第164回(平成23年11月24日)宗教法人審議会議事録

  • ○ 日時 平成23年11月24日(木)
  • ○ 場所 文部科学省3F2特別会議室
  • ○ 議題
    1. 開会
    2. 議題
      1. (1)宗教法人「在日大韓基督教神戸東部教会」の規則変更認証決定に係る審査請求について
      2. (2)その他
    3. 閉会
  • ○ 出席者
    【委員】
    新井委員 井田委員 打田委員 小串委員 巫部委員 櫻井委員 佐藤(典)委員
    杉谷委員 杉本委員 戸松委員 原田委員 保積委員 村鳥委員 矢吹委員 
    山岸委員 渡辺委員
    【文化庁】
    近藤文化庁長官 吉田文化庁次長 小松文化部長 佐藤宗務課長 井上宗教法人室長
    その他関係者

1.開会

○井田会長
 ただいまから,第164回宗教法人審議会を開会いたします。
 はじめに,開会に当たりまして,近藤長官から一言御挨拶をお願いしたいと思います。
○近藤長官
 第164回宗教法人審議会の開催に当たりまして,一言御挨拶を申し上げます。委員の先生方におかれましては,本日はお忙しい中御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は,宗教法人の規則変更認証決定に係る審査請求が1件,文部科学大臣宛てに出されておりますので,その件に関する御答申を賜りたいと存じます。
 また,併せまして,最近の宗務行政の状況についても,御報告を申し上げたいと考えております。
 文化庁といたしましては,委員の先生方それぞれのお立場からの貴重な御意見,御助言を賜りまして,引き続き,適正な宗務行政の推進に努めてまいりたいと考えておりますので,よろしくお願い申し上げます。
 以上,簡単ではございますが,御挨拶とさせていただきます。
○井田会長
 ありがとうございました。
 それでは,審議に入ります前に,事務局から,本日の配布資料の確認をお願いいたします。
○宗務課長
 それでは,本日の配布資料の確認をさせていただきます。
 (配布資料の確認)
○井田会長
 続いて,定足数の確認を致します。宗教法人審議会規則第6条により,総委員の5分の3以上の出席がなければ,議事を開き議決することができないこととされております。本日は20名の総委員中16名の御出席で,定足数を充足していることを確認いたします。
 また,本日の審議内容の公開に関する取扱いについて確認いたします。当審議会における申合せにより,会議自体は非公開ですが,後日,不服審査に係る審議の内容につきましては議事要旨を,また,その他の審議の内容については議事録を,それぞれ作成して公開することとなります。議事録・議事要旨については各委員の自由な討論を確保するため委員の意見は匿名となります。
 さらに,個別の宗教法人名は議事録等では公開しないこととされていますが,答申の中で記載された法人名については,この限りではないとされており,公開されることになります。
 以上,念のために申し添えます。

2.議題


議題(1)

宗教法人「在日大韓基督教神戸東部教会」の規則変更認証決定に係る審査請求についての議事要旨は以下のとおりである。
・ 平成23年10月19日,11月8日に開催された小委員会における検討結果の報告が行われた。
・ 審議の結果,審査請求を棄却する旨の裁決をすることを適当とする旨の答申が行われた。


議題(2)

○井田会長
 次に議題の(2)に移ります。その他の事項について,事務局から報告があります。
○宗教法人室長
 議題(2)その他として,答申案件の経過,不活動宗教法人対策,行政不服審査法の見直しの3点について,御報告させていただきます。資料の7から9までを御覧ください。
 まず,資料7「答申案件の経過について」でございます。
1件目は,宗教法人「宝榮山妙法寺」の規則変更不認証決定に係る案件についてでございます。本件は,平成22年1月25日の審議会において御答申を頂いた案件でございますが,被包括関係の廃止等を内容とする規則変更認証申請に対して,所轄庁である東京都知事が行った不認証処分に対して審査請求がなされました。これについては,宗教法人審議会の御審議において,都の処分が妥当であるということで,棄却の御答申を頂きました。
 その後,宝榮山妙法寺を原告,東京都を被告とする訴訟が行われていたところでございますが,本年9月21日に一審判決があり,原告側(宝榮山妙法寺側)が敗訴いたしました。これを不服として,本年10月4日に控訴がされております。本件については,今後の動向が分かれば御報告させていただきたいと考えております。
 2件目は,宗教法人「天将神社」の規則変更認証決定に係る案件についてでございます。本件も,被包括関係の廃止等を内容とした規則変更認証申請に係る処分に関する案件でございます。所轄庁である兵庫県知事が行った被包括関係の廃止等に関する規則変更認証処分対して,包括宗教法人から審査請求があったものですが,宗教法人審議会におかれましても,兵庫県知事の処分は妥当であるという御答申を頂いたところでございます。
本件は,本年4月28日に文部科学大臣による棄却の旨の裁決がなされたところでございますが,その後,裁判が提起されているかどうか等については,追って判明すれば次回の審議会で御報告をさせていただきたいと考えております。
 次に,資料8「不活動宗教法人対策について」でございます。
 不活動宗教法人については,御案内のとおり法律上の定義はなく,宗教法人法第81条の第1項2号後段,3号,4号に該当し得る法人を不活動宗教法人とみなしております。
不活動宗教法人については,平成22年12月31日現在,全国に3,993法人あるという調査結果が出ております。系統別の集計については円グラフを御覧ください。また,包括・被包括別で見てみますと,3,993法人のうち3,586法人が被包括法人,400法人が単立法人という状況となっております。
 これまでの取組としては,各都道府県及び包括宗教法人の方々の御協力を賜りながら,様々な会議ですとか,対策マニュアル,事例集などの作成をさせていただいいるところでございます。恐らくそういう成果もあったかと存じますが,平成16年には全国で不活動とおぼしき宗教法人が4,748法人あったところ,平成22年12月末日現在には3,993法人となっております。都道府県と包括宗教法人の皆様方の御協力により一定の成果が出てきているのではないかと考えているところでございます。
 過去3年間の不活動宗教法人数の推移については,表を御覧いただければと存じますが,御参考までに,不活動宗教法人対策の方策について御説明させていただきます。
 不活動宗教法人については,必ずしも不活動だからといってすぐに解散させるということではなく,原則,以下に御紹介します4つの方策がございます。
 第1の方策としては,やはり活動再開。宗教法人として維持存続させる意思が責任役員の方々や関係者の方々にある場合には,活動を再開していただくことが大原則だろうと考えております。
 続いて,法人として独立して維持存続させる意思がない場合は,以下の方策を検討することになります。
 第2の方策としては,合併でございます。責任役員や代表役員がそろっている,あるいは補充をすることが可能であるという場合で,宗教活動を継続したいとの御意思を持たれている場合には,合併の相手となる宗教法人がある場合には吸収合併をしていただいて,全体として宗教活動を実施していただくという方法です。
 第3の方策は,任意解散でございます。合併の相手となる宗教法人が存在しない場合には,宗教法人の御関係者に任意解散をしていただく方法でございます。
 第4の方策は,合併をすることもできない,関係者もいらっしゃらないという場合で,所轄庁において裁判所に対して解散命令の請求を行う,解散命令申立てでございます。
 今後の課題としましては,不活動宗教法人対策に当たってはまず法人の実態調査をすることが必要ですが,調査の実施が困難な場合もあり,先ほど御説明申し上げた対策方針の策定ができない法人が存在するということです。各所轄庁においては,このような法人をどうするのか,包括宗教法人等の関係の方々と御相談の上,決めていただく必要がございます。
 対策上の問題点については,資料を御覧いただければと存じます。
 最後に,不活動宗教法人対策に係る今後の取組でございます。こちらは,被包括宗教法人対策と単立宗教法人対策と大きく2つに区分できるかと存じます。
 まず,被包括宗教法人対策でございます。先ほど御覧いただいたとおり,不活動宗教法人という場合には,圧倒的に被包括宗教法人が多くなっております。各包括宗教法人において宗派ごと不活動法人をリストアップしていただいたり,また,所轄庁と包括法人とが情報共有を行うことも必要であると考えております。さらに,文化庁としても包括宗教法人・各都道府県に対するさらなる御依頼や情報交換が必要であると考えております。
 次に,単立宗教法人対策でございます。単立法人の場合,400法人が不活動宗教法人となっているわけですが,法人ごとで独立しておりますので,包括宗教法人の御協力を頂くことはできません。この場合,行政サイドの対応としては不活動宗教法人の法人格が悪用されることがないように,一層厳格な認証事務を実施する,また,各所轄庁において,不活動とされる単立宗教法人の実態把握調査等もしていただく必要があろうと考えております。
 最後に,今年度から新規予算事業として実施しております「不活動宗教法人対策推進事業」について御説明いたします。本事業は,既に京都府で実施をされているところでございますが,ほかの県におかれましても,現在,対策推進事業の実施について調整をされているということです。
 私どもとしては,今後とも都道府県の方々,また包括宗教法人の方々,宗教界の方々の御支援,御協力を賜りながら不活動宗教法人対策を進めていきたいと考えているところでございます。
 続いて,資料9「行政不服審査法の見直しについて」でございます。
本件は,先般の宗教法人審議会でも御報告をさせていただきましたが,現在,川端総務大臣と蓮舫行政改革担当大臣を共同座長として,行政救済制度検討チームが設置されております。簡単にこの検討チームにおける趣旨等について説明をさせていただければと存じます。資料9参考資料4の6ページ?の不服申立て前置の全面的見直し,1の行動計画の(1)の基本的考え方を御覧ください。行政事件訴訟法では,行政処分に対する権利救済の手段として,裁判所に直接取消訴訟を提訴するか,あるいはその行政上の各省大臣に対する不服申立てを行うかの2つの手段があり,いずれの手段をとるかは自由に選択できることが原則となっております。しかしながら,宗教法人法などの個別法によって,裁判所への提訴前の不服申立て前置が義務付けられている例が多いというのが実情でございます。
 これについて,検討チームでは,真に必要なものでない限りは行政事件訴訟法の原則に沿って自由選択主義に戻そうとしているところでございます。検討に当たっては,例えば年間の裁決件数が1,000件以上とか,あるいは宗教法人審議会のように第三者機関に諮問をして答申を頂いたあと各省大臣が裁決をするという場合には,当該第三者機関が実質的に機能するかどうか,機能しているのかどうかなどをメルクマールとして判断されているということです。
 今月1日に総務省の検討チーム事務局が公表しました「不服申立前置の全面的見直しに関する検討状況(案)」には,検討状況として「廃止」,「一部廃止」,「存置」,「今後調整」というカテゴリーがありますが,宗教法人法ほか6件は「今後調整」となっております。本件については,現在検討チームで鋭意検討がなされているところでございます。
 宗教法人審議会については,年間の裁決件数が1件あるいは2件と少数ではございますが,まさに今御審議を頂いておりますとおり,文部科学大臣の裁決に当たって実質的に御検討いただいているということから,御配慮いただきたいと考えております。
○井田会長
 ただいまの事務局からの報告について,何か御質問・御意見がありましたらお願いします。
○ 宗教法人が所轄庁に毎年提出している事務所備付け書類について,数年前に情報開示請求があったと思いますが,その後,状況がどのようになっているか,差し支えない範囲でお話しいただければと思います。
○宗務課長
 御質問の件については,以前の宗教法人審議会において一度御報告をさせていただいておりますが,大分時がたっておりますので,経緯も含めて改めて御報告させていただきます。
 平成21年8月,文化庁長官に対して宗教法人の事務所備付け書類の写しの公開を求めた情報公開請求が行われ,これに対して文化庁では不開示決定を行いました。本件処分に対して不服申立てが行われ,現在,内閣府の情報公開・個人情報保護審査会で審査が行われております。
 文化庁としては,提出書類は全面不開示であるべきとの立場でございまして,その理由を以下に御説明させていただきます。
 まず,備付け書類に対する鳥取県の開示決定を取り消した広島高裁の判決があり,本件が最高裁でも上告棄却されたという判例があること。次に,備付け書類については,そもそも閲覧が制限をされており,慎重な取扱いが求められている性格のものであるということ。さらに,提出書類の内容は宗教活動に深く関わっており,一般に公開されると当該宗教法人に対する誹謗中傷や自立的運営に干渉するための材料になるおそれがあるということ。またその結果,信教の自由が害されるというおそれがあるということ。それから,何よりも立法の趣旨として,宗教法人法第25条第5項では提出書類の取扱いについて,宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し信教の自由を妨げることがないよう特に留意しなければならないと規定しているということでございます。このように幾つかの理由がありますので,情報公開・個人情報保護審査会に対しましては,引き続き私どもの主張を続けているところでございます。
 今後の情報公開・個人情報保護審査会の動きは定かではございませんが,既に諮問してから2年経過しておりますので,手続的にはいずれ何らかの答申がなされることとなります。文化庁としては,全面不開示であるべきとの方針やその理由について全く変化はございませんので,引き続き審査会と調整をしてまいりたいと考えております。
○井田会長
 そのほか,何か御質問あるいは御意見はございますでしょうか。
○ 宗務行政に直接関連はしないのですが,御案内のとおり「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」を基に暴力団排除条例が全都道府県にそろったということで,警察庁あるいは都道府県の警察本部その他警察関係から宗教団体へ協力要請が出ております。条例,暴対法の趣旨についてはもとより意見はございませんが,宗教団体としては,宗教活動との関係もあるように思いますので,そのあたり宗務課で御見解等ございましたらお聞かせいただければと思います。
○宗教法人室長
 警察当局が宗教界に対して暴力団排除の御要請をされているというのは,10月1日から暴力団排除条例が施行されましたので,私どもとしても承知をしているところでございます。
 本件について,宗務課としては,所轄庁という観点から,警察当局と各宗教法人との御関係であろうと考えているところであり,警察当局からの御要請を受けられるかは各宗教法人の自主的な御判断だろうと考えています。
○ その点について,最近,例えば法人規則に暴力団を排除するよう規定する,葬儀申込書に定型の文章を入れ,そういう関係の申込みは受け付けないとする,縁日や祭事等についても葬儀と同様の取扱いとする,という対応をするのはいかがかという質問をよく聞きます。ただ,そういう関係者は葬儀ができないのかというと,近所が怖がるような大きな活動はできないにしろ,葬儀そのものをお断りするのかということになると,なかなか難しいかと存じます。現場で一様に判断するのは難しいということを御理解いただきたいと思います。
○ 暴力団の排除条例に関して,全日本仏教会では既に一度,理事・評議員会で決議をしておりますが,本年12月1日の理事・評議員会に警視庁の第4課の方をお招きして,各加盟団体,地域仏教会の皆様に,仏教会としては特に暴力団としての活動に対して毅然とした態度で臨むということを再確認していただく予定としております。また,それぞれのお寺で具体的な問題が発生した場合には,所轄の警察に相談するように警察から指導を受けているようです。この点は葬儀社等にも徹底されているようで,そういう葬儀があるときは,とにかく警察に届出をして,警察で判断し,お寺で勝手に判断してトラブルにならないようにとの指導がなされているようです。それも12月1日の理事・評議員会で再確認をして,徹底する予定でおります。
○井田会長
 ありがとうございました。
 ほかに御質問等がないようでしたら,議題(2)については,終了いたします。
 本日の議事につきましては以上でございます。

3.閉会

○井田会長
 最後に全体を通して,御質問・御意見はありませんでしょうか。
 特に御質問等がなければ,本日はこれにて閉会とします。

―― 了 ――

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