埋蔵文化財の発掘調査に係る出土品・記録類の適切な保管・管理について (平成15年1月20日 14財記念第107号)

 近年火災により埋蔵文化財の発掘調査に係る出土品・記録類の保管・管理施設(以下,「出土品等の保管施設」という。)が連続して全焼したことを受けて,平成14年度都道府県埋蔵文化財保護行政担当者会議(平成14年10月31日・11月1日開催)において,出土品等の保管施設等の防災等について特に注意を促したところですが,平成14年12月29日,北海道南茅部町の同町埋蔵文化財調査団事務所において火災が発生し,大きな被害を生じたことは,誠に遺憾であります。
 埋蔵文化財は我が国の文化の成り立ちを物語る貴重な歴史的財産であり,発掘調査によって得られた出土品や図面・写真等の記録類は,適切に保管し,活用することが必要です。出土品等の保管施設の火災は,遺跡から得られた貴重な歴史的財産及び情報を滅失させ,埋蔵文化財の保護上,極めて重大な損失となります。
 このため,各教育委員会におかれては,下記の事項に留意の上,これらの施設における火災の発生を防止し,出土品・記録類の適切な保管・管理を行うようお願いします。また,貴管下の市町村(特別区を含む。)の教育委員会その他の関係機関に対し,本通知の趣旨を周知するとともに,各教育委員会等における出土品・記録類の保管状況を確認くださるようお願いします。

  1. 当面必要な措置
    1. (1)消防法(昭和23年法律第186号)を遵守し,消防当局の指導のもと,火災の早期発見・初期消火に必要な管理者・消防用設備等を出土品等の保管施設に適切に配置・設置すること。
    2. (2)消防当局の協力を得ながら,出土品等の保管施設の消防用設備等の保守点検を行うとともに,光熱施設,火気使用箇所,可燃性物品・危険物保管場所等の点検整理を行うこと。特に,旧校舎等の木造施設やプレハブ施設を出土品等の保管施設に当てている場合には,これらが火災に極めて弱いものであることを認識し,入念に行うこと。
    3. (3)自衛防火組織の充実強化に努め,休日や夜間など,出土品等の保管施設に十分な人員がいない場合の対策を講じること。
    4. (4)図面・写真等の記録類は,火災に特に弱いばかりでなく,消火活動により被害を被ることも予想されることから,電子媒体の活用等によりバックアップデータをとるなど,保管収蔵方法の工夫を行うこと。
  2. 今後の課題
    1. (1) 出土品・記録類の適切な保管・管理を行うために,各地方公共団体において,必要な設備を有する恒久的な出土品等の保管施設の整備に努めること。なお,文化庁では,埋蔵文化財センターの建設に対して,補助金の交付を行っているので,その活用などを通じて,施設の充実を図られたい。
    2. (2)「出土品の取扱いについて」(平成9年8月13日付け庁保記第182号文化庁次長通知)を参考に,保存・活用の必要性に基づいた出土品の区分を行い,それに応じた保管・管理を行うこと。その際,文化財としての価値が高く活用の機会が多いと判断されるものについては,特に管理に万全を期すこと。
    3. (3)出土品・記録類の保管・管理については,今後更に文化庁において検討のうえ,その適切な在り方について周知することを予定していること。
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