1.事実
文化庁より令和6年6月14日付けで著作権等管理事業法第19条第1項に基づく報告を協同組合日本脚本家連盟に求めたところ、以下の事実が認められた。
(1)収受した使用料の未払いについて
- 令和5年6月時点で、平成23年度から令和3年度に収受した使用料のうち、約6800万円、平成22年度以前に収受した使用料のうち少なくとも約1億6800万円について、権利者への支払いが行われていなかった。
- 未払金については、令和5年6月の総代会において管理委託契約約款を改定し、取扱いを定めた上で、文化庁に届け出たが、それ以前は未払金の取扱いに関する規定は存在しなかったにもかかわらず、団体内に長期間留保されていた。
(2)非委託者分の翻訳使用料の収受等について
- 1990年代半ば頃から、翻訳使用料支払い時に翻訳者名が記載されるようになったことから、委託者分と非委託者分の一部については区別ができるようになったものの、非委託者分について一般社団法人日本音声製作者連盟(以下「音声連」という。)に返金せず、10年間留保後に委託者に再分配されるという運用が継続している。
- 音声連から支払われた使用料のうち、平成13年度以降の非委託者分・権利者不明分の未払額は累計で約1800万円が確認された。
- 未払金については、令和5年6月の総代会において管理委託契約約款を改定し、取扱いを定めた上で、文化庁に届け出たが、それ以前は未払金の取扱いに関する規定は存在しなかった。
2.命令の内容
(1)現存の未払使用料を早期に解消し、本件について関係者に対して情報提供を行うこと。
(2)前記事実の再発防止に向けて未払使用料に係る管理の在り方を見直すこと。
(3)適切な分配業務がなされるようにするため、使用料の分配業務の体制を強化すること。
(4)上記(1)~(3)を速やかに実施するための具体的な計画及び実現に向けた工程表を、令和7年4月30日(水)までに文化庁に提出すること。
3.関連条文
著作権等管理事業法
(報告徴収及び立入検査)
第19条 文化庁長官は、この法律の施行に必要な限度において、著作権等管理事業者に対し、その業務若しくは財産の状況に関し報告させ、又はその職員に、著作権等管理事業者の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2・3(略)
(業務改善命令)
第20条 文化庁長官は、著作権等管理事業者の業務の運営に関し、委託者又は利用者の利益を害する事実があると認めるときは、委託者又は利用者の保護のため必要な限度において、当該著作権等管理事業者に対し、管理委託契約約款又は使用料規程の変更その他業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(公表資料)

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