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12の構想の「1 すべての日本映画フィルムの保存・継承を行う制度の創設」,「7 出会い・交流・顕彰の場としての『映画の広場』(仮称)の創設」,「12 フィルムセンターの独立」は関連している。製作した作品のポジフィルムを残す際に,デュープネガを残すことが最も望まれる。デュープネガを保存すれば,保存後の作品の活用の幅が広がる。
映画の広場については,フィルムセンターを拡充し,その中に取り込み,フィルムセンターは映画の殿堂のようなものになるべきである。
デジタルについては,仕上げのスタジオを新たに作るより,デジタル設備のあるスタジオに国が援助して,それを若い人たちが利用しやすいようにしてほしい。
12の構想の「9 非映画館を活用した上映支援」,「10 子どもの映画鑑賞普及の推進」は同じようなことだと考える。かつて地方の公立文化会館等で上映する際,全国興行生活衛生同業組合連合会(以下「全興連」という。)や日本映画製作者連盟から苦情があり,普及のための上映活動が行いにくかった。最近は状況も変わっていると思うが,子どもたちが小さい頃から映画をスクリーンで観ることが映画普及のためには重要である。
現在は映画というと,ビデオやDVDだと勘違いしている若者が大勢いる。映画は映画館のスクリーンで観るものであり,映画を作る側もスクリーンで上映することを想定して映画を作っている。
地方の公立文化会館等に国が補助をし,プロジェクターを利用してスクリーンで映画を観られるようにして,映画になじむ土壌を作る必要がある。また,これに関しては文化庁だけでなく他省庁も連携して取り組んで欲しい。
デジタル映写機は高く,地方にはまだあまり普及してない。将来的には東京からコンテンツを発信し,DLP(Digital Light Processing)で観ることができるだろうが,当分はフィルムによる上映が主体になる。
人材養成については,専門学校で各種の養成を行っており,プロデューサー等の養成はそれでもいいが,監督や美術の技術者等は一人前になるのに現場で10年ほど経験を積む必要がある。人材養成については,養成学校を出た人を見習という形で現場のスタッフにつけるようにしてほしい。現場で1,2作品の製作に携われば,現場の技術も継承できるし,予算に応じた作品の作り方等を身に付けることができる。そのための経費を文化庁から支援していただきたい。
また,新しい技術から身に付けるのではなく,昔の編集技術を身に付けることから始めるべきである。 |
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全興連としては,子ども向けの上映を断ったことはない。主流は子ども向け映画である。昔,学校で行われていた映画鑑賞は,学校側の都合により減ってきているのである。 |
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現場からは,大スクリーンで優位なものを作りたいという意見が多かった。スクリーンとテレビでは何が違うのかと考えた時に,フレームの端まで撮っているかということであると思う。これらは養成所で教えてもむだではないか。現場に見習をつけてくれという話があるが,やはり現場では面倒である。製作側も新しい人材発掘のためにも見習を採ることを考えているが,実際には予算の関係で動けない。もう少し違ったところから始めるべきである。現場レベルでみると,テレビと映画は大きく違う。製作現場を知らない人はこのことが理解できない。
今日のヒアリングで,中間まとめに足りないものが多くあるということに気づいた。 |
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映画とテレビは単にスクリーンとブラウン管という違いだけではない。映画はスクリーンでの印象を考えて,枠やつなぎを決めている。製作側はスクリーンとブラウン管で撮り方を変えている。ハイビジョンも同じである。似て非なるものである。 |
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テレビと映画の違いはその通りだと感じる。
現場でOJT(On the Job Training)を行っていくことは人材養成の観点から非常に重要であると感じた。また,公立文化会館での上映は普及という観点から考えられていたが,映画製作本数を増やすということから,人材養成にもつながる。これも重要である。 |
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人材養成の問題にはお金で解決できる問題とできない問題がある。できない問題として,人材を養成した時に,受け入れ先の現場はどうなっているかという労働条件の問題がある。この点は非常に重要である。 |
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見習が現場で製作に携われば,現場には様々な問題があることを感じ,それらを克服する学生が見習として育てば現場の全てを把握することができるようになる |
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デジタル化に関して,映像においては色々な方式があり,統一されていない。音響に関しては映像よりデジタル化が早かった。今後,さらに早いスピードでデジタル化が進むだろうが,現場ではあるところで見切りをつけないといけない。現場ではどう考えているのか。 |
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今ハイビジョンで映画を撮ってもプラスになることはあまりない。音響についてはさらにデジタル化が進んでいくだろうが,映像については,当分はフィルムのままだと考える。 |
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日本映画監督協会としては,フィルムセンターの独立とアーカイブ化,映画製作への助成を具体的に示していただきたい。
人材養成については,一長一短で必ずしもお金で解決できるだけの話でもないし,より具体性のある案にまとめてもらいたい。 |
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映画とテレビは連携できるところを連携していくべきである。放送について,フィルムコミッションに関しては,テレビ番組撮影のためのロケーションということも含めて拡充を考えて欲しい。保存については,NHKが民放の番組も含め,保存しようとしているが,資金繰りに苦労している。是非,事務局には現場に足を運んで,問題点を見てもらいたい。 |
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非上映館でも子ども向けの作品を上映してもいいということで合意されていると考えて良いか。 |
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現に東京でも公立文化会館等で興行をしているし,それに対して反対をしたことはない。 |
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過去には確かに問題はあった。 |
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フィルムセンターならともかく,地方の非映画館では,映画の高いクオリティを保ちながら上映できない。そうなると大きな場所で映画を見ることに意味があるのか疑問に感じる。また,デジタル音響になると,フィルムを持ち込むだけでもスピーカーの調整等が必要であり,非映画館で本来の映画のクオリティを保つのは不可能になる。 |
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アメリカでも現在の技術が何年もつか保証がなく,フィルムでしっかりと保存している。デジタル保存はまだ不明であるので,フィルムセンターではポジフィルムとデュープネガで保存をしたほうがいい。また,地方の劇場でデジタルの設備がないといっても,アナログでも上映することは可能である。公立文化会館で上映するにはそれで十分である。 |