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1.調査の概要
- 調査対象:
- 耐震対策の対象※となる国宝・重要文化財建造物(4,080棟,回答率100%)このうち,世界遺産又は国宝であるもの(663棟)
(※)国宝・重要文化財建造物から小規模な建造物や土木構造物を除外 - 調査時点:
- 令和元年11月30日時点
- 調査内容:
- 耐震診断(耐震予備診断,耐震基礎診断,耐震専門診断)や耐震補強の実施状況,対処方針(耐震補強等が完了するまでに取るべき暫定的な方策を定めたもの)の作成状況 等
2.主な調査結果(詳細は別紙)
(1) 耐震対策が完了しているもの
耐震補強を実施したもののほか,耐震診断により耐震性が確認されたもの,立入制限を内容とする対処方針を作成したものであって,基本的に耐震対策が必要ないもの
- ① 耐震対策の対象となる国宝・重要文化財(4,080棟) 2,536棟(62.2%)
- ② ①のうち,不特定の者が立ち入る建造物(1,872棟) 844棟(45.1%)
- ③ 耐震対策の対象となる世界遺産又は国宝(663棟) 392棟(59.1%)
- ④ ③のうち,不特定の者が立ち入る世界遺産又は国宝(310棟) 96棟(31.0%)
(2) 安全性の確保が図られているもの
(1) の耐震対策が完了しているものに加え,避難誘導等の人的安全性確保のための措置を内容とする対処方針を作成したもの
- ① 耐震対策の対象となる国宝・重要文化財(4,080棟) 3,890棟(95.3%)
- ② ①のうち,不特定の者が立ち入る建造物(1,872棟) 1,794棟(95.8%)
- ③ 耐震対策の対象となる世界遺産又は国宝 (663棟) 658棟(99.2%)
- ④ ③のうち,不特定の者が立ち入る世界遺産又は国宝 (310棟) 308棟(99.4%)
3.今後の対応等
今回の調査結果から,国宝・重要文化財の95%(世界遺産又は国宝では99%)が,耐震補強の実施や立入制限・避難誘導等の措置を含む対処方針の作成等を行っており,人的安全性の確保が図られるよう取り組みが進められていることが確認できました。
しかしながら,不特定の者が立ち入る世界遺産又は国宝で,耐震対策が完了していると整理できるものは31%に留まっており,早急な対応が求められます。
文化庁としては,今回の調査結果を受けて,とりわけ,人的安全性の確保の観点,また,文化財的価値の重要性の観点から,まずは,不特定の者が立ち入る国宝・重要文化財(特に世界遺産又は国宝)について取組を進める必要があり,耐震対策が完了していないところについて,耐震診断・耐震補強工事等への補助事業の活用を促進し,文化財修理の時期等に配慮しつつも,できるだけ速やかに耐震対策を実施・完了できるよう進めていきます。
また,すべての国宝・重要文化財建造物に係る所有者等の関係者に対して,改めて耐震対策の必要性を周知するとともに,耐震対策の状況について定期的にフォローアップを実施するなど,国宝・重要文化財建造物の耐震化を引き続き進めてまいります。
<本件担当>
- 文化庁文化資源活用課
- 震災対策部門
- 担当:西岡 聡
電話:03-5253-4111(内線3146)
fax:03-6734-3820
e-mail:taishin@mext.go.jp(震災対策部門専用)
別紙
国宝・重要文化財建造物の耐震対策現況調査結果(55.8KB)

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