日時:令和7年8月19日(火)
14:00~16:00
場所:文部科学省東館15F 特別会議室
(オンライン併用)
議事
1開会
2議事
- (1)政策小委員会主査の選任等について【非公開】
- (2)今期の政策小委員会における審議事項及びワーキングチームの設置について
- (3)レコード演奏・伝達権の検討状況について
- (4)その他
3閉会
配布資料
- 資料1
- 第25期文化審議会著作権分科会政策小委員会委員名簿(131KB)
- 資料2
- 「知的財産推進計画2025」等の政府方針等(著作権関係抜粋)(1.5MB)
- 資料3
- 第25期文化審議会著作権分科会政策小委員会における主な検討課題(案)(62KB)
- 資料4
- ワーキングチームの設置について(案)(81KB)
- 資料5
- 「レコード演奏・伝達権」について(1.5MB)
- 参考資料1
- 文化審議会関係法令等(226KB)
- 参考資料2
- 第25期文化審議会著作権分科会委員名簿(207KB)
- 参考資料3
- 第25期文化審議会著作権分科会における主な検討課題について(令和7年5月16日文化審議会著作権分科会決定)(107KB)
- 参考資料4
- 小委員会の設置について(令和7年5月16日文化審議会著作権分科会決定)(75KB)
- 参考資料5
- 令和6年度政策小委員会の審議の経過等について(976KB)
- 参考資料6
- WIPO(世界知的所有権機関)における最近の動向(441KB)
資料3、資料4について異議なく、案の通り了承されました。
了承された資料については、以下の通りです。
- 資料3
- 第25期文化審議会著作権分科会政策小委員会における主な検討課題(62KB)
- 資料4
- ワーキングチームの設置について(81KB)
議事内容
出席者
- ・委員 :
- 太田委員(主査)、早稲田委員(主査代理)、麻生委員、生貝委員、伊東委員、内山委員、正親町委員、唐津委員、楠本委員、河野智子委員、河野康子委員、島並委員、水津委員、菅委員、田村委員、墳﨑委員、仁平委員、福井委員、渕委員、𠮷田委員
- ・文化庁:
- 日向文化庁次長、守山文化戦略官、長谷著作権課長、依田著作権課課長補佐、飯田著作権課調査官、八田流通推進室長、小林国際著作権室長、石田国際著作権専門官
〇今期の文化審議会著作権分科会政策小委員会委員を事務局より紹介。
〇本小委員会の主査の選出が行われ、太田委員が主査に決定。
〇主査代理について、太田主査より早稲田委員を指名。
〇会議の公開について運営規則等の確認。
※以上については、「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」(平成二十四年三月二十九日文化審議会著作権分科会決定)1.(1)の規定に基づき、議事の内容を非公開とする。
(配信開始)
【太田主査】お待たせいたしました。ライブ配信が開始いたしました。
傍聴される方々におかれましては、会議の様子を録音・録画することは御遠慮ください。
では、改めて御紹介させていただきます。先ほど本小委員会の主査の選出が行われ、主査に私、太田が就任いたしました。また、主査代理として早稲田委員を指名いたしましたので、御報告いたします。
私、昨年度に引き続いてでございますが、非力でございまして、委員の皆様方の御協力で何とかもって参りましたので、今年も同様に委員の皆様方の御協力をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
また、本日は今期最初の政策小委員会となりますので、議事に先立ちまして、日向文化庁次長から一言御挨拶を賜りたいと思います。よろしくお願いします。
【日向文化庁次長】すみません、着座にて失礼いたします。文化庁の日向でございます。文化審議会著作権分科会政策小委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
皆様方におかれましては、日頃より著作権政策の検討、実施に当たりまして、御協力・御助言をいただいておりますとともに、このたびは御多用の中、政策小委員会の委員をお引き受けくださり、誠にありがとうございます。
この政策小委員会は、DX時代に対応した著作物の利用円滑化、権利保護、適切な対価還元に係る基本政策など、著作権に係る重要政策について議論いただくべく設置をされたものであり、今期も引き続き御議論をお願いしたいと考えております。
政府におきましては、コンテンツ産業が日本の基幹産業と位置づけられ、2033年までに海外市場規模を20兆円に引き上げることを目標としております。この産業の源となるクリエイター一人一人が適切な対価還元を受け、次の創作に取り組めるような環境づくりが重要と考えております。また、そうした環境づくりがクリエイターの新たな挑戦への意欲を喚起することにつながると考えております。
あわせまして、コンテンツ産業の海外展開の文脈として、今年度の骨太の方針におきましても、アーティストの海外展開を後押しする観点から、レコード演奏・伝達権の導入について早期に結論を得るとされているところでございます。委員の皆様方におかれましては、それぞれの御専門のお立場から、社会の要請を踏まえた我が国の著作権政策の課題について精力的な御議論をお願いできればと考えております。
以上、簡単ではございますが、私からの挨拶とさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
【太田主査】ありがとうございました。
それでは、報道関係者の方は、恐縮ですが御退出ください。
次に、議事(2)の「今期の政策小委員会における審議事項及びワーキングチームの設置について」に入りたいと思います。
事務局に資料を準備していただいておりますので、まず、事務局から説明をお願いいたします。
【依田著作権課課長補佐】事務局でございます。資料2から資料4に基づいて御説明させていただきます。
まず、資料の2を御覧いただけますと幸いです。今後、御審議いただきたい事項等の参考になりますようにということでございまして、この間に作成されました政府の政策文書の概要等をまず御紹介させていただきたいと思います。
知的財産推進計画2025、それから、いわゆる骨太の方針2025、それと新資本主義のグランドデザイン等2025年改訂版のうちから、著作権関係の内容について御紹介させていただきます。
まず、知財計画2025でございまして、1ページ目、AIと知的財産権の関係でございます。世界のAI市場規模等が拡大していく中で、2ページにいっていただきまして、日本での生成AIの利活用が海外より比較的進んでいないというふうなことなどが紹介されてございまして、少子化等も踏まえまして、我が国でも強みのある分野でAI開発を促進し、価値の創造につなげ、3ページにいきまして、経済活動に再投資するといった強靱な知的創造サイクルの構築が求められるというふうにされている一方で、著作権等の侵害リスクに関しまして、クリエイターや権利者から懸念の声が示されているというふうなことでございます。そういったものに応えるべく、この著作権分科会の法制度小委員会におきまして、御議論いただきましたAIと著作権に関する考え方についてでありますとか、内閣府のAI時代の知的財産権検討会中間取りまとめが紹介をされてございます。このうち中間取りまとめのほうにおきましては、法、技術、契約の各手段を適切に組み合わせながら、幅広い関係者が連携して取り組むことにより、創作者にとって信頼できる開発者の元に良質なデータが多数集積し、高度な生成AIの開発・提供とともに、新たな創作活動につながる好循環の実現が期待されるとしまして、3ページの下では、この間の政府の取組でありますとか、周知啓発等の状況が記載をされてございます。
また、昨年度御議論をいただきました肖像や声の保護に関しましては、4ページの頭で触れられてございまして、特に不競法との関係が触れられておるところでございます。
少し飛びまして6ページになりますけれども、施策の方向性がまとめられてございます。まず、関係当事者がAI技術の進歩の促進と知的財産権の適切な保護の両立に向けて主体的に取り組むよう、ガイドライン等の必要な更新を適時に行い、社会に分かりやすい形での周知を引き続き行うということでございますとか、AI学習等のための著作物のライセンス等の実施状況や、海賊版を掲載したウェブサイトに関する情報の共有等を図るため、関係当事者間における適切なコミュニケーション引き続き促進すること。肖像や声の保護に関しましては、考え方を整理したものの周知や対価還元策の検討等を関係省庁で行うというふうなこととされてございます。
7ページでございます。知財創造教育について取組の促進がうたわれてございまして、8ページにおきましては、文化庁についても、広く国民に向けたセミナーや学習教材の作成、クリエイターを含む全ての国民が著作権を意識できるよう、効果的な普及啓発活動について検討を実施していくこととされてございます。
その下から、海賊版対策の強化でございます。デジタル化・ネットワーク化の中で、侵害行為も国境を越えて、かつ、これまで以上に手法が巧妙化しております。サイト運営者の特定が一層困難な状況にありまして、これに伴って、海賊版の被害も急増をしております。例えば、漫画等の海賊版サイトについては、2024年の12月に5億アクセスを超えるといった被害状況も生じていたというところが紹介されてございます。
9ページにいきまして、その後の対策によりまして、3億アクセス程度にまで減少に転じたということでありますけれども、依然として予断を許さない状況が続いているという旨が示されてございます。
日本のコンテンツの海外展開を進める上でも、海賊版体制の強化が重要であると。こうした国境がないインターネット上の海賊版への対応には、国際的な連携や国際執行の強化が特に重要であることなどが示されてございまして、具体的には11ページになりますが、施策の方向性が記載をされてございます。
まず、インターネット上の海賊版に対する総合的な対策メニューに基づく取組を官民一体となって進め、工程表も年度ごとに更新を行うこと。それから、海賊版・模倣品に関する啓発活動を推進すること。12ページにかけまして、AIを活用した海賊版サイトの検知・分析実証事業を通じて得られた知見を生かし、より実効性の高い海賊版対策の在り方を検討すること。それから、続いて、海賊版サイトの運営等に利用される各種民間事業者のサービスについても、必要な対策措置が取られるよう働きかけなどを行うことでありますとか、国際連携の強化や外国港湾当局への積極的な働きかけなど、国際執行の強化を図ること、特にベトナム、インドネシアに対する対策の強化というふうにされてございます。また、警察外交部局を含めました国際的な協力体制(コンソーシアム)の構築をしまして、権利者の円滑な権利執行に向けた環境の整備、加えて権利者の権利行使への支援の取組の充実を図るというふうにされてございます。また、海外の海賊版サイトであっても、送信行為が日本の公衆に向けられ、日本と密接な関係性があると認められる場合などは、著作権法に基づく刑事処罰をし得るとの解釈を踏まえた捜査の推進でありますとか、多数の施策が御覧いただいているとおり挙げられておるというようなところでございます。
続いて、13ページから、新たなクールジャパン戦略の関係になります。引き続きコンテンツ産業への期待が述べられてございまして、少子高齢化の中、日本市場が伸び悩むという中、コンテンツ産業の海外市場から稼ぐ力に強い期待が向けられてございます。
14ページでは、昨年の新資本主義計画において、アニメ・音楽・放送番組・映画・ゲーム・漫画などにつきまして、コンテンツ産業活性化戦略を官民連携で推進する旨が示されてございまして、司令塔機能の明確化としてコンテンツ産業官民協議会が開催されていることでありますとか、経産省でもエンタメ・クリエイティブ産業政策研究会にて官民のアクションプランがまとめられたことなどが紹介をされてございます。
15ページでも続いてですが、公正取引委員会もコンテンツ分野の取引等に関する実態調査を順次進めていること、それから文化庁、それと経産省のクリエイター支援や事業者支援を束ね、クリエイター支援基金に統合し支援の充実を図っていること。そして、石破総理の施政方針演説の中では、このエンタメ・コンテンツ産業の海外市場規模について、2033年までに20兆円とする目標が打ち出されていることなどが紹介をされてございます。
こうした中で、16ページの中ほどになりますけれども、施策の方向性を掲げられてございまして、アーティストの海外展開を後押しするため、レコード演奏・伝達権の導入について、関係者の合意形成の見通しや法制的な枠組みなどを含めた在り方を議論し、早期に結論を得るというふうに、レコード演奏・伝達権に関して記載がされているところでございます。
続いて、デジタルビジネスに対応した構造改革の推進ということでございまして、クリエイターへの対価還元等に関しまして、プラットフォーマーとの関係、あるいはテクノロジーの活用等挙げられております。
17ページで施策の方向性としまして、コンテンツ配信プラットフォームや投稿サイト等における著作物等の利用状況、デジタルプラットフォームサービスのコンテンツ市場における役割なども念頭に、国際的な動向や国内の競争政策、デジタルプラットフォーム政策、情報通信政策などの諸政策を踏まえつつ、著作権分野において、契約条件などデジタル時代に対応した適切な対価還元を実現するための具体的な方策について検討すること。また、そういったコンテンツ創作の好循環を促し、クリエイターへの対価還元にも資するものとなるように、2023年に改正されました著作権法に基づきます未管理著作物裁定制度の円滑な運用開始に向けて必要な準備を行う。それから、制度の施行に合わせて「分野横断権利情報検索システム」が運用されるよう、システム構築とともに各分野のデータベースを保有する団体等との連携を進めること、このように記載がされているところでございます。
また、18ページでは、コンテンツ産業を支える人材強化としまして、著作物の利用に関する契約のサポートも重要であるということから、契約書支援システムや契約マニュアルの活用が指摘をされてございます。
その下から、デジタルアーカイブの推進について記載がされてございます。
19ページになりますが、今年5月にはデジタルアーカイブ戦略2026から2030が策定されまして、今後5年間でジャパンサーチを軸に、国全体でデジタルアーカイブ推進に向けた取組の活性化の基盤づくりが目指されておるというところでございます。
詳細は割愛させていただきますが、20ページの施策の方向性では、著作権の分野横断権利情報検索システムとジャパンサーチの連携等々が将来的な検討課題というふうなことで記載がされてございます。
21ページになります。こちらはいわゆる骨太の方針に関して、になります。まず、他分野の動向としまして、教育に関しては、教育DXが進められておりまして、特にデジタル教科書のさらなる利活用の促進が議論をされているところでございます。次いで著作権に直接関わる事項としましては、骨太の方針におきましても、レコード演奏・伝達権の導入について早期に結論を得ると記載がされてございます。
最後に22ページになります。新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版ということでございまして、こちらでもレコード演奏・伝達権について、知財計画等と同様に、我が国の音楽、アーティストの海外展開を一層促進し、アーティスト等への望ましい対価還元を図るため、レコーダー演奏・伝達権の導入について早期に結論を得ると、このように記載がされてございます。
それから、海賊版対策についても、知財計画と同様の取組が記載をされておるところでございます。
資料2については、簡単ではございましたが、以上となります。
続いて、資料の3、今期の政策小委員会における主な検討課題の案を用意させていただきましたので、御説明をさせていただきたいと思います。
まず、今期の著作権分科会におきまして検討課題が既に示されてございまして、参考資料3にありますとおり示されておるところでございます。そちらの内容も踏まえまして、今、お手元の資料3に記載の3つの検討課題を挙げさせていただいているところになります。
先ほどの政策文書の内容も踏まえますと、具体的には、1つ目にDX時代に対応した著作物の利用円滑化・権利保護・適切な対価還元に係る基本政策について、でございます。様々な分野、問題に関して御議論をいただきたいというふうに思ってございますけれども、今期は特に昨年度の政策小委員会の御議論やこの政策文書の記載を踏まえまして、レコード演奏・伝達権について集中的に御議論をお願いできればというふうに考えてございます。
2つ目は、著作権法制度に関する専門的事項について、になります。これも幅広い問題が想定されるところでございますが、例えば、AIと著作権に関する事項について、引き続き御議論をいただくことを想定してございます。
3つ目は、著作権保護に向けた国際的な対応の在り方について、でございます。例えば、インターネット上の海賊版対策、あるいはそのほか国際的な動向等を踏まえた御議論をいただくことを想定してございます。
なお、検討課題につきましては、今後の状況の変化等を踏まえまして、適宜追加や見直しをさせていただければというふうに考えてございます。
これを踏まえまして、今後の審議の進め方につきまして案を記載させていただいておりますけれども、今期は特にまず、レコード演奏・伝達権について重点的に御議論をいただければと思ってございまして、法制的な枠組みの議論に加えまして、実際に商業レコード等を利用される方々、関係の方々からのヒアリングも踏まえて、導入に際した課題等を御審議いただきまして、関係者の合意形成の状況も踏まえながら、一定の取りまとめをいただきたいというふうに考えてございます。
また、そのほか対価還元に関する様々な論点、課題についてでありますとか、インターネット上の著作権侵害等に関する事項についても、必要に応じ取り上げることとさせていただきまして、年度末を目途に全体の審議の経過をお取りまとめいただいてはどうかというふうに記載をさせていただいております。
最後に、資料の4について説明させていただきます。今、資料3の御審議いただきたい事項の案も踏まえまして、今期のワーキングチームの設置について案を記載しておりますものになります。
1つ目については、引き続き、放送条約等の検討に関するワーキングチームを設置してはどうかと考えてございます。WIPOにおいて検討中の放送条約への対応等について御議論をいただくことを想定しております。
2つ目としまして、法制度に関するワーキングチームでございます。まず、レコード演奏・伝達権に関する事項のうち、特に法制的な枠組みについては、こちらのワーキングチームで御議論いただいてはどうかと考えてございます。また、AIと著作権に関して法的な整理が必要な事柄についても、こちらのワーキングチームで御議論いただくことを想定してございます。
2ポツでは、ワーキングチーム員の構成を記載してございまして、政策小委員会の委員の中から、主査が指名される方を座長といたしまして、チーム員は座長が委員の中から指名された方やそのほかの方で、座長に御相談した上で文化庁から協力をお願いさせていただいた方としてはどうかというふうに考えでございます。
御説明は以上となります。
【太田主査】どうもありがとうございました。
それでは、今説明をいただいた中の資料3と資料4につきましては、事務局から御説明があった案のとおりとしたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。
ありがとうございます。それでは、ワーキングチームの座長については、私のほうで指名させていただき、後日、事務局よりお知らせいたします。
さて、本日は第1回ということですので、今回の政策小委員会に向けた抱負や、今後議論をしていただきたいことなどについて、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。
お名前の五十音順で指名させていただきますので、1人当たり二、三分程度で簡潔に御発言をお願いいたします。
それでは、オンライン参加の麻生典委員、よろしくお願いします。
【麻生委員】慶應義塾大学の麻生でございます。知的財産法を専門としておりまして、一昨年より政策小委員会に参加させていただいております。
クリエイターへの適切な対価還元と著作権法関連の基本政策は非常に重要だと認識しておりますし、また、今回取りあげるレコード演奏・伝達権につきましても、まずはできるところから重点的に議論を行うという方向性は非常によい方向性だと思っています。その他の著作権制度に関する専門的事項ですとか、国際的な対応の在り方についても重要な審議事項だと思いますので、微力ではありますけれども、お力になれることがあればと考えております。これからどうぞよろしくお願いいたします。
【太田主査】どうもありがとうございます。
続きまして、生貝直人委員、お願いいたします。
【生貝委員】ありがとうございます。一橋大学の生貝でございます。情報法を専門としておりまして、引き続きの参加となります。
今回の主要なテーマとしても、レコード演奏・伝達権というところについては、これまで議論してきたクリエイターに対する適切な対価還元の具体的な施策の重要な1つとして、私も少しでも議論に貢献できるところがあればというふうに思います。
そのほかのことについて少し幅広に、今後重要になってくるかなということにつきまして、簡単に2点ほどなのですけれども、1つはこの審議会の中でも、これまでどちらかというと、例えば適切な対価還元でも、あるいはそれ以外の権利侵害への対応などでも、全体的に著作権法と加えて、例えばプラットフォーム規制のようなものとどう組み合わせて制度を考えることが重要だということを議論してきたことというのが、今、知財計画の中でも御紹介いただいた様々なイシューの中の、特にAIに関しては、まさにAI規制法と著作権法との関係というのが、やはり世界的にも非常に大きなイシューになってきている。ヨーロッパですと、まさしく先般、行動規範が公開されたAI Actの運用の中で、かなりの程度AIとクリエイターに対する適切な対価還元の枠組みというものはガバナンスされることになるわけでありますし、また、それとは少し枠組みは異なりますけれども、日本も今年になってAI推進法というものがつくられ、年末ぐらいまでには、まずはその具体的な規範の在り方を定めた指針というものがつくられるというふうに伺っているところ、そういった制度枠組みとの関係をどのように考えていくかという観点から議論に貢献できるとよいかなと思っているところです。
そして、もう一つの点として、若干最近関心を持っていることとしては、今、計画の中でもデジタルアーカイブのことを挙げていただいて、私もここをずっとコミットしているんですけれども、そろそろ具体的に考えてもよいかなと最近思っているのがウェブアーカイブと呼ばれるものです。といいますのも、日本でいわゆるウェブアーカイブを制度的に無許諾で網羅的に収集しているのは、実は国立国会図書館が、基本的に政府と自治体のウェブサイトについて集めているだけなのですよね。民間のそういったウェブアーカイブは基本的に完全にアメリカのインターネットアーカイブに任せきりになっていて、最近少し国際的な状況を調べてみると、主要国の中ですと、各国国立図書館がそういう情報をしっかりバルクで集めていたりする。現状、日本ですと、例えば研究目的権利制限規定というのもないので、研究者が自分で情報流通を後から検証しようと思ってウェブページを残しておくのも著作権法的には難しいといったような状況もある中で、今の偽情報対策などの文脈で、どう情報流通を後から検証するかということですとか、また、あるいは今後恐らくAIの学習データの透明性というものが重要になってくる中で、URLのリストを公開してもらっても、何を学習したかはウェブアーカイブが残っていないと分からないわけですよね。そういった点も含めてだんだんと、今回ではないかもしれませんけど、議論の対象にしていってもよいかなと思っていたところでございました。
雑駁でございますが、以上でございます。
【太田主査】ありがとうございました。
続きまして、伊東敦委員、お願いいたします。
【伊東委員】伊東です。引き続き、政策小委員会のメンバーとして頑張っていきたいと思います。
先ほどの資料3の3番目に、著作権保護に向けた国際的な対応の在り方についてとしっかり入れていただいております。逆に入れていただいているということは、問題が解決してないから入っているということになります。やはり海賊版の状況、一進一退で、大きな海賊版サイトが登場したらアクセスが増えるし、出版社側が頑張ってそのサイトを閉鎖に追い込めば減るというようなことを繰り返して、結局アクセス数の折れ線グラフは凸凹で、海賊版を読むユーザーは、大きなサイトが閉じたら今度別のサイトに移り、そのサイトが伸びて大型化したから我々頑張ってそれを閉鎖に追い込むということの繰り返しになっております。運営者が海外にいて、言葉は悪いですけど、海外でのうのうと運営しているというこの状況で、やはり海外の捜査機関と連携しての摘発が一番効果があると考えます。日本国内にいる人間が、大型の海賊版サイトを運営しているケースは今ほぼゼロです。SNSなどに海賊版アップする連中は当然いますけれども、海賊版サイトの運営をしている連中はほぼゼロという状況になりましたのは、日本の捜査機関が頑張って何人も何人も逮捕して実刑判決まで行ったという尽力の結果かと。海賊版サイトの運営は割に合わないということが周知されたゆえ日本国内での運営がなくなったと思います。
海外においては、幾つかの先行事例はありますが、残念ながら特に漫画を中心とした海賊版サイトに関して言うと、ベトナムやインドネシアで運営している連中が多く、まだ逮捕事例がありません。ハリウッドの映画もベトナムの運営者に手ひどくやられていて、彼らも頑張って6年ぐらいかけてようやく初めて逮捕ができたということで非常に困難なミッションになっているのが現実です。こういったことをやってくれれば絶対逮捕できますよというようなことすらぼんやりとまだ見えてない状況で、国によっても状況がいろいろ違って、あるいは向こうのキーパーソンがどういう人物かによっても、何を押せば動くのかというところが全く見えない状況です。まずは継続して、事あるごとに向こうと接触するときに、海賊版を何とかしてくださいということを訴え続けるしかないかなという状況です。それをどう政府として効率的に後押ししていくのがいいのかという取っかかりが、この会議から生まれるといいかなというふうに思っております。
私からは以上です。
【太田主査】ありがとうございました。
続きまして、内山隆委員、お願いいたします。
【内山委員】内山でございます。
今年のメインテーマはレコード演奏・伝達権ということで、全くこれを議論すること自体は全く異議はございませんけれども、資料3に基づけば、これはクリエイターへの適切な対価還元方策に係る論点という形でそこに紐づいております。ところが知財計画のほうの文書では、アーティストの海外展開を後押しするためということで、海外展開にひもづいた形でこれがあります。もともと知財のほうでも海外向けて20兆円という膨大なKPIを挙げているところでございまして、これが実際どの程度それに対して貢献するかは分からないんですけれども、ちょっと皮算用なことを言ってしまうと恐縮ですけれども、もしこれが実現するということであるならば、ぜひ正確な海外から入金データを公表していただきたいということを要望しながら、これから議論に臨んでいきたいなというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。
【太田主査】ありがとうございます。
続きまして、正親町友惠委員、お願いいたします。
【正親町委員】経団連の正親町です。
経団連としましては、コンテンツ産業振興に向けて、海賊版対策の徹底ですとか、拡充の必要性を以前からこちらでも申し上げております。本日の資料、知財計画2025の抜粋について説明がございましたが、11ページから12ページにかけて、文化庁御担当の施策として、AIを活用した海賊版サイトの検知・分析実証事業を通じて、サイト・コンテンツの自動検知ですとか、削除申請などの権利行使の自動化について得られた知見を活かし、より実効性の高い海賊版対策の在り方を検討するとあります。こちらは以前御説明いただいた令和6年度の補正予算による事業かなと思っております。海賊版対策については、先ほど伊東委員からもありましたとおり、官民での連携が重要と指摘されておるところですので、こうした文化庁さんの事業をはじめ、関連する政府の取組があろうかと思いますので、そちらの進捗ですとか、適宜御報告いただく機会があればありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【太田主査】ありがとうございます。
続きまして、唐津真美委員、お願いいたします。
【唐津委員】弁護士の唐津です。引き続きよろしくお願いいたします。
本日、資料の中にもありました知財推進計画2025の中でも、コンテンツ産業は基幹産業であるという位置づけの下に、もちろん先ほど皮算用というお言葉もありましたけれども、これから推し進めていきたいということで、グローバル展開が重要であるというお話があったかと思います。私はクライアントにアート・メディア・エンターテイメント関係のお客様が非常に多いのですけれども、今までクールジャパンといって盛り上げよう、盛り上げようというときも、それほど感じていなかった、本当にアーティストの側からグローバル展開したいという意欲を、最近仕事を通じて感じることが多くなりました。
この後、恐らくレコード協会さんのほうからの発表の中で、今、特に音楽が、Jポップがグローバル的に「来ている」というお話が出てくるかと思うのですけれども、実際に恐らく取っかかりはいわゆるアニソンだとは思うのですけれども、海外で本当に日本のアーティストがコンサートをいっぱいにしているというような状況が出てきまして、日本のアーティストも、より主体的に自分たちもグローバル展開したいという意欲を持って御相談、何らかの契約をもって、こういう契約を結んでグローバル展開の取っかかりにしたいんですけどどうですかという御相談が増えているということを体感しております。
ただその中で感じるのは、今回の2025知財推進計画の中にもありましたけれども、やはりそこで出てくる契約というものをしっかり読み解いて、リスクも理解して、その上でグローバルに出ていくという、そこがやはり心もとないなということを感じております。つい先日も、グローバルエージェント契約というとても耳ざわりのいい契約書、こういう提案があったんですけど、どうですかというのをアーティストサイドの方から御相談を受けまして、中身を拝見しましたら、このまま結んだらとんでもない、5年たったときには恐らくお金もないし権利もないという状態になってしまうのではないかという非常にリスクのある契約でしたので、説明をした上で、「こちらはこういう提案です」と赤を入れて返して契約交渉しましょうというお話をしたのですが、それは恐らく筋の悪い相手方で、そのような提案をした途端にお話がなくなってしまうということがありました。
恐らく今後、グローバルにコンテンツ展開していこうというときには、そういったリスクのある契約書というのがどんどん日本側に提案されて、中にはそれに乗っかってしまう方も出てくるのではないかなというのが今、気になっているところです。ですので、今回メインテーマはレコード演奏・伝達権ということで、もちろんグローバルに出ていく上で非常に重要なお話だと思いますし、私は個人的には設立に向けて何かお手伝いできればと思っているところですが、権利があってもやはり契約で足下をすくわれてしまうということが今も懸念事項としてありますので、そちらの人材育成ということにも、何かできることはないかなと思っているところです。
以上です。ありがとうございます。
【太田主査】ありがとうございます。
続きまして、楠本靖委員、お願いいたします。
【楠本委員】日本レコード協会、楠本でございます。
私どもは音楽実演家の皆さん、それから、レコード製作者にレコード演奏・伝達権を付与していただきたいということで、昨年度来、いろいろなところでお話をさせていただいております。本日も、後ほど検討の進捗というところで少し御紹介をさせていただきます。
今、日本のミュージシャン、アーティストが海外に出ていって、何らかの見返り、対価を持って帰ってくるためにも、我々はいろいろな自助努力ということで海外進出の後押しはしているわけですが、制度についてはこちらにいらっしゃる先生方のお力添えがなければ、法律の制度というものはつくれないというところがございますので、ぜひそのところをサポートいただければと思っております。
また、国境を越えた違法対策のところですが、音楽も一番早い段階からインターネット上の違法には悩まされ続けておりますし、伊東さんのお話にもありましたとおり、現状もまだ進行中というところでございます。海外の法執行の部分についてもいろいろ模索をしておりまして、恐らく漫画・アニメの皆さんもそうですし、我々音楽も模索をしている段階かなと思います。これらが事例として、あるいは仕組みとして積み上がるようなところへ持っていけると非常にいいんじゃないかなというふうに思っております。
それから、未管理著作物のお話ですが、ぜひ私どもも、音楽はデータベースを頑張って整えてはおりますが、当然100%の完璧なものということではございませんので、こういったサポート、支援いただく仕組みというのを国のほうで準備いただいたということに関しては非常にありがたく思っております。したがって、既存のデータベースとの連携等については、微力ながらサポート、お手伝いさせていただければというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
【太田主査】ありがとうございました。
続きまして、河野智子委員、お願いいたします。
【河野智子委員】日本知的財産協会の河野智子と申します。よろしくお願いいたします。
著作権の制度というのは、著作物の利用形態の変化も踏まえて検討していくことが必要であろうと思いますので、今般お示しいただいた進め方については異論ございません。
加えて、DX時代の対価還元については、十分な実効性が期待できるライセンス体制をどう構築していくのか、それを支える環境として、海賊版対策について継続的に議論をしていければと思っております。引き続きよろしくお願いいたします。
【太田主査】ありがとうございました。
続きまして、オンラインの河野康子委員、お願いいたします。
【河野康子委員】日本消費者協会の河野康子と申します。今期の検討事項と、その背景となる社会情勢などについての御説明ありがとうございました。
改めて著作権関連の重点施策を拝見いたしますと、特に目に留まったのが、知財創造教育の推進についてと、海外へのビジネス展開力の向上の2点です。
知財創造教育については、生成AIの汎用化やウェブ3などデジタル技術の急速な発展等により、誰にとってもコンテンツ創造や配信が容易になった今、特に教育課程にある若年層に対して著作権制度への理解を深め、また、適切に使いこなすための知恵を授ける機会は必須だと考えます。関係団体などが行う従来型の普及啓発活動ももちろんですが、教育機関を巻き込んだ実質的な効果のある知財創造教育が始まることを期待しております。
次に、海外へのビジネス展開力の向上については、資料にあったとおり、我が国のコンテンツ産業の持つ力は世界展開をにらんで期待が大きくなるばかりです。特に日本発のコンテンツにおいて、円滑な対価還元制度が未整備であるために、本来得るべき収益が回収されない状況への対処というのは喫緊の課題だと思っています。今期の主な検討課題としてレコード演奏・伝達権が提案されていますので、この検討が海外ビジネス展開力の向上への一助となるよう、前向きな議論ができればと考えています。
最後に、毎回私はこれを発言しているのですけれども、DX時代におけるクリエイターへの適切な対価還元方策については、この間の議論において一定の進展があったと理解しています。ただ最も肝要なのは、技術革新等社会実装など外部環境変化のスピードへの対応だと思います。実態把握や意見聴取に丁寧に取り組むことはとても大事ですけれども、新規技術は否応なくビジネススキームに組み込まれ、功罪、善し悪しの判断を伴わずに既成事実となっていきますので、行政が遅れることなく検討のスピードを上げていただければと考えています。
私からは以上です。
【太田主査】ありがとうございます。
続きまして、オンラインの島並良委員、お願いいたします。
【島並委員】神戸大学の島並と申します。著作権分科会と並んで、こちらの小委員会でも昨期に続いてお世話になります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私は、著作権法を含む知的財産法全般について研究・教育しております。法制度相互の整合的な解釈、運用に着目した法学の伝統的研究手法に加えまして、最近はコンテンツ産業を中心に、産業政策的観点からの立法論にも一定の関心を抱いております。隣接権者への対価還元にいたしましても、また、AIとの関わりにしても、創作誘引とその対抗利益に必ずしも包摂されない様々な利害の総合的な調整が求められるようになってきております。皆様との議論を通じてしっかり勉強させていただきますとともに、私なりに何がしかの貢献をできればと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
【太田主査】ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
続きまして、オンラインの水津太郎委員、お願いいたします。
【水津委員】東京大学の水津と申します。昨年度は政策小委員会及び法制度に関するワーキングチームに参加しておりました。
私の専門は民法で、物や所有権等に関心を持って研究をしてまいりました。本小委員会には、著作権法の隣接分野の法学研究者として、今年度の検討課題についての議論に参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
【太田主査】よろしくお願いいたします。
続きまして、オンラインの菅浩江委員、お願いいたします。
【菅委員】菅でございます。いつもありがとうございます。
もう何年もこの会議に出させていただいていますが、まだまだ勉強不足です。ただ勉強不足を逆手に取って、一般の人はどれぐらいの認知をしているのか、また、若い子はどう思っているのかみたいなことを皆さんにお話をお伝えできればいいなと。それがきっとこの素人くさい私の役目だろうなと思っています。
私はSF作家というか小説家であるわけですけれども、過去に音楽の作曲もやっておりましたし、CGを使って発信もしております。一発信者としてもどう思うかという面でもお話しできるかと思います。そして、発信者であるので、先ほど河野康子委員もおっしゃいましたけれども、どう発信すればちゃんと伝わって教育、認知面で届いていくのかというのも、私にできることであればお支えしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【太田主査】よろしくお願いいたします。
続きまして、オンラインの田村善之委員、お願いいたします。
【田村委員】東京大学の田村と申します。著作権法学会の会長も務めております。
皆さんから既に海賊版対策、クリエイターの撲滅について御意見がございまして、私も大いに賛同いたします。私は少し別の観点で、しかし、かなり長期的な課題ということについて私が関心を持っていることをお話ししますと、やはり大事なことは、しっかり保護すべきものは保護する、しかし、他方で保護する必要がないものまで巻き込んで保護してしまうと、世の中のコストが大変になる。それをどう処理するかということが大きな課題だと思います。新たな裁定制度が立ち上がりまして、大きく期待できるのですけれども、裁定制度に頼ることなく、そこに行く前の段階でも適切な保護と適切な利用の確保をする様々な方策を隅々まで効かせなければいけない。それはむしろ、私のような学者の課題でもあるのですけれども、中長期的に考えていきたいと思っております。
以上です。
【太田主査】ありがとうございます。
続きまして、オンラインの墳﨑隆之委員、お願いいたします。
【墳﨑委員】CODAの墳﨑です。本年度も政策小委員会に参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
既に伊東委員からもお話のあるとおり、やはり著作権保護に向けた国際的な対応の在り方というのが今年も議題に上っていることについてはうれしい反面、なかなか解決しない課題だなというふうに思っているところではございます。インドネシアやベトナムという話が出ておりまして、ただでさえ国際連携というのは法域が違っているというところで難しいところ、司法権も異なっていて統一的にできないところでもある中で、さらにインドネシアとかベトナムの国の事情とかも踏まえると、難しさに拍車がかかっている状況かなというように感じております。それらについて皆様のお知恵もお借りしながら、解決の糸口というようなことを見いだせていけたらいいなというふうに考えております。
また、やはり先ほどちょっとお話もありましたとおり、海賊版対策自体は根絶するというのはなかなかどうしても難しいところがあるかと思っています。これをやっぱりなくしていくためには、普及啓発とか、さらには周辺の業者の皆様の御協力というのも非常に大切なことかと思いますので、その辺りについても見落とすことのないように取り組んでいきたいなというふうに思っているところです。
以上となります。どうぞよろしくお願いします。
【太田主査】ありがとうございます。
続きまして、会場の仁平淳宏委員、お願いいたします。
【仁平委員】日本ネットクリエイター協会の仁平と申します。よろしくお願いいたします。
私どもは、個人クリエイターさんのいろいろなサポートをさせていただいている団体で、今、文化庁様、そしてSARTRAS様の事業である個人クリエイターの海賊版対策支援事業の窓口のほうもさせていただいております。こういった個人クリエイター向けの事業を国の機関としてやっていただいているということは、とても我々からするとすばらしいことだなと思う反面、そこの事務局をさせていただいている我々としては、とても大きな責任を感じております。
今回のお話の中で、特にレコードの伝達権の部分に関しましては、ぜひ本当に我々も上手な形で対応をさせていただく、協力をさせていただきたいなと思っておりますが、この辺りの話が出てきたときに、いつも私のほうが懸念するところが、我々のような個人クリエイターのコンテンツをどのぐらい皆さんは把握していただいているのかな、その使用実績をどうやって調査していただけるのかなというようなところです。実はテレビやラジオ、インターネット上でも、我々の会員様が持っているコンテンツ、結構流れていますが、何せレコード協会様のデータベースに入っていないコンテンツが多いですし、イラストや動画に関しても同様ですよね。なので、実際使われたかどうかということは本人は当然分かっていますし、そのファンの方たちも流れていたねというのは分かるのですけれども、それが本当にシステムの中で反映されているのかどうか疑問なところが毎回感じております。
そういったところを含めて、我々のコンテンツというものを皆様により深く分かっていただきたいなということと、そちらのコンテンツが使われたときにきちんとシステム上で、DX上で把握されるような、そういう仕組みづくりをつくっていただくための協力といいますか、その辺り尽力したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【太田主査】よろしくお願いします。
続きまして、福井健策委員、お願いいたします。会場からです。
【福井委員】福井でございます。
委員の皆さんのお話、いずれももっともだなと思いながら伺っておりました。私自身も加わりました知財推進計画、資料で配付されております、知のインフラとしてのデジタルアーカイブを含めて、いずれも極めて重要な視点であろうと思います。
その上で、本日は3つ申し上げたいと思います。まずは制度インフラとしての分野横断の権利情報検索システム、それから、未管理著作物の裁定制度、これは長い議論を経てきた集大成の時期になりますので、ぜひよいスタートを切って頂きたいなと感じます。
それから、2つ目、演奏権、伝達権です。私も、適正なクリエイターへの還元に賛成いたします。ただし、これは利用する側の関係者が極めて多様で、そして利用法、エコシステムもそれぞれ異なるわけです。そうすると、制度だけをつくってしまって、あとは関係者の協議に委ねるというようなことでは恐らく全く機能しないと思います。ここは現場に混乱がない、かつ適正に配分が実現するような仕組みが制度の前提となりましょう。解像度の高い現場理解と仕組みの構築を、この場でも議論できればと思いました。
最後に、海賊版です。まずは文化庁のご努力による公示用の氏名、そして住所に関する今般の省令改正、この努力に敬意を表したいと思います。その上で、伊東さんからもお話ありましたけれども、各種の対策は奏功しており、実は現状、アクセス数は相当に減っています。が、これは今この瞬間の風速にしかすぎない。対症療法でしかないんです。抜本的な解決のためには、1つにはCDNと言われる業者の対応、それから2つ目は、ドメインホッピングの対策、そして最後に、身元解明の上での現地摘発が重要になりますが、特に現地に関しては努力をして、身元を解明して、そして、要求された証拠を全て現地公安に提出しても全く摘発がされないという状況が、ベトナムでいえば5年続いています。官民一体となった、ここまでの努力が奏功しないんだったら、海賊版に限らず今後、どう世界のオンライン犯罪を防いでいくのか、これが全く見えなくなってしまいます。ぜひ皆さんのお知恵と協力を仰げればというふうに感じます。
私からは以上です。
【太田主査】ありがとうございます。
続きまして、会場の渕麻依子委員、お願いいたします。
【渕委員】神奈川大学の渕と申します。著作権をはじめとしまして、知的財産法を専門にしておりまして、昨年度に引き続いて、こちらの政策小委員会に参加させていただきます。
本日、事務局の方が挙げてくださった検討課題は、いずれも我が国の文化政策、そして産業振興に関わる重要な事項であると承知しております。特に本年度、主要な検討課題となるレコード演奏・伝達権につきましては、様々なお立場の方がいらっしゃることと存じます。関係者の皆様の御意見を伺いながら、また、外国法の状況なども参照しながら、しっかりと充実した議論ができればと考えております。
微力ながらですが、お役に立てるよう努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
【太田主査】よろしくお願いいたします。
次は、オンラインの𠮷田悦子委員、お願いいたします。
【𠮷田委員】大阪工業大学の𠮷田悦子でございます。よろしくお願いいたします。昨年度に引き続きまして、政策小委員会に参画させていただきます。よろしくお願いします。
先ほど来御説明がありましたコンテンツ産業、これは文化的な価値であるとか、経済的な価値というものが不可分な領域だと認識しております。その存在感は、恐らく今後も主流な議論になっていくことが予想されます。また、著作権制度というものが持続的な発展の基盤であり、「創作者の権利保護」や「利用環境の整備」とのバランスをどのように実現できるか、デジタルネットワークが発展する中で、従来の議論にプラスして新しい課題として向き合わなきゃいけないと考えております。
本日挙げていただきましたレコード伝達権というものは、このデジタルネットワークが流通していく、これが主流という中では、従来の権利構造、それから、報酬や利益の分配という枠組みが必ずしも十分じゃないということが恐らく指摘されているのだと認識しておりますけれども、これらの技術的な変化への対応にとどまらず、著作権の理論上の根本的な問いとして、考え続けていかなきゃいけないこと、恐らく今回は隣接権というのが出てくると思いますけれども、対価と、利用の公正なバランスの在り方ということに関わる問題と捉えて、取り組んでいきたいと思っております。
今後の審議会におきましても、理論と、それから実務の状況というのを教わりながら、国内外の状況とを接続する観点から、議論に貢献していければなというふうに考えております。
また、私は知的財産学部の所属で、特に一昨年度からコンテンツビジネスコースというのを設定しております。これらの議論が、教育の側面においてしっかり反映できるような形でも貢献していきたいと考えております。どうぞ皆様、よろしくお願いいたします。
【太田主査】よろしくお願いします。
続きまして、主査代理でもいらっしゃる早稲田祐美子委員、お願いいたします。
【早稲田主査代理】弁護士の早稲田でございます。昨年度に引き続きまして、政策小委員会の委員等をさせていただきます。それから、昨年は法制度ワーキングのほうの座長も務めさせていただきました。
コンテンツ産業について、やはり権利者への適正な対価還元と、それから円滑な利用というのは両輪でございますので、ここ数年これをずっと議論していて、なかなかすぐには解決しないけれども、一つ一つ解決をしてきたというところだと思っております。昨年は先ほど福井委員のほうでおっしゃったような出版の登録情報という、地味ではありますけれども、福井委員ほか関係者の方々の御努力でできたものでございますので、ぜひこれを活用して少しずつコンテンツの権利者の権利を守る、こういうことに使っていただければと思っておりますし、本年度、まず第一に議論に挙がっているレコード演奏・伝達権でございますが、これも昨年度の政策小委員会の最後に発表があって、いよいよこれをきちんと議論をしていくというのは非常に重要だと思っております。特に法律問題につきましては、学者の先生方、弁護士等で議論すればいいわけなのですけれども、これをどうやって実行するか。先ほど福井委員ないし仁平委員等もおっしゃいましたけれども、どういうふうな状態にあるかというところをきちんと把握をして、利用者と権利者がうまく分配なり、円滑に施行できるか、こういうところはまさに政策小委員会で議論することではないかと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【太田主査】ありがとうございます。
最後に私のほうからも、繰り返しになりますけど一言です。実は私はAI研究者と共同研究をしていまして、先週も国立情報学研究所のセミナーハウスで2泊3日の研究会合宿というのをやっておりまして、裁判官支援システム、将来的には裁判官に代わるAI法的判断システムをつくりたいというようなことをやっております。そこで出てくるのはやっぱり生成AIがゲーム・チェンジャーになりうるということでして、LLMやトランスフォーマー・アルゴリズムなどの発展が著しいです。そして、ある意味この委員会でも問題となっている検索データベース構築なんかも、生成AIが自動化の糸口になるかもしれないな、などという淡い期待を持っております。
芸術家、アーティストの皆さんの海外展開、世界戦略を支援したいと考えております。ただ、このごろの学生の皆さんは、だんだん内向き志向で、あんまり海外に出て活躍しようという人が少なくなってきている気がして、非常に危惧しているところでございます。レコード演奏・伝達権につきましては、皆様もいろんな御意見がありますように、立場と意見が大変対立が潜在的、顕在的にあり得るところでございますので、何とか全員が満足できるウィン・ウィンとなるソリューションを今年度末、来年の3月までに御提案できればなと、事務局の皆様と期待している次第でございます。
私のほうからは以上でございます。
少し時間も押しておりますので、次の議事(3)「レコード演奏・伝達権の検討状況について」にまいります。資料5に基づき、日本レコード協会様、日本芸能実演家団体協議会様、実演家著作隣接権センター様、日本音楽事業者協会様、日本音楽制作者連盟様を代表していただきまして、日本レコード協会常務理事であられる楠本様より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【楠本委員】それでは、改めて、レコード協会、楠本でございます。
下のほうにクレジットしておりますが、実演家の皆様、特にミュージシャン、音楽実演家及びレコード製作者が、昨年度来、こちらで取り上げていただいておりますレコード演奏・伝達権の創設というものを求めております。1年ちょっとそこから過ぎておりますので、今どのような状況かというのを改めて振り返りも含めながら、少し御紹介をさせていただきます。次、お願いします。
こちらは既に御覧になっていらっしゃると思いますが、石破総理の施政方針演説の中で取り上げられたお話でございます。今、日本のコンテンツ産業の海外輸出というのは、半導体や鉄鋼と並ぶ、あるいはそこを越えていこうという勢いがございます。そして2033年までに、今5.8兆円ぐらいの海外売上げを20兆円にというお話がございました。我々音楽業界も、非常に小さなお話で恐縮でございますが、この一助になれればというふうに考えております。次、お願いします。
少し音楽という視点でマーケットを御紹介したいと思います。これが世界の音楽マーケットの売上げの推移です。濃い赤と紺色、この2つで見ていただければと思いますが、フィジカル、いわゆるCDですとかDVDの売上げが濃い赤です。世界は2010年を境に、デジタルへの移行が大きく進んでおります。そして、メディア変換と我々は呼んでいますが、の変換後の右肩上がりの成長というものがこのように大きなものになっているというのが世界の音楽マーケットです。次、お願いします。
一方、残念ながら我が国日本ですが、グラフのカーブを見ていただくとお分かりのとおり、非常に大きくパッケージに依存した形というのが続いております。世界マーケットが2010年、あるいは2011年あたりからデジタルへの移行が進んで行ったのに対して、日本のマーケットがその動きに追随したのはついここ数年、デジタルのシェアがやっと30%から40%ぐらいになってきたというところでございます。次、お願いします。
しかしながら、今日、いろいろな委員の皆さんからも御紹介がありましたし、昨今、テレビがどれぐらい皆様の中で見ていただけているか分かりませんが、昨日の音楽番組等でもそうでしたが、海外展開、アーティストの海外進出というのが非常に取り沙汰されております。これは2020年から25年にかけて、ビルボードの100位にどのような日本人アーティストの楽曲が入ったかというのをまとめたものですが、上位の100曲に入った楽曲だけでも一応21拾ってきているものでございます。最近人気のアーティストですとか、ビジュアル系のアーティスト、それから、アニメに由来するいわゆるアニソン系のアーティストの方、そういった皆さんが世界でも活躍しているというのがここから読み取れるかと思います。次、お願いします。
それから、アジア、親日、それからアニメ、漫画が非常に好まれている国々での音楽の動きというのがこちらのグラフになります。これは音楽ストリーミングの再生回数ですが、やはり台湾を筆頭に、近隣のアジア諸国ではJポップ、いわゆる日本の音楽というのは人気が上昇してきています。特に台湾などは、あと数年でシェアが10%、非常に大きなお話だと思います。Jポップのシェアがその国において10%取れそうだという見込みを持っている、非常に希望を持ったグラフだというふうに御覧いただければと思います。次、お願いします。
それでは、最近の個々のアーティストの海外での活躍を簡単に御紹介したいと思います。まず、Adoですが、オーストラリア、フィリピン、それからデンマークにおいてこのような活躍が出ております。ここでは全部読み上げませんが、アニメ由来の楽曲を彼女は歌っているわけですけれども、多くの支援・支持を受けているというのがここから見られるかと思います。それから、YOASOBIです。YOASOBIについても、韓国において「アイドル」が1位を獲得したりですとか、ちょっとここに新しい情報で書き足せてなかったのですけれども、6月の頭にイギリス・ロンドンのWEMBLEY ARENA、ここは非常に大きなところでして、収容人数が一万人程の施設ですが、そこを2Daysでいずれも満席にして、海外でのライブであっても満員のお客さんが入るというような活躍をしております。それから、最後、藤井風さんですが、これらの国々で楽曲が1位を獲得するという、今、活躍が目立っているアーティストの紹介でした。次、お願いします。次もお願いします。
そうした中で、こちらも御覧いただいた方がいらっしゃるかもしれませんが、我々音楽業界は、ちょっと色が薄くて恐縮ですけれども、5つの業界団体、我々レコード協会をはじめ音楽事業者協会、それから音楽制作者連盟、コンサートプロモーターズ協会、それから音楽出版社協会、この5つの音楽団体が手を合わせてCEIPA、上に書いてありますが、カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会という組織をつくりました。これらはアワード、いわゆる今一番評価されるべき楽曲、アーティストは誰なんだ、何なんだというものを適正にやっていこうといったもので、第1回のMusic Awards Japanを、今年の5月に京都で開催させていただきました。NHKの地上波における生放送をはじめ、今ではユーチューブ、それから、各種媒体でアーカイブ配信が出ております。もし御興味がありましたら、ぜひ御覧いただければと思います。次、お願いします。
第1回のアワードの結果です。これは後ほど御覧いただければと思います。次、お願いします。
そうした中で、経済界、産業界からも音楽業界に対するサポートをいただいています。MUSIC WAY PROJECTと名づけて、ここから数年間にわたっていろいろなサポート、支援を産業界の方々からいただくことが決まっております。次、お願いします。
ちょっと小さくて恐縮ですが、左側、1、2、3となっているところですけど、こちらが育成ですとか、それから、次世代アーティストの発掘、音楽にまつわる学生さんですとか、周りのスタッフを含めた、そういったところの人材育成といったところにも、MUSIC WAY PROJECTは目を向けているところです。後ほどちょっと詳細の資料がありますが、次の4、5、6、こちらが逆に環境を整えるというところで、海外、先ほどアーティストの海外進出や海外での活躍を御紹介していますが、アーティストがどんどんどんどん海外へ出て外貨を稼いでくる。先ほどの2033年にコンテンツ産業は海外で20兆円を稼いでくるんだという目標があったと思いますが、こういったところの支援というのがこの右側の4、5、6というふうに見ていただければと思います。次、お願いします。
そして、右側4、5、6が先になってしまって恐縮なんですが、先ほどのページの右側で紹介したものについて、直近では今年の3月にmatsuri25と称して、ロスにおいて、こちらのAdo、新しい学校のリーダーズ、それからYOASOBIといった、日本ではそれぞれ単体で当然大きな箱をいっぱいできるアーティストを投入しまして、現地ロサンゼルスも超満員という中での大盛況のイベントを開催しています。
また、タイでは、こちらもMUSIC WAY PROJECTさんの大きなサポートを得るわけですが、現地のアワードとの連携ですとか、現地のJ-POPファン層に向けたイベントを開催していこうというところで決まっております。次、お願いします。
それから、こちらが、先ほど6個のMUSIC WAY PROJECTの中の左側の1、2、3となっていたところですが、まずは教育といった部分、それから育成といった部分で、いろいろな視点から大学の先生をお招きして、音楽の授業を共同実施したり、各種セミナーとしてマーケット戦略といったようなものも実際に行ったりしておりますし、この後行う予定もあるといったところで、ここでは過去の実績が載っていますが、今後も定期的にこのように事業を行っていく予定になっています。
それから、下の段ですけれども、こちらがいわゆる留学制度というものでございます。次世代のミュージシャンやアーティスト、それから、作詞家、作曲家の卵の皆さん、そういった方々に対して留学、海外で学んで来ていただく、そういったようなところへのサポートのプログラムも用意しているところでございます。次、お願いします。
それから、こちらはもしかしたら聞き及びあるかと思いますが、東京インターナショナルミュージック・マーケット(TIMM)でございます。昨年で21回目、今年で22回目ですが、近年は東京の渋谷でこのイベントを開催しております。ビジネスセミナーであったり、海外のバイヤーを招聘してショーケースライブを観ていただくことであったりと、日本のアーティスト、海外で売り出したい、あるいは日本から発信したいアーティスト、そういったものを海外バイヤーの皆さんにみていただくというところをメインにしたものでございます。次、お願いします。
このように、今、乗りに乗っていると我々はあえて言わせていただきますが、日本の若きアーティストたちが海外へ出ていこうとしているわけですけれども、日本のアーティストが海外で活躍して、海外の商業施設ですとか、いろいろなところで音楽、レコードが再生されて聞かれてという話になっていくわけなのですが、日本にレコード演奏・伝達権がない理由で、対価が還元されない。演奏権を徴収して日本に対価を還元することができない、マネタイズの仕組みが構築できないというのが一番大きな悩みになっております。
それから、同じ内容ですけれども、こういった新しい収入源を獲得することによって、当然今活躍しているアーティストもですが、先ほど来出ておりますとおり、これからどんどんどんどん成長し、大きくなっていくであろうアーティストを育成していく、育てていくというところへの投資をこういったところからも持っていきたいと。それもこれも、土俵が世界と同じでないというところが一番大きな課題ではないかなと思います。世界のアーティストは世界中で活躍して、自国にレコード演奏権があって、活躍する諸外国にもレコ―ド演奏権が整っていれば、相互にレコード演奏権使用料のやり取りができるわけです。是非、日本にもレコード演奏・伝達権を整備していただきたいと思います。
それから、繰り返しになりますけれども、自分たちだけが売れて、それで対価を回収すればいいという発想ではなくて、後進、いわゆる後輩アーティストたちが活躍できるように、あるいは後進のアーティストたちが、自分では行けないけれども、こういった先輩たちの徴収、いわゆる獲得した対価から、支援・投資を受けて出ていくといったようなところにサイクルとして回っていくことを非常に期待するものでございます。次、お願いします。
こちらもちょっと字が多くて恐縮でございますが、上の段の漫画の部分は、作曲家・作詞家の先生方へは今、著作権としての演奏権は確立しておりますので、使用料、いわゆる対価が循環するわけですが、残念ながら隣接権者と呼ばれるミュージシャン・アーティスト、それからレコード製作者には今これが還元できていない、対価が回ってきていないという状況にあります。もしレコード演奏・伝達権がこの隣接権者にも認めていただければ、海外から演奏権使用料を獲得することも可能になりますし、やはり継続的な収入を得られるということで、先ほど来繰り返しておりますが、次への投資、いわゆるサイクルが生まれてくるという非常に大きなきっかけになっていくということが言えると思います。アーティストの海外進出の機運に対して、「海外に出て行ってもさあ。」という水を差すようなことではなくて、「出て行ったら稼げる。」というモチベーションになるようなお話ができるように、ぜひ御協力をお願いしたいというところでございます。次、お願いいたします。
こちらも昨年御紹介したとおりでございまして、世界142か国でレコード演奏権というものは導入済みでございます。数字、それから地図で表すとこのような感じというものでございます。次、お願いします。
それから、こちらも事実として御参考までにではございますが、主要な国における使用料の規定から抜き出したものを御紹介しております。ちょっと今日は1つずつ御紹介するお時間は多分ないのだろうと思いますので、御覧いただければと思いますが、主要国、イギリス、フランスというのは歴史的に非常に長きにわたって演奏権の徴収システムの仕組みが確立している国々でございます。ドイツまで含めてですね。一方、中国、あるいは韓国といった、近年この法が整備され、ようやく徴収が開始したという国があるというところで、あえて対比になるかなと思いまして、それらの国々を拾ってきております。後ほど詳細を御覧いただければと思いますが、やはりイギリス・フランス・ドイツの3か国については大きな使用料になっておりますし、中国・韓国の2か国については、小さな使用料になっているというようなところも特徴かなというふうに思います。次、お願いいたします。
それから、一方、日本国内でございます。著作権者、作曲家・作詞家の先生は既に演奏権があるというお話を先ほど差し上げましたが、それを管理されているのは言わずもがなですが、JASRACさんです。JASRACさんの当該規定というのがこちらになりまして、JASRACさんの規定は、店舗の面積、施設面積に応じてそれぞれの使用料を設けていらっしゃいます。こういったようなところが、あくまでも1つ、国内ではこういった規定で管理されている著作権管理事業者さんがいらっしゃるということです。
下のほうですが、一方で免除事業者さんというところもございます。ちょっと下のほう、皆さんどのように今映っていらっしゃるか分かりませんが、1、2、3といったように、いわゆるあえて徴収を控えている。ルール上は法律ですので徴収することができるのですが、あえて適用をしない、いわゆる免除事業者という部分でございます。こちらも読み上げませんが、特に真ん中、あるいは、3番目のようなところなんかも特徴的かなと思います。次、お願いします。
最後になりますが、レコード演奏・伝達権の制度を構築していただきたいというのが、アーティスト・ミュージシャン、それからレコード製作者の願いでございます。これも去年からと先ほど私、申し上げましたが、決して昨日おととい急に思いついて始まった話ではございませんで、もう二十数年来活動はしておったわけですが、なかなかタイミングというものがあり、このように審議会ですとか、知財計画の中で取り上げていただけたのが最近というところでございます。
一番上のところですが、今はアーティストだけでなくて業界団体が一致団結して、先ほどのアワードですとか、MUSIC WAY PROJECTを推進しております。この施策を進めることによって海外展開を促し、海外からの外貨獲得、いわゆる海外売上げの向上と、今回法律をつくっていただければ、レコード演奏使用料についても獲得ができるのだと、そういったところで、繰り返しになりますが、自助努力の部分と皆様方のお力、それから、役所の皆さんのお力をいただいた上での制度の構築、こちらの部分をぜひ今回お願いしたいというところです。
こういった対価、特に使用料については、これからのアーティスト、次世代のアーティストへの夢と希望、それから育成の原資になっていくという好循環につながるというところも、2番目のところで書いているところでございます。
それから、3番目、先ほど来複数の委員の先生方から、利用者の視点のところというお話が出ていたかと思います。私どもも皆様方と対話をさせていただきながら、どのような形で、どのようなまとめ方が理想なのか、お互いにウィン・ウィンというお話もあったかと思いますが、合理性、納得性があるまとめ方ができるのか、そういったようなところについては骨を折ってまいりたいと思っております。何とぞよろしくお願いいたします。
私の説明は以上でございます。
【太田主査】ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問がございましたら挙手をお願いします。オンラインの委員の方は挙手ボタンによってお知らせいただけると幸いです。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。仁平委員、お願いします。
【仁平委員】日本ネットクリエイター協会、仁平です。
ぜひこちらのほう、レコード演奏・伝達権のほうを実現していただきたいなと思うのですけど、まず、どの利用者をファーストターゲットという言い方は失礼なんですが、どこから切り崩していくべきなんだと思いますか。前回、たしか文化庁さんはこういったところで、喫茶店営業の場合、どのくらいの金額を徴収したらこうなるよみたいなプレゼンもあったのかなと思うのですけれども、どの辺りからまずは進められているんでしょうか。ちょっと教えていただける範囲で。
【太田主査】楠本委員、よろしくお願いします。
【楠本委員】御質問いただきありがとうございます。ちょっと表現はそのまま使えませんので、今、どのような状況かということをお話しさせていただきたいと思います。
大きくは2つあるというのは以前お話ししたとおりでございまして、BGMサービス、いわゆる音楽をBGMサービスとして、いろいろな店舗におけるBGM利用を業としてなさっている方々、具体的にはBGMサービス事業者の方々、そういったような方々とは、ライセンスを締結することによって、いわゆるまとめて、元から徴収ができればというふうに考えております。それから、個々の店舗さん、すなわち、一店舗ずつお店を回って、先ほどの使用料を徴収するのかというお話がよく出てくるお話ではございますが、現実問題、北海道から沖縄まで全部のお店を一つ一つ回るということはできません。これは言ってもいいと思います。ですので、先行している事業者さんのやり方を習い、あるいは協力をお願いし、さらにはこの時代でございますから、もっともっと簡易な徴収方法、具体的には電子決済等も活用させていただきながら、いろいろできることをやっていきたいなと思っております。
特に前者は、そういう事業者さんとのお話合いですので、私どもと事業者さんとの向き合いになろうかと思いますが、後者は、逆にサービス提供事業者さん、そういった決済系の事業者さんや管理事業者さん、そういったような皆様方とどのようなお話ができるのかというところで、少しずつは進めておりますが、今この場でここまで行きました、これができました、できませんでしたというのはちょっと差し控えたいと思いますが、そういったような可能性については、全てできるところは当たっているというふうにお話で答えとさせていただければと思っております。
また、音楽をいわゆる演じたりですとか、そういったようなときに使っていただく皆様もいらっしゃいます。そういったような皆様についても、どういうふうな決め事ができれば、音楽を利用する側と利用していただく我々とか合意ができるのか、その辺のところのお話合いも、少しずつですが進めさせていただいているところです。具体的にはどのような皆さんがどのような規模感で、箱の大きさですとか、それから収容人数の規模ですとか、どのような割合であるのかといったようなところを基準にお話合いができればというふうに考えております。
お答えになっておりましたでしょうか。
【仁平委員】ありがとうございます。すみません、ちょっと僕がターゲットなんていう失礼な言い方をしてしまいましたことをおわび申し上げます。
僕、実は聞きたかったことのイメージとして、どうやってそれを使われているのかというのをマッチングするのですかというニュアンスもちょっとありました。例えば、1件1件、先ほどいただいたような事業者であれば、何を提供したかというのが恐らく紙ベース、テキストベースで出てくるのですけれども、そうじゃないところも結構あると思います。要はデジタル的なマッチング手法で、この原盤が使われたみたいなことを調べる方法というのは、現実どのぐらいまで、日本の中では進んでいるのでしょうかという、ちょっとそういうニュアンスも先ほどの質問にはありました。
【楠本委員】ありがとうございます。あまり具体的な業者さんのお名前は出せませんけれども、お店のコンセントに差し込むことによって、そこで店内で流れているBGMを全部ネットで転送して、フィンガープリントにぶつけてという技術が諸外国では存在しているのは事実です。ただし、1単価当たりのコストというものも当然かかりますので、徴収する金額とそのコストをかけてやるべきなのか否かというところは非常に悩ましいところですし、先ほど来ちょっとお示ししたような諸外国と、どうしても経済格差ではないのですが、ああいった使用料格差というのは否めないところでございます。ですので、そこにコストがどこまでかけられるのか、コストがかけられない場合はどのような分配に向けた確定というか特定の仕組みをつくっていくのかというのは、先行されている管理団体の皆さんのやり方も参考にしながら、この後、つくっていかなきゃいけないなと思っております。そのためにも、どのところまで、どれぐらいの徴収ができるのか、させていただけるのかというのが決まってくるのかなというところだと思っています。
【太田主査】よろしいでしょうか。
【仁平委員】ありがとうございました。ただ、お金がかかるというところも、徴収できる見込みができてからお金をかけてシステムをつくるという考え方ももちろんあると思うんですけれども、やはり先行的にシステムをつくるという考え方も重要かなと思いまして、むしろ文化庁さんも含めて、国家的な力でそういったものをやっていくということも御検討いただけたらなと思いまして、ちょっと私の発言とさせていただきたいと思います。
すみません、いろいろありがとうございました。
【太田主査】ありがとうございます。
ほかに質問、コメント等ございますでしょうか。福井委員、お願いします。
【福井委員】次回以降と思っておりましたが、今かなり内容面のお話が出ましたので、私もちょっと質問をさせていただきましょう。
実際、今の仁平委員の御質問に対するお答え、本質的なところが出ていたと思うのですけれども、この議論の話をするときに、我々は飲食産業とか、いわゆる施設のBGMなどの姿をどうしても念頭に置くわけです。確かにマーケットとしては、それは大きいと思うんですよ。でも、恐らくそれだけに絞ろうという政策論議を今しているんじゃないですよね。そうすると、まさに音源を用いて演ずる、あるいは音源を本質的な要素として行われている利用方法が極めて多様であるということを、いつもスコープとして忘れてはいけないと思うのです。
例えば、既にかなり論争になってきているフィギュアスケートのようなアーティスティックスポーツも、権利処理に関連して演じられる曲がなくなるというような議論が、既にメディア等をにぎわしてきている。それから、入場曲やハーフタイムショー、競技人口がついに1,000万人に達したダンスですよね。それから、DJ、舞台。例えば、小さいところで言うとジャズ喫茶とか、これらそれぞれ利用方法が全く異なるし、エコシステムが異なるわけです。そのときに、それ全部に例えば全曲報告させるのか。ジャズ喫茶は円盤でかけるでしょうから、曲目の報告だけでかなりの量の作業になるんじゃないかと思うのですけれども、それをマッチングできる技術が果たして存在するのか。そういうことを全国的に幅広く導入したときに、タスクの量としてどのぐらいの作業量になって、そんなこと本当にどこまでできるんだということを、まず我々は把握しているのかという問題です。
これはレコード協会さんも、もし全体に幅広い制度の導入ということを考えるんであれば、その全体像の把握なしではちょっと難しいと思うんですよ。あるいは、大きいマーケットだけをまず狙って導入するというならまた話は変わるでしょうけれども、この辺について、もし現時点でのお考えや進めていらっしゃる作業があれば伺えればと思いました。
【太田主査】楠本委員、よろしくお願いします。
【楠本委員】コスト見合いというのは事実でございまして、かけられるコストと徴収できる使用料が逆転するのであれば、あまり深くやっていけないのは事実ですけれども、一応音楽を使っていただく、BGMとして流すほうもそうですけれども、先生の御指摘のとおり、演じる等で使うというときに、何使ったか分からない人は多分いないと思うんです。それはダンスもしかりなんです、実は。演じるダンスを踊る方が仮に3曲使っていらっしゃっても5曲使っていらっしゃっても、その方は選んで使っていらっしゃるんで、いきなりネットで聞いたからいいやというのを全部踊っている方もいるのだとすれば、私がそれを知らなかったということで謝りますが、多分知らないという方はいないんです。ただし、作業量という視点では私も同意です。それを報告する側もそうですし、もらう側も、鉛筆で書いた5曲のデータを100万人から、1,000万人からいただいたらどうなるか。それは出す方は5曲書くだけかもしれませんが、仮にですけれども、もらう側は1,000万掛ける5曲が来てしまったらどうなるか、そういったところの見合いがあるのは事実です。
ですので、どのようなやり方ができるのか。例えばですけれども、いろいろなやり方がある中で、ちょっと例にしかなりませんが、私どもは複製の管理なんかもしていますけども、何曲までで幾らとか、いわゆる丼になってしまいます。ただし、報告は添えていただくというのを実際にやっております。ただ、これは小さな規模のときには成り立ちますけれども、大きくなってくるとどうなるのかというのは課題です。なので、非常に難しいところですし、ライセンス、あるいは先ほど契約のお話も出ていましたけれども、音楽を正規の使い方ではなくて、言葉は悪いですが、切り刻んでしまったり回転数変えてしまったり、サビを3回も4回も繰り返してしまったりという使い方もあります。なので、そういったようなところを契約として、ライセンスとしていけるのかいけないのか、その辺りのことも鑑みなきゃいけませんので、今ここで1つの答えを答えるのは非常に難しいですが、当該のフィギュアの方だったら、スケート連盟の皆様とのお話合いの中で解決していくことにならざるを得ないのかなというふうに思っています。
答えが足りませんが、以上でございます。
【太田主査】よろしいでしょうか。
【福井委員】1点よろしいですか。率直なお答えありがとうございます。まさにそういう大きな作業に踏み出していくということだと思うんですよね。また、相手が幅が広いですからね、理解度も全く異なりますし。
その点で1つ追加質問ですが、JASRAC、こちらはフィンガープリント技術をかなり使うことで、最近は全曲報告についても放送の分野など、能率化を進めていると伺っています。報告についてJASRACさんの仕組みに乗るとか、そういうことに関しては議論もあったやに伺っていますが、現状はいかがでしょうか。
【楠本委員】ありがとうございます。まず、放送という視点だけでしてしまえば、全く同じ報告を放送局の皆さんから受けておりますし、その報告を受けたことに対する、いわゆるありがとう措置も取っております。また、それ以外にも、報告という意味では、決して民放やNHKの方々だけではなくて、ケーブルテレビさんですとか、報告ができる体力、規模があるところの皆さんにも同じことが言えると思います。
一方で、先ほどから出ていますけど、私、この曲だけ使いましたという1曲とか2曲の方は多分テキストでもできるんですけれども、残念ながら年間にたくさんの音楽を使っている方々で、それの管理団体の方が、1,000人の方の月何人が何曲というのを全部1年間に報告できるかというと、恐らくできないんじゃないかなというふうに思います。ただし、ダンスでもそうですけど、何でもそうですが、エントリーするときに絶対みんな楽曲は事務局さんに報告していまして、何をかけるか分からないということではないんです、実は。ですので、本当にテキストと人間の体力のどこで折り合いをつけていくかというのは分野によって、先ほどと同じ答えになってしまいますが、やるしかないかなと。
フィンガープリントについては、当然ですけれども、私どもも活用させていただいていまして、国内の業者さんだけじゃなくて、諸外国の業者さんのフィンガープリントも活用していますので、日本でマッチング取れなかったものは、海外のフィンガープリント事業者にお金を払ってマッチングをして、なるべくどこの誰の楽曲か分からないというのが残らないような措置は今までも講じていますので、その中に盛り込むことはできますが、なかなかテキスト、いわゆるエクセルベースで出てきたものをどうするかというのは、答えを簡単に見いだせてないのが正直なところでございます。
【仁平委員】ありがとうございます。
【太田主査】よろしいでしょうか。
ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。どうぞ、唐津委員。
【唐津委員】すみません、唐津です。権利としてのレコード演奏・伝達権の始め方については考え方がいろいろあるかと思うのですけれども、先ほど各委員の挨拶の中でも、スピードも大事じゃないかというお話も出たかと思うのですが、私も同じ考えを持っていまして、先ほどの発表の中であった、海外でのレコード演奏使用料をとにかく受け取れない。なぜなら権利がないから、というところで言えば、まずはレコード演奏・伝達権が日本にあるという状況をつくれば、多分そこの問題は1つクリアできて、次に、主に日本国内でどうやってそれを徴収するかという話があるかと思うので、その意味では、すごく小さく、できるところから、小さいところからスタートをして、あとは調整をしながら次はこういうやり方で、この団体から徴収しましょうというふうにだんだん育てていくという方法も1つあるのかなというふうに個人的には思っているんですけれども、既に始めている、先ほど出た中では、既に昔から中国とかイギリス、フランスといったあたりが最初に始めたときが、その後だんだん拡張していくという経緯だったのか、あるいは最初からある程度広い範囲をカバーする形で徴収できる制度を整えてから、この権利というのを設定したのかというのを、もし御存じであればお伺いしたいんですけれども。
【太田主査】楠本委員、よろしくお願いします。
【楠本委員】ありがとうございます。では、これも調べた知識でございますので、決してその当時からいるわけではございませんので、調べた知識ということで御紹介いたします。
まず、先ほどイギリス、フランス、ドイツのような、伝統的に演奏権がもう確立している国の御紹介をしたと思います。こういったようなところは、面積も、店舗の面積がある程度ほとんどのお店が入ってしまうような規定になっています。一番安いところが500平米以下とか400平米以下とか大きなくくりになって、それ以下は全部均一料金ということと、法律ができた瞬間にも、やはり芸術ですとか、いわゆる音楽に対するリスペクト、各国では皆さんリスペクトですが、日本ではなかなか対価を払うことに対して、今までタダだったじゃないか何で払わなきゃいけないんだ、となりがちです。外国は、そこには払うべきなんだということのやっぱりどうしても考え方というか、国民性と言うと言い過ぎだと思うのですけれども、そういった土壌の違いがあるのかなと思います。
私がイギリスやフランス、ドイツ、いろんなところから得た情報ですと、払うことが普通で、払わないと、お店に払ったことを示すシールも貼ってもらえないと、このお店払ってないんだという、そういうのがヨーロッパですとある程度成り立ちますが、日本でそれができる、昔、温泉のマル適マークですとかいろいろあったかと思います。これが貼っていないホテルは泊まれないよ、怖くてというのはあったかと思いますが、なかなかそれがなじむのかというと、なかなか難しいのかなというのも正直なところです。一方でヨーロッパ諸国は、貼ってないお店は駄目なお店なのだという、国民のそういった認識があるんだというようなふうに私は伺っています。
一方、決してそれがないというわけじゃないのですが、韓国、中国が近年この法律を整えまして、徴収を開始しています。やはりさすがに徴収は難しいですので、特に韓国なんかはBGM事業者に対して元栓徴収をすることを法律で強制しているですとか、中国なんかも、ちょっと生放送はきついですけれども、民主主義ではないし社会主義というところから、中国ではある程度の強制力が働くというふうに理解しています。
これぐらいで大丈夫でしょうか。よろしくお願いいたします。
【太田主査】ありがとうございます。よろしいでしょうか。
【唐津委員】はい。
【太田主査】ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。
ありがとうございます。それでは、次に、議事(4)「その他」にまいります。
事務局より報告事項がございますということですので、御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
【小林国際著作権室長】失礼します。参考資料の6を御覧いただければと思います。国際著作権室長の小林と申します。よろしくお願いします。
こちらの資料は、WIPO(世界知的所有権機関)における最近の動向でございまして、そちらの報告をさせていただきます。
WIPOには、著作権等常設委員会というものが設置されておりまして、今年の4月に開催をされておりまして、その結果が7月のWIPOの総会で報告をされました。議題としては、これまでやっております放送条約の話、そして、著作権に関する権利の制限と例外の話、それ以外の議題ということでございました。
一番大きく議論がされましたのは放送条約でございまして、3の各論というところでございます。アのところに経緯・趣旨がございますけれども、1998年以降から、長いこと議論を続けているものでございまして、デジタル化に対応した放送機関の権利保護に関するものであります。ただ、アの資料の下から4行目でございますけれども、世界各地域におけるデジタル技術の進化、そして、また色々なサービスの登場であったり、また、著作権の各国の法体系の違いというのがありますので、合意に至っていないというところがこれまでの経緯でございました。こちらにつきましては、次のページを御覧いただければと思いますが、ウの議論の概要というところでございます。
先ほどSCCRというところで、今回の条約の案につきまして議論がされまして、内国民待遇、相互主義、また、どのようなところを権利の保護の対象にするかという議論がございました。結果としては、やはり各国の間でどこまでのものを権利の範囲とするかという対象について、やはり意見の相違というものがまだ大きいというところで、引き続き議論をしていくということになっておるというところでございます。
放送条約以外の議論といたしましては、(2)権利の制限と例外ということで、こちらは途上国のほう、よく取得されるところでありますけれども、著作権の権利保護だけではなくて、権利の制限と例外措置についても、デジタル時代に対応した新たな国際的な枠組みを構築すべきという御意見がございまして、こちらも議題化をされておりますけれども、様々な機能が先進国側、途上国側としてあるということでございます。
(3)その他の議題ということで、アの部分、デジタル環境に関する著作権ということで、2ポツ目のほうでございますけれども、AIと著作権に関するテーマが、情報セッションということで様々なものが紹介されておりまして、日本の仕組みもここで紹介をさせていただいておるところであります。
その他様々な議題が上がっておりますけれども、こちらはその他ということで取り上げられたということで受け取っていただければと思います。
次回のSCCRにつきましては、本年の12月に開催される予定でございます。
説明は以上でございます。
【太田主査】どうもありがとうございました。
ただいまの御説明を踏まえ、御質問等がございましたら挙手をお願いいたします。オンラインの委員は、挙手ボタンによりましてお知らせください。いかがでしょうか。
ありがとうございました。大分時間も押しておりますので、御協力ありがとうございます。
それでは、本日の議事は全て終了いたしましたので、ほかに特段ございませんでしたら、本日はここまでとしたいと思います。
最後に、事務局から連絡事項がございましたらお願いします。
【依田著作権課課長補佐】事務局でございます。本日はありがとうございました。
次回以降の政策小委員会は、改めて事務局にて調整の上、日程をお知らせさせていただきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【太田主査】ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして、文化審議会著作権分科会政策小委員会(第1回)を終了といたします。本日はありがとうございました。
―― 了 ――

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