1.はじめに
「著作権法の一部を改正する法律」が,第221回特別国会において、令和8年6月17日に成立し、同年6月24日に令和8年法律第48号として公布されました。
これは、アーティスト等への適切な対価還元を図るとともに、音楽の海外展開の促進に繋げるため、音楽 CD やインターネット配信音源等(商業用レコード等)が公の場で利用された際に、実演家・レコード製作者が二次使用料を受け取ることができる権利(「レコード演奏・伝達権」)を創設するものです。
本法律による改正事項については公布日(令和8年6月24日)から3年を超えない範囲内で政令で定める日に施行されることとなっています。
(法律)
- 著作権法の一部を改正する法律(概要) (242KB)
- 著作権法の一部を改正する法律(条文) (117KB)
- 著作権法の一部を改正する法律(新旧対照表) (409KB)
(関係資料)
- 著作権法の一部を改正する法律の公布について(通知) (1.5MB)
- 文化審議会著作権分科会 報告書(令和8年3月12日)
- 著作権分科会
- 著作権分科会 政策小委員会
(※)その他、著作権分科会における資料・議事録については、以下を御参照ください。
2.改正の趣旨
本法律は、令和8年3月に文化審議会著作権分科会において取りまとめられた報告書等を踏まえ、いわゆる「レコード演奏・伝達権」、具体的には、CDやインターネット配信音源等が店舗においてBGMとして利用されるなど商業用レコード等が公に再生・伝達された場合に、実演家及びレコード製作者が二次使用料を受けることができる権利(以下「レコード演奏・伝達権」)を創設するものです。
3.改正の概要
(1)実演家及びレコード製作者の「レコード演奏・伝達権」の創設【第95条の2、第95条の3、第97条の2、第97条の3関係】
CDやインターネット配信音源等が店舗においてBGMとして利用されるなど商業用レコード等が公に再生・伝達された場合について、著作権者には既に権利が定められている一方、これまで実演家及びレコード製作者(以下「実演家等」)には権利が定められていませんでした。
また、我が国の音楽は、国内に限らず、海外においても広く利用されるようになっているところ、我が国では権利が設けられていないことから、我が国の実演家等は国内外における商業用レコード等の公の再生・伝達に関して適切な対価を受けることができないという課題がありました。
このため、本改正では、実演家等への適切な対価還元と音楽等の海外展開の促進を図る観点から、商業用レコード等が公に再生又は伝達された場合に、実演家等がその二次使用料を受けることができるよう、「レコード演奏・伝達権」を創設しました。
(2)「レコード演奏・伝達権」に係る指定団体制度の創設等【第103条の2~第103条の8関係等】
「レコード演奏・伝達権」の創設により、実演・レコードが利用された実演家等は、利用者に対し二次使用料の請求ができることとなりますが、二次使用料の徴収・分配等を円滑に行う観点から、文化庁長官が指定する団体(以下「指定団体」)が権利を行使することができるとしました。
指定団体は、「レコード演奏・伝達権」に係る二次使用料の額等を記載した二次使用料規程を定めることとしています。指定団体が二次使用料規程を定めるにあたっては、
- (ⅰ)二次使用料の額等を記載した二次使用料規程の案を作成し、公示しなければならないこと、
- (ⅱ)二次使用料規程の案について、利用者代表は協議を求めることができ、指定団体は、利用者代表から協議を求められたときは、これに応じなければならないこと、
- (ⅲ)公示の日から起算して6ヶ月を経過しても協議が成立しないときは、指定団体又は利用者代表は、文化庁長官の裁定を求めることができること
としています。
こうした調整等を経て定められた二次使用料規程について、指定団体は、文化庁長官に届け出るとともに、公表しなければならないとし、届け出られた二次使用料規程はその規程において実施の日として定められた日から効力を生ずることとしています。
4.改正法QA
問 改正を行うこととした背景を教えてください。
我が国の音楽は、国内に限らず、海外においても広く利用されるようになっているところ、いわゆる「レコード演奏・伝達権」が設けられておらず、関連する条約の規定も留保しているため、我が国の実演家等は商業用レコード等の国内外における公の再生及び伝達に関して適切な対価を受けることができないという課題がありました。
こうした課題に対応するため、CDやインターネット配信音源等の商業用レコード等が公の場で利用された際に、実演家等が二次使用料を受けることができる権利(「レコード演奏・伝達権」)を創設することとしています。
問 なぜ許諾権ではなく、二次使用料請求権なのですか。
関連する条約並びに主要な諸外国において、いわゆる許諾権ではなく報酬請求権とされていること、我が国において既に商業用レコード等を用いた放送・有線放送に係る二次使用料を受ける権利が設けられていることを踏まえ、二次使用料請求権としています。
また、仮に許諾権とした場合には、権利処理が複雑化し、かえって著作物の公衆への伝達を阻害するおそれがあると考えられます。
問 どのような場合に二次使用料の支払いが必要となりますか。
CDやインターネット配信音源などの商業用レコード等を公に再生した場合(例えば、CD等を再生機器で再生して、客等の公衆に聴かせた場合)や、公に伝達した場合(例えば、インターネット配信音源等を受信装置(PC等)を用いて伝達して、客等の公衆に聴かせた場合)には、二次使用料を支払うこととなります。
ただし、非営利・無料で再生を行う場合など一定の場合には、支払いを不要としています。
問 いつから施行されることとなるのですか。
団体の指定、当該指定団体による二次使用料規程の作成・協議等、国民等に対する周知等に要する期間を考慮して、公布(令和8年6月24日)から3年以内で政令で定める日から施行されることとなっています。
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