登記は宗教法人の実体を正確に表していますか。

  登記とは,一定の事項を公開された公簿に記載することによって,第三者に対してもその権利の内容を明らかにし,取引の安全と円滑とを図ろうとするものです。このような制度を登記制度といいますが,登記には,権利義務の主体すなわち法人格に関するものと,権利の客体すなわち財産に関するものとがあります。

法人登記

  宗教法人の存在,組織,財産関係の状況等を一定の帳簿(登記簿)に記載して公示し,いつでも一般に公開すること(閲覧,謄抄本の交付)を目的としています。
  宗教法人において,このような登記が必要とされるのは,宗教法人が法律関係の主体となり,法律上の行為を行う場合,誰が宗教法人を代表し,財産状況は現在どうなっているか等の事項を,第三者に対しても,法人の構成員その他利害関係人に対しても明らかにする必要があるからです。
  なお,宗教法人は,所轄庁から規則の認証を得て,その主たる事務所の所在地に次のような事項を登記することによって成立します。


  1. (1) 目的(事業を行う場合は,その事業の種類を含む。)
  2. (2) 名称
  3. (3) 事務所の所在場所
  4. (4) 当該宗教法人を包括する宗教団体がある場合には,その名称及び宗教法人,非宗教法人の別
  5. (5)   基本財産がある場合には,その総額
  6. (6)   代表権を有する者の氏名,住所及び資格
  7. (7) 規則で境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る財産処分行為に関する事項を定めた場合には,その事項
  8. (8) 規則で解散の事由を定めた場合には,その事由
  9. (9) 公告の方法

そして、1~9の登記事項に変更が生じたら、変更の登記(※印については登記の前に所轄庁による規則変更の認証が必要)をし、登記が完了した旨を遅滞なく所轄庁に届け出なければなりません。特に、代表役員(代務者を含む。)が変更(再任も含む。)になっているにもかかわらず、そのまま放置されていて取引の相手側に損害を与えた場合などには、損害を賠償する責任が生じてきますから、注意してください。


画像―法人登記

不動産登記

  土地や建物を購入するとき,誰もが登記簿を見るように,不動産の取引で登記は一番大切なことです。宗教法人も不動産の売買等権利の変動のつど,登記を怠らないようにしましょう。
  なお,宗教法人の所有に係る礼拝の用に供する建物及びその敷地については,その旨の登記をすることによって,特別の場合を除き,私法上の金銭債務のための差押えを免れることができます。


画像―不動産登記

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