1.恒久保存方針
古墳から石室を取り出して,「解体修理」を行うこと。
(1) 石室ごと壁画を古墳から取り出す。
(2) 取り出した石室を適切な施設において,壁画及び石材の修理を含めた保存処置を施す。
(3) 将来的には,カビ等の影響を受けない環境を確保し,現地に戻す。
(イメージ)
※ 保存及び公開方法等について,検討会で要検討
2.恒久保存方針における工程
(1) 石室解体工程
(2) 壁画の修理及び保存処理工程
(3) 恒久保存工程
の3つの順に大別することができる。
3.石室解体工程
石室を解体するまでの諸々の準備作業,壁画の養生措置,墳丘部の発掘調査,仮設修理施設の建設,石室解体までの工程をいう。
(1) 壁画の養生措置等の作業工程
石室解体時に安全に壁画が取り出せるよう,壁画の養生措置と石材間の漆喰取り外し処置を施す。
(2) 墳丘部の発掘調査
石室解体のために,墳丘上面から石室天井面までに発掘を第一段階で実施するとともに,石室側壁の外側の発掘を第二段階として実施し,石室の解体作業が可能な状態に石室を露出することを最終的な目的とする。
(3) 石室解体作業のための準備・調査
石室を安全に解体するために,石室の構造,石室の劣化・損傷状態の調査,石材の強度,および石材の移動に伴う振動等を調査する。また,高松塚古墳と同等の実物大の遺構(発掘後)および石室模型を製作して実施計画にそった解体実験を行う。
(4) 石室解体作業
石室を安全に解体し,修理施設に輸送する。
(5) 埋め戻し
発掘調査及び石室搬出終了後は速やかに埋め戻す。
4.壁画の修理及び保存処理工程
取り出した石室石材と壁画の保存処置を下記のとおり行う。
(1) 壁画・漆喰の強化
(2) 石材の強化
(3) カビ等の微生物等の除去
5.恒久保存工程
壁画の修理及び保存処理が終了した後,カビ等の影響を受けない環境を確保した上で,現地に戻すこととする。具体的な内容は,壁画の修理及び保存処理工程の段階で壁画の状況を勘案しつつ,検討会において検討を行うこととする。
以上