文化芸術分野の復旧・復興に向けた取組

1.文化庁長官メッセージの発出

文化庁長官から国民の皆様に対し,以下のメッセージを発出しました。

「東北地方太平洋沖地震被災文化財の救援と修復に協力を」(平成23年4月1日)

「当面の文化芸術活動について」(平成23年4月12日)

「東日本大震災から1年を迎えて」(平成24年3月11日)

※上記のほか,文化審議会会長から文化庁長官に対し意見書が提出されました。

「文化芸術分野の東日本大震災からの復興に向けて」(意見)(平成23年6月14日)

2.被災文化財の調査・復旧等

[1]文化財被害状況調査

  1. 各教育委員会からの要請に基づき,文化庁の文化財調査官を派遣し,被災した文化財の状況把握,修理・復旧等について指導・助言を実施しました。
  2. 調査件数:250件(9県)(平成23年8月10日終了)

[2]文化財レスキュー事業(東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援事業)

  1. 被災した文化財のうち美術工芸品等(動産)を緊急に保全するため,それらの救出,応急措置,博物館等における一時保管を実施しました。
  2. 宮城県を中心に,石巻文化センター,陸前高田市立博物館,歌津魚竜館等でレスキュー活動を実施し,延べ4,829人が参加しています。(平成24年3月1日現在)

[3]文化財ドクター派遣事業(東日本大震災被災文化財建造物復旧支援事業)

  1. 被災した文化財のうち建造物を対象に,現地に調査員(文化財ドクター)を派遣し,建造物の被災状況の調査,応急措置及び復旧に向けての専門的な技術的支援等を実施しました。(平成24年3月1日現在)
  2. 11県198市町村に延べ465人の調査員を派遣しています。
  1. 上記[1]~[3]の事業では,国指定文化財のみならず,地方自治体指定文化財や登録文化財についても対象としています。
  2. 上記[2]及び[3]の事業については,1.の文化庁長官メッセージにより,公益財団法人文化財保護・芸術研究助成財団を窓口として集められた寄附金も活用しています。国民の皆様や海外から寄せられた寄附金は,平成24日3月1日現在で2億円超にのぼっています。

[4]被災文化財の修理・復旧

  1. 被災した国指定等文化財について,国宝重要文化財等保存整備費補助金により修理・復旧すべく,平成23年度当初予算を活用するとともに,第3次補正予算において32億円を計上しました。また,平成24年度予算案においても19億円を計上しています。
  2. 震災復興に伴う特別名勝松島の保存管理の在り方については,宮城県,関係市町及び文化庁が参加する検討会で検討を行い,平成24年1月25日に最終報告が取りまとめられました。この最終報告を踏まえて,個々の現状変更の案件について対応する予定です。

3.文化施設の復旧

  1. 平成23年度第1次及び第3次補正予算に計上された公立社会教育施設災害復旧費補助金により,東日本大震災によって被災した公立文化施設の復旧を実施しています。(第1次補正予算:87億円の内数,第3次補正予算:329億円の内数)
  2. 現在、災害復旧事業に係る現地調査を実施し、公立文化施設の復旧のための事業計画を確認しています。(申請予定件数114件のうち、86件が確認済、51件が補助金交付決定済。(平成24年3月9日現在))

4.子どもの文化芸術体験の充実(次代を担う子どもの文化芸術体験事業(派遣事業))

  1. 子どもたちが健やかに過ごし,安心できる環境の醸成を図るとともに,円滑な地域の復興に資するため,東日本大震災復興支援対応として,被災地の学校,避難所の子どもたちに,文化芸術活動を提供する事業を実施しています。
  2. 事業実施主体となる被災地の県及び政令指定都市の実行委員会(被災自治体,文化芸術関係団体等で組織)において実施希望校等の募集を行い,昨年9月より芸術家の派遣を開始しました。(岩手県,宮城県,福島県,栃木県,仙台市において合わせて459件を実施しています。(平成24年2月29日現在))

5.文化芸術による復興支援コンソーシアム

  1. 文化庁、芸術家、芸術団体、企業、助成団体等が分野の枠を超えて連携協力し、文化芸術を通じた被災地の復興支援活動を展開するため、社団法人全国公立文化施設協会及び社団法人日本芸能実演家団体協議会を共同事務局とするコンソーシアムを平成24年4月に立ち上げることを目指して、調査研究を進めています。
  2. コンソーシアムの立ち上げに先立ち,平成24年3月13日にコンソーシアムの設立記者会見及びシンポジウムを東京国立博物館において開催する予定です。
ページの先頭に移動