「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画」について(通知)

30文庁第1411号
障発0329第2号
平成31年3月29日

各都道府県教育委員会
各指定都市教育委員会
各都道府県知事
各指定都市市長
各国公私立大学長
各国公私立高等専門学校長殿
各大学共同利用機関法人機構長
放送大学長
日本芸術院長
各文部科学省独立行政法人の長
公益財団法人日本博物館協会会長
全国美術館会議会長

文化庁次長

村田善則

(印影印刷)

厚生労働省社会・援護局

障害保健福祉部長

橋本泰宏

(印影印刷)

この度,文部科学省及び厚生労働省において「障害者による文化芸術活動の推進に関する基本的な計画」(以下「本基本計画」という。)を策定いたしました。

本基本計画は,昨年6月に施行された「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(平成30年法律第47号。以下「障害者文化芸術推進法」という。)」第7条に基づき,障害者基本法及び文化芸術基本法の理念や方針を踏まえ,障害者による文化芸術活動の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,文部科学省及び厚生労働省が策定したものです。また,同法第8条により,地方公共団体は,本基本計画を勘案して,当該地方公共団体における障害者による文化芸術活動の推進に関する計画の策定に努めることとされております。

本基本計画の概要及び留意事項は下記の通りですので,十分に御了知の上,障害者文化芸術推進法の趣旨を踏まえた取組の実施に努めていただきますようお願いします。

また,都道府県教育委員会及び都道府県知事にあっては,域内市町村の教育委員会及び文化行政担当部局,障害保健福祉部局,所管又は所轄の学校及び文化施設その他の関係機関・関係団体に対して,このことを周知願います。

第1 基本計画の概要

1 はじめに

  • (1)基本計画の位置付け

    障害者文化芸術推進法第7条に基づき,障害者基本法及び文化芸術基本法の理念や方針を踏まえ策定する。

    障害者による文化芸術活動の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るものとする。

  • (2)障害者による文化芸術活動推進に当たっての意義と課題

    障害者による文化芸術活動の推進は,現在生じている文化芸術活動への参加や創造における物理的・心理的障壁を取り除き,誰もが多様な選択肢を持ち得る社会を構築するものであり,文化芸術活動全般の推進や向上に貢献し,我が国に新しい価値の提案をもたらすと同時に,共生社会の実現に寄与する。

2 基本的な方針

障害者文化芸術推進法に規定する3つの基本理念を基本的な視点とし,具体的な施策に取り組む。

  • (視点1)障害者による文化芸術活動の幅広い促進

    芸術家を目指す人から日常の楽しみとして行う人まで,いかなる障害者でも,地域の様々な場で幼少期から生涯にわたり,多様な文化芸術活動に全国津々浦々で参加できることが重要である。

  • (視点2)障害者による芸術上価値が高い作品等の創造に対する支援の強化

    新たな価値観や文化創造に寄与する作品・活動も多く生まれており,文化芸術が有する多様な価値を幅広く考慮し,その評価のあり方を固定せずに議論を続けていくことが重要である。

  • (視点3)地域における,障害者の作品等の発表,交流の促進による,心豊かに暮らすことのできる住みよい地域社会の実現

    地域の様々な領域で,多様な主体が円滑に活動できる環境や関係者の連携体制を整備し,地域に新たな活力を生み出し,障害への理解を深め,誰もがお互いを尊重し合う豊かな地域社会を構築することが重要である。

3 施策の方向性

本基本計画は,障害者基本計画及び文化芸術推進基本計画における計画期間を踏まえ,平成31(2019)年度~34(2022)年度までに以下の施策に取り組み,障害者による文化芸術活動の推進を図る。

  • (1)鑑賞の機会の拡大
  • (2)創造の機会の拡大
  • (3)作品等の発表の機会の確保
  • (4)芸術上価値が高い作品等の評価等
  • (5)権利保護の推進
  • (6)芸術上価値が高い作品等の販売等に係る支援
  • (7)文化芸術活動を通じた交流の促進
  • (8)相談体制の整備等
  • (9)人材の育成等
  • (10)情報の収集等
  • (11)関係者の連携協力

4 おわりに

本基本計画に基づき取組を推進していく際には,文化,福祉,教育等の分野を越えた協力が必要となるため,各省庁及び地方公共団体との連携や情報共有を継続し,民間や現場の関係者とも意見交換を行いながら,施策の実行及び検証を行うとともに,新たな課題や視点にも柔軟に対応することが必要である。なお,これらの施策を推進するに当たっては,必要な財源の確保に努める。

また,地方公共団体においても,障害者の文化芸術活動の取組を促進する際には,組織内の各部局の枠を越えて取り組むことが重要である。

第2 留意事項

1各地方公共団体において,当該地域における障害者の文化芸術活動の進捗状況等の実情に応じ,当該地方公共団体における障害者による文化芸術活動の推進に関する計画を策定し,関連施策を推進するよう努められたい。

2各地方公共団体において,当該地方公共団体における障害者による文化芸術活動の推進に関する計画を策定する際には,障害者文化芸術推進法第8条に基づき,本基本計画を勘案されたい。

3障害者の文化芸術活動の推進のためには,国,地方公共団体,文化芸術団体,文化施設,社会福祉法人,教育研究機関,企業等の民間事業者等の関係者相互の連携及び協働が重要であり,障害者の文化芸術活動の推進に当たっては,関係者相互の連携及び協働により積極的に努められたい。

4施策を講ずるに当たっては,障害者の作品等の評価に際し,既存の価値観にとらわれず,幅広い作品等の価値が認められるようにするとともに,その評価によって分断や差別が生ずることのないよう十分留意する。さらに,各地方公共団体における計画の策定に当たっての各種会議の構成員には,障害者による文化芸術活動を支援する団体の関係者や文化芸術活動を行う障害者本人が含まれるよう努められたい。

文化庁地域文化創生本部事務局

総括・政策研究グループ

TEL:075-330-6725

FAX:075-561-3512

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部

企画課自立支援振興室

TEL:03-3595-2097

FAX:03-3503-1237

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