1．事業概要

　本プロジェクトは，「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する実証実験」の実施に伴い，設置されたワーキンググループ（主査：福井健策弁護士）のもと，国立国会図書館の保有するデジタル・アーカイブ（デジタル化資料）の中から選定した資料を著作権処理などの手続きを経て，電子書籍の制作から配信までを実験的に行うことにより，課題や有効策を明らかにすることを目的とした事業です（概要（328KB））。なお，実験の結果は，将来，民間事業者や公的機関などが既存のデジタル化資料をもとに，新たに電子書籍化して配信する場合の参考となるようにとりまとめる予定です。

※ 平成25年3月にとりまとめて，報告書（4.28MB）を公表しました。

2．配信対象資料

　資料 「文化庁eBooksプロジェクト配信対象資料について」（308KB）

配信対象資料の選定基準について

　本プロジェクトでは，福井健策弁護士を主査として，学識経験者，出版事業者，電子書籍制作事業者及び配信事業者から構成されるワーキンググループ（事務局：文化庁及び㈱野村総合研究所）により，選定された13作品を無料配信しました。
　13作品の配信対象資料については，国立国会図書館のデジタル化資料のアクセス数や館内閲覧等の実績に基づくとともに，各資料の特徴とバランスに鑑み，実証実験に適した8作品をもとに，文化庁で実施する〈現代日本文学の翻訳・普及事業〉の翻訳対象作品5作品を加えて，選定しました。
　なお，収録されている内容は，作品の執筆年代及び執筆された状況などを考慮し，国立国会図書館所蔵のデジタル化資料をもとに，出版当時のままで掲載しました。

3．配信期間

　平成25年2月1日(金)～3月3日(日)　※ 配信は終了しました。

4．受託者等

受託事業者：

株式会社野村総合研究所

配信協力：

株式会社紀伊國屋書店

〈参考〉紀伊國屋書店BookWeb特設サイト
 http://k-kinoppy.jp/kinokuniya/bunka/　※ 配信は終了しました。

5．配信実験の結果について

　配信期間中のダウンロード数は次のとおり。

※ ただし，№8～13の配信期間は平成25年2月8日～3月3日。

　なお，この実験の結果は，「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する実証実験」の報告書としてまとめられる予定です（25年4月以降公表）。

6．「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する実証実験」について（参考）

　　近年，電子書籍を巡る情勢が著しく進展する中で，国立国会図書館の保有するデジタル・アーカイブ（デジタル化資料）の活用の在り方が重要になっています。平成23年12月にとりまとめられた「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」の報告書においては，「（国立国会図書館の）デジタル化資料を活用した新たなビジネスモデルの開発が必要」であり，「事業化に意欲のある関係者による有償配信サービスの限定的，実験的な事業の実施なども検討することが必要」であるとされています。さらに，平成24年5月に策定された知的財産推進計画2012においても，コンテンツのアーカイブ化とその活用推進の観点から，同旨の施策の実施が求められています。

　　このため，文化庁は，国立国会図書館のデジタル化資料を利用した電子書籍制作・流通について，権利者の捜索や著作権処理などの契約に係る擬似的な権利処理等を行う簡易な実証実験を実施するとともに，その契約に係るガイドライン等を作成し，新たなビジネスモデルの可能性を検証することにより，中小規模の出版者を含む各事業者による電子書籍の流通と利用促進に資することを期待し，本実証実験を実施することとしました。