(3)著作権等保護の実効性の確保
問9
著作権等の侵害物品の「輸出」及び「輸出を目的とする所持」を取締りの対象とする趣旨を教えてください。
(第113条第1項第2号)
答
経済のグローバル化の進展により,企業等による国境を越えた経済取引が活発化する一方で,模倣品・海賊版が国際的に取引される事例も増大してきており,これらは反社会的勢力等の資金源になると考えられるという問題が生じています。
この点,模倣品等の輸出・通過について,税関における機動的な取締りを実現する観点から,平成18年通常国会における法改正(平成19年1月1日施行)により,特許法等における「実施」及び商標法における「使用」のそれぞれの内容として,新たに「輸出」が追加されるとともに,特許等の産業財産権の「侵害とみなす行為」に「輸出目的の所持」が追加されたところです。
著作物についても,日本の映画館において無断で録画された映画の著作物の複製物が海外において取引されるという事態も生じており,このような海賊版の国境を越えた移動を未然に防ぐことが日本の著作物の国際的信用を高めるために非常に重要であると考えられるため,模倣品等と同様に,海賊版についても規定の整備を行う必要があるところです。
このため,海賊版を情を知って輸出し,又は輸出目的で所持する行為について,「業として」行うことを要件として,著作権等の侵害とみなすこととされました。
なお,著作権法の改正を踏まえて関税法の改正が行われれば,関税法に基づいて,税関における実際の取締りが行われることになります。