャーといいますか、アニメ漫画系の制作者と大変近しい場所におります。サブカルというのは若者がこれからどんどんクリエイターとして巣立っていくためのワンステップだと思っていますので、AIにしても楽ばかりではなくて、それを正しくどう活用するかという教育が大変必要だと思っています。

先ほど出たお話からすると、例えばオタクと呼ばれるクラスターについては、無許可で公式の絵をそのまま使ったりはしないんですね。少し自分で書いたものを使うことはあっても、それは公式の絵はもう触っちゃいけないと教育されたオタクがちゃんとそういうふうにやっているわけです。反対に、先日あったminneという手芸サイト、あそこではそのまんま本に書いてある編み図を編んで、その商品を販売するということで問題になっていました。何をしていいか、何をして悪いかという切り分けをこれからみんなで一生懸命発信していかなければならない。私の専門であるオタク分野のF1世代、もしくはそれより若い世代はどうすればその情報を得ることができるか、気を引いていけるかというのがお役に立てればなと思っています。

あと、7月でしたかね、フランスでアニメジャパンというのがあります。伊東委員なんかは御存じかと思います。アニメジャパンだと海外でいろんなコンテンツ、日本ですよとするわけですけれども、そちらにもこういう学会の、私のようなクリエイターではなくて司法関係、あとは、お国の関係の皆さんがそういうオタクコンテンツの海外発表のところに目を向けていただければなと思います。オタク関係、何でも御相談に乗りますのでどうぞよろしくお願いいたします。

【太田主査】ありがとうございます。私もAI裁判官構築プロジェクトというのを国立情報学研究所で関与しているものですから、ぜひ拝読させていただきたいと思います。

【菅委員】ありがとうございます。

【太田主査】引き続きまして、オンラインの田村委員、お願いいたします。

【田村委員】東京大学で知的財産法を教えております、田村と申します。著作権法学会の会長も務めさせていただいております。

本委員会に関係することとなりますけれども、著作権制度にあっては、誰から誰に、どのような場合に、どのように対価を還元していくのかということが重要な課題となると思います。親委員会でも申したことですけれども、18世紀にできました現在の著作権制度の骨格というのは、当時の複製できるものというものが限られていた時代の法制度を前提とした排他権となっております。それが20世紀半ばから複製が誰でもできるようになり、また、20世紀の末からは公衆に送信することも誰もができるようになった時代に、どのように変容していくのかということが極めて大きな課題として、何重にも問題になっていると思います。そして多様なステークホルダーが関わるために、国際的にも大きな問題が続いていると理解しています。

そのような中で、誰から誰に、どのような場合に、どのように対価を還元するかということを考えるに当たりましては、大量に誰もが利用できるようになり、複製できるようになり、そして大量に誰もが送れるようになったことを前提とした著作権制度というものを考えなければいけないと思っております。そのためには、例えば、誰から誰に払うか、どんな場合に、どのように払うかという点に関しましても、この大量処理が可能な形での制度設計というのはどのようなものかといった観点が必要になるかと思います。

それに応じて、先ほどから申し上げている4点、誰から誰に、どのような場合に、どのように払うかということに関しましても従来にない方々に権利が及んでくると、あるいは従来権利だったものについて、例えば権利がここだよと手を挙げないと対価が還元されない形で、それぞれのステークホルダーに大きく関わるような変容が必要になってくることもあるかと思います。そのような形での柔軟な解決も含めた立法論を、これからも検討し続けたいと思っております。

【太田主査】ありがとうございます。

では仁平委員、お願いいたします。

【仁平委員】日本ネットクリエイター協会、仁平です。よろしくお願いします。僕は、UGCと言われている、インターネットで活躍されるクリエイターさんをずっとサポートさせていただいているんですが、僕からは大きな点として3つあるのかなと。

一つは、例えばUGCの作品というのは結構管理されていたりするんですが、まだまだ例えば音楽でいえば著作権、原盤権の権利、実演家の権利というものがメジャーのコンテンツと同じように管理されていますかというと、いろいろと不具合が出てきています。その不具合によって利用されたときの対価がきちんと還元されてなかったり、還元されるにしてもひと手間、ふた手間かけないといけないようなものが出てきていると。なので、UGC作品に関しての管理というものをメジャー作品と同等の環境づくりというのを目指したいなというのが一つ。

もう一つは2次創作、先ほど海賊版という云々のお話もありましたが、UGCクリエイターというのは著作権者であると同時に利用者でもあったり、その利用者がそのまま著作権者になったりする面白い世界ですが、この2次創作というのがかなり重要な位置を占めています。この2次創作も、これが適正な2次創作が行えるような環境整備といいますか、法的整備もそうですし、重要なのは多分、先ほどいろいろな方からもありましたが著作権に関する知識の普及だと思っています。これも教科書に出ているようなものではなくて、もっと本当に具体的に、こういう2次創作をつくる場合にはどうしたらいいんだというような、そういった普及ですよね。そういった知識の普及というものが重要なのかなと。

最後に、AIに関しては外せないかなと思っています。いろいろな分野の方々から問題点の指摘というものもありますし、実は昨年の文化審議会では、これはAIというのは新しい創作文化の誕生のきっかけにもなるんだよというような意見がありました。もちろんAIに関しては、慎重な対応というのは必要なのはもう十分承知ですが、アレルギー的なものによって科学技術の発展だとか創作文化の発展を、それを阻害してはいけないなと思います。

なので、この辺は本当に慎重な議論と同時にきちんとした意見のやり取り、そしてそれをどういう意見が今、やり取りされているのかというのをちゃんと発表することが大事だと思います。

僕のほうでもいろいろな実はネットの生放送をさせていただいているんですけども、まだまだ一般クリエイターの方たち、一般ユーザーの方たち、何が起きているのかというのをまだ理解されていなかったりするのがあります。理解されていないと、そこで変なアレルギーというか、変な妄想によって変な意見が出回ってという、どろどろとした変な状況になっているのも、これは否めない、こういうことが実際起きています。なので、そういった意味ではこれも教育ということになるんだと思いますが適切な情報発信。

こういった今、3点お話ししましたが、こういったような具体的な施策が進められるような体制づくりにお役に立てればなと思っています。よろしくお願いします。

【太田主査】よろしくお願いします。学会のプレゼンテーションなどでも、生成AIを使ったイラストであるとか、文章とかが多用されているのを、発言をお聞きしていて思い出してしまいました。ありがとうございます。

続きまして福井委員、お願いいたします。

【福井委員】弁護士の福井と申します。大変楽しみな顔ぶれであるなと思いながら拝見しております。

先日、知財本部で行われたAIの議論で、これからはルールの議論だけでは足りない、それにビジネス、それから技術、三位一体の議論でなければ課題の解決はできないということが中間まとめでも強調されました。この組合せは、こちらの場でもますます重要になるんじゃないかなと感じています。

その上で3点です。まず、そのAIですね。ニュース記事などの合意に基づく学習とか、あるいはOECDでのルールの議論等、現実はまたさらに動いているようです。本丸はかなり海外にあるなと。そしてお話にも出たビッグテックの情報寡占という文脈の中で、これも捉えないといけないなということを感じます。そうした現状の把握と、そして日本としての発信、それに資する議論ができればいいなと思いました。

2番目です。話題にも出ました新しい裁定制度、そしてそれをサポートできるものとしての権利情報のデータベースの充実です。これは、あらゆる分野の利用の円滑化や収益の還元のために非常に画期的な制度になろうと思います。恐らく2026年が本格スタートということになると思いますが、それに向けて窓口組織、それからデータベースの充実、連携、こうしたことを進めて、育てがいのある制度をスタートできるように、まさにこのことに大きな関心を持ちます。

最後は、私も海賊版対策を挙げておきましょう。漫画など、対策は非常に進んではきています。が、一方でオリジナル言語に加えて翻訳版の海賊版サイトも激増しておりまして、アクセス数は現在、月間で10億セッションを超えました。史上最悪の状況にあります。その中では、特に全く同じ海賊版サイトでドメインが実に250というような、極めて極端な短期間でのドメインの切替えや増殖、つまりドメインホッピングが重大な課題として浮上しています。対策が非常に困難です。

よって、この解決には各国の政府、機関、プラットフォームなどの国際的な連携がないと到底望めません。そこで、この実効的な協力体制に向けた働きかけを日本もぜひ進めていくべきです。これは一つ、海賊版に限らず、多分多くのネット犯罪に共通の課題だと思いますので、その点でも重要であろうなと思います。

私からは以上でした。

【太田主査】ありがとうございます。

次は、オンラインの渕委員、お願いいたします。

【渕委員】神奈川大学の渕でございます。私は知的財産法を研究の対象としております。昨年度より引き続きまして、こちらの政策小委員会に参加させていただいております。

まず、はじめに、事務局が御提示くださいました本委員会の議論の方向性、クリエイターの育成支援、それから利益還元、クリエイティブ産業の振興といった観点に賛同しております。ただ、海賊版のようなものは全く話は別なのですけれども、場面によっては権利者とユーザーがそう簡単には区別できず、ユーザーの権利ですとか、あるいは両者の利益調整という考慮が非常に重要な場面も出てくるかと考えております。

それからもう一つ、本日も既に委員の先生方のコメントにもありましたとおり、最近の著作権法の議論ではヨーロッパの議論、法制度が参考にされる場面が多くあるかと存じますが、日本の著作権法の在り方としてそれに追随するのか、あるいはどのような立ち位置に立つのかということについて検討していけたらと思いますし、それから国内法の問題として知的財産法以外の他の法分野との整合性などを考えていけたらと思っております。少しでもお役に立てるよう、努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【太田主査】よろしくお願いいたします。

次に、丸山委員、お願いいたします。

【丸山委員】丸山ひでみでございます。私は日本芸能実演家団体協議会の理事、及び著作隣接権センターの運営委員をしております。とはいえ、私は実演家しか10代の終わりからしたことがない中で団体と関わることになって今に至る、がもう何十年にもなっておりますが、そういう状況です。

それで、著作権分科会のときも実演家としてはということで、DX時代に対応したクリエイターへの適切な対価還元、これは実演家としては本当に毎回毎回言っていきたいということです。AIに関しては、この間もお話は私もさせていただいたのですが、芸団協の中で私のように実演家だけの団体もありますが、それとは別に制作側の団体もあり、スタッフの団体もありということで、みんなで考えるとそれぞれどうしたらいいかという中には、使用料をいただき商売にできるのかなど色々な立場でお考えです。

そこで多分、遅れているのが私たち実演家じゃないかなと。私たちが何かをやると、見てもらえれば、そこにまず満足度があって、かといって商売ですのでちゃんとお金を頂くにしても、それとは別に満足度をつい持ってしまうところがあります。

昔、レンタルビデオ屋さんというのがたくさんあった時代、もう20年以上前にシンガポールに行きましたら、前の日に日本でやっていた土曜ワイド劇場というものが、次の日行ったら、きれいにもうちゃんとレンタルビデオ屋さんでありました。それに対して、本当にすごいと思ったんですよ。こんなに早く、これも売り物じゃないですが貸すものとして置いてあるという、これで商売しているんだって本当に思って。それがレンタルビデオとかじゃなくって自分の中で動き始める。

今度は、我々がやっていることがAIの中の一部分のどこかにあるかもしれないという今、そんなことを考えて、実演家としては、これを使われていることがどうなのか。それからそれを見た人が、すてきだと思うかもしれないけど、我々が生でやっているものとの違いを見ている方が気づいてくれないと、これはもしかしたら私たち演じる側も、それから見てくださる方も、みんなに何かすごく冷たい感じの感情が出てきてしまいそうな気がして、すごく怖いなと思います。

そこも含めまして、私は私で実演家として自分が演ずるとか歌うとか、そういうときに感じる言葉と、見てくださっている方たちの皆さんの言葉、そしてマネージャーも含め、スタッフも含め、芸団協の中にたくさいらっしゃるので皆様の意見も聞きながら、こちらで意見を出させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【太田主査】よろしくお願いします。

次に、オンライン参加の𠮷田委員、お願いいたします。

【𠮷田委員】𠮷田でございます。私は、大阪工業大学知的財産学部で知的財産法を教えております。昨年度は法制度小委員会で「生成AIと著作権」について取り組ませていただきました。この小委員会の中で何ができるのかなというところでございますが、5年ほどは、自分自身、伝えるということをよく考える機会がございまして、例えば5年程前からヨーロッパ研究者とDXに関する知財(AIを含めて)、比較法を主とする共同研究を進めてまいりました。技術と著作権という何かが近接していく中で何ができるべきかということを、諸外国の皆さん研究者に日本の状況ことを共有し伝えながら研究をしております。また、日本においては、これからの若い世代にどう教育していくのか、非常に大切なことだと考えておりますので、この小委員会におきましても皆様の御意見から学ばせていただきながら、自分たちの進むべき方向性というのを見いだし、少しでも貢献できたらと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

【太田主査】よろしくお願いいたします。

早稲田委員、お願いいたします。

【早稲田主査代理】弁護士の早稲田でございます。一昨年は法制度小委員会で先ほど福井委員がおっしゃった新しい裁定制度の検討させていただきまして、昨年は法制度小委員会でAIと著作権に関する考え方についての議論に参加させていただきました。政策小委員会は本年度が初めてでございまして、本年度は著作権分科会親会にも参加させていただいております。

まず、審議事項のDX時代に対応した著作物の利用円滑化・権利保護・適切な対価還元、これは親会でも申し上げましたが非常に重要なことで、これがなくしてはクリエイターも人材も育たないでしょうし、利用円滑化がなければクリエイティブな産業が発展していかないという点で非常に重要だと思っております。

ただし、これは数年以上議論をしていても、関係者の皆様の御見解等がなかなか一致しない、ないしは落ち着きどころが見えにくいという非常に難問を今年も取りかかるというところで、これについても何か意見等を言わせていただければ幸いだと思っております。

もう一つは、AIと著作権制度でございますけれども、これも昨年度、非常に議論になりまして福井委員等が相当先進的な議論をなさっていらっしゃいましたけれども、これは昨年の報告書はあくまで昨年の技術と現在の著作権制度から考えればこういう報告書になるということでありますので、これにつきましてはAIの技術がどんどん進展していて、また、その利用方法も多岐にわたるようなこともありますので、これも引き続きウオッチできればいいかなと思っております。それにつきましては海外、ヨーロッパ、それからアメリカが今後どうなるかというようなところも見つつ、我が国の制度としてどういう制度がいいのかということを考えていければと思います。

最後に海賊版対策でございますが、これもAIと著作権に関する考え方で激論になったところの一つですけれども、現行の著作権法でできること、できないこと、いろいろあると思いますけれども、この海賊版対策を何とかしていかないとクリエイターの適切な対価還元ということにはならないと思いますので、ぜひこちらも力を尽くしていければいいなと思っております。どうもありがとうございます。

【太田主査】ありがとうございます。各委員のここまでの御意見を踏まえまして、さらに御質問、補足、御意見等がございましたらお願いしたいと思います。オンラインの方は、挙手サインないしは本当の挙手でお願いいたします。いかがでしょうか。ありがとうございます。

特にございませんようでしたら、次の議事の(3)その他に入りたいと思います。事務局より1点御報告があるということでございますので、参考資料7について御説明をお願いいたします。

【持永著作権課課長補佐】事務局でございます。1点御報告をいたします。参考資料7を御覧いただければと思います。

昨年度末の著作権分科会において、AIと著作権に関して当事者間の適切なコミュニケーションを図るべく、AIと著作権に関する関係者ネットワークを立ち上げることとする旨、御説明させていただきました。このネットワークが先月開催されましたので、参加いただいた団体の一覧をここに公表させていただきます。

以上です。

【太田主査】ありがとうございます。多数の団体の参加がなされたということでございます。41団体、82名です。ありがとうございました。

その他、全体を通しまして何かございますようでしたらお受けしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、ありがとうございました。

それでは、本日の議事は以上で全て終了いたしました。ほかに特段ございませんようでしたら、本日はここまでとしたいと思います。

最後に、事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

【持永著作権課課長補佐】本日はありがとうございました。次回以降の政策小委員会は改めて事務局にて調整の上、日程をお知らせいたします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【太田主査】ありがとうございます。

それでは、以上をもちまして文化審議会著作権分科会政策小委員会第1回目を終了とさせていただきます。今日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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