趣旨・目的
「図書館等公衆送信補償金制度」は、図書館等の設置者が文化庁長官の指定する団体(指定管理団体)に一括して補償金を支払うことで、個別の許諾を要することなく、権利者保護のための厳格な要件の下、利用者の調査研究の用に供するため、図書館等が図書館資料を用いて著作物の一部分(政令で定める場合には全部)をインターネット等で送信することができる制度です。
図書館等以外の場所で閲覧・コピーの入手が可能となることにより、地理的・物理的制約にとらわれない国民の「知のアクセス」の向上とともに、研究環境のデジタル化による持続的な研究活動の促進等が期待されます。また、補償金の分配により、権利者に対価が還元されることで、権利者の正当な利益の保護を図っています。
補償金分配の流れ
各図書館等が個別の送信ごとに利用者(受益者)から補償金を徴収し、送信実績とともに一括して指定管理団体に補償金を支払い、送信実績をもとに指定管理団体から個別の権利者・出版社に分配されます。また、権利者が判明しなかったなどの理由により支払われずに残った残余額のうち一定割合の補償金は、権利者全体の利益となるような著作権等の保護や著作物の創作の振興等に資する著作権等保護振興事業に支出されます。

認可された補償金額
補償金規程:図書館等公衆送信補償金規程
- 新聞
1頁あたり500円
2頁目以降1頁ごとに100円
- 定期刊行物(雑誌を含む。)
1頁あたり500円
2頁目以降1頁ごとに100円
- 本体価格が明示されている図書
本体価格を総頁数で除し、公衆送信を行う頁数と係数 10 をそれぞれ乗ずる。
※1冊あたりの申請に係る補償金額が500 円を下回る場合には、500 円とする。
- 上記以外(本体価格不明図書・脚本/台本含む限定頒布出版物・海外出版物等)
1頁あたり100円
※1冊あたりの申請に係る補償金額が500 円を下回る場合には、500 円とする。
制度に係る経緯
令和3(2021)年2月3日 | 図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する報告書(文化審議会著作権分科会) |
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令和3(2021)年6月2日 | 著作権法の一部を改正する法律の公布(令和3年法律第52号) |
令和4(2022)年11月7日 | 図書館等公衆送信補償金を受ける権利を行使する団体として、一般社団法人図書館等公衆送信補償金管理協会(SARLIB)を指定 |
令和5(2023)年3月29日 | 図書館等公衆送信補償金の額の認可 |
令和5(2023)年6月1日 | 制度施行 |
令和7(2025)年1月22日 | 特定図書館の登録及び利用報告の受付開始 |