表現例について

1 利用区分の定め方

(1)著作物の種類

【例1】音楽と言語の著作物を取り扱う管理事業者の場合
音楽
・純音楽
・軽音楽
言語
・小説
・詩,俳句
・短歌等
・その他

(2)利用方法

【例2】音楽・軽音楽の場合
録音
・録音物への録音
・市販用録音物への録音
・BGM用貸出録音物への録音
・その他の録音物への録音
・録画物への録音
・市販用録画物への録音
・貸出用録画物への録音
・その他の録画物への録音
・その他
・オルゴールへの録音
・玩具への録音
・その他

一連の利用行為について異なる支分権が働く場合

【例3】音楽のインタラクティブ配信(複製権,公衆送信権)
 コンピュータで読みとり可能な形式で複製又は送信可能化し,コンピュータ・ネットワークを用いて公衆送信し,受信者の装置において利用させること
【例4】小説の出版(複製権,譲渡権)
 書籍として複製し,その複製物を公衆に譲渡すること
*1 
【例1】の場合,規則第12条第1号イにより,著作物にあっては,最低限著作権法第10条レベルに分類する必要があるので,本事例の場合については,最低限音楽の著作物と言語の著作物とに分ける必要があります。なお,音楽をクラシックなどの純音楽とポップスなどの軽音楽に分けるなど合理的な範囲での細分化等(規則第12条ただし書き)は問題ありませんので,利用実態の即して判断してください。
*2 
【例2】の場合,規則第12条第2号により,著作物にあっては,最低限著作権法第21条から第28条のいわゆる支分権レベルで分ける必要があるので,複製,演奏,公衆送信などに分類する必要があります。なお,本事例のように複製の下位概念である録音の分類を設けること,また合理的な範囲で更に詳細な分類を行うことは問題ありません(規則第12条ただし書)ので,利用実態に即して判断してください。
*3 
【例3】及び【例4】の場合,著作物等の利用実態に照らして合理性があれば,複数の異なる支分権が働く利用について,一つ利用方法として利用区分を設けることが認められます(規則第12条ただし書)。

2 使用料の額

(1)著作物1件1回当たりの使用料の額を定める場合

【例1】音楽・市販用録音物への録音
 著作物1曲1枚(巻)の使用料

・録音物の定価の○パーセントを録音物の収録曲数で除して得た額又は○円のいずれか高い額とする。
【例2】脚本・放送番組の再放送(初放送は作家との個別契約)の場合
 著作物1件1放送の使用料

・脚本料(脚本の執筆に対する報酬及び初放送料をいう)の○パーセント

【例3】音楽・コンサート演奏の場合

入場料 定員 500名まで 1000名まで 1500名まで 2000名まで
無料 ○円 ○円 ○円 ○円
3000円まで ○円 ○円 ○円 ○円
5000円まで ○円 ○円 ○円 ○円
7000円まで ○円 ○円 ○円 ○円
9000円まで ○円 ○円 ○円 ○円
(注)
・定員2000名を超える場合
500名までごとに2000円までの額に○円を加算して得た額
・入場料9000円を超える場合
2000円までごとに9000円の額に○円を加算して得た額

(2)使用料を包括的に定める場合

【例4】音楽・放送
 1年間の使用料

・前年度の放送事業者の放送収入の○パーセント書籍として複製し,その複製物を公衆に譲渡すること
【例5】音楽・演奏会における演奏
 公演1回の使用料

・主催者の入場料収入の○パーセント

(3)使用料規程において具体的な使用料の額を定めることが困難な場合

【例6】
 ○条から○条に定める利用方法以外の利用方法により著作物を利用する場合は,利用目的,利用形態などの事情を考慮して利用者と協議の上,使用料の額を定めるものとする。

(4)作品の性質,利用の目的(非営利利用など)などによって,減額することの根拠規定をおく場合

【例7】
 著作物の性質,利用目的など特別の事情により○条に定める使用料の額を適用しがたい場合は,利用者と協議の上,○条に定める使用料の額を減額して定めることができるものとする。

(5)使用料規程中に非一任型で管理している著作物の使用料の決め方を規定する場合

【例8】
 <管理事業者名>が使用料の額を定める権限を有しない著作物を利用する場合の使用料の額は,○条から○条に定める使用料の額にかかわらず,委託者が定めるものとする。
*1 
(1)は,最も基本的な使用料の定め方です。例1及び例2は,録音物の定価や脚本料などの基準となる価格に一定割合を掛けて単価を求めるもので,現在でもよく利用されている使用料の算出方法です。例1では,最低使用料を設定することにしています。また例2は委託者の実力(脚本料の額)によって使用料が変化します。実演の場合でも出演料の一定割合という決め方をしている団体があります。例3は定額制ですが,入場料と定員という2つの条件によって使用料が決まりますので,表形式にして利用者にわかりやすくしています。
*2 
(2)は,管理事業者の管理している全著作物等の一定の利用について,包括的に許諾をする場合の例です。音楽の演奏,放送などの無形的な利用の場合によく利用されます。大量の著作物を利用する事業者向きの方法でもあります。例4及び例5は包括的に使用料を設定する場合の典型的な例ですが,例4は年額使用料,例5は1事業当たりの使用料を定めています。年額使用料,月額使用料(カラオケ演奏等)を定める場合は,著作物の継続的な利用を前提にしており,また1事業当たりの使用料,1日当たりの使用料などの場合は,単発的な利用を前提にしております。
 なお,包括的な使用料を定める場合には,事後に利用報告を提出させ,分配資料にする場合が多いですが,放送やカラオケ演奏などの場合は利用者の事務的負担を考え,サンプリング調査で分配資料を作成することもあります。
*3 
(2)のように包括的に使用料を定める場合は著作物の利用実態を正確に反映して使用料の設定を行っているわけではないので,著作物を余り利用しない小規模利用者や著作物を利用する期間が限られている利用者などのことを考慮し,著作物1件1回の使用料との併用を行い,利用者に支払方法の選択権を認めるようにすることが望ましいと考えられます。
*4 
(3)は,使用料規程の必要記載事項です(規則13条1号)。使用料規程は,できるだけ具体的に使用料の額を明示することが望ましいのですが,萌芽的な利用,想定されていなかった新しい利用など具体的な使用料を定めることが困難な場合には,例外的に例6のような定め方が認められます。利用を許諾する権限があるにもかかわらず,使用料規程に使用料の定めがないことを理由に利用許諾を拒否することを回避するための措置です。
*5 
使用料の定め方について,「○○円以内」又は「○○円以内で利用者と協議して定める額」,「○○円から○○円までの範囲で利用者と協議して定める額」などの表現は認められますが,「○○円以上」又は「○○円以上で利用者と協議して定める額」などの表現は,管理事業者は使用料規程に定める額を超える額を利用者に請求できないことから(法第13条第4項),認められません。なお,単に「利用者と協議して定める額」という表現も同様の理由から例6の場合を除き認められません。
*6 
(4)は,使用料を徴収するより利用の促進を図ることを優先している著作物の利用の場合や営利性がない又は営利性が低い利用の場合など特別の事情がある場合に,本来の使用料を減額することができることの根拠を示した規定です。なお,使用料規程に定める額を超える額を利用者に請求することを禁じる法第13条第4項の趣旨から,具体的な額を示さない増額根拠規定は認められません。
*7 
(5)は,使用料規程の中で,非一任型で管理している著作物についての使用料の定め方を規定するものです。非一任型の管理は規制対象外ですが,利用者の便を考えれば,その使用料の定め方について「その他必要な事項」(規則第13条第2号)として使用料規程に規定することが望ましいと考えられます。

3 実施の日

【例1】
 この使用料規程は,○年○月○日から実施する。
【例2】
 この使用料規程は,文化庁長官が届出を受理した日から起算して○日を経た日から実施する。
*1 
実施の日は,使用料規程の必要記載事項です(法第13条第1項第2号)。
*2 
使用料規程は,届出から30日間の実施禁止期間は実施できませんので,実施禁止期間経過後の日を実施日として記載するようにしてください(法第14条第1項)。また,もし実施禁止期間が延長されることとなった場合(法第14条第2項,第3項)には,使用料規程に記載された実施の日になっても延長後の実施禁止期間が経過するまでは実施できませんので注意してください。なお,以上のような制限はあるものの実施の日は管理事業者が任意に定めることができるので,例えば,利用者への周知期間を考慮して,届出から6ヶ月後を実施の日とすることは問題ありません。

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