キトラ古墳壁画(朱雀)の剥ぎ取りのリスク分析とその対策について
| 1.考えられるケース |
| (1) |
朱雀を1枚で剥ぎ取りを完了
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| (2) |
大きな漆喰ごとに分割して剥ぎ取りを完了 |
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壁面の状況を確認したところ、可能性は低いが、ダイヤモンドワイヤー・ソーによる剥ぎ取りの際に、漆喰の状況等により朱雀を1枚で剥ぎ取ることができずに、分割して剥ぎ取る可能性がある。
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| [1] |
泥がかぶり壁画が残っていないと想定している箇所等をダイヤモンドワイヤー・ソーでカットして、大きな漆喰ごとに分割して剥ぎ取る。
ダイヤモンドワイヤーの細さ(0.3mm+α)分が消失する。しかしながら、ヘラなどで漆喰を割ることによって、細かく砕ける可能性を招くよりは、よりベターな方法であるといえる。
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| [2] |
[1]と同様、大きな漆喰ごとに分割して剥ぎ取りを試みるが、作業が難航するなどで、大きな漆喰の一部が取れずに石室に残り、後日改めて剥ぎ取りを行う。
ダイヤモンドワイヤー・ソーでカットするため、ダイヤモンドワイヤーの細さ(0.3mm+α)分が消失する。 |
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| (3) |
朱雀を1枚もしくは分割して剥ぎ取りを完了したが、一部の欠片が壁面に残る
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| [1] |
漆喰が凹んでいるなどの漆喰の状況で、一部の欠片が壁面に残り、別途ヘラ等で剥ぎ取りを行う。
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| [2] |
漆喰が凹んでいるなどの漆喰の状況で、一部の欠片が壁面に残り、ヘラ等でも剥ぎ取ることができずに、後日改めて剥ぎ取りを行う。 |
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| (4) |
剥ぎ取り作業中に割れる |
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可能性はほとんどないが、剥ぎ取り作業中に漆喰が床に落下するなどで、大きく割れてしまう。 |
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| [1] |
割れた漆喰をつなぎ合わせることで、復元が可能。 |
| [2] |
割れた漆喰をつなぎ合わせることが不可能であり、復元が不可能。 |
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| (5) |
ダイヤモンドワイヤー・ソーでもヘラでもまったくとれない |
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壁面の状況を確認したところ、可能性はほとんどないが、剥ぎ取ることが困難になり、当日中の作業を中止する場合。 |
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| [1] |
ダイヤモンドワイヤー・ソー熱を持つなどで、当日中の剥ぎ取りが困難となり中止するが、後日に剥ぎ取り作業を再開することは可能。 |
| [2] |
何らかの問題が生じて当日作業するダイヤモンドワイヤー・ソーでは、当日中の剥ぎ取りが困難となり中止するが、一部改良してから、後日に剥ぎ取り作業を行う。 |
| [3] |
漆喰の状況等何らかの問題が生じて、ダイヤモンドワイヤー・ソーやヘラでは、まったく剥ぎ取ることができない状況であり、中止。WG及び委員会で剥ぎ取り方法を再検討。 |
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(注) |
(2)[2]の場合も(5)と同様に後日の対応のケースが3パターンある。 |
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2.2月19日の週にWGを開催
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| ○ |
剥ぎ取り作業が2月15日中に完了した場合 |
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2月19日の週に奈良でWGを開催し、朱雀を見てもらい、技術の検証及び天井作業についての状況を報告を行う。その後、3月中に委員会を開催。
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| ○ |
剥ぎ取り作業が一部後日に持ち越しになった場合 |
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2月19日の週に奈良でWGを開催し、技術の検証を行い、その後の作業方法について技術的に検証する。 |
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| [1] |
ダイヤモンドワイヤー・ソーの改良を行わずに、WGの了承を得て、後日作業を行う。 |
| [2] |
ダイヤモンドワイヤー・ソーの一部改良を行い、WGの了承を得て、後日作業を行う。 |
| [3] |
ダイヤモンドワイヤー・ソーやヘラでは剥ぎ取ることが困難であるため、新たな技術の開発が必要な場合は、WGで技術の検証を行い、委員会に報告して、改めて剥ぎ取り方法を検討する。 |
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