(1)舞台芸術分野

  1. [1] 地域の核となる文化芸術拠点の充実とそのための法的基盤の整備
    • ○  地域の文化芸術拠点において,舞台芸術が創造・発信され,地域の人々が享受できる機会を充実するため,国と地方公共団体が役割分担・協力をしつつ,地域の核となる文化芸術拠点の文化芸術活動への支援を拡充する必要がある。
    • ○  地域の文化芸術拠点が優れた文化芸術の創造・発信等に係る機能を十分に発揮できるようにするため,その法的基盤の整備についても早急に具体的な検討が必要である。
    • ○  地域の文化芸術拠点の充実が進めば,国立の劇場には,更に高次の中核的拠点としての役割,人材育成の場としての役割などが期待される。我が国全体の舞台芸術の振興を図るために,国立の劇場も含めた文化芸術拠点の望ましい在り方について,地方その他の関係機関等を含めた検討を行う必要がある。

  1. [2] 専門家による審査・評価の仕組みの導入の検討と支援制度の抜本的見直し
    • ○  舞台芸術の支援に当たっては,公益性を重視しつつ,分野ごとに現場の実情を把握し,個々の事業の選定,評価等を行う専門家(プログラムオフィサー)を配置し,専門的な審査をよりしっかりと行う,各種のデータに基づいた審査や評価を行うため,現地調査も含め調査研究機能を強化する,PDCA(計画,実行,評価,改善)サイクルを確立するといった観点から,海外のアーツカウンシル(文化芸術評議会)や公的文化芸術助成機関等の例も参考としつつ,新たな審査・評価の仕組み(「日本版アーツカウンシル(仮称)」)の導入を検討する必要がある。
    • ○  文化芸術団体にとって入場料収入や寄附金の増加等の努力を促すインセンティブがより働くよう,会場費等の経費を限定した支援,演劇,音楽,舞踊等の分野の特性に応じた支援,文化芸術団体が一定期間を見通した計画・運営ができるよう1公演ごとの審査の積み重ねとしての年間の活動への総合的な支援,民間からの寄附金と公的助成金を組み合わせるマッチンググラントのような支援,研究分野における競争的資金の間接経費の取扱いも参考にした文化芸術分野における支援等の新たな仕組みの導入も含め,支援制度を抜本的に見直す必要がある。
    • ○  大学や国立の劇場における人材育成,文化芸術団体が取り組む人材育成事業の支援や若手芸術家の活躍の場の在り方等も含め,人材育成のための効果的な方策を検討する必要がある。例えば,新進芸術家の研修支援として,現在の海外研修制度の改善に加えて,国内研修の仕組みを導入することも考えられる。

  1. [3] 子どもたちが優れた舞台芸術に触れる機会の拡充
    • ○  次代を担う子どもたちに豊かな創造性,感性等をはぐくむため,国は,できるだけ小さいころから,子どもたちが多彩な優れた舞台芸術に触れる機会を拡充するとともに,教育委員会や文化施設,文化芸術団体等が実施する取組を奨励する必要がある。
    • ○  地域の文化芸術拠点の充実を図る中で,文化芸術関係者が学校や教育関係者と連携・協力しながら,継続的に子どもたちに多彩な優れた舞台芸術を鑑賞する機会を提供したり,ワークショップやコミュニケーション教育等の教育普及活動を実施したりすることが必要である。

  1. [4] 舞台芸術の国際交流と海外発信の強化
    • ○  優れた作品の海外公演への支援に加えて,海外の文化芸術団体と企画段階から協力して行う国際共同制作への支援を充実するなど,東アジアをはじめとした世界各国との国際文化交流を積極的に推進する必要がある。また,国際共同制作の情報集積や実践の場として,我が国で開催される核となるような国際フェスティバルの支援も充実させる必要がある。

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