国宝・重要文化財(美術工芸品)の防災,防火及び防犯対策の徹底等について(通知)(平成25年8月19日 25財美学第120号)

 先般,愛媛県寺院で火災が発生し,重要文化財の仏像が焼失したと見られています。このほかにも昨年来,指定文化財の毀損や盗難など,文化財保護の観点から看過することのできない事案が相次いでいます。
 文化財は,火災等により永久に失われてしまったり,毀損事故により文化財としての価値を損なってしまえば取り返しのつかないかけがえのない国民全体の財産であり,その保存上,適切な管理を図るため,日頃からの格段の努力が求められています。
 各都道府県教育委員会におかれましては,文化財の防災,防火及び防犯対策の徹底等について従来より御指導いただいているところではありますが,下記の事項に御留意の上,域内の文化財所有者,管理者及び博物館等の関係者に対して改めて注意喚起をしていただくようお願いいたします。
 重要文化財収蔵施設等については,防災,防火及び防犯体制の強化などを含む総合的な視点から適切な対策を図る必要があるので,文化庁の補助事業を活用するなどして各設備の充実を図るよう,また,当該補助事業は規模の小さな事業にも対応できることになっており,事業費または補助額の多寡にかかわらず行政に相談するよう,所有者,関係者等に御指導ください。
 なお,大規模な災害が起きたとき,被災した文化財への対応が必要となる場合に備え,都道府県教育委員会におかれましては,日頃から文化財の所在の把握や域内市町村教育委員会,博物館・美術館,関係団体等とのネットワークの形成に努めていただくようお願いします。

  • 日頃から,地元消防,警察など関係機関との連携を密にし,必要に応じて地域住民等の協力を得るなど,防災,防火及び防犯体制の強化に努めること。
  • 文化財収蔵施設等の周辺状況や管理体制等に応じ,防災,防火及び防犯設備の設置の推進に努めること。また,既に設置している場合には,設備が正常に動作するか定期的に点検すること。
  • 多発する局地的豪雨などによる浸水や漏水などについて,周辺環境に応じた対策を十分に講じ,事故等の発生を未然に防ぐとともに,万一発生した場合には早期に発見できるよう点検,巡回等を行うよう防災対策の強化を図ること。
  • 文化財収蔵施設等の周辺における火気管理を徹底すること。
  • 火災発生時の初期対応(通報,初期消火等)並びに延焼防止策などを確実に実施できるように,防火設備の再点検や初期対応の体制を確認するとともに,防火訓練の実施を徹底すること。
  • 文化財収蔵施設及び展示施設等の管理状況に応じて,鍵,警報装置,監視記録装置などの適切な防犯機器を設置するよう,防犯対策の強化に努めること。
  • 文化財を展示等により公開する場合には,文化財の毀損及び盗難のおそれがないよう,管理体制を見直し,安全な公開ができるよう配慮すること。
  • 十分な対策が不可能な場合,文化財を防災,防火及び防犯対策が十分施された施設に一時保管するなどの措置を考慮すること。
  • 文化庁作成の防災・防火及び防犯対策に関するリーフレット(「美術工芸品の防火・防犯対策チェックリスト」)等を活用すること。

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