第175回(令和3年1月22日)宗教法人審議会

日時

令和3年1月22日(金) 15:00~17:00

場所

文部科学省東館3 階 3F1 特別会議室(オンライン開催併用)

議事

1開会

2議事

  1. (1)宗教法人審議会規則等の一部改定について
  2. (2)最近の宗務行政について
  3. (3)その他

3閉会

配布資料

資料1
第34期委員名簿(R3.1.22) (71KB)
資料2_1
(概要)行政不服審査法(平成26年法律第68号)(抜粋)(597KB)
資料2_2
宗教法人審議会規則(R3.1.22改正)(83KB)
資料2_3
宗教法人審議会の議事等について(83KB)
資料2_4
小委員会の設置について(60KB)
資料2_5
審査請求案件に関する宗教法人審議会の運営方法について(111KB)
資料3_1
新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置について(情報提供)(120KB)
資料3_2
新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置について(情報提供)(401KB)
資料3_3
(経済産業省HP)【中小法人・個人事業者のための】持続化給付金申請要領(9月1日以降に新規申請される方が対象)(2020年10月30日)(抜粋)(84KB)
資料3_4
神社における新型コロナウイルス対応ガイドライン(第4版)(1.14MB)
資料4
令和3年度予算案について(276KB)

議事内容

1.開会

○会長

定刻を5分過ぎました。定足数も満たしているようですので、ただいまより第175回宗教法人審議会を開会いたします。本日は御多用中、さらにコロナ禍で大変な中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

初めに、開会に当たりまして、事務局から挨拶をお願いいたします。

○文化庁次長

失礼いたします。私は1月1日付で文化庁次長を拝命した杉浦と申します。よろしくお願いいたします。

委員の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席賜りまして誠にありがとうございます。本日の会議は緊急事態宣言を受けて、ウェブを活用した開催とさせていただくこととなりました。まだこれから文化庁の京都移転ということがありますけれども、こういったウェブを活用した会議というのはこれからもまた何度か開かれていくこととなろうかと思いますが、どうか御理解、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、世界の様相は大分変わっております。このウイルスの拡大によって我々の日々の暮らし、大いに影響を受けておりますけれども、宗教界でもこの新型コロナウイルス感染症によりまして様々な影響があり、これまでどおりの活動ができないということなどは、国内外の報道でもいろいろ各種報道されているところでございます。直近の年末年始でも、除夜の鐘とか初詣などの参拝に当たりまして、それぞれの宗教法人で感染症対策を講じるなど、御苦労いただいたことと伺っております。

こうした中、後ほど御説明させていただきますが、文化庁といたしましても、初詣等に関するガイドラインの策定等に宗教関係者の皆様方と連携させていただきまして、取り組んでいるところでございます。皆さんが不安を感じたり、社会不安が忍び寄るときというのはやはり宗教の役割が、 ますます求められてくるのではないかなと、こう感じております。コロナ禍あるいはポストコロナにおきます我が国の文化振興のためにも、宗教関係者の皆様方の引き続きの御協力、どうかお願いしたいと思っております。

さて、この宗教法人制度は、我が国の宗教団体が政教分離の原則を基本として、自主的・自律的な活動する安定した基盤を確保するためのものでございます。この当審議会は、宗務行政の実施に当たりまして、憲法に定める信教の自由の保障を担保する観点から設置されておりまして、宗教法人制度の維持のために大変重要な役割を担っております。

委員の先生方それぞれの御意見、御見識に基づきまして、貴重な御意見、御助言を賜りまして、宗教法人制度や宗務行政の適正かつ公正な運営、実施を期してまいりたいと考えておりますので、本日はどうかよろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございます。

○会長

ありがとうございました。

次に、委員の異動があったようですので、事務局から委員の御紹介をお願いいたします。

○宗務課長

それでは、失礼いたします。資料番号1番の本審議会の名簿を御覧いただけますでしょうか。昨年4月1日付で2名の先生が委員に新たに就任をいただいております。

その名簿の上から5番目でございますが、昨年4月1日付で新日本宗教団体連合会常務理事の江口陽一様に委員に就任していただいております。なお、江口 様は本日は所用がございまして、欠席でございます。

そして、そこから3つ下、上から8つ目でございますが、新たに公益財団法人日本宗教連盟事務局長、公益財団法人全日本仏教会事務局長、木全和博様に委員に就任いただいておりますので、御紹介をさせていただきます。

なお、この資料の1番につきまして、本日、木全委員、それから本多委員の役職につきまして間違いがございまして、先生方にはメール等で本日差し替えをお願いさせていただきました。すいません、その点改めておわびをさせていただきます。

以上でございます。

次に、文化庁からの出席者を紹介させていただきます。先ほど挨拶をさせていただきました杉浦文化庁次長でございます。

○文化庁次長

よろしくお願いいたします。

○宗務課長

文化庁審議官の榎本が出席の予定でございますが、所用がございまして、後ほど出席をさせていただきます。

次に、内村宗務課課長補佐でございます。菅澤法規係長でございます。高橋調査係長でございます。

改めまして、私、宗務課長の田中でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○会長

ありがとうございました。

次に、事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。

○宗務課長

失礼いたします。お手元の議事次第、一番上に第175回宗教法人審議会議事次第と書いてある1枚ものでございます。その下部に本日の配付資料の一覧を掲載しております。そこに記載いたしましたとおり、本日、資料1から資料4まで資料も配付をさせていただいております。不足等ございましたら事務局にお申しつけください。よろしくお願いします。

○会長

続きまして、定足数について確認したいと思いますので、事務局からお願いいたします。

○宗務課長

宗教法人審議会につきましては、規則第5条によりまして、小委員の5分の3以上の出席がなければ、議事を開き、議決することができないとされております。本日は、先ほど次長の挨拶にもございましたとおり、緊急事態宣言下ということで、ウェブを活用するということで、現在オンラインで10名の先生方、会場で5名の先生方の計15名の先生に本日は出席をいただく予定でございます。

今、ウェブのほうで1名の先生、まだ接続ができない状況になっておりまして、現在14名ということでございますが、19の5分の3、12でございますので、14名であれば定足数を充足していることを確認させていただきます。よろしくお願いいたします。

(1)宗教法人審議会規則等の一部改定について

○会長

ありがとうございました。

それでは、これから本日の議題に入りたいと思います。議第1は「宗教法人審議会規則等の一部改正について」ですけれども、まず、これについて審議したいと思います。事務局のほうから説明をお願いいたします。

○宗務課長

それでは、資料といたしましては、資料番号2-1から2-5を御覧ください。今回、宗教法人審議会の規則等の改正について諮らせていただくことになっておりますが、まず、その経過から説明をさせていただければと思います。

一昨年8月に前回会議を開いておりますが、その際に審議会の先生、委員の方から、宗教法人審議会の規則が平成26年改正の行政不服審査法の内容、趣旨を反映していないという御指摘をいただいたところでございます。前回会議で御指摘をいただきましたので、その御指摘を踏まえまして、規則の改正をさせていただきたいというものでございます。

この規則の改正ということを今回させていただくということでございますが、1つは、この宗教法人審議会の事務といたしましては、審査請求の審査ということが大きな事務としてあるわけでございますが、その審査請求は、国所管、文科省所管法人のみならず、各都道府県の所管法人の審査請求もこの審議会で行うということになっておりまして、全国約18万の宗教法人がある中で、我々としても、どこでどんな争い事といいますか、そういったものがあるかということは把握しているわけではございません。ですので、国レベルの話であればある程度状況を把握しておりますが、都道府県所轄法人含めまして、いつそういった審査請求が上がってくるか分からないという中で、規則等をこの行政不服審査法、法律にのっとって整備しておきたいということでございます。

特に、後ほどまた申し上げますが、宗教法人審議会に限らず、国の審議会の委員の先生方にはルールがございまして、一定の年数、10年といった一定の年数以上は同じ審議会の委員になることはできない。あるいは年齢についても制限がございまして、そういったことから、今年度、今年の3月末をもちまして、我々としては残念でございますが、4名の委員の先生方は退任とならざるを得ないという状況にございます。

そうした中で、前回会議の御議論も承知していらっしゃいます委員の先生方、この期の委員の先生方がいらっしゃる間に、前回会議での指摘でございますので、この規則改正をしておきたいというのが趣旨でございます。

その上で、中身を説明させていただきます。資料2-1、これが平成26年改正の行政不服審査法の中身でございまして、特に宗教法人審議会の規則に反映しなければいけないということが2つほどございます。

上から3つ目の段落のところでございますが、行政不服審査法という括弧がございまして、その下に、審理員による審議手続・第三者機関への諮問手続の導入ということが青字で書かれておりまして、要は中身といたしましては、公平な審理を行うために、国の職員ではございますが、処分に関与しない職員が審理員として両者の主張を公平に審理するといったような仕組みが行政不服審査法の改正で盛り込まれております。これが1点目でございます。

それから、その下の丸でございますが、不服申立ての手続を審査請求に一元化。それまで不服申立ては異議申立てと審査請求という2つであったわけでございますが、これが法律上、審査請求に一元化されましたので、この点についても、宗教法人審議会、行政不服審査の1形態である審査請求を行う宗教法人審議会の規則を改正する必要があるということでございます。

この行政不服審査法の改正を踏まえて、また、今回チェックをいたしまして、過去の改正の改正漏れなどもございましたので、併せてそういったものの改正をさせていただきたいというものでございます。

それでは、資料の2-2を御覧いただけますでしょうか。以下規則等が並んでおりまして、まず、2-2が宗教法人審議会の規則でございます。修正したい中身を赤字にしておりますが、2-2の一番下の第14条のところでございます。これ、第7条を第6条にするというものでございますが、これは過去にこの審議会の規則を改正して、新しい条を入れたときに条ずれが起きておりまして、その条ずれの改正漏れをこの機会にするという機械的なものでございます。過去に本来改正すべきものだったものが改正されていないものを改正するというのが1点でございます。

めくっていただきまして、資料2-2の2枚目でございます。第15条でございます。第15条が、今の規則では、この規則の施行に関して必要な事項は、会長が文科大臣と協議して決めると書いてあるのですが、実務上は、その後の資料2-3以下にございます宗教法人審議会の議事などについてという申合せを審議会の決定で決めております。それから、中身といたしましても宗教法人審議会の公開等の件でございまして、こうしたものを文科大臣と協議して決めるというのは実態にも即していないということから、実務に合わせまして、赤字にございますように、第6条に基づいて決定し、これを定めるというふうに改正したいというものでございます。

続きまして資料2-3でございます。これは先ほどの資料2の規則の細則として定めております申合せでございます。改正内容といたしましては、まず、第1章、第2章と、赤字にございますように、章立てを新たにして整理するということと、それから、第1章の下、幾つか不服審査を審査請求としておりますが、これは先ほどの行政不服審査法の改正、不服申立てが法律上審査請求に一元化したということを踏まえまして、不服審査という言葉を法律上の審査請求に変えるものでございます。

第3項でございますが、会議の公開については、今後も非公開とするというふうに今までの申合せはなっていたわけですが、今後もということは意味がございませんので、「今後も」を削除するというものでございます。

それから、4条の議事録等の関係でございます。4の(4)のところでございますが、これまでは議事録等は全委員に送付するなどして確認を得とあるのですが、これは紙媒体を意識して、紙を送付するということで書かれておりましたが、今回もウェブを活用して会議を開かせていただいておりますとおり、今後デジタル化を推進する中で、紙を送付するという概念自体が変わっていくと思いますので、そこを「全委員の確認を得た後」と、確認方法については送付に限定しないという形で修正をしております。

それから第5項でございますが、これまで審議会終了後のブリーフィング、いわゆる記者対応につきましては、会長、事務局において行うということで、会長に対応していただくのがマストというような書きぶりになっていたわけでございますが、これは中身によりましては我々事務局で十分なものも多々あるわけでございますので、そこは「会長又は事務局より行う」と修正させていただきたいというものでございます。

そして第2章、新たに設けました第2章、審査請求に係る議事というところが、前回会議に委員の先生方からいただいた指摘を特に踏まえて、新たに入れたものでございます。前回会議における指摘といたしましては、行政不服審査法と宗教法人審議会の運営に差があるという中で、特に、先ほど説明させていただきました公平性を確保するための審理員が宗教法人審議会に出席することは適当ではないのではないかということと、それから、審理員が作成した意見書を基に審議会が審議していくことが必要ではないかということを前回会議において委員の先生方から指摘をいただいたところでございまして、その指摘をこの申合せに明文化するというものでございます。

新たに設けました第2章の7でございますが、行政不服審査法9条に基づき審理員に指名された者は、本会議に出席すること、2ページでございます、することができないということで、審理員が審議会に出席することはできないということを明文化したものでございます。

2ページの次の8でございますが、審査請求に関して、審査庁から諮問を受けた本審議会は、答申を行う前に、審理員意見書の提出を受けるものとするということを明記しております。先ほど申し上げましたとおり、前回会議で御指摘いただきました、審理員が審議会に出席することは不適当という御指摘と、答申を行う前に審理員作成の意見書、それを踏まえて答申を行うという行政不服審査法の改正の趣旨を明確化したものでございます。

次、雑則というところでございますが、まず、9条のところは、12条が11条になっておりますが、これは過去の条ずれの改正漏れをここでも直すというものでございます。

それから、2行目の小委員会という言葉でございますが、これは審査請求があった場合には、スムーズに審査を行えるように、審議会の下に小委員会を設けます。ここでは小委員会での議事も審議会の手続に準ずると書いてあるのですが、議事以外に、例えば先ほどマスコミ対応のブリーフィングについても審議会に準ずるということができるように、議事の後に「等」を付けているということでございます。

それから、10項の規定につきましては、この審査請求等に関しまして、諮問された事項についても資料提出などの調査を審査庁、文化庁に求めることができるということを、行政不服審査法の改正の趣旨も踏まえまして新たに明記したということでございます。

それから11条につきましては、本申合せに規定されていない事項については、関係法令の定めに従うと書くことによりまして、この規則にない場合には、行政不服審査法等に基づき行うということを明記したということでございます。

続きまして、資料2-4でございます。これは先ほど申し上げました審査請求等があった場合に、審議会の下につくります小委員会の設置の決定でございますが、12を11にしておりますように、ここも過去の改正漏れ、規則の改正の条ずれが反映できていませんでしたので、そこを直すというものでございます。

次に、資料の2-5でございます。資料2-5は、宗教法人審議会の運営方法を図示した決定でございます。それを今回一部修正させていただくというものでございまして、まず、不服申立てを審査請求に変えるというのは先ほど説明したとおり、法改正に合わせて変えるというものでございます。その下の図の中で「宗教法人会(懇談会)」とあるのですが、これは定足数が得られなかった場合には、審議会ではなくて懇談会を開いて処理しようということで、これまで(懇談会)ということがこの図の中に書かれていたようでございます。

ただ、実際には、これまで審議会とは別に定足数を満たさない形で懇談会ということが開催された実績がございません。それから、今回、ウェブ開催させていただいておりますように、今後はウェブなどを使えば、定足数ということにつきましてもかなり柔軟に扱えるのではないかということが想定されますので、この機会に、定足数が満たない場合でも会議が開けるかのような懇談会という規定を削除するものでございます。

次に、小委員会のところの仮称は、仮称を切ってしまうというものでございまして、それから、真ん中の辺りに審理員意見書、一番下のほうにも審理員意見書と書いておりますのは、先ほどの申合せの改正、審理員が作成した意見書を踏まえて答申を行うという申合せの改正をここでも図示したものでございます。

併せて、一番左でございますが、宗教法人法上は、審査請求につきましては4か月以内に採決を行うとなっておりますので、その4か月以内に採決を行うということをこの図の中でも新たに明記したというものでございます。

規則改正に関します説明は、資料2-1から2-5の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○会長

御説明ありがとうございました。

ただいまの事務局からの説明について何か御質問、御意見がありましたら伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。お願いいたします。どうぞ。

○委員

ただいまのお話につきまして、1点コメントと簡単な質問をさせていただきたく存じます。たしか平成26年の行政不服審査法の改正があったときに、宗教法人審議会で、こういった改正によって今後はどのような不服申立て手続となるのかが問題となったと思います。その時は、たしか平成26年改正に伴い、宗務課長から各都道府県に出された通知では、宗教法人事務については従来の取扱いと大きく異なる点はないとされていたと記憶しております。

それに対し、今回、行政不服審査法の改正の目玉の1つとなっております審理員による審理手続の位置づけが、今、事務局からお示しいただいたような宗教法人規則や申合せの改定によって、非常に明確になったと思いました。

そこで、質問ですが、今回改定された規則や申合せの下で宗教法人審議会が審査請求に対する採決をするに当たり、この審理員の意見書の提出と小委員会の作業を4か月という期間で行う場合に、両者の時間的な関係はどうなるのかというのが、過去の経験を踏まえながら若干疑問に思っているところでございます。

何か問題があるということではございませんで、審理員の意見書というのが4ヶ月という期間の最後のほうに出てくるのか、かなり前の段階であらかじめ出てくるのかによって、小委員会の採決のあり方も変わってくるように思いまして、その辺り、事務局のほうではどのようにお考えなのでしょうか。何かございましたらよろしくお願いいたします。

○会長

御質問はそれでよろしいですか。つまり、小委員会の報告と審理員の意見書、その両者の関係がうまく回転していくかという趣旨の質問だったかと思いますが、それについて田中さんにお願いたします。

○宗務課長

実は、この審理員に関しましては前回会議でも意見をいただいておりますが、その前の期には具体の審査請求を、実際に小委員会も開いて審査をしていると伺っておりますが、その際にも行政不服審査法が改正されていたので、審理員、具体的には文化庁の宗務課の補佐が審理員として任命されて、その審査請求の手続をしたと聞いています。ですので、行政不服審査法の改正を踏まえて、実際に審理員を用いて、審理制度を導入して、一度審査請求の手続を、この期の前、ですから三、四年前にしたということがございます。

その際に、いろいろ課題として、それを受けて前回会議で先生方から指摘をいただいたと認識しておりまして、その審査請求を通じて出た課題として、1つ、審理員である者がその審査請求のときにこの会議に出ていたと。それは適当ではないのではないかという御指摘をいただいたということ。

それからもう一つ、先ほど御指摘がございましたとおり、小委員会あるいは審議会で答申をまとめていくに当たりまして、行政不服審査法上は審理員の意見書をベースにしていくので、まず審理員の意見書が出されて、それに対して委員の先生方から御意見をいただいて、審理員の意見書を直していき、それを踏まえて答申にしていくというのが行政不服審査法上の想定している手続でございます。

ただ、宗教法人審議会の場合、問題がございますのは、先ほど申しましたとおり、宗教法人法上、4か月以内に答申しなければいけないとなっておりまして、この行政不服審査法が想定している手続、まず審理員の意見書が出来上がって、それをベースにして、審議会にかけて答申をまとめていくということでは間に合わないのではないかというような議論が過去にもあったと聞いております。

ですので、今回の規則の申合せの改正案は、具体的には申合せの第8条でございますが、行政不服審査法が求める最低限のものは遵守するということで、答申を行う前に意見書の提出を受けるとしています。三、四年前の宗教法人審議会での審査請求のときは、審理員の意見書と答申案が同時に出されて、それはおかしいのではないかという御指摘を受けたと聞いています。つまり、審理員の意見書が先で、そしてそれを踏まえての答申ではないかというふうに聞いております。ですので、そこの順番関係は明確に行政不服審査法に反しないようにしたということです。

ただ、行政不服審査法の理念を徹底いたしますと、同時で、審理員の審査と、それから宗教法人審議会の審査は、順番が、まず審理員が意見書を完全に完成してから審査会の審査を始めるべきというのが、法的には一番すっきりした形ではあるのですが、それをそこまで徹底してしまいますと、4か月で終わらない関係がございますので、答申を行う前に意見書は作らなければいけないということは規定した上で、ある程度、審理員が行う意見書の作成の手続と審議会の議論はある程度は並行して進めたいと考えております。

○委員

4か月という期間と実情を踏まえての今回の改定の趣旨というのは今の御説明で大変よく分かりました。どうもありがとうございました。

○会長

では、今の質問についてはよろしいですね。

○法規係長

先ほどの課長でほぼ全ての内容は網羅しているのですけれども、1点補足としましては、この点については行政不服審査法を所管している総務省のほうにも確認を取りまして、同時並行で進めていいというようなことは所管の総務省からの了解をいただいておりますので、最終的に宗教法人審議会のほうで答申を出していただく前に、審理員意見書の提出を受けてから答申を出すという流れであれば、行政不服審査法上も支障が出るというものではないということについては確認が取れていますので、念のため補足させていただきます。

○会長

ということで御了解をいただければと思います。

ほかに御意見、御質問ございますか。よろしいですか。この件については大分時間をかけて事務局のほうでも検討していただいて、今の御説明にもあったように、行政不服審査法と宗教法人法の間の中で非常にいい解決方法を見つけていただいたと思いますので、これで進めたいと思います。

特に反対意見等がなければ、この改訂案を承認したものとさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○会長

ありがとうございました。それでは、全員一致でよろしいですね。全員一致で可決したものとさせていただきます。

次は、議題第2と3は一括して扱います。議題2と3に移りたいと思います。「最近の宗務行政について」、事務局から報告をよろしくお願いします。

(2)最近の宗務行政について

○宗務課長

失礼いたします。資料といたしましては、資料3-1から3-4、それから資料番号4を一括して説明をさせていただきます。説明の趣旨といたしましては、最近の宗務行政の関係ということで、特に新型コロナウイルスの関係のこと、それから、来年度の我々宗務課の予算要求、政府予算案に盛り込んでおります予算案について説明をさせていただきます。

それでは、まず資料番号3-1から説明をさせていただきます。新型コロナの影響は、冒頭の杉浦次長の挨拶にもございましたとおり、世界中で、我が国においてもいろんな分野で影響が及んでいるわけでございますが、宗教界においても当然、様々な影響が及んでいるわけでございます。御布施の減少等を含めまして、そうした声を我々も春先から関係団体からお聞きしておりまして、ただ、問題といたしましては、学識経験者の先生方よく御存じのとおり、憲法の89条の規定などございまして、我々から、国から直接公金支出、財政支援をするということは憲法上できないということになっているわけでございます。

そうした中で、他省庁が行っております一般的な施策の中で、宗教法人も対象になるようなものについて、これは我々の憲法上の整理といたしましても、憲法89条との関係におきましても、宗教団体に限るのではなくて、一般的な制度の中で、宗教団体もその中でたまたま対象になるということであれば、憲法に反しないと考えています。文化庁がやっております文化財の補助などもそういう考え方でやっているわけでございますので、そういったものが関係省庁に何か確認をし、確認ができたものにつきましては春先に情報提供をしてまいりました。それが資料3-1、3-2でございます。

具体的には、資料3-1は雇用調整助成金、これはあくまでも雇用関係に応じて行う、雇用関係の維持という観点から取られている政策ということでございますので、これは宗教界、宗教団体におきましても当然雇用関係がございますので、これが対象になるということを厚労省に確認をした上で、特に今回の特例措置は、通常では雇用調整助成金の対象にならない、いわゆる雇用保険に入っていない方々、アルバイトの方々なども雇用調整助成金の対象になるということがポイントでございますので、この事務連絡の真ん中の段落にございますように、巫女さんなどをアルバイトで雇っている場合にも対象になるというようなことも明記して、日本宗教連盟、あるいは都道府県の宗教事務関係課に春先に情報提供させていただいたところでございます。

また、資料番号3-2でございますが、これは税金の関係でございます。固定資産税の中で不動産、土地は対象じゃありませんが、建物などの動産に関する固定資産税につきまして、真ん中辺りにございますが、売上げが昨年度と比べて30%以上減少した場合には、その動産に対する固定資産税の減免をするというものです。

これも一般的な制度と言えるわけでございますので、これに該当するものであれば、宗教法人も対象になるということを総務省に確認いたしまして、日本宗教連盟、都道府県に周知をさせていただいたところでございます。

イメージしやすいのは、この事務連絡の下に「また」というのがございまして、具体的にどんなものが対象になるかと書いていますが、一番下にホテルの旅館業で使用している客室設備、洗濯設備、駐車場設備と書いてありますが、例えば、高野山などにおきまして、宗教法人も宿坊という形で旅館業を営んでいる場合がございますので、そういった宿坊などにおきまして、先ほどの要件、前年度に比べて事業収入が30%以上減少しているという場合には、その宿坊の客室設備ですとか駐車場設備などの動産の固定資産税が減免されるというようなものが宗教法人も対象となっているということでございます。

さらに、資料3-3でございますが、よく報道にも出ておりますので先生方よく御存じかと思いますが、持続化給付金というものがございます。事業の継続のために、200万円を上限として、前年度よりも事業収入が50%以上減少した場合に支給するというものでございます。

これも我々といたしましては、担当でございます中小企業庁などにも要望をいたしまして、また、ある程度法制的な整理もいたしまして、この持続化給付金が宗教法人も対象にしたとしても憲法には反しないということで、政府内では対象にしようという方向に一度なったのですが、その後の与党内の議論などによりまして、4ページでございますが、宗教法人は不支給、いわゆる対象にならないとなりました。4ページのところに、真ん中辺りに不給付要件というところが赤字で書いていますが、その中に宗教上の組織もしくは団体ということで、宗教団体は対象にならないとされたということでございます。

こうしたような取組を、今年度、特にコロナの中でしてきたということでございます。その中では対象になったものもございます。持続化給付金のように対象にならなかったものもございますが、我々としては関係省庁と連携して、できるだけ一般的な制度の下に宗教法人も対象になるよう取り組んできたということでございます。

その次に、ちょっと話題は変わりますが、資料番号3-4を御覧いただけますでしょうか。特に今回、年末年始に緊急事態宣言ということで、コロナの影響がある中で、特に初詣ということにつきまして、これは緊急事態宣言の前から、秋頃ぐらいから政府の中でもどう対処すればいいかということが議論をされました。

具体的には、よくテレビなどで出てきておりますコロナの分科会がございますが、その分科会の下に専門家の会議というものがございまして、その中に、初詣だけではないんですが、コンサートなどの屋外イベント、それから映画館での扱い、ポップコーンを食べていいかどうかとか、そういったところをテレビによく出てきますコロナの専門家会議の下の専門家の会議で議論をする場がございました。

そこで10月から11月にかけまして、やはり年末年始の初詣はある程度議論することが必要ではないかということで、神社本庁にも御協力いただきまして、我々と神社本庁でその専門家の会議にも出させていただきまして、特に神社本庁の取組を紹介させていただきました。

具体的には、資料3-4にございます神社本庁を中心にいたしまして、神社における対応ガイドライン、初詣だけではございませんが、初詣に関することも結構書いておりまして、初詣を念頭に作ったと言ってもいいと思います。これ第4版となっておりますが、このガイドラインの案を政府の分科会の下の会議にも示しまして、そこで、いわゆる感染症等の専門家の意見も踏まえまして、神社本庁において専門家の意見も踏まえて更新を重ねていただいた完成版というのがこれということでございます。

時間の関係がございますので、詳細な中身は省かせていただきますが、いわゆる感染症の専門家のお墨つきも得た形で、初詣をはじめとした宗教の場におけるガイドラインとしてこういうものができているということでございます。

めくっていただきますと、3ページ以降にございますように、具体的な場面ですとか具体的な場所、鳥居、参道ですとか、4ページ、拝観、拝殿前でございますとか、具体の場面に応じましてどういう取組が求められるのかということを写真付きで分かりやすく整理していただいているものでございます。

特に専門家の会議の中では、今も飲食ということが問題になっておりますが、飲食ということについて指摘をいただいたということがございます。そうしたことを踏まえまして、神社本庁のほうでも、ガイドラインの8ページでございますが、専門家の先生方の意見を踏まえまして、8ページのその他の感染拡大を予防するための措置といたしまして、2番目のポツでございますが、境内での飲食や食べ歩きは控えていただき、露店で購入した食品はその場で飲食させずに持ち帰るよう案内するといったことでございますとか、4番目のポツでございますが、甘酒や清酒などの振る舞いは控えることが望ましい、もし振る舞いを行う場合は使い捨てコップを利用し、回し飲みは避けること、といった、飲食についても、専門家の先生方の意見を踏まえてガイドラインに明記していただいております。

ただ、この議論をする際に、我々としても、あるいは神社本庁としても難しいなということは、いわゆる露店で物を買うわけでございますが、露店は大体神社の境内地の外でございますので、いわゆる宗教法人のガバナンスといいますか、ルールが適用できないエリアというのがございます。そうしたところについては限界も感じたところでございまして、そこは、例えば今回でいきますと、年始年末に、通常であれば年末24時間公共交通機関が動くところを、24時間公共交通機関が動くということを取りやめたですとか、あるいは露店のほうでも、露店の関係の団体がガイドラインを作るなど、ほかの事業者の動きと連動して取り組んでいるところではございます。

ただ、そうしたほかの事業者との連動を進めるということに当たりましても、あるいは社会的に問題になっているコロナ対策に取り組んでいくという意味でも、宗教法人、宗教団体である神社本庁においてこうしたガイドラインを作っていただいたというのは非常に我々としても有益であると思っていますし、また、政府のほうの感染症の専門家のお墨つきもいただいたということで、これを基に今後も取組を進めていただければありがたいなと思っております。

その上で、資料番号4でございます。こちらは、現在、政府予算案に盛り込んでおります宗務課関係の予算の全体をまとめたのが1枚目で、2枚目が特に新しい取組についてのポンチ絵でございます。

まず、資料4の1枚目、宗教行政の推進というところでございますが、全体といたしましては、昨年よりも約900万円増の約4,600万円を今、政府予算案に盛り込んでいるところでございます。

予算の中身といたしましては主に3つございまして、1つは2番目のパラグラフといいますか、青いところにございますように、宗務行政事務処理、例えば、我々『宗教年鑑』という宗教統計調査をして統計資料を作成させていただいたり、あるいは『宗務時報』という広報資料を作成させていただいておりますが、そういった宗務行政の事務処理に関する経費、それから、その下にございますが、不活動宗教法人対策といたしまして、希望する都道府県にモデル事業などを行っていただきます不活動宗教法人対策推進事業、あるいは包括宗教法人と不活動宗教法人対策について協議をする会議を開く不活動宗教法人対策経費などを計上しているところでございます。

その右側でございますが、宗教法人事務研修会といたしましては、主に7ブロック、全国7地域での実施を想定しております各都道府県の担当者を対象とした研修会、それからその下でございますが、全国9地域での実施を想定しております、こちらは都道府県ではなくて、宗教法人の担当者の方々を対象とした実務研修会、そういった研修経費も盛り込んでいるところでございます。

その上で、めくっていただきまして2枚目でございます。宗教法人等の運営に係る調査、こちらが先ほど申しました約900万円増となっている要因でございまして、その下に新規とございますように、新しい取組を調査の中で盛り込んでおりますので、全体として予算も増になっているということでございます。

この調査は2つの柱がございまして、まず1番目が、諸外国における宗教法人関連の法制度等の調査ということで、そこにございますような国々の宗教に関する制度等を調査し、報告書を取りまとめることによって、宗務行政あるいは各宗教団体の取組の参考にしてもらうということで、こちら、この宗教法人審議会の委員の先生方の中にも多大な協力、この調査の委員として現に協力をいただいているところでございますが、これは5年間の計画で実施をすることになっておりまして、毎年中間的な報告書はまとめておりますが、来年度が5年間の最終報告書をまとめる予定でございますので、宗教法人審議会の委員の先生方の中でこの海外調査に協力いただいている先生方につきましては、引き続き御協力をいただければと思っております。

それから、新しいものにつきましては、2の国内の宗教法人等の組織・運営に係る調査ということで、これは10年ぐらい前、さらにはその前は20年ぐらい前に、過去3回ほど宗教法人が行う事業、宗教活動以外の事業、公益事業でございますとか収益事業について、過去3回調査をしたことがございます。

今回、コロナ禍という状況ではございますが、コロナ禍という状況で調査いたしますので、過去のいわゆる平時といいますか、何もなかった時期との統計的な比較ができるかどうかということはあるわけでございますが、ただ、そこに臨時調査ともありますように、まさにコロナ禍の状況というものを臨時として調査するという趣旨で、過去にも行っている調査を、コロナ禍ではありますが、調査をしたいと考えているところでございます。

これは今、政府予算案に盛り込んだところでございますので、これからということになりますが、ここにいらっしゃいます宗教法人審議会の委員の先生方の中からも、外国調査と同じように御協力をお願いをする先生方もいらっしゃる可能性がございますし、また、予算は来年度からでございますが、その準備や相談などについては今年度から早め早めにやっていきたいと思っておりますので、この機会に、この新しい調査につきましても関係する先生方の御協力を改めて、この場を借りてお願いをさせていただければと思います。

資料番号3、4の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○会長

宗務課長ありがとうございました。ただいまの報告について何か御質問、御意見がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。お願いします。

○委員

1つだけ、持続化給付金について、先ほどの課長さんからの御説明で、持続化給付金については最終的に与党の中で判断があって、不給付になったというお話でございました。なぜ最終段階で不給付になったか、お話しいただける範囲内で教えていただければと思います。

○宗務課長

まず、この件は担当省庁は我々ではないというのもありまして、例えば、いろんな場で会議が開かれますが、その場に必ず文化庁がいたかというと、そうではないというところがございます。ですので、間接的、あるいは報道の情報は正確なところがありますので、そういったものをベースに話をさせていただきますと、報道等にも流れていることといたしましては、自民党の総務会の中で了承が取られなかったということが報道でもなされております。

その理由の中には、ちょっと申し上げにくいところもございますが、宗教界の御意見がまとまっていないというようなこともある報道が指摘をしていて、そういったことも踏まえて、この対象とするということが見送られたということがあるのではないかと思います。

宗教関係団体の中には、持続化給付金を対象にすることについて、ホームページで反対声明を出しているというところもありましたので、そこは法律的な整理があっても、いろんな意見がやはり宗教界の中にもあったということも1つあったと思います。

あと、それから、持続化給付金自体が中小企業を主に対象にしておりましたので、そうしたところから、一般論として、あんまり対象を広げるのはどうかという意見もあったと聞いています。そういったいろんな意見もある中で、対象とならなかったと認識をしております。

○委員

ありがとうございました。

○宗務課長

それからもう一つありますのは、我々の中でいろいろ検討する中で、憲法89条との関係でいきますと、例えば使い道を収益事業だけに限定すれば憲法89条との関係も整理できるんじゃないかということも議論したこともございました。

ただ、この持続化給付金の趣旨が、使途を限定しない使い勝手のいい支援 となっていますので、使途を限定してしまうと持続化給付金でなくなってしまうといったようなことがございました。

ですので、1つは、持続化給付金が使途を限定するということが、その趣旨から難しかったということで、仮に、持続化給付金を宗教法人に支給するとなったときに、収益事業だけにその使途を限定していれば、それはほかの民間企業と一緒だからということが言えたと思うんですが、そこを担保することができなかったので、関係の方々あるいはマスコミ報道でも懸念がございましたが、持続化給付金が宗教活動に使われるのではないかというところを担保することができなかったということもございました。

○文化庁次長

同じことを申し上げてあれですけど、分かりやすく言えば、もともと持続化給付金というのは緊急でお配りしなきゃならないので、いろんなことに使えるということが大前提で考えられていたと思います。そうすると、憲法89条で宗教のほうの関係の活動に当たるんじゃないかという話が出てきます。

そうなってくると、やっぱり国民の皆様から、そういったところに公金が当てられるんじゃないか、そういうふうな話になりかねないものですから、その辺りがどうも最後まで払拭し切れないんじゃないかなというお話は議論としてございました。

そういった、この制度自体は先ほどから申し上げているように中小企業用につくられているものですから、当てはめがなかなか難しいという悩ましい問題がございまして、それで多分、先ほどありましたとおり、こういういろんな御議論が出てきたという、そういうふうに承知しております。

○会長

よろしいですか。これは特にここで何かを決めるということではありません。事務局からの情報提供だったと思いますので、ほかに御質問はありますか。

○委員

分かりやすく説明をしていただきありがとうございます。が、ちょっと分からないところがやっぱりあるというのが、宗教法人に携わっている者としての率直な意見であります。

再度確認をいたしますが、今回の持続化給付金に関しては、コロナ禍というのは私どもは1つの災害であるというふうに考えております。お寺や神社の屋根の上だけコロナが通らないというわけではない。全体的にコロナは全ての、今、世界中の人たちが全て関わっていることだと思いますが、普通に考えて、どうなんだろうなと思ったのは、先ほど説明もあったとおり、固定資産税に関しても、そして雇用調整助成金に関しても、これは適用されているということであれば、憲法の89条の問題に関しては、今回の持続化給付金、これは政治決着でこうなったんだと。

ある意味で言えば、議論の時間切れだったと。しかし、出さなきゃならないから、ある意味時間切れで、大変申し訳ないが、宗教に関しては議論が尽くし切れていないので、残して出発をしますというふうなことなのかなというふうに思って、納得をしようと努力をしております。

時間があれば、この議論を尽くした場合、この持続化給付金というのは、私は、所得税法の別表2のいわゆる公益法人等という団体においては、収益事業及び目的事業に関しては、これは適用すると。寄附と助成金は外すとなっておりまして、なのにかかわらず、どこが89条が触るのか。

それからもう一つは、先ほど課長がおっしゃいました公金を宗教にというふうなことは、一説では、税金を払っていない非課税団体なんだから、そこに公金を落とすというのはよくないだろうという説も漏れ伺いましたが、しかし、宗教法人においても、公益法人等のほかの団体においても、このお金はあくまでも収益事業及び目的事業と限定されておりまして、全ての収益にというわけではないのにもかかわらず、当然ながら御承知のとおり、先生方は御賢察のとおり、宗教法人の収益事業は当然ながら固定資産税も掛かっていますし、それから収益に関しても所得税も掛かっております。きちっとお支払いをしているはずでございますが、それはそれをも外したというところに若干の納得のし得ないところがあるということで、お金を頂く多寡の問題、いわゆる量の問題、金額の問題ではなく、制度的にどうしてもそこが、質問としてもう一歩踏み込んだときに、もう一度、言質としていただきたいのは、今回は時間切れで残された話、議論がつかなかったということであれば、全体的な話としては、89条と20条には違反する事案ではない、違憲ではないというように文化庁としてはお考えであるというふうに聞いていますが、それで間違いがないかどうかということだけ確認です。

なぜならば、これが今後また違った形の震災、地震だとか台風だとか、そういうものがあったときに、地域での寺社仏閣、教会がやはり同じような、こういう最終的には政治決着で処理をされるというのはいささか、今度は憲法14条の信条にやっぱり差し障るのではないかというふうなことも危惧をしておりますので、そこの確認だけさせてください。

○会長

よろしいですか。会長としては、これはすごく重要な問題だと思います。しかし、この件は、今日この場で時間かけて議論することが適当かどうかということも少し考えてみる必要があると思います。ですから、私としては、今、貴重な意見いただきましたので、それを踏まえて、文化庁のほうで別途検討・調査していただく場を設けたほうが、より生産的ではないかと私は考えますが、いかがでしょうか。宗教審議会のこの場でこの問題をさらに議論することが、宗教法人審議会の性格からしてもどうなのかという気が私はしています。

ですから、これは議論を排斥する意味ではなくて、むしろ逆に別の形できちっとやっていただいたほうがいいのではないかと思うのですが、いかがですか。

○宗務課長

まず、委員からご指摘があった点につきましては、政府内の議論におきまして、やっぱり89条の問題がありましたので、そこを我々も法的な整理というものをするべく、政府内で調整をしていました。ただ、ちょっと89条に問題がありますのは、教育とかは事業と書いていますが、89条は団体と書いてあるので、そこが収益事業かどうかという論点は89条とは別に生じるので、89条の関係だからすぐというわけではないですが、ただ、宗教団体に対する公金支出禁止の憲法89条に照らして、法律論としては、この持続化給付金を対象にするということは、我々としては合憲だという整理はしていました。

その上で、会長の御意見ございましたとおり、宗教法人審議会の業務という観点からいたしますと、このようなことまで議論するかどうかというのがございます。その点につきましては、この宗教法人審議会とは別に、この審議会の委員の先生方の中にも参加いただいております調査研究協力者会議のような場もございますので、そういったところで宗教団体から、コロナの状況も含めまして、先ほどの予算の話で、調査も今後来年度以降やらせていただきますが、定量的なデータだけではなくて、実際に宗教法人の声なども聞くような場を我々としても別途設けていきたいと思っております。また、それは関係団体とも相談させていただければと思います。よろしくお願いします。

○会長

ということで、会長としては、そういう形で決着を見るということにしていただければ、より生産的ではないかと思いますし、一歩進めるような議論を今後そういう場でしていただきたいなと思いますが、それで御了承いただけますか。

○委員

結構でございます。しかるべく。

(3)その他

○会長

ありがとうございます。

ほかはいかがですか。よろしいですか。

今日はオンラインの審議会ということでちょっと時間が制約されている関係もありますので、そうしたらここで一応バトンを宗務課長に一旦お譲りいたします。

(4)閉会

○宗務課長

それでは、失礼いたします。今日は、すいません、初めてウェブ開催ということで、いろいろ混乱がございました。その点はおわびを申し上げさせていただきます。また、今回のトラブルを次回に生かさせていただきたいと思います。

それでは、最後でございますが、冒頭ちょっと触れさせていただきましたとおり、国の審議会全体のルールによりまして、任期あるいは年齢ということで、本年3月31日までに任期を満了し退任をせざるを得ない委員、我々としては非常に残念でございますが、そういった先生方が4名いらっしゃいます。

この機会に、そうした先生方に御礼を事務局としても申し上げたいと思いますし、この機会に、退任が予定されております委員の先生方から一言、これまでの宗教法人審議会に関与している御感想でも、あるいは今後のためにこういった点が足りなかったという御指摘、御宿題でも結構でございます。4名の先生方に一言ずつ御挨拶をいただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

それではまず、恐縮でございますが、お願いいたします。

○委員

5期になるんですかね、10年間、長い間大変お世話になりました。ありがとうございました。

この10年間、末席を汚させていただきましたが、本当に私、憲法ということが専門ですが、大変いい勉強の機会になりました。事務局の皆さん方にも大変お世話になりました。ありがとうございました。

簡単ですが、この程度にさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

○宗務課長

ありがとうございました。

それでは続きまして、お願いいたします。

○委員

Zoomに入るときに手間取り、御迷惑をおかけしました。私も10年間いろいろとお世話になりました。ありがとうございました。

私の専門は宗教社会学ですけれども、審議会には法律畑の方もたくさんおられて、そして行政サイドの考えも伺うことができ参考になりました。私自身は宗教教団の調査をしている者なので、現場と行政サイドの考え方が違うということを拝見させていただいて、大変興味深かったです。

このような機会でいろいろな立場の方のお話を伺うことができたのはとても勉強になりました。事務局の方々にもお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)

○宗務課長

ありがとうございました。次、お願いいたします。

○委員

たった2年だったのですけれども、何かよく分からないうちに終わってしまうという感じです。この会に参加させていただいて、私自身の専門はイスラム世界のマイノリティーであるユダヤ教ですけれども、宗教の多様性というのも非常に重要なことだというふうに思っております。この審議会で日本における宗教の多様性を学ばせていただいて、大変勉強になったので、今後も御活躍をお祈り申し上げます。どうも ありがとうございました。以上です。(拍手)

○会長

最後に一言御挨拶させていただきます。

私は、私の記憶が正しければ、10年間、宗教法人審議会に関与させていただきました。それで、その間、日本の宗教法人が社会においてどんな役割を担っているかということを大変勉強させていただいて、非常に私自身役に立ちました。

特に今、大学で民法、信託法などを教えるときに、18万の日本の宗教法人の現実とか、これからの役割などについて若い人にも語っていますが、これも一定の意味があるのではないでしょうか。私自身の研究、教育にも大変役に立っているというふうに思います。

この間、課長さんは何人も代わられたんですね。でも、皆さん大変一生懸命やっていただいて、前の課長さんとは、前の前でしたかね、ドイツに一緒に視察に行ったりすることもあります。ずっと前の課長さんとはまだ手紙のやり取りをするというようなこともありまして、そういう意味では、私にとって、ほかの役所とはちょっと一味も二味も違うところがこの文化庁の宗務課だったのかなという気がして、大変役所の方にはお世話になった、その点、心から感謝申し上げたい思います。

今、大変難しい時代だと思うんですね。宗教というのはどういう役割を担っていくべきなのか。御存じのように、疫病、感染症というのは宗教を弱体化してきたというのが世界の歴史です。そういう中でなお日本の宗教がどういうふうな形で生き延びていくかということについては、私も大変関係ありますし、ぜひ力強く発展していってほしいという私は考えております。

その中で、宗教法人審議会の役割は非常に限定されているわけですけど、その時代と社会の要請に応えて、これからもきちっとした役割を果たしていっていただければ、私としては大変ありがたいと思っております。

会長も何期やったのでしたかね、3期ぐらいやったのでしたかね。ということで、その間、大変至らぬ点もあったと思いますが、役所の方、委員の皆さんに大変助けていただいて、曲がりなりにも今日、役割を終えることになったということについても、心から感謝申し上げたいと思います。どうも皆さんありがとうございました。(拍手)

○宗務課長

4名の委員の皆様におかれましては、本審議会に多大なる御貢献をいただきましたことに改めてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

○会長

それでは、御質問とか御意見がなければ、これで閉会とさせていただきますが、よろしいでしょうか。それでは、どうもありがとうございました。これで閉会いたします。

── 了 ──

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