著作権等管理事業法の制定とその背景

我が国の著作権の管理事業は,60年以上にわたって,「昭和十四年法律第六十七号(著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律)」(仲介業務法)によって,その法的基盤が定められてきましたが,

  1. 業務実施の許可制により新規参入を制限していること
  2. 著作物の利用契約の媒介行為など,原権利者の利益が害されるおそれが低い形態までをも,「著作権ニ関スル仲介業務」として規制対象としていたこと
  3. 適用対象範囲が小説,脚本,楽曲を伴う場合における歌詞及び楽曲に制限されており,現在の著作物等の利用実態に適応していないこと
  4. 行政庁の裁量権を広範に認める一方で,委託者及び利用者の保護のために必要な業務運営に関する規定が不十分であること

など,IT時代における多様な社会的要請に適合していないという指摘がありました。

本法は,このような社会的要請に応えるため,仲介業務法を廃止し,新たな制度的基盤を確立するもので,

  1. 新規参入を容易にするため,許可制を登録制に改めること
  2. 「著作権ニ関スル仲介業務」の考え方を改め,委託者が著作権等を自ら管理している場合に準ずると考えられる形態を規制対象から外し,それ以外の管理形態のみを「著作権等管理事業」として規制対象とすること
  3. 利用実態の変化に対応して,適用対象範囲を著作権及び著作隣接権の及ぶ全ての分野(著作物一般,実演,レコード,放送,有線放送)に拡大すること
  4. 委託者及び利用者の保護のために最低限必要と考えられる業務運営に関する規定を設けるとともに,著作物等の使用料が円滑かつ適正に設定されるよう,使用料規程の認可制の廃止に併せて使用料規程に関する協議・裁定制度を整備すること

などを内容としています。

規制緩和等

管理事業法と仲介業務法の比較

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