文化財(美術工芸品)の管理の徹底について
(平成7年7月20日 7保美第57号)

 文化財(美術工芸品)の管理については,日頃から文化財所有者等に対し,防犯等の指導の徹底に配慮いただいているところですが,最近,重要文化財等美術工芸品の悪質な盗難事件が多発しているところです。
 貴教育委員会におかれては,文化財防犯要項(昭和44年5月1日付け庁保美第84号文化庁次長通達)の諸事項を文化財所有者等に再度周知いただくとともに,貴管下の文化財の防犯体制の実態を把握し適切な対策を講ずるなど,事故の根絶に特段の配慮をされるようお願いします。

(参考)文化財防犯要項(昭和44年通知内容)

  1. 事故の防止に対する心がまえ,体制
    1. 常時陳列公開の場合
      1. (1)必ず監視人を置き,常時巡回監視を行うこと。
      2. (2)監視上の死角・盲点を作らぬようできるだけ遮蔽物等はとりのぞくよう工夫すること。
      3. (3)参観者の人数に対応できる警備員・監視人を配置し,無制限に入場させないよう留意すること。
      4. (4)開館・閉館時には事故が起こりやすいので,特に警備・監視を強化すること。
      5. (5)必要に応じて昼間のみならず夜間においても陳列品の確認を定期的に行うこと。
    2. 公開展示はしないが参観者等がある場合
      1. (1)参観者の氏名・人員等を確認するため記帳等を必ず実行すること。
      2. (2)参観者には案内人をつけ動静に常時注意すること。
      3. (3)参観者の退出を確認して施錠等を行うとともに事後文化財の点検を必ず実行すること。
    3. 無住の社寺あるいは常時居住する場所と文化財が納置されているところが離れている場合
      1. (1)常時または定期的に文化財の収納建造物を巡視し,出入口・窓等の異常の有無を点検するとともに,文化財の確認を行うこと。
      2. (2)警察に適時パトロール等を依頼すること。
    4. 上記のほかいずれの場合も施設および文化財の異常の有無を点検・確認できるような体制をつくることを心がけること。
  2. 調書・写真等の資料の整備
    非常の際にそなえ,文化財の特徴・寸法その他を詳細に記入した調書や台帳写真を整備しておくこと。
  3. 施設整備の改善
    1. 施錠
      外部から容易に破壊されやすい錠は,強度のものに改め,特に社寺等にあっては海老錠のほか内装錠等をあわせ用いることを工夫すること。
    2. 入口・窓等の補強
      出入口の扉等はもちろん,外部から侵入されやすい窓等は鉄格子その他でじゅうぶん補強すること。
    3. 柵・ケース等の設置
      文化財を公開・陳列する場合にあっては,文化財に手をふれることのないよう柵等を設けたりケース内におさめ施錠するなどの設備をじゅうぶんに行うこと。
    4. 防犯警報装置の設置
      それぞれの文化財の陳列ないしは収納場所等の実情に応じレーダーアイその他の防犯警報装置の設置を検討すること。
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